Monthly Archives: 8月 2025

本の紹介2189 集中力はいらない#2(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。今週も1週間がんばりましょう!

今日は、本の紹介です。

今から6年前に紹介した本ですが、再度、読み返してみました。

タイトルから離れた内容も多分に含まれており、むしろそちらの内容のほうが共感します。

この閉塞感満載の現代社会において、それでもなお楽しく幸せな人生を送る秘訣が書かれています。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

現代の社会では、個性が埋没している。『人間』そのものが個人の中で割合として低下している。個人の中で、考えない時間が長くなっている分、『人間割合』が減少している。すなわち、1人が0.5人になっているようなものだ。人口減少よりもずっと速いペースで、人間が減っていると見ることができるだろう。」(195頁)

一方で個性が大切だと言われ、他方で、個性的な人は排斥されるこの国において、個性を殺さずに生きるためにはどうすればいいでしょうか。

私の答え。

①個性が殺される組織に属さない、又は距離を置く。

②自分に力をつける。

以上。

何事に対しても、できるだけ依存度を上げないことが自由に生きる秘訣だと思っています。

解雇422 試用期間途中(実働日数10日)での解雇が有効とされた事案(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も1週間お疲れさまでした。

今日は、試用期間途中(実働日数10日)での解雇が有効とされた事案について見ていきましょう。

ダイトク事件(東京地裁令和6年9月18日・労経速2577号3頁)

【事案の概要】

本件は、Y社の従業員であったXが、解雇が無効であるとして、労働契約上の権利を有する地位にあることの確認を求めるとともに、Y社に対し、雇用契約に基づく賃金請求として、解雇日以降の未払賃金及びこれに対する各支払日の翌日から支払済みまでの民法所定の法定利率による各遅延損害金の支払を求める事案である。

【裁判所の判断】

請求棄却

【判例のポイント】

1 本件契約上、3か月間の試用期間が定められており、本件解雇はその試用期間中にされているところ、本件退職証明書において、XにNC旋盤やノギス等による計測の経験があることから採用したが、その経験が浅いと判断した旨、指示事項に対する判断・理解に欠けていると思われることが多々あった旨、被告における機械加工には適していないと判断し、試用期間2週間ではあるが解雇とすることとした旨等の指摘がされていることにも鑑みれば、本件契約における試用期間の定めは、雇用契約の解約権を留保したものであり、本件解雇は留保解約権の行使としてされたものと認められる。この解約権の留保は、採用決定当初には、使用者が労働者の資質、能力、業務への適格性を十分に把握することができないため、後の調査や観察に基づき最終的に採否を決定する権利を留保する趣旨のものと解される。このような趣旨に照らすと、留保解約権に基づく解雇は、通常の解雇よりも広い範囲で認められると解され、留保解約権の行使は、上記の解約権留保の趣旨、目的に照らして、客観的に合理的な理由が存し社会通念上相当として許される場合に有効となると解される(最高裁判所昭和48年12月12日大法廷判決参照)。

2 Y社が製作しているのは、自動車のエンジンの部分の製造に必要なプランジャーチップ等であり、業務上、その加工品の寸法の計測が正確に行われることが必要かつ重要といえる。また、チャッキングして高速回転させた材料を刃物で削るNC旋盤での作業のミスは、作業者や周囲の従業員に怪我をさせたり、機械自体を毀損したりする危険がある。
Y社は、Xに対し、寸法計測の重要性やNC旋盤の危険性を説明・指導しているから、Xもそのことを理解し得たといえる。また、NC旋盤での具体的な作業は、指定された口径の材料をチャッキングし、作動ボタンを押すという単純なものであるし、Xは、その職歴において、NC旋盤での加工作業やノギス等の計測器具を用いた測定作業の経験を有しており、証人Aの前では計測器具を適切に使用できていたのであるから、上記のミスの改善に困難な事情があったということもできない。
それにもかかわらず、Xは、実働3日目頃以降、証人AやY社代表者から注意指導を繰り返し受けていながら、NC旋盤での加工作業におけるミス(2度目のミスは、機械の芯をずらしてしまうほどの事故につながっている)や寸法の計測ミスを繰り返しており、寸法の計測ミスについては本件解雇時まで改善されていない
以上からすれば、Xは、Y社の業務に関する資質や適格性等を欠いており、実働日数10日間で本件解雇がされたという事情を踏まえても、本件解雇は、本件契約の解約権留保の趣旨、目的に照らして、客観的に合理的な理由が存し社会通念上相当と認められる。
したがって、本件解雇は有効である。

中途採用でそれなりの経験を有している方の場合と新卒の方の場合では資質や適格性等の判断が異なりますので、注意しましょう。

解雇を有効にするためには、日頃の労務管理が非常に重要です。日頃から顧問弁護士に相談できる体制を整えましょう。

本の紹介2188 人生、死んでしまいたいときには下を見ろ、俺がいる。#2(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、本の紹介です。

5年前に紹介した本ですが、再度、読み返してみました。

強く生きるためのメッセージがたくさん書かれています。

何度読んでも素晴らしい本です。

おすすめです。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

戦う前から白旗をあげているから舐められるのです。
わかりました、と引き下がることは生きるのをやめること。簡単にあきらめるわけにはいきません。」(64~65頁)

いつだって、本当の敵は、弱い弱い自分なのです。

敵前逃亡したくなる、やる前から負けた時の言い訳を考えてしまう、そんな弱い自分との戦いなのです。

人間は習慣の生き物です。

一度、逃げ癖がついてしまうと、そこから抜け出すのはとっても大変です。

「敬遠は一度覚えるとクセになりそうで。」(上杉達也-タッチ)

解雇421 原告が履歴書及び職務経歴書に真実と異なる記載をしたことを理由とした内定取消しが有効であるとされた事案(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も1週間お疲れさまでした。

今日は、原告が履歴書及び職務経歴書に真実と異なる記載をしたことを理由とした内定取消しが有効であるとされた事案について見ていきましょう。

アクセンチュア事件(東京地裁令和6年7月18日・労経速2574号9頁)

【事案の概要】

本件は、Y社から採用内定を受けていたXが、その後の経歴調査により虚偽の経歴の申告が判明したなどとして同内定を取り消されたことにつき、Y社に対し、同内定取消しが無効であると主張し、雇用契約上の権利を有する地位にあることの確認と、Y社との雇用契約による雇用期間の始期である令和4年9月1日以降の未払賃金として、同月から本判決確定の日まで毎月25日限り48万8333円+遅延損害金の支払を求めるとともに、違法な内定取消しにより著しい精神的損害を被ったと主張し、不法行為に基づく損害賠償として慰謝料等合計110万円+遅延損害金の支払を求める事案である。

【裁判所の判断】

請求棄却

【判例のポイント】

1 Xが虚偽の申告をした事項は、Xの経歴のうち、職歴という労働者の職務能力や適格性を判断するための重要な事項であった。そして、使用者が労働者を雇用するに当たり、職歴を申告させる理由は、その申告された職歴に基づいてその労働者の職務能力や従業員としての適格性の有無を的確に判断するためであり、そうであるからこそ、Y社においても、本件履歴書及び本件職務経歴書の提出に当たり「提出した書類の記載内容はすべて正確であり、採用審査で誤判断を招くような虚偽の記載や隠れた事実はありません。」との免責事項の確認を求めているものと推認できる。Xは、上記免責事項に「はい。」と回答した上で本件履歴書及び本件職務経歴書を提出した以上、信義に従い真実を記載すべきであったにもかかわらず、F社及びG社について、本件履歴書及び本件職務経歴書にそもそも雇用関係があった旨の記載をせず、虚偽の申告をしたものであって、背信行為といわざるを得ない

2 そこで、その背信性に関し、Xが本件履歴書及び本件職務経歴書に真実の職歴を記載しなかった動機について検討を進めると、Xは、Y社への応募に先立つ直近1年間に、まず、F社との有期雇用契約を雇止めとなり、同雇止めを巡って同社との間で紛争になり、同社からは雇止めの理由として原告のM社におけるコミュニケーション不足が主張されていたこと、また、その後に雇用されたG社との間でも、Xは、Xが同社の業務命令に従わず個別の注意等による反省も見られないなど通常の業務遂行が困難なためとの解雇理由により、雇用開始から約1か月後の試用期間中に普通解雇されたことが認められる。これらの事実に加え、Xが本人尋問において、本件履歴書に上記各社の職歴を記載しなかった理由として「自分から、よく分からない理由で解雇されましたなんて言えないわけじゃないですか。」などと供述していたことも併せ鑑みると、Xは、F社及びG社の職歴を本件履歴書及び本件職務経歴書に記載すれば、これらの雇用関係の解消を巡り上記各社との間で紛争が生じたことが明らかになる可能性があり、自己の採用に不利益に働くと考えたからこそ、上記各社との紛争の存在がY社に発覚する端緒となるような上記各社との雇用関係や上記各社との雇用関係の間の職歴の空白期間について、真実を申告しなかったものと推認される。かかる動機からするとXの背信性は高い。

3 これらの虚偽の申告事項や動機からすれば、Xが本件履歴書及び本件職務経歴書において虚偽の申告をして秘匿した事項は、単にF社及びG社との各雇用関係という事実それ自体のみならず、上記各社との雇用関係の解消を巡る紛争の存在であったと認めるのが相当である(なお、上記各社との紛争の存在自体は、本件内定取消し前に、本件バックグラウンドチェックを踏まえて行われた面接時に初めてY社に判明している。)。そして、F社及びG社とXとの紛争の態様は上記のとおりであり、上記各社のいずれも、従業員であったXに帰責事由があるとの認識でXとの雇用関係の解消に至ったものであったことが認められることからすると、その法的な当否はおくとしても、これらの事実は、Y社にとって原告の採否の判断において従業員としての適格性に関わる重要な事項たり得るものであったといえる。

4 また、Xによる虚偽申告の方法や態様について見るに、Xは、本件履歴書及び本件職務経歴書に真実とは異なる記載をしていることを当初から認識していたにもかかわらず、上記のとおり、本件履歴書及び本件職務経歴書の提出時に免責事項の記載においても「はい。」と回答していた。その上、前記1の認定事実によれば、Xは、二次面接前のY社からの職歴の空白期間の有無に関する質問に対しても、「元請け会社」や「請負」などの言葉を用いて、本件履歴書には個人事業主として締結した契約先の一部に限って記載していると読める回答をするにとどめ、空白期間がある旨を回答せず、さらには、一次面接及び二次面接のいずれにおいても令和3年6月以降の自らの立場をM社の準委任の契約社員であると称して説明を行っていたことが認められる。これらのXの行為は、故意による経歴詐称というべきものであり、詐称の態様としても、上記動機の下に、なるべく秘匿の事実が発覚しないようにしていたと推認できるものであって、不正義である。
 これらに加え、本件バックグラウンドチェックによって判明したF社及びG社との雇用関係のみならず、I社との雇用関係についてもXが本件履歴書及び本件職務経歴書に記載していなかったことが、本件バックグラウンドチェックを踏まえたY社との面談により、本件内定取消し前に判明していた(なお、本件訴訟手続において、B社との契約が個人事業主としての契約ではなく雇用契約であったことも判明した。)。このように、Xによる経歴詐称の程度は、本件履歴書に記載された期間の半分近くを占めるものであり、履歴書や職務経歴書の提出意義を没却させるものである。

5 以上によれば、Xが本件履歴書及び本件職務経歴書に真実と異なる記載をしたことは、Y社において本件採用内定当時は知ることができなかった事実であって、Xが虚偽の申告を行った動機や秘匿した事項、秘匿の方法や態様などを考慮すれば、XがY社の運営に当たり円滑な相互信頼関係を維持できる性格を欠き、企業内にとどめおくことができないほどの不正義性が認められるのであるから、本件内定取消しは、客観的に合理的と認められ、社会通念上相当として是認することができるものといえる。

このような裁判例の射程をどこまで広げるかは意外と悩ましいところです。

詐称の程度、職務との関連度合い等について慎重に検討する必要があろうかと思います。

解雇を有効にするためには、日頃の労務管理が非常に重要です。日頃から顧問弁護士に相談できる体制を整えましょう。

本の紹介2187 親は100%間違っている#2(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は本の紹介です。

今から5年前に紹介した本ですが、再度、読み返してみました。

まあ、タイトルは大袈裟ですが、本を読めば、言わんとしていることはよくわかります。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

目の前にあるチャンスに気づけないから、チャンスをつかめないんだよ。だから、最初はみんなチャンスに気づけない。まずはチャンスを教えてもらわないといけないわけよ。そのときに重要なのが、『理不尽』を受け入れることなんだ。これもよく言うんだけど、人生は上の次元の人に引っ張り上げてもらうことでしか上のステージに行くことはできない。だから、ここで重要なのが『理不尽』なんだよ。一見、何のメリットもないようなことを一生懸命やっていると、上の人に気に入られていくようになるんだよ。」(198頁)

今の時代に、このことを共感できる人がどれほどいるでしょうか。

まあ、パワハラだの老害だの言われるのが関の山ですかね。

ジェネレーションギャップを受け入れ、多様な価値観を排斥しない寛容さこそが、今の時代に必要な素養ではないかと思っています。

理不尽や居心地の悪さを受け入れられる、もしくは受け流すことができる人は、どんどん上のステージに引き上げられることでしょう。

今の時代は、理不尽さや当たりの強さみたいなものに対する耐性が明らかに下がってきているので、このような鈍感力、レジリエンスを持ち合わせた人が、相対的にますます重宝されることでしょう。

配転・出向・転籍58 職種限定合意成立時における配転の違法性(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も1週間がんばりましょう。

今日は、職種限定合意成立時における配転の違法性に関する裁判例を見ていきましょう。

社会福祉法人滋賀県社会福祉協議会(差戻審)事件(大阪高裁令和7年1月23日・労判1326号5頁)

【事案の概要】

公の施設(地方自治法244条)である滋賀県立長寿社会福祉センター(本件事業場)の一部である滋賀県福祉用具センター(本件福祉用具センター)においては、福祉用具についてその展示及び普及、利用者からの相談に基づく改造及び製作並びに技術の開発等の業務を行うものとされており、本件福祉用具センターが開設されてから平成15年3月までは財団法人滋賀県レイカディア振興財団(レイカディア)が、同年4月以降はレイカディアの権利義務を承継した被控訴人が、指定管理者(同法244条の2第3項)等として上記業務を行っていた。
Xは、平成13年4月、本件福祉用具センターにおける上記の改造及び製作並びに技術の開発(以下「本件業務」という。)に係る技術職としてレイカディアに雇用されて以降、上記技術職として勤務していた。また、XとY社との間には、控訴人の職種及び業務内容を上記技術職に限定する旨の合意(本件合意)があった。

Y社は、Xに対し、その同意を得ることなく、平成31年4月1日付けで総務課施設管理担当への配置転換を命じた(本件配転命令)。また、Y社は、新たな人事評価制度に基づく人事評価において、Xを5段階評価のうち最低ランクに位置付け、Xの基本給を月額3000円減額するという不利益変更を行った(本件不利益変更)。

本件は、Xが、Y社に対し、〈1〉安全性に重大な問題のある福祉用具(障害児向け入浴介助用具)について安全面を確保するため寸法の一部変更を行うよう提案したものの採用されず、従前の寸法で製作するよう求められたがこれを拒否したところ、Y社から業務命令拒否等を理由に訓戒書の交付を受けたこと等により、Xは精神疾患を発病して休職に至ったとして、労働契約上の安全配慮義務違反による損害賠償請求権に基づき、通院慰謝料184万円、弁護士費用18万4000円の合計202万4000円+遅延損害金の支払を、〈2〉平成25年2月1日に復職した後も、上司のXに対する言動がパワーハラスメントに該当するとして内部相談窓口に通報したにもかかわらず、Y社は、詳細な検討を行うことなく、パワーハラスメントに該当しないとの回答を繰り返すほか、本件配転命令を強行し、本件不利益変更を行ったことにより、Xは精神疾患を再発し、再び休職に至ったとして、労働契約上の安全配慮義務違反又は不法行為による損害賠償請求権に基づき(選択的併合)、通院慰謝料52万円、弁護士費用5万2000円の合計57万2000円(一部請求)+遅延損害金の支払を、〈3〉本件配転命令は、当事者間の本件合意に反するなどとして、債務不履行又は不法行為による損害賠償請求権に基づき(選択的併合)、慰謝料100万円、弁護士費用10万円の合計110万円+遅延損害金の支払(以下「本件損害賠償請求」という。)をそれぞれ求めるとともに、〈4〉本件不利益変更は、Y社による人事権の濫用に当たり、違法、無効であって、Xの賃金は、令和元年6月度支給分が9000円、同年7月度支給分が3000円の未払になるとして、労働契約による賃金請求権に基づき、上記未払賃金合計1万2000円+遅延損害金の支払を求める事案である。

【裁判所の判断】

原判決中、110万円+遅延損害金の支払請求に関する部分を次のとおり変更する。
(1) Y社は、Xに対し、88万円+遅延損害金を支払え。
(2) Xのその余の請求を棄却する。

【判例のポイント】

1 Y社は、本件合意があったにもかかわらず、Xに対してその同意を得ることなく違法な本件配転命令を行ったものであり、しかも、Y社は、事前に本件面談において、Xに対し、同人が長年従事していた本件業務に係る技術職を廃止する旨の説明をしたり、他の職種へ変更することの同意を得るための働き掛けをするなど、違法な配転命令を回避するために信義則上尽くすべき手続もとっていないこと、Xは、これにより、長年従事していた本件業務に係る技術職以外の職種へ変更することを余儀なくされ、相当程度の精神的苦痛を受けたこと、その他、本件に現れた一切の事情を総合考慮すると、本件配転命令によって控訴人が被った精神的損害に対する慰謝料の額は80万円とするのが相当である。

判断枠組み自体は、特段、目新しい点はありません。

雇用契約において、職種の限定がされているか否かは、雇用契約書の記載だけからは判断ができない場合がありますので注意しましょう。

配転命令を行う場合には、事前に顧問弁護士に相談することをおすすめいたします。

本の紹介2186 キーエンス流 性弱説経営(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も1週間お疲れさまでした。

今日は、本の紹介です。

サブタイトルは、「人は善でも悪でもなく弱いものだと考えてみる」です。

文脈的には「性悪説」という用語でも十分意味は通じると思いますが、あえて「性弱説」とする意図は理解できます。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

『そんなに大事なら事前にアドバイスしてくれればいいのに』という部下の思いは切実です。できる前提で何もしないのではなく、大事なことであればあるほど、漏れがないように確認すべきだというのが性弱説的な考え方です。そういうアドバイスをしないで後から怒る上司に限って、部下のほうから確認しようとすると『それくらい自分で考えて動け』と言うものです。」(80頁)

いつの世も、このようなコミュニケーションギャップが存在します。

「そのくらいわかるでしょ」という察する力を相手に期待しないことです。

お相手は、あなたのコピー人間ではないのですし、能力も考え方も異なります。

立場の優位性に乗じ、自身の言葉足らずを棚に上げるのはもうやめましょう。

そして、他人に対して、過度な期待をするのはやめましょう。

Expectation is the root of all heartache.

変えるべきは、他人ではなく、仕組みです。