Category Archives: 不当労働行為

不当労働行為244(プリモパッソ事件)

おはようございます。

今日は、組合員2名を出勤停止の懲戒処分としたこと、懲戒解雇予告通知をしたことが不当労働行為とされた事案を見てみましょう。

プリモパッソ事件(大阪府労委令和元年7月19日・労判1218号90頁)

【事案の概要】

本件は、組合員2名を出勤停止の懲戒処分としたこと、懲戒解雇予告通知をしたことが不当労働行為にあたるかが争われた事案である。

【労働委員会の判断】

不当労働行為にあたる

【命令のポイント】

1 本件懲戒処分の理由として会社が挙げる根拠事実は、実質的に、両組合員の正当な組合活動であり、本件懲戒処分は正当な組合活動を理由とするものであったというほかない
会社は、両組合員に対し、非違行為及び懲戒の理由を実質的に通知していないものといえ、したがって、本件懲戒処分は、就業規則の規定に従わずに行われたものと言わざるを得ない
また、就業規則第77条に、懲戒処分に先立って必要な指導及びロ頭注意を行う旨規定されていることが認められるところ、会社が、本件懲戒処分の通知に先立って、両組合員に対し、何らかの指導を行ったと認めるに足る事実の疎明もない。これらのことからすると、本件懲戒処分は、正当な手続を欠いたものといわねばならない

2 会社は、両組合員に対して解雇の予告を通知しているのであるから、本件懲戒解雇予告通知は、本件懲戒解雇を本件懲戒処分と一連の処分として通知したものとみることができる。
そうすると、本件懲戒処分が正当な組合活動をしたことを理由としたものであるから、本件懲戒解雇予告通知もまた、正当な組合活動をしたことを理由としてなされたものとみるのが相当である。
会社が、本件懲戒解雇予告通知に先立って、両組合員に対して非違行為及び懲戒の事由を通知したとは評価できず、また、本件懲戒解雇予告通知に先立って、両組合員に対して弁明の機会を付与したとも認めるに足る事実の疎明はない。したがって、本件懲戒解雇に係る手続は、正当性を欠いたものであったと言わさるを得ない。

懲戒処分をする際に適正な手続を踏むことは非常に初歩的な話です。

みなさん、気を付けましょう。

不当労働行為243(光明土地改良区事件)

おはようございます。

今日は、組合員の未払残業代を議題とする団交において、未払残業代が発生していないとする理由を具体的に説明しなかったこと、および同人のタイムカードの写しを提供しない理由を説明しなかったことがいずれも不当労働行為とされた事案を見てみましょう。

光明土地改良区事件(大阪府労委平成31年1月11日・労判1218号92頁)

【事案の概要】

本件は、組合員の未払残業代を議題とする団交において、未払残業代が発生していないとする理由を具体的に説明しなかったこと、および同人のタイムカードの写しを提供しない理由を説明しなかったことが不当労働行為にあたるかが争われた事案である。

【労働委員会の判断】

いずれも不当労働行為にあたる

【命令のポイント】

1 29.7.20団交において、組合が、A2組合員の未払残業代が発生していない根拠として、管理監督者であること、固定残業代として既に支払っていること、残業は一切していなかったことの3点しか考えられないが、どれに当たるのか尋ねたのに対し、Y社は、残業に必要な手続を踏んでいないことを付け加え、4つとも当てはまる場合もあると思う旨等回答していることが認められる。
Y社は、上記をもって誠実な回答を行った旨主張するが、法人は、そもそも残業代を支払っていない旨答えており、残業代を支払わなかった理由を具体的に答えることが可能であったのだから、一般論で、しかも4つとも当てはまる場合もあると思うなどと答えたことをもって、誠実に対応したということはできない

2 29.7.20団交において、Y社が、給与規程に基づき残業手当を支払わず、管理職手当を支払っている旨述べたことに対し、組合は、①給与規程には、管理職手当について、固定残業代を含む旨の記載は一切なく、何を根拠に法人が固定残業代と言うのか不明である旨、②管理職手当等が固定残業代には当たらないという認識であるが、残業代を請求するにしても、きちんと計算をして請求したいと考えている旨等述べていることからすると、29.7.20団交で、組合は、本件タイムカードの写しを要求する根拠を具体的に述べていると解するのが相当である。
組合は、本件タイムカードの写しを要求する根拠を具体的に説明しているといえるにもかかわらず、Y社が、本件タイムカードの写しを提供すべき理由を理解できないと繰り返すだけであったことは、組合の主張に対して、提供できない理由を具体的に説明したとみることはできず、Yのこのような回答は不誠実といわざるを得ない

3 29.7.20団交において、Y社が、A2組合員の未払残業代が発生していないことについて具体的な説明を一切行わなかったこと及びA2組合員のタイムカードの写しを提供できない理由の説明を行うことなく、A2組合員のタイムカードの写しの提供を拒否したことは、誠実な対応を通じて合意達成の可能性を模索する誠実団交義務を尽くしたとはいうことができないことから、不誠実団交に当たるといえ、労働組合法第7条第2号の不当労働行為に該当する。 

会社側が「タイムカードの写しを提供すべき理由を理解できない」という主張を繰り返しているようですが、全く生産的ではなく、また、このような主張が認められる可能性はゼロです。

不当労働行為242(食品新聞社事件)

おはようございます。

今日は、会社が平成29年1月以降、大阪での団交開催に応じないことが不当労働行為とされた事案について見ていきましょう。

食品新聞社事件(大阪府労委令和元年6月4日・労判1216号86頁)

【事案の概要】

本件は、会社が平成29年1月以降、大阪での団交開催に応じないことが不当労働行為にあたるかが争われた事案である。

【労働委員会の判断】

不当労働行為にあたる

【命令のポイント】

1 会社は、大阪での団交開催に応じていない理由として、①40年以上の間、東京で団交に出席する大阪勤務の組合員はG組合員だけである旨、③組合は、大阪の制作部に係る議題でも、大阪での団交開催を要求してこなかった旨主張する。

会社主張①から③はいずれも認められず、組合による平成29年1月以降の大阪での団交開催要求に対して、会社が大阪での団交開催に応じないことは、正当な理由のない団交拒否に当たり、労働組合法7条2号に該当する不当労働行為である

団交の開催場所や出席人数等に固執して団交に応じない場合、不当労働行為と評価される場合がありますので気を付けましょう。

不当労働行為241(日本タタ・コンサルタンシー・サービシズ事件)

おはようございます。 今週も一週間がんばりましょう。

今日は、組合員の定年後の再雇用条件に関する3回の団交後、労組の申し入れた団交に応じなかった会社の対応が不当労働行為とされた事案を見てみましょう。

日本タタ・コンサルタンシー・サービシズ事件(東京都労委平成31年4月23日・労判1216号87頁)

【事案の概要】

本件は、組合員の定年後の再雇用条件に関する3回の団交後、労組の申し入れた団交に応じなかった会社の対応が不当労働行為にあたるかが争われた事案

【労働委員会の判断】

不当労働行為にあたる

【命令のポイント】

1 組合は、表題こそ通知申入書としたものの、会社が団体交渉に応じたそれまでの要求書と全く同じ書式で、団体交渉の候補日を記載して応諾について回答を求めているのであるから、組合は会社に対して明確に団体交渉を申し入れているというべきである。ましてや、30年2月16日付通知申入書に回答や交渉を拒否した場合は直ちに争議行為を開始するなどとの記載があることからも、意向を尋ねたにすぎないという会社の主張は採用できない。
そして、組合が候補日を示して3回にわたり団体交渉を申し入れたことに対し、会社は、書面で団体交渉を行う必要がない旨を述べて、開催日については回答せず、団体交渉は開催されていないのであるから、会社は、団体交渉を拒否したものといわざるを得ない

2 会社は、本件申立て後の団体交渉の要求に誠実に応じたことなどから、救済の必要性等はないと主張する
確かに、会社は、本件申立て後、団体交渉に応じ、A2の月例給与を含む労働条件について協議し、業務用モニターの貸与及び資料提出を指導するようにとの組合の要求に対応していることが認められる。
しかし、団体交渉の開催が、A2の再雇用開始から4か月後である30年6月まで遅れたこと及び会社が団体交渉を拒否したとは本件結審日現在に至るまで一切認めていないことから、将来に向けて円滑な労使関係を築くための救済の必要性等が全く失われたものとはいえない

上記命令のポイント2は救済の必要性との関係で参考になりますので、理解しておきましょう。

不当労働行為240(トライメディカルサービス事件)

おはようございます。

今日は、団交の途中で会社側出席者が退席したことが不当労働行為とされた事案を見てみましょう。

トライメディカルサービス事件(大阪府労委令和元年7月5日・労判1216号85頁)

【事案の概要】

本件は、団交の途中で会社側出席者が退席したことが不当労働行為にあたるか、及び、保管ボックスの設置要求、組合員2名の勤務シフト変更要求、施設の改善要求、賃金改定要求を議題とする団交における会社の対応が不当労働行為にあたるかが争われた事案である。

【労働委員会の判断】

不当労働行為にあたる

【命令のポイント】

1 会社が交渉開始後わずか10分で途中退席したことは、不誠実であったと言わざるを得ず、労働組合法7条2号に該当する不当労働行為である。

2 会社は、自ら提案し、検討することを約束した保管ボックスの設置を拒否するに当たって、具体的な検討内容ではなく、便宜供与の法的義務は無いといった抽象的な説明をするのみで、組合の理解を得られるような具体的な理由や検討した内容を一切示すことなく、これまでの交渉を唐突に反故にした、と言わざるを得ない。

3 会社は、組合のシフト変更要求に応じない理由として、能力給やマスク着用に係る事項を挙げるが、それはこの話には関係ないと繰り返し述べる組合に対し、なぜ変更に応じられない理由になるのかについて、具体的な根拠を示して説明したとはいえない

特に上記命令のポイント2は注意してください。

「法的義務がない」という主張に終始しているだけでは、誠実交渉義務を尽くしたとはいえないという判断です。

不当労働行為239(朝日新聞社(便宜供与)事件)

おはようございます。 今週も2日間がんばっていきましょう。

今日は、便宜供与を議題とする団交において、要求を拒否する旨回答するのみの会社の対応および労組の便宜供与要求に対し、現時点では応ずることはできないとだけ回答した会社の対応が、いずれも不当労働行為とされた事案を見てみましょう。

朝日新聞社(便宜供与)事件(東京都労委平成31年4月23日・労判1214号93頁)

【事案の概要】

便宜供与を議題とする団交において、要求を拒否する旨回答するのみの会社の対応および労組の便宜供与要求に対し、現時点では応ずることはできないとだけ回答した会社の対応が不当労働行為にあたるかが争われた事案である。

【労働委員会の判断】

いずれも不当労働行為にあたる

【命令のポイント】

1 組合は、本件団体交渉において、便宜供与には優先順序があるし、全部を求めているわけではなく、C労組との公平性から、労働組合の規模に比して、十分譲歩することはできるなどと述べて、優先順序や譲歩の余地があることを示しているのであるから、会社は、事前に検討して一定の結論を持っていたとしても、団体交渉で組合が示した内容を踏まえて再度検討したり、あるいは、組合に譲歩の余地等があってもなお応ずることができない合理的な理由を示して組合の理解を得るよう努力したりすべきであったといえる。

2 組織規模や会社との間で労使関係を構築してきた期間という点において、大きな差異が認められる場合にあっては、単に併存する労働組合との間で便宜供与に差があることのみをもって問題視することは適切ではなく、より具体的に、組合の求める便宜供与の内容、その必要性、便宜供与を行うに当たっての会社の負担、便宜供与をめぐる交渉の経緯、その他の事情を総合的に勘案して、便宜供与を行わないことが支配介入に当たるか否かを判断すべきものといえる。
・・・結局、会社は、組合の要求内容いかんにかかわらず、現段階では一切の便宜供与を行わないとの姿勢を示したものとみられてもやむを得ない。したがって、会社が本件便宜供与の要求について、合理的な理由を示さずにこれを拒否した対応は、中立保持義務に反し、支配介入に当たる。

併存する組合が存在する場合の考え方については、上記命令のポイント2が参考になりますので、理解しておきましょう。

不当労働行為238(JR西日本広島メンテック事件)

おはようございます。 今週も一週間がんばりましょう。

今日は、パート従業員として採用される前にビラ配布等をしたことを理由に、1か月の有期雇用期間満了時に次の有期雇用契約を締結しなかったことが不当労働行為とされた事案を見てみましょう。

JR西日本広島メンテック事件(広島県労委平成31年4月12日・労判1214号94頁)

【事案の概要】

本件は、パート従業員として採用される前にビラ配布等をしたことを理由に、1か月の有期雇用期間満了時に次の有期雇用契約を締結しなかったことが不当労働行為にあたるかが争われた事案である。

【労働委員会の判断】

不当労働行為にあたる

【命令のポイント】

1 本件通告時におけるB副所長の、ビラを配布するということは一種の活動家である旨の発言は、会社が、A組合員の採用前のビラ配布を把握し、A組合員が組合方針に賛同し、組合活動に協力的な行動をしてきた人物であると認識していたことを示すものであるとともに、A組合員の採用前のビラ配布を嫌悪し、今後組合に加入し、会社内で組合活動を行うことを懸念したものであると認められる。

2 会社は、A組合員の採用前のビラ配布を把握し、A組合員が組合方針に賛同し、組合活動に協力的な行動をしてきた人物であると認識し、このような人物を会社に引き続き雇用すれば、組合に加入し、会社内で組合活動を行うことを懸念したことから、合理的とはいえない理由を付し、1か月の有期労働契約の期間満了をもって会社から排除しようとしたものというべきであり、不当労働行為の意思を推認させるものである。
したがって、次の有期労働契約を締結しなかったことは、A組合員が組合に加入することを懸念したが故になされた不利益取扱いであると判断するのが相当であり、労働組合法7条1号の不当労働行為に該当する。

この事案もそうですが、思うことは自由ですが、それを発言するとこのような紛争になります。

不当労働行為237(西武観光バス事件)

おはようございます。

今日は、会社の管理部次長が部下の運転士を通じて、労組に加入して分会を結成した直後の組合員に対し、(労組に加入すると)将来がなくなる等と述べたことが不当労働行為にあたるとされた事案を見てみましょう。

西部観光バス事件(東京都労委令和元年10月15日・労判1214号92頁)

【事案の概要】

本件は、会社の管理部次長が部下の運転士を通じて、労組に加入して分会を結成した直後の組合員に対し、(労組に加入すると)将来がなくなる等と述べたことが不当労働行為にあたるかが争われた事案である。

【労働委員会の判断】

不当労働行為にあたる

【命令のポイント】

1 「『(組合に加入していると)会社側としても、そういう運転士従業員は将来がなくなっちゃうんだよ。良いことは一つもない。』、『会社側は区別するよ。』等と発言している。
こららの発言は、Cが組合に加入しているが、早いうちに脱退してほしいという意向を述べたものである。また、組合加入によって会社から不利益な取扱いを受けることを示唆するものであり、脱退勧奨発言であると認められる

2 会社は、F次長の発言は、G運転士を介してCに間接的に伝わったものであり、組合に与える影響は低いから、支配介入に当たらないと主張する。
確かに、F次長の発言はG運転士を介してCに伝わっているが、G運転士は、Cに対し、後記の職責を有するF次長に頼まれたと明示した上で、脱退勧奨発言を行っていること、発言内容には会社の立場を示すものが含まれていることから、組合員として組合活動を続けることについて大きな威嚇的効果があり、組合活動が阻害されるおそれは大きいといえる

3 したがって、本件行為は、会社から不利益な取扱いを受けることを示唆しての脱退勧奨に当たり、組合活動の弱体化を企図したものといえる。

思っていても言ってはいけないことがあります。

上記の発言が不当労働行為に該当することは明白です。

不当労働行為236(国立大学法人東北大学事件)

おはようございます。 今週も一週間がんばりましょう。

今日は、有期雇用職員の無期転換を議題とする団交において、労組の要求する他大学の財務状況に関する資料を提示しなかったことは不当労働行為に当たらないが、希望者全員の無期転換ができない理由の根拠となる資料の提示および説明をしなかった法人の対応は不当労働行為に当たるとされた事案を見てみましょう。

国立大学法人東北大学事件(宮城県労委令和元年11月14日・労判1214号91頁)

【事案の概要】

本件は、有期雇用職員の無期転換を議題とする団交において、労組の要求する他大学の財務状況に関する資料を提示しなかった法人の対応、希望者全員の無期転換ができない理由の根拠となる資料の提示および説明をしなかった法人の対応は不当労働行為に当たるかが争われた事案である。

【労働委員会の判断】

労組の要求する他大学の財務状況に関する資料を提示しなかったことは不当労働行為に当たらない

希望者全員の無期転換ができない理由の根拠となる資料の提示および説明をしなかった法人の対応は不当労働行為に当たる

【命令のポイント】

1 他大学の財務状況に関しては、財務諸表や決算報告書などに記載されている概括的な情報は公開されているとしても、職員の雇用管理に関する情報や財源の具体的な使途等、比較分析を行うために必要な情報まで公開されているものではない。また、X組合がY社に対して、他大学の情報を入手するよう求めていることからも、それらの情報が一般に公開されているとは言い難い。さらに、X組合もそれらの情報の入手方法について具体的な主張をしておらず、Y社が入手可能であったとする特段の事情も認められない。よって、Y社が、他大学と異なる財務状況を説明することが可能であったとは認められない。
このような状況において、他大学との比較資料を提供しなかったとしても、誠実交渉義務に違反する対応であるとまではいえず、労組法7条2号の不当労働行為に該当するとはいえない

2 Y社は、希望者全員の無期転換というX組合の要求を受け入れられない理由として、正職員の人件費が逼迫した財務状態にあることや運営費交付金が減少していることなどの一般的・抽象的な理由を説明したにすぎず、有期雇用職員の現時点における人件費の額は明らかにしているものの、希望者全員を無期転換した場合に増加する将来の人件費の額、Y社の予算に占める増加額の割合(影響度)といった事項については明らかにしておらず、これらの事項を具体的に検討したことは窺えない。仮にこれらの事項について、Y社が具体的に検討し、X組合に情報を提供していれば、X組合は、それを前提に自身の要求の実現可能性を判断し、他の財源を割り当てる、あるいは無期転換の要求を一定程度縮小するといった対案を検討するなどしてY社と交渉することも可能であった。すなわち、Y社が、Xの要求を具体的に検討していないことにより、X組合に対して労使対等交渉に必要な情報が開示されず、労使対等交渉が妨げられていたことが認められる

上記命令のポイント1と2を比較検討すると、いかなる場合に、不当労働行為と判断されるかがよくわかりますね。

不当労働行為235(V社(降格・配転)事件)

おはようございます。 今週も一週間お疲れさまでした。

今日は、B2営業本部長によるハラスメント行為が義務的団交事項に当たらないとする会社の対応および労組のA2委員長を管理職層当職であるB職層から一般職であるC職層へ降格したことおよび同人を東京支店から名古屋市の本社お客様相談課へ配転したことがいずれも不当労働行為とされた事案を見てみましょう。

V社(降格・配転)事件(東京都労委平成31年2月19日・労判1211号179頁)

【事案の概要】

本件は、B2営業本部長によるハラスメント行為が義務的団交事項に当たらないとする会社の対応および労組のA2委員長を管理職層当職であるB職層から一般職であるC職層へ降格したことおよび同人を東京支店から名古屋市の本社お客様相談課へ配転したことが不当労働行為にあたるかが争われた事案である。

【労働委員会の判断】

いずれも不当労働行為にあたる

【命令のポイント】

1 本件行為に対して会社がとる対処の有無とその内容は、従業員の就業環境に影響を及ぼす事項であり、会社が協議に応ずべき義務的団交事項に当たる。
組合は、団体交渉において、C1本部長の行為はセクハラに当たり、従業員の健全な職場環境づくりに関わる問題であるとして、その対処を求めたのであるから、それに対して会社は、会社の調査にて確認された事実関係やセクハラに当たらないと判断した理由を説明するなどした上で、会社が行う対処の内容等について、組合の協議に応じるべきであったといえる。
28年5月31日の団体交渉において、本件行為は義務的団交事項ではないとして協議に応じなかった会社の対応は、不誠実な団体交渉に該当する

2 A2委員長を東京支店から別の部署へ配転する必要があったとしても、新設された28年10月異動期において、お客様相談課を増員する必要性や、同委員長を同課へ配置する合理性は乏しく、そして、本件配転が、不当労働行為と認められる同委員長への降格処分と同時期に行われたことや、本件公表等を巡る緊迫した労使関係と配転による組合運営への支障なども併せ考えると、本件配転は、組合の中心人物である同委員長を活動拠点から遠方に放逐し、組合の活動力を削ぐことを意図したものとみるほかない
よって、会社がA2委員長に対し、お客様相談課への配転を命じたことは、組合員であるが故の不利益取扱いであるとともに組合運営に対する支配介入に当たる。

安易に義務的団交事項でないと判断することは避けなければなりません。

団体交渉の中で合理的な説明に努めるほうがよほど生産的です。