競業避止義務24(ムーセン事件)

おはようございます。 今週も一週間お疲れさまでした。

58日目の栗坊トマト。さほど変化は見られませんが、もう少しで実がなりそうです!

今日は、競業及び引抜き行為等に基づく損害賠償請求に関する裁判例を見てみましょう。

ムーセン事件(東京地裁平成31年3月25日・労判ジャーナル90号50頁)

【事案の概要】

本件は、A社が雇用していたX1及びX2がA社の就業規則の規定又はA社とX1が取り交わした誓約書における約定に反して、Y社の業務執行社員に就任するとともに、A社の登録派遣社員を引き抜き、A社の顧客に派遣して顧客を奪ったなどと主張して、X1及びX2に対し、債務不履行、不法行為及び会社法597条に基づき、Y社に対し、X1及びX2との共同不法行為に基づき、連帯して、逸失利益約1386万円等の支払いを求めた事案である。

【裁判所の判断】

請求棄却

【判例のポイント】

1 本件就業規則及び本件誓約書の効力について、本件就業規則は周知等がされておらず、X1及びX2に対して効力が及ばず、また、X1の本件誓約書については、本件誓約書6条は、X1に対し、A社退職後1年間、事前の許可なく、一都三県においてA社と競業関係にある事業者に就職等をすることを禁止しているところ、かかる制限はCの職業選択の自由を制限するものである上、A社との間で有期労働契約を締結し、主として登録派遣社員の募集や管理等を行っていたにすぎないX1について、制限の期間や範囲は限定的であるものの、A社の秘密情報の開示・漏洩・利用の禁止や、従業員の引き抜き行為等の禁止をする以上の制限を課すべき具体的必要性が明らかでなく、かかる制限に対する特段の代償措置も設けられていないことなどを考慮すると、本件誓約書6条は公序良俗に反し無効であるから、X1及びX2に対しては本件就業規則の効力が及ばず、X1に対しては本件誓約書のうち6条1号の効力が及ばないから、これらの効力が及ぶことを前提とするA社のX1及びX2に対する損害賠償請求は、理由がない。

2 X1は、A社退職の際、後任者であるEに対してK社に対する人材派遣についての引継ぎを行っており、K社から発注があれば、Eにおいて派遣社員の募集をすることが可能であったものの、A社はX1退職後、K社から発注を断られたことが認められるところ、X1がK社のA社への発注を妨げたと認めるに足りる証拠はなく、むしろ、K社からA社への発注がなくなったのは、FのA社顧問退任とD社顧問就任による影響や、K社とX1の信頼関係によるものと推認することができ、X1及びX2がA社退職後にY社においてK社グループやY社グループを利用して人材募集をしたことが理由でK社からA社への発注がなくなったと認めることもできないこと等から、X1及びX2が違法に本件引き抜き行為等を行ったことを前提とするA社のX1及びX2に対する損害賠償請求は、理由がない。

競業避止に関する裁判例の多くは、原告会社側に厳しい判断がされています。

また、仮に責任が認められても、認容される金額は、請求金額から大幅に減額されることがよくあります。