Author Archives: 栗田 勇

解雇111(ブルームバーグ・エル・ピー事件)

おはようございます。 

さて、今日は、通信社記者に対する能力・適格性低下を理由とする解雇に関する裁判例を見てみましょう。

ブルームバーグ・エル・ピー事件(東京地裁平成24年10月5日・労判1067号76頁)

【事案の概要】

本件は、Y社がXを能力・適格性低下を理由とする解雇の有効性が争われた事案である。

【裁判所の判断】

解雇は無効

【判例のポイント】

1 本件解雇は、結局、前記Ⅰの「社員の事故の職責を果たす能力もしくは能率が著しく低下しており改善の見込みがないと判断される場合」を解雇事由とするものと解するのが相当である。
そして、かかる勤務能力ないし適格性の低下を理由とする解雇に「客観的に合理的な理由」(労働契約法16条があるか否かについては、まず、当該労働契約上、当該労働者に求められている職務の能力の内容を検討した上で、当該職務能力の低下が、当該労働契約の継続を期待することができない程に重大なものであるか否か、使用者側が当該労働者に改善矯正を促し、努力反省の機会を与えたのに改善がされなかったか否か、今後の指導による改善可能性の見込みの有無等の事情を総合考慮して決すべきである

2 Y社は、Y社のビジネスモデルと新聞社や通信社のビジネスモデルとの間の違いから、記者として求められる能力、資質及び記事の執筆スタイルが両者間に大きな違いがある旨を主張している。
・・・しかしながら、他方で、①Y社においては、労働者の採用選考上かかるY社の特色あるビジネスモデル等に応じた格別の基準を設定したり、試用期間中(Y社においては原則として入社後6か月間が試用期間であると認められる。)においても格別の審査・指導等の対応を行う等の措置は講じていないと認められること、②Xの試用期間経過後、Xについて実施されたアクションプランやPIPにおいて、エディターや英語ニュース記者との連携、記事の執筆スピード等に関する指示、指導がされており、Y社の記者にはこれらの能力が求められていたことが認められるものの、これらの事項について社会通念上一般的に中途採用の記者職種限定の従業員に求められる水準以上の能力が要求されているとは認められないこと、以上からすれば、社会通念上一般的に中途採用の記者職種限定の従業員に求められていると想定される職務能力との対比において、XとY社との間の労働契約上、これを量的に超え又はこれと質的に異なる職務能力が求められているとまでは認められないというべきである。

3 ・・・以上によれば、Y社主張に係る記事内容の質の低さに関する事項は解雇事由とすることには、客観的合理性があるとはいえないというべきである。

Y社は、Xの解雇事由として、執筆スピードの遅さ、記事本数の少なさ、記事内容の質の低さを主張しましたが、いずれも解雇事由とすることには客観的合理性があるとはいえないと判断されています。

勤務能力や適性の欠如を理由に解雇をするのは、とてもハードルが高いです。

会社としては、どのように立証していくのかを事前に相当詰めておく必要があります。

解雇を選択する前には必ず顧問弁護士に相談の上、慎重かつ適切に対応することが肝心です。決して、素人判断で進めないようにしましょう。

本の紹介230 読む筋トレ(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間がんばっていきましょう!!

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←先週の土曜日の朝、月一恒例の用宗海岸のお掃除に行ってきました。

また来月も行きますよ。

今日は、午前中は、事務所で書面作成です。

午後は、不動産に関する裁判が1件と労働事件の裁判が1件、新規相談が1件入っています。

 今日も一日がんばります!!

 

 

さて、今日は本の紹介です。

読む筋トレ (扶桑社新書)

タイトルがいいですね。 タイトルだけではなんのことかよくわかりませんが(笑)

帯には、「一日5分で人生を変えるお手軽メソッド やる気に火をつける!ぐうたら脳に効く!」と書かれています。

基本的にぐうたらではありませんが、日頃の筋トレに役に立てばいいな、と思い、読んでみました。

「体を鍛えたいんだけど、時間がなくて・・・」という方にはおすすめです。

最初から、体を鍛えることに関心がない方は、この本を読んでも、筋トレはやらないでしょう。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

多くの人は、まったく、もしくはほとんど運動をしていない状態から、ボディデザインのためのトレーニングを始めることになるでしょう。・・・そういう人たちの筋肉は、眠っている状態にあります。・・・こういう状態から筋トレを始めて、効率良く結果を出そうとするなら、まずは眠っている筋肉を呼び起こさなければなりません。そして、筋肉を眠りから呼び起こすには、個人差はありますが、少なくとも2か月程度の時間を要してしまいます。もちろん、その間は『カラダが引き締まった気がする』とか、『ボディラインがすっきりしてきた』というような効果を感じにくい日々が続きます。この時間が、ちょっとした壁になります。続ければ確実に効果が出る運動だけれども、効果を感じるまでにある程度の時間を要する-そのため多くの人が、効果の現れる前に、見切りをつけてしまい、続けられなくなってしまうのです。」(134~135頁)

これって、勉強と全く同じですよね。

勉強が得意な人は、筋トレも上手である、というのが私の考えです。

なぜか?

勉強が得意な人は、新しく何かの勉強を始めたときに、すぐには効果(例えば、模試で高得点をとるなど)が出ないことを経験上知っています。

例えば、受験科目が多い資格試験などがその典型例です。

勉強慣れしている人、つまり、勉強することが習慣化されている人は、すべての勉強は、一定期間、我慢をしなければならない時期(私はこれを「トンネル」と言っています。)が必ずあることを知っているので、トンネルを抜けるまで我慢できるのです。

「このまま勉強を続けていれば、必ずトンネルを抜け出すときがくる」ということを経験上、知っているのです。

だから、トンネルが多少長くなっても、「自分には向いていない」などという恥ずかしいことは言わないのです。

物事を習得するには、一定の長さのトンネルをくぐらなければならない、ということを知っているだけで、途中で投げ出すことはなくなると思いませんか?

筋トレも勉強も仕事も、すべては考え方の習慣を変えれば、うまくいくと信じています。

賃金64(JR東海(新幹線運転士・酒気帯び)事件)

おはようございます。 今週も一週間、お疲れさまでした。

さて、今日は、酒気帯び状態による乗車不可に伴う減給処分に関する裁判例を見てみましょう。

JR東海(新幹線運転士・酒気帯び)事件(東京地裁平成25年1月23日・労判1069号5頁)

【事案の概要】

本件は、新幹線運転士業務等に従事し、労働組合分会の書記長を務めるXが、乗務点呼時に助役から酒臭を指摘されたうえ、呼気中アルコール濃度測定の測定方式によるアルコール検査の結果、1回目に0.071mg/l、2回目に0.070mg/lの各測定値が検知されたこと等に基づき、Y社により酒気帯び状態と認定されて乗務不可とされ、平成23年2月16日付で、平均賃金1日分の半額に相当する9409円の減給処分を受けたことにつき、Y社に対し、①本件数値が乗務不可とされる基準値の0.10mg/lを下回っていたのであるから、酒気帯び状態には当たらず、懲戒事由はないというべきであるし、②Y社が組合嫌悪の意図の下、Xに弁明の機会を付与することなく、他の処分例と比較して過重な本件減給処分をすることは、懲戒権の濫用に当たると主張して、本件減給処分の無効確認等を求めた事案である。

【裁判所の判断】

減給処分は無効

【判例のポイント】

1 懲戒処分は、企業秩序に違反する行為に対する制裁として科されるものであることからすると、違反行為と制裁との間には社会通念上相当と認められる関係があることを要するというべきであり、翻って、当該行為の性質・態様その他の事情に照らして社会通念上相当なものと認められない場合には無効となるものとされている(労働契約法15条)。そして、本件のような酒気帯び状態での勤務の事案における処分量定については、当該従業員の職種(違反主体の性質)、酒気帯び状態の程度、現実に酒気帯び状態で勤務に就いたか否か(違反行為の態様)、その結果、旅客等に危険が生じたか否か(生じた結果の程度)、反省の有無等(一般情状)、過去の処分歴や余罪の有無・内容(前歴等)などといった事情を総合して判断すべきものと解するのが相当である

2 そうすると、Y社においては、従業員が酒気帯び状態で勤務に就いたと判断される場合、本件のように、たとえ、外観や言動に異常がなく、アルコール検知器による呼気中のアルコール濃度の測定値が0.10mg/l未満の微量なものであったとしても、そのような要素は処分量定上考慮されることなく、一律に減給処分以上の懲戒処分がされているというのであるが、その処分量定における判断手法は、違反行為の態様、生じた結果の程度、一般情状等を考慮しない点で、問題があるといわざるを得ない

3 ・・・以上のとおり判示してきたところを踏まえて本件の事情を評価すると、Xは、新幹線の運転士及び車掌業務に従事していたが、本件数値は乗務不可とされる基準値を下回っていたこと、前日は必ずしも過度の飲酒に及んでいたわけではないようであり、当日も乗務に就く前に管理者から酒気帯び状態を指摘され、実際に乗務に就くことはなかったため、違反行為の態様は悪質とまではいえず、その結果も重大なものではなかったこと、当初こそ飲酒の事実を否定していたものの、まもなくこれを自認するに至り、その後は管理者の指示に従って事情聴取に応じ、本件アルコール検査を受けた上、「私の対策」と題する反省文を提出しており、一応は反省の態度が認められること、Xにつき、過去に同種の処分歴があったとは認められないことを指摘することができる
そうすると、本件減給処分については、Xが新幹線乗務員という旅客の安全を最優先とすべき職務上の義務を負う立場にあることを最大限考慮したとしても、違反行為の態様、生じた結果の程度、一般情状及び前歴等、更には、Y社の過去の処分例、JR他社の取扱いと比較して、その処分量定は重きに失しており、社会通念上相当性を欠き、懲戒権を濫用したものというべきであるから、無効であるといわざるを得ない

4 Xは、Y社に対して、慰謝料150万円の支払いを求めている。
しかしながら、本件減給処分が重きに失するとはいえ、新幹線乗務員という立場にあるXが、微量ではあるが酒気を帯びて業務に就いたことは事実であって、懲戒事由に該当する行為が存在したことは明らかである上、本件減給処分の無効が、判決という形で公権的に確定されることで、Xの昇格や昇進、退職金、再雇用に係る不利益は回避され、ひいてはXの名誉も回復されることになるのであるから、Y社が重きに失する本件減給処分を行ったことに対して、別個に慰謝料の支払いを命ずるまでの必要はないと解するのが相当である。・・・したがって、Xの不法行為に基づく損害賠償請求は理由がない。

電車や新幹線の運転手さんに限らず、運送会社のトラックの運転手さんなどにも応用できる事例ですね。

懲戒処分の種類(相当性)については、判断が難しいです。必ず顧問弁護士に相談しましょう。

本の紹介229 成功の9ステップ(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 8月も入りましたね。 今月もばりばり仕事しますよ!!!
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←先日、いつもお世話になっている社長と、事務所スタッフと一緒にパルシェ6階の「沼津魚がし鮨」に行ってきました。

久しぶりに行きましたが、サラリーマンで満席でした。

なにやかんやいろいろ食べることができていいですね。

今日は、午前中は、浜松の裁判所で労働事件の裁判が2件入っています。

午後は、静岡に戻り、駿河区役所での法律相談と新規相談が1件、裁判の打合せが1件入っています。

夜は、社労士の先生方を対象としたセミナーです。

今回のテーマは、「重要判例から読み解く固定残業代制度のポイント」です。

今日も一日がんばります!!

さて、今日は本の紹介です。

成功の9ステップ

先日、紹介しました「100%」の著者の本です。

成功するための方法がいろいろ書かれています。 てんこもり。 おすすめの筋トレの方法まで載っています(笑) 取り入れてみます。

この本も、一度読んで損はありません。 必ず得るものがありますよ。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

ほとんどの人の人生は、周りの状況や環境に振り回されている。自分の感情または状態が、身に起こる出来事の結果だと思い込んでしまっているからである。悪いことが起これば、気分が悪くなり、良いことが起これば、気分が良くなるという具合だ。このように考えている人は、何か良いことが起きてくれるのを待ちながら生活し、それが起きてくれないときは、自分のことを被害者だと思い込む。この人たちの人生は浮き沈みを繰り返す感情的なジェットコースターの連続だ。そして、成功は運の問題だと決めつけて、自分の運の悪さを嘆く。・・・しかし、真の成功者は自分の人生を偶然に任せることはしない。成功者は泥に転んでも、バラを持って立ち上がる。主体性を発揮する人は、どんな状況におかれても、それを自分の目的のために活かすようにしている。・・・何が違うのだろう。『状態』が違うのである。成功者は、つねに効果的な決断ができる状態を維持するようにしているということだ。」(69~70頁)

運命を決定づけるものは、私たちの身に起こる出来事ではなく、その出来事に対する解釈であり、私たちが行なう選択である。」(77頁)

この考え方ができる人は、どんなことが起ころうとへこたれることはありません。

出来事それ自体に意味はないので、どんなことが起こっても、幸せと感じることも、不幸と感じることもできるわけです。

すべてを「チャンス」と捉える習慣が身についている人こそが、人生において幸せを感じることのできる人だと思っています。

人が幸せを感じられるのは、自分がどういう状態にあるか、ではなく、どういう考え方をするかによるということです。

大変な仕事を振られたときに、「まじで・・・だるいなー」と感じる人もいれば、「大変そうだけど、向上できるチャンスかもしれないな」と捉える人もいます。

人生なんて、そんなものだと思います。

だから、幸せを探す旅に出たところで、幸せを見つけることはできません。

探している時点で間違っています(笑) 幸せは探すものではなく、感じるものです。

だんだんお坊さんみたいになってきたので、このへんでやめておきます。 ちーん。

解雇110(淀川海運事件)

おはようございます。 昨夜から事務所でずっと書面を作成しています。 体力勝負(笑)

さて、今日は、整理解雇に関する裁判例を見てみましょう。

淀川海運事件(東京高裁平成25年4月25日・労経速2177号16頁)

【事案の概要】

本件は、Y社が、平成22年6月、Y社の技能職員であり、労働組合の執行委員長であったXに対して、「事業縮小等会社の都合」、「余剰人員削減のために実施した希望退職者募集及び退職勧奨によっては、削減人員の定数に満たなかったための整理解雇」を理由として解雇した事案である。

Xは、本件解雇は、整理解雇の有効要件を欠き、解雇件の濫用として無効であると主張し争った。

【裁判所の判断】

整理解雇は有効

【判例のポイント】

1 本件解雇はいわゆる整理解雇であり、対象とされた従業員に対して、経営上の必要から人員削減を実現するために、従業員にとって生計の途である労働契約関係を解消することの当否が争点となっている事案である。そして、労働契約法によれば、解雇が「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合」には、解雇権の濫用として無効となる(同法16条)のであり、整理解雇は、従業員の側には責めに帰すべき事由がないにもかかわらず、使用者による一方的な解雇の意思表示によって雇用関係を解消するというものであるから、整理解雇を巡る事情を総合的に考慮し、使用者の経営上の必要性と、解雇される従業員の利害得失とを比較考量して、その効力を判断する必要があるというべきである。そして、整理解雇の有効性については、具体的には、①整理解雇(人員整理)が経営不振など企業経営上の十分な必要性に基づくものか否か、又はやむを得ない措置と認められるか否か(整理解雇の必要性)、②使用者が人員整理の目的を達成するための整理解雇を行う以前に、労働者の不利益がより小さく、客観的に期待可能な措置を取っているか否か(解雇回避努力義務の履行)、③被解雇者の選定方法が相当かつ合理的なものであるか否か(被解雇者選定の合理性)、④整理解雇の必要性とその時期、規模、方法等について使用者が説明をして、労働者と十分に協議しているか否か(手続の妥当性)などを総合的に勘案した上で、整理解雇についてのやむを得ない客観的かつ合理的な理由の有無という観点からその効力を判断するのが相当である。

2 平成22年4月頃の段階において、技能職員4名を削減する必要性があったところ、Y社は5月7日に、所定の退職金に一律100万円を加算することとして、希望退職者4名を募集したが、結局応募者は3名に止まったため、同月28日に、所定の退職金に250万円を加算するとして退職勧奨を行ったものの、Xは応じなかった等本件解雇に至る経緯を考慮すると、Y社はXを解雇するに先立って、これを回避するための方策を講じているものと評価するのが相当である

3 技能職員を削減する必要がある状況のもとにおいて、勤務成績等に照らし、X以外に被解雇者として選定されてもやむをえないといえる職員がいたにもかかわらず、上記の嫌悪感等を主たる理由としてXが選定されたというのであればともかく、そのような職員の存在を認めるに足りる証拠のない本件においては、そもそも労働契約が労使間の信頼関係に基礎を置くものである以上、他の従業員と上記のような関係にあったXを、業務の円滑な遂行に支障を及ぼしかねないとして、被解雇者に選定したY社の判断には企業経営という観点からも一定の合理性が認められるというべきであって、これを不合理、不公正な選定ということはできない。なお、本件においては、Y社の経営陣も、従業員と同様のXに対する強い嫌悪感を抱いており、そのことが整理解雇の対象者の人選に影響していることは否定できないところであるが、そのような事情があったからといって、Xを対象者に選定したことが直ちに不合理、不公正なものとなるものではないと解するのが相当である。

非常に参考になる裁判例です。 是非、一審と比較してみてください。

一審(東京地裁平成23年9月6日・労経速2177号22頁)は、本件整理解雇は無効と判断しましたが、控訴審では一転、有効と判断されました。

一審と控訴審で結論が異なったのは、整理解雇の必要性が認められたか否かのほかに、人選の合理性の点に関する考え方の違いによります。

個人的には、一審の判断の方が納得いく内容です。

解雇を選択する前には必ず顧問弁護士に相談の上、慎重かつ適切に対応することが肝心です。決して、素人判断で進めないようにしましょう。

本の紹介228 逆説の仕事術(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 昨夜から事務所でずっと書面を作成しています。目がしぱしぱします。

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←先週の土曜日は、安倍川の花火大会でした。

SE会社の社長宅のベランダから花火を見ました。

あんな広いベランダなら、BBQもできますね。

来年もベランダから見させてもらいたいと思います。

今日は、午前中は、島田の裁判所で裁判が債権回収や不動産関係の裁判が3件入っています。

午後は、静岡の裁判所で労働事件の裁判が1件と株主総会です。

今日も一日がんばります!!

さて、今日は本の紹介です。

逆説の仕事術 20の非常識があなたのビジネスを飛躍させる

マーケティングの本です。

商品の上手な売り方を教えてくれています。

僕はマーケティングの本が好きなので、これまでも息抜きとして同じような本を読んできましたが、この本は、これまでの本の総まとめといった感じです。

とてもわかりやすくて、良い本だと思います。 おすすめです。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

ほとんどの人は、メリットをいくら並べたところで、それらをすべて信用するというわけではありません。これ買おうかな、どうしようかなといろいろ悩みます。こういう欠点があるのか、でもこういうところはいいな、といろいろ情報収集をしながら迷います。そんな顧客の悩みや迷いを共有し、疑問や反論に対しても真摯に答えながら、顧客が後悔しない買い物のサポートをしてあげるという姿勢が大切なのです。
企業不祥事が続発し、顧客が何を信じればよいかわからない不透明な時代だからこそ、今まで以上に、顧客を守るという意識が大切なのです。売り手と買い手というスタンスではなく、大切な友人として、顧客をよりよい未来に導くアドバイザーとして、誠実に、真摯に向き合うこと以上の答えはないのです。」(267~268頁)

 「売り手と買い手というスタンスではなく、大切な友人として」というスタンスは本当に共感できます。

単に儲かればそれでよい、という発想で商売をしていては、短期的にはうまくいくのかもしれませんが、長期的には決してうまくいきません。

弁護士という仕事も全く同じです。

依頼者に喜んでもらえるのを見るのは、弁護士として、本当にうれしいです。

仕事を一生懸命する意味は、まさに依頼者の笑顔を見ることと言っても決して過言ではありません。

もっと言えば、生きている意味は、関わった人たちに喜んでもらうことなんだと思います。

自分だけが満たされた生活を送ったところで、喜びの程度はそれほど高いものとは言えません。

依頼者のみなさんに求められている限り、今の仕事を通じて、生きている意味を確認しようと思います。

解雇109(甲野株式会社事件)

おはようございます。 今週も一週間がんばっていきましょう!

さて、今日は、従業員の不正行為に対する損害賠償請求に関する裁判例を見てみましょう。

甲野株式会社事件(大阪地裁平成24年9月27日・労判1069号90頁)

【事案の概要】

Y社は、金、銀、白金等貴金属の地金の売買、加工、精製および分析等を行っている会社である。

Xは、Y社の従業員としてY社高知工場に勤務していた。

Xは、Y社工場敷地内から合計709.13gの金地金を持ち出し、これを窃取した。

Y社は、Xの当該行為について、警察署に被害届を提出した。Xは、窃盗の被疑事実で逮捕されたが、不起訴処分となった。

Y社は、Xを懲戒解雇した。 本件の争点は、本件不法行為に基づく損害賠償請求である。

【裁判所の判断】

Xに対して、合計152万6284円(調査実費、時間外手当相当額、説明行為に関する実費(交通費等)、弁護士費用)の支払いを命じた。

慰謝料請求については棄却。

【判例のポイント】

1 ・・・J取締役のN市出張及びD社訪問は、いずれも本件金地金を持ち出した犯人を特定するために必要な調査であったことが認められ、また、J取締役及びO副工場長のV社への出張は、Xが本件金地金を持ち出した態様を明らかにするために必要な調査であったことが認められるから、Y社が上記各出張のために出えんした費用相当額は、本件不法行為と相当因果関係のある損害というべきである。

2 ・・・金地商であるY社において、その管理する貴金属の盗難事件が発覚した場合、犯人や犯行態様を徹底的に調査し、事件の再発を防止すべく万全の対策をとる必要があることは明らかであるところ、Y社の従業員が、製造記録の確認等を行ったり、警察から事情聴取を受けるなど、通常の業務とは異なる作業に多大な時間を費やしたのは、Y社の従業員であったXが本件金地金を窃取した態様を明らかにするためにであるから、これらの従業員が調査等に従事していた平成22年6月及び7月の時間外手当の増加分は、本件不法行為と相当因果関係のある損害と認めるのが相当である
Xは、従業員が懲戒処分に当たる行為を行った場合、使用者である会社が適切な処分を行うため、事実関係の調査等を行うことは当然のことであり、そのために要する通常の経費等は、企業の一般的人事管理に要する費用として織り込み済みのものであるから、上記時間外手当等は、本件不法行為と相当因果関係のある損害とまではいえないと主張する。しかしながら、本件不法行為は、地金商の従業員による金地金の窃盗事件であって、被害額も約200万円と多額であるから、捜査機関が高知工場の実況見分を実施したり、Y社従業員からの事情聴取等を行うことは当然であるし、また、Y社における貴金属の管理・保管体制の根幹を揺るがす事件であるから、再発防止の観点からも、Y社が、その犯行態様を明らかにするために、独自に従業員に調査を命じることは、単に使用者が懲戒処分に当たる行為を行った従業員に対し適切な処分を行うための事実関係の調査等を行うこととは次元を異にするというべきである。したがって、これらの調査等に要した費用について、企業の一般的人事管理に関する費用として織り込み済みのものであると認めることはできないから、Xの前期主張は、採用することができない。

3 Y社は、本件不法行為発覚後、合計4727万8600円をかけて、セキュリティシステムを導入したほか、関係取引先に謝罪に赴くなどしたものであって、本件不法行為によって、Y社の信用を毀損せられた無形損害の額は、少なく見積もっても200万円は下らないと主張する。
しかしながら、Y社が、本件不法行為が発覚したことを契機として、Y社における金地金の管理・補完体制を見直し、多額の費用をかけてセキュリティシステムを新たに導入したことは認められるものの、Y社において、どのようなセキュリティシステムを導入するかは、企業の経営判断の問題であって、本件不法行為との直接の因果関係は認められない上、Y社は、本件不法行為が発覚した後、主要取引先等に対して、状況説明と謝罪に赴くなどしており、一応、本件不法行為によって毀損されたY社への信頼は一定程度回復されたというべきであるし、主要取引先等への説明に要した費用については、本件不法行為による損害として、Xが負担することを併せ考慮すると、それを超えて信用毀損に伴う慰謝料をXに負担させるのは相当でない。

従業員による不正行為が発覚した際、会社が当該従業員に損害賠償請求をすることがあります。

その際、どこまでを損害と考えてよいのかについて、本裁判例を参考にしてください。

信用毀損に関する裁判所の判断は、会社側からすると、簡単には受け入れらないのではないでしょうか。

解雇を選択する前には必ず顧問弁護士に相談の上、慎重かつ適切に対応することが肝心です。決して、素人判断で進めないようにしましょう。

本の紹介227 砂漠から芽を出せ!(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。今週も一週間、お疲れさまでした。

さて、今日は本の紹介です。

 砂漠から芽を出せ! (PHP文庫)

東進ハイスクールの古文講師、吉野先生の本です。

吉野先生の本は、もうかれこれ読みました(笑)

いつも新しい気づきを与えてくれます。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

好調なときにこそ、次の課題を見つけ出せるよう目を凝らすってことだ。調子がいいときは『これでいい』と思ってしまいがちだけど、『これでいい』と思った瞬間から、人間の進化は止まってしまう、ということに気づくべきだ。そしてそこがまさに、落ちる一歩手前の地点なんだ。・・・成功している人は全員、そんな何もない明日が怖いから、頑張り続けていられるんだ。だから不安を持て。そして願うんだ。さらなる進化を。」(168~169頁)

生きていれば、好調なときもあれば、不調のときもあります。

仕事も同じですよね。

ずっと好調、ずっと不調などということはないということを心に刻むことが大切だと思います。

今回の吉野先生の言葉は、好調なときこそ油断せず、準備を続けるべきだと読めます。

死ぬ直前まで向上していたいと思う人にとって、一時的な好調期は、それほどたいした意味はありません。

いつか来るであろう不調期に備えて、考えられる準備をします。

お互いがんばりましょう。

解雇108(アクセルリス事件)

おはようございます。

さて、今日は整理解雇の有効性と賞与請求に関する裁判例を見てみましょう。

アクセルリス事件(東京地裁平成24年11月16日・労判1069号81頁)

【事案の概要】

本件は、Y社がXを整理解雇した事案である。

Y社は、ソフトウェア製品の販売、導入支援コンサルティング、トレーニング等を主な業とする株式会社である。

【裁判所の判断】

整理解雇は無効

賞与請求は棄却

【判例のポイント】

1 ・・・整理解雇の考慮要素としての人員削減の必要性とは、少なくとも当該人員削減措置の実施が不況、斜陽化、経営不振等による企業経営上の十分な必要性に基づいていることを要するものと解されるところ、本件においては、①本件解雇当時、Y社自身の経営状況が悪化していたことを認めるに足りる証拠はないこと、②米国親会社及び米国シミックス社の経営状況及び両社の合併に伴い、Y社において4名の人員削減を実施する必要性が十分にあったことを認めるに足りる証拠もないこと、・・・以上からすれば、本件解雇当時、X1名を整理解雇しなければならない十分な必要性があったとは認められないというべきである。

2 人員削減を実現する際に、使用者は、配転、出向、希望退職者募集等の他の手段によって解雇回避の努力をする信義則上の義務(解雇回避努力義務)を負うものと解され、同義務履行の有無を判断するに当たっては、当該使用者が採択した手段と手順が当該人員整理の具体的状況の中で全体として指名解雇回避のための真摯かつ合理的な努力と認められるか否かを判断すべきである。そして、人員削減の十分な必要性があったとまでは認められない本件において、本件解雇が正当化されるためには、相当手厚い解雇回避措置が取られた後でなければならないというべきである
これを本件についてみると、Y社は、・・・当該人員削減指示の説明及び希望退職者募集は、説明資料等を交付することなく口頭でされたに過ぎない上、希望退職者募集に係る退職の条件についても、多少の退職金オプションを出せる旨の抽象的な説明しかしていないというものであって、Y社主張に係る説明ないし希望退職者募集をもって、前記の解雇回避努力義務の履行があったと評価されるべきものではないというべきである
また、Y社は、Xの配転可能性について、Xの専門性を生かせるポストは顧客サポート業務以外にはなかったところ、Xが顧客からの評判が悪く、他のメンバーと強調しようとせず、同部門においてはXを除く他のメンバーによる新しいチーム作りが始まっていたことから、Xを顧客サポート業務に就かせることはできなかった旨主張するが、①職種限定契約である等の事情がなく雇用契約上職種や担当業務が限定されていないXについて、解雇回避義務の履行として配転を検討するに当たっては、異動候補先として幅広い職種・職務内容を検討すべきであること、・・・。なお、Y社は、X及び本件労組に対し、Xの専門性と無関係な他の業務(例えば、賃金額が大幅に下がる在庫管理)への配転の検討を要請したが、Xらがその検討を拒否したことをもって、解雇回避努力義務の履行をした旨主張するが、本件において、労働条件の大幅の不利益変更を伴う配転提案をしたことをもって同義務を履行したものとは評価できないから、Y社の主張には理由がない

解雇回避努力に関する判断は、是非、参考にしてください。

4要素説では、他の要素との関係で、求められる解雇回避努力の程度が変わってきます。

解雇を選択する前には必ず顧問弁護士に相談の上、慎重かつ適切に対応することが肝心です。決して、素人判断で進めないようにしましょう。

本の紹介226 100億円稼ぐ人の思考法(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。__

←先日、休日出勤をしていたスタッフと一緒に「つむらや」に行ってきました。

写真は、「ふくわうち」です。

すべて冷たいおそばです。

暑い日には最高ですね。おいしゅうございました。

今日は、午前中は、不動産に関する裁判が1件と新規相談が1件入っています。

午後は、新規相談が3件と裁判の打合せが1件入っています。

今日も一日がんばります!!

さて、今日は本の紹介です。

100億円稼ぐ人の思考法

著者は、「ゲルマニウム美容ローラー」で成功して100億円を稼いだ方です。

著者を検索すると、「人生には、いろんな上り坂、下り坂があるのだな」とつくづく思います。

人生、ずっと成功することはないですよね、ということを再認識させられる本です。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

ノーリスクで得た成功は長続きしません。そこに腹をくくるという行為がないからです。私たちの人生においても同じことが言えます。どんなに過酷な試練が待ち受けていようと、決めたらやり続けることです。それが腹をくくるということです。それこそが覚悟というものです。・・・自分の人生に起こることはすべて、自分の責任として引き受ける。そのくらいの覚悟がなければ、成功は手に入りません。」(197頁)

「決断する」という言葉と「覚悟を決める」という言葉は、私の中では同義語です。

後になって「やっぱやーめた」と言われると、げんなりします。

一事が万事で、ビジネスにおいて、一度、それをやってしまうと、「この人は、決断力がない人だな」と思ってしまいます。

こういう人は、一度、決めても簡単に「やっぱやーめた」と言う癖(習慣)がついているので、できるだけ一緒に仕事をしたくありません。

即断即決。 

有言実行。

この2つの習慣が身に付いている人は、パワーがみなぎっています。

見ていて本当に気持ちがいいです。

類は友を呼ぶ。 お互いがんばりましょう!