賃金164(日本郵便(佐賀)事件)

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今日は、特別休暇について労働契約法20条に違反するとされた裁判例を見てみましょう。

日本郵便(佐賀)事件(福岡高裁平成30年5月24日・労経速2352号3頁)

【事案の概要】

本件は、Y社との間で、有期労働契約を締結し,同社の運営する郵便局(本件郵便局)において、所属課の上司の下で郵便の集配業務に従事し、平成26年1月22日をもって退職したと主張するXが、①基本賃金・通勤費、②祝日休、③早出勤務等手当、④夏季・年末手当、⑤作業能率評価手当、⑥外務業務手当、⑦特別休暇(夏季休暇・冬期休暇)の付与の有無に関する正社員との相違について、労働契約法20条に違反し不法行為が成立するとして損害賠償を求めるなどした事案である。

【裁判所の判断】

特別休暇については不合理な相違である。

【判例のポイント】

1 夏期及び冬期休暇が、主としてお盆や年末年始の慣習を背景にしたものであることに照らすと、かかる休暇が正社員に対し定年までの長期にわたり会社に貢献することへのインセンティブを与えるという面を有しているとしても、そのような時期に同様に就労している正社員と時給制契約社員との間で休暇の有無に相違があることについて、その職務内容等の違いを理由にその相違を説明することはできず、制度として時給制契約社員にこれが全く付与されないことについては、不合理な相違であるといわざるを得ない。
 時給制契約社員は、正社員と異なり当該期間が当然に勤務日となっているわけではなく、勤務日と指定されたとしても、当該期間中にその全てが正社員と同程度の日数の勤務に従事するとは限らないが、上記のとおりの休暇が設けられた趣旨を踏まえれば、正社員の夏期特別休暇に在籍日要件が設けられているように、当該期間中の実際の勤務の有無や、平均的な勤務日数などの要件を付加した上で、時給制契約社員に対し、正社員に比して一定割合の日数を付与するという方法も考えられるところであって、当該期間中に実際に勤務したにもかかわらず、正社員と異なりおよそ特別休暇が得られないというのはやはり不合理な相違といわざるを得ない。
Xが所属する労働組合と、Y社との間では、平成19年10月22日付けで、期間雇用社員の休暇に関し労働協約が締結されており、そこには夏期・年末年始休暇についての定めはないものの、そのことだけでは、不合理性を否定することはできないというべきである。
そして、本件においては、前記認定のとおり、Xが正社員とほぼ同程度の勤務日数、勤務時間で就労していたと認められることに照らすならば、Xに対しては、同程度の休暇を付与するのが相当であったというべきである
したがって、労働契約法20条が制定された平成25年4月以降、Y社が、Xに対しかかる休暇取得の機会を与えなかったことは、同条に反し、Xに対する不法行為に当たるというべきである。

労働契約法20条に関する新たな裁判例です。

上記①~⑦のうち、⑦に関する相違のみが違法とされています。