Author Archives: 栗田 勇

本の紹介171 突破する力(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます 3連休も終わり、また一週間が始まりましたね。今週もがんばっていきましょう!
__←先日、いつもお世話になっている社長と一緒に「博」に行ってきました

写真は、とらふぐの白子です。 絶品としか言いようがありません。

いつもきんきの煮付けの写真になってしまうので、今回は別の写真ということで。

親方、おいしゅうございました。

今日は、午前中は、裁判の打合せが1件と顧問先会社でのセミナーが入っています。

午後は、交通事故の裁判が1件、顧問先会社の打合せ、臨時株主総会が入っています。

今日も一日がんばります!!

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さて、今日は本の紹介です。
突破する力 (青春新書インテリジェンス)
突破する力 (青春新書インテリジェンス)

現東京都知事の猪瀬さんの本です。

サブタイトル「希望は、つくるものである

いいですね。 その通りだと思います。

なんとなく買ってみた本ですが、内容は、すばらしいです。 

猪瀬さんの20代の話などが書かれています。

みんな一緒なんだなと感じます。結果を出そうともがいている様子が伝わってきます。

おすすめです!

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

当時、駆け出しのライターたちは、よく新宿のゴールデン街で飲んでいた。編集者に誘われて、僕もときどき顔を出した。そこでは作家のタマゴたちがムキ出しの夢を語り、お互いを刺激し合っていた。しかし、場がどれほど盛り上がっても、夜10時には店を出た。ふたたび仕事場に戻り、自分と向き合うためだ。
みんなで群れて夢を語れば、そこになんとなく希望が存在しているように見える。しかし、それは幻にすぎず、一夜明ければ酔いとともに消えていく。希望は、バーカウンターなどにありはしない。ある種の孤独を抱え、徹底的に仕事と対峙した先に、ようやく見えてくるものなのだ。
」(4頁)

猪瀬さんは、お酒の席を適当なところで切り上げる習慣はいまも変わっていないそうです。

猪瀬さん、さすがですね。

私も、だいたい一次会で切り上げ、23時には寝ています。

ただ、猪瀬さんとは違い、ふたたび仕事場に戻り、自分と向き合うためではなく、単に眠たいからです(笑)

完全な朝型人間なので、夜はすぐに寝てしまいます。

人それぞれ違うとは思いますが、私は、朝の方が断然、仕事がはかどります。

朝は、まだ脳みそが疲れていないので、考えなければいけないいわゆる「重たい仕事」は朝やるに限ります。

というわけで、最近では、一次会のみ参加するようにしています。

不当労働行為61(東洋エージェント事件)

おはようございます。 

さて、今日は、誠実交渉義務に関する命令を見てみましょう。

東洋エージェント事件(中労委平成24年9月5日・労判1057号173頁)

【事案の概要】

Y社は、従業員約300名をもって、道路交通法に基づく放置車両の確認および標章の取り付けに関する事務等を行っている会社である。

平成22年3月、組合はY社に対して、組合事務所の貸与、組合掲示板の設置、基本日給の引き上げ等8項目を要求して団交を申し入れた。

これに対して、Y社は、十分な対応をしなかったため、組合は、救済申立てを行った。

初審は、Y社に対して、誠意をもって団交に応じることと、文書手交を命じた。

Y社はこれを不服として、中労委に再審査を申し立てた。

【労働委員会の判断】

Y社が団交において誠実に対応しなかったことは不当労働行為にあたる

【命令のポイント】

1 Y社は、組合事務所の貸与及び組合掲示板の設置に応じられない理由として、組合事務所の貸与及び組合掲示板の設置が労組法7条3号に抵触するものであって、利益供与に当たるという考えに固執し、一貫して組合事務所の貸与及び組合掲示板の設置を検討する姿勢をみせなかったものといえる。
しかしながら、最小限の広さの組合事務所の貸与が、労組法7条3号で規定する利益供与に当たらないことは同号ただし書から明らかである。また、会社の監視事業部長名の文書において同条3号を示していることからすれば、Y社は同号ただし書についても了知していたものと認められる
・・・以上のとおりであるから、組合の要求事項のうち、組合事務所の貸与及び組合掲示板の設置については、Y社は、これを設置・貸与することで生じる支障等を具体的に説明していないのであり、組合の要求に応じられないとする理由を十分に説明したとはいえず、かかるY社の対応は不誠実団交に当たる。

2 Y社が、賃金引上げができない根拠として、経費や収支の問題があることを示唆したことは認められるものの、経費や収支に関して、組合に対して一切説明していない
団交において使用者は、自らの主張の根拠を具体的に説明し、開示し得る客観的な資料を提示するなど、組合の理解を得るべく誠実に団交に応じる必要があるというべきであるところ、Y社が主張するような組合が求める資料開示による企業秘密の漏えいの懸念が、客観的にみて根拠を伴ったものであると認めるに足る証拠はない仮に当該懸念があり、確認事務の性質から経費の内訳が開示できないというのであれば、そのことについて組合の理解を得るべく、具体的に説明を行うべきであるのにもかかわらず、Y社は、経費にかかわるすべての情報が確認事務に関する守秘義務の範囲に入ることの根拠を十分に説明していない。
以上のことからすると、基本日給の引上げを議論するに当たり、Y社は、賃金体系について十分説明していない上に、正当な理由なく就業規則の提示を拒否しているのであるから、このようなY社の対応は不誠実団交に当たる。

最小限の広さの組合事務所の貸与については、不当労働行為(利益供与)にあたらないことは条文上明らかです。

使用者側がどこまでの説明をしなければならないのかは悩ましいところですが、上記命令のポイント2は、参考になるのではないでしょうか。

使用者側としてはなかなか理解しづらいかもしれませんが、法的な判断はこのような感じになります。

組合との団体交渉や組合員に対する処分等については、まずは事前に顧問弁護士から労組法のルールについてレクチャーを受けることが大切です。決して素人判断で進めないようにしましょう。

本の紹介170 99%無理な仕事をやり切る方法(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます
__←先日、事務所のスタッフと一緒に「リボン」に行ってきました

写真は、てんこ盛りのホタルイカです。 別に大盛りを注文したわけではありません。

いつ行っても安くておいしいです!! 超おすすめです。

今日は、午前中は、新規相談が2件入っています。

午後は、浜松の裁判所で労働事件の裁判が2件、離婚調停が1件入っています

夜は、そのまま浜松で遺言作成に関する新規相談が入っています

今日も一日がんばります!!

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さて、今日は本の紹介です。
99%無理な仕事をやり切る方法 -孫正義から学んだ仕事術-
99%無理な仕事をやり切る方法 -孫正義から学んだ仕事術-

元ソフトバンク社長室長の本です。

孫さんから学んだ仕事術が書かれています。

孫さんの仕事のしかたを垣間見ることができて、とてもおもしろいです。

この本を読んで思ったのは、やはり、仕事の進め方、軌道への乗せ方を知っている人は強いということです。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

孫正義が使っている手法の中に、私が名付けた『わらしべ理論』というものがあります。
わらしべ長者の話というのはご存知の方も多いと思いますが、最初はわらを交換するところからはじまって、最後は家、屋敷になるという話ですね。交換するたびに、だんだん大きなものになっていくわけですが、孫正義の経営手法もそうです。
ナンバーワンになるために、まずは土俵を小さく設定します。土俵を小さくしても、ナンバーワンであることで、さまざまな経営資源を集めてほかの企業と提携したりと、もう少し大きな事業ができるようになります。大きくなった事業で再びナンバーワンになれば、そこからもう一つ大きなものにしていけるというのが『わらしべ理論』です。
」(29頁)

私は、最初は小さく始めるというのは、ビジネスの王道だと思っています。

小さく初めて、徐々に大きくしていく、というのが健全です。

最近では、あまり大きくしすぎないということにも留意しています。

ちょうどいい動きやすさみたいなものを追求しています。

孫さんの「ナンバーワンになるために、まずは土俵を小さく設定する」というのも、まさに同じです。

風呂敷を広げすぎない。

特定の小さな分野でまずは1番を目指すことから始めるのが近道ではないでしょうか。

何をやるかというよりも、何をやらないかだと思います。

管理監督者29(ピュアルネッサンス事件)

おはようございます。

さて、今日は、退職した元部長からの時間外割増賃金・減額賃金差額請求に関する裁判例を見てみましょう。

ピュア・ルネッサンス事件(東京地裁平成24年5月16日・労判1057号96頁)

【事案の概要】

Y社は、美容サロンの経営、化粧品等の販売を目的とする会社で、ネットワークビジネスの運営、健康食品の製造販売、美容サロンの経営またはフランチャイズ、化粧品等の美容商品の製造販売を行うA社グループのグループ会社である。

Xは、平成17年11月、Y社に管理職(部長)として入社し、Y社が企画する化粧品販売イベントの運営等に従事してきた。

Xは、平成18年5月にY社の取締役、19年6月に常務取締役、20年12月に専務取締役に選任された。

Xは、21年9月に退職した後、Y社に対し、時間外割増賃金および減額賃金の差額分を請求した。

【裁判所の判断】

1 Xは管理監督者に該当する。
→深夜割増賃金部分約98万円の支払いを命じた

2 減額賃金の差額5万円の支払いを命じた

3 付加金として除斥期間が到来していない時間外手当と同額の約92万円の支払いを命じた

【判例のポイント】

1 もともとY社は、その規模に比して取締役の数が不自然に多く、Xには終始一貫して基本給と役職手当という名目で対価が支払われており、雇用保険にも継続して加入していることに加え、提出された証拠だけからはXの報酬額が変更される都度、取締役会の決議がなされたことは認められない。また、Y社の取締役会、役員会議、経営会議においては、具体的な討論がなされたような形跡がなく、実質的なオーナーとみされるB会長の指示を伝達する場にすぎなかったことが認められるし、Xが取締役に選任された前後においてその担当する業務について具体的な変更があったことは証拠上見当たらない。そうすると、Xは、基本的にB会長の指示や許可を受けて業務に従事することが多かったものといえる。また、Xが一度Y社を退社した上で取締役に選任されたような事実も認められない
したがって、Xは、Y社との関係において、取締役としての地位を有していたが、労働者であったと認めるのが相当である

2 労基法41条1項2号の管理監督者とは、部長、工場長等労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的な立場にある者をいうとされる。
管理監督者に該当するか否かは、(1)事業主の経営に関する決定に参画し、労務管理に関する指揮監督権限を認められているか否か、(2)自己の出退勤をはじめとする労働時間について裁量権を有しているといえるか否か、(3)一般の従業員に比しその地位と権限にふさわしい賃金上の処遇を与えられているか否かを実態に即して判断することになる。

3 Xは、経営会議等の重要な会議に参加しており、実情は、B会長が決めた方針の伝達が行われることが多かったとはいえ、取締役という地位で参加しており、サロンの開設や従業員の採用など個別的に重要な業務の担当を任されるようになっている。
Xは労務担当の取締役とされていたが、従業員の採用や人事考課の権限等、労務管理についての一般的に広範な権限が与えられていたわけではない。しかしながら、Y社は規模の小さい個人企業であるため、人事考課自体が行われていたのか疑問であり、また採用にあたってもB会長に決定権があったとしても必ずしも不自然とはいえず、その後、Y社の業務が拡大するとともに、従業員の採用について、Xに権限が与えられるようになっている。また、Xは、従業員やスタッフの勤務時間についての集計や、訂正の確認などを行っており、他の従業員などの勤務時間に関する労務管理の権限がある程度与えられていたものといえる
Xは、タイムカードによって厳格な勤怠管理が義務づけられていたとはいえず、タイムカードも本来許されていない手書きでの修正が許されたり、他の従業員とは異なる扱いがなされるなどしているし、パーティーや懇親会、麻雀などへの参加時間も労働時間としてタイムカードが打刻されている。また、Xの主張する業務量に比して、労働時間が不自然に長時間となっており、勤務時間中に業務以外のことをしていた事情もうかがえることからすると、Xについては、厳密な労働時間の管理がされていたとはいえず、労働時間について広い裁量があったといえる。
そして、Xは、基本給として月額35万円、役職手当として月額5万円から10万円の給与をもらっており、一般従業員の基本給と比べて厚遇されていたことは明らかである。
以上からすると、Xは、労基法41条2号の管理監督者に該当するとみるのが相当である。

4 Xは、労働者ではあるが、管理監督者に該当するため、その請求できる時間外手当は深夜割増賃金に限られる。

5 Xは、労働者として労基法の適用を受ける地位にあるから、Xが、管理監督者に該当するとしても、Y社において深夜割増賃金に相当する時間外手当の支払いを免れることはない。それにもかかわらず、Y社は、Xに対し、時間外手当の支払を一切していない。こうした事情に加えて、Y社が労基法の適用を免れようとして労働者を取締役 に選任するといった意図が認められる等の本件の実情を照らし合わせると、本件については、付加金として、労基法114条ただし書きの除斥期間が到来していない平成20年1月分ないし平成21年9月分の時間外手当と同額の付加金の支払を命じることが相当である。

上記判例のポイント1では、取締役の労働者性が争点となっており、これを肯定しています。

事実認定の方法について参考になります。

また、この裁判例では、珍しく管理監督者性が肯定されています。

なかなか普通の会社で、管理監督者であることを前提として、割増手当を全く支払わないという労務管理の方法は、リスクが非常に高いことは間違いありません。

それゆえ、あまり、おすすめはしません。

管理監督者性に関する対応については、会社に対するインパクトが大きいため、必ず顧問弁護士に相談しながら進めることをおすすめいたします。

本の紹介169 「圧倒的利益」を生み出すキュレーション・マーケティング(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます
__←先日、住宅会社の社長と両替町の「入船鮨」で新しい試みについて打合せをしました

このお店は、個室があるので、打合せをするにはいいですね。

きっとおもしろいコラボができると思います! 

今日は、裁判の打合せが5件入っています。 久しぶりに裁判がない1日です。

今日も一日がんばります!!

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さて、今日は本の紹介です。
「圧倒的利益」を生み出すキュレーション・マーケティング―独自性を創出する10の視点
「圧倒的利益」を生み出すキュレーション・マーケティング―独自性を創出する10の視点

最近、よく「キュレーション」という言葉を耳にしますが、この本では「価値の再構築」という意味で使っています。

一般的には、集めた情報をつなぎ合わせて、新しい価値を作り出すみたいな意味なのでしょうか。

よくわかりません。

この本のいいところは、発想を変えることの大切さ、独自性を目立たせる方法をさまざまな成功例を通じて教えてくれているところです。

とても参考になります。

私がこの本を読んで改めて感じたのは、「切り口、角度」の重要性です。

ほんの少しの工夫で結果は大きく変わってくることがよくわかります。

大切なのは、異なる業界の「キュレーション」の例から「切り口、角度」を読み取り、自分の業界に応用することのできる力とそれを実行に移す力を持つことです。

やはりここでも「とりあえずやってみる」という精神が重要なんでしょうね。

解雇94(長崎県公立大学法人事件)

おはようございます。 また一週間が始まりましたね。今週もがんばっていきましょう!!
__
←「いいことばんく2」が完成しました!

ほしい方は事務所までお越し下さい。

さて、今日は、大学教授が勤務時間中に企業経営に当たったことを理由とする懲戒処分に関する裁判例を見てみましょう。

長崎県公立大学法人事件(福岡高裁平成24年4月24日・判タ1383号228頁)

【事案の概要】

Xは、Y大学法人が運営する県立大学に勤務する教授である。

Xは、当時、県関係者の支援により設立されたベンチャー企業の代表取締役となった。

Y大学法人は、Xが大学の勤務時間内に必要な許可等を得ずにその経営に当たったことを理由に停職6月の懲戒処分に付した。

これに対し、Xは、本件懲戒処分の付着しない労働契約上の権利を有することの確認等を求めた。

なお、第1審は、本件懲戒処分は無効と判断した。

【裁判所の判断】

控訴棄却
→懲戒処分は無効

【判例のポイント】

1 本件懲戒処分の理由は、Xの多数かつ長時間に及ぶ無断欠勤及びY大学法人理事長がXに対し兼職従事の実施状況の報告を求めたにもかかわらずXはこれに従わなかったことであるところ、前者の無断欠勤については、その回数及び時間の程度が、本件就業規則47条所定の懲戒の種類の選択及び減給あるいは停職が選択された場合の金額あるいは期間を定めるに際し重大な影響を与えることから、その認定に際しては、Y大学法人が主張する各欠勤日ごとに、その有無、時間及び理由について、証拠並びにY大学法人の反論及び反証を踏まえた慎重な検討を行うことが必要である。

2 ・・・以上認定した事実によれば、Y大学法人は、Xの欠勤を理由とした本件懲戒処分を行うに際し、上記欠勤の具体的内訳(欠勤の日数、各日の欠勤時間)及びこれを検証することのできる資料を交付していないことに加え、弁明を行う日の通知から弁明の実施までわずか3日しかないことに鑑みれば、Xが独自に資料を入手するなどして、Y大学法人が主張する欠勤状況の正確性についての検討及び反論をすることはできなかったことが認められ、これがXにおける防御活動の妨げとなることは明らかである
そして、上記のとおり、欠勤を理由とした懲戒処分においては、欠勤の日数及び時間の程度が、本件就業規則47条所定の懲戒の種類の選択及び減給あるいは停職が選択された場合の金額あるいは期間を定めるに際し重大な影響を与えることからすれば、Y大学法人がXに対して行った本件懲戒処分に至る手続のうち、Xの欠勤の認定には、重大な瑕疵があり、乙8あるいは乙38記載の欠勤日数を、そのまま本件懲戒処分の相当性の判断の基礎とすることは許されないというべきである

3 ・・・以上を前提に本件懲戒処分の相当性について検討するに、本件懲戒処分における停職は、懲戒解雇に次ぐ重い処分であり、6か月という期間は最長期間である。そして、Xに対し停職処分が行われた場合には、処分それ自体によって同人の法的地位に一定の期間における職務の停止及び給与の全額の不支給という直接の職務上及び給与上の不利益が及び、将来の昇給等にも相応の影響が及ぶこと、同人の研究活動に重大な支障を来すことになることからすれば、その実施は慎重になされるべきものである。
すると、(1)バイオラボ事業は、長崎県及びY大学法人の並々ならぬ意向により開始されたものであり、Y大学法人における勤務時間の管理は形骸化していたことと併せると、Xにおいて勤務時間の振替申請や休暇届等の必要な手続を怠ったことについて、その全てをXの責任とするのは相当ではないこと、(2)Y大学法人主張の欠勤数をそのまま本件懲戒処分の前提とすることは許されないこと、(3)中国渡航による終日欠勤については、合計日数は59日となるものの、本件懲戒処分の対象となった平成15年10月から平成20年11月における年平均渡航日数は12日程度に過ぎないことに加え、(4)Y大学法人関係者は、本件懲戒処分後もなお、Xの欠勤による大学業務への支障は生じていなかった旨長崎県議会で答弁していること、他にXの欠勤により大学業務について相当な支障が生じたことを認めるに足る証拠はないことからすれば、文書提出についての職務命令違反を考慮しても、Xについて停職とすることは重きに失するというべきである。

本件は、解雇事案ではなく、停職処分ですが、一応解雇のグループに入れておきます。

控訴審でも、第1審同様に、懲戒処分は無効であると判断しました。

ちなみに、第1審は、大学関係者によるベンチャー企業創設に対する当時の県知事の意向、大学関係者の言動、会社におけるXの地位・役割、大学の勤務時間内に行われた会社に関する行事に大学関係者が多数回参加していたこと、Xの勤務時間内の兼業についてY大学法人は注意・警告をしなかったこと、勤務時間について、大学が実態として裁量労働制と同様の運用をしていたことを指摘して、本件時間内兼業について黙示の承認がなされていたという理由により、懲戒処分を無効と判断しました。

これに対し、第2審は、Y大学法人の黙示の承認については認めませんでした。

参考にすべきは、上記判例のポイント2の手続面に関する判断です。

懲戒処分を行う際は、手続面にも留意して慎重に行う必要があります。

是非、参考にしてください。

解雇を選択する前には必ず顧問弁護士に相談の上、慎重かつ適切に対応することが肝心です。決して、素人判断で進めないようにしましょう。

本の紹介168 想定外(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます 今週もあっという間に過ぎていきましたね。土日もばりばり働きますよ。
__
←先日、いつもお世話になっている社長と「南大門」に行ってきました

写真は、「特選特上ロース」です。いつもは注文しないページにのっています(笑)

並でも十分おいしいのですが、今回は、「上ロース」と「特選特上ロース」の食べくらべをしてみました。

やはり、レベルが違いました。値段の差だけのことはあります。 ご馳走様でした。

今日は、午前中は、沼津の裁判所で刑事裁判です

午後も、そのまま沼津で、労働事件の裁判が1件あり、その後、富士の顧問先会社での打合せが入っています。

夜は、新規相談が2件入っています。

今日から2月が始まりますね。 今日も一日がんばります!!

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さて、今日は本の紹介です。
想定外 なぜ物事は思わぬところでうまくいくのか
想定外 なぜ物事は思わぬところでうまくいくのか

意思決定のパラドックスについていろいろな例をあげて述べられています。

どこかを目指すなら、反対方向へ進むこともひとつの選択肢だ」と述べています。

非常におもしろい角度で物事を捉えており、納得する部分がたくさんありました。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

行動の結果は自然現象であれ、人為的なものであれ、相手の反応次第であり、予測もできない。われわれを取り巻くシステムは、複雑過ぎて人間の理解の範囲を超えているのだ。さらに、そうした問題、そしてその将来について必要な情報を手に入れることも不可能である。そんな環境下で満足のいく対応をするには、単に行動するしかない。『計画を実行する』では無理だろう。ベストな結果とは回り道によって得られるものであり、結局は同じことのくり返しや環境への適応、つまり、実験と発見の連続するプロセスの帰結である。」(244頁)

なんかここまで言ってくれると気持ちがいいですね(笑)

著者は、「ビジネスチャンスは偶然の産物なのだ」(205頁)と言い切っています。

結局のところ、大切なのは、綿密な計画を立てることでも、計画に忠実であることでも、一貫性を保つことでもないようです。

大切なのは、変化する状況に柔軟に対応すること、小さい失敗をしても、回り道をしても、めげずに前に進むことなんだと思います。

もしくは、始めから、「目標を達成するためには、必ず途中でうまくいかないことが出てくる。そのときに軌道修正をすればいい。」くらいに思っておけばいいのです。

そのくらいに思っていたほうが、物事を始めやすいのではないでしょうか。

不当労働行為60(健創庵事件)

おはようございます。 

さて、今日は、組合活動を理由とする雇止めと不当労働行為に関する命令を見てみましょう。

健創庵事件(奈良県労委平成24年9月27日・労判1057号169頁)

【事案の概要】

Y社は、個人経営の整体施術院で、整体・足つぼマッサージ店等の経営を事業目的とする会社である。

平成22年春頃、Xの勤務態度に問題があるとして、Y社はこれまで60%であった歩合を45~50%に変更する旨をXに告げた。

その後、Xは組合に加入し、組合は、Y社に対して、団交を申し入れた。

平成23年4月、Y社は、Xに次年度の業務委託契約を更新しない旨の書類に署名するよう求めた。

Xは、Y社が雇止めにしたことは、Xが組合に加入し、組合の正当な行為をしたことを理由とする労組法7条1号の不利益取扱いにあたるとして争った。

【労働委員会の判断】

雇止めは不当労働行為にあたる

【命令のポイント】

1 Xは、(1)Y社の業務の遂行に不可欠な労働力として、事業組織に組み込まれていたこと、(2)労務の内容を一方的・定型的に決められていたこと、(3)労働の対価として報酬を受けていたこと、(4)業務依頼の諾否の自由も制約を受けていたこと、(5)指揮監督を受け、時間的・場所的拘束を受けていたこと、(6)事業者性があるといえないことから、Y社との関係において、労組法上の労働者であると認めるのが相当である。

2 X組合員の行為は、確かに、業務態度に問題があったことは認められるが、X組合員のそのような行為によって業績不振に陥ったと認めることはできないし、Y社が雇止めの理由に挙げた業務中の問題行為の後にも契約を更新していること、女性従業員の退職問題の解決にはY社も協力していることが認められること、待機時間中に漫画本を読んだり、パソコン・ゲームをしていたことはXが主張するように業務態度ではなく、待機時間中の過ごし方の問題でもあることから、X組合員の行為を理由とした雇止めには、必要性を認めることはできない

3 上記のとおり、Y社による雇止めの合理性の有無および雇止め時の労使事情について検討した結果、本件雇止めについてY社に不当労働行為意思があったと認めざるを得ない。

4 当委員会は、Y社のX組合員に対する雇止めについて、不当労働行為の成立を認めるが、同人の契約期間が1年であること、同人は過去に2回自己都合により退職し、また、団交では退職を前提として未払い賃金等の支払を求めており、Y社に対し長期の雇用を期待していたとは認められないことに鑑み、X組合員に対する平成23年6月付け雇止めがなかったものとして取り扱うとともに、本件雇止めになる前の1年間の賃金額に年6%を乗じて得た金額を付与した金額を支払うこと、および本命令書受領後速やかに誓約文をXに交付することを命じることをもって相当であると思料する

上記判例のポイント2の認定は、参考になりますね。

会社としては、突然、団交を求められても、不慣れのため、適切な対応をすることができない場合もあると思います。

あまり表面的なテクニックに走らず、誠意をもって団交に応じるのがよろしいかと思います。

最近では、団交に関する本もいろいろ出版されていますが、いつの時代も基本となる注意点だけを理解すれば足りるというのが私の考えです。

ちゃんと会社の立場、考えを伝えればよいのです。

これは組合側も同じことです。

お互いが誠意を持って話をすればよいのです。 

組合との団体交渉や組合員に対する処分等については、まずは事前に顧問弁護士から労組法のルールについてレクチャーを受けることが大切です。決して素人判断で進めないようにしましょう。

本の紹介167 BQ(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます
__←先日、セノバの中にある「ピッツェリア ドーロ ローマ」に行ってきました

写真は、水牛モッツァレラを使ったマルゲリータです。 水牛モッツァレラ、最高です!

今日は、午前中は、離婚調停が入っています。

午後は、離婚訴訟の証人尋問です。

今日はずっと家裁です。

夜は、裁判の打合せが2件入っています。

今日も一日がんばります!!

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さて、今日は本の紹介です。
BQ〜次代を生き抜く新しい能力〜
BQ〜次代を生き抜く新しい能力〜

クレディセゾンの林野社長の本です。

サイバーエージェントの藤田社長のブログで紹介されていたので早速読んでみました。

帯の「きみがビジネスで勝てないのは、頭がいいからだ」というフレーズは、インパクトがありますね。

以前、「賢者.TV」でも、林野社長の考えを聞いたことがありますが、この本も林野イズムが満載です。

座右の銘は「イノベーション」。

危機感」「競争心」「イノベイティブ」の3つが経営のポリシーだそうです。

また、林野社長は、とても人を惹きつける話し方をされるのがとても印象的です。

この本もおすすめです。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

同じ視察旅行に参加した人は全員、私と同じ風景を目にしていました。ただ、同じものを見ていても、新しいビジネスの息吹を感じ取る人もいれば、何も感じずにスルーしてしまう人がいます。この違いは感性の差、つまりBQの差ということになります。
・・・どこかに遊びに行って『楽しかったね』だけで終わる人は見込みがない。楽しい思い出と一緒に何かしらのビジネスのタネを持ち帰ってくるかどうか。それがBQの高い人とそうでない人の違いです。
」(42頁)

同じ本を読んでも、同じ人から同じ話を聞いても、何かを感じ取って、実行に移す人もいれば、そうしない人もいます。

この差を林野社長は、「感性の差」と言っています。

僕は、「習慣の差」だと思っています。

あらゆることから吸収し、実行することが習慣化されているか否か。

もうそれだけだと思います。

常に新しいことをやっていこうというチャレンジングな精神を持っている人は、自然とこのような習慣ができていますね。

有期労働契約36(名古屋商工会議所事件)

おはようございます。

さて、今日は、中小企業診断士の雇止めに関する裁判例を見てみましょう。

名古屋商工会議所事件
(名古屋地裁平成24年8月21日・労経速2159号27頁)

【事案の概要】

中小企業診断士であるXは、中小企業再生支援業務を行う者として経済産業大臣の認定を受けた機関であるY社と業務委託契約(有効期間平成20年7月1日から平成21年3月31日)を交わして契約をし、以後同一契約での契約更新を経たが、Y社より平成23年3月28日、契約更新をせず同月末をもって本件契約関係が終了するとなる旨を告げられた。

Xは、本件契約は有期労働契約であって、契約の終了は雇止めであり、これを無効と主張し争った。

【裁判所の判断】

請求棄却
→本件契約は労働契約ではなく、業務委託(準委任)契約である。

【判例のポイント】

1 認定支援期間であるY社が国から委託を受けて支援業務部門において実施する窓口相談及び再生計画策定支援の業務は、中小企業の活力の再生を支援するための措置及び事業再生を円滑化するための措置等を講じることで我が国の産業活力の再生を図るとの特別措置法の目的を達成するため、中小企業者及び債権者(金融機関等)のいずれの代理人でもない中立公正な第三者としての立場で、事業再生にかかる中小企業者からの相談に対し、これを拒むことなく幅広く誠実に対応し、窓口相談の段階でも、専門的知見をもって、財務面さらに事業面での調査分析を行った上で、必要があると認める場合には、再生計画策定支援を行うものであるから、本件協議会及び支援業務部門は、中立公正な第三者として独立した立場を維持することが要請され、合わせて、協議会業務を実際に担当する個々の統括責任者及び統括責任者補佐も、中小企業の再生に関する専門家又は専門的知見を有する中小企業の再生に関する専門家又は専門的知見を有する中立公正な第三者として独立した立場で業務を遂行することが要請されるものと認められる。そうすると、支援業務部門の構成員である統括責任者及び統括責任者補佐は、各人が協議会業務として担当する具体的な案件について、Y社からの具体的な指揮命令を受けることなく、自らの専門的知見に基づく裁量的な判断に基づいて業務を遂行することが要請され、現に、Xにおいても、そのように業務を遂行していたものと推認される
したがって、本件契約は、実質においてもその契約形式のとおり、XがY社の労務指揮の下で協議会業務に従事するという労働契約ではなく、自らの専門的知見に基づく裁量的な判断に基づいて、委託された協議会業務を遂行する業務委託(準委任)契約であると解することができる

2 本件契約上、勤務場所の限定、勤務場所の指定が存在し、Xの業務遂行の場所的・時間的拘束があるものの、これは、委託を受けた協議会業務の性質上、窓口相談を受けるべき場所的・時間的制約が生じること、また、担当案件に関する資料の存在と当該企業の経営状況等の秘密保持の必要性から場所的制約が生じることにより要請されるものであって、X・Y社間の使用従属関係を肯定させるものではない。そして、本件契約上、出勤日については、235日以内と定められているのみであるから、具体的な出勤日の決定や当該日における業務遂行の段取りは、担当案件を適正に処理する必要から一定の制約は当然あるものの、統括責任者の承諾や決裁なしにXの裁量で決めることが可能(Xは、協議会業務とは別に、中小企業診断士として自己の業務を行うことが可能な有資格者であり、本件契約において、拘束時間外に協議会業務以外の自己の業務を行うことは何ら制限されておらず、仮に自己の業務等による差し支えがある場合には、協議会業務との日程調整も可能)な体制にあったと推認される

労働契約か業務委託(準委任)契約かが争われた事案です。

原告が中小企業診断士だから労働契約ではない、とまで単純化することはさすがにできませんが、士業ですから、被告との間で、使用従属関係があったかはやはり難しいのではないかというのが率直な感想です。

有期労働契約は、雇止め、期間途中での解雇などで対応を誤ると敗訴リスクが高まります。

事前に顧問弁護士に相談の上、慎重に対応しましょう。