本の紹介2073 ザ・ビリオネア・テンプレート#2(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も1週間お疲れさまでした。

今日は、本の紹介です。

今から6年前に紹介した本ですが、再度、読み返してみました。

帯には「『億』を稼ぎ、お金に不自由ない人生を手に入れろ!」と書かれています。

テクニックではなく、マインドの問題であることがよくわかります。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

マインドセットが、物事の成否の8割を決めます。マインドセットさえできていれば、仕事でも恋愛でもスポーツでも、8割は成功するといえます。・・・ひと握りの人しか成功しないのは、マインドセットの重要性を、ひと握りの人しか理解していないからともいえます。」(24頁)

1つの分水嶺は、この文章を読んで腑に落ちるか否か、です。

マインドセットこそが肝なのです。

綺麗事ではなく真実です。

何をやってもだいたいうまくいく人は、このマインドセットがとても上手です。

テクニックでもIQでもなく、マインドの問題です。

解雇403 配転命令に従わず19日間連続で欠勤した警備員の懲戒解雇が有効とされた事案(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、配転命令に従わず19日間連続で欠勤した警備員の懲戒解雇が有効とされた事案を見ていきましょう。

ティー・オーオー事件(東京地裁令和5年2月16日・労経速2531号35頁)

【事案の概要】

本件は、Y社と雇用契約を締結し警備員として勤務していたXが、Y社から令和3年4月5日付けで配転命令を受けたこと、同年5月7日付けで懲戒解雇されたことに関し、本件配転命令及び本件解雇がいずれも無効である旨主張して、Y社に対し、①雇用契約上の権利を有する地位にあることの確認、②本件雇用契約に基づき本件配転命令以降(令和3年4月1日から本判決確定の日まで)の賃金月額40万4868円+遅延損害金の支払、③本件雇用契約に基づき業績一時金1万8000円(令和3年9月から本判決確定の日まで毎年7月及び12月)+遅延損害金の支払をそれぞれ求めた事案である。

【裁判所の判断】

請求棄却

【判例のポイント】

1 Xは、有効な本件配転命令を拒否し、正当な理由なく令和4年4月16日から同年5月7日までの22日間、勤務シフト上の労働日としては19日間連続で欠勤したものということができる。
雇用契約においては、出勤して労務を提供するということが最も基本的かつ重要な債務であるから、Xは重大な債務不履行をしたというべきであり、これにより、Y社が代替要員の確保に奔走するなど迷惑を被ったことは当然であり、企業秩序を著しく害する行為であるといえる。その期間についても、勤務シフト上の労働日単位で見ても19日連続というように長期間であるし、Xは、Y社から書面による警告を受けながらも、Y社に対し、自宅待機にした上で休業手当を支払うように要求していたことなどから、本件解雇をせずとも、その後、欠勤を続けていた可能性が極めて高いというべきである
したがって、Xは、少なくとも、就業規則43条2号(出勤常ならず改善の見込みのないとき)、7号(第16条から第21条まで、又は第36条、第37条、第53条の規定に違反した場合であって、その事案が重篤なとき)及び9号(その他前各項に準ずる程度の不都合な行為を行ったとき)の懲戒解雇事由に該当するといえる。また、本件解雇は、懲戒解雇として、客観的に合理的な理由を有するということができる。

2 Xは、本件配転命令を拒否し、正当な理由なく令和4年4月16日から同年5月7日までの22日間、勤務シフト上の労働日としては19日間連続で欠勤しており、長期間にわたり重大な債務不履行をしたものといえる。また、Y社は、本件解雇に先立ち、Xに対し、2度書面で出勤を命じるとともに従わない場合は処分する旨の警告をしており、手続的にも適正である
他方で、Xは、Y社が本件配転命令を撤回したり配転先を再度検討したりする旨を一度も述べていないにもかかわらず、Y社に対し、自宅待機にした上で休業手当を支払うように要求しており、働かずして支払を受けることを画策していたと思われるし、Y社が新しい配転先を検討している間自宅待機になった旨通知書に虚偽の記載をするなど、自身の要求を押し通そうとする姿勢が顕著であり、情状面も悪い。Xは、本件解雇をされなくても、その後、欠勤を続けていた可能性が極めて高いというべきである。
したがって、本件解雇は、懲戒解雇として、社会通念上相当であると認められる。

配転命令拒否を理由とする解雇の事案においては、前提となる配転命令の有効性がまずは判断され、仮に有効であると判断された場合には、かかる命令に反したことを理由とする解雇の相当性が問題となります。

日頃の労務管理が勝敗を決します。日頃から顧問弁護士に相談することが大切です。

本の紹介2072 それでも僕は夢を見る(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、本の紹介です。

鉄拳さんによるまんが形式になっています。

夢をかなえることよりも大切なことがある、というメッセージです。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

私は、これまでずっと、夢をかなえることができたら、自分の人生が輝くと思っていました。そして、夢をかなえていない私の人生は、何の輝きもない、つまらない人生だと思っていました。でも、それは間違っていました。

これは夢をかなえた人の多くが感じることだと思います。

ゴールに辿りついた達成感ももちろん素晴らしいですが、そこに辿り着くまでの過程こそが楽しいのです。

人生は旅行や山登りと同じで、目的地に到着するまでの過程を楽しむものです。

何かを手に入れてしまったときの満足感は一時的なものです。

振り返れば、そこまでの道のりこそがエキサイティングで充実していたことがわかるはずです。

配転・出向・転籍55 一審判決を変更し、人事管理の目的での配転命令が有効とされた事案(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、一審判決を変更し、人事管理の目的での配転命令が有効とされた事案を見ていきましょう。

社会福祉法人秀峰会事件(東京高裁令和5年8月31日・労経速2531号3頁)

【事案の概要】

本件は、社会福祉法人であるY社との間で雇用契約を締結し理学療法士として稼働していたXが、Xの法人本部に新設された部門(新部門)に異動する旨の配転命令は、権利の濫用になり無効であるとともに、不法行為に該当するなどと主張して、Y社に対し、①本件雇用契約に基づき、XがY社法人本部に勤務する雇用契約上の義務を負わないことの確認を求め、さらに、②不法行為に基づき、慰謝料200万円+遅延損害金の支払を求める事案である。

原審は、本件配転命令がY社の裁量権を逸脱するもので、権利の濫用となり無効であり、不法行為に該当するとして、上記①の請求を認容し、同②の請求については、慰謝料50万円+遅延損害金の支払を認める限度で認容してその余の請求を棄却したところ、Y社がこれを不服として控訴をした。

【裁判所の判断】

原判決中Y社敗訴部分を取り消す。

上記部分につき、Xの請求をいずれも棄却する。

【判例のポイント】

1 Y社において新部門を設立し、Xを新部門に配置する業務上の必要性の有無に関して検討する。Y社において、産業理学療法の知見を取り入れて、職員の就業に関連する健康増進や労働災害等の予防を目的とする取組を実施する企業運営上の必要性は十分に肯定できる。そして、Xの勤務状況等に照らせば、本件施設を含む小規模な各事業所にXを継続して配置することは周囲の職員や利用者のために不適当であるが、その一方で、理学療法士の資格を有し長年の実務経験もあるXは本件取組には適していると判断したことが認められる
そして、労働力の適正配置や業務運営の円滑化など企業の合理的運営に寄与する点が認められる限りは、配転命令に関する業務上の必要性が肯定され(東亜ペイント事件最高裁判決)、人事管理目的での人員配置をすることも、これが濫用にならない限り、企業の合理的運営として許容されると解される。そうであれば、本件取組を実施することにつき企業運営上の必要性は十分に肯定でき、かつ、Xを適正に配置する観点から、人財部の業務の一部を切り離してこれを担わせる部門を新設し、同部門に、理学療法士の資格を有するXを配置して、本件取組を実施させることも、Y社における企業運営及び人事管理の必要性が肯定される

2 XとY社との間で職種限定の合意がない中で、かかるXの主張する上記諸点を不利益と捉えるのは、職種限定の合意があることと同様の結果となりかねないため、Xの主張をそのまま受け入れることは相当でない。
また、Y社においては、Xと同じく理学療法士の資格を有する正職員97名について、職種限定ないし勤務地限定の特約を締結して雇用する者はいないこと等に照らせば、Xの主張する上記不利益は、いずれも主観的な不利益の域にとどまるもので、これをもって労働者が通常甘受すべき程度を著しく超える不利益であるということはできない

一審と二審で判断が大きく異なっています。

いかに担当裁判官の評価に依拠しているのかがよくわかります。

配転命令を行う場合には、事前に顧問弁護士に相談することをおすすめいたします。

本の紹介2071 これからの世界をつくる仲間たちへ#2(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間がんばりましょう。

今日は本の紹介です。

今から7年前に紹介した本ですが、再度、読み返してみました。

「これからの時代」をどう生きていくのかが書かれています。

7年前の本ですが、今読んでも遜色ありません。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

自分の幸福感を明確にするには、仕事に対する考え方を最初に整理しておくべきでしょう。要するに、問題解決という行為そのものが幸福なのか、仕事以外の余暇が幸福なのかということです。」(165頁)

仕事もプライベートも両方とも幸せであるのがベストであることは言うまでもありません。

自由に自分が好きなように仕事をし、プライベートな時間も過ごせる。

このバランスを維持することが、私の幸せです。

まさにノーストレスな状態。

どれだけ経済的に豊かになっても、さまざまなことに制約があり不自由を感じるのであれば、幸福度はそれほど高くありません。

それゆえ、いかにして経済的・精神的「自由」を手に入れ、そのバランスを維持できるかが極めて重要なのです。

賃金274 免許取得のための教習費用相当額貸付け制度が労基法16条に違反しないとされた事案(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も1週間お疲れさまでした。

今日は、免許取得のための教習費用相当額貸付け制度が労基法16条に違反しないとされた事案を見ていきましょう。

東急トランセ事件(さいたま地裁令和5年3月1日判決・労経速2513号25頁)

【事案の概要】

本件第1事件は、Y社が、Y社の従業員であったXに対し、消費貸借契約に基づき、貸金31万0800円+遅延損害金の支払を求める事案である。

本件第2事件は、Xが、Y社で就労中、上司らから、退職強要、パワハラ、不当な減給等を受けたために、精神的苦痛を受け、退職や離婚を余儀なくされたなどと主張して、不法行為(使用者責任)に基づく損害賠償として、民法709条、715条1項に基づき、損害合計1882万円の支払を求める事案である。

【裁判所の判断】

1 Xは、Y社に対し、31万0800円+遅延損害金を支払え。

2
 Xの請求を棄却する。

【判例のポイント】

1 Xは、本件消費貸借契約の契約書は、必ず提出するよう言われ、書くことを強要されたもので、自由な意思ではないから無効である旨主張する。
しかしながら、入社経緯に加え、そもそも、教習所の費用については、一般に、借り入れしなくても支払う選択肢もあり得るのであること、本件消費貸借契約には利息の定めもなく、Y社がかかる契約を強制するメリットも考えられないことに照らすと、Xが、本件消費貸借契約書の契約書について、記載を強要されたものと認めることはできない。

2 本件においては、本件消費貸借契約は、労働契約の履行、不履行とは無関係に定められており、単に労働した場合には返還義務を免除するとされている規定である。加えて、確かに、大型二種免許は、Y社のバス運転士としての業務に不可欠の資格であるが、国家資格として、X本人に付与される資格であり、他の業務にも利用できること(なお、Xは、後に交通事故に遭い、資格を生かすことができない旨主張するが、かかる事後的な事情が本件消費貸借契約の有効性に影響を与えるものではない。)、X自身も、Y社の養成制度を理解した上で本件消費貸借契約を締結したものと認められること、その金額も、31万0800円とXの月額給与二か月分程度であることなどに照らせば、本件消費貸借契約が、Xの自由意思を不当に拘束し、労働関係の継続を強要するものということはできない。
以上によれば、本件消費貸借契約は、Y社がXに対して貸付をしたものとして、本来労働契約とは別に返済すべきでものであるが、一定期間労働した場合に、返還義務を免除する特約を付したものと解するのが相当であって、労働契約の不履行に対する違約金ないし損害賠償額の予定であると解釈することはできない。

この種の事件は比較的多く発生していますので、ポイントをしっかりと押さえてください。

日頃から顧問弁護士に相談の上、適切に労務管理をすることが肝要です。

本の紹介2070 はしゃぎながら夢をかなえる世界一簡単な法#2(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、本の紹介です。

今から6年前に紹介した本ですが、再度、読み返してみました。

限られた人生をいかに楽しく生きていくかということを真剣に考える本です。

どのように生きたって人生はあっという間に終わってしまいます。

好きなように生きればいいのです。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

嫌な人に気に入られるためにすごくエネルギーを使って、本当に共感してくれている人に少ししかエネルギーが使えないのは、どこか間違っています。エネルギーを注ぐ対象を絞ったほうがずっとラクになれます。そうすれば『本当にそれがいい』と共感してくれるいいお客さんだけが来てくれるようになります。」(223頁)

全く同感です。

つまり、万人から好かれようとしない、ということです。

これは、仕事でもプライベートでも、本当に大切な考え方です。

嫌われること、非難されることを過度に恐れるあまり、どんどんストレスが溜まっていくのです。

大丈夫です。万人から好かれなくても生きていきますので。

労働時間100 就業規則に記載がない勤務シフトの使用を理由に、変形労働時間制の適用が無効と判断した一審判決が維持された事案(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、就業規則に記載がない勤務シフトの使用を理由に、変形労働時間制の適用が無効と判断した一審判決が維持された事案を見ていきましょう。

日本マクドナルド事件(名古屋高裁令和5年6月22日・労経速2531号27頁)

【事案の概要】

本件は、Y社との間で労働契約を締結していたXが、Y社に対し、
①Y社が、XとY社との労働契約が平成31年2月10日付け退職条件通知書兼退職同意書による合意解約により終了したと主張するのに対し、雇用契約上の権利を有する地位にあることの確認、
②主位的に退職の意思表示が無効であることを理由とする労働契約に基づく賃金請求として、予備的に違法な退職強要があったことを理由とする不法行為又は債務不履行(安全配慮義務違反)に基づく損害賠償請求として、退職日の翌日である令和元年5月1日から本判決確定の日まで、毎月末日限り45万4620円+遅延損害金の支払、
③時間外労働を行ったと主張して、労働契約に基づき平成29年3月13日から平成31年2月12日までの未払割増賃金合計486万0659円の一部である61万0134円+遅延損害金の支払、
④付加金+遅延損害金の支払
⑤(ア)Y社における業務や違法な退職強要等により労作性狭心症及びうつ病を発病したことを理由とする不法行為又は債務不履行(安全配慮義務違反)に基づく損害賠償請求若しくは(イ)上司らによるパワーハラスメント等により人格的利益を侵害されたことを理由とする使用者責任(民715条)に基づく損害賠償請求として、慰謝料500万円の一部である200万円+遅延損害金の支払
を求める事案である。

【裁判所の判断】

控訴棄却

【判例のポイント】

1 変形労働時間制の有効性について
当裁判所の判断は、原判決41頁10行目から42頁16行目までに記載のとおりであるから、これを引用する。
したがって、Y社の定める変形時間労働制は無効であるから、本件において適用されない。

第1審判決は、こちらをご覧ください。

そういうことのようです。

多くの事案で変形労働時間制の適用が無効と判断されています。

有効要件をしっかりと満たしているかを専門家にチェックしてもらうことをおすすめします。

日頃の労務管理が勝敗を決します。日頃から顧問弁護士に相談することが大切です。

本の紹介2069 2030 未来のビジネススキル19(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、本の紹介です。

タイトルのとおりの内容です。

この19のスキルは、決して近未来で活躍するためだけに必要なものではなく、これまでもずっと必要とされてきたであろうものです。

今後はより必要とされるスキルであることは言うまでもありません。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

メンバーシップ型雇用では新入社員は同じ額の給料から一斉にスタートしますが、ジョブ型雇用の場合は入社した段階から専門的な能力に応じて給料の額に倍以上の差がつけられることも珍しくありません。つまり、世の中は完全に能力主義に向かっているんです。ですから、各人は能力を高めなければ仕事に就けなくなるし、高い給料ももらえなくなるわけです。この変化に対応するのは、自らの能力を高めるための投資をする必要があります。」(322頁)

ほらね。

自己投資の重要性については、昨日今日言われ始めたことではなく、もうかなり前から言われ続けていることです。

やっている人は、ずっと前から当たり前のようにやっています。

自らの商品価値を高める努力を続けなければ、顧客から選ばれなくなってしまいます。

人が寝ているとき、休んでいるとき、遊んでいるときにいかに準備をし続けるのか。

ただそれだけの話です。

労働時間99 研修医のオンコール待機時間等の労働時間該当性(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も1週間がんばりましょう。

今日は、研修医のオンコール待機時間等の労働時間該当性について見ていきましょう。

医療法人社団誠馨会事件(千葉地裁令和5年2月22日・労判1295号24頁)

【事案の概要】

本件は、Y社が開設する病院において後期研修医として勤務していたXが、Y社に対し、①雇用契約又は労働基準法37条1項及び同条4項に基づき、①未払の割増賃金658万2125円+遅延損害金、②付加金+遅延損害金、③上級医によるパワーハラスメントのために適応障害を発症し退職を余儀なくされ損害を被ったと主張して、安全配慮義務の違反による損害賠償請求権に基づき、703万9522円+遅延損害金の支払を求めた事案である。

【裁判所の判断】

Y社はXに対し、503万3005円+遅延損害金を支払え。

Y社はXに対し、付加金322万0483円+遅延損害金を支払え。

Y社はXに対し、233万9522円+遅延損害金を支払え。

【判例のポイント】

1 本件契約では、年俸922万8000円を12等分割(月額基本給76万9000円)にて支給する、原則として日直・当直などを行った場合は、別途規程により加算されるが、臨時日・当直及び時間外手当、早出、呼出、待機、手術手当等の手当については本給に含まれるとの合意がされたにとどまり、固定残業代額の明示はなく、また、Y社が、Xに対し、本件契約締結の際、基本給のうち20万4000円を固定残業代として支払う趣旨であるとの説明をしたとの的確な証拠もない。そうすると、Xが、月額基本給のうち時間外労働に対する対価がいくらかであるかを判別できたとはいえないから、上記合意は無効である。

2 オンコール当番医は、本件病院外においては、緊急性の比較的高い業務に限り短時間の対応が求められていたに過ぎないものであり、Xについても、これを求められる頻度もさほど多くないものと認められる。そうすると、本件病院外でのオンコール待機時間は、いつ着信があるかわからない点等において精神的な緊張を与えるほか、待機場所がある程度制約されているとはいえるものの、労働からの解放が保障されていなかったとまで評価することはできない

3 本件病院に出勤して勤務した時間は、別紙5の「病院側試算」欄の「オンコール対応」欄記載のとおりであり、その時間が労働時間であると認められる。

上記判例のポイント2の判断は、最高裁の考え方に沿うものですが、なぜこのような事情があると労働から解放されていると評価できるのか、いまだによくわかりません。

日頃の労務管理が勝敗を決します。日頃から顧問弁護士に相談することが大切です。