労働時間84 パソコンのログイン時刻からログアウト時刻までが概ね労働時間と認められた事案(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間がんばりましょう。

今日は、パソコンのログイン時刻からログアウト時刻までが概ね労働時間と認められた事案を見ていきましょう。

学校法人目白学園事件(東京地裁令和4年3月28日・労経速2491号17頁)

【事案の概要】

本件は、時間外労働に係る賃金等を求める事案である。

【裁判所の判断】

Y社は、Xに対し、296万3031円+遅延損害金を支払え

Y社は、Xに対し、付加金219万3727円+遅延損害金を支払え

【判例のポイント】

1 Xは、Y社に出勤するとまず研究室に向かい本件パソコンにログインの操作をしてカレンダーに時刻を記入して業務を開始し、終業時に本件パソコンにログアウトの操作をして上記カレンダーに時刻を記入していた、Xの主な業務内容の詳細は、「業務状況表」のとおりであった旨主張し、X本人もこれに沿う供述をするところ、Xの上記供述内容は自然かつ合理的なものといえ、基本的に信用できるというべきである。
これに対し、Y社は、本件パソコンのログイン・ログアウトの時刻のみでは証拠が不十分である旨主張しているが、本件雇用契約には「所定時間外労働の有無」が「無」との規定があるものの、Y社がXに所定労働時間外の各種業務を担当させていた事実が存すること自体は実質的に争いがなく、にもかかわらず、Y社がXの労働時間の管理を怠っていたのであり、上記X供述の信用性を否定すべき証拠を提出できていない

被告会社が前記のとおり。パソコンのログイン・ログアウトの時刻のみでは証拠が不十分である等と主張することはよくありますが、裁判所的には「じゃあ、会社のほうでログイン・ログアウトの時刻以上に原告の労働時間を正確に管理・把握していた証拠出してね。」という感じです。

立証責任的観点から単に信用性がないと主張するだけでは足りませんので、ご注意を。

日頃から顧問弁護士に相談の上、労働時間の考え方について正しく理解することが肝要です。