Monthly Archives: 10月 2019

解雇311(末日聖徒イエス・キリスト協会事件)

おはようございます。

68日目の栗坊トマト。前回よりも実がやや大きくなりました!

今日は、業務遂行能力不足等を理由とする降格減給及び解雇の有効性に関する裁判例を見てみましょう。

末日聖徒イエス・キリスト協会事件(東京地裁平成31年3月25日・労判ジャーナル90号52頁)

【事案の概要】

本件は、Y社に雇用されていたXが、平成28年12月21日付けで降格され、平成29年1月から賃金を減額されたことは人事権の濫用に当たり、その後更に同年6月12日付けで解雇されたことは解雇権の濫用に当たりいずれも無効であると主張して、Y社に対し、労働契約上の権利を有する地位にあることの確認を求めるとともに、本件減給前の賃金との差額賃金、本件解雇後の未払賃金及び本件解雇までの一連の不法行為による慰謝料200万円等の支払を求めた事案である。

【裁判所の判断】

請求棄却

【判例のポイント】

1 Xは、およそエリア・リアル・エステート・マネージャーとしての責務を果たしていない状態であったことが認められ、Y社の業務に支障を生じさせていることは、外部業者からも看取できるほどであったこと、Xの平成25年以降の人事評価は極めて低評価であったことが認められ、Y社は、Xに対し、自己都合退職するか降格減給を受け入れるかの選択肢を示し、Xの意向も踏まえて本件降格減給を行ったところ、減給は約1割に留めるものであって、本件降格減給は、Xの勤務成績や業務遂行能力、勤務態度の問題を理由に、業務遂行能力改善のため種々の方策を施した上で行われたものであって、Xを退職させようとする不当な目的に基づくものと認めることはできず、本件降格減給は、人事権の行使としてやむを得ず行われたものであり、人事権の濫用に当たらないから、Xの同意の有無について検討するまでもなく有効である。

2 本件降格減給、本件解雇は有効であり、Xを嫌悪したり、Y社から排除するために行われたものとは認め難く、また、本件アンケートは、Xについて、監査指摘事項の是正訓練を受けたFMやその他の関係職員を対象としたアンケートを実施し、本件異動後の評価資料を得ることを目的としたものであって、嫌がらせのためX自身にアンケートの文案を作成させたとまでは認め難く、さらに、部長がXに対して自身の市場価値を調べるため本件調査を指示したことは、その必要性に疑問が残るものの、宗教法人という特殊な団体における職員の評価に関して、当該職員において自身の客観的な市場価値を認識することを促したものと理解することができ、これが嫌がらせであるとか違法であるとまでは評価することができないこと等から、XのY社に対する慰謝料請求にも理由がない

降格減給も解雇同様、合理性が立証できるかが鍵となります。

また減給幅が大きくなりすぎないようにすることも有効に降格減給するために必要な視点となります。

本の紹介970(時間革命)

おはようございます。

今日は本の紹介です。

堀江さんの本です。

いかに時間を無駄にしないかがテーマです。

無駄なことが多い日常生活をいかに効率よく、合理的に生きていくかを考えるきっかけになります。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

すべては『自分時間をどう増やすか』である。『相手が自分をどう思うか』なんてことを思い煩って、自分の人生をおざなりにするなど、本当にもったいない。『他人』という存在は、あなたの時間を奪う最たるものだ。『時間=人生』を本当に大切にするなら、人間関係も『自分』起点に考え直すべきなのだ。」(31~32頁)

そう。

自分のかけがえのない「時間」については、もっとわがままになっていいのです。

世の中に溢れかえる「お付き合い」という名のいやいや参加している会合や会議をやめたら、どれだけの自分時間が生まれるでしょうか。

仕事上そうもいかないという現実を受け入れて、限りある時間を削っていく・・・。

この当たり前を疑って、自分時間を生きている人は本当に幸せです。

時間は人生そのものです。

嫌なことをいやいややるほど、人生は長くありません。

競業避止義務25(アクトプラス事件)

おはようございます。 

66日目の栗坊トマト。見えます?実がついているの!

今日は、退職後の一定期間における競業事業者への就職等の禁止を定める誓約書の効力を一部無効とした裁判例を見てみましょう。

アクトプラス事件(東京地裁平成31年3月25日・労経速2388号19頁)

【事案の概要】

本件は、Y社が雇用していたX1及びX2がY社の就業規則の規定又はY社とX2が取り交わした誓約書における約定に反して、A社の業務執行社員に就任するとともに、Y社の登録派遣社員を引き抜き、Y社の顧客に派遣して顧客を奪ったなどと主張して、X1及びX2に対し、債務不履行、不法行為及び会社法597条に基づき、A社に対し、X1及びX2との共同不法行為に基づき、連帯して、逸失利益1385万7186円及び弁護士費用相当損害金138万5719円の合計1524万2905円+遅延損害金の支払を求めた事案である。

【裁判所の判断】

請求棄却

【判例のポイント】

1 本件誓約書6条は、X2に対し、Y社退職後1年間、事前の許可なく、一都三県においてY社と競業関係にある事業者に就職等をすることを禁止しているところ、かかる制限はX2の職業選択の自由を制限するものである上、Y社との間で有期労働契約を締結し、主として登録派遣社員の募集や管理等を行っていたにすぎないX2について、制限の期間や範囲は限定的であるものの、Y社の秘密情報の開示・漏洩・利用の禁止や、従業員の引き抜き行為等の禁止をする以上の制限を課すべき具体的必要性が明らかでなく、かかる制限に対する特段の代償措置も設けられていないことなどを考慮すると、本件誓約書6条は公序良俗に反し無効である。

2 派遣社員募集にWeChatを利用することは、Y社独自のノウハウということはできない上、A1グループやA2グループに登録されたメンバーの情報についても、その全てがY社の業務上形成されたものとはいえず、Y社入社前から上記情報を形成してきたX2との間で上記情報に関する権利関係も明確でない以上、X1及びX2がA社において上記情報を利用することが直ちに違法になると解することはできない
また、X2は、Y社退職の際、後任者であるDに対してA1に対する人材派遣についての引継ぎを行っており、A1から発注があれば、Dにおいて派遣社員の募集をすることが可能であったものの、Y社はX2退職後、A1から発注を断られたことが認められるところ、X2がA1のY社への発注を妨げたと認めるに足りる証拠はない。むしろ、A1からY社への発注がなくなったのは、FのY社顧問退任とA社顧問就任による影響や、A1とX1及びX2の信頼関係によるものと推認することができ、X1及びX2がY社退任後にA社においてA1グループやA社グループを利用して人材募集をしたことが理由でA1からY社への発注がなくなったと認めることもできない。
なお、Y社のA2からの人材派遣の受注がX1及びX2のA社への入社後に減少したと認めるに足りる証拠はなく、むしろ増加しているものとうかがえる。
以上によれば、X1及びX2が違法に本件引き抜き行為等を行ったことを前提とするY社のX1及びX2に対する損害賠償請求は、その余の点について判断するまでもなく理由がない。

いつもながら競業避止義務や引抜き行為に関する事案は、原告側に厳しい判断が多いですね。

上記判例のポイント1のような考慮要素は理解しておく必要があります。

本の紹介969(感動経営)

おはようございます。 今週も一週間がんばりましょう。

今日は本の紹介です。

著者は、JR九州の会長です。

JR九州といえば、「祝!九州 九州新幹線全線開業」のCMですね!

何回見ても、最高です。

赤字300億円から黒字500億円にまでした経営者が考えていることが1冊の本にまとめられています。

とてもいい本です。 おすすめです。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

社員は、入社直後はやる気がみなぎっている。自分で努力して、選んで入ってきた会社だから、ここで頑張ろう、認められようと燃えている。そういうときにこそ厳しく教えるのだ。そうすることによって、簡単にくじけたりしない、すぐに辞めるのどうのといい出さない社員に育っていく。反対に、何のスキルもない人間を最初にチヤホヤしてしまうことほど始末の悪いものはない。しばらく何か月だか甘やかしてしまったあとに、うまく成長しないからと慌てて厳しくしてももう手遅れ。というより、むしろ逆効果で、最悪の場合そこで辞めてしまったりする。」(293頁)

最初が肝心というのはまさにその通りですね。

もっとも、人手不足もあり、求人募集をかけてもなかなか人が集まらず、また、やっとのことで採用してもすぐに辞めてしまう。

こんな状況で「最初が肝心」といって厳しく教育したくても二の足を踏んでしまう会社もあるかもしれませんね。

しかし、最初に甘やかしてしまうとそれが当たり前になるため、途中から厳しくしてもなかなかうまくいきません。

やはり教育は学校でも会社でも「最初が肝心」なのです。

解雇310(フジクラ事件)

おはようございます。 今週も一週間お疲れさまでした。

64日目の栗坊トマト。写真だとわかりにくいですが、ちっちゃい実がなりましたー!

今日は、退職勧奨を拒否し、配置転換された後の人事評価が不当とされた解雇が無効等と判断された裁判例を見てみしょう。

フジクラ事件(東京地裁平成31年3月28日・労経速2388号3頁)

【事案の概要】

本件は、Xを労働者とし、Y社を使用者とする期間の定めのない労働契約をY社との間で締結したXが、Y社に対し、Y社がした人事評価に基づくものとする月例賃金(加給)及び賞与の各減額が無効である旨を主張して、平成26年4月から平成28年3月までの期間に係る各減額分並びにこれらに対する各支払期日の翌日から支払済みまでに生ずる商事法定利率の割合による遅延損害金の支払を求め、さらに、Y社がXに対してした同月31日付けの配転命令、同年6月1日付けの出向命令、平成29年9月22日付けの戒告及び同年12月13日付けの普通解雇がいずれも無効である旨を主張して、配転先及び出向先において勤務する労働契約上の各義務が存在しないこと、当該戒告が無効であること並びに労働契約上の権利を有する地位に在ることの各確認を求めるとともに、当該解雇の後に生ずべきバックペイとしての月例賃金の支払を求めた事案である。

【裁判所の判断】

解雇無効

【判例のポイント】

1 回答書の受取の拒絶が問題となるところ、確かに、この行為が懲戒事由に該当する余地のない問題のない行為であるとは解し難い。もっとも、これによって重大な影響がY社ないしX2に生ずるといった事情は考え難いから、このことのみをもって直ちに解雇を基礎付けるようなものということはできない。また、この行為を含めたXの行為について本件戒告処分が行われたとしても、その後に同種の行為が繰り返されたということを認めるに足りる証拠もないから、結局、当該回答書の受取の拒絶をもってXの解雇の客観的な合理的理由とみることは困難である。

2 Y社は、障碍者の雇用義務を果たすためにX2を設立したものであり、このようなX2の業務は、障碍者がその能力に適合する職業に就くこと等を通じてその職業生活において自立することを促進し、もって障碍者の職業の安定を図るという障碍者雇用促進法の目的にかなう重要なものであったということができる。そして、本件出向命令が発令された旨、その設立後間もないX2では、従業員の増員や事業の拡大が予定されており、早急に取り組む必要はないとしても、社印の管理、経理・購買等の様々な分野にわたる各種の規程等を整備するなどして会社としての基盤を整備し、かつ、事業の拡大について順次検討を進めていくことが求められる状況にあったと推認することができる。そうすると、本件出向命令が発令された当時、総務・経理について相当程度の知識を有し、新規事業の立ち上げへの力の発発揮を期待することができる従業員をX2に配置する業務上の必要性があったことは否定し難いところ、XがX2について求められる知識、経験及び能力を備える者に合致した者であったと評することができる。そして、本件出向命令が発令された当時、Xがうつ病や本件通勤災害のためにその健康に大きな不安を抱えていたことから、Y社において、業務量やこれに従事する時間を調整しやすい部署にXを配置する必要性が高かったと考えられる上、Y社及びY社グループ会社の中でも、X2は、その業務量等を調整しやすい部署であったと認めることができる。したがって、本件出向命令については、業務上の必要性があり、合理的な人選が行われたということができる
また、本件出向命令が減給を必ず伴うものであったものと認めることができる証拠はなく、XがX2への勤務に伴って転居したという事実もないから、本件出向命令によってXが大きな不利益を受けたということもできない
以上によれば、本件出向命令が権利の濫用したものであるとは認めることができないから、本件出向命令は、有効であるというべきである。

解雇をする際は、行為の悪質性とともにその行為によって会社に対していかなる影響が出たのかを冷静に検討する必要があります。

また段階を踏んでいくという忍耐力を要するプロセスを十分理解しておく必要があります。

本の紹介968 (交渉の武器)

おはようございます。

今日は本の紹介です。

著者は弁護士の方です。

仕事で交渉をすることがある方は読んでみてください。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

『感情』は『論理』を飲み込むー。これは、交渉において忘れてはならない真理だ。私たちは、交渉において、自分にとって望ましい意思決定をしてもらうために、相手を論理的に説得しようとしがちだ。もちろん、それはきわめて重要なことだが、相手にも相手の論理があるため、下手をするといつまでも平行線を辿るだけに終わりかねない。そんなときに、交渉のプロフェッショナルは『感情』を武器に使う。『論理』ではどうしても結着がつかないときに、最終的に意思決定の決め手となるのは『感情』である。」(202~203頁)

法学部でもロースクールでも司法試験でも司法研修所でも、交渉のスキルを身につける教育はほとんどありません。

そのため、弁護士であっても必ずしも全員交渉が得意であるとは限りません。

交渉の巧拙は、ぎりぎりの攻防戦でこそ如実に表れます。

知識、経験、センスのすべてがそこで発揮されるのだと思います。

解雇309(日東精機事件)

おはようございます。

62日目の栗坊トマト。2か月経ってここまで大きくなりましたー!

今日は、私用・不適切メール等を理由とする解雇に関する裁判例を見てみましょう。

日東精機事件(大阪地裁令和元年5月21日・労判ジャーナル90号32頁)

【事案の概要】

本件は、Y社において勤務していたXが、Y社から普通解雇されたが、同解雇は無効であるなどとして、地位確認並びに賃金(未払分及び将来分)等の支払を、同僚からいじめを受け、これをY社の元代表者を報告したにも関わらず、Y社は、何らの対応を取らずに放置し、これによって、Xは精神疾患を発病して休職を余儀なくされたとして、不法行為に基づく損害賠償等の支払を、それぞれ求めた事案である。

【裁判所の判断】

解雇無効

【判例のポイント】

1 Xの解雇事由に該当し得る事実は別紙1の番号13(Xが、インターネット上に「無能上司」等の表現を含む会社や上司に関する不満を書き込んだ)、14(Xは取引先従業員、会社従業員らに関する不満を述べるメールを送信した)、16(Xは、取引先従業員らに対し、就業時間中に不動産や年賀はがき関係等の私的な内容を含むメールを送信した)となるところ、Y社の事務所の他の社員も、就業時間中に、画像を添付したメールを送信していることが認められ、上司等に対する不満を抱いてあだ名をつけたり、就業時間中に業務と直接関係ないメールを送信したりすることは会社の企業全体の体質としての問題とも言い得ること、Y社が、Xに対し、別紙1の番号13、14、16の事実について指摘した上で、注意を与えたが、Xの行状が改善しなかったといった事情を認めるに足りる的確な証拠も認め難いことからいえば、本件解雇に客観的に合理的な理由があり、社会通念上相当であるとは認め難いから、本件解雇は無効である。

2 XとY社との間に、黙示的にせよ退職合意が成立したと認める余地はなく、また、Xが解雇予告手当を返金しているのは、解雇を拒絶していると解するのが合理的であり、当該事実や、その後3年間、雇用継続の有無を確認する措置を講じなかったことをもって、XとY社との間で黙示の退職合意があったと認めることもできない。

3 Y社が、Xの休職までの間に、X主張の他の従業員らの行為について調査をしなかったとしても、それが直ちにY社のXに対する不法行為を構成するとまではいえないし、Y社が何の対策も取らなかったため、Xが休職するに至ったとも認められず、また、Xと、他の従業員4名との間に、高さ約180㎝のパーティションが設置されたことが認められるが、当該パーティションの設置によって、Xが精神疾患を発病したと認めることはできないこと等から、XのY社に対する不法行為に基づく損害賠償請求には理由がない。

いろいろと問題があったことが推測できますが、解雇の手順としては不十分と言わざるを得ません。

本の紹介967(秋本治の仕事術)

おはようございます。 今週も一週間がんばりましょう。

今日は本の紹介です。

言わずと知れた「こち亀」の作者の秋本さんの本です。

作者が40年間休まずに週刊連載を続けられた理由が書かれています。

40年休まずに続ける・・・並大抵のことではできません。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

僕はそれほど人を選ぶことはないのですが、唯一、時間を守らない人だけは苦手です。・・・時間の約束を守るというのは、常識以前の問題。人として当たり前だと思っています。」(80~81頁)

日本人らしい考え方ですね(笑)

プライベートなら好きにすればいいですが、ビジネスの関係で、時間にルーズで良いことなど1つもありません。

これも習慣の問題ですので、パンクチュアルな人はいつだってパンクチュアルですし、そうでない人はいつでもそうです。

どこまでいっても、人生は習慣の産物だということですね。

競業避止義務24(ムーセン事件)

おはようございます。 今週も一週間お疲れさまでした。

58日目の栗坊トマト。さほど変化は見られませんが、もう少しで実がなりそうです!

今日は、競業及び引抜き行為等に基づく損害賠償請求に関する裁判例を見てみましょう。

ムーセン事件(東京地裁平成31年3月25日・労判ジャーナル90号50頁)

【事案の概要】

本件は、A社が雇用していたX1及びX2がA社の就業規則の規定又はA社とX1が取り交わした誓約書における約定に反して、Y社の業務執行社員に就任するとともに、A社の登録派遣社員を引き抜き、A社の顧客に派遣して顧客を奪ったなどと主張して、X1及びX2に対し、債務不履行、不法行為及び会社法597条に基づき、Y社に対し、X1及びX2との共同不法行為に基づき、連帯して、逸失利益約1386万円等の支払いを求めた事案である。

【裁判所の判断】

請求棄却

【判例のポイント】

1 本件就業規則及び本件誓約書の効力について、本件就業規則は周知等がされておらず、X1及びX2に対して効力が及ばず、また、X1の本件誓約書については、本件誓約書6条は、X1に対し、A社退職後1年間、事前の許可なく、一都三県においてA社と競業関係にある事業者に就職等をすることを禁止しているところ、かかる制限はCの職業選択の自由を制限するものである上、A社との間で有期労働契約を締結し、主として登録派遣社員の募集や管理等を行っていたにすぎないX1について、制限の期間や範囲は限定的であるものの、A社の秘密情報の開示・漏洩・利用の禁止や、従業員の引き抜き行為等の禁止をする以上の制限を課すべき具体的必要性が明らかでなく、かかる制限に対する特段の代償措置も設けられていないことなどを考慮すると、本件誓約書6条は公序良俗に反し無効であるから、X1及びX2に対しては本件就業規則の効力が及ばず、X1に対しては本件誓約書のうち6条1号の効力が及ばないから、これらの効力が及ぶことを前提とするA社のX1及びX2に対する損害賠償請求は、理由がない。

2 X1は、A社退職の際、後任者であるEに対してK社に対する人材派遣についての引継ぎを行っており、K社から発注があれば、Eにおいて派遣社員の募集をすることが可能であったものの、A社はX1退職後、K社から発注を断られたことが認められるところ、X1がK社のA社への発注を妨げたと認めるに足りる証拠はなく、むしろ、K社からA社への発注がなくなったのは、FのA社顧問退任とD社顧問就任による影響や、K社とX1の信頼関係によるものと推認することができ、X1及びX2がA社退職後にY社においてK社グループやY社グループを利用して人材募集をしたことが理由でK社からA社への発注がなくなったと認めることもできないこと等から、X1及びX2が違法に本件引き抜き行為等を行ったことを前提とするA社のX1及びX2に対する損害賠償請求は、理由がない。

競業避止に関する裁判例の多くは、原告会社側に厳しい判断がされています。

また、仮に責任が認められても、認容される金額は、請求金額から大幅に減額されることがよくあります。

本の紹介966(成功に奇策はいらない)

おはようございます。

今日は本の紹介です。

著者は私と同い年の方です。

著者はアパレル業界の方ですが、業界を問わず、この本のタイトルがそのままあてはまりますね。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

『環境が厳しいのはわかった。それで、あなたは何をしてきたの?』そう聞きたくなります。経営者が、業績不振を環境のせいにして、無為無策のまま『仕方ない』と状況を受け入れているのだとしたら、その人は経営者を辞めるべきです。でないと、働いている人も、取引先も、消費者も報われません。・・・みんなで成長をあきらめ、『できない理由』を語り合って過ごすなど、誰にとっても幸せなことではありません。」(21頁)

業界を問わず、まったくその通りですね。

立地、天気、景気を理由に、お客さんが少ないことをなんとか正当化しようとしている飲食店をはじめ、外的要因を正当化の理由とする方が本当に多いです。

どんな立地でも、大雨でも、予約がとれないお店が現に存在します。

お客さんが少ない理由を外に求めているうちは、状況は一向に変わりません。

お客さんが少ない理由は、言うまでもなく、自分の商品価値が低いことにほかなりません。

それを受け入れて、改良をしていくしか道はなのです。