本の紹介381 絶対に会社を潰さない 社長の時間術(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間がんばりましょう!

今日は、本の紹介です。
絶対に会社を潰さない 社長の時間術

小山社長の本です。

私の本棚には、小山社長の本がかなりの数、並んでいます。

会社経営に対する考え方について、いつも勉強させていただいております。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

人間は失敗からしか学べません。失敗することは貴重な体験です。失敗しなかった人は、傷つかないでラッキーなようだが、絶対に大成しません。それに何もかもうまくいくと本人が生意気になってしまう。自分は実力があると思って天狗になります。ところが要所要所で失敗をさせると、素直になる。謙虚になって、また学びます。そのためにも、失敗させることは不可欠なのです。新たなチャレンジは失うものもあります。しかしその代わり得るものも多い。多くの社長は失うことを恐れて、チャレンジをやめてしまう。・・・失うものに気をとられていると、得られるはずのものも得ることができません。」(102~103頁)

「失うものに気をとられていると得られるはずのものも得ることができない」

いい言葉ですね。

チャレンジングな人生を送るのか、そうでない人生を送るのか。

どちらが正しいというよりも、どちらが楽しいのか、ということだと思っています。

何かにチャレンジして成し遂げたときのあの達成感、一度でも経験したことがある人なら、チャレンジしない人生なんて選べないのではないでしょうか。

とはいえ、来る日も来る日も刺激のない単調な生活に慣れてしまうと、ほんの少しのリスクを冒すのも怖くなってしまうものです。

あえてチャレンジしなくても、それはそれで普通に生活できてしまう環境なら無理はありません。

チャレンジングな人生を送りたいと願うのなら、常に何かにチャレンジし、変化やリスク、失敗に対する耐性をつけておくことが大切です。

心の超回復を繰り返すことが成功への必要条件なのだと思います。

賃金84(日本テレビ放送網事件)

おはようございます。 今週も一週間お疲れ様でした。

今日は、傷病欠勤者の復職拒否を相当として、復職を前提とした賃金請求を認めなかった裁判例を見てみましょう。

日本テレビ放送網事件(東京地裁平成26年5月13日・労経速2220号3頁)

【事案の概要】

本件は、Y社を傷病欠勤等していたXが、Y社に復職の申出をしたところY社からこれを拒否されたことにつき、復職拒否は正当な理由がなく、Xは復職を前提とした賃金請求権を有する旨主張して、Y社に対し、雇用契約に基づき、復職可能時から支払われるべき賃金等の支払を求める事案である。

【裁判所の判断】

請求棄却

【判例のポイント】

1 Xは、平成22年9月10日又は、同年10月26日の時点で、復職可能であったと主張するが、Y社がXの主治医に対し、文書で治療経過や症状等にかかる意見を照会したところ、平成22年10月15日付け文書回答では「今後も職場における対人関係が休職前と同様である場合には、再度症状の悪化を招く可能性があり、その点に対する配慮が必要」と記載されていたこと、Xの状態は、平成23年において、人事局員と会うのではないかと緊張して吐いてしまうなどの状態であったこと、これらの状況を踏まえ、産業医は復職可能という判断はできないとの意見であったこと、他方、Xは人事局及びビデオラウンジへのリハビリ出勤を恣意的、客観性を欠くとして拒否し続けたことなどの事実関係によれば、Y社が、Xの主治医であるD医師の意見につき、現状のままXをビデオラウンジに職場復帰させると再度症状の悪化を招く可能性があると理解したこと、その後も、Xが人事局及び原職場のリハビリ出社を経るまで、Xの休職事由が消滅したと判断できないと考えたことは、いずれも相当というべきであり、Xの復職を認めなかったことにつき、Y社に責めに帰すべき事由は認められない

2 Xは、平成23年4月11日までに復職プログラムを履践したから、平成23年4月12日以降、Y社がXの提供する労務の受領を拒絶したことには正当な理由がないと主張するが、Y社の復職プログラムでは、会社のメンタルヘルス不調者の職場復帰の可否判断について、三段階(診療所、人事局、原職)のリハビリ出勤を経る運用をしているところ、Xは、第一段階の社内診療所へのリハビリ勤務を平成23年1月5日から同年4月14日まで行ったものの、毎日社内で7時間、8時間を過ごすのはつらいなどの理由で、週2回約1時間程度社内診療所に滞在することとしてしまい、人事局、原職場へのリハビリ勤務へ進もうとしなかったこと、それまでの診療所へのリハビリ出勤において、人事局員と会うのではないかと緊張して吐いてしまうという状態であり、産業医であるE医師としては、復職した状況に近いかたちで人事局及び原職場へのリハビリ出勤をしてみないと、復職可能という判断はできないという意見であったという事情からすると、平成23年4月12日の時点では、Xが復職可能であったとは認められず、同日以降、Y社がXの提供する労務の受領を拒絶したことに正当な理由はないとは認められない。

3 以上のとおり、Xに対するY社の復職拒否はいずれも相当であって、Xの就労不能はY社の責めに帰すべき事由によるものとは認められずXの復職を前提とした賃金請求権は認められない。

復職拒否をし、退職処分をする場合、会社としては、どの程度の対応をしたらよいのかは悩ましいところです。

会社としては、今回のケースの中で、主治医に対し、意見照会をする等の対応は、参考にしてください。

また、リハビリ出社自体は、法的な義務ではありませんが、仮に復職プログラムを策定し、運用していこうと考える場合には、どのようなプログラムにしたらよいか、顧問弁護士や顧問社労士に相談してみてください。

本の紹介380 お金と感情と意思決定の白熱教室 楽しい行動経済学(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は本の紹介です。
お金と感情と意思決定の白熱教室: 楽しい行動経済学

今日も行動経済学の本です。

著者は、デューク大学の教授です。

人間の不合理さをおもしろく紹介してくれています。

人間の行動パターンには、いろんな法則があることがよくわかります。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

人は、やりがいが大切なことはわかっているが、その重要性を過小評価する傾向がある」(184頁)

普通、報酬を増やせば人々のモチベーションは上がると考えがちだ。でも、モチベーションに影響を与える要素はほかにもたくさんある。やりがい、創造、挑戦、所有、アイデンティティ、プライドなど。」(194頁)

そのとおりですね。

誰しも、どうせやるなら、やりがいのある仕事をしたいと考えるのではないでしょうか。

自分の仕事にやりがいが持てるかどうかは、もちろんその仕事の内容にもよるとは思いますが、大きくはその人の考え方の習慣によるものだと考えています。

何に対しても批判的な人は、人がうらやむような仕事をしても、何かしらの不満を言うのでしょう。

こういう人は、幸せを感じにくい人です。

怒りっぽい人も同じです。

怒りっぽい人の周りでは、不快なことが多く起こっているのではなく、自分で勝手に不快に感じているだけなのです。

世の中に不快な出来事など存在せず、不快に感じる自分がいるだけです。

世の中にやりがいのない仕事など存在せず、やりがいを感じない自分がいるだけです。

幸せは探すものではなく、感じるものです。 そういうことなのだと信じています。

解雇157(P社事件)

おはようございます。

今日は、うつ病の労働者に対する解雇に関する裁判例を見てみましょう。

P社事件(東京地裁平成26年7月18日・労経速2220号11頁)

【事案の概要】

本件は、Y社との間で労働契約を締結していたXが、Y社から平成23年9月28日付けで懲戒解雇の通知を受け、その後、平成24年2月1日付けで通常解雇の意思表示を受けたとして、それらの無効を主張し、Y社に対し、Xが労働契約上の権利を有することの確認を求めるとともに、給与及び賞与の支払い、遅延損害金、上記のY社による懲戒解雇の通知や本件解雇等がXに対する不法行為になるとして、不法行為に基づく慰謝料200万円、遅延損害金の支払いを求める事案である。

なお、Xは、平成23年6月28日、うつ病の診断を受け、同年7月8日付け休職届けにより、Y社に対し、体調不良を理由とし、同月9日から同年9月28日までの休職を申し出ていた。

【裁判所の判断】

請求棄却

【判例のポイント】

1 ・・・先行解雇に係る通知書が懲戒解雇事由として掲げるXの無断欠勤は認められるが、それは8日間のことでしかなく、この程度の無断欠勤をもって就業規則の定める「無断欠勤・・・が著しく多く」に当たるとすることはできないというべきである。そうすると、先行解雇は、そもそも解雇事由のない不適法なものであったといえる。そして本件カルテの「体調悪い、うつ状態悪化、会社から一方的に懲戒処分通知書送られてきた。」とのXの訴えの記載及びD医師の診断によれば、先行解雇によって、本件うつ病の症状が何らかの程度、増悪したものと認めることができる
しかし、Xは、先行解雇の通知書を受領した後、ユニオンからY社への抗議書の作成方法を同年10月3日に教えてもらう段取りをし、同年9月29日に午前午後と2回、甲分院を訪れ、午後にD医師を受診し、同月30日には労働基準監督署への相談を行い、その結果をD医師に電話で報告していることを認めることができるのであり、このようなXの活動報告にかんがみると、本件うつ病の増悪の程度は、重いものであったとは決していえないものであったと認めることができる。
しかも、同時に、無断欠勤の理由と無断欠勤に至る経緯、同年6月27日のY社代表者との面談によりXが退職するかどうかを検討すべきこととなっていたこと、Xにおいても同年9月28日までY社に対する休職に関する連絡を取らずにいた態度を総合考慮すると、Xにおいて、先行解雇の時点までに、Y社から、自己に対し、退職に関する決定が求められなくなり、同年6月27日の段階で予告された懲戒解雇という手段が執られない状況になったと信じるのが相当であったという状態にはなく、むしろ、自己に対する懲戒解雇のあり得べきことを予期すべきものであったといえ、そのような意味で、Y社が先行解雇を行ったことにも斟酌し得る点がないではないというべきである。
以上によれば、先行解雇の違法性は、本件解雇の社会通念上の相当性を障害する事情ではあるが、相当性の検討をする際に、考慮すべき度合いは大きくないといえる

2 Xは、Y社代理人弁護士の申入れにもかかわらず、復職を認定する資料として、Y社が業務上の指示として指定した東京医科大学病院メンタルヘルス科の受診を拒否したのであり、このようにXが本件うつ病に関する復職手続を履践することを明確に拒否したために、Y社は、就業規則上求められている復職の判断をするについての前提資料が提出されない状態の下に置かれ、そのような状況の中で、Xの主治医であるD医師から相矛盾する内容の12月及び1月の両診断書が提出され、最新の一月診断書上からは就労不能の情報を得たという経緯が認められ、しかも、一月診断書により、Xの状況について「心身の障害により、勤務に支障が出た場合」と判断したことにも合理性が肯定されるというべきであるから、本件の事実関係の下では、Y社において、さらにXやその主治医であるD医師に対する問合せを行うことなく、復職ができないものとして、「心身の障害により、勤務に支障が出た場合」と判断したことには問題がない。

本件のように、精神障害により休職しているケースにおいて、復職の可否を決定することは、いつだって悩ましいものです。

正解が見えない「ケースバイケース」の世界です。

そんな中でも、過去の裁判例からヒントを得て、考えられる適正妥当なプロセスを踏むことが大切なのです。

今回のケースも参考にしてください。

解雇を選択する前には必ず顧問弁護士に相談の上、慎重かつ適切に対応することが肝心です。決して、素人判断で進めないようにしましょう。

本の紹介379 9割の人間は行動経済学のカモである(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、本の紹介です。
9割の人間は行動経済学のカモである ―非合理な心をつかみ、合理的に顧客を動かす

経済学と心理学の中間に位置するとされているこの行動経済学ですが、業界外の人でも楽しく読めます。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

『人は変化に反応する』というのが、プロスペクト理論の基本ではあるが、・・・プロスペクト理論の基本にあるように、人は価値を絶対値で測るのではなく、変化で測る。その変化を測る際の基準が『参照点』だ。この参照点は重要で、その価値の値によって、満足や評価などの結果が左右される。・・・その他には、『感応度逓減性』がある。これはトクも損も、その値が小さいうちは、小さな変化が大きな価値変化をもたらすというものだ。トクや損の値が大きくなるにつれ、変化への反応は鈍くなる」(69頁)

なんでもそうですが、このような文章を読んだときに、「なるほど~」で終わらせるのではなく、自分の仕事に応用することがとても大切です。

というより、応用しないままにひたすら読書をすることは単なる暇つぶしになってしまいます。

暇をつぶすほど暇ではない方が圧倒的多数だと思いますので、是非とも応用をしていきましょう。

この本でも書かれているとおり、人は、モノやサービスの価値を絶対評価するのではなく、相対評価をするものです。

そうだとすれば、何と比較してもらうのがいいのかを考えればいいのです。

自分の良さがわかってもらえるように比較対象を選定するわけですね。

自分の良さを顧客にアピールしたい場合には、この点を理解することが大切なのです。

不当労働行為96(医療法人社団静和会事件)

おはようございます。 今週も一週間がんばりましょう!

今年もあと1か月ですね。 がんばりましょう!!

今日は、組合員の配置転換と不当労働行為に関する命令を見てみましょう。

医療法人社団静和会事件(中労委平成26年5月21日・労判1095号95頁)

【事案の概要】

Y社は、医療事故の再発防止のために業務体制を変更したことに伴い、検体検査業務に従事していた組合員Xを採血検査係に配置転換する旨の通知した(本件業務任命)。

Xは、組合結成時の執行委員長であり、その後は書記長を勤めるなどして、組合活動の中心的存在であった。

本件の主たる争点は、本件業務任命の不当労働行為該当性である。

【労働委員会の判断】

不当労働行為にはあたらない

【判例のポイント】

1 ①Y社は医療上の安全、信頼の確保の観点から臨床検査科に係る業務改善について早期かつ抜本的な改革が求められていたこと、②これに対しY社が採った方策が不自然・不合理なものとは認められないこと、③従前からエコー検査の技能習得の指示があったが、X組合員は本件体制変更時には十分な技能を習得していなかったことが認められること、④同人は組合活動の中心的メンバーとして活動してきたが、本件業務任命当時、Y社と組合との間には本件を除き、とりたてて紛争は生じていなかったのであり、本件業務任命が同人の組合活動を嫌悪ないし抑止するために行われたと推認する事情は認められないこと等からすると、同任命後の同人の取扱い等にはいささか疑問は残らないでもないものの、本件業務任命は、医療上の安全、信頼の確保の見地から行われたものであり、X組合員が組合の組合員であること又は同人の組合活動の故に行われたものであるとみることは困難である。

客観的にみて、業務命令の内容に合理性が認められる場合には、不当労働行為とは認定されません。

組合との団体交渉や組合員に対する処分等については、まずは事前に顧問弁護士から労組法のルールについてレクチャーを受けることが大切です。決して素人判断で進めないようにしましょう。

本の紹介378 借金100億円からの脱出(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間お疲れ様でした。

今日は、本の紹介です。
借金100億円からの脱出---地獄の危機を乗り越える逆転発想経営術

マネーの虎で有名な南原社長の本です。

取引先の経営破綻が原因で一度は多額の負債を抱えたものの、そこから復活した南原社長の経営術が書かれています。

仕事が本当に好きなんだろうな、ということが伝わってきます。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

リスクを取ることは恐怖を伴う。経営にリスクはつきものだ。だとしたらリスクにどう対処するか、リスクとどう戦うか。私たちはリスク・マネジメントを習得する必要がある。それには常に自分を追い込むことが、その助けになるのだ。リスクと対峙しなければ、リスクについて真剣に考えることなどできない。・・・リスクも取らず、恐れも感じず安穏と日々を過ごしていては、事業を大きくしていけないということだ。ピンチをチャンスに、などとつまらないことは言うまい。事業はやればやるほどリスクは増えていくが、それだけ楽しいことが待っているのだ。」(32頁)

日頃、仕事の中でリスクと対峙していないと、やはりリスクに対する感覚が鈍ってしまうことはよくわかります。

リスクに対する感覚は、人によりさまざまです。

それは、育ってきた環境や現在置かれている立場、仕事などが影響しているのではないでしょうか。

リスクや恐れを感じない生活をしていると、今の生活が永遠に続くように勘違いをしてしまうのです。

でも、そんなわけありません。 これだけ社会が変化しているのですから。 しかも凄まじいスピードで。

変化するには、リスクが伴います。

成長を続けるためには、人も会社も、変化を恐れてはいけないと思います。

ナイキではありませんが、「リスク上等」という強い気持ちが必要なのです。

労働時間39(ヒロセ電機(残業代等請求)事件)

おはようございます。

今日は、変形労働時間制・事業場外労働適用の有無と残業代等請求に関する裁判例を見てみましょう。

ヒロセ電機(残業代等請求)事件(東京地裁平成25年5月22日・労判1095号63頁)

【事案の概要】

本件は、Y社において勤務していたXが、時間外労働に対する賃金及び深夜労働に対する割増賃金と付加金の支払いを求めるとともに、内容虚偽の労働時間申告書等をXに作成、提出させたとして不法行為に基づく損害賠償を求める事案である。

【裁判所の判断】

請求棄却

【判例のポイント】

1 Y社の就業規則70条2項によれば、時間外勤務は、直接所属長が命じた場合に限り、所属長が命じていない時間外勤務は認めないこと等が規定されている。
また、平成22年4月以降の時間外勤務命令書には、注意事項として、「所属長命令の無い延長勤務および時間外勤務の実施は認めません。」と明記されていること、かかる時間外勤務命令書についてXが内容を確認して、「本人確認印」欄に確認印を押していることが認められる。
・・・以上からすると、Y社においては、就業規則上、時間外勤務は所属長からの指示によるものとされ、所属長の命じていない時間外勤務は認めないとされていること、実際の運用としても、時間外勤務については、本人からの希望を踏まえて、毎日個別具体的に時間外勤務命令書によって命じられていたこと、実際に行われた時間外勤務については、時間外勤務が終わった後に本人が「実時間」として記載して、翌日それを所属長が確認することによって、把握されていたことは明らかである。
したがって、Y社における時間外労働時間は、時間外勤務命令書によって管理されていたというべきであって、時間外労働の認定は時間外勤務命令書によるべきである

2 Y社の旅費規程には、出張(直行、直帰を含む)の場合、所定就業時間勤務したものとみなすと規定されており、出張の場合には、いわゆる事業場外労働のみなし制(労基法38条の2)が適用されることになっている。実際にも、Xの出張や直行直帰の場合に、時間管理をする者が同行しているわけでもないので、労働時間を把握することはできないこと、直属上司がXに対して、具体的な指示命令を出していた事実もなく、事後的にも、何時から何時までどのような業務を行っていたかについて、具体的な報告をさせているわけでもないことが認められる。Xも、出張時のスケジュールが決まっていないことや、概ね1人で出張先に行き、業務遂行についても、自身の判断で行っていること等を認めている(X本人)。なお、Xは、Y社がXに指示していた業務内容からして必要な勤務時間を把握できたはずであると主張しているが、かかる事実を認めるに足りる具体的な事実の指摘はなく、Xの主張を認めるに足りる証拠はない。
以上からすると、Xが出張、直行直帰している場合の事業場外労働については、Y社のXに対する具体的な指揮監督が及んでいるとはいえず、労働時間を管理把握して算定することはできないから、事業場外労働のみなし制(労基法38条の2第1項)が適用される

3 Xは、出張や直行直帰の日については、事前に訪問先や業務内容について具体的な指示を受け、指示どおりに業務に従事していたと主張する。しかしながら、Xの訪問先や訪問目的について、Xが指示を受けていたことは認められるが、それ以上に、何時から何時までにいかなる業務を行うか等の具体的なスケジュールについて、詳細な指示を受けていた等といった事実は認められず、Xの事業場外労働について、Y社の具体的な指揮監督が及んでいたと認めるに足りる証拠はない。

労働時間に関し、非常に参考になる裁判例です。

使用者側のみなさんは、是非、この裁判例を参考にして社内規程の作成、運用をしてみてください。

労働時間に関する考え方は、裁判例をよく知っておかないとあとでえらいことになります。事前に必ず顧問弁護士に相談することをおすすめいたします。

本の紹介377 不変のマーケティング(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は本の紹介です。
不変のマーケティング

このブログでも頻繁に紹介する神田さんの本です。

マーケティングど真ん中の本です。

いろんなアイデアが紹介されているので、とっつきやすいものから実践していけば、おもしろいのではないでしょうか。

いつも2000円弱で神田さんからいろんなヒントをいただいています。 感謝してます。

今回の本は、かなり実践的で細かいハウツーが書かれています。

いかに自分の業界に応用できるかが鍵となりますね。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

・・・さらに重要なことは、『来店するメリット』を述べるだけでなく、『来店しないデメリット』を述べることだ。一般的に言って、人間は『新たなメリットを得る』ために行動するよりも、『現在あるデメリットを回避する』ために行動する動機のほうが強い。・・・たとえば、『この学習法を知れば、成績は倍になる』という話よりは、『もっと成績が良くて当たり前なのに、この学習法を知らないために、本来の半分の成績しか得られない』という話のほうが、より感情を揺り動かすのだ。」(51~52頁)

マーケティングは、心理学的な側面を多分に含んでいます。

同じことを相手に伝える場合でも、手段、場所、時間等によって、伝わり方が異なります。

相手に自分の考えをもっと伝えたい、という場合、マーケティングの発想は大変役に立ちます。

マーケティング会社に限らず、多くの人が日常の仕事の中で、マーケティングの発想を取り入れると表現方法が変わってくるのではないでしょうか。

不当労働行為95(南島原市事件)

おはようございます。 今週も一週間がんばりましょう。

今日は、誠実交渉義務に関する命令を見てみましょう。

南島原市事件(長崎県労委平成26年7月22日・労判1095号94頁)

【事案の概要】

本件は、Y市が、組合からのゴミ収集業務の民間委託を議題とする団体交渉において、管理運営事項であり労働条件の変更はないと主張し、議論は平行線のまま進展しなかった。

このようなY市の対応が、労組法7条2号の不当労働行為に該当するかどうかが争われた事案である。

【労働委員会の判断】

不当労働行為にあたる

【命令のポイント】

1 確かに、管理運営事項については、地公労法第7条により団体交渉の対象とすることができないとされている。しかしながら、管理運営事項であると同時に労働条件にも関する事項があれば、その労働条件に関する事項は団体交渉の対象となると解されるところである。そうすると、本件民間委託自体が管理運営事項に当たるとしても、その実施に伴い影響を受ける労働条件については団体交渉の対象となるのであり、上記のとおり、本件においては労働条件の変更がないとは認められないのであるから、市の主張を採用することはできない。

2 ・・・以上のとおり、市の主張はいずれも認めることはできず、団体交渉において「労働条件の変更とは考えていない。管理運営事項であり、事前協議や団体交渉の対象ではない」という姿勢を頑なにとり続けた市の対応に合理的な理由を見出すことは困難である。
したがって、このような市の対応は、合意達成の可能性を模索する態度と評価することはできず、労組法7条2号の団交拒否(不誠実団交)に該当すると判断せざるを得ない。

上記判例のポイント1は理解しておきましょう。

組合との団体交渉や組合員に対する処分等については、まずは事前に顧問弁護士から労組法のルールについてレクチャーを受けることが大切です。決して素人判断で進めないようにしましょう。