不当労働行為303 会社が団体交渉を拒否したといえるかが争われた事案(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、会社が団体交渉を拒否したといえるかが争われた事案について見ていきましょう。

ヨコヅカ事件(栃木県労委令和5年1月12日・労判1286号83頁)

【事案の概要】

本件は、会社が団体交渉を拒否したといえるかが争われた事案である。

【労働委員会の判断】

肯定

【命令のポイント】

1 令和3年11月4日の回答時点においてY社がウェブ会議を含むリモートでの団体交渉を提案しているということはできず、また、Y社が電話による話合いを提案しているとしても、そこに労使双方の合意や特段の事情があったとはいえない。さらに、Y社は、組合から要求事項の根拠となる証拠が提出されなければ団体交渉に応じないという態度であり、組合からの団体交渉申入れを拒否したものといわざるを得ない

2 Y社は、団体交渉を拒否したとしてもそれには正当な理由があるとして、解雇に対する事実の認識が異なること、そもそも解雇ではないのだから、不当解雇に関する内容は義務的団交事項に当たらない旨を主張している。
しかし、「解雇問題」は義務的団交事項であるから、Y社のその主張は採用できない。また、「社会保険等の未加入問題」及び「時間外労働賃金等の未払い」については、団体交渉を拒否する正当な理由があることについての主張及び疎明をしていないことから、これらについても正当な理由があったとはいえない。

上記命令のポイント1、2における使用者側の主張は、いずれも団体交渉の基本的ルールからすれば、採用されないことは明らかです。

労働組合との対応については、日頃から顧問弁護士に相談しながら進めることが肝要です。