Category Archives: 不当労働行為

不当労働行為292 合意成立の見込みのない誠実交渉命令が労働委員会による裁量権の範囲を逸脱しないとされた事案(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、合意成立の見込みのない誠実交渉命令が労働委員会による裁量権の範囲を逸脱しないとされた事案を見ていきましょう。

山形大学事件(最高裁令和4年3月18日・労経速2479号3頁)

【事案の概要】

本件は、労働組合Xから、使用者であるY社の団体交渉における対応が労働組合法7条2号の不当労働行為に該当する旨の申立てを受けた処分行政庁が、労働組合Xの請求に係る救済の一部を認容し、その余の申立てを棄却する旨の命令を発したところ、処分行政庁が、Y社を相手に、本件命令のうち上記の認容部分の取消しを求める事案である。

原審は、要旨次のとおり判断し、本件認容部分は違法であるとして、その取消しを求めるY社の請求を認容すべきものとした。
本件命令が発せられた当時、昇給の抑制や賃金の引下げの実施から4年前後経過し、関係職員全員についてこれらを踏まえた法律関係が積み重ねられていたこと等からすると、その時点において、本件各交渉事項につきY社と労働組合Xとが改めて団体交渉をしても、労働組合Xにとって有意な合意を成立させることは事実上不可能であったと認められるから、仮にY社に本件命令が指摘するような不当労働行為があったとしても、処分行政庁が本件各交渉事項についての更なる団体交渉をすることを命じたことは、その裁量権の範囲を逸脱したものといわざるを得ない。

【裁判所の判断】

破棄差戻し

【判例のポイント】

1 労働委員会は、救済命令を発するに当たり、不当労働行為によって発生した侵害状態を除去、是正し、正常な集団的労使関係秩序の迅速な回復、確保を図るという救済命令制度の本来の趣旨、目的に由来する限界を逸脱することは許されないが、その内容の決定について広い裁量権を有するのであり、救済命令の内容の適法性が争われる場合、裁判所は、労働委員会の上記裁量権を尊重し、その行使が上記の趣旨、目的に照らして是認される範囲を超え、又は著しく不合理であって濫用にわたると認められるものでない限り、当該命令を違法とすべきではない(最高裁昭和52年2月23日大法廷判決参照)。

2 労働組合法7条2号は、使用者がその雇用する労働者の代表者と団体交渉をすることを正当な理由なく拒むことを不当労働行為として禁止するところ、使用者は、必要に応じてその主張の論拠を説明し、その裏付けとなる資料を提示するなどして、誠実に団体交渉に応ずべき義務を負い、この義務に違反することは、同号の不当労働行為に該当するものと解される。
そして、使用者が誠実交渉義務に違反した場合、労働者は、当該団体交渉に関し、使用者から十分な説明や資料の提示を受けることができず、誠実な交渉を通じた労働条件等の獲得の機会を失い、正常な集団的労使関係秩序が害されることとなるが、その後使用者が誠実に団体交渉に応ずるに至れば、このような侵害状態が除去、是正され得るものといえる。
そうすると、使用者が誠実交渉義務に違反している場合に、これに対して誠実に団体交渉に応ずべき旨を命ずることを内容とする救済命令を発することは、一般に、労働委員会の裁量権の行使として、救済命令制度の趣旨、目的に照らして是認される範囲を超え、又は著しく不合理であって濫用にわたるものではないというべきである。

3 ところで、団体交渉に係る事項に関して合意の成立する見込みがないと認められる場合には、誠実交渉命令を発しても、労働組合が労働条件等の獲得の機会を現実に回復することは期待できないものともいえる。
しかしながら、このような場合であっても、使用者が労働組合に対する誠実交渉義務を尽くしていないときは、その後誠実に団体交渉に応ずるに至れば、労働組合は当該団体交渉に関して使用者から十分な説明や資料の提示を受けることができるようになるとともに、組合活動一般についても労働組合の交渉力の回復や労使間のコミュニケーションの正常化が図られるから、誠実交渉命令を発することは、不当労働行為によって発生した侵害状態を除去、是正し、正常な集団的労使関係秩序の迅速な回復、確保を図ることに資するものというべきである
そうすると、合意の成立する見込みがないことをもって、誠実交渉命令を発することが直ちに救済命令制度の本来の趣旨、目的に由来する限界を逸脱するということはできない
また、上記のような場合であっても、使用者が誠実に団体交渉に応ずること自体は可能であることが明らかであるから、誠実交渉命令が事実上又は法律上実現可能性のない事項を命ずるものであるとはいえないし、上記のような侵害状態がある以上、救済の必要性がないということもできない。
以上によれば、使用者が誠実交渉義務に違反する不当労働行為をした場合には、当該団体交渉に係る事項に関して合意の成立する見込みがないときであっても、労働委員会は、誠実交渉命令を発することができると解するのが相当である。

有名な最高裁判決ですので押さえておきましょう。

労働委員会には広範な裁量が認められていることの帰結です。

労働組合との対応については、日頃から顧問弁護士に相談しながら進めることが肝要です。

不当労働行為291 組合が労組法の規定に適合せず、労組法上の救済を受ける資格を有しないとされた事案(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間お疲れさまでした。

今日は、組合が労組法の規定に適合せず、労組法上の救済を受ける資格を有しないとされた事案を見ていきましょう。

グランティア事件(東京都労委令和2年6月16日・労判1262号97頁)

【事案の概要】

本件は、組合が労組法の規定に適合するかが争われた事案である。

【労働委員会の判断】

労組法の規定に適合しない。
→申立て却下

【命令のポイント】

1 組合においては、役員以外の一般の組合員に組合の「すべての問題に参与する権利」があるとはいえず、役員は「組合員の直接無記名投票により選挙」されておらず会計報告は「組合員に公表」されていないから、労働組合法5条2項の要件を欠いている

2 加えて、組合の実態としても一般の個々の組合員が、組合を自主的に組織する主体であるということは困難であり、組合は、「労働者が主体となって自主的に・・・組織する」という労働組合法第2条の要件を欠いているといわざるを得ない。

3 したがって、組合が、労働組合法に規定する手続きに参与し、同法による救済を受ける資格を有するものであると認めることはできない

法適合組合とは認められないと判断された事案です。

労働組合との対応については、日頃から顧問弁護士に相談しながら進めることが肝要です。

不当労働行為290 派遣元会社が、解雇の撤回等を議題とする団交申入れに応じなかったことが不当労働行為とされた事案(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、派遣元会社が、解雇の撤回等を議題とする団交申入れに応じなかったことが不当労働行為とされた事案を見ていきましょう。

アウトソーシング事件(中労委令和3年9月15日・労判1262号95頁)

【事案の概要】

本件は、派遣元会社が、解雇の撤回等を議題とする団交申入れに応じなかったことが不当労働行為にあたるかが争われた事案である。

【労働委員会の判断】

不当労働行為にあたる

【命令のポイント】

1 本件団体交渉申入れの交渉事項は、Aが会社に解雇されたものと理解した上で、①会社に対し解雇の撤回を求め、併せてこれに関する会社の見解の説明を求めるものとし、②会社に対し、Z社に働きかけてAの職場復帰を早期に実現させるように努めることを求め、併せてこれに関する会社の見解の説明を求めるものと解される。これらの交渉事項は、Aの待遇に関する事項で、かつ、会社が実行したり説明したりすることが可能なものであるから、義務的団交事項に当たる。
したがって、Aの雇用主である会社は、本件団体交渉申入れに対し、原則として速やかに団体交渉に応じて、労使双方が同席する場で、交渉事項に関する会社の立場ないし見解を組合に直接伝達して協議及び交渉を行う義務を負うものと解される。

2 会社は、Aを解雇しておらず、雇用契約が継続しているから、解雇の撤回という交渉事項は、会社が処分可能なものではなく、義務的団交事項に当たらないから、本件団体交渉申入れに応じなかったとしても、不当労働行為に当たらないと主張する。
しかし、解雇の撤回を求めるとの交渉事項は、義務的団交事項に当たる。しかるところ、会社は、Aとの雇用契約の途中解除に関する組合の認識が誤りであるというのであるから、本件団体交渉申入れに応じて、団体交渉の場で、組合に対し会社の見解を示して説明すべきであった。したがって、会社の上記主張は採用することができない。

解雇の撤回を求めるとの交渉事項が義務的団交事項に当たることは明らかです。

労働組合との対応については、日頃から顧問弁護士に相談しながら進めることが肝要です。

不当労働行為289 団交拒否にかかる審査申立てと「一連の継続する行為」の意義(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、団交拒否にかかる審査申立てと「一連の継続する行為」の意義に関する事案を見ていきましょう。

一般社団法人日本港運協会事件(東京都労委令和3年7月20日・労判1260号93頁)

【事案の概要】

本件は、団交拒否にかかる審査申立てに関連して「一連の継続する行為」の意義が争点となった事案を見ていきましょう。

【労働委員会の判断】

本件申立ての1年以上前の団交にかかる申立ては却下

【命令のポイント】

1 組合は、平成30年2月7日付団体交渉申入れに対し、法人が同月19日に会員に文書を交付したことは本件申立てよりも1年以上前であるが、申立て前1年以内の団体交渉と一連の継続する行為に当たることから、本件審査の対象となると主張する。
しかし、団体交渉の申入れや団体交渉は、その都度別個の行為であり、同様の行為が続いているからといって、全体を1つの継続する行為とみることはできない
したがって、組合の主張は採用することができず、本件申立てより1年以降前の平成31年2月9日以前の団体交渉に係る申立ては、却下せざるを得ない。

不当労働行為の救済申立ては、不当労働行為と思われる行為がなされてから1年以内に行う必要があります。

同様の行為が繰り返し行われている場合は、「一連の行為」が最後に行われた時点を基準にして、1年以内かどうかを判断します。

「一連の行為」の判断は、解釈に委ねられますので、予測可能性が高くありませんので注意が必要です。

労働組合との対応については、日頃から顧問弁護士に相談しながら進めることが肝要です。

不当労働行為288 仮処分命令後に横断幕等を撤去したため、被保全権利がすでに存在しないとされた事案(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、仮処分命令後に横断幕等を撤去したため、被保全権利がすでに存在しないとされた事案を見ていきましょう。

オハラ樹脂工業事件(名古屋地裁令和3年11月25日・労経速2473号29頁)

【事案の概要】

本件は、Y社が、Y社の従業員らが加入する労働組合及びその上部団体であるXらに対し、所有権、施設管理権等を被保全権利として、XらがY社本社の敷地内に設置した横断幕及びのぼり旗の撤去を求める仮処分命令の申立てをしたところ、当裁判所が、上記各物件の撤去を命じる仮処分命令をしたため、Xらが保全異議を申し立てた事案である。

【裁判所の判断】

仮処分決定を取り消す。

【判例のポイント】

1 Xらは、原決定後に本件のぼり旗等を撤去したことから、審理終結時において、本件のぼり旗等の設置により、Y社が被保全権利として主張する所有権、施設管理権が侵害され、債権者の名誉、信用が毀損されているとは認められない。
したがって、審理終結時において、Y社の所有権又は施設管理権に基づく本件のぼり旗等の撤去請求権の存在は認められない。

2 これに対し、Y社は、Xらによる撤去が仮装であり、Xらは原決定取消後、再度のぼり旗等を設置する蓋然性が高く、被保全権利はなお存在すると主張する。
しかし、Xらが撤去後にも本件のぼり旗等の設置の正当性を主張して争っていること、Xらが本件申立て以前にも、のぼり旗を設置し、Y社がのぼり旗の撤去を求める仮処分の申立てをした後に撤去したとの経緯があったとしても、本件申立ては、所有権又は施設管理権に基づく妨害物排除請求であることからすれば、現に所有権又は施設管理権が侵害されていない以上、Y社の仮処分申立てを認めることはできない

上記判例のポイント2に記載されているY社の懸念は理解できるところですが、要件事実的には上記結論になります。

労働組合との対応については、日頃から顧問弁護士に相談しながら進めることが肝要です。

不当労働行為287 会社とアドバイザリー業務契約を締結した社労士及び共済組合の行為が不当労働行為とされた事案(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、会社とアドバイザリー業務契約を締結した社労士及び共済組合の行為が不当労働行為とされた事案を見ていきましょう。

オーダースーツSADAほか1社事件(宮城県労委令和2年9月26日・労判1258号88頁)

【事案の概要】

本件は、会社とアドバイザリー業務契約を締結した社労士及び共済組合の行為等が不当労働行為にあたるかが争点となった事案である。

【労働委員会の判断】

不当労働行為にあたる

【命令のポイント】

1 B氏による脱退届用紙の配布は、Y社の指揮命令権の及ぶ昼礼の機会に、Y社がB氏と一体となって行っているものと評価でき、「使用者」による行為であると言わざるを得ない。
「使用者」が労働組合の脱退届用紙を配付して脱退を勧奨する行為は、脱退という組合員が自主的に判断して行動すべき事項(内部運営事項)に介入するものであり、X組合の団結力・組織力を損ねるおそれのある行為であるから、支配介入に該当する。

2 Y社がチェック・オフ停止の根拠としている脱退届は、Y社とB氏が一体となって脱退届用紙を配付して脱退を勧奨するという支配介入行為によって、A執行委員長を除く全組合員が署名したものである。この不当な支配介入行為によって署名された脱退届においては、組合員は自らの自由な意思でX組合を脱退したのか疑わしい状況であったことが認められる。
本件においては、Y社の不当な支配介入行為によって脱退届が提出されていたという特殊な状況であったことを踏まえると、Y社がチェック・オフの停止を行ったことは、X組合の弱体化を意図した一連の行為の一部であると評価でき、X組合の組織運営に支配介入しようとしたものと言わざるを得ない。

会社とアドバイザリー業務契約を締結した社労士の行為であったとしても、「使用者」による行為と評価されてしまうので注意しましょう。

労働組合との対応については、日頃から顧問弁護士に相談しながら進めることが肝要です。

不当労働行為286 組合執行委員長を懲戒解雇したことが不当労働行為とした初審命令が取り消された事案(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、組合執行委員長を懲戒解雇したことが不当労働行為とした初審命令が取り消された事案を見ていきましょう。

公益社団法人日本空手協会事件(中労委令和2年11月4日・労判1256号95頁)

【事案の概要】

本件は、組合執行委員長を懲戒解雇したことが不当労働行為に該当するかが争われた事案である。

なお、初審(東京都労委平成30年10月2日)は、不当労働行為に該当すると判断した。

【労働委員会の判断】

不当労働行為にあたらない

【命令のポイント】

1 本件懲戒解雇に先立ち、事情聴取をしているが、聴取事項は、いずれも、当時の経営陣批判に関連する行為又はA個人の行為を問題とするものであって、組合の労働組合としての活動そのものを問題視していた様子もうかがわれない。
上記のような組合の活動の内容や協会内容の対立構造の顕在化という状況、協会のAに対する事情聴取の内容からすると、本件懲戒解雇は、Aが反経営陣活動をしたことを理由としてされたものであると考えられる
以上のとおり、本件懲戒解雇は、Aが労働組合の組合員であること又は労働組合としての活動をしたことを理由としてされたものとまでは認められない
したがって、本件懲戒解雇は、労組法7条1号の不当労働行為に該当しない。

懲戒解雇の有効性は別として、Aが組合員であること又は労働組合としての活動をしたことを理由とするものではないため、不当労働行為にはあたらないとされました。

労働組合との対応については、日頃から顧問弁護士に相談しながら進めることが肝要です。

不当労働行為285 会社の支店長がバス運転手である組合員に対し組合脱退勧奨を行ったことが不当労働行為とされた事案(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、会社の支店長がバス運転手である組合員に対し組合脱退勧奨を行ったことが不当労働行為とされた事案を見ていきましょう。

ジェイアールバス関東事件(東京都労委令和3年8月17日・労判1254号95頁)

【事案の概要】

本件は、会社の支店長がバス運転手である組合員に対し組合脱退勧奨を行ったことが不当労働行為にあたるかが争われた事案である。

【労働委員会の判断】

不当労働行為にあたる

【命令のポイント】

1 X支店長は、Aの行為を会社に報告しないことと引き換えにJR東労組の脱退届を出すようにAに求め、同人がこれを拒否すると、同人が転勤になる可能性やJR東労組が将来なくなる可能性を示唆するなどして同組合から脱退するよう働き掛けているのであるから、本件行為は、組合の運営に干渉し組合を弱体化させる行為であるといえる。

2 会社の対応やJR東労組の中央執行委員会の見解を考慮しても、本件行為について既に解決済みであり、集団的労使関係秩序が正常に回復されたとまで断ずることはできず、そうすると、類似の行為が繰り返される恐れがなくなったともいえない。したがって、本件申立てに救済の利益ないし必要がないとする会社の主張は採用することができない。

組合脱退勧奨が不当労働行為にあたることは争いのないところです。

労働組合との対応については、日頃から顧問弁護士に相談しながら進めることが肝要です。

不当労働行為284 組合員の解雇撤回等を議題とする団交申入れに対する会社の対応が不当労働行為にあたるとされた事案(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間がんばりましょう。

今日は、組合員の解雇撤回等を議題とする団交申入れに対する会社の対応が不当労働行為にあたるとされた事案を見ていきましょう。

粟野興産事件(東京都労委令和3年1月19日・労判ジャーナル1254号96頁)

【事案の概要】

本件は、組合員の解雇撤回等を議題とする団交申入れに対する会社の対応が不当労働行為にあたるかが争われた事案である。

【労働委員会の判断】

不当労働行為にあたる

【命令のポイント】

1 会社は、組合の全ての質問や要求は既に第1回団体交渉や係属中の訴訟等において回答済みであり、また、長期間、数々の訴訟と労働委員会の手続等で争われており、いずれかの譲歩により交渉が進展する見込みはなく、団体交渉を継続する余地はなくなっていた以上、団体交渉拒否の正当理由があると主張する。
しかしながら、訴訟と不当労働行為審査手続と団体交渉とは、各々その目的や機能を異にするものであり、訴訟や労働委員会の手続の中で説明資料等が提出されたからといって、団体交渉において誠実に説明する労働組合法上の義務が消滅するわけではない
また、訴訟等が係属していたとしても、別途、団体交渉において紛争を解決する余地がないとはいえず、団体交渉において双方が説明や主張を尽くした上で交渉が行き詰まりに達したといった事情がない限り、訴訟等における状況のみから、団体交渉を継続する余地がなくなったということはできない

これは、団体交渉の基本中の基本ですので、しっかり押さえておきましょう。

労働組合との対応については、日頃から顧問弁護士に相談しながら進めることが肝要です。

不当労働行為283 組合の内部運営を理由とした団交拒否が不当労働行為にあたるとされた事案(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、組合が大会を適法に行っていないなど組合の適法性に疑問があること等を理由に、会社が団交に応じないことが不当労働行為にあたるとされた事案を見ていきましょう。

クローバー事件(東京都労委令和3年1月19日・労判1254号96頁)

【事案の概要】

本件は、組合が大会を適法に行っていないなど組合の適法性に疑問があること等を理由に、会社が団交に応じないことが不当労働行為にあたるかが争われた事案である。

【労働委員会の判断】

不当労働行為にあたる

【命令のポイント】

1 会社は、組合の団体交渉の申入れに対し、労組法第2条の自主性及び同法第5条第2項第5号の民主性の点で組合の法適合性並びにA委員長の代表者としての資格に疑義を示して代議員の選出手続などについて具体的な説明を求め、説明がなかったことを理由として団体交渉に応じなかった。
しかし、会社が疑問視する組合の自主性や民主性に関する事項は、組合の内部運営に係る事柄であるから、団体交渉を拒否する理由にならない

2 組合が内部規約に違反して代議員を選出したとしても、それは単に内部規約違反にとどまり、その解決は組合の自主性に委ねられるべきものであるから、それが直ちにA委員長の代表者資格や組合の法適合性に影響を与えるものとはいえない

このような理由で団交拒否が正当化されることはありません。

労働組合との対応については、日頃から顧問弁護士に相談しながら進めることが肝要です。