おはようございます。 今週も1週間お疲れさまでした。
今日は、セクハラ被害に対する使用者の対応が不十分であるとして、安全配慮義務違反を認めた事案を見ていきましょう。
ジャパンチキンフードサービス事件(東京地裁令和6年10月22日・労経速2578号33頁)
【事案の概要】
本件は、Y社が経営する飲食店で勤務していた元従業員Xが、Y社に対し、勤務先で会社の外国人スタッフから性的嫌がらせを受け、これにより精神的苦痛を被ったとして、安全配慮義務違反の債務不履行又は使用者責任に基づき、慰謝料300万円等の支払を求めた事案である。
【裁判所の判断】
Y社はXに対し、60万円を支払え。
【判例のポイント】
1 Y社の外国人スタッフであるAは、Xと向かい合う位置に立ち、右手でXの上着の袖を引っ張ってXの体を自分の方に引き寄せようとしたり、Xの右肩に左手を伸ばしてXの上着の襟首をめくったりし、また、Xの背中付近に左手を伸ばし、Xの服の上から背中付近をつまんで揺らすようにしてブラジャーのホックを外そうとしたことが認められるところ、本件はXが本件店舗で勤務するようになってから3日程度しか経っていない日の出来事であり、XがAによる身体的接触を許容するとはおよそ考え難いことからすれば、Aの前記行為は、Xの意思に反してされた性的嫌がらせに当たると認められるから、Aの前記行為は、Xに対する不法行為を構成するというべきであり、また、Y社が経営する本件店舗で行われたものであるから、Y社は、使用者責任(民法715条)を負う。
2 Xは、もともとADHDに罹思して精神科に通院していたところ、Aによる性的嫌がらせの後、不眠等の症状が悪化したことなど、本件に現れた一切の事情を考慮すると、使用者責任に基づき、Y社がXに対して支払うべき慰謝料の額は30万円と認めるのが相当であり、また、上記の事情に加え、Y社において、Xが性的嫌がらせを受けないようにするための対策等が講じられていなかったこと、Y社は、XがAから性的嫌がらせを受けた後、Y社の副社長がXの相談に応じ、Aによる性的嫌がらせの状況が撮影された録画データを確認し、Xの希望に沿ってXの勤務先を変更するなどしたものの、XやAから詳細な状況の聞き取り調査を行ったり、Aに対する指導やXに対する謝罪の措置等を講じたりするなどした事実はなく、Xから慰謝料の請求を受けても、その話合いに応じることもなく、むしろ、Xが本件訴えを提起すると、Xのシフトを減らすなどの対応に及んでいることなど、本件に現れた一切の事情を考慮すると、安全配慮義務違反の債務不履行に基づき、会社が従業員に支払うべき慰謝料の額は30万円と認めるのが相当である。
ハラスメント事案においては、事前の予防措置及び事後の対応が慰謝料額に影響を与えます。
素人判断で動くと、かえって逆効果のケースもあるので、すぐに顧問弁護士に相談しましょう。