Author Archives: 栗田 勇

継続雇用制度3(FAQその1)

Q1 従業員と会社との間で、賃金と労働時間は合致できず、継続雇用を拒否した場合も違反となりますか?

A 高年齢者雇用安定法違反にはなりません。

法律が要求しているのは、継続雇用制度の導入です。
会社に、定年退職者の希望に合致した労働条件での雇用を義務付けるものではありません。

高年齢者雇用安定法の趣旨は、高年齢者の安定した雇用の確保です。
従前の雇用条件をそのまま維持しなければならないということではありません。
つまり、会社としては、合理的な雇用条件を提示して継続雇用の機会を与えれば足ります。

なお、平成25年3月31日までは、会社が雇用する高年齢者等が、定年、継続雇用制度終了による退職等により離職する場合で、当該高年齢者等が再就職を希望するときは、会社は、再就職援助の措置を講ずるよう努めることとなっています。

実際の対応は、顧問弁護士に相談をしながら慎重に進めましょう。

継続雇用制度2(継続雇用者の選定基準)

会社は、過半数労働組合または労働者の過半数代表者と、労使協定を書面で交わすことにより、継続雇用制度の対象となる高年齢者の基準を定めることができます。

つまり、会社は、労使協定を結ぶことによって、定年となる従業員全員を継続雇用の対象としなくてもよくなります。
(なお、この労使協定は、労基署への届け出は必要ありません。)

ここまでは、よいのです。

問題は、継続雇用をする従業員の選定基準です。
厚労省が発行する「継続雇用制度の対象者に係る基準事例集」によれば、基準には、「具体性」と「客観性」が必要となります。

つまり、「会社が必要と認めた者」とか「上司の推薦がある者」ではダメです。
これでは、基準の役割を果たしていないからです。

基準が適切でない場合、ハローワークにおいて、必要な報告徴収が行われるとともに、助言・指導、勧告の対象となります。

就業規則等にどのような基準を設けるかについては、工夫が必要です。
本屋さんで売っている「就業規則作成マニュアル」系の本に書かれている選定基準では、ほとんどの会社の実態に合っておらず、使いにくいと思います。

現在、ある会社の就業規則を作成中(正確には内容の大幅変更中)のため、いろいろ考えているところです。

実際の対応は、顧問弁護士に相談しながら進めて行きましょう。

継続雇用制度1(3つの選択肢)

高年齢者雇用安定法により、平成18年3月31日までに定年(65歳未満のものに限る。)の定めをしている会社は、次の3つの「高齢者雇用確保措置」のうちいずれかを実施しなければならないことになっています。

みなさんの会社の就業規則は変更されていますか?

①定年年齢の引き上げ

②継続雇用制度の導入

③定年制廃止

ちなみに、①についてですが、設定できる定年年齢は、以下のとおり、平成25年4月までに段階的に引き上げられることになっています。

平成18年4月1日~平成19年3月31日・・・62歳
平成19年4月1日~平成22年3月31日・・・63歳
平成22年4月1日~平成25年3月31日・・・64歳
平成25年4月1日~            ・・・65歳
つまり、現在のところ、定年を64歳以上にしておけば問題ないわけです。

なお、②の継続雇用制度を導入する場合も、継続雇用すべき年齢は①と同じです。

この①~③のうち、多くの会社が選択しているのは、②です。
①は、65歳まで正社員として雇用することになるので、会社の負担が大きいわけです。
③は、従業員が自主的に退職するか解雇されない限り、100歳でも働くことができます。これまた会社の負担が大きいです。
正社員として雇用した従業員を途中でパートタイム従業員や嘱託社員に変更することは難しいため、残った②を選択することになるわけです。

実際の対応は顧問弁護士に相談をしながらすすめてください。

賃金1(遅刻者が残業したら・・・)

遅刻した従業員が、その日、残業した場合に、残業時間に対する割増賃金を支払う必要があるか?

例えば、午前8時~午後5時(途中1時間休憩)の勤務で、従業員が午前9時に出勤し、午後6時まで勤務した場合、午後5時から6時までの勤務は、割増賃金の対象となるでしょうか?

割増賃金は支払う必要がありません。

割増賃金を支払うのは、法定労働時間(8時間)を超える労働をした場合です。
午前9時から午後6時までの勤務(途中1時間休憩あり)では、法定労働時間の8時間を超えていません。
よって、割増賃金は支払う必要はないわけです。