Author Archives: 栗田 勇

本の紹介573 20代のうちに会っておくべき35人のひと(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は本の紹介です。
20代のうちに会っておくべき35人のひと (だいわ文庫)

帯には大きく「人生を変える出逢いを見逃すな!」と書かれています。

まさにそのとおりですね。

出逢いはあってもそれが「人生を変える」ものであると思えるかどうかが鍵ですね。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

師匠選びは、フィーリングでいいのだ。フィーリングの合わない師匠に無理に合わせる必要はない。自分に正直になってフィーリングで師匠選びをするからこそ、つらい人生を楽しく転換していけるのだ。”なんとなく”嫌いな人の話は聞くフリだけして、聞き流してしまえばいい。その代わり、”なんとなく”好きな人の声には全身全霊で耳を傾けよう。”なんとなく”好きな人の中には、どんなに叱られても素直に耳を傾けられる人がいるだろう。その人の話を命がけで聞くのだ。」(53頁)

いい師匠に巡り会えた人は本当に幸せです。

師匠と思うかどうかは自分次第なので、わざわざ「弟子にしてください」なんて言わずに勝手に師匠と思えばいいのです。

師匠の教えに従い、生き方、仕事のしかたを実践していくわけです。

もうだんだん師匠と弟子みたいな時代ではなくなってきているのかもしれませんが、自らの模範となる師匠を見つけるというのはいいものですよ。

特に若いうちは、判断が甘いことが多いので、そんなときこそ師匠に従うというのは有効です。

有期労働契約66(学究社事件)

おはようございます。 今週も一週間がんばりましょう。

今日は、雇用契約が更新されることについて合理的期待があったとは認められなかった裁判例を見てみましょう。

学究社事件(東京地裁平成28年1月19日・労経速2275号24頁)

【事案の概要】

本件は、60歳の定年後、嘱託社員としてY社に継続雇用されていたXが、再雇用満了年齢(満65歳)に達した日の翌日である平成26年11月8日から同月30日までの再雇用契約の更新を拒絶されたことについて、就業規則等では再雇用満了年齢に達した年月の月末までが再雇用期間とされているから、同月30日まで再雇用契約が更新されることについて合理的期待があったなどと主張して、Y社に対し、再雇用契約に基づき、同月8日から同月30日までの給与13万0908円+遅延損害金、併せて、この再雇用契約の更新拒絶が不法行為を構成すると主張して、慰謝料10万円+遅延損害金の支払を求める事案である。

【裁判所の判断】

請求棄却

【判例のポイント】

1 Xの携わっていた業務は教務事務(教材の作成・編集)であり、これは必ずしも臨時的な業務ではないものの、継続性が強く必要とされる業務内容であったと認めるべき証拠もない
従前の事実経過をみると、更新への期待を生じさせるような言動がY社側にあったとは認められず、本件雇用契約の契約期間中には、Y社は、Xとユニオンに対し、同契約に係る契約書に明記された平成26年11月7日をもって1年間の再雇用期間(契約期間)は満了し、それ以降の更新はしない旨を伝えていた経緯がある

2 Xは、本件雇用契約にY社の「定年後再雇用規程」が適用される旨主張するが、仮にY社の「定年後再雇用規程」が適用されるとしても、Xの再雇用期間が平成26年11月30日までとなるわけではなく、再雇用期間(契約期間)は原則として1年単位で、1年未満の再雇用期間(契約期間)は例外であるのに対し、Xのように、1か月未満という極めて短い再雇用期間(契約期間)を予定して定年後再雇用期間を更新する必要があるという事態は考え難く、実際に、Y社においてそのような事例があったとは認められない

3 これらの事情を併せ考えると、本件雇用契約の更新について合理的期待があった旨のXの主張は理由がないというべきである。
したがって、Xに本件雇用契約が更新されることについて合理的期待があったとは認められない。

業務内容の非継続性を1つの理由として判断されています。

また、更新への期待を生じさせる言動についても認定されていないため、請求が棄却されています。

日頃から顧問弁護士に相談しながら適切に労務管理を行うことが大切です。

本の紹介572 稼ぐ言葉の法則(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間お疲れ様でした。

今日は本の紹介です。
稼ぐ言葉の法則――「新・PASONAの法則」と売れる公式41

神田さんのお得意分野の本です。

ビジネスにおける「稼ぐ言葉」の使い方を伝授してくれています。

発する言葉が少し違うだけで、まったく結果が変わってくることをさまざまな具体例を踏まえて説明してくれています。

勉強になります。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

ブランドとは、ロゴマークという目に見えるものによって築かれるのではなく、顧客との日々の接触という目に見えないものによって輝いていく。だから、事業を営むうえで大切なことは、顧客や取引先がどんなコミュニケーションに価値を感じ、どんな活動に信頼を寄せてくれるのかをしっかりと頭に思い描いておくことである。【貧す人】は、まずロゴマークをデザインしてしまうが、【稼ぐ人】は、会社への信頼を育てるプロセスを、まずデザインする。」(173頁)

顧客や取引先の皆様が、どのような点を重視して取引相手を選んでいるのかを理解することはとても大切なことです。

それがわからないと、結果に無関係ないことに力を注ぐことになるからです。

多額の費用を費やし、自社のロゴマークをつくることが、顧客の獲得につながるものでしょうか。

「あ、ここの会社、ロゴがかっこいいから取引したいな」と思うものでしょうか。

そういう方が皆無とまではいいませんが、私はあまりイメージできません。

繁盛している会社は、顧客がどのような点を評価した結果、繁盛しているのかを考えることはとてもいい勉強になります。

そこには必ず理由があるからです。

それを1つ1つ吸収して取り入れてみるのです。

また、この視点は、経営者だけが持っていてダメですよね。

むしろ従業員それぞれがこのような考えを持ち、実際、自分がお客さんとして接したサービス(接客のしかた、電話対応のしかた、言葉遣い、顔の表情など)のうち、どのような点を無意識に評価しているのかを意識することが大切です。

「この人の電話の対応のしかた、素敵だな」と思ったら、それを真似してみるのです。

このような努力や工夫の積み重ねこそが顧客からの信頼につながるのだと信じています。

守秘義務・内部告発7(甲社事件)

おはようございます。

今日は、内部告発等を理由とする懲戒解雇が有効とされた裁判例を見てみましょう。

甲社事件(東京地裁平成27年11月11日・労経速2275号3頁)

【事案の概要】

本件は、Y社の従業員であったXが、Y社から懲戒解雇されたものの、当該解雇は無効であるとして、①労働契約上の権利を有する地位にあることの確認並びに②Y社がXの就労を拒絶している期間である平成25年9月以降の労働契約に基づきY社がXに対し支払うべき賃金+遅延損害金の支払を求めた事案である。

【裁判所の判断】

請求棄却

【判例のポイント】

1 ・・・以上のとおり、懲戒事由①から③までの事実を認めることができ、これらの事由は、就業規則63条2号、4号及び5号に該当するところ、情状の程度に応じて懲戒解雇の処分を行うことができることになる。
そこで情状の程度について検討するに、懲戒事由③について、本件告発の主たる目的がXの私的な利益を図るものであったというべきことや本件告発の態様等に照らせば、労働者が負っている誠実義務に著しく違反するものと評価するべきであり、本件告発が契機となって、本件過剰請求が明らかになり、Y社による不適切なガソリン代金請求が是正されたことを十分斟酌しても、その情状は悪いというべきである
懲戒事由①について、Xは他の従業員に対して大声で怒鳴るなどの行為について譴責処分を受けたその日のうちに他の従業員に暴言を吐くなどしており、その発言内容も次第に過激なものになっていることからすれば、その情状は芳しくない。
懲戒事由②について、Xは、油外販売に取り組まない姿勢を示していたことについて上司から指導を受け、その際には反省の態度を示していたにもかかわらず、態度を改めることなく、別件未払賃金請求や本件告発に関連づけて、敢えて油外販売に取り組まない姿勢を継続していたことからすれば、単純な営業成績不良とは異なるものであって、その情状を軽く見ることはできない。

2 また、Y社は、本件懲戒解雇時、Xに弁明の機会を与えていたことなどを踏まえれば、本件懲戒解雇の手続は相当なものといえる。
以上の事情を総合考慮すれば、本件懲戒解雇は、客観的に合理的な理由があり、社会通念上相当であると認められるから、労働契約法15条に違反せず有効である。

本件内部告発については、告発目的の正当性、告発の態様・手段の相当性を否定しています。

X・Y社間には、未払賃金を巡る紛争があり、本件告発の目的は、当該未払賃金に関連する私的な利益を図る目的があったと認定されています。

非常に参考になる裁判例です。

やはり事前に顧問弁護士に相談することが敗訴リスクを大幅に軽減させますね。

本の紹介571 常識を破る勇気が道をひらく(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は本の紹介です。
常識を破る勇気が道をひらく

毎度おなじみ千田さんの本です。

みんながみんな、常識を破る勇気を持ちあわせていないわけですが、

マインドを学ぶにはとてもいい本です。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

成功したことのない人には永遠にわからない事実がある。それはもうすぐ成功する人というのは、自分が成功することをほぼ確信しているということだ。成功が確信できると、努力しないではいられない。・・・「あ、きたきた」と誰に教わるわけでもなく、直感でわかるのだ。」(173~174頁)

「成功が確信できると、努力しないではいられない」という考え方はその通りなのでしょうね。

そうすると、成功を確信することが重要になってくるわけですが、どうすれば成功を確信することができるのでしょうか。

日々、努力を続けることが最も確実な方法なのでしょう。

一周してしまいました。

日々、努力を続けるためにはどうすればよいのでしょうか。

詰まるところ、その人の勤勉さ、愚直さ、粘り強さみたいなところで勝負が決まってしまうような気もします。

また、継続すること、習慣化することの重要さを理解しているかどうかも大きいでしょうね。

あまり人の評価を気にせず、日々、努力を続けていれば、自然と成功に近づいていくものではないでしょうか。 よくわかりませんが。

有期労働契約65(A農協事件)

おはようございます。

今日は約17年間更新してきた季節労働者の雇止めと未払賃金等請求に関する裁判例を見てみましょう。

A農協事件(東京高裁平成27年6月24日・労判1132号51頁)

【事案の概要】

本件は、Y社が運営する営農センターにおいて、平成8年以降約17年間にわたり、いわゆる季節労働者として春、秋の育苗業務及び米の集荷業務等に従事していたXが、平成24年秋以降の労働契約締結を拒否されたことについて、不当な更新拒絶であるなどと主張して、Y社に対し、労働契約上の地位の確認並びに未払賃金及びこれに対する遅延損害金の支払を求めた事案である。

原審は、Xの請求を、労働契約上の権利を有する地位にあることの確認並びに135万1378円等の支払を求める限度で認容して、その余を棄却した。

【裁判所の判断】

Xの請求をいずれも棄却する

【判例のポイント】

1 労働契約法19条2号は、期間満了後も従前の有期労働契約が継続することに対する労働者の期待と、期間満了により従前の有期労働契約を終了させる使用者の必要性との調整をはかるため、労働者が有期労働契約の契約期間の満了時にその有期労働契約が更新されて継続するものと期待することについて合理的な理由が認められる場合において、使用者が雇止めをすることが、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められず、契約期間の満了時までに当該有期労働契約の更新の申込みをしたとき又は当該契約期間の満了後遅滞なく有期労働契約の締結の申込みをしたときは、雇止めは認められず、使用者は、従前の有期労働契約と同一の労働条件で労働者による有期労働契約の更新又は締結の申込みを承諾したものとみなす旨を規定する。同号は、従前の有期労働契約を継続させる一種の法定更新を定める規定であり、法定更新の法律効果の発生を明確にするため、契約期間の満了時までに当該労働契約の更新の申込みをしたこと又は当該契約期間の満了後遅滞なく有期労働契約の締結の申込みをしたことをその法定更新の要件と定めるものである。

2 労働契約法18条2項は、ある有期労働契約と他の有期労働契約との間の空白期間がある場合であっても、有期労働契約の反復更新により期間の定めのない労働契約への転換の有無を判断するについて、同期間が一定限度内であれば両契約期間を通算することを認めており、また、同法19条も、有期労働契約終了後に新たな契約締結の申込みをした場合であっても、当該契約期間満了後「遅滞なく」上記申込みをしたときは、使用者が同条所定の条件で当該申込みを承諾したものとみなす旨を規定していることからすれば、同条2号を類推適用するについて、従前の有期労働契約と同号により更新された後の有期労働契約が連続しており、各契約間に全く空白のないことまで求めているものではないと解すべきであるものの、同号の趣旨及び「当該契約期間の満了後遅滞なく有期労働契約の締結の申込みをした場合」という文理からすれば、同号の類推適用をするためには、上記空白期間は、各有期労働契約の契約期間との対比などから、従前の有期労働契約が法定更新によって継続されると法律上評価することができる程度のものにとどまることを要するものというべきである。しかし、本件各労働契約における各労働契約間の空白期間は、上記の程度にとどまるものとは認められないことは上記に判示するとおりである。

3 Y社は、それぞれの有期労働契約が開始される少し前にXに対して契約締結の意向を伝え、契約開始時に契約書を作成していることは前記のとおりであるところ、各有期労働契約の終了から次の有期労働契約の開始までの間に3か月ないし4か月の期間があることは前記のとおりであることからすれば、このようなY社による契約締結の意向の伝達は、直近の有期労働契約の終了時3か月ないし4か月程度経過後にされる上、上記伝達時から直ちに契約期間が開始するものでもないことに照らすと、直近の有期労働契約が更新される法律効果の発生を明確にする役割を果たしているとは認められないのであって、その他、有期労働契約の契約期間の満了時までに当該有期労働契約の更新の申込みをしたこと又は当該契約期間の満了時遅滞なく有期労働契約の締結の申込みをしたことと同視し得るような事実関係も認められないことを併せ考慮すれば、Y社とXの各有期労働契約に同法19条2号を類推適用することは、同条が、その法定更新の法律効果の発生を明確にするため、「契約期間が満了する日までの間に労働者が当該有期労働契約の更新の申込みをした」こと「又は当該契約期間の満了時遅滞なく有期労働契約の締結の申込みをした」ことを要する旨を規定する趣旨に反するものといわざるを得ない。

4 以上判示の点を総合すると、Xが、平成8年からほぼ毎年、春期と秋期にY社との間で本件各労働契約を締結してきたことなどの前判示の諸事情を考慮しても、本件各労働契約について、労働契約法19条2号を類推適用することはできないものというべきである。

季節労働者に対する雇止めの問題について、労働契約法18条2項との関係について解釈を示してくれています。

労働契約法18条2項は以下のとおりです。

当該使用者との間で締結された一の有期労働契約の契約期間が満了した日と当該使用者との間で締結されたその次の有期労働契約の契約期間の初日との間にこれらの契約期間のいずれにも含まれない期間(これらの契約期間が連続すると認められるものとして厚生労働省令で定める基準に該当する場合の当該いずれにも含まれない期間を除く。以下この項において「空白期間」という。)があり、当該空白期間が六月(当該空白期間の直前に満了した一の有期労働契約の契約期間(当該一の有期労働契約を含む二以上の有期労働契約の契約期間の間に空白期間がないときは、当該二以上の有期労働契約の契約期間を通算した期間。以下この項において同じ。)が一年に満たない場合にあっては、当該一の有期労働契約の契約期間に二分の一を乗じて得た期間を基礎として厚生労働省令で定める期間)以上であるときは、当該空白期間前に満了した有期労働契約の契約期間は、通算契約期間に算入しない

相当長期にわたり有期雇用が続いている本件においても、労働契約法19条2号の適用は否定されています。

日頃から顧問弁護士に相談しながら適切に労務管理を行うことが大切です。

本の紹介570 10年後に生き残る最強の勉強術(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間がんばりましょう。

今日は本の紹介です。
10年後に生き残る最強の勉強術

450以上の資格を持つ著書が、今後おすすめの資格・検定とその勉強法を説いています。

450以上の資格を取るには、やはり試験合格の技術が必要です。

すばらしいと思います。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

自分自身が直接そのスキルを活かす仕事をするわけではなくても、その道の専門家や業者とやりとりするときに役立つ」(185頁)

これは、「勉強しても実務では使わない知識のほうが多くないですか?」という質問に対する著者の回答の1つです。

これこそが教養というものではないでしょうか。

自分の業界とは違う人とどれだけ話ができるか。

さまざまなことに興味を持ち、勉強することは、仕事をしていく上でとても大切なことだと思います。

また、本を読むだけでなく、積極的に業界外の人たちと会うこともとても大切です。

どのようなことに関心を持っているのか、自分の業界を外の人たちはどのように見ているのか、といったことがわかりますので。

特に若手の皆さんは、同じ業界の人たちとばかり集まらず、どんどん外に出て行きましょう。

不当労働行為143(神明解体工業事件)

おはようございます。 今週も一週間お疲れ様でした。

今日は、団交応諾義務、誠実交渉義務に関し争われた事例を見てみましょう。

神明解体工業事件(兵庫県労委平成28年2月18日・労判1132号86頁)

【事案の概要】

本件は、Y社が、平成26年夏季一時金の団交において、X組合との交渉過程で合意・確認したところに反し、次の団交で初回回答からの増額回答をせず、一時金とは無関係の、過去において会社が支払義務を認めた債務の一部支払いをもって増額分に充てるという提案をし、またX組合が求める販売費および一般管理費の内訳を開示しないなどその交渉態度が不誠実であり、さらに、妥結に至っていない一時金を一方的に支払うことで団交を打ち切ろうとし、これらの行為が不当労働行為に該当するとして、救済の申立てがあった事案である。

【労働委員会の判断】

販売費および一般管理費の内訳を開示しなかったことは不当労働行為に該当する。

その余は不当労働行為に該当しない。

【命令のポイント】

1 団体交渉において、会社には交渉妥結に向けて組合の理解を得るために必要な資料を示して説明するなどの努力をすべき義務があることは上述したとおりであり、会社の上記のような対応は、過去の団体交渉において、平成20年度からの売上高の推移等の資料を示してしたとしても、会社の経営状況が一時金についてどの程度の支払が可能な状況かについて、組合の理解が得られるように説明する努力を十分に尽くしたとは認め難い

2 第4回と第5回の団体交渉に応じていることからも、会社は交渉の打ち切りをもくろんで支給したとは認められないし、第4回と第5回の団体交渉においては、現在の経営状態では、当初回答の額が支給できる限界であり上積みをすることができない趣旨の回答をしているのであって、このことは第1回の団体交渉の回答から変わるものではないが、ことさら団体交渉を形骸化させようとする態度であるとは認められない

必要な資料の開示を拒否すると、不当労働行為に該当しますので注意しましょう。

組合との団体交渉や組合員に対する処分等については、まずは事前に顧問弁護士から労組法のルールについてレクチャーを受けることが大切です。決して素人判断で進めないようにしましょう。

本の紹介569 人と比べないで生きていけ(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は本の紹介です。
人と比べないで生きていけ

あいかわらず千田さんの本を片っ端から読んでいます。

今回のタイトルで本一冊書くのはとても真似できません。

どんなタイトルでも1冊分書くことができる著者は本当にすごいと思いました。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

美しい女優さんやイケメン俳優の名前を検索エンジンに打ち込むと、ずらっと検索予測が表示される。そこに並ぶ言葉を見れば、底辺層の嫉妬心が渦巻いているのがよくわかる。他人に興味津々のうちは、成功者には程遠いと考えて間違いない。成功者というのは、他人ではなく、自分自身に興味津々なのだから。」(39頁)

他人のうわさ話をしているうちは成功しない、ということはよく千田さんがいろんな本で書いていることです。

他人の失敗を喜び、再起不能になるまで徹底的に叩く、という寛容のかけらもない嫌な世の中だからこそ、あえてそういうことには近づかない。

居酒屋で周りと一緒になって、他人の批判で盛り上がらない。

悪口や批判で盛り上がっているところには負のオーラが漂っているから、できるだけ距離を置く。

そういう習慣を身につけると、人生がいい方向に変わるのではないでしょうか。

解雇207(学校法人杉森学園事件)

おはようございます。

今日は、勤怠不良等を理由とする整理解雇に関する裁判例を見てみましょう。

学校法人杉森学園事件(福岡地裁平成27年7月29日・労判1132号76頁)

【事案の概要】

本件は、Y社の設置・運営するY高校におけるA科の教諭としてY社に雇用されていたXが、Y社に対し、Y社が平成25年3月31日付でXに対してした整理解雇は無効であると主張して、①雇用契約上の権利を有する地位にあることの確認、②本件解雇後の賃金+遅延損害金の支払いを求めるとともに、③本件解雇はXに対する不法行為に当たると主張して、民法709条に基づき損害賠償金合計330万円+遅延損害金の支払を求めた事案である。

【裁判所の判断】

整理解雇は無効→賃金支払

不法行為に基づく損害賠償請求は棄却

【判例のポイント】

1 平成25年3月末時点におけるY社の経営状態は、不採算部門の廃止等を通じた経営合理化が図られるべき状況にはあったものの、整理解雇による人件費削減等をしない限り、直ちに経営破たんに陥ってしまうような危機的状況にあったとまではいうことができない。このような状況の下における整理解雇が正当化されるためには、相応の解雇回避措置が尽くされていなければならないというべきである。

2 Y社の採り得る解雇回避措置として、新規採用の停止、従業員の賃金の減額及び希望退職者の募集等の措置を挙げることができるところ、従業員の賃金の減額については、団体交渉の場において本件組合側からの提案がされており、また、希望退職者の募集については、本件解雇の後である平成25年7月にA科を含む複数の教科の教員について行われているにもかかわらず、Y社は、本件解雇前には、これらの措置を一切講じていない
Y社は、本件解雇に先立ち、一定程度の人件費削減を行い、また、Xに対して、退職金の割増しを条件とする退職勧奨もしているが、本件解雇の当時におけるY社の経営状態に鑑みれば、本件解雇が正当化されるためには、これらに止まらず、本件解雇に先立って、希望退職者募集等の相応の解雇回避措置が尽くされていなければならないというべきであるところ、本件において、Y社が十分な解雇回避措置を尽くしたと評価することはできない。

整理解雇の必要性が高くない状況においては、解雇回避努力の程度についてかなり厳しく見られることになります。

過去の判例を検討し、どの程度、解雇回避措置を講ずればよいのかを十分に検討する必要があります。

解雇を選択する前には必ず顧問弁護士に相談の上、慎重かつ適切に対応することが肝心です。決して、素人判断で進めないようにしましょう。