Category Archives: 不当労働行為

不当労働行為229(ほうびほか1社事件)

おはようございます。

87日目の栗坊トマト。完全なるトマトです!

今日は、労組の団交申入れに対し、取締役が組合員と直接面談し、労組からの脱退を勧奨し労組を誹謗中傷する発言を行ったことが不当労働行為とされた事案を見てみましょう。

ほうびほか1社事件(神奈川県労委平成31年1月11日・労判1205号93頁)

【事案の概要】

本件は、労組の団交申入れに対し、取締役が組合員と直接面談し、労組からの脱退を勧奨し労組を誹謗中傷する発言を行ったことが不当労働行為にあたるかが争われた事案である。

【労働委員会の判断】

不当労働行為にあたる

【命令のポイント】

1 Y社の取締役であったAがXと連絡を取り、同人との間で行った面談及び同面談でのXに対するAの発言内容は、組合の運営や組合活動を阻害するおそれのあるものであるから、組合の運営に対する支配介入に当たる

2 Z社は、実質的にY社と同一であり、労使関係においてもY社の地位を承継しているとみることができ、Z社は、Xとの関係において、労組法第7条の「使用者」に当たる。
Y社の取締役であり、Z社の従業員でもあるAがY社及びZ社の両社の立場でXと接していたとみることができること、Z社が実質的にY社との一体性を有するほか、労使関係においてもY社の地位を承継していることからすると、AがXに対して直接交渉を行ったこと及び同交渉におけるYの発言内容等は、組合の運営に対する支配介入に当たる。

上記命令のポイント1は、基本中の基本ですので、使用者としては理解しておかなければなりません。

不当労働行為228(公文教育研究会事件)

おはようございます。

85日目の栗坊トマト。葉っぱが元気ないですが、実はどんどん大きくなっております。

今日は、会社とフランチャイズ契約を締結して公文式教室を開設し、生徒指導に当たる教室指導者の労組法上の労働者性が争われた事案を見てみましょう。

公文教育研究会事件(東京都労委令和元年5月28日・労判1207号89頁)

【事案の概要】

本件は、会社とフランチャイズ契約を締結して公文式教室を開設し、生徒指導に当たる教室指導者の労組法上の労働者性が争われた事案である。

【労働委員会の判断】

労組法上の労働者性を肯定

【命令のポイント】

1 労働組合法上の労働者に当たるか否かについては、契約の名称等の形式のみにとらわれることなく、その実態に即して客観的に判断する必要がある。確かに、一般に、フランチャイズ契約には、いわゆるライセンス契約としての側面があることは否定し難く、また、フランチャイジーが会社とは別個の事業者とされていることからすると、フランチャイジーがフランチャイザーに対して労務を供給することがその契約上当然に予定されているとはいえない。
しかし、本件契約は、教室指導者本人の労務供給が前提となっているということができるし、実態としても、教室指導者は、本人労働力を供給して生徒の指導を行っているというべきである。また、会社と本件契約を締結するのは、教室指導者個人のみであり、本件契約を締結し、法人が本件契約に基づいて公文式教室を運営する例はない。これらの事情からすると、本件において、会社と教室指導者との関係を実質的にみた場合、教室指導者自身が会社の事業のために労務を供給していると評価できる可能性がある

2 ・・・したがって、上記の点を踏まえつつ、教室指導者が労働組合法上の労働者に当たるか否かについては、労働組合法の趣旨及び性格に照らし、会社と教室指導者との間の関係において、労務供給関係と評価できる実態があるかという点も含めて検討し、ア)事業組織への組入れ、イ)契約内容の一方的・定型的決定、ウ)報酬の労務対価性、エ)業務の依頼に応ずべき関係、オ)広い意味での指揮監督下の労務提供、一定の時間的場所的拘束、カ)顕著な事業者性等の諸事情があるか否かを総合的に考慮して判断すべきである。これらの事情を総合的に勘案すれば、本件における教育指導者は、会社との関係において労働組合法上の労働者に当たると解するのが相当である。

コンビニの例同様、FCでも労組法上の労働者性が肯定される場合がありますので注意が必要です。

不当労働行為227(新井鉄工所事件)

おはようございます。 今週も一週間お疲れさまでした。

83日目の栗坊トマト。これからどれだけ実がつくのでしょうか。楽しみです。

今日は、希望退職に応じない組合員に対して退職条件を説明する等の個別面談を行い、退職を勧奨したことが不当労働行為とされた事案を見てみましょう。

新井鉄工所事件(東京都労委平成30年12月4日・労判1205号94頁)

【事案の概要】

本件は、希望退職に応じない組合員に対して退職条件を説明する等の個別面談を行い、退職を勧奨したことが不当労働行為にあたるかが争われた事案である。

【労働委員会の判断】

不当労働行為にあたる

【命令のポイント】

1 Y社は、組合員に個別面談を行った理由として、希望退職者には退職金規程に定められた退職金に加え、更なる優遇措置を講じていたものの、団体交渉において組合に説明しようとしても、組合がこれに応じなかったので、希望退職の条件も含め、組合員と非組合員の別なく説明及び情報提供を行うべきと考えたと主張するところ、この主張に一定の理解ができないではない。しかし、説明や情報提供が目的であったとすれば、説明会の開催に加え、組合や組合員の反対を押し切ってまで個別面談を4回も実施する必要はないはずであるし、4回目の個別面談で、Y社が出席者をそれまでの1名から2名に増やす必要もなかったといえる
また、Y社は、非組合員のみに個別面談を実施すると、組合のそれまでの対応から、後に、組合員ゆえに差別したとの指摘がなされるのではないかと懸念したことも理由として挙げているが、組合は希望退職に応ずる考えのない組合員への個別面談をしないよう求めていたのであるから、その理由に合理性を認め難い
そうすると、Y社が希望退職に応じなかった組合員に対して、4回にわたり個別面談を実施したことは、組合の頭越しに個々の組合員に対して希望退職に応ずるよう直接働き掛けるものであったといわざるを得ず、支配介入に当たる。

対応が難しいですね。

Y社の考えていることも全く不合理とはいえないと思いますが、結果としては不当労働行為に該当すると判断されています。

不当労働行為226(第一交通産業ほか事件)

おはようございます。

34日目の栗坊トマト。葉っぱの数がますます増えてきました!

今日は、労組の申し入れた団交に社長が出席しなかったこと、団交における会社側出席者の対応、団交期日の決定にかかる会社の対応がいずれも不誠実といえず、不当労働行為に当たらないとされた事案を見てみましょう。

第一交通産業ほか事件(愛知県労委平成30年10月19日・労判1203号87頁)

【事案の概要】

本件は、労組の申し入れた団交に社長が出席しなかったこと、団交における会社側出席者の対応、団交期日の決定にかかる会社の対応がいずれも不誠実といえず、不当労働行為に当たるかが争われた事案である。

【労働委員会の判断】

不当労働行為にあたらない

【命令のポイント】

1 第5回団交及び第7回団交から第10回団交までの各団交において、B2社長が出席していなくとも、交渉権限を与えられていたY社側の出席者により、組合とY社との交渉が一定程度成立していたといえることから、当該各団交におけるY社の対応が不誠実であるとまではいえない

2 B3業務課次長の当該発言は、当該発言を受けて組合側出席者1名が退出したことからも、B3業務課次長の当該発言の原因が出席者の人数の差によるものであることを組合側も認めて対応していることも一定の理解はできること、また、組合側出席者1名の退出後は当該団交が係属していることを考え併せれば、当該発言により団交の開始が遅れたとしても、B3業務課次長の当該発言をもって、Y2の当該団交における対応が不誠実とまではいえない。

必ずしも団体交渉に社長が出席する必要はありません。

かといって、まったく状況を把握しておらず、かつ、何の決定権も持っていない従業員が参加するのは、誠実な対応とはいえませんのでやめましょう。

不当労働行為225(学校法人大阪YMCA事件)

おはようございます。

27日目の栗坊トマト。どんどん大きくなってきています!

今日は、学校法人が労組の交渉窓口担当者の交代を求めたこと、賃上げを議題とする団交を約2か月半延引したこと等を不当労働行為とした事案を見てみましょう。

学校法人大阪YMCA事件(平成31年2月6日・労判1203号84頁)

【事案の概要】

本件は、学校法人が労組の交渉窓口担当者の交代を求めたこと、賃上げを議題とする団交を約2か月半延引したこと等が不当労働行為に該当するかが争われた事案

【労働委員会の判断】

不当労働行為にあたる

【命令のポイント】

1 Y社の対応には一定の酌むべき事情がないとはいえないものの、A2組合員との窓口対応において、円滑な事務的調整が行われなかったことが一度あったからといって、組合が自主的に決定するものである交渉窓口担当者の交代を求め、交代するまで窓口対応を取りやめるというY社の対応は、組合の内部運営に介入し、組合の弱体化を招くおそれのある行為といえる。

2 26.7.2団交におけるY社の対応は、自らの回答について組合の理解を得るべく説明に努めたとはいえないもので、不誠実な交渉態度といわざるを得ず、誠実交渉義務に反するものであり、労組法7条2号の不当労働行為に当たる。そして、組合員の労働条件に関する組合の要求について、Y社が説明に努めたとはいえず、実質的な交渉が行われなかったことは、組合の影響力を弱めるものとして労組法7条3号の不当労働行為に当たる。

3 28.3.15団交申入れは、翌年度の賃上げを求めて団体交渉を申し入れたものであるから、賃上げ実施前の団体交渉の開催を求めるのは組合として当然であり、このような組合員の基本的労働条件に関する事項について説明を求められている以上、Y社が5月の理事会前には確定的な方針をもって回答ができないことを理由として団体交渉を拒否することは、正当な理由に基づくものとは言えない

上記命令のポイント1のように短気を起こさないことが団体交渉では肝心です。

不当労働行為224(日本郵便事件)

おはようございます。 今週も一週間がんばりましょう。

5日目にして、栗坊トマトの芽が出ました。

ここからの成長が楽しみです。

今日は、本質的でない要求事項についての団交打ち切りと不当労働行為に関する裁判例を見てみましょう。

日本郵便事件(東京地裁平成30年12月20日・労経速2382号9頁)

【事案の概要】

Y社に期間雇用社員として雇用されていた特定の労働者が加入するX組合が東京都労働委員会に対してY社が当該特定の労働者をいわゆる雇い止めにしたことが労働組合法第7条第1号の規定に違反する旨等の申立てをしたところ、都労委が本件組合の請求に係る救済の一部を許容する旨の命令をし、さらに、本件初審命令を不服としてY社及びX組合がそれぞれした再審査の各申立てについて中央労働委員会がY社の当該申立てに基づいて本件初審命令の一部を変更するとともに、その余のY社の当該申立てを棄却し、かつ、本件組合の当該申立てを棄却する旨の命令をした。

本件は、Y社が、本件処分行政庁のした本件命令のうち主文第1項(1)及び第2項が違法である旨を主張して、その取消しを求めた事案である。

【裁判所の判断】

中労委命令のうち主文第1項(1)及び第2項を取り消す。

【判例のポイント】

1 X組合は、本件各団交申入れにおいて、表面上は、本件副部長発言がパワーハラスメントに当たるとして当該パワーハラスメントに対する謝罪の要求を交渉事項に挙げてはいたものの、飽くまでも本件雇止めの撤回を本質的な要求とした上で、本件第一、二回団交におけるのと同様に、本件雇止めに至る経緯の中で本件労働者に対して退職強要があったことを非難する趣旨で本件副部長発言を問題としていたものと解することが相当であって、当該謝罪の要求自体が本件団交申入れにおける本件組合の本質的な要求であったと解することはできない。これに対し、本件命令においては、本件雇止めの撤回とは別個の独立した議題として当該謝罪の要求に関する議題が認定され、この議題が本件各団交申入れにおける中心的な問題であった旨の判断がされているものと解されるが、当該謝罪の要求に関する交渉事項についてそのように捉えることは、形式的にすぎるといわざるを得ない

2 本件各団交申入れにおいて本質的な要求として挙げられていた本件雇止めの撤回の要求に係る団体交渉にY社が応じなかったことについて正当な理由がないとはいえないことに加え、本件第一、二回団交におけるY社側の出席者による本件副部長発言の内容や趣旨等に関する説明についても、本件組合側の出席者は、これを無視し、E副部長が虚偽を述べてY社に対して退職を要求したなどと断定して、そのことを追及する姿勢に終始していたと評することができるし、上記のとおり、本件各団交申入書においても、本件副部長発言についての本件第一、二回団交におけるY社側の説明等を踏まえた質問や要求などが記載されていなかったこと、さらに、本件副部長発言が本件労働者との一対一の電話におけるやり取りの中でされたものであり、録音等の客観的な証拠に基づいて議論ができるようなものではなかったことをも考慮すれば、Xが本件各団交申入れに対し、E副部長が本件労働者に対してパワーハラスメントを行った事実はない旨を回答したのみで、本質的な要求とは解されない本件労働者へのパワーハラスメントに対する謝罪の要求に係る団体交渉にそれ以上応じなかったことも、やむを得ないものということができるから、そのことに正当な理由がないとはいうことができないというべきである。

団体交渉を行うにあたって、使用者側が理解しておくべき内容です。

不当労働行為223(D新聞社事件)

おはようございます。

今日は、一時金の年間支給月数に関する労使合意を否定し、自らの提案に固執する会社の対応が不当労働行為に当たらないとした事案を見てみましょう。

D新聞社事件(中労委平成30年11月7日・労判1200号93頁)

【事案の概要】

本件は、一時金の年間支給月数に関する労使合意を否定し、自らの提案に固執する会社の対応が不当労働行為に当たるかが争われた事案である。

【労働委員会の判断】

不当労働行為にあたらない

【命令のポイント】

1 Y社が、第5回労使協議会における発言により本件8か月分合意について本件組合に言質を与えたとまで認めるのは困難であるから、Y社が信義則上の支払義務を負うことまで認めることはできず、本件組合の主張は採用できない
また、26年及び27年各季一時金を新基準内賃金の3.6か月分と提案し、譲歩できないことについて、Y社は設備投資に資金投入する必要性等について具体的に説明している
そうすると、Y社が、本件各一時金団交において、本件8か月分合意の存在を否定し、26年及び27年各季一時金をそれぞれ新基準内賃金の3.6か月分と提案し、譲歩しなかったことは、不誠実とはいえず、労組法7条2号の不当労働行為に当たるということはできない。

使用者には妥結義務まではなく、根拠を示し、合理的に説明をすることで足ります。

不当労働行為222(交通機械サービス事件)

おはようございます。 今週も一週間がんばりましょう。

今日は、組合員の契約不更新にかかる第4回団交に応じない会社の対応は不当労働行為であるが、初審命令後の第4回団交が行われたことにより、救済の利益が失われたとして初審救済命令が取り消された事案を見てみましょう。

交通機械サービス事件(中労委平成30年12月19日・労判1200号92頁)

【事案の概要】

本件は、組合員の契約不更新にかかる第4回団交に応じない会社の対応は不当労働行為であるが、初審命令後の第4回団交が行われたことにより、救済の利益が失われたとして初審救済命令が取り消された事案である。

【労働委員会の判断】

申立てを棄却する

【命令のポイント】

1 改めて第1回団体交渉から第4回団体交渉までの経過を総合的にみれば、第3回団体交渉までのY社の交渉態度は、交渉時間を一方的に制限し、必要な資料を一切提示しないなど不誠実なものであり、これが不当労働行為に該当することは既に判断したとおりであるが、初審命令交付後、Y社は速やかに団体交渉申入れを行い、これに基づいて実施された第4回団体交渉では、事前に交渉時間の制限を行うことなく、自らが保有するA2の雇止めの根拠を示す資料を可能な限り提示し、存在しない資料についてはその理由を繰り返し説明した上で、A2の元上司を立ち会わせ、第1回及び第2回団体交渉で一定程度説明したA2の雇止めの理由について相当に詳細な説明を加えたほか、組合が新たに求めた別の洗浄作業への担当替えや洗浄作業以外への異動についても、それが困難な理由を具体的に説明するなどしているのであるから、Y社は、組合がA2のに関して説明を求めた事項について、組合の理解を得るべく可能な限りの説明を尽くしたものとみることが相当である。
加えて、その後の組合の更なる団体交渉要求に対して、Y社が、未だ説明が行われていない事項を個別具体的に特定するように要求したところ、組合はこれに応答していないとの事情にも照らせば、これ以上交渉を重ねても進展がみられない状態になったものとみるのが相当である。これにより、A2の雇止めに関する実質的な交渉は十分になされていると評価することができ、改めてY社に誠実団体交渉を命じることは要しないものと認められる。

2 以上のことからすれば、Y社の団体交渉拒否によって生じた組合の団結権侵害の状態は、既に是正されていると認めるのが相当であるから、救済の利益は失われたものということができる。したがって、初審命令を取り消すこととする。

初審命令後に団交を誠実に行ったからといって、当然に救済の利益が失われるわけではありません。

使用者側としては、初審命令後の対応としては、本件同様の方針が行くのが望ましいことは言うまでもありません。

不当労働行為221(朝日ゴルフ事件)

おはようございます。

今日は、労組に加入したゴルフ場レストラン料理長の賃金を大幅に減額して支給したこと等が不当労働行為にあたるとされた事案を見てみましょう。

朝日ゴルフ事件(大阪府労委平成30年7月13日・労判1198号84頁)

【事案の概要】

本件は、労組に加入したゴルフ場レストラン料理長の賃金を大幅に減額して支給したこと等が不当労働行為にあたるかが争われた事案である。

【労働委員会の判断】

不当労働行為にあたる

【命令のポイント】

1 Xの平成27年12月分以降の月額賃金の減額は、組合とY社の間に相当程度の対立関係がある中で行われ、しかも、その理由において合理性が認められず、手続においても、不自然な点がみられるのであるから、組合を嫌悪して行われたものと推認することができる。
したがって、X組合員の平成27年12月分以降の月額賃金が減額となったことは、Y社による組合員であるが故の不利益取扱いに当たるとともに、組合に打撃を与えるために行われた組合に対する支配介入にも当たり、労働組合法7条1号及び3号に該当する不当労働行為である。

2 Y社は、自宅待機命令解除後のX組合員の担当業務について、合理性を欠く理由で、調理業務と無関係で必ずしもX組合員が担当する必要のない清掃業務を提案し、組合がこれを受け入れないと分かるや、今度は、組合及びX組合員が拒否することを承知の上で、組合が既に要求として撤回したはずのマスター室勤務を提案しているのであるから、かかるY社の対応は、X組合員のレストラン料理長としての復職をあくまでも求める組合の要求に応じないための対抗策としてなされたものとみざるを得ない
Y社がX組合員をレストラン料理長の職務に復帰させず、平成28年3月1日以降の担当業務として清掃作業及びマスター室勤務の業務を指示したことは、組合員であるが故の不利益取扱いであると言わざるを得ず、労働組合法7条1号に該当する不当労働行為であるとともに、組合員を不利益に取り扱うことによって組合の活動を委縮させるものであるから、組合に対する支配介入であり、労働組合法7条3号に該当する不当労働行為である。

3 X組合員が、平成28年5月19日にY社が調理部門に配置することを受諾して以降出社していないことも、自宅待機命令解除後、Y社に届出等をすることなくAで勤務していたことも、やむを得ないというべきであって、正当な理由がないとまではいえないのであるから、X組合員のこれら行為を根拠に平成28年3月1日以降の出社拒否に正当理由がないとするY社の判断は、合理性のないものであったと言わざるを得ない
以上のことを併せ考えると、本件解雇は、組合を嫌悪してなされた組合員であるがゆえの不利益取扱いと言わざるを得ず、労働組合法7条1号に該当する不当労働行為である。
また、本件解雇は、組合の存在を軽視する行為であることに加え、それによって、2名で構成する分会の分会長であるX組合員がY社の職場からいなくなったのであるから、組合に打撃を与えるものであって、組合に対する支配介入にも当たり、労働組合法7条3号に該当する不当労働行為である。

上記命令のポイント2のような配転命令は、元の業務と配転先の業務との関連性、配転命令の合理性等から不当な動機目的を認定されないように注意しなければなりません。

不当労働行為220(上組陸運事件)

おはようございます。

今日は、労働者供給事業の日雇労働者の月13日稼働確保協定を破棄したことが不当労働行為といえないとされた事案を見てみましょう。

上組陸運事件(兵庫県労委平成31年1月24日・労判1198号80頁)

【事案の概要】

本件は、労働者供給事業の日雇労働者の月13日稼働確保協定を破棄したことが不当労働行為にあたるかが争われた事案である。

【労働委員会の判断】

不当労働行為にはあたらない

【命令のポイント】

1 B2営業所では、ここ数年大幅な赤字を計上していたところ、Y社は、正規乗務員の稼働率向上等を課題として収支改善に取り組んでいた。
しかし、X組合の組合員がB2営業所の業務量にかかわらず月13日以上就労していたことからすると、Y社は、B2営業所の業務量にかかわらずX組合の組合員の業務量を確保していたことになり、正規乗務員の稼働率が改善できない状況にあったと推認できる。
そうすると、B2営業所の経営状況に照らし、その収支改善のために13日確保協定を破棄したとするY社の主張には一定の合理性が認められる

2 給付金は、日雇労働被保険者が失業した日の属する月の前2月間に印紙保険料が通算して26日分以上納付されているときに支給されるところ、13日確保協定によって確保される就労日数と、給付金の支給要件を満たすために必要な就労日数が一致しており、また、X組合は、X組合の組合員の就労日数を月13日確保することで、X組合の組合員が給付金を受給できると認識していた。
しかし、同法の目的は、労働者が失業した場合及び労働者について雇用の継続が困難となる事由が生じた場合に必要な給付を行うことにより、労働者の生活及び雇用の安定を図ること等であるところ、13日確保協定に基づく給付金の受給は、同法が定める日雇雇用保険制度の制度趣旨から逸脱するものであったとの疑念は拭えない。このため、13日確保協定が、日雇雇用保険制度の制度趣旨に抵触する問題を内包していたとのY社の主張は首肯できる。
よって、その是正のため、Y社が13日確保協定を破棄したことには、一定の合理性がうかがえる。

3 以上のことからすると、Y社が13日確保協定を破棄したことには、B2営業所の収支改善及び法令抵触問題の是正という相応の理由があり、X組合の組合員であるが故をもってなされた不利益取扱いに当たるとはいえないので、労組法第7条第1号に該当しない。
また、X組合の存在を嫌悪し、その弱体化を企図して行われたことをうかがわせる事情は認められないので、労組法7条3号に該当しない。

上記のとおり、使用者の行動に客観的合理性が認められる場合には、不当労働行為にはなりません。