Monthly Archives: 9月 2020

本の紹介1080(コロナ後に生き残る会社 食える仕事 稼げる働き方)

おはようございます。

今日は本の紹介です。

世界的な「コロナ大恐慌」による社会・経済の大きな変革について書かれています。

とてもわかりやすく書かれており、腑に落ちる内容がとても多いです。

ここ最近で読んだ「アフターコロナ」関係の本では一番参考になりました。

おすすめです。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

自己成長を会社にばかり依存するという態度は、これからは正しいとは言えない。ましてや、会社が提供する教育プログラムだけに参加しても、『プロ』になどなれない。『プロ』になることを望むのであれば、自分自身を磨くことにお金と時間をかけて、自己鍛錬を行うべきである。」(192頁)

いつもこのブログで書いていることと同趣旨ですね。

自分自身を磨くことにお金と時間をかける、すなわち、常に自分の商品価値を高める努力をするということです。

人が休んでいるときに努力をするのです。

簡単な話です。

やり続けるのが難しいだけです。

だからこそ継続することは価値があるのです。

賃金206(ザニドム事件)

おはようございます。

今日は、固定残業代に関する合意が有効と判断された裁判例を見てみましょう。

ザニドム事件(札幌地裁小牧支部令和2年3月11日・労経速2417号23頁)

【事案の概要】

本件は、Xが、Y社に勤務していた平成28年7月1日から平成29年10月31日までの時間外労働、休日労働及び深夜労働に対する割増賃金の未払がある旨を主張し、Y社に対し、雇用契約に基づき、各割増賃金の合計349万7521円+確定遅延損害金を加えた360万5634円+遅延損害金の支払を求めるとともに、労働基準法114条に基づく付加金349万7521円+遅延損害金の支払を求める事案である。

【裁判所の判断】

Y社は、Xに対し、4094円+遅延損害金を支払え。

【判例のポイント】

1 Xは、平成28年3月1日、契約期間が同日から同年10月31日まで、日額9000円の日給制、日給の内訳として基本日給が6112円、割増分日給が2888円などと記載されたY社作成の「雇用契約書兼労働条件通知書」に署名押印したのであるから、XとY社との間には、基本日給が6112円、割増分日給が2888円とする固定残業代の合意がなされたものと推認される。そして、Y社の給与規定及び弁論の全趣旨によれば、Y社は、固定残業代制度を採用していることが認められ、また、Y社の人事係担当者及びBマネージャーが、Xに対し、採用前の面接時において、Xの給与体系が日給制であり、日給の中には基本給と固定残業代部分が含まれることなどを説明し、Y社の人事担当者が、Xに対し、雇用契約締結時において、「雇用契約書兼労働条件通知書」の内容を見せて、仕事の内容や給与条件の内容等について説明をしたことが認められる(なお,Y社は固定残業代制度を採用し、Xに署名押印を求めた雇用契約書兼労働条件通知書にも固定残業代に関する記載が明記されているのであるから、Y社担当者が、Xに対し、あえてこれらに反する説明をする理由も必要性もない。したがって、証人Bらの上記証言内容には信用性が認められる。)。
これらの事情に照らすと、XとY社との間には、平成28年3月1日の時点において、「雇用契約書兼労働条件通知書」記載の労働条件、すなわち、Xの基本日給を6112円とし、割増分日給を2888円とする固定残業代に関する合意があったものと認められる。そして、前記認定のとおり、Xは、平成28年5月3日、基本日給が6112円、割増分日給が3888円などと記載された「雇用契約書兼労働条件通知書」に、平成29年1月28日、契約期間が同年4月1日から同年10月31日まで、基本日給が6288円、割増分日給が3712円などと記載された「雇用契約書兼労働条件通知書」に、同月29日、基本日給が6100円、割増分日給が3900円などと記載された「雇用契約書兼労働条件通知書」にそれぞれ署名押印したほか、平成28年9月30日に退職した際には、XとY社との間で、従前と同様の条件でスポット的に勤務する旨の合意がなされ、その間、基本日給6288円、割増分日給3712円相当の給与が支払われたのであるから、その都度、XとY社は、固定残業代の基本日給額と割増分日給額を変更する旨の合意をしたものと認められる。
2 これに対し、Xは、Y社から固定残業代についての具体的な説明を受けたことはない旨を主張し,X本人はこれに沿う供述をする。しかし、Y社の人事係担当者やBマネージャーが、Xに対し、面接時において、Xの給与体系が日給制であり、日給の中には基本給と固定残業代部分が含まれることなどを説明したことや、Xが基本日給、割増分日給等が明記された「雇用契約書兼労働条件通知書」に複数回署名押印したことは前述したとおりであり、Xの上記供述内容は直ちに信用することができない。また、Xは、雇用契約書や支給明細書の記載内容は、Y社が一方的に操作して作成したものであり、Y社は、Xの残業時間がどの程度超過しようとも、最低賃金がどのように変化しようとも、Xに支払う金額は1日1万円までという理解でいたことは明白であるが、Xは、Y社からそのような説明を受けたことはないし、合意した事実もないから、固定残業代について、XとY社との間で意思の合致がないから無効である旨を主張する。しかし、Xが基本日給、割増分日給等が明記された「雇用契約書兼労働条件通知書」に複数回署名押印をしたことは前述したとおりであり、Xが指摘する事情を踏まえても、XとY社との間で固定残業代の合意があったとの前記認定は左右されない。さらに、Xは、Y社から基本給部分と固定残業代部分との区別について何らの説明も受けていないから、雇用契約時において、両者の区別は明確にされていないし、Y社においては、固定残業代制度を適切に運用する意思も実態もないのであるから、実質的にみて、基本給部分と固定残業代部分が明確に区分されているとはいえない旨を主張する。しかし、Y社の人事係担当者やBマネージャーが、Xに対し、面接時において、Xの給与体系が日給制であり、日給の中には基本給と固定残業代部分が含まれることなどを説明したことや、Xが基本日給、割増分日給等が明記された「雇用契約書兼労働条件通知書」に複数回署名押印したことは前述したとおりであり、形式的にも実質的にも基本給部分と固定残業代部分が明確に区分されていないとはいえない
以上から、Xの主張はいずれも理由がなく、XとY社との間の固定残業代に関する合意は有効である。

明確区分性の要件を満たしていると判断された例です。

このようにわかりやすく区別されていることが重要です。

本の紹介1079(資本主義ハック)

おはようございます。 今週も一週間がんばりましょう。

今日は本の紹介です。

資本主義社会のルールのなかでいかに無駄なく資本を増やしていくかのヒントが書かれています。

小手先の細かいテクニックというよりは生き方・考え方が書かれています。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

資本は時間と非常に深く関わっており、いかに時間を支配するかによって人の間に二次関数的な差をもたらしていく。時間を支配したことで、資本を手に入れ、その資本を活用することでさらに多くの時間を支配するという循環になっていく。これは資本が資本を呼び込む資本主義経済の構造そのものだ。」(98頁)

「いかに時間を支配するか」

時間を何のために使うのかが、どの程度の資本を手に入れられるかと密接に関連しているわけです。

そして、時間の使い方は習慣と関連しますので、継続していくことによりどんどん差が開いていきます。

小学生、中学生のときにはそれほど大きな差がなかったものが、30歳、40歳と年を重ねていく毎に、それまでの時間の使い方=習慣が結果として如実に現れてきます。

残酷ですが、真実です。

同一労働同一賃金3(学校法人明泉学園事件)

おはようございます。 今週も一週間お疲れさまでした。

今日は、長期間継続していた定期昇給の慣行が法的拘束力を有すると判断された裁判例を見てみましょう。

学校法人明泉学園事件(東京地裁令和元年12月12日・労経速2417号3頁)

【事案の概要】

本件は、Xが、平成3年4月1日、Y社との間で期間の定めのある教員である専任講師(常勤講師)として労働契約を締結して勤務を継続したが、上記労働契約の期間の定めは無効であるなどとして、Xは期間の定めのない教員である専任教諭の地位にあった旨主張し、Y社に対し、労働契約に基づき、平成28年9月から平成30年3月まで期間の定めのない専任教諭として別紙1専任教諭賃金表の適用を受ける地位にあったことの確認を求めるとともに、同賃金表の適用を受けることを前提として、又は、仮にXが専任教諭の地位になかったとしても、Xと専任教諭との間における賃金格差は労働契約法20条等に反し無効であるか若しくは専任講師(常勤講師)について基本給が定期昇給する労使慣行が存在するなどと主張して、労働契約に基づき、Xが専任教諭であった場合に平成25年4月から平成30年3月までに支払われるべきであった賃金と同期間に実際に支払われた賃金との差額である別紙3請求債権目録の賃金差額相当損害金欄の各請求債権額欄記載の金員の合計額1080万6480円+遅延損害金の支払を求め、また、Y社がXと専任教諭との間に賃金格差を設けたことはXに対する不法行為であるとして、不法行為による損害賠償請求権に基づき、前同様の差額1080万6480円+遅延損害金の支払を選択的に求めるとともに、弁護士費用として同差額の10パーセント相当の108万0648円+遅延損害金の支払を求め、さらに、Y社はXの専任教諭として扱われることへの期待を破壊するなどしてXの人格権を侵害したとして、不法行為による損害賠償請求権に基づき、慰謝料500万円+遅延損害金並びに弁護士費用として同慰謝料の10パーセント相当の50万円+遅延損害金の支払を求めた事案である。

【裁判所の判断】

1 Xが平成28年9月から平成30年3月までY社との間で期間の定めのない雇用契約関係にある専任教諭として別紙1専任教諭賃金表の適用を受ける地位にあったことの確認を求める部分に係る訴えを却下する。

2 Y社はXに対し、958万2000円+遅延損害金を支払え。

【判例のポイント】

1 Z1高校においては、遅くとも平成10年度までに、勤務形態の変更、就業規則所定の昇給停止年齢への到達、病気等による長期欠勤その他の特別の事情がない限り、常勤講師を含む全教員を、翌年度も契約が更新され又は継続する限り、毎年度少なくとも1号俸ずつ定期昇給させることが事実として慣行となっていたことが認められ、Y社の代表者理事長を含む労使双方が、同慣行を規範として意識し、これに従ってきたとみることができる、そうすると、同慣行は、遅くとも同年度の時点で、法的拘束力を有する労使慣行となっていたものというべきである。

2 専任教諭は、長期間の雇用が制度上予定されている上、管理職を含めた各役職の大部分に就いて重い職責を負っており、重要な業務を担っていたのに対し、常勤講師は、長期間の雇用が制度上予定されていなかっただけでなく、管理職を含めた各役職の職責を恒常的に担うことも予定されておらず、重要業務のうち担当しないものもあることが認められ、無期契約労働者である専任教諭と有期契約労働者である常勤講師のそれぞれについて基本給をどのように設定するかにおいて考慮すべき各事情に相当な差異があるものというべきである。以上の事情に加え、専任教諭と常勤講師との調整手当の差額が基本給の3パーセントにとどまることも併せ考慮すれば、Xを含む常勤講師が教科教育、クラス担任、クラブ活動の指導等について専任教諭と同様の職務に従事していたことなどの事情を考慮しても、Xを含む常勤講師と専任教諭との間の調整手当の相違は、不合理であると評価することはできないから、労契法20条にいう不合理と認められるものには当たらないというべきである。

珍しく労使慣行に法的拘束力が認められました。

この論点は、思っている以上にハードルが高いので注意が必要です。

また、労契法20条の論点は、コツをしっかり掴んでポイントを押さえることがとても大切です。

顧問弁護士や顧問社労士のアドバイスの下、正しく労務管理を行えば、それほど恐れる必要はありません。

本の紹介1078(selfish)

おはようございます。

今日は本の紹介です。

サブタイトルは、「真の『自分本位』を知れば、人生のあらゆる成功が手に入る」です。

もうタイトル通りの内容ですが、よくこのブログでも書いているように、自分の人生なのですから自分の好きなように生きればいいのですよ。

みんな、いろんなことを我慢しすぎです(笑)

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

自分の『ライフスタイル』は身の丈に合っているだろうか。それを維持していくために、どれくらいの時間とお金が必要だろう。・・・『贅沢なライフスタイル』自体が目的になってしまったら、本当に求めているはずの人生を見失ってしまう。見栄はそぎ落として、シンプルにしよう。そうすれば、過剰な『ライフスタイル』を維持するために多くのものを犠牲にせずに済む。・・・自分の人生を複雑にするような負荷や人間関係も手放していこう。抱えるものが軽くなれば、より高みへと上ることができる。」(96~97頁)

私が普段、このブログに書いていることと同趣旨かと思います。

見栄とか世間体とか、もう本当クソの役にも立ちませんので、そんなしょうもないものはさっさと捨てましょう。

全員から好かれようとすればするほど、幸せ度が下がります。

依存せず、固執せず、生きたいように生きればいいのですよ。

労働時間62(有限会社スイス事件)

おはようございます。 今週も一週間がんばりましょう。

今日は、在職中の割増賃金算定のベースとして、GPS移動記録に基づく労働時間が認められた裁判例を見てみましょう。

有限会社スイス事件(東京地裁令和元年10月23日・労経速2416号30頁)

【事案の概要】

本件は、Y社との間で期間の定めのない雇用契約を締結していたXが、①Y社により平成29年11月13日付けで普通解雇されたことについて、本件解雇が無効である旨を主張して、Y社に対し、本件雇用契約に基づき、雇用契約上の権利を有する地位にあることの確認や、本件解雇の後に生ずるバックペイとしての月額給与(下記②の合意による増額後の基本給)+遅延損害金の支払を求めるとともに、②XとY社はXの基本給を平成28年12月分から増額することを合意していた旨を主張して、Y社に対し、当該合意後の本件雇用契約に基づき、同月分から平成29年10月分までの当該合意による増額後の基本給額と実際に支給された基本給額との差額である52万1000円+遅延損害金の支払を求めるほか、③Y社は労働基準法所定の割増賃金を支払っていないなどと主張して、Y社に対し、労働基準法に従った平成28年10月から平成29年11月までの割増賃金+遅延損害金や、当該割増賃金に係る労働基準法第114条の付加金+遅延損害金の各支払を求める事案である。

【裁判所の判断】

1 解雇無効

2 Y社は、Xに対し、175万2535円+遅延損害金を支払え。

3 Y社は、Xに対し、付加金165万9435円+遅延損害金を支払え。

【判例のポイント】

1 本件タイムライン記録は、平成30年2月5日から同月16日にかけて、Xのスマートフォンの画面をスクリーンショットしたものであるところ、Y社が指摘するとおり、事後に編集可能なものであり、それ自体が完全に客観的な証拠であるとはいえない上、実際の記録についても、自宅から徒歩2分程の距離にある最寄り駅である○○駅までの間の移動記録がなかったり、○○駅からb店又はa店までの間の移動記録が省略されているものが多く、記録されていても、平成29年3月29日に、表参道駅で20分滞在した後、同駅からa店まで6分で移動した旨が記録されたりするなど、実際の移動状況の全てが余すことなくそのまま正確に記録されているとまではいえないものである。

2 もっとも、本件タイムライン記録に記載されたXのb店及びa店における滞在時間は、b店の営業時間及びa店における勤務時間や、B氏の証言及び原告の供述に沿うものである。・・・その他、本件タイムライン記録には、休日の移動記録や、b店及びa店以外の場所への移動記録のほか、退勤後に寄り道をした記録もあり、これらの事情によれば、Xが、本件解雇後に、Y社に対し割増賃金を請求するため、編集機能を利用して本件タイムライン記録を一から作出したとは考え難いものである。
他方で、Y社が本件タイムライン記録の不自然性として指摘する諸事情は、Xが主張するとおり、GPSの感度の問題やタイムライン機能の設定の問題等として一応の説明をすることが可能であるところ、本件においては、本来、労働者の労働時間を適切に把握して然るべきY社において、Xの主張する本件タイムライン記録に基づく各日の労働時間が実際のXの労働時間と異なることについて、個別具体的に指摘し、その裏付けとなる客観的な証拠を提出しているわけでもない

3 上記に検討したところによれば、本件タイムライン記録には信用性が認められるというべきであり、Xがb店及びa店に滞在していた時間中に、休憩時間を除き、Y社の業務以外の事項を行っていたと認めるに足りる客観的な証拠はないから、Xは、本件タイムライン記録に記録されたb店及びa店の滞在時間(休憩時間を除く。)に、Y社の業務に従事していたものと認めるのが相当である。

残業代請求の訴訟においては、本件のように実際の労働時間を何に基づいて認定するかが争われることがあります。

その際、上記判例のポイント2のように、会社側が積極的に労働時間の立証ができない場合には、裁判所としては、労働者側の証拠を拠り所にせざるを得なくなります。

日頃の労務管理をしっかり行うこと、これが王道です。

本の紹介1077(市場を変えろ)

おはようございます。 今週も一週間お疲れさまでした。

今日は本の紹介です。

サブタイトルは、「既存産業で奇跡を起こす経営戦略」です。

LMI(Legacy Market Innovation)を主たるテーマとして、いかに時代とマーケットの変化に対応するかについて書かれています。

ハンコ業界に限らず、どの業界でも例外なく起こり得ることです。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

言い方を変えると、壁が崩れる前にLMIの準備を終わらせておく必要があるということだ。自分の事業の耐性を見るのは、壁が高いことを確認して安心するためではない。『壁があるうちに準備しなければいけない』と自覚するために行うことなのだ。」(89頁)

この時代、絶対に安泰な業界なんてものは存在しません。

いつdisruptiveなサービスが誕生するかなんてわかるわけがないのです。

目先の仕事だけで完結するのではなく、視野を広げ、どのような変化が起こりそうなのかを知ることがとても大切です。

そうでないと何の準備もできません。

人が休んでいる時間にどのような準備をするかで5年後、10年後、大きな差となるのです。

派遣労働28(ライフ・イズ・アート事件)

おはようございます。

今日は、労働者派遣法40条の6の労働契約申込みみなしが否定された裁判例を見てみましょう。

ライフ・イズ・アート事件(神戸地裁令和2年3月13日・労経速2416号9頁)

【事案の概要】

本件は、Y社との間で業務請負契約を締結したA社の労働者としてY社の伊丹工場で製品の製造業務に従事していたXらが、Y社に対し、労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律40条の6第1項5号、同項柱書に基づき、XらとY社との間に別紙1「労働契約一覧」記載の各労働契約が存在することの確認及び平成29年4月1日から本判決確定の日まで、毎月末日限り、別紙1「労働契約一覧」の各賃金欄記載の賃金の支払を求める事案である。

【裁判所の判断】

請求棄却

【判例のポイント】

1 請負の形式による契約により行う業務に自己の雇用する労働者を従事させる事業者について、労働者派遣か請負の区分は、当該事業者に業務遂行、労務管理及び事業運営において注文主からの独立性があるか、すなわち、①当該事業者が自ら業務の遂行に関する指示等を行っているか、②当該事業者が自ら労働時間等に関する指示その他の管理を行っているか、③当該事業者が、服務規律に関する指示等や労働者の配置の決定等を行っているか、④当該事業者が請負により請け負った業務を自らの業務として当該契約の注文主から独立して処理しているかにより区分するのが相当である。

2 本件では、①平成28年頃、Y社は機械の保守等を除いてA社の個々の従業員に業務遂行上の指示をしておらず、A社はY社から独立して業務遂行を行っていたこと、②A社が自ら労働時間等に関する指示その他の管理を行っていたこと、③A社は、その従業員に対し、服務規律に関する指示をなし、その配置を決めていたこと、④A社は、Y社から請負契約により請け負った業務を自らの業務としてY社から独立して処理していたこと、⑤A社では三六協定が更新されず同29年1月に失効していたが、これを労働者派遣契約に切り替えれば三六協定がなくてもY社から求められた増産に対応できると誤解し、Y社に派遣契約への切り替えを依頼したという経緯があり、Y社がA社との間の従前の業務請負の実態を糊塗するために労働者派遣契約を締結したものではないことが認められる。
以上の事情を考慮すると、遅くとも平成29年3月頃には偽装請負等の状態にあったとまではいうことはできないというべきである。

上記判例のポイント1の判断基準は、派遣と請負を区別する上で極めて重要なのでしっかり押さえておきましょう。

本の紹介1076(黄金の60代)

おはようございます。

今日は本の紹介です。

1955年生まれの郷ひろみさん、今年で65歳(!!)です。

そんな郷さんが「成功は60代から」「死ぬまで発展途上」と言い放ちます。

いかに自分を律しているのかがよくわかります。

おすすめです。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

物事が起こるのはどうしてだろう・・・。なにかが起こるには、その前に何をしたかによる、のではないだろうか。・・・なにかが上手くいくのも、日々練習してきたからこそ。だからこそ目先のことだけを考えるのではなく、それよりずっと先にあるもの、単調なことでもしっかりと怠らず続けることが賢明なのではと思う。」(150頁)

私たちは、この世に存在する普遍の原理である「原因と結果の法則」から逃れることはできません。

結果を出すために日々どのような努力を続けているのか。

結果を出している人は例外なく日々、努力を続けています。

何を継続するかによって人生が決まります。

やり続けるか、途中で投げ出すか。

ただそれだけの差です。

配転・出向・転籍42(学校法人日通学園事件)

おはようございます。

今日は、准教授の事務職員職への職種変更命令の可否に関する裁判例を見てみましょう。

学校法人日通学園事件(千葉地裁令和2年3月25日・労判ジャーナル100号34頁)

【事案の概要】

本件は、Y社が運営するY大学の法学部の元准教授Xが、Y社に対し、Xが平成25年6月4日から休職していたところ、平成26年12月1日以前に休職事由が消滅したにもかかわらずY社がXを復職させず、また同日に復職した際、Y社は、職種変更命令により准教授としてではなく事務職員として復職させたが、Xは職種を限定して採用されており、かつ本件職種変更命令に同意していないから同命令は無効である等と主張して、本件雇用契約に基づき、准教授としての地位にあることの確認、准教授委と事務職員の給与の差額賃金等の支払、人格権に基づき、e-Rad(府省共通研究開発管理システム)のXの職名等の変更等のための通知、民法709条に基づき、慰謝料1000万円等の支払を求めた事案である。

【裁判所の判断】

職種変更命令は無効

慰謝料請求は棄却

【判例のポイント】

1 Y社において大学の教育職員として採用時に求められる経歴や業績、事務職員等との採用手続きの採用、大学の教育職員の業務内容の専門性、特殊性、事務職員等との労働条件の相違、Y社における大学の教育職員から事務職員への職種の変更の実績等を総合すれば、XをY社の大学の教育職員として雇用する旨の雇用契約は、職種を教育職員に限定して締結されているものと認めるのが相当であり、また、XはY社から職種変更の提案を受けた際、その理由を問い質していること、Xの代理人である弁護士は、Aに対し、事あるごとに一貫してXは職種の変更に同意していない旨を伝えていたことからすれば、Xが職種の変更に同意していたとは認められないから、本件雇用契約は職種限定契約であり、Xが本件職種変更命令に明示又は黙示に同意したとは認められない。

2 本システムは、研究者の情報(経歴)が記載されるものであり、政府の関係するシステムであるため、本システムは一般的に高い信用性があると認識されているとは認められるものの、本システムは研究者の経歴を明らかにする一手段にすぎないものであり、他の手段によって研修者の経歴を証明することも可能であると認められるから、本システムに誤った記載がなされたことによりXの人格権が侵害されたとは認められず、人格権に基づき、Y社に対し、本システムの記載を正確な内容に訂正することを求めることはできない。

職種の限定の有無については、単に雇用契約書の記載内容だけで形式的に判断することはできません。

上記判例のポイント1の考慮要素は非常に参考になるので押さえておきましょう。