不当労働行為256 会社が決めたルールを強要してストライキの実施運用に介入する行為と不当労働行為(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、出席生徒数の減少を理由に非常勤講師である組合員2名の担当クラスを閉鎖したことが不当労働行為に当たらない、Y社がストを行う場合に事前予告を求める内容の文書をX労組に交付したことが不当労働行為とされた事案を見ていきましょう。

エヌ・シイ・シイ事件(東京都労委令和2年2月4日・労判1225号105頁)

【事案の概要】

本件は、①出席生徒数の減少を理由に非常勤講師である組合員2名の担当クラスを閉鎖したこと、及び、②Y社がストを行う場合に事前予告を求める内容の文書をX労組に交付したことが不当労働行為に該当するかが争われた事案である。

【労働委員会の判断】

①は不当労働行為にあたらない

②は不当労働行為にあたる

【命令のポイント】

1 Y社が、出席生徒数が定員の3分の1にも満たないA3及びA4の担当クラスを閉鎖したことは、非組合員の場合と異なる対応であったとはいえず、Y社が、両人が組合員であることを理由に担当クラスを閉鎖したとまで認めることはできない。

2 本件要求書には、単に事前の予告を要請するだけではなく、その要請を受け入れない場合には、「正当なストライキではないと判断します」と記載されている。これは3日前までに予告のないストライキをした場合には、Y社が組合員に対して懲戒処分をするなどの可能性があることを示しているといえる。Y社の要請を受け入れなければ組合員へ不利益が生じる可能性があることを示しながらストライキの3日前までの事前予告を求める対応は、単なる要請ではなく、Y社が一方的に決めたルールを強要してストライキの実施運用に介入する行為であると評価せざるを得ない
したがって、Y社が組合に対し本件要求書を交付したことは、組合の運営に対する支配介入に当たる。

上記命令のポイント2は単なる要請であれば不当労働行為とは評価されないでしょうが、今回はそれを超えた内容であったため、不当労働行為と評価されています。

組合との団体交渉や組合員に対する処分等については、まずは事前に顧問弁護士から労組法のルールについてレクチャーを受けることが大切です。決して素人判断で進めないようにしましょう。