解雇198(日本航空(客室乗務員)事件)

おはようございます。 今週も一週間お疲れ様でした。

今日は、休職をしていた客室乗務員に対する整理解雇に関する裁判例を見てみましょう。

日本航空(客室乗務員)事件(大阪地裁平成27年1月28日・労判1126号58頁)

【事案の概要】

本件は、被告の会社更生手続中に更生管財人が行った整理解雇の対象となった原告が、整理解雇は無効であるとして、①労働契約上の地位にあることの確認と、解雇後、平成23年1月支払期から本判決確定までの賃金の支払を求めるとともに、②原告に対する整理解雇や退職勧奨が違法なものであったとして、損害賠償を求める事案である。

【裁判所の判断】

解雇無効

【判例のポイント】

1 本件整理解雇は、対象とされる労働者に解雇されるに足りる責めに帰すべき事由がないにもかかわらず行われるものである以上、仮に人員削減の必要性が肯定できるとしても、解雇されるか否かを分ける本件人選基準の設定については、もちろん使用者側の裁量が認められることは否定できないものの、恣意的なものであってはならず、解雇されなかった労働者との比較において、当該労働者に解雇を受忍させるに足りる合理性が必要というべきである。
本件整理解雇における人選基準は、(a)病欠・休職等基準(復帰日基準も含む)、(b)人事考課基準、(c)年齢基準で構成されている。
病欠・休職等基準については、客観的な基準をもって対象者を選定するものであり、Y社の恣意性が入る余地がないほか、私傷病等による休職・病欠がある者については、客観的な事実として、現実に一定期間就労していないのであるから、当該期間に休職・病欠することなく現実に勤務していた他の労働者と比較した場合に、Y社の業務に従事していないという点において、Y社に対する貢献度が劣ると評価せざるを得ないし(これは、当該労働者の業務遂行能力が、他の労働者と比較して劣るということを意味するものではない。)、また、将来の貢献度を想定するにあたっても、過去に休職・病欠がある者は、ない者と比較した場合に、相対的に劣る可能性があると判断することも、あながち不合理ともいえない

2 病欠・休職等基準該当者の中でその後に乗務復帰している者については整理解雇の対象から除外するという新たな対象者を絞る要件(復帰日基準)を付加した以上、その基準日については、手続的にできるだけ本件解雇通知に近い遅い時期とするのが合理的であり、同基準を付加した本件人選基準を示した本件人選基準変更日(同年11月15日)とすることに技術的・現実的な支障があることもうかがわれないにもかかわらず、少なくとも復帰日基準の基準日とした同年9月27日から復帰日基準を公表した同年11月15日の間に乗務復帰した者を、依然として、本件整理解雇の対象にとどめることには合理的な理由がないといわざるを得ない
・・・本件人選基準については、基準日の前後で本件整理解雇の対象になるか否か重大な差異が生じるからこそ、基準日の設定の合理性はより厳格に審査しなければならないのであって、そのことがY社の主張するような基準日の設定に関するY社の広範な裁量を根拠づけることにはならない。しかも、前記で判示したことは、単に基準日の前後で復帰日基準の適用の効果が分かれて不合理であるというのではなく、同基準を付加した趣旨とその基準日の設定が整合していないから不合理であるというものであって、Y社の上記主張は理由がない。

3 整理解雇が無効であり、雇用契約上の地位を有することが確認され、いわゆるバックペイが支払われることで、労働者としての地位が回復され、また、経済的損害も填補されることからすれば、整理解雇が解雇権の濫用に当たるとして無効となる場合であっても、そのことをもって直ちに不法行為が成立することになるものではなく、当該整理解雇が、当該労働者を排除することのみを目的としたり、当該労働者に対する嫌がらせとして行われたものであるなど、その手段・態様に照らし、著しく社会的相当性に欠けるものである場合に、不法行為に当たると解するのが相当である。
これを本件についてみると、本件整理解雇が解雇権の濫用として無効となるのは、Y社が当初の人選基準案を公表した後、その後、労働組合からの要望を受けて、復職日基準を追加して本件人選基準を公表したものの、復職日基準の基準日を人選基準が確定した日ではなく、当初の人選基準案を発表した日とした点が合理性を欠くと判断されたためであるものの、Y社によるそのような復職日基準の基準日の設定が、Xに対する嫌がらせであるなど著しく社会的相当性を欠くとまではいえず、ほかに、本件整理解雇が、著しく社会的相当性に欠けるものであることをうかがわせる事情があることを認めるに足りる証拠もない

ぎりぎりのところで無効となっている感じがします。

上記判例のポイント3に書かれているとおり、裁判所は、人選基準に合理性がないというところで解雇を無効としています。

裁判体が変われば解雇が有効と判断される可能性は十分残されていると思います。

解雇を選択する前には必ず顧問弁護士に相談の上、慎重かつ適切に対応することが肝心です。決して、素人判断で進めないようにしましょう。

本の紹介536 情熱・熱意・執念の経営(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は本の紹介です。
情熱・熱意・執念の経営 すぐやる! 必ずやる! 出来るまでやる!

日本電産の永守社長の10年以上前に出版された本です。

仕事に対する情熱・熱意・執念が本当に伝わってきます。

経営者に限らず、経営者を目指している人は、必ず読んでおくべき一冊です。

おすすめです。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

三十年以上の間にたくさんの社員を採用してきました。その中で、つくづく感じることは、人間の能力には大差がないということです。人の総合的な能力の差というのは、天才は例外としても、秀才を含めてせいぜい五倍、普通は二、三倍程度の違いしかありません。しかし、やる気、意欲、意識の差は百倍の開きがあると感じています。つまり、高い能力を持っていても、やる気や意識の低い人を採用するより、多少能力は劣っていたとしても、やる気や意識の高い人を採用するほうが、はるかに戦力になります。」(103頁)

私は、その人のパフォーマンスの出来不出来を決めるのは、能力だけではなく、また、やる気、意欲、意識だけでもないと思っています。

これらの要素を足し算するのではなく、かけ算することにより結果が決まってくるのだと思います。

「能力」+「やる気、意欲、意識」ではなく、「能力」×「やる気、意欲、意識」。

だから、いくら能力が10だとしても、やる気、意欲、意識が1だと10にしかならず、

逆に、能力が2でも、やる気、意欲、意識が10の人は、20になるのだと思うのです。

私を含め、自分には天才的な能力がないと思う人は、やる気、意欲、意識で勝負するのです。

能力がなく、やる気、意欲、意識もないのでは、どうにもなりません。

人の2倍働き、3倍努力する。 脳神経外科医の福島先生の言葉が思い出されます。

有期労働契約62(エヌ・ティ・ティ・ソルコ事件)

おはようございます。

今日は、長年更新を繰り返してきたパート社員に対する雇止めに関する裁判例を見てみましょう。

エヌ・ティ・ティ・ソルコ事件(横浜地裁平成27年10月15日・労判1126号5頁)

【事案の概要】

本件は、Y社のパートタイム社員として勤務していたXが、Y社との間で15年7か月にわたり期間1年又は3か月の雇用契約を約17回更新してきたにもかかわらず、Y社が平成25年11月28日にXの業務遂行能力不足ないしY社の業務上の理由により同年12月31日をもってXを雇止めにしたのは、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上不相当であると主張して、Y社に対し、雇用契約が更新されたものとして雇用契約上の地位確認を求めるとともに、本件雇止め後の賃金・賞与及び遅延損害金の各支払を求めた事案である。

【裁判所の判断】

雇止めは無効

【判例のポイント】

1 Y社は、NTTのグループ会社からコールセンター業務を受託して運営することを主な業務としているところ、Xが従事していた104業務は、受託業務の中でも長く受託されてきた業務であり、規模が縮小しているとはいえ、同様に長く受託してきた他の業務が終了したり、一部の業務は他社に移行したりする中で、一定の人員が確保され、なお継続しているもので、Y社の恒常的・基幹的業務であると認められる。

2 ・・・Xは、賃金が低くパートタイム社員と扱われているが、一般の常用労働者とほぼ変わらない勤務条件で勤務していたものと認められる。
さらに、Xの雇用契約更新状況をみると、約17回の更新を経て勤続年数が15年7か月に及んでおり更新手続は、契約期間終了前後にロッカーに配布されるパートタイマー雇用契約書に署名押印し、これを提出するというごく形式的なものであり、形骸化していたといわざるを得ない。
この点、B所長は、更新の際に面談等をしていたと証言するが、その内容は具体性を欠いており、信用できない。
以上に鑑みれば、本件雇止めは、期間の定めのない雇用契約における解雇と社会通念上同視できると認めるのが相当である。
したがって、X・Y社間の雇用契約は労働契約法19条1号に該当すると認め、本件雇止めについては、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められるか否かを判断する。

3 ・・・Y社のいう他業務への転出の勧めは、他業務の内容等を掲示して紹介するというものにとどまり、他業務を希望する社員は改めて他業務の担当部署で採用面接を受けなければならず、適性がなければ採用されないのであるから、雇止め回避策としては不十分であるといわざるを得ない
また、Y社が雇止め対象者に対し雇用継続の希望を確認して他業務の紹介等をしたのは、雇止めの通告後であると認められ、通告前に個別に雇用継続の希望を確認したり、希望する業務を聴取したりしたことは認められないから、Y社の上記措置は雇止め回避策ではなく、雇止めを前提とした不利益緩和策にすぎない

4 本件雇止めについては、人員削減の必要性は存在するものの、客観的に合理的な理由あるいは社会通念上の相当性の要件充足性の程度は弱いものであるから、相応の手厚い雇止め回避措置を講じることが期待されるところ、Y社は、Y社の他業務担当部署への異動を予定していないとしても、雇止め後に引き続き円滑に他業務に従事できるよう雇止め通告前から調整を図るなど、より真摯かつ合理的な努力をする余地があったというべきであるから、人員削減の必要性の点における上記要件充足性の程度の弱さを補完するに足りる程度に手厚い雇止め回避努力がされたとは認められない

多くの裁判例が労契法19条2号事案であるのに対し、今回の裁判例は1号事案です。

どのような場合に19条1号に該当するのかをこの裁判例から読み取り、実務に活かしてください。

日頃から顧問弁護士に相談しながら適切に労務管理を行うことが大切です。

本の紹介535 田中角栄100の言葉(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間がんばりましょう。

今日は本の紹介です。
田中角栄 100の言葉 ~日本人に贈る人生と仕事の心得

田中角栄さんの言葉を集めた本です。

リーダーシップの塊みたいな方です。

とても魅力的な方です。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

戸別訪問3万軒、辻説法5万回、これをやれ。やり終えたら改めてオレのところに来い。」(164頁)

これは、選挙に出馬したいという新人の立候補希望者が角栄さんの事務所にやってくると、必ずこの言葉をかけたそうです。

まずはやるべきことをやれ、ということです。

やるべきことをやらずに成功したいと願う人が多すぎると言いたいのではないでしょうか。

いかに楽をするかばかりを考える癖がついていると、地道な努力ができない体質になってしまいます。

一度身についた癖・習慣を変えるのはとても大変なことです。

最初が肝心なのです。

不当労働行為134(H運送事件)

おはようございます。 今週も一週間お疲れ様でした。

今日は、賃上げの団交において回答の根拠となる財務諸表の持ち帰り及び書き写しを拒否したことが不当労働行為とされた事例を見てみましょう。

H運送事件(大阪府労委平成27年7月28日・労判1124号91頁)

【事案の概要】

本件は、賃上げの団交において回答の根拠となる財務諸表の持ち帰り及び書き写しを拒否したことが不当労働行為にあたるかが争われた事案である。

【労働委員会の判断】

不当労働行為にあたる

【命令のポイント】

1 Y社は、①そもそも、労働組合に使用者の会計書類の閲覧謄写請求権はない旨、②Y社は、団交の席上において、資料を提示し、閲覧に応じたものであり、さらには、専門家の同道を条件に、会社備付けの会計書類の閲覧を申し出たのであるから、組合の資料提出要求への対応としては、それで必要かつ十分である旨主張する。
しかしながら、労働組合に使用者の会計書類の閲覧謄写請求権があるか否かの問題と、会計書類についての使用者の団交における対応が不当労働行為に当たるか否かとは別の問題であり、Y社の①の主張には理由がない。
Y社の②の主張については、確かに、使用者は、団交に際し、労働組合が求める資料の全てを開示し、提供することまで求められるものではない。しかしながら、使用者は、団交での労使の合意形成に向けて、自らの主張を十分に説明し、相手方の理解を得る努力をしなければならず、これらを怠った場合には、使用者の対応は不当労働行為となり得るものである

2 ・・・そうすると、Y社は、24年春闘に係る団交において、組合の要求に応じられない理由を十分に説明し、組合の理解を得る努力をすることなく、組合が求めた資料の持ち帰り及び書き写しを拒否したのであって、かかるY社の行為は不誠実であり、労働組合法第7条第2号に該当する不当労働行為である。

会社の気持ちはわからないではありませんが、残念ながら不当労働行為にあたります。

経営者のみなさんは、まずは団体交渉のルールを過去の事例等から一通り勉強する機会を設ける必要があります。

多くの場合、ルールを知らないことが原因とトラブルが拡大化しているように思いますので。

組合との団体交渉や組合員に対する処分等については、まずは事前に顧問弁護士から労組法のルールについてレクチャーを受けることが大切です。決して素人判断で進めないようにしましょう。

本の紹介534 なぜ、成功者たちは「フシギな習慣」を持っているのか?(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は本の紹介です。
なぜ、成功者たちは「フシギな習慣」を持っているのか? ~すぐできる医科学的にも正しい成功法則44

タイトルの通り、成功者のみなさんの習慣を集めた本です。

なかにはどんな意味があるのかよくわからない習慣もありますが、多くは納得できる習慣ですね。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

一日の時間の98%は今日、明日と繰り返される毎日の本業のために使い、あとの2%は10年または20年先のために使いなさい」(糸川英夫)(83頁)

言うは易く行うは難し。

これを毎日毎日継続できる人は、5年後、10年後、間違いなく頭角を現しています。

わかっちゃいるけどできないのが人間です。

愚直にこれをやり続ける人にこそ成功が約束されているわけです。

毎日、必ず30分は日常の仕事とは直接関係のない勉強にあてる。

毎日、通勤電車の行き帰りの時間、スマホでゲームをするかわりに、資格試験の勉強をする。

やろうと思えば、誰でもできることですが、多くの人はなかなか続かないのです。

習慣の力を知っている人であれば、もはや特別な話ではありません。

あとはやるかやらないか。 やり続けるか、途中で投げ出すかだけです。

解雇197(泉北環境整備施設組合事件)

おはようございます。

今日は、不正アクセス等を理由とする懲戒・分限処分の取消請求に関する裁判例を見てみましょう。

泉北環境整備施設組合事件(大阪地裁平成27年1月19日・労判1124号33頁)

【事案の概要】

本件は、Y社に勤務する公務員であるXが、Y社の情報ネットワークシステムを構築し、その管理運営の最高責任者であった立場を利用し、人事異動後もその閲覧権限を不適正に使用し、他の職員のフォルダへ侵入していたとの理由で、処分行政庁から、地方公務員法29条1項各号に基づき20日間の停職とする旨の懲戒処分及び同法28条1項3号に基づき課長から主幹へ降任する旨の分限処分を受けたことについて、いずれの処分も、Xは本件システム上の権限を不適正に使用したことはないことや、他の関与者に対する懲戒・分限処分との比較等からすれば重きに失する点で実体法上違法であり、本件各処分に係る手続に関与すべきでない者が関与している点で手続上も違法であると主張して、その取消しを求める事案である。

【裁判所の判断】

請求棄却

【判例のポイント】

1 公務員に対する懲戒処分は、当該公務員において国民全体の奉仕者として公共の利益のために勤務することをその本質的な内容とする勤務関係の見地において、公務員としてふさわしくない職務上の義務違反その他の非行がある場合に、その責任を確認し、公務員関係の秩序を維持するために科される制裁である。そして、地公法は、同法所定の懲戒事由がある場合に、懲戒権者が懲戒処分を行うかどうか、懲戒処分を行うときにいかなる処分を選択すべきかについて、具体的な基準を設けていないから、その決定は懲戒権者の裁量に任されているものと解されるところであり、懲戒権者がこの裁量権の行使としてした懲戒処分は、これが社会観念上著しく妥当を欠いて裁量権を付与した目的を逸脱し、これを濫用したと認められる場合でない限り、違法とならないものというべきである(最判昭和52年12月20日・神戸税関事件)。

2 地公法28条の分限制度は、公務の能率の維持及びその適正な運営の確保の目的から、同条に定める処分権限を任命権者に認める一方、公務員の身分保障の見地から、その処分権限を発動し得る場合を限定したものである。分限制度のこのような趣旨・目的に照らし、かつ、同条に掲げる処分事由が、被処分者の行動、態度、性格、状態等に関する一定の評価を内容として定められていることを考慮すると、同条に基づく分限処分については、任命権者にある程度の裁量権は認められるが、分限制度の上記目的と関係のない目的や動機に基づいて分限処分を行うことが許されないのはもちろん、処分事由の有無の判断についても恣意にわたることは許されず、考慮すべき事項を考慮せず、考慮すべきでない事項を考慮して判断するとか、また、その判断が合理性のある判断として許容される限度を超えた不当なものであるときは、裁量権の行使を誤った違法なものとの評価を免れないというべきである

3 そして、地公法28条1項3号にいう「その職に必要な適格性を欠く場合」とは、当該職員の簡単に矯正することのできない持続性を有する素質、能力、性格等に起因してその職務の円滑な遂行に支障があり、又は支障を生ずる高度の蓋然性が認められる場合をいうと解されるが、この意味における適格性の有無は、当該職員の外部に現れた行動、態度に徴してこれを判断するほかはなく、その場合、個々の行為、態度につき、その性質、態様、背景、状況等の諸般の事情に照らして評価すべきことはもちろん、それら一連の行動、態度については相互に有機的に関連付けてこれを評価し、さらに当該職員の経歴や性格、社会環境等の一般的要素を含む諸般の要素を総合的に検討した上、当該職に要求される一般的な適格性の要件との関連において判断しなければならない。そして、降任の場合における適格性の有無については、公務の能率の維持及びその適正な運営の確保の目的に照らし、裁量的判断を加える余地を比較的広く認めても差し支えないものと解される(最判昭和48年9月14日・広島権教委事件)。

公務員の場合、通常の労働事件の場合とは異なる規範を用います。

行政事件でよく用いられる裁量権の逸脱・濫用の有無を判断する規範が用いられています。

解雇を選択する前には必ず顧問弁護士に相談の上、慎重かつ適切に対応することが肝心です。決して、素人判断で進めないようにしましょう。

本の紹介533 心臓外科医の覚悟(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は本の紹介です。
心臓外科医の覚悟  角川SSC新書  医師という職業を生きる (角川SSC新書)

著者は、川崎幸病院の大動脈センター長の医師です。

いろいろな医師の本をこれまでにも紹介してきましたが、やはり一流の医師は心身ともにタフです。

本当に勉強になります。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

私のところに修業に来て、1年もしないうちに辞めていく外科医がいる。辞める理由は様々だが、共通しているのは『しんどい、つらい』ということ。・・・そもそも医者→外科医→心臓外科医→大動脈外科医という順番で過酷になることは、最初からわかっていたのではなかったのか。最初からわかってはいたが、『こんなに大変とは思わなかった・・・』となる。たとえば、自分があの山の頂上まで登ろうと決めたとき、それは条件をつけてから登り始めてはいないだろうか。口では『頂上まで登ります』と言っておきながら、自分の中では、『途中に大変な箇所がなければ、頂上まで行く』、という条件をつけて登る人間が多い。そのような人間は、途中で困難に出くわすと、頂上に行くことをあっさりあきらめてしまう。
そうではない。自分が頂上まで登ると決め、覚悟したからには、どんな困難があっても、目の前の壁を突破して、最後まで登り切らなければならない。その覚悟がないために、途中で挫折するのではないか。」(120~121頁)

この文章でキモとなるのは、「覚悟」という2文字です。

これは医師に限らず、弁護士もそうですし、どんな仕事でも同じです。

ハードワークをする覚悟もないのに、人を助けようなどと思うこと自体がそもそも間違っているのだと僕は思います。

自己犠牲を厭わず、自分を頼ってくれる人のためにどれだけ汗をかけるのか。

そのことを天職だと思えるのか。

そう思える人にとって、医師や弁護士という仕事は本当に天職です。

そう思えない人にかぎって、天職を探して転職を続けるのでしょうね。

職場を変えても、天職を探しているうちは永遠に天職など見つかりません。

天職とは探すものではなく、そう感じるものだからです。

本気で人を助ける覚悟がある人だけが患者さんや依頼者に選ばれ続けるのだと信じています。

労働時間41(北九州市・市交通局(市営バス運転手)事件)

おはようございます。 今週も一週間がんばりましょう。

今日は、待機時間の労働時間性と未払賃金等請求に関する裁判例を見てみましょう。

北九州市・市交通局(市営バス運転手)事件(福岡地裁平成27年5月20日・労判1124号23頁)

【事案の概要】

本件は、北九州市交通局に雇用され、市営バスの運転手として勤務するXらが、Y社に対し、時間外割増賃金の一部が未払であると主張して、未払時間外割増賃金及び遅延損害金の支払を求めた事案である。

【裁判所の判断】

Y社はXらに対し、各未払残業代を支払え。

*X1:85万6087円、X2:74万2700円、X3:80万0300円、X4:72万8600円、X5:121万5371円、X6:78万5100円、X7:91万1250円、X8:108万1250円、X9:82万7500円、X10:121万1507円、X11:92万1800円、X12:95万5350円、X13:100万9010円、X14:36万6300円

【判例のポイント】

1 労基法上の労働時間とは、労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間をいい、実作業に従事していない時間(「不活動時間」という。)が労基法上の労働時間に該当するか否かは、労働者が不活動時間において使用者の指揮命令下に置かれていたものと評価することができるか否かにより客観的に定まるものというべきである。そして、不活動時間において、労働者が実作業に従事していないというだけでは、使用者の指揮命令下から離脱しているということはできず、当該時間に労働者が労働から離れていることを保障されていて初めて、労働者が使用者の指揮命令下に置かれていないものと評価することができる。
したがって、不活動時間であっても労働からの解放が保障されていない場合には労基法上の労働時間に当たるというべきである。そして、当該時間において労働契約上の役務の提供が義務付けられていると評価される場合には、労働からの解放が保障されているとはいえず、労働者は使用者の指揮命令下に置かれているというのが相当である。

2 Xら乗務員は、調整時間中において、乗客の有無や周囲の道路状況等を踏まえて、適切なタイミングでバスを移動させることができるよう準備を整えておかなければならず、また、バスの移動業務がない転回場所やバスの移動業務を終えた後においては、実作業が特になければ休憩をとることができるものの、バスから離れて自由に行動することまで許されているものではなく、一定の場所的拘束性を受けた上、いつ現れるか分からない乗客に対して適切な対応をすることができるような体制を整えておくことが求められていたものであるから、乗務員らは、待機時間中といえども、労働からの解放が保障された状態にはなく、使用者の指揮監督下に置かれているというべきである
よって、本件の事実関係の下においては、転回時間であるか待機時間であるかを問わず、調整時間の全てが労基法上の労働時間に該当するというべきである。

最高裁の考え方からすれば、結論としてはやむを得ないですね。

労働時間に関する考え方は、裁判例をよく知っておかないとあとでえらいことになります。事前に必ず顧問弁護士に相談することをおすすめいたします。

本の紹介532 成功する人の考え方(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間お疲れ様でした。

今日は本の紹介です。
成功する人の考え方

成功している人たちを観察すると、一定の共通点が見つかりますが、

この本はそれらをまとめた本です。

いきなりすべてを真似することは難しいですが、たった1つでも真似をするだけでも、確実に力がつくように思います。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

戦国時代に山中鹿之助という武将がいた。・・・彼は自ら困難を望んだ。そしてこの有名な言葉を残した。
『願わくば、我に七難八苦を与えたまえ』
成功には必ず問題がついてくる。・・・問題があっても慌てる必要はない。問題は、キミを未来へと運ぶための通らなければならない階段なのだ。」(151頁)

いざ問題が起きたときの心構えとして、山中鹿之助さんのこの言葉はとても参考になります。

発生した問題について、直視し、慌てることなく、できる対応をとる。

問題から目を背けるのではなく、正面から対応することでしか先に進めないのです。

いかに問題が起こらないようにするかも当然大切ですが、それと同じくらい大切なのは、いざ問題が起こったときにどのように対応するか、なのだと思います。