本の紹介839 スゴイ!稼ぎ方(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間がんばりましょう。

今日は本の紹介です。
お金のポケットが増える スゴイ! 稼ぎ方

「複業」を薦める本です。

中途半端に手を出すとだいたい火傷するパターンですけどね(笑)

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

成功者は運や流れをもっとも重視しています。負のオーラを排除し、プラスのエネルギーを好んできたので、その群れがあるのです。・・・初めはご一緒させていただくことが息苦しかったり、馴染めなかったりするのですが、足繁く通い詰めることで、馴染み始めます。・・・なにしろ大切なのは『成功者に可愛がられること』です。引っ張り上げてくれる人との出会いは刺激的です。」(128~129頁)

特に若いうちは、かわいげがあるかどうかが重要です。

自分に力がないうちは成功者に可愛がられて、上に引き上げてもらうことが大切です。

あとは、この「かわいげ」の意味をどう解釈するかです。

周りにいる若くても上の人にかわいがられて成功している人の特徴を観察してみましょう。

決して単なるイエスマンでも太鼓持ちでもないことがわかると思います。

不当労働行為203 組合機関誌回収指示に従わなかった組合員に対する自宅待機命令と不当労働行為(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間お疲れ様でした。

今日は、組合機関誌を配布した組合役員5名に対し、回収の指示に従わず、真面目な反省と謝罪がないとして自宅待機を命じたことが不当労働行為とされた事案を見てみましょう。

市川学院事件(兵庫県労委平成30年2月22日・労判1180号154頁)

【事案の概要】

本件は、組合機関誌を配布した組合役員5名に対し、回収の指示に従わず、真面目な反省と謝罪がないとして自宅待機を命じたことが不当労働行為にあたるかが争われた事案である。

【労働委員会の判断】

不当労働行為にあたる

【命令のポイント】

1 組合機関誌は、いずれも終業時刻後という、生徒が職員室等に入室する頻度が比較的少ない時間帯に、生徒の目に触れにくい方法で配布されており、生徒に対する教育的配慮がなされているものと認められる

2 Y社は、2年前の署名依頼文書の件以来、組合に対して、組合機関誌の配布を自粛するよう繰り返し要請しているが、この自粛要請の趣旨について前記のとおり、理事長が本件審問において明確には供述していないことに加え、自粛要請に従わずに配布した「X2○号」を配布直後にY社が自力で回収するという所為に出たことを併せ考えると、Y社による自粛要請は、実質的には校内における一切の組合機関誌の配布を禁止する趣旨であると解される。したがって、組合機関誌の配布がY社の業務運営上も生徒に対する教育的配慮の上でも問題があるとは認められないにもかかわらず、Y社が取った一連の対応は、反組合的動機に基づくものと言わざるを得ず、組合を嫌悪し、組合の弱体化を狙ってなされたものであると認められ、労働組合法第7条第3号の不当労働行為に該当する。

3 本件自宅待機命令は、平成28年9月12日に解除されたが、本件自宅待機命令によりA1ら5人が被った精神的不利益は回復されておらず、また、Y社が解除した理由は、A1ら5人に対する自宅待機命令を維持したままにすると授業に支障を来すからであって、本件自宅待機命令が不当労働行為に該当することを認めたためではないことからして、Y社は、今後も組合機関誌の配布に理事長の承認を要求し、承認なく配布した場合、自宅待機命令等の不利益取扱いや組合に対する支配介入を繰り返すおそれは消えていないので、未だ救済の必要性が失われたとは言えない

上記命令のポイント3は参考になりますね。

組合との団体交渉や組合員に対する処分等については、まずは事前に顧問弁護士から労組法のルールについてレクチャーを受けることが大切です。決して素人判断で進めないようにしましょう。

本の紹介838 勝利のルーティーン(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は本の紹介です。
勝利のルーティーン 常勝軍団を作る、「習慣化」のチームマネジメント

少し前の本ですが、ワールドカップからの流れで読んでみました。

ミーハーか!

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

夢と現実があまりにかけ離れたシーズンを送っていると、選手生命はアッという間に終わってしまう。チームにおける自分のポジションを冷静に判断し、バックアッパーならそれ相応の努力をしないとレギュラーは奪えない。」(184頁)

「自分のポジションを冷静に判断」するというのは、サッカー選手に限らず、あらゆるビジネスマンに求められる力だと思います。

ここを見誤ると、選択を誤り、本来経験する必要のない挫折を味わうことになります。

挫折もまた必要なプロセスと評価することも可能でしょうが、しなくていい挫折はしないほうがいいでしょう。

もっとも、自分のポジションを冷静に判断することはとっても難しいことです。

したがって、信頼をしている人と話をして、ポジションを判断するヒントをもらうというのがよいと思います。

解雇277 適格性欠如を理由とする解雇の有効性(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、有期歯科医長に対する適格性欠如を理由とする期間途中の解雇の有効性に関する裁判例を見てみましょう。

国立研究開発法人国立A医療研究センター(病院)事件(東京地裁平成29年2月23日・労判1180号99頁)

【事案の概要】

本件は、5年の期間の定めのある労働契約(以下「本件労働契約」という。)に基づきY社の運営する病院(以下「被告病院」という。)の歯科医長を務めていたXが、歯科医療に適格性を欠く行為があり、部下職員を指導監督する役割を果たしていないなどとして、期間途中に普通解雇(以下「本件解雇」という。)をされたが、やむを得ない事由はなく、本件解雇は無効であるとして、労働契約上の権利を有することの地位の確認を求めるとともに、未払賃金、賞与及び慰謝料並びにこれらに対する遅延損害金の支払を請求する事案である。

【裁判所の判断】

解雇無効
Y社は、Xに対し、平成26年5月以降、本判決確定の日まで、毎月16日限り、93万1055円+遅延損害金を支払え。

Y社は、Xに対し、491万6000円+遅延損害金を支払え。

【判例のポイント】

1 Y病院は専門性・先進性を備えた医療行為を行うことを標榜しており、歯科の診療内容をみても、一般の歯科医院からの紹介患者を広く受け入れるなどして、治療困難な患者や症例等に積極的に対応して高度な治療行為を行っているほか、Y病院の他部門と連携を取りつつ入院患者や手術予定患者の口腔管理を行っているというのであるから、Y病院で歯科医療に携わる場合には、一般的な歯科医療機関に従事する以上に歯科医療に係る高度な知識や技術、他部門と連携して医療行為を行うための協調性やコミュニケーション能力が必要とされており、取り分け歯科医長の地位に就く者については、自身がこうした資質を備えるほか、こうした資質を備えた他の歯科医師その他のスタッフを指導し、統率する能力が求められているということができる。Y社が歯科医長を募集した際に掲げた上記の要件等や相応に高額の給与等が保障されていることにも、これらの点が反映されているものとみることができる。
他方で、歯科医療行為に係る知識や技術については、それ自体高度な専門性を有する事柄であり、当該患者の身体の状況について実際に得られた具体的な情報を基に、当該患者の意思・希望や、治療行為を行う際の人的・物的態勢等を踏まえつつ、その都度適切な治療行為を選択して実施すべきことからして、その治療行為の選択には担当する歯科医師に相当広範な裁量が認められることも論をまたないところである。Y社は、本件解雇の理由として、Xのした多数の治療行為について医療安全上の問題があったことを指摘するが、上でみたような医療行為の特性を踏まえるならば、治療行為が解雇の理由として考慮に値するようなものに当たるか否かは、当該治療行為が相当な医学的根拠を欠いたものか、実際に当該治療行為が行われた患者の身体の安全等に具体的な危険を及ぼしたか、治療行為に際して認められる裁量を考慮しても合理性を欠いた許容できないものといえるかといった観点からの検討が不可欠なものということができる

2 本件解雇に至る経緯は前記のとおりであり、本件解雇理由については解雇理由書でその内容をある程度明らかにしているとはいえ、事前にはその内容の開示に応じていないし、そもそも本件問題行為については解雇時に考慮された事情として明らかにされていない。本件解雇理由や本件問題行為がXのした医療行為としての相当性を問題にしていることからすれば、当事者であるXに具体的事実を示さず、弁明の機会を一切与えていない点は、手続面で本件解雇の相当性を大きく減殺させる事情といわなければならない
本件解雇理由及び本件問題行為はY社主張の事実自体認められないものが多くを占め、一部認められるもの(本件解雇理由21及び本件問題行為(14))もあるが、定められた期間途中での解雇を可能とする、やむを得ない事由に該当するとはいい難く、さらに、上記でみた事情も勘案するならば、本件解雇は無効という評価を免れ難いものというべきである。
したがって、Xは、Y社に対し、労働契約上の権利を有する地位にあり、賃金請求権を有すると認められる。

3 解雇や退職勧奨を受けた事実が周囲に知られた場合に通常は不名誉を感じることを否定できないとしても、解雇された労働者が被る精神的苦痛は、当該解雇が無効であることが確認され、その間の賃金が支払われることにより慰謝されるのが通常であり、これによってもなお償うことのできない精神的苦痛を生ずる事実があったときに慰謝料請求が認められると解するのが相当である。
Xは、A病院長が退職勧奨の事実を言いふらし、歯科スタッフを通じてその事実がY社病院外へも流布されたと主張し、これに沿う供述をするが、情報がY社病院外に拡散した経過は定かではない上、XがY社から解雇を受けたことが公にされた場合に通常生ずる以上の精神的苦痛を被ったとまではにわかに認め難い
よって,XのY社に対する慰謝料請求は理由がない。

上記判例のポイント1のとおり、歯科医師の専門性の高さから、解雇事由の判断について労働者に広い裁量を認めています。

このような規範からすると、よほどの重大な治療行為の瑕疵が認められない限り解雇は有効とはなりません。

解雇を選択する前には必ず顧問弁護士に相談の上、慎重かつ適切に対応することが肝心です。決して、素人判断で進めないようにしましょう。

本の紹介837 人生やらなくていいリスト(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間がんばりましょう。

今日は本の紹介です。
人生やらなくていいリスト (講談社+α文庫)

帯には「頑張らなくていいことに『命=時間』を費やしている君へ」と書かれています。

時間を無駄にするということはすなわち命を無駄にしていることです。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

大切なのは、『会社対会社』ではなく、『人対人』という、根本的かつあたり前のことを、意図せずにやっていたことになる。」(100頁)

仕事に限らず、人生でも同じ。本当に必要なのは、『多数のなんとなく仲のいい人たち』ではなく、心から信頼できる『ひとり』であることを、ぜひ知っておいてほしいんだ。」(101頁)

時間を無駄なことに奪われることほど苦痛なことはありません。

無駄な会議、会合がいかに多いことか。

出席したほうが体裁はいいですが、限りある時間を犠牲にすることは耐えられないのです。

やるべきことだけに専念したいと願うのは僕だけではないはずです。

無駄なことなど人生にはないと言う人がいますが、人生は無駄なことばかりだと僕は思います。

無駄をいかに省き、時間を作るか。

この意識を強く持つことが人生を変えるきっかけになるのだと思います。

不当労働行為202 ストを行った組合員に対する遅刻届・始末書の要求と不当労働行為(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間お疲れ様でした。

今日は、ストライキを行った組合員2名に対して遅刻届および始末書の提出を求めたことが不当労働行為にあたるとされた事案を見てみましょう。

日本郵便(新大阪郵便局)事件(大阪府労委平成30年3月27日・労判1180号153頁)

【事案の概要】

本件は、ストライキを行った組合員2名に対して遅刻届および始末書の提出を求めたことが不当労働行為にあたるかが争われた事案である。

【労働委員会の判断】

不当労働行為にあたる

【命令のポイント】

1 労働関係調整法第37条の規定は、抜き打ちストによる公衆の生活への被害の防止を図る規定であって、使用者自体の利益を保護する規定ではなく、労働組合が同条違反の争議行為を行った場合でも、争議行為予告がなされなかったことにより公衆に不当な損害を与え使用者にその損害補てんの責任を余儀なくさせるなどの特段の事情のない限り、使用者との関係において直ちに違法となるものではない。

2 Y社が、本件ストライキが違法なストライキであることを理由に、本件ストライキに参加した組合員らに対し、ストライキによる不就労について遅刻届及び始末書の提出を求めたことに、正当な理由は認められない

3 そもそも、遅刻届や始末書の提出を求めること自体に正当な理由が認められない上、始末書の提出は、それ自体が懲戒処分ではないとしても、Y社も主張するとおり非違行為に対する弁明の機会を与えるものである以上、本件ストライキが非違行為に該当するとの前提の下、何らかの懲戒処分が行われることを予期させるものであるし、また、遅刻届の提出についても、始末書と同時にその提出を求めることで、上記予期を一層強める効果を持つものであるといわざるを得ない。

4 Y社が本件ストライキについて組合員らに対して遅刻届及び始末書の提出を求めたことは、労働関係調整法所定の手続が採られていなかったことを盾に取って組合の活動をけん制するものであったといわざるを得ず、組合に対する支配介入に当たり、労働組合法第7条第3号に該当する不当労働行為である。

労働関係調整法37条は以下の内容です。

「公益事業に関する事件につき関係当事者が争議行為をするには、その争議行為をしようとする日の少なくとも十日前までに、労働委員会及び厚生労働大臣又は都道府県知事にその旨を通知しなければならない。」

組合との団体交渉や組合員に対する処分等については、まずは事前に顧問弁護士から労組法のルールについてレクチャーを受けることが大切です。決して素人判断で進めないようにしましょう。

本の紹介836 孤独がきみを強くする(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は本の紹介です。
孤独がきみを強くする

帯には「群れるな。孤独を選べ。」と書かれています。

著者の強く熱いメッセージが前面に出ています。

おすすめです。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

ほんとうに生きるということは、環境に迎合したり、安易に受け入れられ、好かれたりすることではない。ぼくは、いわゆる成功はむしろ絶望に等しいと思っている。いつでも計算を超えた無目的な闘い、あらゆる対象への無条件の挑みをつづけることが人間的であり、生きがいであると信じている。」(17頁)

こういう文章を読むたびに、いつも成功は安定や安心の真逆のところにあるのだと感じます。

周りから「そんなもん絶対に成功しないよ」と言われることを、途中で投げ出さずにやり続けられるか。

1か月やそこら結果が出ないからといって、すぐにやめてしまうのでは、何をなっても結果なんて出やしません。

仕事も勉強も一緒で、すぐにすぐ結果は出ないことを理解すべきです。

種を蒔いて、水を上げても、すぐに芽が出ないのと同じことです。

みんなが右と言えば、左に進むくらいの挑戦をし続けることが成功への近道だと確信しています。

みんながみんなできることではありませんが、だからこそ成功者はほんの一握りなのでしょう。

セクハラ・パワハラ42 休職期間満了に伴う復職の可否の判断(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、パワハラに基づく損害賠償請求に関する裁判例を見てみましょう。

ビーピーカストロール事件(大阪地裁平成30年3月29日・労判ジャーナル76号40頁)

【事案の概要】

本件は、Y社の元従業員Xが、Y社に在籍中、上司Aからパワーハラスメントの被害を受けたとして、Y社及び上司Aに対し、不法行為に基づき、慰謝料等を請求し、また、上司Aのパワハラによってうつ病を発症し、会社を休職しており、その後に復職できる状況となったが、Y社が職場環境調整義務を怠ったため、復職をすることができず賃金相当額の損害が毎月発生しているとして、不法行為に基づき、賃金相当損害金を請求し、さらに、復職の許可を受けたものの会社に復職しなかったことを理由にY社から解雇されたが、Xが、Y社が職場環境調整義務を怠ったため復職できなかったものであり、当該解雇は無効であるとして、労働契約上の権利を有する地位にあることの確認を請求した事案である。

【裁判所の判断】

請求棄却

【判例のポイント】

1 休職期間中であった従業員が復職するに際しては、使用者においては、復職のための環境整備等の適切な対応を取ることが求められるが、もっとも、その個別具体的な内容については、法令等で明確に定められているものではなく、使用者が事業場の実情等に応じて、個別に対応していくべきものといえるところ、Xについて、一応の業務軽減が図られていること、Xは、直行直帰を主たる勤務形態とする営業担当従業員であり、業務の遂行はX自身の判断で調整可能であったこと、d支店における営業担当従業員の業務が特に負担の重い業務であるとまではいえず、Xが休職中は、4名で行っていた業務を3名で対処できていたこと、取引先に対し、同行しての引継は予定されていなかったが、平成28年5月17日のやり取りからすれば、Xが同行しての引継を求めれば、上司も対応する余地があったと考えられ、このような措置が取られなかったのは、Xからの要望がなかったためであること等から、本件において、Y社において、法的義務に違反したとまでは認められない。

2 Xは、休職期間満了後も会社に出勤せず、Y社は、再三にわたって出勤を求め、欠勤を続けた場合は解雇とすることもあり得ることまで明示したものの、Xは出勤しなかったものであり、かかる行為は、Y社の就業規則における解雇事由に該当し、そして、労務の提供は、労働契約における労働者の中核をなす債務であるところ、Xは自らの意思でそれを行わず、しかもその期間が半年以上の長期にわたっていること等の本件の事情を総合すれば、本件においてY社がした解雇が解雇権を濫用したものとは認められないから、本件解雇は有効である。

休職期間満了後の復職に関する問題です。

会社としてどのような対応をとるべきかについてはなかなか判断が難しいと思いますので、弁護士と方針について検討しながら進めていきましょう。

ハラスメントについては、注意喚起のために定期的に研修会を行うことが有効です。顧問弁護士に社内研修会を実施してもらいましょう。

本の紹介835 人はカネで9割動く(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は本の紹介です。
人はカネで9割動く: 成功者だけが知っている「生き金」のつかい方 (知恵の森文庫 t む)

刺激的なタイトルですが、内容はとても参考になります。

サブタイトルは「成功者だけが知っている『生き金』のつかい方」です。

本全体がこの「生き金」の使い方についてのレクチャーとなっています。

おすすめです。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

・・・値切らないことによって、大きな実を得る-。お金の生かし方を熟知するヤクザならではの発想と言えようか。一般人に、こうした発想はない。値切れば得をすると考える。違うのだ。値切れば『損』をするのだ。」(149頁)

一般人でもこういう発想の人は普通にいます。

病院で自由診療を受けて、治療終了後に「まけてほしい」と言う人がいるでしょうか。

銀座の値段が書かれていないお寿司屋さんに行って、食べた後に「まけてほしい」と言う人がいるでしょうか。

少しでも安く買えればそれでよいということでしょう。

それはそれで好きにすればいいですが、こういう方と長いお付き合いはしたくありません。

自分本位で取引相手に対するリスペクトがないからです。

要は、嫌な仕事、嫌いな人のために仕事をしたくない、ただそれだけのことです。

お互い気持ちよく仕事をするためにも「金払い」がせこい人には近寄らないことにしています。

解雇276 不正行為を理由とする懲戒解雇と事前調査の相当性(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間がんばりましょう。

今日は、不正行為等に基づく懲戒解雇に関する裁判例を見てみましょう。

埼玉県森林組合連合会事件(さいたま地裁平成30年4月20日・労判ジャーナル77号30頁)

【事案の概要】

本件は、Xが、Y社に対し、Y社がした懲戒解雇及び普通解雇は無効であるとして、雇用契約上の地位の確認並びに未払賃金及び未払賞与等の支払及び、Y社の理事を務める理事らが、一体となって本件解雇を画策し、極めて悪性の強いパワーハラスメントを行い、Y社をして、本件解雇を行わせたとして、連帯して、慰謝料等の支払を求めた事案である。

【裁判所の判断】

懲戒解雇及び普通解雇は無効

慰謝料請求は棄却

【判例のポイント】

1 Y社が主張する事由のうち、西川広域森林組合への発注、公印の無断使用(農協分受託契約)及び扶養手当の受給に関しては、Xの行為は、「職務上の義務に違反し、又は職務を怠ったとき」に当たり、Xに懲戒の事由があると認めることができるものの、西川広域森林組合への発注については、Y社に実損害を生じさせたと認めることはできず、また、公印の無断使用(農協分受託契約)については、3件中2件につき事後の決裁が得られており、扶養手当の受給についても、Xはその過誤を認め返納を申し出ているから、これらを懲戒解雇を相当とするほどの事由であると認めることはできず、Xには一定の懲戒事由がある上、代理人弁護士による相当の弁明の機会も行われているが、その前提となる調査委員会の調査は十分なものでなく、前記懲戒事由が、それ自体で懲戒解雇を相当とするほどの事由であるとは解されないことからすれば、本件懲戒解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であるとは認められず、懲戒権の濫用に当たるから、労働契約法15条に反し、無効である。

2 Xは、理事らは、何らの解雇理由もないのに、一体となってXを解雇しようと画策し、極めて悪性の強いパワーハラスメントを行って、結論ありきで解雇の手続を推し進め、Xを不当解雇したと主張するが、Xには一定の懲戒事由があることからすれば、理事らが何らの事由もなく一体となってXを解雇しようと画策したなどと認めることはできないこと等から、Y社のXに対する本件解雇は違法であるものの、理事らのXに対する不法行為の存在は認められず、そして、Y社がした本件解雇が違法であるとしても、Xには一定の懲戒事由の存在が認められることからすれば、本件解雇により賃金及びその遅延損害金の支払によってまかなわれない精神的損害を生じたと認めることはできないから、Xの不法行為に基づく慰謝料請求には理由がない。

相当性の要件の判断を使用者自ら適切に行うことは本当に難しいです。

顧問弁護士の客観的な判断を参考にして判断するというのが現実的だと思います。