おはようございます。
今日は、管理費等の滞納を理由とする59条競売請求が認容された事案(東京地裁平成29年10月31日)を見ていきましょう。
【事案の概要】
本件は、本件マンションの管理組合の管理者である原告が、本件マンションの504号室の区分所有権及びその敷地利用権を有する被告には本件管理組合に対する管理費及び修繕積立金の滞納があるとして、同滞納分を回収するため、区分所有法59条1項に基づき被告区分所有権等の競売を請求する事案である。
【裁判所の判断】
請求認容
【判例のポイント】
1 被告区分所有権等の時価や被告区分所有権等に設定されている抵当権の被担保債権の現時点での残額は不明であるが、平成26年9月の時点では、先取特権(法7条1項)に基づく被告区分所有権等の担保不動産競売の開始決定は無剰余で取り消されていること、被告による管理費等の滞納はその後も続いており、被告の資力が回復したような事情は窺われないことなどからすると、現時点において、被告区分所有権等につき通常の強制競売又は担保不動産競売を申し立てて競売開始決定を得ても、無剰余取消しとなることが見込まれる。
また、被告による管理費等の滞納が自主的に解消される見込みはなく、被告区分所有権等のほかにみるべき被告の資産はない。
したがって、法59条1項に基づく被告区分所有権等の競売以外の「他の方法によってはその障害を除去して・・・区分所有者の共同生活の維持を図ることは困難」である(法59条1項)といえる。
2 本件管理組合の第38期定時総会の議事録によれば、被告は、被告区分所有権等の競売の議決に際し弁明をしていないが、それ以前に、そもそも同総会に欠席していたことが認められる。
しかし、本件管理組合では、管理規約上、総会開催日の2週間前までに、組合員である区分所有者に対し、会議の日時、場所及び目的を示すこととされており、本件請求に係る議案(第2号議案)についても、被告を含む本件マンションの区分所有権者らに対し、管理規約に基づく事前の通知がされていたものと推認されるところ、本件では同推認の妨げとなるような特段の事情は窺われない。
したがって、被告に対し、被告区分所有権等の競売の議決に当たって必要とされる弁明の機会の付与(法59条2項,58条3項)はされていたというべきである。
59条競売請求は、最後の手段ですので、その前にやらなければいけないステップをしっかり踏むことがとても重要です。
マンション管理や区分所有に関する疑問点や問題点については、不動産分野に精通した弁護士に相談することが肝要です。