Author Archives: 栗田 勇

本の紹介493 どんな業界でも記録的な成果を出す人の仕事力(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は本の紹介です。
どんな業界でも記録的な成果を出す人の仕事力

著者は、ハイアールアジア株式会社代表取締役の方です。

タイトルの通り、著者自身、さまざまな業界で成果を出してきています。

素晴らしいです。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

結局、ビジネススクールで習った知識は、すぐに陳腐化していくのだ。では何を学びに行くかというと、プレッシャー・ポットの中で、悪戦苦闘しながら闘い続ける術と姿勢と、勉強し続ける習慣を学びに行くのだ。自分の価値は、いかに常に刃を研いでいるかで変わる。私の好きな言葉の一つに、『明日死ぬつもりで行きなさい。永遠に生きるつもりで学びなさい』という言葉がある。マハトマ・ガンジーの言葉だ。ビジネスのプロとして生きていくのであれば、感度を高く持って、常に勉強し続けなければいけない。」(167頁)

「自分の価値は、いかに常に刃を研いでいるかで変わる」

いい言葉ですね。

人って本当に弱いですから、仕事や当初の目標に対する緊張感、情熱をひとたび落としてしまうと、なかなか元の状態に戻すことができなくなってしまいます。

私は、仕事に対して、一度楽をしてしまうと、元の厳しさに戻れなくなるという感覚をとても強く持っています。

それがとても怖いのです。

これは、「メリハリをつける」だとか「オンとオフを分ける」といったレベルの話ではありません。

生き方の問題です。

依頼者の苦悩よりも自分の生活の快適さを優先するという生き方ができないのです。

「人の2倍働き、3倍努力する」という福島先生の言葉が常に私の頭に残っています。

不当労働行為125(ロイヤル事件)

おはようございます。

今日は、組合員2名に対してマネージャー職を解き、配転したことが不当労働行為にあたるとされた命令を見てみましょう。

ロイヤル事件(中労委平成27年2月4日・労判1117号95頁)

【事案の概要】

本件は、理美容業務を営むY社が、組合員Xら2名に対して、マネージャー職を解き、カット、シャンプー、パーマおよびカラー等のフルサービスを行う店舗から、カットおよびシャンプーにサービスを限定した店舗へ配置転換したことが不当労働行為にあたるとして、組合が、大阪府労委に救済申立てを行った事案である。

初審は不当労働行為にあたると判断した。

【労働委員会の判断】

不当労働行為にあたる。

【命令のポイント】

1 本件において、Xらは、男流散髪屋への配置転換を希望しておらず、むしろ希望に反することが明らかであるにもかかわらず、フルサービス店の店長(マネージャー)から、スタイリストとして男流散髪屋の一従業員へと配置転換されたのであるから、Xらが、本件は移転により、キャリア上、人事上の不利益や、これに伴う精神的な不利益を受けたことは明らかであるというべきである。

2 本件人事異動は合理的なものであったとは認められないこと、さらに、Y社が、組合に対し、絶対に許さないくらいの気迫をもって対決する姿勢を明らかにした上で、Xらが別件未払賃金請求訴訟を提起した僅か1か月後に、本件人事異動を内示するに及び、その際行われた団交においても、組合の街宣活動を理由に本件人事異動を行う旨を述べていたこと等を併せ考えれば、本件人事異動は、正にXらが組合の組合員であることの「故をもって」行われたものといわざるを得ない

3 X2は、既に退職しているが、X1については、現に会社に在職中であるところ、Y社が、同人や組合に対して本件復職通知を行い、27年1月1日付けで店長に就任させるとともに、初審で命じられた文書手交を履行する旨を伝えたのに対し、組合が、団交において、本件復職通知の撤回を求めたことなどから、上記各通知の内容はいずれも履行されていないのが現状である。
そうすると、組合が本件人事異動により被った団結権侵害の状況が解消されたとはいえないのであって、本件における組合の救済利益は、未だ失われていない。

4 本件人事異動は、不当労働行為として行われたものであるから、これをなかったものとし、原職又は原職相当職に復帰させるよう命じることとする。ただし、X2は既に会社を退職していることから、原職又は原職相当職への復帰を命じるのは、現に会社に在職中のX1のみとするのが相当である。

上記命令のポイント2の下線部の事情については、是非、反面教師にしてください。

組合には組合の、会社には会社の交渉のしかたがあります。

そのあたりをうまくやっていかないと、有利に交渉を運ぶことはできません。

組合との団体交渉や組合員に対する処分等については、まずは事前に顧問弁護士から労組法のルールについてレクチャーを受けることが大切です。決して素人判断で進めないようにしましょう。

本の紹介492 ビジネスマンのための中国古典の名言100(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間がんばりましょう。

今日は本の紹介です。
ビジネスマンのための中国古典の名言100―自信がつく実践法

中国古典に関する本はいくつも出されていますが、これもそのうちの1冊です。

こういう本を読むと、本当に大切なことは、いつの時代も変わらないのだな、とつくづく思います。

時代がこれだけ変わっても、変わらない大切なものがあることに気づくには、とてもいい本です。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

人生の大病は只だこれ一の傲の字なり」(伝習録)

孔子が、四十、五十の年齢に達してなお評判の立たない人物は尊重するに値しない、といささか冷たい言葉を残しているように、ほぼこの前後が、その人にとっての仕事が成功するか否かの境目であろう。このように努力の末に得た高度な立場を、諸人に誇りたいのは人情の自然に違いない。けれども、ここに人生の大病である傲慢という悪徳が発生する。成功したからとて傲り高ぶっては世間からの尊敬を受けることはできない。人生を安らかに美しく送るためには、傲という大病を発しないよう畏敬と謙譲の心を常に持すべきなのである。」(240~241頁)

本当のトップの方は、みんなとても謙虚です。

決して偉ぶらず、若者ともちゃんと話をしてくれます。

そして、そういう方の共通点は、いくつになっても勉強熱心であるということです。

いつまでも発展途上だという気持ちを持っているからなのでしょう。

傲慢は、周りの意見を聞けなくなるところから始まります。

常に助言してくれる仲間を大切にしなければいけません。

解雇186(日本ボクシングコミッション事件)

おはようございます。 今週も一週間お疲れ様でした。

今日は、3次にわたる懲戒解雇の有効性と反訴損害賠償等請求に関する裁判例を見てみましょう。

日本ボクシングコミッション事件(東京地裁平成27年1月23日・労判1117号50頁)

【事案の概要】

本訴請求事件は、Y社の従業員として稼働していたXが、Y社から3次にわたり懲戒解雇の意思表示を受けたところ、これら解雇はいずれも無効であると主張して、Y社との間で雇用契約上の権利を有する地位にあることの確認を求めるとともに、雇用契約に基づき、月例賃金35万5000円+毎年6月30日及び12月31日限り、賞与70万円+遅延損害金を求めた事案である。

反訴請求事件は、Y社が、Xの下記義務違反等により損害を被ったなどと主張して、Xに対し、債務不履行又は不法行為に基づき、下記損害額+遅延損害金の支払を求めた事案である。

(1)原告の競業避止義務違反行為、秘密保持義務違反行為、職務専念義務違反行為、労働義務違反行為の債務不履行による賃金相当損害 364万円
(2)原告の被告内部秩序壊乱行為(労働義務違反を内容とする債務不履行及び不法行為)による対応損害 600万円
(3)原告の文科省への不当告発における名誉毀損損害 200万円
(4)原告のb協会長宛の書面による名誉毀損損害 200万円
(5)原告による報道を契機とした名誉毀損損害 200万円

【裁判所の判断】

解雇は無効

反訴請求は棄却

【判例のポイント】

1 就業規則55条が懲戒処分として最も重い懲戒解雇事由を定めていることからすると、同条2号所定の事由があるというためには単に職務の遂行が遅れたというだけでは足りず、その職務の遂行の積極的な懈怠があり、その懈怠が顕著な場合であることを要するというべきである。

2 Y社の就業規則52条2項は、懲戒処分につき、よくその事実を調査し、関係協議の上、処分を決定する旨定めている。したがって、懲戒解雇に当たっては、同条に定める手続を践む必要があるというべきである。また、懲戒解雇を含む懲戒処分は、企業秩序違反行為に対して認められる制裁罰であって、その手続は適正に行われることを要するというべきであり、殊に懲戒解雇は懲戒処分のうち最も過酷な処分であることにも照らすと、その処分を行うに当たっては、特段の支障がない限り、事前に弁解の機会を与えることが必要というべきであり、かかる支障も認められないのに、事前の弁解の機会を経ないまま懲戒解雇を行うことは懲戒手続における手続的正義に反するものとして社会的相当性を欠き、懲戒権の濫用となるものと認めるのが相当である。
しかるところ、本件第2次解雇は、本件仮処分手続においてなされているところ、Xに対して弁明の機会を与えないまま、かかる懲戒解雇の意思表示が行われている。

3 Y社は、Xが、平成23年8月17日から平成24年3月18日までの間、就業時間中、おびただしい回数の職務に関係ないメールの交信を行い、これに要する時間に相当する執務を解怠したとし、就業規則55条2号に該当する旨主張する。
しかし、その主張によっても、かかるメールの送信数が著しく多いものとは認められず、中には、業務との関連の窺われるものもあり、Xが、従前、同種の問題によりY社から注意又は指導を受けたこともなかったことにも照らすと、他の懲戒処分を検討することはともかく、直ちに懲戒解雇をもって臨むべき事由になるなどと認めることはできない

4 労使間の合意や就業規則等に定めがあるなど賞与の支給条件が具体的に定められている場合には、労働者は使用者に対し具体的な賞与請求権を有するものと認めるべきところ、賞与に関する被告の賃金規定14条は、「業績、職員の勤務成績等を勘案して支給する。」、「業績の低下その他やむを得ない事由がある場合には、支給日を変更し、又は支給しないことがある。」と定め、支給条件が具体的に規定するものではなく、他に、法的拘束力を有する労働慣行が確立していたとまでみるべき的確な証拠もない
そうしてみると、本件賞与請求を肯認することはできない。
Xは、Y社は非営利団体であることや、毎年2回基本給2か月分の賞与が支給されていた旨も主張するが、勤務を続けていた場合における具体的な勤務成績等も明らかであるとはいえず、かかる点から上記判断が左右されるとはいえない。

懲戒解雇の難しさがよくわかります。

懲戒解雇をする場合には、事前に顧問弁護士や顧問社労士に必ず相談しましょう。

本の紹介491 これのこと(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は本の紹介です。
これのこと

理解不能なタイトルに負けました。

普段あまり手にしない種類の本です。

哲学的なお話になっています。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

・・・でも、平安が見つかるのは不確かさの中だ。確かさの中には平安がないっていう意味じゃない。平安は存在するすべてだ。ただ、確かさなんてありえないっていうだけ。まったくない。だから、確かさを探したり決着を求めたり安心を求めたりすれば、それはどれも結局同じことだけど、存在してないものを探してるってことになる。・・・蜃気楼を追いかけてるのと同じ。どこまで追いかけようが絶対につかめない。どれだけ速く走っても、自分がどれだけ利口だと思っていても、どれだけ賢くても、どんなに必死になっても関係ない。」(169頁)

世の中や人生は、常に不確かだということです。

確かなものなんてなにひとつないのです。

安定を求めれば求めるほど、不安定になることを恐れる気持ちになります。

安定なんて本当はどこにもないのに。

このことを早い段階で気がつくと生き方が変わります。

死ぬまで不安定。 最高じゃないですか(笑)

いつどうなるかなんてわかりません。 人生は、不確かで不安定なものですから。

不当労働行為124(ファミリーマート事件)

おはようございます。

今日は、フランチャイズ加盟者の労組法上の労働者性に関する命令を見てみましょう。

ファミリーマート事件(東京都労委平成27年3月17日・労判1117号94頁)

【事案の概要】

本件は、①フランチャイズ加盟者が労組法上の労働者にあたるか、②会社が団交に応じていないことは、正当な理由のない団交拒否に当たるか、が争われた事案である。

【労働委員会の判断】

フランチャイズ加盟者は労組法上の労働者である。
→団交拒否は不当労働行為にあたる。

【命令のポイント】

1 本件における加盟者は、「フランチャイズ契約」との形式ではあるものの、その実態においては、全ての加盟店の店長として会社に労務を提供し、労務の提供に対して会社から詳細な指示等を受けているところ、①会社の業務遂行に不可欠ないし枢要な労働力として会社の事業組織に組み入れられており、②会社が本件フランチャイズ契約の内容を一方的・定型的に決定しているということができ、③加盟店の得る金員は、労務の供給に対する対価又はそれに類する収入としての性格を有することから、報酬の労務対価性が認められ、④実態上、会社からの業務の依頼に対してこれに応ずべき関係にあり、⑤会社の指揮監督の下に労務を提供していると広い意味で解することができ、その労務の提供については一定の拘束を受けているということができる一方、⑥顕著な事業者性を認めることはできない
これらの諸事情を総合的に勘案すれば、本件における加盟者は、会社との関係において労組法上の労働者に当たると解するのが相当である。

2 本件における団体交渉申入れ事項は、「加盟者が再契約を希望する際に会社が可否を決定する具体的な判断基準について」という、組合員と会社との本件フランチャイズ契約の再契約についてであり、再契約の可否の基準は、労務供給者である組合員の生計の維持に直結する労務供給ないし就業機会の継続の可否に係るもので、組合員の労働条件ないし経済的地位に関する事項であり、かつ、会社が使用者としての立場で実質的に決定又は支配できるものであるから、義務的団体交渉事項に当たると解するのが相当でる。

3 したがって、・・・組合との団体交渉に応じていないことは、正当な理由のない団体交渉拒否に該当する。

以前から話題になっていたものですが、衝撃的な判断ですね。

FCの加盟者は、労組法上の労働者にあたると。

労組法上の労働者の概念は海のように広いのですね。

組合との団体交渉や組合員に対する処分等については、まずは事前に顧問弁護士から労組法のルールについてレクチャーを受けることが大切です。決して素人判断で進めないようにしましょう。

本の紹介490 五輪書(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間がんばりましょう。

今日は本の紹介です。
五輪書 (いつか読んでみたかった日本の名著シリーズ5)

剣豪宮本武蔵の五輪書です。

日々の訓練の重要性、戦いの際の気構えなどが驚くほど実践的に書かれています。

この本を何度も何度も読み返して実践せよ、と書かれています。

当時にタイムスリップした感じがして、とてもおもしろかったです。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

すべての道にいえることであるが、いいかげんな気持ちで学ぼうとすると、本来の正しい道からはずれてしまうことが多い。・・・そういうこともあるから、本書だけをどんなにむさぼり読んでも、兵法の道を極めることはできないのだ。そのことを念頭に置いて、ここに書いてあることを、いつも自分自身の身に当てはめて理解することを心がけてほしい。読むだけで十分とか、習うだけで満足だなどとは決して思わず、書かれたことだけを真似すればよいというような横着な考えも捨ててもらいたい。必ず何かを修得するのだという強い意志を持って、勘どころを見つけ出すように努め、常に当事者の感覚で、日々工夫し、研鑽に励むように。」(46~47頁)

今の時代にもそのまま当てはまる内容です。

常に貪欲に学ぼうとする姿勢や志を持っている人は、吸収力が違います。

貪欲さが日本から失われた久しいですが、だからこそ、貪欲にてっぺんを目指す人が結果を残せる時代なのです。

人が休んでいるときに、人の2倍働き、3倍努力する。

習ったら、即、実践してみる。

決して習いっぱなしにしないことが大切です。

常に当事者の感覚で、日々工夫し、研鑽に励むように

一億総評論家社会で、ただ単に他人を批評するだけのつまらない人生を送るのではなく、

日々、工夫し、努力し結果を出す人生を送りたいと思います。

賃金103(Y社事件)

おはようございます。 今週も一週間お疲れ様でした。

今日は、退職金減額決定は有効であり、未払退職金はないとされた裁判例を見てみましょう。

Y社事件(東京地裁平成27年7月17日・労経速2253号18頁)

【事案の概要】

本件は、Xが、労働契約に基づき、Y社に対し、退職金未払部分352万余+遅延損害金の支払を求める事案である。

Xは平成元年7月、Y社との間で労働契約を締結した。Y社は、平成22年9月、Xに対し、懲戒解雇の意思表示をした。

Y社は、平成22年10月、Y社の退職金規程に従って計算したXの退職金の額である528万円余を3分の1に減額して支払う旨の決定をし、退職金176万円余から源泉所得税を控除した額を支払った。

【裁判所の判断】

請求棄却

【判例のポイント】

1 本件退職金規程は、4条以降で退職金の額を一義的に算定することができる計算方法を具体的に規定していることに照らせば、Y社における退職金が賃金の後払いとしての性格を有するというべきである。もっとも、同規程13条が懲戒解雇の場合の退職金の不支給を定めていることに照らせば、Y社における退職金には功労報償的性格をも有することは否定できない
したがって、原則として、Y社は、本件退職金規程により算定される退職金の支払義務を負うが、懲戒解雇による退職の場合で、かつ、退職者において長年の勤労の功を減殺し、又は抹消する程度に背信的な事情がある場合には、退職金を減額し、又はこれを支給しないことが許されるというべきである。

2 これを本件についてみると、Xは、度重なる遅刻をした上、上司に対し合理的な理由なく反抗的な態度をとった上、乱暴な言葉遣いで誹謗中傷やおよそ趣旨の不明瞭な反論をするなど、職場環境に悪影響を与えるような言動を繰り返したというのである。
これらの遅刻の期間、回数、上司に対する反抗的態度の内容、またこれらの言動が本件戒告処分及び本件出勤停止処分によってもなお改まる兆候が見られなかったこと等に照らせば、Xの勤務態度は、長年の勤労の功を抹消する程度に背信的なものであったと評価するほかない
よって、本件退職金減額決定は有効であり、未払い退職金はないというべきである。

非常にオーソドックスな退職金請求事件です。

実務においては、どれだけ退職金を減額するかの判断をしなければなりません。

背信性がそれほど高くないのに、大幅は退職金の減額や不支給とすると、会社側が一部敗訴する場合もありますので、注意しましょう。

日頃から顧問弁護士に相談しながら適切に労務管理を行うことが大切です。

本の紹介489 ローマ法王に米を食べさせた男(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は本の紹介です。
ローマ法王に米を食べさせた男 過疎の村を救ったスーパー公務員は何をしたか? (講談社+α新書)

以前、ドラマ放送されていた「ナポレオンの村」の原案本です。

公務員である著者が、いかにして過疎の村を救ったのかが書かれています。

著者は、アイデアを形にする術を知っている人ですね。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

地域再生の視察のために、羽咋市にも役人や政治家、企業の方が何千人と来ています。それで、なんとか研修会って座学で勉強会をして、『いやあ、羽咋の試みは本当にいいですねぇ』などとほめてくれます。けれどその後に地域住民のために行動するか? しないですよ。やってみようともしない。会議のための会議ではなく、行動するための会議、お願いですからしてください。・・・地域活性化をテーマに多くの人に来ていただき、『感動しました』との言葉をよくいただきます。ありがたいです。でも、申し訳ないけれど、感動はいらないですよ。感動よりも行動です。地域の人のために動いてくださいと。」(240~241頁)

・・・なのに一億総評論家みたいになって、国が間違っている、行政がおかしいと、自分が何もしないことを棚に上げて、周りの批判ばかりしている人がどんなに多いことか。・・・そうやって批判や非難だけをくり返す人は、やがて人格まで腐ってくる。自滅しますよ。」(241~242頁)

「感動よりも行動」と著者は言っています。

このブログでも行動に移すことがどれだけ重要か、成功する人とそうでない人の違いはどこにあるのかについて書かれている本をいくつも紹介してきました。

もはや成功する方法はわかっているのです。

それでもなお、成功しないのはなぜか?

方法を知っているだけで行動に移さないからです。

また、行動し続けないからです。

人間は弱いのです。

最初に決めたことをやり続けることは本当に大変です。

だから、多くの人は、結果・成果が出る前に努力を途中でやめてしまうのです。

結果がなかなか出ないことに我慢ならず、途中で投げ出してしまうのです。

繰り返しますが、もはや成功する方法はわかっています。

あとは、やるかやらないか。

やり続けるか、途中で投げ出すか。

それだけです。

セクハラ・パワハラ14(公立八鹿病院組合ほか事件)

おはようございます。

今日は、上司らのパワハラ等によりうつ病発症・自殺と損害賠償請求に関する裁判例を見てみましょう。

公立八鹿病院組合ほか事件(広島高裁松江支部平成27年3月18日・労判1118号25頁)

【事案の概要】

本件の原審は、Xの遺族が、Y社らに対し、病院に医師として勤務していたXが、同病院における過重労働や上司らのパワーハラスメントにより、遅くとも平成19年12月上旬には、うつ病を発症し、自殺に至ったとして、債務不履行又は不法行為に基づき、合計2億1220万3317円+遅延損害金を求めた事案である。

原判決は、Y社に対し、約8000万円+遅延損害金の支払を命じた。

これに対し、双方が各敗訴部分を不服として控訴した。

【裁判所の判断】

Y社に対し、合計約1億円+遅延損害金の支払を命じた。

【判例のポイント】

1 本件病院において、Xが従事していた業務は、それ自体、心身の極度の疲弊、消耗を来し、うつ病等の原因となる程度の長時間労働を強いられていた上、質的にも医師免許取得から3年目(研修医の2年間を除くと専門医として1年目)で、整形外科医としては大学病院で6か月の勤務経験しかなく、市井の総合病院における診療に携わって1、2か月目というXの経歴を前提とした場合、相当過重なものであったばかりか、AやBによるパワハラを継続的に受けていたことが加わり、これらが重層的かつ相乗的に作用して一層過酷な状況に陥ったものと評価される。

2 Xは、本件病院赴任後、本件病院の関係者に悩みを打ち明けたり、前任者のように派遣元の大学病院に対し転属を願い出るといった対応をしていないのであるが、使用者は、必ずしも労働者からの申告がなくても、その健康に関する労働環境等に十分注意を払うべき安全配慮義務を負っており、労働者にとって過重な業務が続く中でその体調の悪化が看取される場合には、体調の異変等について労働者本人からの積極的な申告は期待し難いものであって、このことを踏まえた上で、必要に応じた業務軽減などの労働者の心身の健康への配慮に努める必要があるものというべきであるから(最高裁平成26年3月24日判決)、前任者がそうであったからといって、Xが本件疾病を発症する以前に、責任感から自ら職務を放棄したり、転属を願い出る等しなかったことを捉えて、Xの落ち度ということはできない。

3 公共団体や企業等に雇用される労働者の性格が多様なものであり、ある業務に従事する特定の労働者の性格が同種の業務に従事する労働者の個性の多様さとして通常想定される範囲を外れるものでない限り、その性格及びこれに基づく業務遂行の態様等が業務の加重負担に起因して当該労働者に生じた損害の発生又は拡大に寄与したとしても、そのような事態は使用者として予想すべきものというべきであるから、労働者の性格が前記の範囲を外れるものでない場合には、業務の負担が過重であることを原因とする損害賠償請求において使用者の賠償すべき額を決定するに当たり、被害者の性格及びこれに基づく業務遂行の態様等を心因的要因としてしんしゃくすることはできないというべきである(最高裁平成12年3月24日判決)。

使用者は、上記判例のポイント2を十分理解しておかなければなりません。

従業員から申し出がない場合であっても、様子がおかしかったり、欠勤が多い場合には、業務軽減等の配慮をする必要があります。

言うは易しですが、訴訟になれば、このような判断がなされますので注意しましょう。

ハラスメントについては、注意喚起のために定期的に研修会を行うことが有効です。顧問弁護士に社内研修会を実施してもらいましょう。