Daily Archives: 2026年10月5日

賃金305 研修期間の賃金を8万円とする合意の適法性(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も1週間がんばりましょう!

今日は、研修期間の賃金を8万円とする合意の適法性に関する裁判例を見ていきましょう。

トランス・オーシャン・ジャパン事件(大阪地裁令和6年5月17日・労判1346号76頁)

【事案の概要】

Xは、Y社との間で雇用契約を締結し、勤務していたところ、Y社から、上記雇用契約は合意退職又は自然退職により令和3年4月30日に終了したと主張されている。
本件は、Xが、上記合意退職及び自然退職は認められず、上記雇用契約は継続しているなどと主張して、次の各請求をする事案である。
(1) 雇用契約上の権利を有する地位にあることの確認(請求1)
(2) 雇用契約に基づき、令和2年7月分から令和4年5月分の未払賃金合計396万0720円+遅延損害金の支払(請求2)
(3) 雇用契約に基づき、令和4年7月から本判決の日まで、毎月25日限り、賃金月額20万円+遅延損害金の支払(請求3)

【裁判所の判断】

Y社は、Xに対し、98万6560円+遅延損害金を支払え。

【判例のポイント】

1 本件賃金合意による月額8万円の賃金は、当時の大阪府最低賃金を下回るため、本件付加契約のうち本件賃金合意の部分は無効となるが、無効となった部分は上記最低賃金と同様の定めをしたものとみなされる(最低賃金法4条2項)。
これに対し、Xは、本件賃金合意全体が公序良俗に反して無効となる旨主張するが、公序良俗に反するとは認められず、採用できない。

2 令和2年7月から令和3年2月まで、Xは、自宅で研修したり、社内の勉強会に参加したりしていたほか、勉強目的でプロジェクトに参加していたことに加え、Xは、令和3年7月から同年9月まで賃金として月額8万円が支給されていたことや同年10月から令和3年2月まで月額8万円の8割に相当する本件支援金が支給されていたことに対して不満を述べた形跡が見当たらないことなどによれば、上記期間は、Xにとって、本件賃金合意の対象となる研修期間であったと認めるのが相当である。なお、Xは、令和2年10月から令和3年2月まで本件支援金を受給しているが、同期間が休業期間ではなかったことは上記認定事実によれば明らかである。

研修期間であるとしても、実態が労働と評価される場合には、労働法の適用があることは言うまでもありません。

日頃から顧問弁護士に相談しながら適切に労務管理を行うことが大切です。