本の紹介861 億万長者のビジネスプラン(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、本の紹介です。
億万長者のビジネスプラン―ちょっとした思いつきとシンプルな商品があればいい

ダン・ケネディさんの本です。

サブタイトルは、「ちょっとした思いつきとシンプルな商品があればいい」です。

いくつものヒントが書かれており、参考になります。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

私はクライアントに、自分のビジネスを他人とはまったく異なる視点で見るように勧めている。『あなたの仕事は何ですか?』と尋ねると、いたって限定的な答えが返ってくるものだ。人は心理的な理由や、他の何らかの理由で、自分を枠にはめてしまっている。宝石のチェーン店の経営者に仕事を尋ねると、『私は宝石商だ』と答えるか、よくても「私は宝石のチェーン店を経営している」と答えるだろう。しかし、このように枠にはめてしまうと、ビジネスの可能性が限定されてしまう。」(277頁)

自分の仕事をどう定義するかという問題です。

この定義の仕方で、自分の仕事を大幅に広げることもできれば、大幅に狭めてしまうことにもなります。

再定義のコツは、業界の常識を度外視することと自分が提供しているサービスの核を理解することです。

これができるようになると仕事の幅がどんどん広がっていきます。

セクハラ・パワハラ44 パワハラの認定方法とは?(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、パワーハラスメントは存在しないとして不法行為に基づく損害賠償請求が否定された事案を見てみましょう。

三栄製薬事件(東京地裁平成30年3月19日・労経速2358号28頁)

【事案の概要】

本件は、Y社の従業員であったXが、①Xの意思に反して平成28年9月30日付け自己都合退職と扱われたことにより、同年10月1日から同月20日まで就労不能になったとして、民法536条2項に基づき、同年10月分の未払賃金14万1034円の支払、②Y社の専務であるB2からパワーハラスメントを受けたなどとして、民法709条及び同法715条に基づき、968万2658円の損害賠償金の支払、③労働契約に基づき、平成27年6月3日から平成28年9月29日までの未払割増賃金45万0418円+遅延損害金、④労働基準法114条に基づき、未払割増賃金45万0418円と同額の付加金の支払を各求める事案である。

【裁判所の判断】

Y社はXに対し、18万6501円+遅延損害金を支払え

Xのその余の請求をいずれも棄却する

【判例のポイント】

1 本件パワハラ等の事実を認めることができないのは上記のとおりであるから、本件パワハラ等の事実が存在することを前提とするXの上記供述はにわかに採用することはできない。また、Xは、本件合理的配慮を記載したメモを作成してY社に交付したと述べるが、同メモの存在を裏づける的確な証拠はなく、本件カルテにも、XがY社に本件合理的配慮を要望していたことを窺わせる記載はない上、Xは診断書すらY社に提出しておらず、通院状況や服薬状況について、Y社との間で情報交換をしていたことを窺わせる事情も存在しないことからすれば、XとY社との間で本件合理的配慮を提供することの合意があったと認めることはできず、他にこれを認めるに足りる証拠はない。

2 確かに、Xは、同月5日に行われたY社との話し合いにおいて、労務の提供を申し出ているが、その理由は、XとY社との間で、既に合意されていた平成28年10月20日付の退職を撤回して、引き続き、Y社で勤務し続けたいというものであった。Xは、本件労働契約について、平成28年10月20日付で合意解約するとの申込みをし、Y社は承諾の意思表示をしているため、合意解約は有効に成立している。したがって、Xは、既に合意解約の申込みの意思表示を撤回することができない状況にあったにもかかわらず、一方的に同月20日付退職を撤回するとして労務の提供を申し出たものであることからすれば、Y社において、既に退職が決まっているXに行わせる業務はCへの引継業務以外にはなく、Xの退職の撤回を受け入れることはできないとして、その就労を拒絶したことには合理的な理由があったといえる。また、Y社は、本件口論後のXの言動を踏まえて、Xが同年9月30日付で退職の申込みをしたものと考え、同日付合意退職の扱いにしたものであるところ、本件口論後、XはCへの引継業務を行うことを強く拒絶していたことからすれば、Y社において、本件労働契約が同年9月30日付で合意解約されたものと判断し、そのような処理をしたこともやむを得ないものであったということができる。
以上に照らすと、Xが平成28年10月1日から同月20日までの間、就労不能となったことについて、Y社の責めに帰すべき事由があると認めることはできないから、平成28年10月分の未払賃金請求については、その余の点を判断するまでもなく理由がない。

上記判例のポイント2の経緯は実際にあり得ることです。

微妙な判断が求められる場面ですが、この裁判例を参考にしてください。

ハラスメントについては、注意喚起のために定期的に研修会を行うことが有効です。顧問弁護士に社内研修会を実施してもらいましょう。

本の紹介860 貧乏はお金持ち(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間がんばりましょう。

今日は本の紹介です。
貧乏はお金持ち──「雇われない生き方」で格差社会を逆転する

タイトルだけを読んでもこの本の内容を想像することは困難です。

税や会計に関するレクチャーがたくさん盛り込まれています。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

最近では古いビルやマンションの一角を改装し、レストランや雑貨店をはじめる若いひとたちが増えている。私の住んでいる街でもそんな店がたくさんできたが、ほとんどが数年で力尽きて閉店していく。彼らにアドバイスする立場にはないのだが、いつも残念に思うのは、がんばるだけでは問題は解決しないということだ。彼らにもし、会計や税務・ファイナンスの基礎的な知識(フィナンシャルリテラシー)があれば、無駄な出費や高利の借入でせっかくの挑戦をだいなしにしてしまうこともなかったかもしれない。」(307頁)

会社を経営するにあたり、会計、労務、法務について何の準備もせずに突っ走ってしまうことはよくあることです。

風邪をひいてから体調管理をするということがとても多いわけです。

願わくば、風邪をひかないように体調管理をしてほしいのですが、なかなかそうもいかないのが現実です。

会社が大きくなればなるほど、従業員が増えれば増えるほど、問題が生じる可能性が増していきます。

必要経費と割り切り、会社のブレーンを揃えられるかどうかが分かれ道ですね。

不当労働行為208 工場長が委員長である労組との団交拒否と不当労働行為(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間お疲れ様でした。

今日は、工場長が委員長となっている支部の適法性に疑義があるなどとして、支部の申し入れた夏季一時金等に関する団交に応じなかった会社の対応が不当労働行為とされた事案を見てみましょう。

東部重工業事件(千葉県労委平成30年3月14日・労判1185号91頁)

【事案の概要】

本件は、工場長が委員長となっている支部の適法性に疑義があるなどとして、支部の申し入れた夏季一時金等に関する団交に応じなかった会社の対応が不当労働行為に該当するかが争われた事案である。

【労働委員会の判断】

不当労働行為にあたる。

【命令のポイント】

1 工場長の人事労務に関する権限等について、会社は、工場長には人事権限があり、その内容は、採用、配置、賞与考課など、人事の直接的権限ないし、労働関係に関する機密に接するものである旨主張するが、期末評価実施要領によれば、工場長は、副工場長以下の従業員の一時評価者に位置付けられているものの、その二次評価者として部長がおり、最終評価者は役員会となっている
また、・・・A委員長が採用面接に参加したことや、当時の工場長及び副工場長が部下の賞与考課を行っていることは認められるものの、工場長の判断により、採用や賞与考課が決定されるとの事実を認めるに足りる証拠はない

2 したがって、会社において、工場長は人事に関する事務に従事するものの、決定権限の行使につき補助的・助言的地位を超えて、人事の直接的権限を有しているとまでは認められず、その他、使用者の利益を代表する者として、その参加を認めることによって、労働組合の自主独立性を損なうものとなるような重大な権限や責任を有していたと認めるに足りる事実はない
よって、工場長の職にある者を労組法第2条ただし書第1号に該当する使用者の利益を代表する者と認めることはできない。

上記命令のポイント2の考え方は理解しておく必要があります。

組合との団体交渉や組合員に対する処分等については、まずは事前に顧問弁護士から労組法のルールについてレクチャーを受けることが大切です。決して素人判断で進めないようにしましょう。

本の紹介859 未来の稼ぎ方(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は本の紹介です。
未来の稼ぎ方 ビジネス年表2019-2038 (幻冬舎新書)

最近よく目にする未来の日本について書かれています。

さまざまなデータに基づいて書かれており、参考になります。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

機械が多くの仕事を代行するなか、どうやって生き残ればいいのか。抽象的な話になる。・・・それは、鼓舞すること、心をゆさぶること、驚かせること、感動させること、ドキドキさせること・・・だろう。」(282頁)

うーん・・・。

きっと、鼓舞することも心をゆさぶることも驚かせることも、みんな機械がやってくれるような気がしますが。

今後、どこまで機械がやってくれるようになるのかわかりませんが、機械が代わりにやってくれることはすべて機械にお願いしたいです。

それで今の仕事がなくなったら、またそのとき他の仕事をしますので、別にいいですから。

この本の帯には「その仕事が安定しているのは10年!」と書かれていますが、そもそも仕事に安定なんて求めていないので(笑)

賃金161 固定残業制度が無効と判断される理由とは?(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、給与規定の制定経緯等から定額残業代を無効とした裁判例を見てみましょう。

クルーガーグループ事件(東京地裁平成30年3月16日・労経速2357号3頁)

【事案の概要】

本件は、Y社に雇用されていたXが、Y社に対し、所定時間外労働等をしていた、有給休暇取得時の住宅手当及び家族手当が支払われていない、福利厚生及び家賃控除として控除されているものがあるとして、未払賃金、遅延損害金及び付加金を請求する事案である。

【裁判所の判断】

Y社は、Xに対し、7万0908円+遅延損害金を支払え。

Y社は、Xに対し、903万5125円+遅延損害金を支払え。

Y社は、Xに対し、624万1194円+遅延損害金を支払え。

【判例のポイント】

1 Y社は、みなし残業代は残業代の弁済としての効力を有すると主張する。みなし残業代が弁済としての効力を有するためには、労働契約における基本給等の定めにつき、通常の労働時間の賃金に当たる部分とみなし残業代に当たる部分とを判別することができること(明確区分性)が必要であり、かつ、みなし残業代に当たる部分がそれに対応する労働の対価としての実質を有すること(対価性)が必要と解される。

2 Y社の給与規定の変更経過からすると、平成25年4月1日より前に営業手当として4万8000円支給されていたものが同日から廃止となり、みなし残業代として5万円を支給するようになっているから、実質的に同一のものというべきである。
そして、営業手当は東京月間37時間残業したものとみなすとの記載はあるが、その後のみなし残業代よりも金額が2000円低いにもかかわらず、時間は4.2時間増えているなど、月間37時間とする根拠が不明確である上、営業成績や精勤の程度によって支給されないことがあるとされていたものであるから、残業代以外の趣旨も含んでいたと認められ、残業代とそれ以外の部分が明確に区分されていたとはいえない
同月1日よりみなし残業代を支給するようになってからは、5万円が32.8時間分の残業時間に相当することが定められているが、依然として営業成績が規定のポイントを超えない場合にはみなし残業代が減額されるとの定めがあり、実際に営業成績により減額支給されたこともあったと認められる。
したがって、みなし残業代となってからも、残業代以外の趣旨を含んでいたと認められ、残業代とそれ以外の部分が明確に区分されていたとはいえない。
給与規定の表1には、深夜残業として5万円の記載があり、みなし残業代の記載はない。
そうすると、みなし残業代は全てが深夜残業に対する支払なのか、法定時間外労働に対する支払を含むのか、深夜残業に対する支払としても0.25の割増部分のみなのか、その余の時間外労働に対する支払を含むのか、明確ではない
このことは、管理監督者扱いをしているものに対してもみなし残業代を支払っていることにより、さらに不明確となる。

3 みなし残業代においてみなすこととする時間は32.8時間分とされているが、これは首都圏のものであり、仙台36.5時間、北海道38.6時間と、基本給によりみなすこととする時間を異にしている。
したがって、毎月一定の残業が予想されることからみなし残業代を定めたというよりも、5万円という金額からみなすこととする時間を逆算したものと認められる。
これは、営業手当4万8000円を東京月間37時間、仙台月間40時間、北海道月間42時間残業したものとみなしていたときも同様である。
したがって、基本給の一部を名目的に残業代扱いしたにすぎないことを疑わせる。

4 Y社がXを管理監督者と扱っていたことやY社のみなし残業代に残業代の弁済としての効力を認めることはできないこと、証人Eは、Y社は以前支店長より下位の主任、統括マネージャーについても管理監督者扱いしていたところ、労働基準監督署からの指導を受けて支店長以上を管理監督者扱いするように変更したと供述するが、その時期、指導の経緯・内容等は明らかではないこと、付加金は裁判所がその支払を命ずるまで(訴訟手続上は事実審の口頭弁論終結時まで)に使用者が未払割増賃金の支払を完了しその義務違反の状況が消滅したときには、裁判所は付加金の支払を命ずることができなくなると解されることなどからすれば、未払額と同一額の付加金を命じるのが相当である。

固定残業制度に関する要件論が落ち着いてきたにもかかわらず、いまだに多くの会社で要件を満たさない固定残業制度を運用しているのを目にします。

モッタイナイ!

ちゃんと運用しないと、単に残業代計算の際に基礎賃金を上げてしまうだけですから。

残業代請求訴訟は今後も増加しておくことは明白です。素人判断でいろんな制度を運用しますと、後でえらいことになります。必ず顧問弁護士に相談をしながら対応しましょう。

本の紹介858 「週4時間」だけ働く。(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間がんばりましょう。

今日は、本の紹介です。
「週4時間」だけ働く。

この仕事をしている限り、不可能です(笑)

「1日4時間」もほとんど不可能です。

もっとも、ライフスタイルを変えるための工夫がたくさん書かれています。

できるかどうかはさておき。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

ここに、心に刻んでおきたい2つの真理がある。
1 どうでもいいことをうまくやっても、それが重要になるわけではない
2 多くの時間を必要としても、その仕事が重要になるわけではない
今この瞬間から、覚えておいてほしいことがある。何をやるかは、どうやってやるかより、はるかに重要である。効率性は重要だが、それを正しい対象に対して行わない限り役に立たない。
」(111~112頁)

そのとおり。

やる必要のないことをいかに効率よくやったところで、成果にはつながりません。

これは仕事も勉強も同じこと。

その見極めができる人は、どんどん成果を上げますが、これが下手な人は努力をしているわりに成果がなかなか出ません。

努力の方向性が正しいのか常に検証する必要があります。

労働時間53 残業承認制度と使用者の黙示の指揮命令(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間お疲れ様でした。

今日は、残業承認制度を採用していた会社において承認のない時間の労働時間性が肯定された事案を見てみましょう。

クロスインデックス事件(東京地裁平成30年3月28日・労経速2357号14頁)

【事案の概要】

本件は、Y社との間で雇用契約を締結し、通訳・翻訳のコーディネーターとして勤務していたXが、Y社は労働基準法所定の割増賃金を支払っていないなどと主張して、Y社に対し、割増賃金+付加金+遅延損害金の支払を求める事案である。

【裁判所の判断】

Y社はXに対し、80万6988円+遅延損害金を支払え

Y社はXに対し、付加金40万円+遅延損害金を支払え

【判例のポイント】

1 このように、Y社がXに対して所定労働時間内にその業務を終了させることが困難な業務量の業務を行わせ、Xの時間外労働が常態化していたことからすると、本件係争時間のうちXがY社の業務を行っていたと認められる時間については、残業承認制度に従い、Xが事前に残業を申請し、Y社代表者がこれを承認したか否かにかかわらず、少なくともY社の黙示の指示に基づき就業し、その指揮命令下に置かれていたと認めるのが相当であり、割増賃金支払の対象となる労働時間に当たるというべきである。

2 Y社においては、Xを含む従業員がやむを得ずY社承認時刻以降に残業を行うにしても、残業承認制度により割増賃金が支給されないため、可能な限り速やかに終了したいと考えるのが自然である。そして、Xは始業時間から業務メール送信時刻まで継続的に一定量のメールを送信し続けるなどしており、Y社がその可能性を指摘するY社代表者退社後の外出や睡眠といった事実を認めるに足りる証拠もない(なお、Xが本件係争時間中にパソコン画面上の送信メール記録を写真撮影していたことを認めるに足りる証拠はないが、仮に同時間中に写真撮影を行っていたとしても、後記の休憩時間に含まれるといえる。)からすると、本件係争時間については、基本的にその全ての時間においてY社の業務を行っていたものと認めるのが相当である。

特に新しい判断ではありませんが、上記判例のポイント1については使用者は理解をしておかなければなりません。

労働時間に関する考え方は、裁判例をよく知っておかないとあとでえらいことになります。事前に必ず顧問弁護士に相談することをおすすめいたします。

本の紹介857 やらないこと戦略(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は本の紹介です。
やらないこと戦略 最大限にクリエイティビティを上げる時間管理術

サブタイトルは、「最大限にクリエイティビティを上げる時間管理術」です。

やるべきことに時間を割くためには、多くの無駄で本来やる必要のないことをやらないと決めることが大切です。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

クリエイティブな人はアイデアを持っている。だから『クリエイティブ』と呼ばれている。人とは違った視点でこの世界を見ていて、ひっきりなしにアイデアが思いつく。・・・だが、そこが私たちの抱えている問題の核心でもある。アイデアはたくさんあるのに、それを実行する時間が足りないのだ。・・・とにかくアイデアをすべて実行するには時間が足りない。時間はくれぐれも有効に使うことだ。」(11頁)

同じことを思っている人は多いと思います。

いろいろアイデアは浮かんでくるんだけれど、それらを形にする時間がない。

最も必要なのは時間なのです。

アイデアを形にする時間をどう捻出するか。 ただそれだけです。

一番手っ取り早いのは、他の人に依頼をするという方法です。

何から何まで自分ひとりでやるほど人生は長くありません。

常に時間をお金で買うという発想を持って事に臨みましょう。

解雇282 唯一の事業の廃止に伴う整理解雇(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、唯一の事業の廃止に伴う整理解雇が有効とされた事案を見てみましょう。

新井鉄工所事件(東京地裁平成30年3月29日・労経速2357号22頁)

【事案の概要】

本件は、Y社に雇用されていたXらが、Y社の主要な事業である油井管製造事業の廃止に伴って解雇されたことが解雇権の濫用に当たり労働契約法16条により無効であるとして、労働契約に基づき、労働契約上の権利を有する地位にあることの確認、解雇後の賃金+遅延損害金の支払を求める事案である。

【裁判所の判断】

解雇は有効

【判例のポイント】

1 まず、解雇回避努力義務として、配転の余地があったかについてみるに、Y社は、Y3等の所有不動産の管理について専門の不動産管理会社に委託しており、Y社内部では経理担当の1名がその関連事業に従事しているのみであって、もともとY社において何らの部門もそれに従事する人員も存しなかったものであるから、Y社において、不動産の賃貸をその事業として行っていたといえるにしても、これについて更に人員を配置する余地はなかったというべきであるし、専門の業者に対する不動産管理業務の委託を止め、不動産の管理を行う部門を創設するなどして、Xらを配転する義務を負っていたともいえないというべきである。
また、Y社の関連会社についても、同様に不動産事業部門に配置する余地はない上、油井管製造事業からの撤退により、同事業に従事させる可能性も失われたものであるから、Xらを転籍等させる余地はなかったというべきである。

2 被解雇者の選定については、事業撤退の判断が経営判断として合理的であり、他の事業部門等への配転可能性がない以上、油井管製造事業に従事していた従業員全員のうち希望退職に応じない者全てがその対象となるのは当然であるから、この点は本件解雇の効力を左右しない。

3 Y社は、油井管製造事業から撤退することを決定した後、平成27年12月11日から21回にわたってXらの所属する組合と団体交渉を行い、事業撤退に至る経緯について、組合の求める資料の開示に応じながら説明を重ねてきたものであり、交渉経過をみてもその交渉態度に不誠実な点は見当たらず、Y社が全従業員に対する希望退職募集を開始した時期も含めて、Xらに対する説明等が不相当であったことを基礎付ける事実を認めるに足りる証拠はない。

4 以上によれば、Y社が油井管製造事業からの撤退を決断したことはやむを得なかったというべきであって、これに伴う人員削減の必要性は高度なものであり、解雇回避努力義務という面でも、Xらについて配転可能性等他業務に従事させる余地はなく、特別退職金の支給や就職支援サービスの利用など、解雇によりXらに与える不利益を緩和する措置も採られており、被解雇者選定の面での問題もない上、Y社が組合に対し資料を開示して上記事業撤退の経緯、必要性を説明するとともに、退職に伴う条件提示を行ってきたものであるから、手続面でも問題は認められない。したがって、本件解雇は、客観的に合理的理由があり、かつ社会通念上も相当と認められるものであって有効であるから、それが無効であることを前提とするXらの請求はいずれも理由がない。

唯一の事業を廃止するときであっても、上記判例のポイントのとおり、手続をしっかり踏むことが求められます。

拙速な対応をしてしまうと、整理解雇が無効と判断されることもありますのでご注意ください。

解雇を選択する前には必ず顧問弁護士に相談の上、慎重かつ適切に対応することが肝心です。決して、素人判断で進めないようにしましょう。