セクハラ・パワハラ19(サントリーホールディングス事件)

おはようございます。

今日は、パワハラを理由とする上司、会社への損害賠償請求に関する裁判例を見てみましょう。

サントリーホールディングス事件(東京高裁平成28年4月27日・労経速2284号7頁)

【事案の概要】

本件は、Y社の従業員であり、グループ再編前のサントリー株式会社の従業員であったXが、サントリー在籍中、上司であったCからパワハラを受けたことにより鬱病の診断を受けて休業を余儀なくされるなどし、また、Y社に移籍後、Y社のコンプライアンス室長であったDがCの上記パワーハラスメント行為に対して適切な対応を取らなかったことによりXの精神的苦痛を拡大させたとして、C及びDには不法行為が成立すると主張するとともに、サントリーにはXに対する良好な作業環境を形成等すべき職場環境保持義務違反を理由とした債務不履行及びCの使用者であることなどを理由とした不法行為が成立するところ、サントリーのグループ再編により設立されたY社はサントリーのXに対する上記債務を承継したなどと主張して、Y社らに対し、損害賠償合計2424万6488円+遅延損害金の連帯支払を求める事案である。

原判決は、Cの不法行為及びY社の使用者責任を肯定し、C及びY社に対し297万円+遅延損害金の連帯支払を求める限度でXの請求を認容したところ、これを不服とするX並びにY社及びCがそれぞれ控訴した。

【裁判所の判断】

Y社及びCは、Xに対し、連帯して165万円+遅延損害金を支払え。

その余の請求は棄却

【判例のポイント】

1 Xは、鬱病を発症して1年以上の休業を余儀なくされ、復職後も通院を継続し、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律に基づき障害等級2級の認定を受けるなど、精神的不調が続いている反面、Cによる不法行為は、Xに対し、「新入社員以下だ。もう任せられない。」、「何で分からない。おまえは馬鹿。」と発言し、あるいはXが本件診断書を提出して休職を願い出た際、3箇月の休みを取ると異動の話を白紙に戻さざるを得ない旨を告げるなどしたというもので、部下に対する業務に関する叱責の行き過ぎや、精神的不調を訴える部下への対応が不適切であったというものにとどまり、悪質性が高いとはいえずXが鬱病を発症し、精神的不調が続いていることについては、Xの素因が寄与している面が大きいこと、Xが平成20年8月に復職した後、時間外労働や所定勤務も行うなど、勤務状況は順調であり、精神状態が一定程度回復した状況が窺われることなどを考慮すると、Xの精神的損害に対する慰謝料は150万円と認めるのが相当である。

2 慰謝料は、Y社らが主張するXの素因をも考慮して認定したものであるから、さらにXの素因により慰謝料を減額すべきではない

3 Y社らは、Xが受給した障害年金及び労災保険給付金との損益相殺を主張するが、これらは精神上の損害の填補を目的とするものではないと認められるから、当該受給額を上記慰謝料から控除することはできないというべきである。

一審よりも金額が下がりました。

もっとも、会社としては、慰謝料の金額よりもこのように裁判例として社名が出てしまうことによる損失のほうが大きいです。

ハラスメントについては、注意喚起のために定期的に研修会を行うことが有効です。顧問弁護士に社内研修会を実施してもらいましょう。

本の紹介601 ユダヤ人億万長者に学ぶ「不屈」の成功法則(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は本の紹介です。
ユダヤ人億万長者に学ぶ「不屈」の成功法則

「不屈」という言葉からもわかるとおり、終始、あきらめないこと、屈しないことの大切さを説いています。

「不屈の執念」がいかに大切であるかがこの本を読むとわかります。

とても参考になります。 おすすめです。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

商品を売りたいなら、顧客が電話に出るまで20回はかける必要がある。その際、自社の商品を買うべき理由を準備しておくべきだ。私の経験では、商品について質問すると、9割の確率で『調べて折り返し連絡します』という答えが返ってくる。自社の商品に関する質問に答える準備ができていない営業マンから買う理由がどこにあるだろうか。自分が提供している商品について情熱をもっていないなら、その職業に就くべきではない。それくらい献身的な姿勢がなければ、セールスでの成功はおぼつかない。」(127頁)

みなさんはいかがですか?

同じ商品を買うのであれば、自分が尊敬できる人から買いたいと思います。

その人が仕事に対してどのような思いをもっているかというのはとても重要です。

仕事に対して情熱を持っている人から私は買いたいし、そういう人とお付き合いをしたいと思います。

たいした準備をせずに「時間をつくってほしい」と言われるのが一番しんどいです。

不当労働行為156(東急バス(残業割当・第2・審査開始)事件)

おはようございます。 今週も一週間がんばりましょう。

今日は、バス乗務員に対し、他の従業員と差別して残業扱いとなる乗務(増務)を割り当てなかったことが不当労働行為にあたるとされた事案を見てみましょう。

東急バス(残業割当・第2・審査開始)事件(中労委平成28年3月16日・労判1137号92頁)

【事案の概要】

本件は、バス乗務員Xに対し、他の従業員と差別して残業扱いとなる乗務(増務)を割り当てなかったことが不当労働行為にあたるかが争われた事案である。

なお、初審(東京都労委平成20年9月2日命令)は、申立てを一部認容。

Y社が再審査を申し立て、中労委(平成21年12月2日命令)は、初審命令を取り消し、Xの申立てを棄却する命令を発した。

Xは、申立てを棄却する命令の取消しを求めて行政訴訟を提起したところ、東京地裁(平成24年1月27日判決)は、中労委命令を取り消し、同判決が確定(東京高裁平成24年10月3日判決(控訴棄却)、最高裁平成26年12月16日決定(上告不受理))したことから、中央委は本件審査を再開した。

【労働委員会の判断】

不当労働行為にあたる

【命令のポイント】

1 不当労働行為救済申立事件に係る命令の取消訴訟において原命令を取り消す判決が確定し、労働委員会が当該事件の審査を再開して命令を出す際は、上記判決の拘束力が及び、当然ながら原命令に関する判断に抵触する認定判断をすることはできない(行政事件訴訟法第33条第1項・第2項、労働委員会規則第48条・第56条第1項)。
したがって、本件審査再開事件において、Xに係る差別的な増務割当てが不当労働行為に当たるとした東京地裁判決の判断は最終的なものであるから、以後、当事者がこの判断に抵触する認定判断を当委員会に求めることは許されないというべきである。

2 また、本件Xの救済申立てについては、労働委員会における審査及び取消訴訟における審理の一連の手続を通じて、本件当事者に十分な主張立証の機会が与えられ、主張立証が尽くされたうえで判決が確定している以上、Y社が、その後の手続において、上記取消判決の認定判断を蒸し返すことは、信義則に反するというべきである。

そういうことです。

組合との団体交渉や組合員に対する処分等については、まずは事前に顧問弁護士から労組法のルールについてレクチャーを受けることが大切です。決して素人判断で進めないようにしましょう。

本の紹介600 成功の条件(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間お疲れ様でした。

今日は本の紹介です。
成功の条件―「人」と「お金」と「選択の自由」

著者が考える成功の定義は、「人とお金と選択の自由を手に入れること」だそうです(9頁)。

最後に「選択の自由」というワードが入るのがいいですね。

物語を通じて、成功の条件を伝えています。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

人間は誰もが自分の慣れ親しんだ環境の中で生きてる。そして、その中から出ようとしない。『成長したい』という思いと、『いまのままがいい』っていう相反する思いが綱引きしてるんだよ。・・・その心の綱引きで『成功したい』の思いが大きければ、成功に向かって歩き始めるし、『変わりたくない』という思いが勝てば、結局努力をあきらめて、いまのまま生きていくことになる。そしてほとんどの人は現状維持という選択肢を選ぶ。」(110頁)

ここでも「ホメオスタシス」の力の話が出てきます。

毎日、弱い弱い自分との戦いですから。

もし自分の背中に「オン」と「オフ」のスイッチがあったとして、

僕はスイッチを「オフ」することができません。

一度「オフ」に入れてしまうと、もう「オン」にすることができないのではないかという恐怖心がその理由です。

弱い自分に負けてしまうのではないか・・・と。

ワークライフバランスという言葉を聞く度にいつも思うわけですよ。

「・・・あたし、ワークライフアンバランスの典型例だ」

アンバランスなことはわかっていますが、もうこういう生き方しかできないのです。

解雇212(東京アメリカンクラブ事件)

おはようございます。

今日は、懲戒解雇が無効とされ、未払賃金請求が一部認められた事案を見てみましょう。

東京アメリカンクラブ事件(東京地裁平成28年4月27日・労判ジャーナル53号29頁)

【事案の概要】

本件は、Y社との間で雇用契約を締結した元従業員Xが、Y社に対し、①懲戒解雇が無効であると主張して、雇用契約上の地位確認及び賃金請求件に基づき未払賃金・賞与及び遅延損害金の支払を求め、②時間外労働をしたと主張して、賃金請求件に基づき割増賃金及び遅延損害金の支払を求め、③②についての付加金及び遅延損害金の支払を求めた事案である。

また、反訴として、Y社は、Xに対し、賃金の過払い、通勤手当の不正受給があり、Xが悪意の受益者であると主張して、不当利得に基づく利得金返還請求権に基づき利得金等の支払を求めた。

【裁判所の判断】

懲戒解雇は無効

未払賃金請求は一部認容

付加金請求は棄却

不当利得返還請求は棄却

【判例のポイント】

1 有期雇用契約である本件雇用契約が契約期間の途中でされた本件懲戒解雇には、「やむを得ない事由」(労働契約法17条)が必要とされるところ、本件店舗の商品であるビールを飲酒したという職場規律違反を内容とする本件非違行為により、Xが担当する調理業務に支障が生じたことを認めるに足りる証拠はなく、Xの調理技術が高く、業績評価において数回、5段階評価で上から2番目の評価であるE評価を取得していること、Xには懲戒歴がなく、これまで飲酒行為について注意・指導を受けたことがないこと、Xと同様に、勤務時間中に飲酒したA及びBが3か月の賃金相当額の支払を受けて依願退職したが、懲戒処分を受けていないこと等の事情に照らすと、本件懲戒解雇は不当に重い処分であり、本件雇用契約を即時に解消しなければならない程度の「やむを得ない事由」があるということはできないから、本件懲戒解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められないから、権利を濫用したものとして無効であるというべきである。

2 Y社が本件本件訴訟提起後の和解において、割増賃金を含む相応金額を支払う姿勢を示していたこと、その他本件に顕れた事情を総合考慮すると、Y社に対し付加金の支払を命じるのは相当でないというべきである。

有期雇用契約で期間途中で解雇する場合には、「やむを得ない事由」が必要になります。

つまり、無期雇用で解雇する場合よりも要件がさらに厳しくなるわけです。

店舗の商品であるビールを飲酒したことは決していいことではありませんが、それをもって期間途中で懲戒解雇は、やはり処分としては重きに失すると判断されてしまいます。

解雇の理由があると思っても、相当性の要件がありますので、ご注意ください。

解雇を選択する前には必ず顧問弁護士に相談の上、慎重かつ適切に対応することが肝心です。決して、素人判断で進めないようにしましょう。

本の紹介599 思うは招く(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は本の紹介です。
思うは招く ~自分たちの力で最高のロケットを作る!

ロケット開発で有名な植松電機専務取締役の植松さんの本です。

植松さんの本はこれまでにも数冊読んできましたが、今回の本もとても良い本です。

おすすめです。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

ニッチは自分でつくるものです 見つけるものではありません」(158頁)

既存の市場で戦うときに必要なのは資本力です。価格競争です。だったらうちが勝てっこないです。だからこそ、相手と四つに組まない戦い方が必要です。世の中にないものを考えるのです。試すのです。そうしたら、自動的に小さい市場が生まれます。自分でつくり出した市場です。・・・そうやって、くさびを打ち込んで必死につくった市場がニッチになります。同じものを安く作っている場合じゃないです。」(159頁)

いい言葉ですね。

大企業との戦い方が書かれています。

「ニッチは自分でつくるものです」

このくらいの気持ちをもたなければてっぺんにはいけません。

他社が真似しようと思ってもそう簡単には真似できない「何か」を取り入れることがキモですね。

ここで大切なのは、1発目から成功することを狙わないことです。

思いついたら試してみる。

どんどんやってみる。 やってみなければわからないから。

100個トライすれば、1個や2個はうまくいきます。 

大丈夫。 ほとんどの人は本を読んでも、行動には移しませんから。

本を読んだり、人の話を聞いて刺激を受けたら、行動に移す習慣をつくりましょう。

それだけで9割は成功したようなものです。

不当労働行為155(沖縄セメント工業事件)

おはようございます。

今日は、労組の申し入れた人事考課制度等を議題とする団交に応じなかったことが不当労働行為にあたるとされた事案を見てみましょう。

沖縄セメント工業事件(中労委平成28年3月2日・労判1137号93頁)

【事案の概要】

本件は、労組の申し入れた人事考課制度等を議題とする団交に応じなかったことが不当労働行為にあたるかが争われた事案である。

【労働委員会の判断】

不当労働行為にあたる

【命令のポイント】

1 人事考課については、会社の人事考課規程によれば、一時金だけではなく昇給及び昇格など組合員の労働条件に広範かつ多大な影響を及ぼし得るものである上、組合が開示を求めた査定結果は、もともと人事考課規程に基づいて考課の当事者には開示されることが予定されており、実際に、組合員に対しては、23年春闘や同年冬季一時金交渉に際して開示されていた。
しかも、開示された人事考課結果表によれば、いずれも組合員(分会員の多く)が規律性において4段階の評価区分の最低ランクに位置付けられており、沖縄県労委に対する救済申立てが相次ぐなど、当時の対立した労使関係も踏まえると、組合からみれば人事考課の公平性が疑われるのももっともな事情が認められる。また、その後、会社は、人事考課結果表の開示を一方的に中止しており、このことは、人事考課制度の運用に対する組合の不信感を増幅させるものであったと推認される
それにもかかわらず、会社においては、査定結果について被評定者が意見を述べることのできる仕組み(苦情処理機関)がないことから、組合としては、組合員の査定に対する疑念を解消するには、団交で査定結果の開示や査定根拠の説明等を求めるほかなく、人事考課制度の運用について問題を提起し、査定結果の開示等について機関を設けて協議するよう求めていたものである。
これらの事情からすると、人事考課制度の在り方は、本件労使関係において従来から懸案事項であったということができる。

2 ・・・したがって、会社は、人事考課制度等の問題を議題とする本件制度団交申入れに対して、合理的な理由のない回答に終始して速やかに応じなかったものであり、本件団交申入れに対する会社の上記対応には「正当な理由」(労組法7条2号)がなかったものと認められる。

上記の事情からすると、不当労働行為と判断されてもやむを得ないと思われます。

会社側としては気が進まないのは理解できますが、大局的な判断が求められるところです。

組合との団体交渉や組合員に対する処分等については、まずは事前に顧問弁護士から労組法のルールについてレクチャーを受けることが大切です。決して素人判断で進めないようにしましょう。

本の紹介598 限界の正体(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間がんばりましょう。

今日は本の紹介です。
限界の正体 自分の見えない檻から抜け出す法

為末さんの本です。

為末さん、同級生なんですね。

為末さんが考える「限界の正体」とその克服法について書かれています。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

今いる世界で限界を感じるのなら、横を向いてみる。そこには、さらに上に続く階段があるかもしれません。限界とは、今いる世界での限界なのです。自分は、どの世界の、どんなルールだったら戦えるのかに気づいた人ほど、限界の檻から脱出できると思います。」(135頁)

・・・ただし、方向転換にも注意が必要です。僕がハードルではなく、砲丸投げに転向していたら、メダルは取れなかったでしょう。路線転換をするときは、ゼロからまったく新しいことをはじめるよりも、今の自分が持っている本質的な要素を60~70%引き継ぐほうが、限界から抜け出すのに役立つのだと思います。」(137頁)

まずは、限界を感じるところまで圧倒的な努力を積み重ねることです。

多くの場合、私たちが感じる「限界」は、為末さんが言うところの「限界」よりもかなり低いところにある「限界」です。

「今いる世界で限界を感じる」というのは、言うほど簡単ではないのではないでしょうか。

自分の力のなさを感じながらも、日々、もがきながら進んでいくしかないようにも思います。

才能がない以上、自分ができるのは、唯一、人よりも多く努力をし続けることだけです。

解雇211(あじあ行政書士法人事件)

おはようございます。 今週も一週間お疲れ様でした。

今日は、解雇無効に基づく逸失利益についての損害賠償請求が一部認められた裁判例を見てみましょう。

あじあ行政書士法人事件(東京地裁平成28年4月20日・労判ジャーナル53号35頁)

【事案の概要】

本件は、Y社の元従業員が、Y社から不当に解雇されたとして、Y社に対し、雇用契約上の権利を有する地位の確認を求めるとともに、上記解雇が不法行為に当たるとして、500万円の損害賠償を求めた事案である。

【裁判所の判断】

地位確認等請求は棄却

損害賠償請求は一部認容

【判例のポイント】

1 本件雇用契約には6か月間の試用期間の定めがあり、解約権留保付労働契約とみるべきであるから、試用期間中にした本件解雇は、かかる留保解約権を行使した趣旨と認められるところ、本件解雇は、元従業員の入社後わずか2週間ほどでされたものであり、その解雇理由として挙げる元従業員の営業活動の実態といった点に対しても十分な事実確認、注意指導等を与えた経過が認められず、その他の解雇理由も、およそこのような時期に解雇(留保解約権の行使)を即断するに足りるような事情には当たらないのであって、これら本件解雇の時期、理由、経緯等に照らせば、本件解雇は、元従業員の労働者としての権利を不当に侵害する態様でされた違法なものというべきであり、かつ、Y社においてその点に故意・過失があるものというべきであるから、Y社は、本件解雇について不法行為責任を負い、元従業員に対し、本件解雇により生じた損害を賠償すべき責任を負うものと解するのが相当である。

2 Xは、ハローワークお求人票に月収が14万6000円から60万円と幅のある記載がされていたことから、入社後に自分の仕事ぶりや成果を踏まえて交渉し、50万円ほどの月収を得られるものと期待して入社したこと、仮に6か月間の試用期間中、変わらず月額20万円程度の賃金しか支払われないのであれば、試用期間経過後には自己の売上額の4分の1程度まで月収が上がる仕組みだったとしても、そのような条件でY社の下で働き続ける意思はなく、いずれにしても早期に退職する意向であったことが認められるのであって、そうだとすれば、Xに真にY社の下で就労する意思があるものとは認められないから、Xの上記地位確認請求は理由がないものといわざるを得ない

3 Xは、試用期間中の賃金が月額20万円程度にしかならないのであれば早期に退職する意向であったものであるから、仮に本件解雇がされなかったとしても、元従業員は2か月ほど勤務を続けた時点(最初の賃金を支給される頃)でY社を退職していた蓋然性が高いというべきであるところ、Xは、Y社から、在職中の賃金として10万7500円の支払いを受けていることが認められるから、逸失利益を算出するに当たっては上記受領済みの額を控除すべきであるから、本件解雇と相当因果関係のある元従業員の逸失利益の額は、・・・29万2500円と認められる。

解雇自体は違法だとしつつも、XにY社で継続的に就労する意思がないと認定し、わずかな金額だけを損害として認定した事案です。

解雇事案において、労働者の就労の意思が争点となることは珍しくありませんので、是非参考にしてください。

解雇を選択する前には必ず顧問弁護士に相談の上、慎重かつ適切に対応することが肝心です。決して、素人判断で進めないようにしましょう。

本の紹介597 男が人生で捨てていいもの いけないもの(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は本の紹介です。
男が人生で捨てていいもの いけないもの (だいわ文庫)

さまざまな著名人の名言を引用しながら、「男はかくあるべし」という男道を説いています。

私は非常に共感する人種ですが、草食系のみなさんには違和感がある内容かもしれません。

とてもいい本です。 おすすめです。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

・・・たしかに、現実に出世願望を口にすると、とたんに周囲の風当たりは強くなる。『あいつは、出世しか頭にないんだから』ビジネスの世界でさえ『そんなにがっつくなよ』という、悪しき馴れ合いがまだ幅をきかせている。上昇志向を持つことで顰蹙を買うならどんどん買ったらいいと私は思っているのだが、最近のビジネスマンは妙にお行儀がよすぎて、顰蹙を買う手前で尻込みしている。ビジネスマンが出世競争を自粛してどうするのだといいたい。」(132~133頁)

最後の「ビジネスマンが出世競争を自粛してどうするのだといいたい」はいいですね。

私も同感です。

営業マンが営業成績トップを目指さないでどうするのか、と思います。

これは営業マンに限りません。

日本は今後ますます残業時間の規制が厳しくなり、ワークライフバランス重視になってきます。

限られた時間で成果を出すことがより一層求められていることを意識する必要があります。

私たち弁護士のように、やりたいだけ仕事ができる職種にはあまり関係のない話ですが、労働基準法等が適用される方にとっては、これまで以上に成果を出す「工夫」が求められるでしょう。

つまりは、戦い方を変えていかなければ勝ち残れない日がくるわけです。