セクハラ・パワハラ23 上司の不相当な対応が慰謝料請求は棄却された事案(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、パワハラに基づく損害賠償請求が棄却された裁判例を見てみましょう。

日東電工事件(大阪地裁平成28年9月2日・労判ジャーナル57号25頁)

【事案の概要】

本件は、Y社の従業員Xが、Y社に対し、配転合意の無効を理由とする配転先での就労義務の不存在確認を求めるとともに、上司からパワーハラスメントを受けたとして、使用者責任に基づく損害賠償請求等の支払を求めた事案である。

【裁判所の判断】

請求棄却

【判例のポイント】

1 Xは、室長が、Xに対し、残業を禁止する一方で残業しなければこなせないような量の業務を課して、無給の残業を強要した旨主張するが、室長がXに対し無給の残業を強要したとは認められず、また、休憩時間中の昼寝を禁止したことまでを認めることはできず、さらに、室長のいずれのメールも、年休を取得しないで勤務するように述べたものではなく、その内容自体は、業務の適正な範囲内の指導であるが、他方、いずれのメールも、Xが年休の取得を申請した直後に送信されており、室長に年休の取得自体を非難する意思はなかったとしても、部下であるXの立場からすれば、年休取得を非難されているように受け止めることは無理もないといえるから、室長が上記各メールを送信したことは、時期において相当とはいえないが、Xの年休の取得がいずれも申請のとおり認められていることに鑑みると、室長が上記各メールを送信した行為は、慰謝料請求を認めるほどの違法性はないといえる

一部不適切な対応があったことは認められますが、不法行為を構成するほどの違法性は認められないという判断です。

不適切だからといって慰謝料の支払い義務が生じるとは限らないということを理解するには参考になる事案です。

ハラスメントについては、注意喚起のために定期的に研修会を行うことが有効です。顧問弁護士に社内研修会を実施してもらいましょう。

本の紹介641 人生のプロジェクト(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は本の紹介です。
人生のプロジェクト (Sanctuary books)

目標を達成するために必要なことは何かを教えてくれています。

どこまでいっても「知る」ことと「できる」こととの間には高い高いハードルが存在します。

やる人はやるし、やらない人はずっとやりませんよね。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

行動は気分に左右されてしまう。動かなければいけないのに、動きたくないときがある。しかし自分の気分を左右できれば、自分の行動をコントロールすることができる。風呂に入ったり、焼肉を食べたり、ある曲を聴いたり、ある場所に行ったり・・・。自分のやる気を引き出すスイッチをいくつも見つけておこう。」(155頁)

著者は、このように「やる気を引き出すスイッチ」を見つけておくことを薦めています。

それ自体を否定するつもりはありませんが、私は少し違う考えを持っています。

私もみなさんと同じように、動かなければいけないのに動きたくないとき、

朝、起きなければいけないのに置きたくないときなどが当然あります。

そんなときは、いつも同じ言葉を口に出しています。

「くせになる」

例えば、当初、ボクシングに行くことを予定していた日に、仕事が忙しい、昨晩飲み過ぎて体がだるいということがあります。

行かない理由はいくつもあるわけです。しかも行かなくても誰にも怒られません。

でも、こんなときに1度ボクシングに行かないという選択をしてしまうと、それが「くせになる」のです。

それが嫌で嫌でたまらないのです。

行くと言ったら行くのです。じゃないと、いとも簡単に行かなくなります。

人間はやらない理由探しのプロですから(笑)

やる気スイッチもへったくれもなく、行くと決めたから行くのですよ。 ただそれだけですわ。

解雇223 他の懲戒処分を検討せずにした懲戒解雇の有効性(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間がんばりましょう。

今日は、不正アクセス等に基づく懲戒解雇に関する裁判例を見てみましょう。

福井信用金庫事件(名古屋高裁金沢支部平成28年9月14日・労判ジャーナル57号23頁)

【事案の概要】

本件は、A社の元従業員Xらが、A社の理事長らのメールファイルに無断でアクセスし、メールファイルや添付ファイルを閲覧・印刷したことなどを理由として、他部署に異動を命じられ、懲戒解雇されたところ、上記異動命令は不当な退職勧奨として不法行為に当たるなどと主張して、吸収合併によりA社の権利義務を包括的に承継したY社に対し、それぞれ労働契約上の権利を有する地位にあることの確認を求めるとともに、労働契約に基づく未払賃金及び賞与等の支払いをそれぞれ求め、さらに、不法行為に基づく損害賠償請求として、慰謝料200万円等の支払をそれぞれ求めた事案である。

原判決は、上記懲戒解雇が懲戒権の濫用及び不法行為に当たるとはいえず、また、上記異動命令も不法行為に当たるとはいえないとして、Xらの請求をいずれも棄却した。

【裁判所の判断】

控訴棄却

【判例のポイント】

1 Xらは、A社の事情聴取の際には、共に一貫して本件アクセス等を行ったのは興味本位であったためであると述べていたのに、懲戒委員会においてXらの懲戒解雇を承認する旨の決議がされると、突如として代理人を通じ、本件アクセス等が公益通報目的であったと主張し始めたものであり、その主張の変遷について合理的な理由があるとは認められず、また、Xらは、本件懲戒解雇は、Xらが本件雑誌に情報提供をしたものと決めつけ、その報復として行われた旨主張するが、これを認めるに足りる証拠はなく、Xらは、本件雑誌に情報提供したことを強く否定するが、仮にそうであったとしても、Xらは、本件アクセス等によって取得した資料の一部を外部に持ち出し、持ち出した資料がどのように使われたのかはXらの説明によっても明らかでないのであって、Xらの非違行為の悪質性を軽くみることはできず、さらに、Xらについて、減給、出勤停止、自宅待機といった他の懲戒処分を検討しなかったとしても、Xらの本件アクセス等が懲戒解雇事由に該当することは明らかであり、他の懲戒処分を検討するまでもなくXらを懲戒解雇に処することは何ら差し支えないというべきである。

行為態様の悪質さからすると、他のより軽い懲戒処分を検討していない場合でも、それだけで懲戒解雇が無効となるわけではないことがわかります。

Xとしては、当初の事情聴取時の対応と懲戒委員会での対応が異なりますが、この対応の相違について合理的な理由を説明できていないことが今回の懲戒解雇の有効性の一事情として考慮されています。

解雇を選択する前には必ず顧問弁護士に相談の上、慎重かつ適切に対応することが肝心です。決して、素人判断で進めないようにしましょう。

本の紹介640 UXの時代(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間お疲れ様でした。

今日は本の紹介です。
UXの時代――IoTとシェアリングは産業をどう変えるのか

UXとは「User Experience」のことを指しています。

サブタイトルにもあるとおり「Iotとシェアリングは産業をどう変えるのか」について書かれた本です。

近い将来、私たちの働き方、生活のしかたが大きく変わることはほぼ間違いないでしょう。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

この20年間、日本で多くの企業が会社を変えようとして失敗してきたが、その失敗にはひとつの共通点があるように見える。会社を変えようと考えながら、いざ変えるための具体案が出てくると、それを潰してしまう力が働くことだ。つまり自己矛盾に陥っているだ。・・・経営者がすべきことは、今すぐ社員を古い呪縛から解放し、『ユーザー・消費者だけを見てビジネスを変えろ、新しいビジネスを創れ』という指令を発することだ。」(84~85頁)

よくある現象です。

「現状を変えたい」という願望も基づいて、アイデアが出たとしても、途中で頓挫する。

現状を変えたいという願望とともに、現状を変えたくないという相反する願望がぶつかるのです。

矛盾しますが、人間なんてそんなものです。 どんなときも矛盾を抱えて生きています。

新しいことにどんどんチャレンジするくせがついていれば、こんなことは問題になりません。

どんどんやってみて、少しずつ調整をする。

どれだけ綿密な計画を立てても、結局やらない。 そんな生き方はつまらないですよね。

どんどんやればいいんですよ。 別にうまくいかなくたって、たかが知れているわけですし。

・・・と思って生きています。

解雇222 解雇の無効と慰謝料額(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、解雇無効地位確認請求と会社の不当利得返還請求に関する裁判例を見てみましょう。

日本ワールドエンタープライズ事件(東京地裁平成28年9月23日・労判ジャーナル57号16頁)

【事案の概要】

本件は、本訴事件において、Y社の元従業員がY社に対し労働契約上の権利を有する地位の確認並びに不法行為に当たる解雇に基づく損害賠償金、Y社の責めに帰すべき原因による欠勤又は無効な解雇で未払となっている賃金及び所定時間外、法定時間外、休日及び深夜の各労働に係る賃金の未払金の各支払を求め、反訴事件において、本訴事件の提訴が違法であり、Xには賃金の不正受給があったと主張して、本訴事件提起による損害の賠償及び賃金不正受給による不当利得の返還を求めた事案である。

【裁判所の判断】

解雇は無効

【判例のポイント】

1 Y社は本件解雇を既に撤回し、元従業員もこれを了承し、自己の労働契約上の権利を有する地位の確認を求めているから、元従業員とY社との間では、本件解雇によって仮に労働契約終了の効力が生じていたとしても、少なくとも本件解雇の撤回により、従前の労働契約を復活させる旨の黙示の合意が成立しているというべきである。また、Y社は、他の労働契約終了の原因となる事実(再度の解雇等)も主張していないから、Xは、Y社に対し、労働契約上の権利を有する地位にある。

2 Y社は、Xの欠勤がうつ状態等によるやむを得ないものであるにもかかわらず、職場復帰の可能性を十分に見極めず、Xとの協議を尽くしておらず、兼業・兼職のためY社での労務に従事していない状況が認められないのに、Y社の信用に悪影響を及ぼすような法令違反の有無、程度等も確かめることなく、Xに対する配慮不十分のまま、拙速に解雇に踏み切っているというべきであり、本件解雇は、十分に客観的に合理的な理由を備えておらず、その経過を併せて、社会通念上相当なものとはいえないから、本件解雇は解雇権を濫用したものとして無効というべきである(労契法16条)。

3 職場を奪う解雇の告知が労働者に相当な精神的衝撃を与えることは想像に難くないところ、既にうつ状態等で調子を崩していた元従業員にとって、本件解雇は、追い打ちになったと推認され、本件解雇を発端としてXとY社との紛争が顕在化・激化し、その間の信頼関係が損なわれ、本件解雇の撤回を経ても、円滑な職場復帰に向け、Xが不安を抱かざるを得ない状況になり、それがかねてからのうつ状態等に悪影響を与える可能性もあり、Xは相当の精神的苦痛を受けていることが認められ、また、本件解雇は、十分に客観的に合理的な理由を備えておらず、その経過も併せて、、社会通念上相当なものとはいえないことも考慮すれば、本件解雇は、不法行為としても違法であり、精神的苦痛に対する損害賠償を認めるべきというべきであり、さらに、Y社は、本件解雇を撤回しているが、事後に解雇を撤回したからといって、いったん成立した不法行為が消滅することはなく、Xの精神的苦痛を慰謝するための慰謝料は金30万円と定めることが相当である。

慰謝料、安っ! いつものことですが。

解雇事案で慰謝料請求しても費用倒れになるので、解雇無効とバックペイの請求という方法以外は戦いづらいですね。

解雇を選択する前には必ず顧問弁護士に相談の上、慎重かつ適切に対応することが肝心です。決して、素人判断で進めないようにしましょう。

本の紹介639 スーツに効く筋トレ(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は本の紹介です。
スーツに効く筋トレ (星海社新書)

Testosteroneさんの新しい本です。

以前、著者の「筋トレが最強のソリューションである」を紹介しました。

今回の本でも筋トレ最強説と唱えています。

全く同感です(笑) 

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

ジムに通って筋トレをすると、強固な自信が培われる。自信とは成功体験の積み重ねによってできていくもの。一度でいい、限界まで重いバーベルを持ち上げ、限界まで筋肉をいじめてみてくれ。努力の結果は、たくましい筋肉としてちゃんと返ってくる。輝かしい成功体験であり、勲章であり、自信の具体化だ。あなたを包む頼もしい筋肉は、ちょっとやそっとは失われない。」(145頁)

私は、「根拠のない自信」という言葉を信じていません。

根拠のない自信など何の役にも立たないからです。

自信をつけることをとっても大切です。

自信をつけるためには、人の何倍も努力して、成功体験を積み重ねていくしかないと思います。

努力はしたくない、でも成功したい。 これをわがままといいます。

そんなことを身近に感じることができるのが筋トレです。

強靭な肉体は強靭な精神をつくるというのは真実だと確信しています。

セクハラ・パワハラ22 エビデンスがない場合のパワハラに基づく損害賠償請求(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、視覚障害者のパワハラ等に基づく損害賠償請求に関する裁判例を見てみましょう。

KDDIエボルバ事件(東京地裁平成28年8月2日・労判ジャーナル57号46頁)

【事案の概要】

本件は、てんかん及び左同名半盲の視覚障害を有し、Y社との間で、障害者雇用枠での雇用契約を締結し、稼働した後、退職したXが、Y社に対し、Xを侮辱し、パワハラをしたことが、職場環境配慮義務違反の債務不履行及び不法行為に当たると主張して、損害賠償として、精神的苦痛の慰謝料150万円の支払いを求め、また、本件健康診断の視力検査の際にXを受傷させたことが、安全配慮義務違反の債務不履行及び不法行為に当たると主張して、損害賠償として、治療費等22万円の支払いを求めるとともに、Xに対して違法な退職勧奨をしたことが不法行為に当たるとして、本件退職の意思表示をした日である平成25年11月8日から平成26年9月30日までの間の未払賃金相当損害金約223万円等の支払いを求めた事案である。

【裁判所の判断】

請求棄却

【判例のポイント】

1 XがY社従業員から怒鳴りつけられ、侮辱されたという事実を裏付けるに足る的確な証拠はなく、また、Xを殊更晒し者にしてその人格を否定し、パワハラと評すべき対応をしたことをうかがわせる証拠はないこと等から、パワハラに関するXの主張は理由がない。

2 Xは、眼痛で欠勤していたところ、Y社の従業員から欠勤が続けば解雇になるという説明を受け、解雇か辞職かの二者択一を迫られて辞職しているが、Xの眼痛が業務上の負傷であるとは認め難く、解雇が制限されるとは認められないので、欠勤が続けば解雇になるとの会社の説明が虚偽であったとか、違法な退職勧奨に当たるとはいえないから、Y社従業員の説明が虚偽であり、違法な退職勧奨をしたことを前提とするXの錯誤の主張は、その前提を欠き、理由がないと言わざるを得ない。

パワハラ事案では、多くの場合、原告側(労働者側)の立証の困難さをどう克服するかが鍵となります。

言った言わないのレベルと、仮に言ったとして、それが違法と評価できる程度のものかというレベルがあり、

前者をクリアできない限り、後者の問題になり得ません。

立証をどうするかということを事前に考えておく必要があるわけです。

ハラスメントについては、注意喚起のために定期的に研修会を行うことが有効です。顧問弁護士に社内研修会を実施してもらいましょう。

本の紹介638 成功の掟(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間がんばりましょう。

今日は本の紹介です。
新装版 成功の掟

物語を通じて、成功哲学、成功するための心構えが伝わってきます。

小手先のハウツー本では全くありません。とてもいい本です。

おすすめです。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

わしはこれまで大勢の百万長者に出会ったが、みんな仕事の虫だった。連中には、仕事が趣味と同じように楽しいのだ。だから金持ちというものは、めったに休暇などとらん。わざわざ好きな仕事から離れる必要などないからな。休むのはかえって苦痛といってもよい。さんざん金を儲けていながらまだ働き続けるのもそのためじゃ。」(22頁)

私も見ていて思うのですが、仕事で成功している人で、仕事が嫌いな人を見たことがありません。

仕事自体は、苦しいことが多くですし、決して楽しいばかりではありませんが、やりきったときの達成感・満足感を知ってしまうと、やめられなくなります。

仕事を生活費を稼ぐための手段と考えている人と、仕事を自己実現の手段と考えている人では、仕事に対する向き合い方が大きく異なります。

成功している人の多くは、後者ですよね。

こういう人たちは、もはや生活費には困らない生活をしているので、仕事に対する向き合い方が違うのです。

労働時間についてますます規制が厳しくなってきますので、労働基準法の適用がある方の中では「仕事の虫」はもはや死語でしょうが、幸い私のように労基法の適用がない人は、これからも自由に好きなだけ仕事をしていけます。

わたしは死ぬまで仕事の虫でしょうね。

解雇221 訴訟提起後に作成した証拠の価値(信用性)(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間お疲れさまでした。

今日は、業務遂行能力の欠如に基づく解雇無効地位確認等請求に関する裁判例を見てみましょう。

N社事件(東京地裁平成28年8月30日・労判ジャーナル57号29頁)

【事案の概要】

本件は、ガスフィルターの開発製造業者であるY社の元従業員Xが、業務遂行能力の欠如を理由に解雇されたが、同解雇には客観的に合理的な理由がなく社会通念上の相当性もないから無効であるとして、労働契約上の権利を有する地位にあることの確認を求めるとともに、同解雇日以降の毎月の賃金、賞与及び減額された差額分2000円等の支払を求めた事案である。

【裁判所の判断】

解雇は無効

【判例のポイント】

1 Y社が実施したプレゼンテーション研修は平成25年6月から同年9月の間に行われ、平成25年度の業務査定では中位の「E」評価がされていること、開発プロジェクト1は同年6月に開始し、開発プロジェクト2は同年12月に開始し、Y社は平成26年1月に上記査定をした時点以降も、いずれのプロジェクトもXにそのまま担当させる判断をしている点に鑑みると、上記査定結果をもって労働契約の継続を期待できない程度の業務遂行能力の欠如を認定することはできず、また、Y社は、Xの解雇後にフィルターハウジング設計の技術者として採用したAに、Xが在籍中に作成した資料を分析させ、そのAは業務能力査定報告書においてXの能力不足を判断しているが、Aは、Y社の社員であるところ、上記報告書は本件訴訟の提起後にY社の指示に従い作成したものと推定されること等から、上記報告書で示された見解を直ちに本件解雇のなされた平成26年4月当時の業務遂行能力の判断に結び付けることはできず、本件では、本件労働契約上求められる業務遂行能力の欠如までは認められず、本件解雇に客観的に合理的な理由はなく、社会通念上の相当性もないため、無効である。

2 元従業員の平成26年4月分賃金は、従前の月26万5000円から月26万3000円に減額して支給されているところ、この点について、Y社は、Xの平成25年度の業務査定の総合評価が最も低い「IN」であったため、社員就業規程412条に基づいて調整したものである旨主張するが、社員就業規程412条は、冒頭で「昇給」と題した上、本文には「給料は毎年職務成績及び会社の業績に基づき会社側によって検討され給与基準に基づき調整される。」とあり、昇給について規程したものであることは明らかであり、降給又は減給の根拠と解することはできず、また、社員就業規程には他に賃金を減額する根拠となる規程は見当たらないから、上記賃金の減額は無効である。

証拠の作成をオンタイムで作成せずに、訴訟係属後にあわてて作成しても、証拠価値が低いことは言うまでもありません。

日頃から適切に証拠作成・収集をしておくことが裁判になったときに活きてくるわけです。

本の紹介637 戦略がすべて(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は本の紹介です。
戦略がすべて (新潮新書)

「僕は君たちに武器を配りたい」の著者です。

帯にはでかでかと「バカは市場で勝ち残れない」と書かれています(笑)

いいですね~。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

不確実で厳しい未来においては、『自分の労働をコモディティ化させないこと』が重要になる。」(87頁)

・・・自らの能力を高め、優れた人材として評価を受け、高い報酬を得たいという者だけがこの競争に参加すればいい。こうした競争が嫌ならば、『コモディティ化』された人材として、大きな夢は見ず、賃金や条件の不満は飲み込んで、こつこつ働くしかない。」(23頁)

心では多くの人が感じていることをここまでストレートに言ってしまうところがいいですね。

「わかっちゃいるけど、やらない」というのが世の常です。

やる人はやるし、やらない人はやらない。 ただそれだけの差です。

日頃から臨戦態勢を取り続けていないと、平穏な生活慣れして、いざというときに体が言うことをきいてくれません。

圧倒的努力を続けられるかどうか。

やると決めたことを途中で投げ出さずに最後までやり続けられるか。

それだけです。