Author Archives: 栗田 勇

本の紹介185 社長は少しバカがいい。(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

さて、今日は本の紹介です。
社長は少しバカがいい。~乱世を生き抜くリーダーの鉄則
社長は少しバカがいい。~乱世を生き抜くリーダーの鉄則 [単行本(ソフトカバー)]

エステー株式会社会長の本です。

男気溢れています。

福島工場閉鎖を断固反対したエピソードは、これぞ経営者の決断です(212頁参照)。

何よりもまず、ワーカー諸君を安心させなければならん。

福島工場は一歩も後退しない。福島の諸君はとりあえず自宅で待機していてくれ。会社命令の自宅待機だから、その間の給料は全額保障する

すばらしいご判断だと思います。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

危機だ、危機だって、もっともらしい理屈を並べて、うるさく言う人がいる。もっと歴史を勉強したほうがいいよ。長い目で見れば、いいときもあれば、悪いときもある。悪いときのほうが多いんだ。それが普通なんだ。だから、いちいち騒ぐなよ。ビクビクしたってしょうがない。大将が元気でニコニコして、平気な顔してたら、たいていはうまくいく。」(2~3頁)

経営者は、このくらいの度量がないといけないのでしょうね。

「長い目で見れば、いいときもあれば、悪いときもある」という前提に立って、悪いときに備える。

この発想は、経営者に限らず、仕事をしているすべての人が持つべきものだと思います。

そもそも「ずっといい状態」なんてことはあり得ません。

長い目で見れば、何らかの理由で悪い状態に陥ってしまうことは何度も経験するでしょう。

そんなときに、すぐに「私はだめだ」「この仕事、向いていない」と思うのではなく、そこから何を学ぶか、という一点に集中することで突破口が見つけられると思います。

失敗の原因を素早く探り、胸に刻み込む。それ以上の反省、落ち込みは時間の無駄です。

仕事も人生もそういうものだと思います。

どれだけ一生懸命にやってもうまくいかないときはあります。

まずは、今までに多くの失敗から学んだことを胸に刻み、目の前の課題に取り組む。

これしかないと思います。

有期労働契約37(本田技研工業事件)

おはようございます。

さて、今日は、不更新条項を有効として雇止めを認めた原判決を相当とした裁判例を見てみましょう。

本田技研工業事件(東京高裁平成24年9月20日・労経速2162号3頁)

【事案の概要】

Y社は、四輪車、二輪車、耕うん機等の製造・販売等を目的とする会社である。

Xは、平成9年12月、期間契約社員としてY社に入社し、パワートレイン加工モジュールに所属して業務に従事した。

Xは、それ以降も、同業務に従事し、Y社との間で有期雇用契約の締結と契約期間満了・退職を繰り返してきたところ、平成20年12月末、1年間の有期雇用契約が満了したとしてY社から雇用契約の更新を拒絶された。

原審は、Y社のXに対する雇止めを有効と判断した。

そのため、Xは、控訴した。

【裁判所の判断】

控訴棄却
→雇止めは有効

【判例のポイント】

1 Xは、平成20年11月28日、勤務シフト別に期間契約社員に対して開催された説明会に出席し、栃木製作所においては、部品減算に対応した経営努力(モジュール間の配置換え等)だけでは余剰労働力を吸収しきれず、そのため、期間契約社員を全員雇止めにせざるを得ないこと等について説明を受けたこと、Xは上記の説明を理解し、もはや期間契約社員の雇止めは回避し難くやむを得ないものとして受け入れたこと、Xは、本件雇用契約書と同じ契約書式にはそれを明確にするための雇止めを予定した不更新条項が盛り込まれており、また、その雇止めが、従前のような契約期間の満了、退職と空白期間経過後の再入社という形が想定される雇止めではなく、そのようなことが想定されず、再入社が期待できない、これまでとは全く趣旨を異にする雇止めであると十分理解して任意に同契約書に署名したが、その時点で印鑑を持参していなかったために拇印を押してY社に提出したこと、以上の各事実が認められることは引用に係る原判決認定事実のとおりであり、Xは、本件雇用契約は、従前と異なって更新されないことを真に理解して契約を締結したことが認められる

2 従前は更新があり得る内容の有期雇用契約を締結していた労働者が、不更新条項が付された有期雇用契約を締結する際には、不更新条項に合意しなければ有期雇用契約が締結できない立場に置かれる一方、契約を締結した場合には、次回以降の更新がされない立場に置かれるという意味で、いわば二者択一の立場に置かれることから、半ば強制的に自由な意思に基づかずに有期雇用契約を締結する場合も考えられ、このような具体的な事情が認められれば、不更新条項の効力が意思表示の瑕疵等により否定されることもあり得る(Xがその主張において引用する裁判例は、このような具体的な事情が認められた事例であるとも考えられる。)。
しかしながら、不更新条項を含む経緯や契約締結後の言動等も併せ考慮して、労働者が次回は更新されないことを真に理解して契約を締結した場合には、雇用継続に対する合理的期待を放棄したものであり、不更新条項の効力を否定すべき理由はないから、解雇に関する法理の類推を否定すべきである

先日の社労士勉強会でも取り上げた裁判例です。

第1審判決についてはこちらをご参照下さい。

労働契約法が改正され、5年ルールが新たに誕生しました。

施行はまだ先ですが、今から取り組むべき内容であることは、労務管理をかじっている人であれば誰でも知っていることです。

今後、この5年ルールとの関係で、雇止めに関する訴訟が相当数提起されることは間違いないことです。

現実には、裁判例の集積を待っている時間はないので、適切だと考える対策を各企業で実施する必要があります。

有期労働契約は、雇止め、期間途中での解雇などで対応を誤ると敗訴リスクが高まります。

事前に顧問弁護士に相談の上、慎重に対応しましょう。

本の紹介184 解決する力(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 

さて、今日は本の紹介です。
解決する力 (PHPビジネス新書)
解決する力 (PHPビジネス新書) [新書]

猪瀬さんの本です。

これで3冊目です。 3冊くらい読むと、著者の考え方がある程度わかります。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

平常時に冷静に事態を切り抜けられる人は、緊急時でも同じ対応ができます。なぜなら、緊急かそうでないかが問題なのではなく、普段から事態を切り抜けようと努力していることが大事だからです。普段から『○○だからできませんでした』と言い訳している人が、緊急時の大一番で力を発揮できるはずがありませんからね。普段からの習慣が緊急時の対応に表れますから、常日頃から困難なことを避けずに、場数を踏んでおくことが大事ですね。」(212頁)

猪瀬さんも「習慣」という言葉を使っています。

緊急時に適切に対応するためには、平常時から、緊急時にも対応できるように「困難から逃げない」という習慣をつくっておくことが大切です。

平常時に冷静に対応できない人が、緊急時に突然、冷静に対応できるはずがありません。

試験を受けるときもそうですよね。

「練習は本番のように。本番は練習のように。」ということです。

日頃の試験勉強時から、本試験を想定した準備をしなければ本番で力を発揮することなどとてもできません。

試験終了後に「緊張して頭が真っ白になってしまった」「もう少し時間があれば解けたのに」などと恥ずかしいことを言わなくていいように準備をすることが大切です。

みんな同じ環境、同じ制限時間の中で受験しているのです。

足りないのは時間ではなく、時間内に解く準備です。

すべては平常時の準備・習慣なんだと思います。

解雇99(学校法人専修大学事件)

おはようございます。

さて、今日は、労災保険給付の受給労働者に打切補償を支払って行った解雇に関する裁判例を見てみましょう。

学校法人専修大学事件(東京地裁平成24年9月28日・労判1062号5頁)

【事案の概要】

本件は、Y大学が、業務上疾病(頸肩腕症候群)により療養のため休業中で労災保険給付(療養補償給付、休業補償給付)を受けているXに対し、その休業期間満了後、Y大学の災害補償規程に基づき、労基法81条所定の打切補償を支払って行った平成23年10月31日付け解雇は解雇権の濫用にも当たらず有効であるとして、同日以降の地位不存在確認を求めて本訴を提起し、これに対し、Xは、同条所定の「労基法75条の規定によって補償を受ける労働者」に該当せず、本件解雇は労基法19条1項本文に違反し無効であるとして、Xが地位確認並びにリハビリ就労拒否、不当解雇等を理由とする損害賠償及びこれに係る遅延損害金の各支払を求めて反訴を提起したものである。

Y大学は、上記本訴を取り下げ、Xはこれに同意したため、本件請求は、上記反訴請求のみとなった。

本件の争点は、労基法19条1項但書前段にいう同法81条の打切補償の対象となる労働者とは、同条の文言どおり同法75条による使用者からの療養補償を受ける労働者に限られるのか(Xの主張)、労災保険法上の保険給付(療養補償給付)を受ける労働者も含まれるか(Y大学の主張)である

【裁判所の判断】

解雇は無効

【判例のポイント】

1 労災保険の給付体系は、労基法の補償体系とは独自に拡充されることによって成立、発展を遂げた制度であって、労基法による災害補償制度から直接には派生したものではなく、両制度は、使用者の補償責任の法理を共通の基盤としつつも、基本的には、並行して機能する独自の制度であると解するのが相当であって、両制度がその基盤とする法律関係原理(補償責任の法理)を一にしており、かつ相互に法的関連性をうかがわせる規定(労災保険法12条の8第2項、労基法84条1項等)が存在するからといって、そのことから直ちに「労災保険給付を受けている労働者」と「労基法上の災害補償を受けている労働者」を軽々に同一視し、その法的取扱いを等しいとする必然性はない

2 労基法81条は、単に労基法19条1項本文の解雇制限を解除するための要件を定めるだけではなく、労基法19条1項本文違反の解雇を行った使用者を処罰するという公法的効力、すなわち処罰の範囲を画するための要件でもあるから、労基法81条にいう「(労基法)第75条の規定(療養補償)によって補償を受ける労働者」の範囲は、原則として文理解釈によって決せられるべきである(罪刑法定主義)。

3 労基法81条の打切補償制度の趣旨は、療養給付を必要とする労災労働者の生活上の需要よりも、補償の長期化によって使用者の負担を軽減することに重点があり、その意味で、使用者の個別補償責任を規定する労基法上の災害補償の限界を示すものと解されるところ、労災保険制度は、使用者の災害補償責任(個別補償責任)を集団的に補填する責任保険的機能を有する制度であるから、使用者は、あくまで保険者たる政府に保険料を納付する義務を負っているだけであり、これを履行すれば足りるのであるから、「労災保険法第13条の規定(療養補償給付)によって療養の給付を受ける労働者」との関係では、当該使用者について補償の長期化による負担の軽減を考慮する必要はなく、労基法81条の規定の「第75条の規定(療養補償)によって補償を受ける労働者」とは、文字通り労基法75条の規定により療養補償を受けている労働者に限るものと解され、明文の規定もないのに、上記「(労基法)第75条の規定(療養補償)によって補償を受ける労働者」の範囲を拡張し、「労災保険法第13条の規定(療養補償給付)によって療養の給付を受ける労働者」と読み替えることは許されない

4 Xは、労基法81条の規定の「第75条の規定(療養補償)によって補償を受ける労働者」には該当せず、本件打切補償金の支払は、労基法19条ただし書前段にいう「使用者が、第81条の規定によって打切補償を支払う場合」に該当しないこととなり、同項本文所定の解雇制限は解除されず、これに対する本件解雇は無効である。

5 本件業務災害・休職の期間満了直前に、XはY大学に対しリハビリ就労させるように求めているが、Y大学がそのような要求に応じるべき法的義務を負っていたものとは解されず、Y大学のリハビリ就労拒否は、不法行為を構成しない。

この争点については、まだ定説というものがありません。

文理解釈からすれば、上記判断になりますが、本件と同様の事案では、打切補償を支払って解雇することは相当難しくなります(事実上、ほとんど不可能なくらい現実的でない)。

控訴審がどのような判断を示すか注目しています。

解雇を選択する前には必ず顧問弁護士に相談の上、慎重かつ適切に対応することが肝心です。決して、素人判断で進めないようにしましょう。

本の紹介183 金のなる木の育て方(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 

さて、今日は本の紹介です。
金のなる木の育て方
金のなる木の育て方 [単行本(ソフトカバー)]

アニキ本、第9弾です。 ちなみに第8弾は「絶対成功する大富豪のオキテ」です。

お金の話とはいえ、いかに儲けるかというような小手先の話は一切ありません。

もっと深い話です。 お金というより人生の話ですね。

題名を「幸せになる木の育て方」にしたほうがいいと思います。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

『天職にめぐり合えないから、がんばれない』という言い訳は、順序が逆だ。めぐり合うために、必死になれ。
本気で天職を見つけたいと思うなら、真剣になれ。本気になれ。・・・『天職探し』を逃げの口実にするな。・・・そもそも『天職』は探すものではない。ひょっとしたら『天職=自分の好きなこと』とは限らない。自分がいちばん求められる仕事、気づいたらずっと続いていた仕事、それを『天職』という。社会での自分の役割は、人に見つけてもらうものだ。
」(108~109頁)

同感です。

天職について、「自分の好きな仕事」ではなく「自分がいちばん求められる仕事」と定義する。

自分本位ではなく、社会や周囲の人からの視点で天職を捉える。

仕事が自分に合うかどうかではなく、自分がその仕事に合わせるのです。

すべては考え方の習慣の問題です。

人間は、もともと人の役に立ちたいという思いを持っています。

人の役に立つことによって喜びを感じることができる動物です。

社会から与えられたポストで、与えられた仕事を精一杯やり抜く。

それこそが天職なんだと思います。

派遣労働12(日本精工(外国人派遣労働者)事件)

おはようございます 

さて、今日は派遣労働者12名による派遣先会社への地位確認等請求に関する裁判例を見てみましょう。

日本精工(外国人派遣労働者)事件(東京地裁平成24年8月31日・労判1059号5頁)

【事案の概要】

本件は、派遣元会社から派遣先会社であるY社に対し、派遣元会社に雇用され、平成18年11月10日以前は業務処理請負の従業員として、翌11日以降は労働者派遣の派遣労働者として、Y社の工場等において就業していたXら12名が、Y社と派遣元会社との間の労働者派遣契約の終了に伴ってY社の工場における就業を拒否されたことについて、主位的に、(1)請負契約当時のXら、派遣先であるY社、派遣元であるA社の三社間の契約関係は、違法な労働者供給であり、XらとY社との間で直接の労働契約関係が成立しており、その後も、当該関係は変化なく維持され、XらとY社との間には直接の労働契約関係が継続していたというべきであること、(2)そうでないとしても、XらとY社との間は、黙示の労働契約が成立していたというべきであること、(3)(1)および(2)の労働契約の成立が否定されるとしても、労働者派遣法40条の4の雇用契約申込義務により、XらとY社との間には労働契約が成立していたと主張して、Y社に対し、労働契約上の権利を有する地位にあることの確認および未払賃金と遅延損害金の支払を求めるとともに、予備的に、(4)Y社が長年にわたりXらの労務提供を受けてきた中で、Xらに対する条理上の信義則違反等の不法行為が成立すると主張して、Y社に対し、それぞれ200万円の慰謝料および遅延損害金の支払いを求めた事案である。

【裁判所の判断】

労働契約の成立は否定

慰謝料として50万~90万円の支払を命じた

【判例のポイント】

1 Xらが念頭に置く、請負人が注文者から業務処理を受託し、自己の雇用する労働者を、注文者の事業場に派遣して就労させているが、当該労働者の就労についての指揮命令を行わず、これを注文者にゆだねているような典型的な偽装請負のケースの場合、請負人と注文者との契約関係が請負契約と評価することができないとしても、注文者と労働者との間で労働契約が締結されていないのであれば、注文者、請負人、労働者の三者間の関係は、派遣法2条1号にいう労働者派遣に該当すると解すべきであり、このような労働者派遣も、それが労働者派遣である以上は、職業安定法4条6号にいう労働者供給に該当する余地はないものというべきである(最高裁平成21年12月18日)。

2 これを本件についてみるに、・・・派遣法に違反したものであったといわざるを得ない。しかしながら、派遣法に違反する労働者派遣が行われた場合においても、派遣法の趣旨及びその取締法規としての性質等に照らせば、特段の事情のない限り、そのことだけによっては派遣労働者と派遣元との間の労働契約が無効になることはないと解すべきであり、本件において、XらとA社との間の労働契約を無効と解すべき特段の事情はうかがわれないから、請負時代においても、両者間の労働契約は有効に存在していたものと解すべきである
したがって、上記三者間の関係は、派遣法2条1号にいう労働者派遣に該当し、職業安定法4条6項にいう労働者供給には該当しないから、労働者供給に該当することを前提とするXらの主張は、前提において失当というべきである。そうすると、XらとY社との間の直接の(明示の)労働契約の成立を認めることはできない。

3 労働者と派遣先会社との間に黙示の「労働契約」(労働契約法6条)が成立するためには、(1)採用時の状況、(2)指揮命令及び労務提供の態様、(3)人事労務管理の態様、(4)対価としての賃金支払の態様等に照らして、両者間に労働契約関係と評価するに足りる実質的な関係が存在し、その実質関係から両者間に客観的に推認される黙示の意思表示の合致があることを必要とすると解するのが相当である
そして、労働者派遣においては、労働者に対する労務の具体的指揮命令は、派遣先会社が行うことが予定されているから、黙示の労働契約が認められるためには、派遣元会社が名目的存在に過ぎず、労働者の労務提供の態様や人事労務管理の態様、賃金額の決定等が派遣先会社によって事実上支配されているような特段の事情が必要というべきである

相変わらずこの分野は勝訴のハードルがとても高いですね。

派遣元会社も派遣先会社も、対応に困った場合には速やかに顧問弁護士に相談することをおすすめします。

本の紹介182 勉強法の王道(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

さて、今日は本の紹介です。
勉強法の王道
勉強法の王道 [単行本(ソフトカバー)]

伊藤塾塾長の伊藤真先生の本です。

司法試験の勉強をやったことのある人で、知らない人はいません。

受験時代には、お世話になりました。

事務所のスタッフの資格試験や検定の勉強のために役に立てばと思い、読んでみました。

王道というだけあって、奇をてらうことは1つも書いてありません。 安定感が違います。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

もっと勉強時間が取れればよいのに、もっとお金に余裕があれば受験指導校の講座を取れるのに、・・・と思う人もいることでしょう。受験勉強に限らず、人は、それぞれの能力や環境、時間、お金といった様々な不満や制約の中で生きています。
・・・こうして考えてみると、スランプもピンチもそうでしたが、それらに至らない様々な小さな制約も、それがあるからこそ、人間は成長できるのではないでしょうか。人間は様々な制約があって、初めて磨かれるし、高められていくのです。・・・時間がないからこそ、時間の価値を知り、最大限に活かすべく様々な技術を用いる。お金に限りがあるからこそ、その価値を知り、有効に活用しようと考えるといった具合に、私たちは、日々、様々な制約の中で、その制約によって成長を続けているのです。
」(162~163頁)

日頃からスタッフに伝えていることですが、制約がなければ人は工夫をしようと思いません。

また、時間がない、お金がないと、「ない」ことばかりに目を向けている限り、結果を出すことは難しくなります。

このような発想から脱却できない人は、たとえどんなに恵まれた状況に置かれたとしても、それでもなお、「ない」ことに目を向けるのです。

そもそも考えられるすべての制約を取り除くことなどできないのですから、与えられた条件の下で、いかに目的を達成するかを考え、精一杯やるだけです。

「制約上等!」くらいの強い気持ちで物事に取り組むくらいがちょうどいいのではないでしょうか。

労働災害58(後藤塗料商会事件)

おはようございます
__←先日、顧問先会社の社長とともに「博」に行きました

突然、毛ガニが出てきました。

言うまでもなく、味は秀逸です! すばらしい!!

今日は、午前中は、弁護士会で法律相談が入っています。

午後は、不動産関係の裁判が1件入っています。

最近、不動産関係の裁判が非常に多いです。

土曜日のセミナーの準備をしないと・・・

今日も一日がんばります!!

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さて、今日は、労災の特別加入者による労災保険不支給処分の取消請求に関する裁判例を見てみましょう。

後藤塗料商会事件(東京地裁平成24年7月20日・労判1058号84頁)

【事案の概要】

本件は、Y社の代表取締役であるXが、就業中に脚立から滑り落ちて左足を負傷し、左リスフラン関節脱臼の傷害を負ったことが、業務遂行中の災害であると主張して、労働者災害補償保険法の特別加入者として、同法に基づく療養補償給付および休業補償給付の支給を請求したところ、品川労基署長が、本件傷害は業務遂行中の災害とは認められないという理由でこれらをいずれも支給しない旨の処分をしたことから、Xが、国に対し、本件各不支給処分の取消しを求めた事案である。

【裁判所の判断】

本件各不支給処分は違法

【判例のポイント】

1 特別加入制度は、労働基準法上の労働者に該当しない者であっても、業務の実情、災害の発生状況等に照らし、実質的に労働基準法の適用労働者に準じて保護するにふさわしい者もいることから、かかる者に対し、保険技術的な観点から可能な範囲において、労災保険を適用しようとする制度であるところ、特別加入者の被った災害が業務災害として保護される場合の業務の範囲をあくまでも労働者の行う業務に準じた業務の範囲としており、特別加入者の行う業務に関するすべての行為に対して労災保険による保護を与える趣旨のものではないと解される。そのため、本件通達は、要件を定めて、これを満たす行為に限り、業務遂行性を認めるとし、その1つとして、要件ロ「労働者の時間外労働または休日労働に応じて就業する場合」が定められている。
かかる趣旨によれば、要件ロの注の「労働者の所定労働時間外における特別加入者の業務行為については、当該事業場の労働者が時間外労働又は休日労働を行っている時間の範囲において業務遂行性を認めるものである。」という定めのうち「特別加入者の業務行為」については、要件イと別異に解する理由はなく、中小事業主の行為が、要件イの「特別加入申請書別紙の業務の内容欄に記載された所定労働時間内において、特別加入の申請に係る事業のためにする行為(当該行為が事業主の立場において行う事業主本来の業務を除く。)及びこれに直接附帯する行為(生理的行為、反射的行為、準備・後始末行為、必要行為、合理的行為及び緊急業務行為をいう。)を行う場合」に当たることを要するものというべきである。

2 なお、要件ロが、要件イのように中小事業主の時間外労働や休日労働に当たる行為という定め方をしなかったのは、中小事業主の場合は、自己の判断で時間外労働に従事することとなり、労働者とみなされる業務を遂行している際に被災したものか、事業主の立場において行った事業主本来の業務中に被災したものか等を判断できない事態が生じうるため、時間外労働や休日労働に従事していた労働者の陳述等によって、中小事業主が時間外労働や休日労働に従事していたことを証明させることとしたものと解される

3 Y社は塗料販売を業とする会社であり、会社の規模は役員2名、従業員3名という極めて小規模な会社であること、Xが本件受傷当時行っていた作業は店舗内の美化のための商品棚や壁の塗装であること、作業の態様も脚立の1.3mの高さの天板に腰掛けて、刷毛でペンキを壁に塗っていたものであることなどに照らせば、本件行為はあくまでも塗料販売を行う本件店舗の美化のために必要な行為であり、Xの特別加入申請にかかる事業である「塗料販売」の必要行為であるというべきであるから、「塗料販売」に直接附帯する行為であると認めることができる
以上によれば、Xは、本件受傷当時、「労働者の時間外労働に応じて就業していた」ものと認めることができるから、前記要件ロに該当し、本件受傷は、労災保険法7条の「業務上の負傷」に該当するというべきである(業務遂行性が認められる以上、本件受傷が業務に起因することは明らかである。)。

労災保険の特別加入に関する裁判例はあまり見かけませんが、いつか取り扱うかもしれません。

日頃から準備をして、いざというときに適切に対応できるようにしなければいけません。

すべては準備が大切ですね。

本の紹介181 決断する力(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

さて、今日は本の紹介です。
決断する力 (PHPビジネス新書)
決断する力 (PHPビジネス新書) [新書]

猪瀬さんの本です。

先日、猪瀬さんの「突破する力」という本を紹介しました。

非常によい本だったので、もう少し猪瀬さんの考えを知りたいと思い、読んでみました。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

仕事ができる、とは、仕事が速い、という意味。決断はスピード、実行もスピード。それが人の信用の基準。わかる人にはわかる合い言葉。いつも心がけていること。」(58頁)

決断が速い人というのは、間違いなく仕事ができる人ですね。

こういう人は、普段から決断が速いのが特徴です。

レストランでメニューを選ぶとき、買い物に行って品物を選ぶとき・・・いかなる場面においても決断は速い。

経営者は、実は、こういうところをよく見ています。

例えば、就職希望者と一緒に食事に行った場合、その人がどのような選択のしかたをするかを見ています。

面接では見えないその人の実際の姿を見たいのです。

数多くのメニューの中から、なかなか選べない人は、仕事においても、大事な場面で適切な選択ができないのではないか、という推測をしてしまうわけです。

仕事上、なかなか決断ができないという方は、日頃から決断のスピードを上げることを意識してはどうでしょうか。

労働災害57(富国生命・いじめ)事件

おはようございます
__←先日、久しぶりに「アンアン」のピザをテイクアウトして、事務所で食べました

さすがに一人で2枚は食べられません。休日出勤をしていたスタッフと一緒に食べました。

具がてんこもりです。 やみつきになりますね。

今日は、午前中は、顧問先会社の打合せが入っています。

お昼は支部総会に参加します。

午後は、建物明渡しの裁判が1件、新規相談が1件、裁判の打合せが2件入っています。

今日も一日がんばります!!

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さて、今日は、いじめ・嫌がらせによるうつ病発症・休業と業務起因性に関する裁判例を見てみましょう。

富国生命・いじめ事件(鳥取地裁平成24年7月6日・労判1058号39頁)

【事案の概要】

本件は、Y社において営業職のマネージャーとして勤務していたXが、Y社鳥取支社長であったA及び鳥取支社米子営所長であったBの、逆恨みによるいじめ、嫌がらせにより、過重な心理的負荷を受け精神疾患(ストレス性うつ病)を発症し、3週間にわたり休業に追い込まれたとして、鳥取労基署長に対して労災保険法による休業補償給付を各休業期間について請求したところ、処分行政庁がそれぞれの期間ともに不支給処分を行ったことから、それぞれ不支給処分には、Xの罹患した精神疾患を業務に起因するものではないと誤って判断した違法があるとして、同処分の取消しを求めた事案である。

【裁判所の判断】

鳥取労基署長による休業補償給付不支給処分は違法である。
→業務起因性肯定

【判例のポイント】

1 相当因果関係の判断基準である、当該業務自体が、社会通念上、当該基礎疾患を発症させる一定以上の危険性の有無については、職場における地位や年齢、経験等が類似する者で、通常の勤務に就くことが期待されている平均的労働者を基準とするのが相当である。
そして、労働者の中には、一定の素因や脆弱性を有しながらも、特段の治療や勤務権限を要せず通常の勤務に就いている者も少なからずおり、これらの者も含めて業務が遂行されている実態に照らすと、上記の「通常の勤務に就くことが期待されている平均的労働者」とは、完全な健常者のみならず、一定の素因や脆弱性を抱えながらも勤務の軽減を要せず通常の勤務に就き得る者を含むと解することが相当である。
そこで、当該業務が精神疾患を発症ないし増悪させる可能性のある危険性ないし負荷を有するかどうかの判断に当たっては、当該労働者の置かれた立場や状況、性格、能力等を十分に考慮する必要があり、このことは業務の危険性についていわゆる平均的労働者基準説を採用することと矛盾するものではない。

2 被告は、精神障害の業務起因性は、判断指針及び認定基準に基づいて行われるべきであると主張する。
しかしながら、判断指針及び認定基準は、各分野の専門家による専門検討会報告書に基づき、医学的知見に沿って作成されたもので、一定の合理性があることは認められるものの、精神障害に関しては、生物学的・生理学的検査等によって安定できるものではなく、診断に当たっては幅のある判断に加えて行うことが必要であり、あたかも四則演算のようなある意味での形式的思考によって、当該労働者が置かれた具体的な立場や状況等を十分斟酌して適正に心理的負荷の強度を評価するに足りるだけの明確な基準となっているとするには、いまだ十分とはいえない
したがって、精神障害の業務起因性を判断するための一つの参考資料にとどまるものというべきである

3 Xは、平成15年2月初旬から本件発症に至る同年7月末の終わりまでの間に、上司とのやり取り、それによって生じた軋轢、感情的対立及び自己を巡る環境の変化から精神的負荷を蓄積させていったことになり、また、この間においてXに蓄積していた精神的負荷は、平均人の立場から見ても非常に強いものだったと解される。そして、Xの症状が、一連の出来事によるXの精神的負荷の蓄積に併せて、前記のとおり悪化し、その強い精神的負荷は、仕事や職場において得てして見られる上司と部下の関わり、人間関係に端を発し、営業成績や職場環境によって醸成されたものであることからすれば、社会通念上、Xの精神的負荷は業務の遂行により発生し、しかも、その発症は発症すべくして発症したものというべきであり、Xの精神的負荷は、客観的にみてストレス性うつ病を発症させる程度に過重であったと認めるのが相当である。
したがって、本件では、社会通念上、Xの業務に内在ないし随伴する危険の現実化として、本件発症に至ったものということができるから、本件発症との間には相当因果関係が存在する。

上記判例のポイント2は、判断それ自体には特に目新しいさはありませんが、言い回しは参考になりますね。