本の紹介864 瞬発力の高め方(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は本の紹介です。
瞬発力の高め方

ユーチューバ―のジョーブログさんの本です。

先日のボクシング企画はとてもよかったです。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

誰でも生きていれば、知識や経験がついてくる。若いときのような突破的な意識や、行動力は次第になくなってくるやろう。やりたいことには賞味期限、消費期限があり、その期限すぎたらやらなくなったり、落ち着いちゃったりする。だから、ダッシュできるときにしまくる。
なんでか? 知るか! 
ごちゃごちゃ考えるな。やらなきゃ、なんも言えん。やればわかる。やってみろや。その先を全部あるわ。」(191頁)

堀江さんもとにかく行動するということの大切さを説いています。

いろいろ考えて結局やらないということが多すぎるような気がします。

取れるリスクはどんどん取ってチャレンジしていかないと、あっという間におじいちゃんになってしまいます。

世間体だの周りの評価だのを気にし過ぎて縮こまっているなんてつならなくて死にそうです。

解雇283 配転命令の有効性の判断方法(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、試用期間の再延長が否定され、配転命令拒否等による解雇が有効とされた裁判例を見てみましょう。

F社事件(神戸地裁平成30年7月20日・労経速2359号16頁)

【事案の概要】

本件は、原告が本件解雇は無効であると主張して地位確認等を求めるとともに、Y社による本件自宅勤務命令、徳島本社への配転命令、本件解雇はいずれも違法であると主張して不法行為に基づく損害賠償を求めた事案である。

【裁判所の判断】

請求棄却

【判例のポイント】

1 Xは平成28年2月25日からY社において勤務を始め、徳島本社で研修を受けた後、4月14日から関西支社勤務となり、資産形成事業部関西営業課に配属されたが、5月13日に本件自宅勤務命令を受け、以後その状態が続いていた。そして調査の結果、関西営業課において業務に従事していた際のXの営業活動に業務フロー違反があったことが発覚しており、また、Cと結託してE取締役の意向に沿わない営業活動を行っていたことも疑われる状況にあった。Y社は、延長された試用期間の満了にあわせて本件自宅勤務命令を解除することとしたが、このような状況で、8月25日以降、Xをもとの関西営業課で勤務させることはできないと判断し、用地仕入業務に従事させることとするとともに、徳島本社において改めて研修を受けさせることにしたというのである。
認定事実によれば、このY社の判断を基礎づける事実が実際にあったから、本件配転命令には必要性があったといえるし、不当な動機・目的によって行われたものともいえない。これによってXが特に不利益を被るという事情も認められない。したがって本件配転命令が業務命令権の濫用とされることはなく、有効である。

2 本件配転命令は有効であるからXは平成28年8月25日以降徳島本社で勤務する義務を負ったが、本件解雇のあった9月5日まで1日も出勤しなかった。・・・しかもXは8月28日、「(本件配転命令によって)労働契約は終了ということになる、解雇になったと認識していいか」などのメッセージをD取締役に送信している。このことからすると、Xは遅くとも9月2日までに、本件配転命令を拒否する意思を明確にY社に表明したと認められる。
指定された勤務場所で勤務する意思がないことを従業員が表明するということは、就労の意思を放棄するにも等しいことであり、労働契約上の義務の重大な違反である。Y社の就業規則においても配転命令は「重要な職務命令」と位置づけられている(就業規則71条1項16号)。一方、本件配転命令に従わないことについて正当な理由は認められないし、特に酌むべき事情も認められない。
このように重大な義務違反である本件配転命令の拒否があったことに加え、秘密漏洩行為、業務フロー違反行為もあったのであるから、本件解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められないということはできない。本件解雇に権利の濫用はなく、有効である。

配転命令について不当な動機目的(例えば、退職に追い込むためなど)に基づくものではないということをいかに立証するかがポイントとなります。

上記判例のポイント1のような流れが裏づけとともに主張できると有効と判断してもらえます。

解雇を選択する前には必ず顧問弁護士に相談の上、慎重かつ適切に対応することが肝心です。決して、素人判断で進めないようにしましょう。

本の紹介863 一生お金に困らない「華僑」の思考法則(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は本の紹介です。
一生お金に困らない「華僑」の思考法則

「華僑」に関する本は複数出版されています。

当然、共通点が数多くありますね。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

華僑ビジネスにおいても『致命傷だけは負うな』が合い言葉です。致命傷を負わないために”まず手を挙げて”慣らしていく。そして死なない程度の失敗をしながら身をもって危険を学ぶ。これを繰り返すうち、ビジネスに対する免疫力が上がり、瞬時に危険を回避する判断力が磨かれ、大きなチャレンジに耐えうる丈夫な心と勇気が備わっていくのです。」(47頁)

いきなり大きな仕事はできません。

小さな仕事を積み重ねて、場数を踏んでいく。

徐々に扱える仕事の種類が増えていきます。

その過程で、試行錯誤を繰り返し、力をつけていくのです。

人が休んでいるときに刀を磨く。 そういう地道な努力が実を結ぶと信じています。

不当労働行為209 定年前人事考課を理由とする再雇用拒否と不当労働行為(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間がんばりましょう。

今日は、定年退職後再雇用を希望する組合員に対し、定年前人事考課が低く再雇用基準を満たしていないとして再雇用しなかったことを不当労働行為とした事案を見てみましょう。

医療法人社団更正会事件(中労委平成30年3月7日・労判1187号90頁)

【事案の概要】

本件は、定年退職後再雇用を希望する組合員に対し、定年前人事考課が低く再雇用基準を満たしていないとして再雇用しなかったことを不当労働行為にあたるかが争われた事案である。

【労働委員会の判断】

不当労働行為にあたる

【命令のポイント】

1 本件二段階引下規定は、人事考課表不提出者に対して、最終評価ランクの決定の段階で目標評価3項目を既にマイナス16点という不利な評価をしたことに加えて、最終評価を二段階引き下げるという二重に不利な評価を行うものである。そしてその不利な評価は、給与額や賞与額という重要な労働条件のみならず、定年後の再雇用にも重大な不利益を及ぼすものである。本件二段階引下規定は、このように広範かつ重大な不利益を生じさせるものであるが、その重大な不利益を緩和する段階的な適用や措置は想定されていない

2 このような本件二段階引下規定が導入されたのは、組合がA1支部結成以来一貫して人事考課制度に反対して情宣文書の配布やストライキ等の闘争を行い、遂には人事考課表提出拒否闘争を行うに至ったことを契機とするものであり、人事考課制度をめぐる労使関係の対立が顕著となる中で行われたものであった。そして、単に人事考課表の提出拒否を防止するための措置というには不相当に重い本件二段階引下規定を、何らの段階的適用や緩和措置を検討することなく導入するにあたって、法人は、本件二段階引下規定の適用対象者が事実上、組合員のみであることを、上記経緯から、十分に認識していたといえる。

3 以上からすると、同規定は、組合の人事考課制度に対する反対運動を嫌悪した法人が、人事考課表を提出しない組合員を狙い撃ちにして殊更に重い不利益を与え、特に再雇用との関係では、同規定の適用によって、再雇用拒否により組合員が法人から排除される結果をもたらすことを認識・認容した上で定めたものと認めるのが相当である。

法人側の気持ちも理解はできますが、このようなやり方では不当労働行為と評価されてしまうのも仕方ありません。

組合との団体交渉や組合員に対する処分等については、まずは事前に顧問弁護士から労組法のルールについてレクチャーを受けることが大切です。決して素人判断で進めないようにしましょう。

本の紹介862 わいたこら。(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間お疲れ様でした。

今日は本の紹介です。
わいたこら。 ――人生を超ポジティブに生きる僕の方法

新庄さんの本です。

サブタイトルにもなっているように、「人生を超ポジティブに生きる僕の方法」が書かれています。

さすがスーパースターです。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

スターになれる選手は、『ここしかない!』という舞台で必ず結果を出す。そうじゃない選手は、4打席ノーヒットで終わる。・・・集中力が違う?ものすごく度胸がある?いや、はっきり言って実力どうこうじゃ、説明がつかないレベルの話だと思う。たまたまレギュラーの選手がケガをして出番が転がり込んできたり、相性のいいピッチャーと当たって絶交のチャンスにヒットが打てたり。そんな『たまたま』が、その選手の運命を大きく動かす。これって、努力だけじゃどうにもならないよね?だから成功するためには、絶対に『運』が必要だ。」(133~134頁)

成功に「運」が必要であることは否定しようがありません。

努力だけではどうにもならないことが現に世の中にはいっぱいあるからです。

「運」とか「運命」みたいなものが働いていると素直に考えるほうが自然でいいです。

とはいえ、自分の力でどうにかできないことについて考えても仕方がないので、結局、日々、努力を重ねるのがいいのでしょうね。

賃金162 休息時間は労働時間?(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、労働契約書、労働条件通知書が作成されていない当事者間の労働契約内容を認定した事案を見てみましょう。

Apocalypse事件(東京地裁平成30年3月9日・労経速2359号26頁)

【事案の概要】

本件は、Xらが、Y社に対し、①労働契約及び労働基準法37条に基づき法定時間外及び深夜早朝の労働による割増賃金+遅延損害金並びに③労働基準法114条に基づく付加金+遅延損害金の支払を求める事案である。

【裁判所の判断】

Y社はX1に対し、43万5139円+遅延損害金、49万9204円+遅延損害金、17万4627円+遅延損害金、付加金89万円+遅延損害金を支払え

Y社はX2に対し、35万2752円+遅延損害金、37万3035円+遅延損害金、13万6019円+遅延損害金、付加金69万円+遅延損害金を支払え

【判例のポイント】

1 労働基準法上の労働時間とは、労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間をいい、実作業に従事している時間のみならず、作業と作業との間の待機の時間(手待時間)も含まれる。実作業に従事していない仮眠その他の不活動時間であっても、一定の場所で待機し、必要に応じて直ちに実作業に従事することが義務付けられているときは、その必要が生じることが皆無に等しいなど、実質的に義務付けを否定できるような事情が存しない限り、当該時間に労働から離れることが保障されているとはいえないから、不活動時間を含めた全体が使用者の指揮命令下に置かれているものとして、労働時間に該当する(大星ビル管理事件参照)。その反面として、休憩時間に該当するためには、手待時間にも当たらないこと、すなわち当該時間に労働から離れることが保障されて自由に利用でき、使用者の指揮命令下から離脱しているといえることを要する(昭和22年9月13日発基17号、昭和39年10月6日基収6051号参照)。
使用者が当座従事すべき業務がないときに労働者に休息を指示し、又は労働者の判断で休息をとることを許していても、休息の時間を「午後○時○分まで」「○分間」などと確定的に定めたり、一定の時間数の範囲で労働者の裁量に任せたりする趣旨でなく、一定の休息時間が確保される保障のない中で「別途指示するまで」「新たな仕事の必要が生じる時まで」という趣旨で定めていたに過ぎないときは、結果的に休息できた時間が相当の時間数に及んでも、当該時間に労働から離れることが保証されていたとはいえないから、あくまで手待時間であって、休憩時間に当たるとはいえないというべきである。

2 これらの認定事実を総合すると、Xらは、タイムカードで記録される出退勤の間、多忙かつ長時間の勤務を余儀なくされる実情にあり、本件店舗の営業時間の間は、常に来客の可能性に備えて待機する必要があり、Y社から休憩時間を特定の時間帯で指定されることも、勤務の実情において労働時間と休憩時間が明確に区別されることもなく、勤務中の食事も本件店舗内で済ませることになっており、食事のための外出は原則として認められていなかったのであるから、タイムカードに記録された出退勤の各時刻の間は、特段の事情がない限り、継続的に作業に従事し、又は手待時間として来客に備えて待機していたものとして、Y社の指揮命令下に置かれた労働時間に当たるというべきである。

休憩時間なのか手待時間なのかという論点についてわかりやすく書かれています。

参考になりますので確認しておきましょう。

日頃から顧問弁護士に相談しながら適切に労務管理を行うことが大切です。

本の紹介861 億万長者のビジネスプラン(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、本の紹介です。
億万長者のビジネスプラン―ちょっとした思いつきとシンプルな商品があればいい

ダン・ケネディさんの本です。

サブタイトルは、「ちょっとした思いつきとシンプルな商品があればいい」です。

いくつものヒントが書かれており、参考になります。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

私はクライアントに、自分のビジネスを他人とはまったく異なる視点で見るように勧めている。『あなたの仕事は何ですか?』と尋ねると、いたって限定的な答えが返ってくるものだ。人は心理的な理由や、他の何らかの理由で、自分を枠にはめてしまっている。宝石のチェーン店の経営者に仕事を尋ねると、『私は宝石商だ』と答えるか、よくても「私は宝石のチェーン店を経営している」と答えるだろう。しかし、このように枠にはめてしまうと、ビジネスの可能性が限定されてしまう。」(277頁)

自分の仕事をどう定義するかという問題です。

この定義の仕方で、自分の仕事を大幅に広げることもできれば、大幅に狭めてしまうことにもなります。

再定義のコツは、業界の常識を度外視することと自分が提供しているサービスの核を理解することです。

これができるようになると仕事の幅がどんどん広がっていきます。

セクハラ・パワハラ44 パワハラの認定方法とは?(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、パワーハラスメントは存在しないとして不法行為に基づく損害賠償請求が否定された事案を見てみましょう。

三栄製薬事件(東京地裁平成30年3月19日・労経速2358号28頁)

【事案の概要】

本件は、Y社の従業員であったXが、①Xの意思に反して平成28年9月30日付け自己都合退職と扱われたことにより、同年10月1日から同月20日まで就労不能になったとして、民法536条2項に基づき、同年10月分の未払賃金14万1034円の支払、②Y社の専務であるB2からパワーハラスメントを受けたなどとして、民法709条及び同法715条に基づき、968万2658円の損害賠償金の支払、③労働契約に基づき、平成27年6月3日から平成28年9月29日までの未払割増賃金45万0418円+遅延損害金、④労働基準法114条に基づき、未払割増賃金45万0418円と同額の付加金の支払を各求める事案である。

【裁判所の判断】

Y社はXに対し、18万6501円+遅延損害金を支払え

Xのその余の請求をいずれも棄却する

【判例のポイント】

1 本件パワハラ等の事実を認めることができないのは上記のとおりであるから、本件パワハラ等の事実が存在することを前提とするXの上記供述はにわかに採用することはできない。また、Xは、本件合理的配慮を記載したメモを作成してY社に交付したと述べるが、同メモの存在を裏づける的確な証拠はなく、本件カルテにも、XがY社に本件合理的配慮を要望していたことを窺わせる記載はない上、Xは診断書すらY社に提出しておらず、通院状況や服薬状況について、Y社との間で情報交換をしていたことを窺わせる事情も存在しないことからすれば、XとY社との間で本件合理的配慮を提供することの合意があったと認めることはできず、他にこれを認めるに足りる証拠はない。

2 確かに、Xは、同月5日に行われたY社との話し合いにおいて、労務の提供を申し出ているが、その理由は、XとY社との間で、既に合意されていた平成28年10月20日付の退職を撤回して、引き続き、Y社で勤務し続けたいというものであった。Xは、本件労働契約について、平成28年10月20日付で合意解約するとの申込みをし、Y社は承諾の意思表示をしているため、合意解約は有効に成立している。したがって、Xは、既に合意解約の申込みの意思表示を撤回することができない状況にあったにもかかわらず、一方的に同月20日付退職を撤回するとして労務の提供を申し出たものであることからすれば、Y社において、既に退職が決まっているXに行わせる業務はCへの引継業務以外にはなく、Xの退職の撤回を受け入れることはできないとして、その就労を拒絶したことには合理的な理由があったといえる。また、Y社は、本件口論後のXの言動を踏まえて、Xが同年9月30日付で退職の申込みをしたものと考え、同日付合意退職の扱いにしたものであるところ、本件口論後、XはCへの引継業務を行うことを強く拒絶していたことからすれば、Y社において、本件労働契約が同年9月30日付で合意解約されたものと判断し、そのような処理をしたこともやむを得ないものであったということができる。
以上に照らすと、Xが平成28年10月1日から同月20日までの間、就労不能となったことについて、Y社の責めに帰すべき事由があると認めることはできないから、平成28年10月分の未払賃金請求については、その余の点を判断するまでもなく理由がない。

上記判例のポイント2の経緯は実際にあり得ることです。

微妙な判断が求められる場面ですが、この裁判例を参考にしてください。

ハラスメントについては、注意喚起のために定期的に研修会を行うことが有効です。顧問弁護士に社内研修会を実施してもらいましょう。

本の紹介860 貧乏はお金持ち(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間がんばりましょう。

今日は本の紹介です。
貧乏はお金持ち──「雇われない生き方」で格差社会を逆転する

タイトルだけを読んでもこの本の内容を想像することは困難です。

税や会計に関するレクチャーがたくさん盛り込まれています。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

最近では古いビルやマンションの一角を改装し、レストランや雑貨店をはじめる若いひとたちが増えている。私の住んでいる街でもそんな店がたくさんできたが、ほとんどが数年で力尽きて閉店していく。彼らにアドバイスする立場にはないのだが、いつも残念に思うのは、がんばるだけでは問題は解決しないということだ。彼らにもし、会計や税務・ファイナンスの基礎的な知識(フィナンシャルリテラシー)があれば、無駄な出費や高利の借入でせっかくの挑戦をだいなしにしてしまうこともなかったかもしれない。」(307頁)

会社を経営するにあたり、会計、労務、法務について何の準備もせずに突っ走ってしまうことはよくあることです。

風邪をひいてから体調管理をするということがとても多いわけです。

願わくば、風邪をひかないように体調管理をしてほしいのですが、なかなかそうもいかないのが現実です。

会社が大きくなればなるほど、従業員が増えれば増えるほど、問題が生じる可能性が増していきます。

必要経費と割り切り、会社のブレーンを揃えられるかどうかが分かれ道ですね。

不当労働行為208 工場長が委員長である労組との団交拒否と不当労働行為(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間お疲れ様でした。

今日は、工場長が委員長となっている支部の適法性に疑義があるなどとして、支部の申し入れた夏季一時金等に関する団交に応じなかった会社の対応が不当労働行為とされた事案を見てみましょう。

東部重工業事件(千葉県労委平成30年3月14日・労判1185号91頁)

【事案の概要】

本件は、工場長が委員長となっている支部の適法性に疑義があるなどとして、支部の申し入れた夏季一時金等に関する団交に応じなかった会社の対応が不当労働行為に該当するかが争われた事案である。

【労働委員会の判断】

不当労働行為にあたる。

【命令のポイント】

1 工場長の人事労務に関する権限等について、会社は、工場長には人事権限があり、その内容は、採用、配置、賞与考課など、人事の直接的権限ないし、労働関係に関する機密に接するものである旨主張するが、期末評価実施要領によれば、工場長は、副工場長以下の従業員の一時評価者に位置付けられているものの、その二次評価者として部長がおり、最終評価者は役員会となっている
また、・・・A委員長が採用面接に参加したことや、当時の工場長及び副工場長が部下の賞与考課を行っていることは認められるものの、工場長の判断により、採用や賞与考課が決定されるとの事実を認めるに足りる証拠はない

2 したがって、会社において、工場長は人事に関する事務に従事するものの、決定権限の行使につき補助的・助言的地位を超えて、人事の直接的権限を有しているとまでは認められず、その他、使用者の利益を代表する者として、その参加を認めることによって、労働組合の自主独立性を損なうものとなるような重大な権限や責任を有していたと認めるに足りる事実はない
よって、工場長の職にある者を労組法第2条ただし書第1号に該当する使用者の利益を代表する者と認めることはできない。

上記命令のポイント2の考え方は理解しておく必要があります。

組合との団体交渉や組合員に対する処分等については、まずは事前に顧問弁護士から労組法のルールについてレクチャーを受けることが大切です。決して素人判断で進めないようにしましょう。