Category Archives: 不当労働行為

不当労働行為266(日本コンセントリクスほか1社事件)

おはようございます。

今日は、限定正社員登用試験を受験しなかった有期雇用の組合執行委員長を雇止めとしたことが不当労働行為に当たらないとされた事案を見てみましょう。

日本コンセントリクスほか1社事件(沖縄県労委令和2年7月9日・労判1236号102頁)

【事案の概要】

本件は、限定正社員登用試験を受験しなかった有期雇用の組合執行委員長を雇止めとしたことが不当労働行為に当たるかが争われた事案である。

【労働委員会の判断】

不当労働行為にあたらない

【命令のポイント】

1 労働契約法18条は、使用者がいかなる正社員登用制度をとるかについて規制するものではなく、Y1社が上記限定正社員制度を導入したことをもって、労働契約法18条に違反するとか、同条を潜脱する意図によるものであるとはいえない

2 Xは、Y1社による限定正社員登用試験の実施を確知しながら同試験を受けることなく、さらに、Y1社から再試験を希望するか尋ねられた際にも、その希望を示さなかったというのである。
そうだとすると、Y1社が、自らの意思で受験しなかったといえるXについては、合格の判定がされた事実が存在しない以上、同試験に合格したときと規定する本件労働契約の更新事由を充足しないと判断したことには、何ら不当・不合理という余地はない

上記判例のポイント1は非常に重要です。

もっとも、運用を恣意的に行うと不当労働行為となり得ますのでご注意ください。

日頃から顧問弁護士に相談の上、労務管理を行うことが大切です。

不当労働行為265(日本郵便(人事異動)事件)

おはようございます。 今週も一週間がんばりましょう。

今日は、組合員をA郵便局第二集配営業部からB郵便局に人事異動したことが不当労働行為に当たらないとした初審命令が維持された事案を見ていきましょう。

日本郵便(人事異動)事件(中労委令和2年1月22日・労判1234号105頁)

【事案の概要】

本件は、組合員をA郵便局第二集配営業部からB郵便局に人事異動したことが不当労働行為に当たるかが争われた事案である。

【労働委員会の判断】

不当労働行為にあたらない

【命令のポイント】

1 Xは勤続年数からみて、28年度の人事異動の対象となる候補者であった。また、B9支社管内における27年度及び28年度の人事異動に関しては、例年とほぼ同じ規模のもので、それぞれ30名又は40名以上の組合役員が異動になっており、そのうち執行委員は各年度20名以上、さらに支部外へ異動になった執行委員は10名以上であった。
このように、定期人事異動の際にX以外の組合の執行委員も多数異動になっていることからみて、会社が、定期人事異動を行うに当たり、対象者が組合の執行委員であることを考慮していることはうかがわれず、Xについてもこれと異なる事情は見いだし難い。
上記によれば、本件人事異動は、業務上の必要性がある上、その人選も不合理なものであったとはいえない。

組合員と非組合員に対する対応を区別していないことが立証できれば、不当労働行為には該当しません。

組合員に対する人事異動については、事前に顧問弁護士に相談の上、慎重に対応しましょう。

不当労働行為264(木村建設事件)

おはようございます。

今日は、組合員3名を、無許可ビデオ撮影等を理由に解雇したことを不当労働行為とした初審命令が維持された事案を見てみましょう。

木村建設事件(中労委令和2年7月1日・労判1234号102頁)

【事案の概要】

本件は、組合員3名を、無許可ビデオ撮影等を理由に解雇したことを不当労働行為にあたるかが争われた事案である。

【労働委員会の判断】

不当労働行為にあたる

【命令のポイント】

1 組合は、基本的に、団体交渉を申し入れる際は、動画を撮影する方針で臨んでおり、これは言った言わないという争いになる事態を避けるとともに、組合員の行動に規制をかけるために組合の内部資料として撮影しているとされるものである。この方針の目的に一定の合理性がないとまではいえない

2 7月30日付け申入れ後、会社による不当労働行為が度重なっており、組合員らは、更なる不当労働行為が更なる不当労働行為が行われる可能性のある状況において、これを警戒し、不当労働行為が行われた際の記録を残して自らの身を守ろうと考えて会話の秘密録音を行ったものであり、緊急避難的な対応としてやむを得ないものであったといえる。秘密録音は、会社の業務上の秘密を漏えいさせることを目的としたものではなく、実際に漏えいの事実はなく、そのおそれがあったともいえない。

ここまでこじれてしまうと日常業務もままならない状況ではないでしょうか。

動画撮影や秘密録音の問題に対する対処法は、個々の事案によって異なりますので、顧問弁護士に相談をしながら対応しましょう。

不当労働行為263(グローバル事件)

おはようございます。 今週も一週間がんばりましょう。

今日は、組合掲示板の貸与及び休憩室の就業時間外の利用を認めない会社の対応が不当労働行為に当たらないとされた事案を見てみましょう。

グローバル事件(東京都労委令和元年9月17日・労判1232号104頁)

【事案の概要】

組合掲示板の貸与及び休憩室の就業時間外の利用を認めない会社の対応が不当労働行為にあたるかが争われた事案である。

【労働委員会の判断】

不当労働行為にあたらない

【命令のポイント】

1 掲示板の貸与や休憩室の利用等の便宜供与は、労使合意に基づいて行われるものであり、使用者に便宜供与を行う義務があるわけではない
本件では、28年10月28日の団体交渉で、便宜供与に関する具体的な条件を会社が提出すると述べてはいたものの、その後の団体交渉も含め、便宜供与をするという合意には至っていない

2 Y社が、組合掲示板貸与及び休憩室の就業時間外の利用という便宜供与を実施することについて組合との合意に至らず、便宜供与を認めていないことが、便宜供与は労使合意に基づいて行われるものであることを踏まえた相当な対応といえる範囲を逸脱して組合を弱体化させる行為に当たるとまでいうことはできない

一度便宜供与を行うと、その後は、合理的理由なくそれをなくすことは不当労働行為に該当しますので注意は必要です。

だからこそ最初が肝心です。組合との協議、交渉の際は必ず顧問弁護士に相談することが大切です。

不当労働行為262(上田清掃事件)

おはようございます。

今日は、組合員を廃棄物の収集運搬をするコースドライバーから廃棄物の仕分業務に人事異動したことが不当労働行為とされた事案を見てみましょう。

上田清掃事件(京都府労委令和元年9月18日・労判1232号102頁)

【事案の概要】

組合員を廃棄物の収集運搬をするコースドライバーから廃棄物の仕分業務に人事異動したことが不当労働行為にあたるかが争われた事案である。

【労働委員会の判断】

不当労働行為にあたる

【命令のポイント】

1 A組合員は平成5年の入社以来コースドライバー業務に従事してきたことが認められ、このように長年同一の業務に従事してきた労働者を、それとは異質の業務に異動することは、それ自体不利益性を有すると認められるところ、本件人事異動後のA組合員の業務にはドライバー業務も含まれているが、これは、仕分後の資源物を近隣の回収業者に搬入するだけの業務であって、また、主たる業務は、コースドライバー業務とは異質なことが明らかな仕分作業であったと認められる。よって、本件人事異動には、不利益性が認められる。

2 本件人事異動は、Y社の中核的事業所における中核的業務から本社から離れたほとんど他に従業員がいない現場作業所での単純作業への異動であって、当該職場における従業員の一般的認識に照らして通常不利益なものと受け止められ、それによって当該職場における従業員の労働組合活動への意欲が委縮し、組合活動一般に対して制約効果が及ぶようなものであったと認めるのが相当である。

仮に業務内容が異なる場合でも、当該配置転換に合理的理由が存在すれば不当労働行為とは認定されません。

もっとも、一般論としては、業務内容が大きく異なる場合には、それ相応の理由を準備する必要があります。

理由の合理性の有無については判断が難しいので、顧問弁護士に相談しましょう。

不当労働行為261(NPO法人せたがや白梅事件)

おはようございます。

今日は、分会書記長に対し役職手当を不支給としたことが不当労働行為とされた事案を見てみましょう。

NPO法人せたがや白梅事件(東京都労委令和元年11月5日・労判1231号172頁)

【事案の概要】

本件は、分会書記長に対し役職手当を不支給としたことが不当労働行為にあたるかが争われた事案である。

【労働委員会の判断】

不当労働行為にあたる

【命令のポイント】

1 25年9月1日、B4主任は出向先から法人に戻ったが、同年12月にA3が病気休職から復職したときに従来どおり役職手当が支給され、29年3月まで3年4か月間にわたり、支給され続けてきた。
そうすると、既に主任の基本給等級である3級に昇格し、B4主任が出向先から戻った後も長期間にわたり役職手当が支給されてきたA3書記長に対し、法人が、突然、主任代行は不要だとして役職手当を不支給としたのは不自然であり、なぜこの時期にそのような判断がされたのか疑問である。

2 以上のとおり、法人の挙げる降職の理由は、いずれも不自然であり、A3書記長への事前の説明がないなど、手続の面でも不自然な対応がみられるのであって、役職手当の不支給が降職を理由とするものであるか否か自体が疑問であるといわざるを得ない。
・・・これらに加え、当時、緊迫した労使関係が継続していたことや、A3書記長が紛争の中心人物の一人であった等の事情も総合考慮すると、役職手当の不支給は、分会書記長である同人が、労働条件の改善や法人の経営努力が必要であるなどと組合の立場からの要求を掲げてお願いの書面への署名捺印を拒否したことを法人が嫌悪してなされたものといわざるを得ない
したがって、法人が、A3書記長に対し、役職手当を不支給としたことは、同人が組合員であることを理由とした不利益取扱いに当たる。

つまるところ、各処分や行為について合理的理由が説明できるかに尽きます。

事前に顧問弁護士に相談し、冷静に対応することが求められます。

不当労働行為260(デリカフーズ事件)

おはようございます。 今週も一週間お疲れさまでした。

今日は、団交申入れに対して、会社の質問に事前に回復しないこと、および組合員名簿を事前に提出しないことを理由に、会社が団交に応じなかったことが不当労働行為とされた事案を見てみましょう。

デリカフーズ事件(大阪府労委令和2年4月6日・労判1231号169頁)

【事案の概要】

本件は、団交申入れに対して、会社の質問に事前に回復しないこと、および組合員名簿を事前に提出しないことを理由に、会社が団交に応じなかったことが不当労働行為にあたるかが争われた事案である。

【労働委員会の判断】

不当労働行為にあたる

【命令のポイント】

1 会社は、組合員名簿の事前提出を求めた理由について、「労働組合法上の労働組合は組合員から委任を受けて組合員のために使用者と交渉する権限を有する」との労働組合法第6条の解釈を基に、組合が誰を代理しているのかが不明であり、組合の要求事項が義務的団交事項の範囲なのかどうかを判断するためであった旨主張する。
しかしながら、会社のかかる主張は、あくまでも団交の具体的な交渉の場面において労働組合がその代表者以外に交渉権限を付与することができることを規定したものにすぎない同条を曲解した独自の主張と言わざるを得ないし、そもそも、組合の団交申入れ事項が義務的団交事項であることは、前記・・・判断のとおりである。

2 ・・・以上にとおり、会社は、団交申入れについて団交に応じられない事情があったとはいえない。
それにもかかわらず、会社は、雇止めの議題については、組合がもはや議題としなくなった状況においても議題としての説明を求め続け、賃上げ及び兵庫事業所における事故の議題については、団交の開催に支障がないことが明らかになった段階においてもなお、組合員名簿の事前提出及び議題の対象となる組合員の明示を求め続けたり、交渉申入れ事項の書面による明確化を求めたりしたものといえる。
上記6回の団交申入れに対する会社のこのような対応は、本来、必要のない要求を組合に対し執拗に繰り返すことで、団交開催を引き延ばしたものとみるほかない

団交に応じないという対応は、本件同様、団交拒否として不当労働行為にあたる可能性があります。

団交前には必ず顧問弁護士に相談することをおすすめします。

不当労働行為259(近物レックス事件)

おはようございます。

今日は、組合に加入した組合員2名に対し、定時帰宅を指示したことが不当労働行為にあたるとされた事案を見てみましょう。

近物レックス事件(大阪府労委令和2年4月20日・労判1231号168頁)

【事案の概要】

本件は、組合に加入した組合員2名に対し、定時帰宅を指示したことが不当労働行為にあたるかが争われた事案である。

【労働委員会の判断】

不当労働行為にあたる

【命令のポイント】

1 Y社における従業員の出退勤の時間管理が適正に行われていたかについて判然としない中で、Y社は、組合加入公然化後、組合活動が活発化していた時期に突然、組合が未払賃金の支給を要求している分会長及びG組合員に対し、根拠の説明もしないまま合理的な理由なく30.1.6Y社指示及び30.2.27Y社指示を行っているといえ、このことは、組合活動を嫌悪したY社による組合員であるが故の不利益取扱いであるとともに、組合の活動を委縮させ、組合を弱体化させるものであるから、組合に対する支配介入に当たり、労働組合法第7条第1号及び第3号に該当する不当労働行為である。

時期やプロセスから、不当労働行為該当性が判断されていることがよくわかります。

組合員に対する対応は、事前に顧問弁護士に相談をすることが大切です。

不当労働行為258(中亜国際協同組合ほか事件)

おはようございます。

今日は、外国人技能実習生受入れ事業を行う協同組合が実習生の加入した労組の申し入れた団交に応じないことが不当労働行為に当たらないとされた事案を見てみましょう。

中亜国際共同組合ほか事件(広島県労委令和2年3月13日・労判1227号96頁)

【事案の概要】

本件は、外国人技能実習生受入れ事業を行う協同組合が実習生の加入した労組の申し入れた団交に応じないことが不当労働行為に当たるかが争われた事案である。

【労働委員会の判断】

不当労働行為に当たらない

【命令のポイント】

1 本件協同組合はA組合員の座学講習の適正な実施について、技能実習制度の範囲内ではあるが、現実的かつ具体的に決定することができる地位にあったものと認められる。したがって、組合が、A組合員の座学講習の適正な実施のために、本件協同組合に対して話し合いを求めたことには相応の理由があると解される。
もっとも、本件協同組合のA組合員に対する座学講習は、監理団体の業務として行われたものと解される。そして、座学講習は雇用契約の効力の発生の前提として密接に関連するものの、座学講習の受講は労務の提供ではないことから、本件協同組合における座学講習の適正な実施に関する事項は、A組合員の基本的な労働条件等に当たらないと解するのが相当である。

2 本件一時帰国の決定は、本件協同組合の監理団体の業務として行われたものと解される。そして、本件一時帰国は、座学講習の中断を意味するものであり、座学講習の受講は労務の提供ではないことから、A組合員の一時帰国における本件協同組合の対応に関する事項は、A組合員の基本的な労働条件等に当たらないと解するのが相当である、
以上のとおりであるから、本件団体交渉事項について、本件協同組合に労働組合法7条2号の使用者性は認めることはできない

労組法上の使用者性や義務的団交事項に関する判断です。

組合との団体交渉や組合員に対する処分等については、まずは事前に顧問弁護士から労組法のルールについてレクチャーを受けることが大切です。決して素人判断で進めないようにしましょう。

不当労働行為257(医療法人健和会事件)

おはようございます。 今週も一週間がんばりましょう。

今日は、介護老人保健施設で介護職員として勤務してきた組合員を解雇したことが不当労働行為に当たらないとされた事案を見てみましょう。

医療法人健和会事件(大阪府労委令和2年4月13日・労判1229号102頁)

【事案の概要】

本件は、Y法人の設置運営する介護老人保健施設で介護職員として勤務してきた組合員を解雇したことが不当労働行為に当たるかが争われた事案である。

【労働委員会の判断】

不当労働行為にあたらない

【命令のポイント】

1 Y法人がB利用者への虐待行為があったと判断したことには理由があり、かつ、Y法人が虐待行為を重視し、虐待行為を行った職員を解雇することが不合理であるといえないことからすると、29.7.18通知書等に記載されたもののうち、B利用者への虐待の件だけを取り上げてみても、解雇には相応の理由があったというべきである。
・・・したがって、Y法人が、平成29年8月24日をもってF組合員を解雇したことは、組合員であるが故の不利益取扱いには当たらない。

2 Y法人は、本件団交の2日後に、29.8.23解雇通知書を送付しているが、Y法人が、F組合員の処遇についての結論を急いだことに、理由がなかったわけではないといえ、また、組合が、29.7.26団交要求書の要求内容について継続して協議する意向を持っていたかについて疑念が残るといわざるを得ず、これらのことを考え合わせると、Y法人が、本件団交の2日後に29.8.23解雇通知書を送付したことをもって、団交を一方的に打ち切ったとまではいえない

上記命令のポイント2のように、使用者側から団交を打ち切ると不誠実団交の疑いが生じます。

打ち切りの合理的理由があるかどうかについては慎重に判断することが求められますのでご注意ください。

組合との団体交渉や組合員に対する処分等については、まずは事前に顧問弁護士から労組法のルールについてレクチャーを受けることが大切です。決して素人判断で進めないようにしましょう。