賃金126 完全歩合制の賃金と労基法27条(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、完全歩合制の賃金と労働条件の合意の成立に関する裁判例を見てみましょう。

テクノサイエンス事件(大阪地裁平成28年9月29日・労判ジャーナル58号41頁)

【事案の概要】

本件は、Y社の元従業員Xが、賃金の未払いがあるとして、その支払いを求めた事案である。

【裁判所の判断】

Y社はXに140万円を支払え

【判例のポイント】

1 Y社は、平成27年9月、Xを契約社員とすること、賃金は完全歩合制とし、会社利益の30%を報酬として支払うことでX・Y社間で合意が成立したと主張するが、Xは合意の成立を否定する供述をしており、かかるXの供述に照らしても、当該合意の存在を認めることはできないうえ、賃金を完全歩合制とする合意は労基法27条に違反するから、この観点からも当該合意について法的効果を認め難いといわざるを得ず、労働契約の変更には、当事者双方の合意が必要であるところ(労契法8条)、かかる合意があったとは認められず、Y社はXに対し、平成27年10月以降も賃金として月額35万円の支払義務を負う。

労基法27条では以下のとおり規定されています。

出来高払制その他の請負制で使用する労働者については、使用者は、労働時間に応じ一定額の賃金の保障をしなければならない。

一定額は、当然最低賃金を上回っている必要があります。

日頃から顧問弁護士に相談しながら適切に労務管理を行うことが大切です。

本の紹介651 自分を高く売る技術(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は本の紹介です。
自分を高く売る技術 〜なぜ「値上げ」をしてもお客さまが離れないのか?

集客のためには「値下げ」ではなく「値上げ」すべきだと説いています。

自分が提供できるサービスの価値に応じて判断すればよいと思います。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

・・・メンターにかわいがられるという意味でも、素直であることは大事なことなのです。
もちろん、メンターの言うことに疑問を感じることもあるでしょう。自分の価値観や考え方で判断したくなるときもあるでしょう。しかし、これまでその価値観、考え方でやってきたからうまくいっていないのだから、いったんその価値観、考え方を封印して、素直にメンターの言うことにしたがってみるのもいいのではないでしょうか。まずは言われたとおりにやってみる。」(79~80頁)

素直じゃないのにメンターなんて求めてはいけませんよ(笑)

自分の思い通りにやりたいなら、そもそもメンターなんて必要ありませんから。

教えを乞う以上、すべては「はい。」ですよ。

メンターの下にいるうちは、清濁併せ呑む覚悟を持つことです。

成功している人、うまくいっている人は必ずその理由があります。

一部を真似するのではなく、全てを受け入れることがメンティーには求められているのだと思います。

労働災害90 見舞金支払請求権の遅延損害金の利率(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間がんばりましょう。

今日は、うつ病に罹患し休職後解雇された元従業員からの損害賠償請求等に関する裁判例を見てみましょう。

東芝事件(東京高裁平成28年8月31日・労経速2298号3頁)

【事案の概要】

本件は、Y社の従業員であったXが、鬱病に罹患して休職し、休職期間満了後にY社から解雇されたことにつき、上記鬱病はY社における過重な業務に起因するものであるから、上記解雇は労働基準法19条1項本文等に違反する無効なものであると主張して、Y社に対し、安全配慮義務違反等による債務不履行又は不法行為に基づく損害賠償請求としての休業損害や慰謝料等の支払及びY社の会社規程に基づく見舞金等の支払を求める事案である。

【裁判所の判断】

1(損害賠償・休業損害を除いた慰謝料等)
Y社は、Xに対し、603万4000円+遅延損害金(年5分)を支払え。
2(損害賠償・休業損害)
Y社は、Xに対し、5186万0526円+遅延損害金(年5分)を支払え。
3(同上)
Y社は、Xに対し、平成28年6月25日から本判決確定の日まで、毎月25日限り月額47万3831円+遅延損害金(年5分)を支払え。
4(見舞金)
Y社は、Xに対し、160万円+遅延損害金(年5分)を支払え。

【判例のポイント】

1 見舞金支払請求権の遅延損害金の利率について検討すると、上記見舞金を規定している本件見舞金規程は、社員の業務上の傷病に対する見舞金、社員の住居の被災に対する災害見舞金及び社員又はその家族の死亡に対する弔慰金について定めることを目的として制定されたものであり(1条)、また、見舞金は、同規定の定める要件を満たした場合に社員に対して贈与するものされていること(3条(1),4条1項)が認められる。
このような本件見舞金規程の目的や見舞金の性質等に照らすと、同規程に基づく見舞金支払債務が商法514条の「商行為によって生じた債務」に該当すると解することはできないから、見舞金支払請求権の遅延損害金の利率について,同条の適用はないことになる。

2 労災保険法に基づく休業補償給付は、労働者が業務上の事由等による負傷又は疾病により労働することができないために受けることができない賃金を填補するために支給されるものであるから(1条、14条)、填補の対象となる損害と同性質であり、かつ、相互補完性を有する関係にある休業損害の元本との間で損益相殺的な調整を行うべきであるが、休業損害に対する遅延損害金に係る債権は、飽くまでも債務者の履行遅滞を理由とする損害賠償債権であって、遅延損害金を債務者に支払わせることとしている目的は、休業補償給付の目的とは明らかに異なるものであるから、休業補償給付による填補の対象となる損害が、遅延損害金と同性質であるということも、相互補完性があるということもできない。したがって、遅延損害金との間で損益相殺的な調整を行うことは相当ではないというべきである(最高裁判所平成22年9月13日第1小法廷判決・民集64巻6号1626頁,前掲最高裁判所平成27年3月4日大法廷判参照)。
また、休業補償給付は、填補の対象となる損害が現実化する都度ないし現実化するのに対応して定期的に支給されることが予定されていることなどを考慮すると、制度の予定するところと異なってその支給が著しく遅滞するなどの特段の事情のない限り、その填補の対象となる損害はそれが発生した時、すなわち、本件でいえば、各月分の休業損害について、これが発生する翌月25日に填補されたものと法的に評価して損益相殺的な調整をすることが公平の見地からみて相当であるというべきである(上記各判決参照)。

非常にマニアックな論点ですが、実務においては知っておかなければいけません。

労災発生時には、顧問弁護士に速やかに相談することが大切です。

本の紹介650 電通マン36人に教わった36通りの「鬼」気くばり(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。今週も一週間お疲れさまでした。

今日は本の紹介です。
電通マン36人に教わった36通りの「鬼」気くばり (講談社+α文庫)

タイトル通り、「鬼」気くばりが紹介されています。

すぐに真似できることからここまではできないな、と思うことまでいろいろ紹介されています。

仕事ができる人の「気くばり」「配慮」を学ぶことはとてもいいことです。

おすすめです。

『義理』とは、言い換えれば『借り』のことだ。日本のビジネス社会は、『貸し』『借り』を基軸通貨として、ものごとが回っていた。『借り』に鈍感なヤツは相手にされないし、『借り』を返さないヤツには仕事は回って来ない。だから、何かにつけて相手に小さな『貸し』を作っておいて、その『貸し』を貯めて、どこかでまとめて返してもらう。それが日本の商慣習の基本であることに、会社に入って4~5年経ってから気がついた。」(35頁)

こういうことをちゃんと先輩から教えてもらえた人はとても幸せです。

このことを学ばずに年齢を重ねてしまうと相手にされなくなってしまいます。

仕事ができる人を見ているとほとんど例外なくこういうことがちゃんとできています。

見城社長の言葉を借りるならば、「GNO」が大切だということです。

解雇225 妊娠通知後になされた解雇の有効性(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、妊娠通知後になされた解雇の有効性に関する裁判例を見てみましょう。

ネギシ事件(東京地裁平成28年3月22日・労判1145号130頁)

【事案の概要】

本件は、Xが、Y社がしたXに対する解雇の意思表示は無効である旨主張し、Y社に対し、雇用契約上の地位を有することの確認、同地位を前提とした賃金及びこれらの遅延損害金の支払を求める事案である。

【裁判所の判断】

解雇無効

【判例のポイント】

1 以上のとおり、Y社が解雇理由として指摘する事実は、その事実が認められないか、あるいは、有効な解雇理由にならないものであるから、Xに対する注意・指導に関するY社の主張はその前提を欠く。
Xが就業規則40条3号、5号に該当するとは認められず、そうすると、仮に、Y社主張のとおり、本件解雇が原告の妊娠を理由としたものでないとしても、本件解雇には、客観的な合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められず、解雇権を濫用したものとして、無効である(労働契約法16条)。
よって、その余の点について判断するまでもなく、本件雇用契約の終了は認められず、Xは現在でもY社に対して雇用契約上の権利を有する地位にあり、平成26年10月以降もXはY社に対する月額21万円の賃金請求権を有する。

マタハラ事案のように見えて、そもそも解雇理由がないので、マタハラ特有の論点に入ることなく無効だと判断されています。

解雇を選択する前には必ず顧問弁護士に相談の上、慎重かつ適切に対応することが肝心です。決して、素人判断で進めないようにしましょう。

本の紹介649 仕事のヒント(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 

今日は本の紹介です。
仕事のヒント (中経の文庫)

神田昌典さんの本です。

仕事をする上で、どの様な点に着目すればうまくいくのか、ヒントがたくさん書かれています。

とてもいい本です。

おすすめです。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

いまの時代、お客は商品自体に対する欲求ではなく『自分の重要性を認められたい』『大切にされたい』という欲求を満たすために消費する。例を挙げれば、行きつけの居酒屋では、『いらっしゃい!』というのと、『あっ、いらっしゃい!』というのとでは、後者のほうがお客に喜ばれ、お客が定着しやすい。なぜなら、自分がお得意さんであることを覚えていてくれたからである。あなたの会社では『あっ、』の部分をお客に感じさせるために、どんな工夫ができるだろう?」(19頁)

とてもわかりやすい例ですね(笑)さすがです!

「あっ、」にあたる部分が自分の仕事では何にあたるのか。

こういうことって、ある日突然できるようにはなりませんよね。

日頃から繁盛しているお店に行って、観察してみるといいですね。

たまたま繁盛しているということはありません。

必ず理由があって、お客さんがリピーターになっているのです。

そこで見つけた「あっ、」を自分の仕事に応用するというくせを身につけているかどうかなのでしょうね。

セクハラ・パワハラ25 同僚職員に対する土下座要求とその場にいた他の従業員に対する不法行為該当性(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、亡郵便局員の致死性不整脈突発死に基づく損害賠償請求に関する裁判例を見てみましょう。

日本郵便事件(福岡高裁平成28年10月25日・労判ジャーナル58号30頁)

【事案の概要】

本件は、Y社の設置するA郵便局、B郵便局等の郵便局において郵便局員として稼働していたXについて、Xが病気休職中に、当時所属していたC郵便局の駐車場に駐車した車両内において、ストレスを原因とする致死性不整脈を突発して死亡したのは、Xがその上司である郵便局長らからいわゆるパワーハラスメントを受けたためであるなどと主張して、不法行為又は債務不履行による損害賠償請求権に基づき、Xに生じた損害金の一部である1億円等の支払を求めた事案である。

【裁判所の判断】

慰謝料300万円を認容

【判例のポイント】

1 Z局長が、C郵便局の職員朝礼の際に、Xの同僚の職員を他の職員の前で土下座させたものであって、たとえ、それがXに対して行われたものでなかったとしても、Xを含むその場にいたすべての職員に対する関係においても不法行為を構成するものであり、Xを含む職員に対する安全配慮義務に違反する行為であったと認めるのが相当であり、また、Z局長からXに対する、「窓口には、就かせられん」、「いつ辞めてもらってもいい」などという発言は、Xがうつ病に罹患していることを知っていた上司であるX局長が、窓口業務を希望していたXに対してする発言としては不適切であり社会通念上の相当性を欠くものであることは明らかであって、不法行為に該当し、Y社に安全配慮義務違反があったといわざるを得ず、さらに、うつ病により病気休暇を取得していたXが職場復帰を求めた際の面談において、Xに対して職場復帰の時期を遅らせることを強く求めた言動も、不法行為に該当し、また、Y社に安全配慮義務違反があったと優に認めることができる。

2 本件言動とXが被った精神的苦痛及びXのうつ病の増悪との間に相当因果関係を認めるのが相当であり、Z局長の職員に土下座をさせるという社会的相当性を欠いた本件言動に直面したXが、息苦しさを覚えたものであり、本件言動を目撃したXが精神的苦痛を被ったことは優に推認され、Z局長による本件言動とこれによりXが被った精神的苦痛及びXのうつ病の増悪との間には、相当因果関係が認められるが、他方で、Xの死亡と、本件言動との間に相当因果関係を認めることはできない

3 Xが精神的苦痛を受けたことに対する慰謝料としては、その不法行為又は安全配慮義務違反の程度や、これらによってXのうつ病が増悪したことに照らすと、300万円が相当であると認められ、損害額の算定にあたり、Xがうつ病に罹患していたこと等を踏まえても、過失相殺及び素因減額すべきでない。

Xに対して土下座をさせたものではないけれど、その場にいたXを含む職員全員に対しても不法行為を構成するとされていますが、そういうものでしょうか・・・?

自分がXの代理人だとして、このような主張をしたか(できたか)自信がありません。

ハラスメントについては、注意喚起のために定期的に研修会を行うことが有効です。顧問弁護士に社内研修会を実施してもらいましょう。

本の紹介648 これ、いったいどうやったら売れるんですか?(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間がんばりましょう。

今日は本の紹介です。
これ、いったいどうやったら売れるんですか? 身近な疑問からはじめるマーケティング (SB新書)

「100円のコーラを1000円で売る方法」の著者の本です。

マーケティングってどうやればいいのかをわかりやすく教えてくれています。

考え方の基礎を学ぶにはとてもいい本です。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

私も商品開発をやっていたので実感するのだが、商品開発の現場では商品を開発することが常に頭の中にあるので、いつの間にかお客さんのことをすっかり忘れて、商品を中心に考え、『バカの壁』のようにプロダクトアウトに陥ることがとても多い。このプロダクトアウトに陥らないようにするための2つの魔法の言葉がある。
『そもそも、お客さんって誰だっけ?』
『これってお客さんにとって、何がいいの?』
もし商品開発に行き詰ったら、この2つの言葉が必ずヒントになるはずだ。」(80頁)

日本の製品によく見られることですよね。

お客さんはそんなこと求めていないのに、終わりのない商品開発に没頭してしまうということ。

独りよがりになっていないか、

顧客のためのサービスになっているか

を考え続ける習慣を身につけることが大切ですね。

労働時間43 黙示の指揮命令の有無と労働時間該当性(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間お疲れ様でした。

今日は、労基法上の労働時間に基づく未払時間外割増賃金等支払請求に関する裁判例を見てみましょう。

武藤事件(東京地裁平成28年9月16日・労判ジャーナル58号51頁)

【事案の概要】

本件は、Y社との間で労働契約を締結していたXが、Y社に対し、時間外及び休日労働並びに所定労働時間を超えた法定労働時間内の労働を行ったと主張して、労働契約に基づいて、割増賃金約228万円及び法内残業分の未払賃金49万1054円等の支払を求めるとともに、労働基準法114条に基づいて、付加金約210万円等の支払を求めた事案である。

【裁判所の判断】

請求棄却

【判例のポイント】

1 Y社代表者は、本件雇用契約書を取り交わすに当たり、従業員に対し、通常業務として、催事が開催される際に従業員が自らの商品の搬入、陳列、販売及び搬出を行うことを命じたことはない旨の陳述・供述をしており、X本人も、当然に自分が行うものであると思っていた旨の陳述・供述をしているにとどまることからすると、他に特段の事情のない限り、Xが通常業務として自ら商品の搬入、陳列、販売及び搬出を行うことをY社から義務付けられていたと認めることはできないところ、本件全証拠を検討してみても、特段の事情があると認めるに足りる証拠はないこと等から、たとえXが所定労働時間外に自ら商品の搬入、陳列、販売及び搬出を行うことがあったとしても、当該行為がY社の指揮命令下に置かれていたものと評価することはできず、これに要した時間が労基法32条の労働時間に該当するということはできないから、Xの割増賃金及び法内残業分の未払賃金の請求並びに付加金請求は、いずれも理由がない。

労働者自身も明示の指揮命令の存在を認めていないようです。

そうすると、裁判所に黙示の指揮命令の存在を認定してもらうほかありませんが、ここはクリアできなかったようです。

労働時間に関する考え方は、裁判例をよく知っておかないとあとでえらいことになります。事前に必ず顧問弁護士に相談することをおすすめいたします。

本の紹介647 堀江貴文 人生を変える言葉(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は本の紹介です。
堀江貴文 人生を変える言葉

堀江さんのこれまでの本やブログ、メルマガから「人生を変える言葉」を抜粋した本です。

この本を読んだだけでは当然人生を変えることはできませんが、

今までの自分とは違う価値観、考え方に触れることが人生を変える第一歩になることはあると思います。

おすすめです。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

人より何倍も情報収集ができれば、必ず未来が見えてくる。未来が見えるようになれば、必ず勝てる。」(186頁)

今君たちに最も必要なのは、資金でも人脈でもない。情報だ。情報を所持するということは、未来を見ることだ。・・・後追いで動いている人は、損をして当たり前だ。」(192頁)

堀江さんらしい考え方です。

情報の重要性をこれでもかというほど説いています。

情報格差はそのまま経済格差につながってしまう、そういう時代です。

知っているか知らないか。

ただそれだけで勝負がついてしまうことがたくさんあります。

人より何倍も情報収集ができれば、必ず未来が見えてくる。」という言葉は重いですね。

そして、「未来が見えるようになれば、必ず勝てる。

まさに仰るとおりだと思います。

さて、情報収集のためにみなさんは何をしますか?