不当労働行為185 組合員の賃金減額を議題とする団交と救済の必要性(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、組合員の賃金減額を議題とする団交申入れに対する会社の対応の不当労働行為性が争われた事案を見てみましょう。

エス・エフ・ティー事件(神奈川県労委平成29年3月16日・労判1163号91頁)

【事案の概要】

本件は、組合員の賃金減額を議題とする団交申入れに対する会社の対応の不当労働行為性が争われた事案を見てみましょう。

【労働委員会の判断】

不当労働行為にあたるが、その後の会社の対応から救済を命ずる必要性はない

【命令のポイント】

1 組合が会社に開示を要求している賃金減額の基準が記載されている賃金規定、職務規定のある雇用契約書、人事査定の規定等について、会社は、それらが存在しないことや、存在しても開示すべき法的理由がないこと等を開示しない理由として述べており、不開示という結果のみを捉えて、会社の対応が不誠実であるということはできない。

2 Aに対する平成25年10月25日付け賃金減額に関する団体交渉において、団体交渉が開催されるまでの会社の対応は不誠実な交渉態度であったといわざるを得ないが、その後の団体交渉をも考慮すれば、不誠実であったとまではいえない

3 会社は、組合から団体交渉の申入れがあった場合には、その開催期日の決定について誠実に対応しているといえることから、現時点において救済を命ずる必要性はないと判断する。

このような判断もあるので、会社としては、団体交渉にはできる限り応じましょう。

組合との団体交渉や組合員に対する処分等については、まずは事前に顧問弁護士から労組法のルールについてレクチャーを受けることが大切です。決して素人判断で進めないようにしましょう。