解雇218 解雇から2年以上経過した賃金仮払いの仮処分申立て(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間がんばりましょう。

今日は、賃金仮払仮処分申立却下決定が相当とされた裁判例を見てみましょう。

コンチネンタル・オートモーティブ事件(東京高裁平成28年7月7日・労経速2291号3頁)

【事案の概要】

本件は、Xが、Y社に対し、Y社がXに対して行った解雇が無効であるとして、労働契約に基づき、労働契約上の権利を有する地位にあることを仮に定めるとともに、1か月当たり73万2452円の月例給与として、平成26年7月から平成27年11月までの支給分に当たる合計1245万1684円及び同月12月以降毎月25日限り73万2452円を仮に支払うことを求める事案である。

【裁判所の判断】

抗告棄却

【判例のポイント】

1 Xは、不動産事業収入について、所得金額は36万6335円であって、家計に入ってくる収入は1か月3万0530円であると主張するが、不動産事業に係る経費には減価償却費などがあり、一概に所得金額が手取りの収入金額であるとはいえないところ、Xはその内訳について明らかにしていないことに照らし、Xの主張は採用しない
また、Xは、平成28年3月時点で、債権者世帯の預貯金額は269万円程度となっていると主張するが、本件解雇から既に2年以上が経過しているのであって、Xとしては、これまでの間、本案訴訟を提起することは十分可能な状態であったのであることに照らすと、Xの主張する前記事情を考慮しても、仮の地位を定める仮処分命令における保全の必要性の有無についての前記判断を左右するものではない

解雇から2年以上が経過していることを考慮し、保全の必要性を否定したものです。

その間に本訴を提起できたでしょ、ということです。

解雇を選択する前には必ず顧問弁護士に相談の上、慎重かつ適切に対応することが肝心です。決して、素人判断で進めないようにしましょう。

本の紹介626 逆転思考(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間お疲れ様でした。

今日は本の紹介です。
逆転思考 400以上の新規事業から導かれた ありえない成功のルール

帯には「他の人とは逆を行かねばならない」と書かれています。

特に目新しさはありませんが、そのとおりです。

著者は、本の中で挑戦すること、失敗すること、適応することが大切だと説いています。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

一生、競争を避けて生きるのは、競争を勝ち残っていくよりも難しいのではないでしょうか。いつかどこかで競争しないといけないのであれば、早くから競争に慣れ、正しい競争の仕方を覚えておくべきです。
現状を肯定したいだけのオンリーワンや、競争からの逃避であるブルーオーシャン探しは意味がありません。」(139~140頁)

ある意味、逆転思考です。

ブルーオーシャン探しを「競争からの逃避」と捉える発想、私は嫌いではありません。

ニッチな世界で生きるよりも激しい競争に晒される戦場で勝ち残る力を身につけたいと思ってしまいます。

やり方よりもあり方、すなわち、姿勢の問題でしょうか。

競争から逃げるという姿勢からは強さを感じることはできません。

強くありたいと思えば思うほど、厳しい道を選びたくなってしまうのでしょう。

派遣労働25 登録型派遣社員の地位確認請求(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、派遣労働者の派遣事業者に対する地位確認等請求に関する裁判例を見てみましょう。

セールスアウトソーシング事件(東京地裁平成28年6月21日・労判ジャーナル56号50頁)

【事案の概要】

本件は、労働者派遣事業者であるY社との間で雇用契約を締結した派遣労働者Xが、その雇用契約に雇用期間の定めはなく、仮に雇用期間の定めがあったとしても、労働契約法19条により更新されて現在まで存続しており、未払賃金があるなどと主張して、Y社に対し、雇用契約上の権利を有する地位にあることの確認並びにその雇用契約に基づく未払賃金等の支払を求めた事案である。

【裁判所の判断】

地位確認請求は棄却

未払賃金等支払請求は一部認容

【判例のポイント】

1 X・Y社間の雇用契約はいわゆる登録派遣であり、本件契約書上も、派遣社員として雇用する契約であること、派遣期間は平成26年9月30日までであること、契約更新は派遣先の判断基準によることがそれぞれ明記されているうえ、派遣労働者が利用した「ショットワークス」は、短期や単発のアルバイトや派遣社員向けの求人情報サイトであったことが認められること等から、派遣労働者が10月以降の雇用継続を期待していたとしても、その期待に合理的理由があるとは認めがたく、労働契約法19条所定の他の要件について検討するまでもなく、X・Y社間の雇用契約が更新されたものとみなすことはできないから、X・Y社間の雇用契約は9月30日をもって雇用期間満了により終了しており、現在まで存続しているとみる余地はないから、派遣労働者の地位確認請求には理由がない。

2 Xは9月後半も本件契約書所定の労務を提供する意向を示していたが、Y社はこれを拒否し、Xの労働債務の履行が不能になっていたと認められること等から、Y社は、派遣労働者に対し、9月16日から30日までの賃金を支払うべき義務を負い、同期間の賃金額については、9月1日から15日までの賃金と同額の7万2800円をもって相当である。

上記判例のポイント1については労働者側にはハードルが高い論点ですね。

一方、判例のポイント2については妥当な判断です。

派遣元会社も派遣先会社も、対応に困った場合には速やかに顧問弁護士に相談することをおすすめします。

本の紹介625 心構えが奇跡を生む(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、本の紹介です。
新版 心構えが奇跡を生む

ナポレオン・ヒルさんの本です。

タイトルがいいですね。

まさにすべては心構え次第ということです。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

かつてエイブラハム・リンカーンは次のようなことを言った。
『私がみたところ、幸福の度合いとは、気持ちの持ちようでほぼ決まってしまうようだ』
個人差というものはそんなに大きいものではない。そのわずかな差が大きな違いのもととなる。その『わずかな差』というのが心構えだ。つまり積極的なのか、それとも消極的なのか、ということだ。」(247頁)

勝敗を分けるのは、どんな時も、日々のほんのわずかな差の積み重ねです。

「わずかな差」を意識し、日々、それを継続できるかどうかがすべてです。

決めたことは必ずやる、という心の習慣をつけることが最も大切です。

楽な道は選ばないという心構え

自分の力を弱める道は選ばないという心構え

このような心構えがあるからこそ、つらいときに踏ん張れるのです。

競業避止義務20 競業禁止合意に基づく損害賠償請求が棄却された事案(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、競業禁止合意に基づく損害賠償請求に関する裁判例を見てみましょう。

リンクスタッフ事件(大阪地裁平成28年7月14日・労判ジャーナル56号31頁)

【事案の概要】

本件は、Y社が元従業員に対し、両者間では退職後一定期間は同業他社に就職しないこと等を内容とする競業禁止の合意があったにもかかわらず元従業員はこれに違反した、元従業員は他の退職従業員と共謀してY社の事業の妨害を図ったなどとして、債務不履行ないし不法行為に基づき、損害賠償を請求した事案である。

【裁判所の判断】

請求棄却

【判例のポイント】

1 退職後の競業禁止の合意は、労働者の職業選択の自由を制約するから、その制限が必要かつ合理的な範囲を超える場合は公序良俗に反し、無効であるところ、元従業員はいわゆる平社員にすぎないうえ、Y社への在籍期間も約1年にすぎず、他方、競業禁止義務を負う範囲は、退職の日から3年にわたって競業関係に立つ事業者への就職等を禁止するというものであり、何らの地域制限も付されていないから、相当程度に広範といわざるを得ず、Y社は、業務手当の中には、みなし代償措置である2200円が含まれているとも主張するが、元従業員は、業務手当の中には、みなし代償措置が含まれているとの説明を受けたことはないと供述しているうえ、仮にこれが代償措置として設けられているとしても、その額は、元従業員の在籍期間全部を通じても総額で3万円ほどにすぎず、上記のような広範な競業禁止の範囲を正当化するものとは到底言えず、本件誓約書による競業禁止の範囲は合理的な範囲にとどまるものとはいえないから、公序良俗に反し無効であり、競業禁止の合意に基づく請求は理由がない。

競業避止義務についての判断としてはスタンダードなものです。

この分野の裁判は、会社側に分が悪いですね。

訴訟の是非を含め、対応方法については事前に顧問弁護士に相談しましょう。

本の紹介624 「言葉」があなたの人生を決める(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間がんばりましょう。

今日は本の紹介です。
「言葉」があなたの人生を決める

アファメーションに関する本です。

アファメーションに関する本はいくつもありますが、その中でもこの本はとてもわかりやすく書かれており、おすすめできます。

もはや意識せずに自然とアファメーションの考え方ができている人にとっては再確認できる本です。

「言葉」が人生を決めるということですが、大げさではなく、まさにそのとおりです。

適切な言葉なくして適切な思考などあり得ないからです。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

かつてオリンピックに出場した高跳びの選手で、『背面飛び』に最初に挑んだディック・フォスベリーという選手がいます。彼は国際大会で、バーを後ろ向きで飛び越えた最初の選手でした。そのころ、陸上のコーチたちは子どもたちに『この選手の真似をしちゃだめだ。彼は変わり者だから』といっていました。
しかし、最近では、どの選手を見ても背面飛びです。
1954年までは、誰もが1マイル(約1600メートル)を4分未満で走るのは不可能だと思っていました。ところが、ロジャー・バニスターがその壁を破りました。その後の4年間に、4分の壁は40回以上も破られました。
なぜでしょう?
ランナーたちが4分を切るのは可能だとわかったからです。」(56頁)

これは、「現状から抜け出したければブリーフシステムを変えろ!」という章で書かれている内容です。

ブリーフは、「信念」という意味で使われています。

おそらくビリーフ(belief)と記載したほうがわかりやすいように思います。

何を達成するかは、ほとんどの場合、何を信じるかによって決まる」(50頁)とも言っています。

自分はその目標を達成できるに値する人間だと信じられるか。

信じることを支えているのは、きっと、日々の圧倒的努力にほかならないのでしょう。

日々の圧倒的努力をすることなしに、どうやって自分のことを信じることができるでしょうか。

不当労働行為160 使用者が自ら示した条件に固辞し、それ以外では団交に応じないとしたことが不当労働行為とされた事案(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間お疲れ様でした。

今日は、使用者が自ら示した条件に固辞し、それ以外では団交に応じないとしたことが不当労働行為とされた命令を見てみましょう。

国立大学法人東京学芸大学事件(東京都労委平成28年7月19日・労判1141号91頁)

【事案の概要】

本件は、使用者が自ら示した条件に固辞し、それ以外では団交に応じないとしたことが不当労働行為に該当するかが争われた事案である。

【労働委員会の判断】

不当労働行為にあたる

【命令のポイント】

1 Y社は日本語を話せない組合らが通訳者を手配すべきであると主張し、組合らはLLRで話すことのできないY社が通訳者を手配すべきであると主張するが、団体交渉で使用する言語を一義的に決めることができない本件にあっては、団体交渉で使用する言語を話すことのできない側が通訳者の手配に要する全ての負担を負うべきものということもできない。

2 以上の点に加えて、団体交渉のルールは労使の合意で決定するのが原則であることをも勘案すると、本件労使間においては、円滑な団体交渉を行うため、団体交渉における使用言語及び通訳者の手配に関するルールについて、労使双方に合意形成のための相応の努力を行うことが求められていたというべきである
したがって、組合らが上記合意の形成に向けた相応の努力を行っているにもかかわらず、Y社がそのような努力を行わず、団体交渉が円滑に行われる状況に至らなかった場合には、原則として、Y社は、正当な理由のない団体交渉拒否を行ったものと評価すべきである。

使用者側は、上記命令のポイント2を十分に理解しましょう。

ユニオンからの要求をなんでもかんでも拒否するだけが団交対策ではありません。

最低限の団交のルールを知り、柔軟に対応することが求められているのだと考えましょう。

組合との団体交渉や組合員に対する処分等については、まずは事前に顧問弁護士から労組法のルールについてレクチャーを受けることが大切です。決して素人判断で進めないようにしましょう。

本の紹介623 新・プラットフォーム思考(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、本の紹介です。
たった一人で組織を動かす 新・プラットフォーム思考

プラットフォームではなく、プラットフォーム「思考」についての本です。

技術的な話というよりか、どのように考えるべきかということに重点が置かれています。

いろんな分野の人たちと連携を組んで物事をすすめていくという発想をベースにしています。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

『アイデアをマネされたらイヤだ』と考える人もいるかもしれませんが、たとえ良いアイデアだとしても、99パーセントの人は実行しません。どんどん外部の人に相談したほうが、思わぬ副産物が得られるものです。私は『アイデアとは実行されて初めて意味を持つのだ』と考えています。」(154頁)

うまくいく方法がわかっても、99%の人は実行に移しません。

また、それを継続することをしません。

これが真実です。

100年前も100年後も「継続は力なり」だと強く信じることです。

例外を設けず、ただひたすらやるべきことをやり続ける。

私のような凡人には、このやりかたしかありません。

苦しい道ですが、成功したければ覚悟を決めてやり続けるほかありません。

No pain, No gain.

解雇217 セクハラ等に基づく懲戒解雇が無効とされた事案(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、セクハラ等に基づく懲戒解雇が無効とされた事案を見てみましょう。

クレディ・スイス証券事件(東京地裁平成28年7月19日・労判ジャーナル56号29頁)

【事案の概要】

本件は、Y社及びY社から部分出向していたA社の双方で稼働していた元従業員Xが、平成27年4月15日に諭旨退職の通知を受け、同年5月27日付けで懲戒解雇されたことについて、本件懲戒解雇は無効であると主張して、Y社に対し、雇用契約上の権利を有する地位にあることの確認を求めるとともに、平成27年6月から本判決確定の日までの賃金月額100万円等の支払いを求め、併せて、平成26年度の賞与1275円等並びに平成27年5月に支給されるはずであった賃金と実際に支給された賃金との差額である約7万円等の支払いを求め、さらに、本件諭旨解雇及び本件懲戒解雇によりパニック障害と診断される状態となり重大な精神的苦痛を被ったと主張して、Y社に対し、不法行為に基づく損害賠償(慰謝料300万円等)の支払いを求めた事案(Y社は、予備的に元従業員の通常解雇を本件口頭弁論期日においてXに通知した)である。

【裁判所の判断】

解雇無効

未払賞与等支払請求及び損害賠償請求は棄却

【判例のポイント】

1 たしかに、Xの各行為(セクハラ行為、改ざんした電子メール記録の提出等)はそれぞれ懲戒事由に該当し、その内容からして、Xは相応の懲戒処分を受けて然るべきであると考えられるが、いずれの行為についても懲戒処分を検討するに当たって考慮すべき事情等があり、従前注意、指導といった機会もなかったのであるから、これらの行為全てを総合考慮しても、懲戒処分における極刑といわれる懲戒解雇と、その前提である諭旨退職という極めて重い処分が社会通念上相当であると認めるには足りないというべきであるから、本件懲戒解雇は無効であり、また、本件懲戒解雇について検討したところは、本件予備的解雇についても当てはまるので、本件予備的解雇が社会通念上相当と認めることはできず、本件予備的解雇は無効であるから、本件懲戒解雇及び本件予備的解雇はいずれも社会通念上相当であると認められず、解雇権を濫用したものとして無効であるから、Xは、Y社に対し、本件雇用契約の権利を有する地位にある。

2 本件懲戒解雇と、その前提である本件諭旨退職は、いずれも無効であるが、諭旨退職及び懲戒処分が無効であることから直ちに不法行為が成立するわけではなく、別途、不法行為の成立要件を充足するか否かを検討すべきところ、本件諭旨退職及び本件懲戒解雇が無効とされるのは、これらの懲戒処分は社会通念上相当と認められないからであって、Xの各行為はそれぞれ懲戒事由に該当し、その内容からしてXは相応の懲戒処分を受けて然るべきであると考えられること、本件諭旨退職及び本件懲戒解雇の処分自体は所定の手続を経て行われていることを併せ考慮すれば、本件諭旨退職及び本件懲戒解雇が不法行為法上違法な処分であるとまではいうことはできない

今回の解雇も相当性の要件で無効と判断されています。

現場レベルでこの相当性要件を適切に判断するのはとても難しいことです。

顧問弁護士に相談の上、過去の裁判例等から有効ラインを探るほかありません。

本の紹介622 超一流になるのは才能か努力か?(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は本の紹介です。
超一流になるのは才能か努力か?

うーん、両方じゃないですか?

というタイトルですが、まあよしとしましょう。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

ある人がある分野で最終的にどれだけの業績をあげられるかを決定づける最も重要な要因が練習であることははっきりしているので、遺伝子になんらかの役割があるとすれば、その人がどれぐらい熱心に限界的練習をするか、あるいは練習がどれぐらい効果的なものになるかに作用すると考えるのが理にかなっている。」(310頁)

「限界的練習」という言葉が何度も出てきます。

成功するか否かは、遺伝子レベルでの勝負ではないということが如実にわかります。

仮に遺伝子レベルの勝負だとしても、決して、成功しない理由を遺伝子のせいにしてはいけません。

仮にそうだとしても、圧倒的な努力を続けること、限界的練習を続けることで定説を覆すことを考えるのです。

遺伝子や環境のせいにした時点で負けです。

戦う前から負けです。

そんな生き方だけはしたくありません。