本の紹介1130 クリエイティブ思考の邪魔リスト(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は本の紹介です。

タイトルのとおり、クリエイティブ思考を邪魔するものを15個紹介してくれています。

これらをできるだけ取り除くことによって、よりクリエイティブな仕事ができるようになるということです。

いずれの内容も、奇を衒っておらず、頷けるものです。

おすすめです。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

めまぐるしく変化しつづける世の中で、『変わらなきゃ』と思いながらも変われないでいる人は、付き合う人を変えるのがいいと僕は思っています。経営コンサルタントの大前研一さんは、人生が変わる方法は三つしかないと断言しています。1番目は時間配分、2番目は住む場所、3番目は付き合う人。それぞれを変えることで人生が変わる、と。」(123頁)

こんなことは、分かっている人からすると、「何をいまさら」という感じだと思います。

ずっと前からやっているよ、という当たり前のことです。

ある人は当たり前にやり、ある人はどこまでいってもやらない。

世の中とはそういうものです。

いつの世も、成功する人は成功する理由があり、その逆もまたしかり。

やるべきことをやっているかどうか。否、やり続けているかどうか。

ただそれだけの差です。

退職勧奨17 試用期間の延長の可否・程度(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、試用期間の延長の有効性に関する裁判例を見てみましょう。

明治機械事件(東京地裁令和2年9月28日・労判ジャーナル105号2頁)

【事案の概要】

本件は、産業用機械の制作、販売等の事業を営むY社との間で試用期間のある労働契約を締結していた既卒採用の従業員Xが、Y社に対し、延長された試用期間中に本採用を拒否(解雇)されたところ、その延長が無効であるとともに解雇が客観的合理的理由を欠き社会通念上も相当でなく無効であるとして、雇用契約に基づき、労働契約上の地位確認などを求めるとともに、違法な退職勧奨により抑うつ状態を発症して通院を余儀なくされたなどとして、不法行為による損害賠償請求をした事案である。

【裁判所の判断】

地位確認認容

損害賠償50万円認容

【判例のポイント】

1 本件雇用契約における試用期間は、職務内容や適格性を判定するため、使用者が労働者を本採用前に試みに使用する期間で、試用期間中の労働関係について解約権留保付労働契約であると解することができる。そして、試用期間を延長することは、労働者を不安定な地位に置くことになるから、根拠が必要と解すべきであるが、就業規則のほか労働者の同意も上記根拠に当たると解すべきであり、就業規則の最低基準効(労契法12条)に反しない限り、使用者が労働者の同意を得た上で試用期間を延長することは許される
そして、就業規則に試用期間延長の可能性及び期間が定められていない場合であっても、職務能力や適格性について調査を尽くして解約権行使を検討すべき程度の問題があるとの判断に至ったものの労働者の利益のため更に調査を尽くして職務能力や適格性を見出すことができるかを見極める必要がある場合等のやむを得ない事情があると認められる場合に、そのような調査を尽くす目的から、労働者の同意を得た上で必要最小限度の期間を設定して試用期間を延長することを就業規則が禁止しているとは解されないから、上記のようなやむを得ない事情があると認められる場合に調査を尽くす目的から労働者の同意を得た上で必要最小限度の期間を設定して試用期間を延長しても就業規則の最低基準効に反しないが、上記のやむを得ない事情、調査を尽くす目的、必要最小限度の期間について認められない場合、労働者の同意を得たとしても就業規則の最低基準効に反し、延長は無効になると解すべきである。

2 Y社が本件雇用契約の試用期間を繰り返し延長した(1回目の延長及び2回目の延長)目的は、主として退職勧奨に応じさせることにあったと推認され、これを覆すに足りる証拠は存しないから、1回目の延長についても、2回目の延長についても、Xの職務能力や適格性について更に調査を尽くして適切な配属部署があるかを検討するというY社主張の目的があったと認めることはできない

試用期間の延長はそう簡単にはできないことを理解しておきましょう。

また、試用期間中の解雇や本採用拒否は、みなさんが思っているよりもハードルが高いです。

試用期間とはいえ、決して治外法権ではないことを理解した上で、顧問弁護士に相談をしながら進めて行きましょう。

本の紹介1129 学びを最大化するTTPS(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は本の紹介です。

TTPSとは「徹底的にパクって進化させる」という意味です。

TTPという用語自体は前からありますので、まさにそれを少し進化させたものです。

タイトルだけで言わんとしていることはわかりますね。

あとは、やるかどうかの問題です。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

・・・これは仕事でも同じです。『徹底的に』パクるのです。ところが、仕事だと平気で、パクりやすいところだけパクることが少なくありません。ところが、パクりにくいところにこそ、成果を出す秘訣があったりします。そして、パクりやすいところだけを真似しても成果が出ないのです。そして、この方法はうまくいかないという話になってしまうのです。もったいなさすぎます。原因はその『方法』にあるのではなく、『徹底的に』パクらなかったからなのです。」(78頁)

表面的に模倣をしたところで、実際のところ、あまり効果はないと思います。

目に見えない努力まで徹底的に真似をしなければ、たいてい結果には結び付きません。

どんな仕事でも、一見するとわからない日々の地道な努力が輝かしい成果につながっているのです。

仕込み・準備にどれだけ時間と労力をかけるか。

料理人に限らず、すべての職業に共通することです。

メンタルヘルス5 休職命令が無効とされるのはどんなとき?(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間がんばりましょう。

今日は、休職命令の無効と退職無効地位確認等請求に関する裁判例を見てみましょう。

タカゾノテクノロジー事件(大阪地裁令和2年7月9日・労判ジャーナル105号38頁)

【事案の概要】

本件は、医療機器等の製造、販売等を目的とするY社の従業員であったXが、Y社から休職期間満了を理由に退職扱いとされたが、その前提となる休職命令自体が無効であり、Xは退職とならないなどと主張して、Y社に対し、労働契約上の権利を有する地位にあることの確認を求めるとともに、労働契約に基づき、出勤停止及び休職命令以降の未払賃金+遅延損害金の支払、また、Y社がY社の従業員によるXに対する性的言動を把握した後も配置転換等の適切な措置を取らなかったためにXが適応障害に罹患し、休業を余儀なくされたとして、不法行為又は債務不履行に基づき、休業損害等計412万3384円+遅延損害金の支払を求める事案である。

【裁判所の判断】

XがY社に対し、労働契約上の権利を有する地位にあることを確認する。

Y社は、Xに対し、582万3803円+遅延損害金を支払え。

Y社は、Xに対し、令和元年7月から令和2年3月まで毎月26日限り月額26万3640円+遅延損害金を支払え。

Y社は、Xに対し、令和2年4月から本判決確定の日まで毎月26日限り月額26万3640円+遅延損害金を支払え。

【判例のポイント】

1 Xの欠勤が続いていたわけではなかった。B産業医は、Xが適応障害というより、うつ病等他の何らかの精神疾患を発症している疑いがあるとの所見を持っていたけれども、平成29年8月17日、Xと面談した結果、「今、病気の症状は感じられなかった。現時点で、僕がXさんに対して就業制限とかアクションを起こすことはない。」旨述べており、その趣旨は、時短勤務や勤務配慮の必要がないというものであって、B産業医の判断を前提とすると、仮にXが何らかの精神疾患を発症していたとしても、時短勤務等の必要もない状況であり、そうである以上、Xが更に欠勤する必要がある状況ではなかった。加えて、B産業医は、上記面談時点で、M医師がXを診断した場合、何もないと言われると考えており、Y社が本件各受診命令において、Y社担当者立会い等を条件としていたのも、M医師が診断した場合、その診断の当否はともかく、Xの意向を尊重して、適応障害等の精神疾患を再発又は発症していない(あるいは治癒している)との判断がされるものと考えていたためと推測される。そうすると、現にXの欠勤が続いている状況ではなかった上、産業医及び主治医ともXが欠勤する必要があるとは考えていなかったのであるから、Xが私傷病により長期に欠勤が見込まれる、又はそれに準ずる事情があると認めることはできない

2 Y社における賞与は、人事考課等を経て初めて具体的な権利として発生するものであるから、退職扱いがなければ、労働契約上確実に支給されたであろう賃金には当たらない。

主治医及び産業医がともに欠勤の必要性を否定している場合において、それでもなお休職命令を発することは根拠がないと判断されてもやむを得ません。

非常に判断が難しい分野ですので、顧問弁護士に相談することをおすすめします。

本の紹介1128 6つの力を養い、理想の働き方を叶えるトレーニング(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間お疲れさまでした。

今日は本の紹介です。

6つの力とは、「分析力」「決断力」「挑戦力」「行動力」「自己肯定力」「免疫力」を指しています。

著者は、フィジカルトレーナーとして、五輪メダリストやEXILE、名だたるトップ経営者を指導してきたそうです。

帯には「ビジネスマンも、アスリートだ!!」と書かれています。

そのとおりです。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

積極的でポジティブな姿勢のもとで決断できる力には、十分な体力が欠かせません。体力に余裕があれば、心にもゆとりが生まれます。意欲や自信、前向きな気持ちも湧きやすく、客観的で冷静な判断もしやすくなります。」(64頁)

タフな仕事を続ける上で、体力が必要不可欠であることは、もはや言うまでもありません。

すぐに疲れてしまうようでは戦に勝つことはできません。

フィジカルとメンタルは密接に関連しているので、体力が衰えると精神的にも意欲や自信を維持できなくなってきます。

私は、以前から週平均4回、ジムで筋トレをし、週1、2回、ボクシングにも通っています。

そのせいか、体力の衰えは全く感じません。むしろ今が一番コンディションがいいのではないかと思うくらいです。

解雇341 自家用車への不正給油と懲戒免職処分(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、自家用車への不正給油と懲戒免職処分に関する裁判例を見てみましょう。

津市事件(津地裁令和2年8月20日・労判ジャーナル105号28頁)

【事案の概要】

Xは、津市の職員であるが、公用車の自動車燃料給油伝票を用いて、Xの自家用車に不正に給油したことを理由に、津市長Aから懲戒免職処分を受け、更に、三重県市町総合事務組合管理者Cから、退職手当等の全額を支給しないこととする退職手当支給制限処分を受けた。
本件は、Xが、津市に対し、本件免職処分が違法であると主張して、その取消しを求める(第1事件)とともに、被告組合に対し、本件制限処分が違法であると主張して、その取消しを求める(第2事件)事案である。

【裁判所の判断】

請求棄却

【判例のポイント】

1 各非違行為のうち、最も重大な非違行為である非違行為1について見ると、津市の参事であったXは、平成26年8月から平成28年11月までの間に63回にわたって、X車両を使用していたにもかかわらず、給油伝票に公用車の車両番号等の虚偽の記載をして、給油業者及び津市の担当職員を欺罔し、X車両に不正に給油を受け、津市に27万0831円の損害を与えたことが認められる。そして、津市においては、私用車を利用し、その使用料を請求できるのは、当該職員が公用車を利用することが困難な場合等に限定されており、Xの職場の公用車の配備状況からすれば、Xは、X車両を公務に利用する許可を受けて、その使用料を津市に請求することはできなかったのである。
このように、Xは、給油伝票に虚偽の記載を行うという積極的な欺罔行為によって、本来請求し得ないX車両のガソリン代を津市に支出させているのであり、この行為態様やその期間の長さ等に鑑みれば、これは相応に重い非違行為であるというべきであり、本件指針にいう詐取に該当するものであると解される。

2 以上のとおり、Xの非違行為1の態様は相応に悪質なもので、その動機に特段酌むべき事情があるともいえず、Xの地位に照らすと、この非違行為1が公務に及ぼす影響も決して軽視できるものではない。これらの事情を勘案すると、Xがその勤務状況について高い評価を得ていたこと、Xが非違行為の後には反省の態度を示し、津市のために勤務をしていること、Xは全額の被害弁償をしていることなどのXに有利な事情を勘案した上で、免職処分を選択するに当たっては特に慎重な配慮を要することを踏まえても、津市長の判断は、その裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したものと認めることはできない。

裁判官によっては、相当性の要件で解雇の有効性を否定することもあり得るかなと思います。

ときどき「え、まじで!?これでも解雇無効なの?」と思ってしまう裁判例を見かけますので、油断はできません。

解雇を選択する前には必ず顧問弁護士に相談の上、慎重かつ適切に対応することが肝心です。決して、素人判断で進めないようにしましょう。

本の紹介1127 急成長を実現する!士業の営業戦略(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は本の紹介です。

社労士と行政書士の先生方の共著です。

弁護士になりたてのころは、よくこういう本を読んでいましたが、ここ数年はめっきり減りました。

久しぶりにおもしろそうなので買ってみました。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

自分のレベルを大きく超える仕事は残念ながら入ってきません。最初から利益率が高く、取り組む価値の高い仕事が入ってくることはないのです。依頼された仕事を少しでも工夫して良い仕事にする。その積み重ねがより良い仕事を受託することにつながります。うまくいっていない人を見ると、その少しの工夫、つまり微差を大切にせずに、大きなことをしようとする傾向にある気がします。」(201頁)

まさにそのとおりです。

微差の積み重ねなので、何か大きなことをする必要はありません。

1つ1つの小さな工夫の積み重ねが大切なのです。

これは、対外的な関係のみならず、社内における上司と部下等の関係においても妥当する考え方です。

お願いされる仕事の種類・質は、その人に対する評価の表れです。

愚痴を言っている暇があったら、自分の能力・価値を高める努力をしましょう。

解雇340 代表者に対する暴行を理由とする解雇(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も1週間がんばりましょう。

今日は、代表者に対する暴行等を理由とする解雇に関する裁判例を見てみましょう。

モロカワ事件(東京地裁令和2年6月3日・労判ジャーナル104号40頁)

【事案の概要】

第1事件のうち本訴請求事件は、Y社で稼働していたXが、平成30年10月18日、Y社の代表者であるBに暴行を加えたなどとして、同年11月9日、同日付けで、Y社から普通解雇をされたところ、同解雇は無効であると主張して、Y社に対し、①雇用契約上の権利を有する地位にあることの確認と、②雇用契約に基づき、同年12月以降、本判決確定の日に至るまで毎月25日限り、月例賃金65万円の支払を求めるとともに、③雇用契約に基づき、平成28年12月25日支払分から平成30年10月25日支払分までの未払残業代875万6019円+確定遅延損害金51万3918円と翌20日から支払済みまで同様の割合による遅延損害金の支払並びに同月25日支払分の未払残業代10万0966円の支払を求め、さらに、④労基法114条に基づき、付加金885万6985円の支払、⑤不当な懲戒解雇による慰謝料請求として、不法行為に基づき、慰謝料100万円の支払をそれぞれ求めた事案である。

第1事件のうち反訴請求事件は、Y社が、Xに社宅として本件建物を賃貸していたところ、本件解雇により賃貸借契約が終了したとして、Xに対し、賃貸借契約終了に基づき、本件建物の明渡しと、債務不履行に基づき、賃貸借契約終了の日の翌日である平成30年11月10日から本件建物明渡しまで1か月当たり18万9500円の賃料相当損害金の支払を求めた事案である。

第2事件は、Y社の代表者であったBが、本件暴行によって負傷したとして、Xに対し、不法行為に基づき、治療費等の損害金100万9100円+遅延損害金の支払を求めた事案である。

【裁判所の判断】

XはY社に対し建物を明け渡せ。

Xは、Y社に対し、平成30年11月17日から建物明渡済みまで1か月当たり5万4200円の割合による金員を支払え。

Xは、Bに対し、30万9100円+遅延損害金を支払え。

Xの本訴請求はいずれも棄却

【判例のポイント】

1 Xは、Bに対し、暴行を加えたものであって、しかも、これにより、全治4週間を要する見込みの左肋骨骨折、左手足打撲の傷害を負わせたものである。しかも、Xは、暴行自体は認めつつも、Bが暴言を述べたからであるとか、Bが先に暴行をしてきたなどと主張し続けていたものであり、それ以上に適切な慰謝の措置を講じなかったものである。
しかも、Y社は、代表取締役であるBを中心に、その家族が枢要な役職を担って運営されてきた会社であって、その娘婿であるXも、そうした縁故の下、稼働してきたと推認することができる。しかるところ、本件暴行は、そうした企業活動の中心にあったBに対して行われたものであって、Y社が、これを背信行為であるとして重く見たとしても、それが不合理であるともいえない。
そうしてみると、本件暴行が酔余の所為であったことや、Xが長年Y社に勤務してきたことなど、Xに酌むことのできる事情を考慮するにしても、本件解雇が客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められないものであるとは認められない

2 Y社は、本件解雇の際、直ちに労基法20条1項本文所定の平均賃金(解雇予告手当)の支払をしておらず、その支払がなされたのは平成30年11月16日のことであると認められる。そして、所轄労働基準監督署長の除外認定を経た形跡があるとも認められず、同項ただし書所定の事由があったとまではたやすく認め難いところ、同条同項所定の措置を経ていない解雇の通知は、即時解雇としては効力を生じないが、使用者が即時解雇に固執する趣旨でない限り、通知後30日の期間を経過するか、又は通知の後に予告手当の支払をしたときは、そのいずれかのときから解雇の効力を生じるものである(最高裁判所昭和35年3月11日第二小法廷判決参照)。本件において、Y社が即時解雇に固執する趣旨であったとみるべき事情は認められないから、本件解雇は、その支払時である平成30年11月16日をもって効力を生じたものと認めるのが相当である。

前記判例のポイント2は、初歩的な判例知識ですので、押さえておきましょう。

解雇事案は必ず事前に顧問弁護士に相談の上、冷静に対応することが求められます。

本の紹介1126 常識の1ミリ先を考える。(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間お疲れさまでした。

今日は本の紹介です。

サブタイトルは、「あなたの着眼点を変える15講」です。

ヒット商品はいかにして生み出されているかがよくわかります。

業種を問わず、参考になります。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

僕の周囲には、たくさんの若い人たちがいる。僕が多くの若者と接していて感じるのは、『自分で決められない人が本当に多い』ということだ。・・・重要なのは、『答えなんかない』と知ることだ。答えがないならば、『最善の選択をする』のではなく、『自分の選択を最善にする』しかない。だから、僕は選択の場面で『どれを選んでも同じ』と思い、さっさと決めてしまう。決断に時間をかけない。重要なのは、『何を選ぶか』ではなく、『選んだ後にどうするか』だからだ。『あの時、あっちを選んでおけばよかった』と後悔ばかりしている人は、結局、どれを選んでも、うまくいかない。」(109頁)

もちろん「何を選ぶか」も重要です。

できるだけ適切な選択をすべきです。

自らの選択を後に後悔してもしかたありません。

選んだ後は、自分の選択を最善にするしかできません。

いかなる場合も、後悔しても現状は1ミリも変わりません。

人生はそれほど長くありません。

有期労働契約102 自動車接触事故の不申告を理由とする雇止め(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、自動車接触事故等の不申告を理由とする雇止めに関する裁判例を見てみましょう。

日の丸交通足立事件(東京地裁令和2年5月22日・労判ジャーナル104号44頁)

【事案の概要】

本件は、Y社においてタクシー運転手として勤務し、定年退職後は有期の嘱託雇用契約を結んで稼働していたXが、平成31年4月18日をもって受けた雇止めは無効であると主張して、労働契約に基づき、労働契約上の権利を有する地位にあることの確認+令和元年5月から本判決確定の日まで,毎月25日限り,雇止め直前3か月間の給与の平均額の一部である15万7418円+遅延損害金の支払を求める事案である。

【裁判所の判断】

請求認容

【判例のポイント】

1 Y社は、日頃から、タクシー運転手にメモを配布したり、明番集会や出庫前点呼で問題事案の発生の機会を捉えて運転手への周知を徹底するなどして、運転手が救護義務違反や報告義務違反を起こさないよう指導していたことが認められるところ、それにもかかわらず、Xが、本件接触の際、すぐに、あるいは遅くとも乗客を降車させた直後に警察や営業所に連絡しなかったことは、自転車の運転者が、後日になって事故を申告する可能性があることを考慮すれば、Y社や他の従業員にとって重大な影響を与えるおそれのある不申告であって、Y社が、Xが起こした不申告事案に対し、厳しい態度で臨まなければならないと考えることも十分理解できる。
しかし、一方で、本件接触は、左後方の不確認という比較的単純なミスによるもので、接触した自転車の運転者は、ドライブレコーダーの記録から受け取れる限り、倒れた様子は見受けられず、接触後すぐに立ち去っていることから、本件接触及び本件不申告は、悪質性の高いものとまではいえない。後に事案を把握した警察においても、本件接触や本件不申告を道交法違反と扱って点数加算していないことも踏まえれば、本件接触及び本件不申告は、警察からも重大なものとは把握されていないことがうかがわれる
また、Xは、営業を終え、車体に痕跡を発見したことがきっかけではあるものの、自分から本件接触をD補佐に報告しており、本件接触を隠蔽しようとはしていないことが認められ、報告後、現場に戻って警察に連絡することや、本社面談を受けることなどの会社の指示に素直に従い、接触の原因や不申告の重大さなどについて注意、指導を受けた内容を記憶し、反省していることも認められる。加えて、Xの車両に何らかの修理や塗装が施されたことを示す的確な証拠はなく、Xが、タクシー運転手として三十数年間、人身事故を起こすことなく業務に従事し、何度も表彰されるなど、優秀なタクシー運転手であったこと、本件接触のような一見する限り怪我がないように見える接触の相手方が無言で立ち去ってしまった場合に、警察に報告しなければならないことが頭に浮かばなかったとしても、一定程度無理からぬものがあることも考慮すれば、本件接触及び本件不申告のみを理由に雇止めとすることは、重過ぎるというべきである。
したがって、本件接触及び本件不申告のみを理由とする本件雇止めは、客観的に合理的な理由があり、社会的通念上相当であるとは認められない

懲戒処分や解雇・雇止め等を行う場合に、当該処分や行為の相当性を判断することは本当に難しいです。

個人的には結論は妥当だと考えますが、非常に悩ましい事案です。

日頃から顧問弁護士に相談しながら適切に労務管理を行うことが大切です。