Category Archives: 解雇

解雇59(萬世閣(顧問契約解除)事件

おはようございます。

さて、今日は、調理部長に対する執行役員からの解任、顧問契約解除の有効性に関する裁判例を見てみましょう。

萬世閣(顧問契約解除)事件(札幌地裁平成23年4月25日・労判1032号52頁)

【事案の概要】

Y社は、温泉旅館業を営む会社である。

Xは、昭和45年、Y社に調理職として採用され、調理長等を経て、平成8年2月頃、Y社の取締役に就任するともに、Y社における総調理部長に任命された。

Xは、平成14年12月頃、取締役を解任され、常務執行役員となり、さらに、平成18年9月、執行役員を解任され、調理部顧問に配属された。

Xは、職務として調理人の手伝いや自動車の移動、テラスの鉢植えの花の手入れなども行うようになった。その後、Xは、Y社就業規則に定める定年年齢(60歳)となった。

Xは、平成20年10月、他の顧問とともに、Y社における長時間労働や時間外手当の不支給等を労基署に申告し、これを受けて、労基署がY社に立入検査を行った。

Y社は、Xに対し、退職についての話をし、その後、顧問契約を解除する旨記載された書面を送達し、以後Xの就労を拒んだ。

Xは、顧問契約の解除は、解雇権の濫用であり無効である等と主張し、争った。

【裁判所の判断】

解雇は無効

解雇は不法行為にあたるとして、慰謝料40万円の支払を命じた

【判例のポイント】

1 (1)Xは、昭和46年から、洞爺湖萬世閣調理部長として、洞爺湖萬世閣のみならず、登別萬世閣の各調理部門の調理全般及び原価計算、メイド管理等の統括業務に当たっていたこと、(2)Xは、平成8年2月、Y社の取締役に任じられると同時に、総調理部長となり、従前担当してきた洞爺湖萬世閣及び登別萬世閣に加え、定山渓ミリオーネの各調理部門の総括に当たるようになったこと、(3)Xは、取締役に就任後も、Y社取締役会には1回しか出席したことがなく、その職務内容は、その担当に定山渓ミリオーネや企画商品の打合せ等が加わったほかは、基本的に従前と変わりがなかったこと、(4)取締役在任中、Xは、Y社から給与を支給され、雇用保険に加入しているものとして、その保険料を控除されていたことが認められる。そして、Xが取締役に就任すると同時に従業員としての退職の意思表示をしたか、Y社と退職の合意をしたという事情もうかがわれないのであるあから、Xは、平成8年2月にY社の常務取締役に就任後も、従前の労働契約を維持したままであり、取締役であるとともに使用人たる地位も兼任していたものと認められる

2 これまでY社の常務執行役員として名目だけにせよその経営陣に名を連ね、洞爺湖萬世閣、登別萬世閣及び定山渓ミリオーネの各調理部門の調理部長や調理長に指示を下すべき立場にあったのに、あからさまではないにせよ、今度は一介の調理人同然に補助業務をすることとなり、その他雑務も指示されたというのであって、これは左遷ないし降格と受け取られる人事異動といい得ること等に照らすと、これが不利益処分という性質を有することは否定できないのであって、前記のようにA執行役員をY社代表取締役の後継者とするためにXを執行役員から解任するという動機は正当な理由とはいえないから、かかる人事上の不利益処分は、故意にXの名誉ないし社会的評価を傷付けた違法なものとして不法行為を構成するというべきである

3 Xは、Y社との労働契約に基づき、その常務執行役員に就任したものであるところ、Xが、洞爺湖萬世閣調理部顧問に配属されるに当たって、退職の意向を示したとか、退職の合意をしたなどとうかがわせる事情は何もなく、退職金が支払われたなどといった事情もないのであるから、Xを洞爺湖萬世閣調理部門に配属させたのも従前の労働契約に基づくものというべきである
そして、Xの職務の性質に加え、平成20年3月31日当時、洞爺湖萬世閣には定年である60歳を超えて雇用される者が多数いたこと、Xの給与が42万円から30万円に引き下げられたのは、Xが定年に達した平成20年2月ではなく、同年4月分の給与からであること等に加え、Y社代表取締役がXを65歳になるまで使用することを考慮している旨伝えたこと等に照らすと、上記労働契約については少なくとも60歳の定年後もXの雇用を継続する旨の合意がされていたというべきである

この事件、原告側にいっぱい弁護士がついています。合計27人。

実働は何人なんでしょうか?

判決を読み込んで、両当事者がどのような主張、反論を繰り広げているかを見ていくと、勉強になります。

被告側の主張を見てみると、実際のところ、原告に不利な事情もいくつか散見されますが、そこは、総合判断ですので、多少、不利な事情があっても、トータルでは原告の主張が認められるのだと思います。

被告側は、控訴していますが、どうなったのでしょうか。 和解で終わったのかしら。

解雇を選択する前には必ず顧問弁護士に相談の上、慎重かつ適切に対応することが肝心です。決して、素人判断で進めないようにしましょう。

解雇58(NTT東日本(出張旅費不正請求)事件

おはようございます。

さて、今日は、出張旅費不正請求と懲戒解雇に関する裁判例を見てみましょう。

NTT東日本(出張旅費不正請求事件)(東京地裁平成23年3月25日・労判1032号91頁)

【事案の概要】

Y社は、電話等の事業会社である。

Xは、昭和57年4月、Y社に入社し、その後関連会社に出向して、営業担当の課長代理を務めていた。

Y社は、平成20年5月、Xに対し、Xが日帰出張旅費を不正に請求して私的流用をしたという理由で懲戒解雇処分をした。

なお、Xは、Y社に対し、旅費を申請して受給しており、平成16年4月から平成19年9月までの42か月間に、171万2560円の旅費を申請し受給した。

Xは、本件懲戒解雇について、旅費を不正に請求して私的流用をしたことはなく懲戒事由が存在しないこと、弁明の機会を一切与えられずに私的流用の事実の自白を強要されたことなどから無効であると主張し争った。

【裁判所の判断】

懲戒解雇は有効

【判例のポイント】

1 Xは、トップクラスの営業成績を上げて、Y社の利益によく貢献しており、そのために相当の努力を重ねていたものと考えられる。その努力のひとつとして、Xは、顧客を訪問する際、いつも当該顧客に関する資料が整理されたキングファイルを携行していたが、これは非常に分厚く重いものであったから、1日に複数の顧客を訪問する場合、オフィスと各顧客との間をそれぞれ往復する必要があったと主張する
しかし、通信機器販売の営業活動にはさまざまな段階や場面があるはずであり、いつも分厚く重いキングファイルを携行して各顧客との間を往復する必要があったなどというのは、それ自体説得力に乏しいものといわざるを得ない。G証人の陳述書の記述や法廷での証言には、Xが顧客との間を頻繁に往復していたという部分があるが、この証言等に裏付けはないし、そもそも、Xの主張は、単に携行したことを強調するだけで、ファイルを顧客先でどのように活用したかなど、携行の目的や効果について説明をしておらず、合理的なものとはいえない

2 Xは、70万円を上回る額の旅費の過大請求をして、その私的流用をしたものと認めることができる。この行為は、就業規則76条1号、7号、11号に該当するものというべきである。したがって、本件懲戒解雇は、懲戒事由の存在が認められる

3 認定事実によれば、Xは、始末書や旅費請求の内訳の作成過程を通じて、私的流用をしたか否か、営業上の費用の額はいくらか、その内訳はどのようなものかなどについて、弁明の機会を付与されていたことが明らかである。
Xは、J課長がXに対し、事実を認めて謝罪しなければ懲戒解雇になると脅したり、始末書を提出すれば処分が軽くなるなどという利益誘導をしたりして、旅費の私的流用の自白を強要し、その旨の始末書を提出させたなどと主張するが、このような事実を認めるべき証拠はない

上記判例のポイント1の事実認定は、原告側にとっては納得のいかないものでしょう。

原告は控訴しています。

一般的に、経費の私的流用に対する処分は重くなります。 犯罪なので。

会社とすれば、しっかりとした調査と適正な手続をとることに留意する必要があります。

解雇を選択する前には必ず顧問弁護士に相談の上、慎重かつ適切に対応することが肝心です。決して、素人判断で進めないようにしましょう。

解雇57(奈良観光バス事件)

おはようございます。

今日は、研修期間満了による本契約拒否に関する裁判例を見てみましょう。

奈良観光バス事件(大阪地裁平成23年2月18日・労判1030号90頁)

【事案の概要】

Y社は、一般貸切旅客自動車運送事業等を目的とする会社である。

Xは、もともとタクシー運転手として稼働してきたが、平成19年7月、Y社のバス運転手採用試験を受験し、入社した。

Y社は、バス運転手として新規採用した者に対し実技研修を行った上、研修期間中に実施する実技試験である中間検定又は最終検定のいずれかに合格した者を雇用期間1年の契約社員として採用し、さらに契約社員として3年以上勤務した者の中から正社員を採用する運用を行っている。

Xは、上記検定に不合格となり、退職扱いとされたため、Y社に対し、労働契約上の権利を有する地位にあることの確認等を求めた。

なお、他の新規採用者4名は、いずれも中間検定又は最終検定に合格し、契約社員として採用された。

【裁判所の判断】

請求棄却

【判例のポイント】

1 本件雇用請書には、「研修期間内に雇い入れることが適当でないと認めたときは、予告なしで雇用を解除する。」との規定が置かれているが、同規定にいう解除は、当事者の一方による解約の意思表示を意味するから、解雇にほかならない。ところで、本件労働契約は、期間の定めのある労働契約であるから、労働契約法17条1項により、やむを得ない事由がある場合でなければ、その契約期間が満了するまでの間において、労働者を解雇することができないのであり、労働契約の当事者が、やむを得ない事由がない場合でも解雇は可能である旨を合意したとしても、そのような合意は無効とされる。そして、同条にいう「やむを得ない事由」とは、期間の定めのない労働契約につき解雇権濫用法理を適用する場合における解雇の合理的理由より限定された事由であって、期間の満了をまたず直ちに契約を終了されざるを得ない事由を意味し、労働者の就労不能や重大な非違行為がある場合などに限られると解されるから、Y社が労働者に対しバス運転者としての適性・能力がないと判定したことは、同条にいう「やむを得ない事由」に当たらないといわなければならない。
よって、Y社による留保解約権の行使は認められないから、本件労働契約は、平成19年9月15日の経過により終了したといえる。

2 Xは、(1)平成19年3月に大型第二種運転免許を取得したばかりであり、バス運転の経験を有しなかったこと、(2)Y社の採用試験においても、一回目は、左折時に脱輪するなどして不合格となっていること、(3)研修中から、バス運転に関し、速度を出し過ぎる、速度にムラがある、左側に寄り過ぎる、ふらつくなどの問題点を指摘されていたこと、(4)本件中間検定においても、6名の判定者から、「全体を通して、速度を出し過ぎる」「カーブ及び交差点に進入する際、減速が足りない」「対向車を避けるとき、急ハンドルを切る」「車両が左側に寄り過ぎる」などの問題点が指摘され、判定会議の結果、判定者6名のうち1名が「もう少し研修をして経過観察しても良い」という意見であったものの、その余の5名が、「改善の見込みがなく本採用しない」という意見であったことが認められる。したがって、Y社が、Xに対し、本件中間検定について不合格の判定を行うとともに、研修を続けても技能の向上が見込めないと判断したことは、必ずしも不当とまではいえず、本件全証拠を検討してみても、Y社が恣意的に判断を行ったことを窺えるような証拠もない。

3 よって、Xは、Y社のバス運転者としての適性・能力を有することが認められない以上、Y社に対し、契約社員の労働契約が成立したと主張することはできない。

ちょっと厳しい気がしますが・・・。

経過観察で、もう一度チャンスを与えてもいい気がします。

会社としてみれば、そんなレベルではない、ということなのでしょうか。

なお、この事案は、Xが控訴しました。

解雇を選択する前には必ず顧問弁護士に相談の上、慎重かつ適切に対応することが肝心です。決して、素人判断で進めないようにしましょう。

解雇56(日鯨商事事件)

おはようございます。

さて、今日は、海外勤務者の無断帰国等を理由とする解雇に関する裁判例を見てみましょう。

日鯨商事事件(東京地裁平成22年9月8日・労判1025号64頁)

【事案の概要】

Y社は、東京に事務所を有するほか、オマーンにも事務所兼社宅を借りていた。

Xは、Y社との間で雇用契約を締結し、平成19年11月から、主にオマーンにおいて業務に従事していた。

Xは、日本とオマーンを行き来しており、同年3月にも日本からオマーンに向けて出国した。この際の往復旅費はY社の負担である。

Xは、同月、オマーンから日本へ帰国した。この前日、XはY社の取締役であるAと電話でやりとりをし、きちんと引継ぎと今後の業務への対応策を話し合う必要があるので、Y社代表者とAがオマーンに戻る翌日までオマーンに残るよう言われたが、Xは航空券の日程変更ができないとして、同日帰国した。

Y社は、Xに対し、Xの「中東業務契約」を解除する旨のメールを送信し、同日、Y社は、解除メールと同内容の「中東業務契約解除(解任)通知書」と題する書面を発送した。

Xは、Y社による解雇は違法であるとして、損害賠償請求、未払時間外手当の請求等をした。

【裁判所の判断】

Y社の行為は不法行為に該当する。

【判例のポイント】

1 Y社のXに対する中東業務契約解除につき、本件就業規則には解雇規定はあるが、Y社に在籍しつつ一部の業務について契約を解除する旨の規定はないことや、Y社がXに対し退職の意思の有無を確認せずに退職手続を進めたことから、Y社は、契約解除通知書の交付をもって、Xに対し解雇の意思表示をしたものと認められる。

2 Xの出張先からの帰国等が、本件就業規則の解雇事由である「従業員の就業状況が著しく不良で就業に適しないと認められる場合」には該当しないとし、本件解雇は解雇権を濫用し著しく相当性を欠くものであり、Y社には本件解雇をしたことにつき過失があったものと認められる。
以上によると、本件解雇は、Xに対する不法行為を構成するものということができる。

3 Xは、本件解雇により失職したことによって、合理的に再就職が可能と考えられる時期までの間、本来勤務を継続していれば得られたはずの賃金相当額の損害を受けたものということができる。

Xは、本件解雇当時45歳の男性であったこと、複数回の転職経験があること、語学(英語)能力が高いこと、現に本件解雇後1か月も経過しないうちに再就職することができたことが認められるところ、これらの事情を総合考慮すると、Xが合理的に再就職をすることが可能であると考えられる期間は、本件解雇後3か月であると認めるのが相当である

4 本件解雇により被った精神的苦痛については、前記財産的損害の賠償により慰謝される性質のものであるというべきである

本件では、Y社の不法行為責任を認めました。

事案としては、解雇の有効性は否定されてもしかたがないものです。

注目すべきは損害額です(上記判例のポイント3参照)。

Xがこれほど有能でなければ、損害額はもっと多くなったのでしょうか・・・?

解雇を選択する前には必ず顧問弁護士に相談の上、慎重かつ適切に対応することが肝心です。決して、素人判断で進めないようにしましょう。

解雇55(日本通運(休職命令・退職)事件)

おはようございます。

さて、今日は、異動内示に伴う不就労に対する休職命令・退職扱いの効力に関する裁判例を見てみましょう。

日本通運(休職命令・退職)事件(東京地裁平成23年2月25日・労判1028号56頁)

【事案の概要】

Y社は、物流事業全般を営む会社である。

Xは、平成元年4月、Y社に入社し、平成13年3月、本件事業所営業係長に任ぜられた。

Xは、Y社から、ビジネスセンターへの異動の内示を受けたが、これに強い拒絶反応を示し、翌日、急性口蓋垂炎による呼吸困難で倒れ、救急搬送されて治療を受け、その後終了しなかった。

Y社は、平成19年2月、Xに対し、就業規則により休職命令を発令し、その後の賃金を支払わなかった。

平成20年2月、Y社は、Xは休務療養の必要がなくなったとはいえないとの理由から、Xに対し1月末付けで退職扱いとする旨通知した。

Xは、Y社が就労可能なXに対し、本件休職命令を発令して本件退職扱いをしたのは違法であると主張し争った。

【裁判所の判断】

休職命令、退職扱いはともに有効

【判例のポイント】

1 Y社は、当初、本件休職命令の発令を、疾病による欠勤開始の1年後である平成18年9月に予定していたが、その直前にY社の労働時間管理に不備があったことが判明して、2年分の割増賃金を支払うなどしたため、平成19年2月まで遅らせた。この過程で、A次長は、Xが直属の上司であるBに対する理不尽ともいうべき避難・攻撃を繰り返していたにもかかわらず、根気よく対応して、本件休職命令発令の直前には、診断書を作成していないと聞いて、再度受診のうえ診断書を提出よう求めた。また、A次長は、Xに対し、発令の内示をした際、あと1年あるという気持ちで復職に前向きに取り組むよう励まして、その後も何度か電話をするなどして接触を図っている。
このような事実によれば、Y社は、Xの当時の状況を踏まえてその立場に配慮した働きかけ等をしたものということができる。そうすると、Y社がXを退職に追い込む目的を有していたとは認められない

2 本件休職命令の発令に当たり、休職を要するという趣旨の診断書等があったわけではない。一方、C医師は、平成年月、「病状は改善し、就労は可能と思われる」という診断をしている。
しかし、この診断書は、上記のほかに「可能であればストレスの少ない職場への復帰が望ましい。尚今後6か月程度の通院加療が必要と思われる」という留保があり、そのまま復職可能診断というのは相当でない。
・・・この事実によれば、A次長は、この診断書の信用性に疑問を抱いたと考えられるが、これは合理的なものということができる。したがって、Y社が、復職可能診断を不当にも無視したとは認められない

3 ・・・以上の事情等に、Xは、休職期間満了日を超えて平成20年9月ころまで、抗不安薬等、C医師から処方された薬を服用していたことも考慮すると、Y社が復職可能診断を不当にも無視したものと認めることはできない
以上によれば、本件退職扱いをすることが信義則に反し許されないというXの主張は失当というべきである。

本件では、Xの主治医とY社の産業医が異なる診断をしています。

Y社の産業医は、Xの主治医から独自に得た情報に基づき、「本人、会社が対立する問題を保留としたまま本人が職場復帰することは、復職にとって重要な本人の信頼感の回復を待たずに職場環境に入ることとなり、症状が増悪し、呼吸困難のような発作が再発する可能性が極めて高い」という意見書を提出しています。

これに対し、Xの主治医は、産業医の意見について、「Xに面談もせずに判断することにも大きな問題がある」という批判的意見を述べてました。

この点について、裁判所は、以下のとおり判断しています。

「確かに、医学的判断をするに当たっては面談(診察)等で得られる情報が重要な要素であることは明らかであるが、前記のとおり、XとY社との信頼関係が失われた原因は、XのCに対して激しい調子で非難・攻撃を繰り返すなどしたところにあり、産業医は、従前の経過に基づきこの点を理解していたのであるから、面談をしなかったことが同医師の意見の説得力を損なうものとはいえない。」

このあたりは、なんともいえません。 

なお、本件は、控訴されています。

解雇を選択する前には必ず顧問弁護士に相談の上、慎重かつ適切に対応することが肝心です。決して、素人判断で進めないようにしましょう。

解雇54(互光建物管理事件)

おはようございます。

さて、今日は、就業場所についての事前協議条項と解雇に関する裁判例を見てみましょう。

互光建物管理事件(大阪地裁平成23年1月27日・労判1026号172頁)

【事案の概要】

Y社は、委託を受けてマンション管理等を業とする会社で、従業員数は2400名程度で、そのうち、マンション管理人は350名程度である。

Xは、平成16年8月頃、Y社との間で雇用契約を締結し、訴外B社が管理するマンションの住み込み管理員として派遣されていた。

Xは、Y社から、B社との間の直接雇用契約にすべく転籍出向の意向打診がなされたが同意せず、また、研修を欠席したことなどから解雇された。

なお、Y社には、就業場所についての事前協議協定が存在する。

Xは、本件解雇は、就業場所についての事前協議協定に反し無効であると主張し争った。

【裁判所の判断】

解雇は無効

【判例のポイント】

1 Y社は、Xの就労場所としてCマンションと決定しているが、同決定は、本件確認書4項に基づき「事前に乙に説明し、乙の意見を聞く等して、別途労使間で誠実に協議することとし、加えて、乙の家庭事情その他を尊重した上」で行わなければならない義務に反した行為であって、違法無効といわなければならない
同決定の瑕疵の重大性からして、。それを前提とするY社のXに対する本件2研修命令は違法と言わなければならない。そうすると、Xが同研修命令に反して欠勤をしたとしても、それをもって直ちに違法とまで言うことはできない。また、Xは、同研修命令で命じられた期間以降もCマンション等に出勤することがなかったが、同研修命令が違法であることからすると、同出勤しなかったことをもって欠勤ということはできない

2 Y社は、Xが同2研修命令に従わず、1か月に7日以上無断欠勤をしたとして本件解雇を行ったが、同解雇は、解雇権の濫用というべきで、無効といわなければならない。

3 本件2研修命令に伴う欠勤であるが、同研修命令は違法と言わなければならず、したがって、Xが同研修命令に反して欠勤をしたとしても、それをもって直ちに違法とまで言うことはできない。そうすると、同欠勤をもって減額措置をとることはできないといわざるをえない。したがって、Y社の同研修命令を基礎とする賃金減額措置は違法で、無効といわなければならない。また、Xの同研修命令以降の欠勤であるが、同研修命令以後それに引き続いて欠勤していること、Y社が同研修命令を命じたにもかかわらず欠勤を継続している旨認識していたことを踏まえると、違法無効な同研修命令を基礎として業務命令を出したことについてXが従わなかったことが契機となってY社に出勤しないことが継続されたものと推認される
以上の事実を踏まえると、違法な同研修命令が契機として出勤しなかった日をもって無断欠勤等として減額措置をとることはできないというべきである

上記判例のポイント3の判断は、参考になります。

研修命令に伴う欠勤による賃金の減額措置の適法性について、以下のような論理展開をしています。

研修命令は違法→研修命令に反して欠勤しても違法ではない→だから欠勤を理由とする減額措置はダメ

解雇を選択する前には必ず顧問弁護士に相談の上、慎重かつ適切に対応することが肝心です。決して、素人判断で進めないようにしましょう。

解雇53(京電工諭旨解雇事件)

おはようございます。

さて、今日は、仕事のミスを理由とする退職勧奨に関する裁判例を見てみましょう。

京電工諭旨解雇事件(仙台地裁平成21年4月23日・労判988号53頁)

【事案の概要】

Y社は、平成8年に設立された電気工事業・通信設備工事業・配管工事業及びこれに付随する一切の業務を業とする会社である。

Xは、平成17年12月、Y社に採用され、東北6県及び新潟県の現場で電気通信設備工事に従事していた。

Xは、Y社に対し、Y社から自主退職の名目で懲戒解雇理由がないのに懲戒解雇同様の不利益処分を下されたとして、不法行為に基づく損害賠償請求をした。

【裁判所の判断】

不法行為が成立する

【判例のポイント】

1 Y社がXに対して退職届の提出を命じたのは、Xに対して懲戒処分の一種である諭旨解雇処分を行ったものと認めることができる。

2 規則上、諭旨解雇事由は明確には規定されていない。しかし、その諭旨解雇処分の内容は、説諭の上で自発的に退職させるというものであり、自発的という文言が使われてはいるものの、懲戒処分としてなされるものである以上、労働者の自由意思が入り込む余地は少ないと言え、労働者にとっては懲戒解雇に準ずる程度の不利益を与えるものということができる。したがって、その事由も、規則38条2項の懲戒解雇事由に準ずるものと解するのが合理的である。 

3 Xには諭旨解雇処分を行うに足りる合理的な理由があったというべきであるが、本件処分は懲戒処分の一種であるから、これをXに対して行う際には、懲戒処分であることを明示した上で、その根拠規定と処分事由を告知すること、及び諭旨解雇事由のあることについて労働基準監督署長の認定を受けた場合のほかは、少なくとも30日前に予告をするか、又は平均賃金の30日以上の予告手当をXに支払うことが必要であったというべきである(労働基準法20条、規則27条2項)。
本件処分においてはY社の過失によって上記手続がとられていないことが認められるから、本件処分はその手続において違法といわざるを得ず、Xに対する関係で不法行為が成立するというべきである

4 Xは、本件不法行為による逸失利益として、1年間の減収額252万円と年次有給休暇の取得権侵害による40万0890円を請求するが、Xには諭旨解雇処分の対象とされるに足りる合理的な理由があったというべきであるから、本件処分が上記の手続を遵守してなされていさえすれば、上記逸失利益は発生する余地はなかったと言える。したがって、本件不法行為と相当因果関係の認められるXの逸失利益としては、予告手当相当額(平均賃金の30日分)の限度でこれを認めるのが相当である

5 上記のとおり、Xには諭旨解雇処分の対象とされるに足りる合理的な理由があったものであり、本件処分の違法性は手続的違法にとどまることを考慮すると、本件不法行為によってXが被った精神的苦痛の慰謝料は、10万円と認めるが相当である

会社としては、単なる退職勧奨と認識していたのだと思いますが、裁判所は、諭旨解雇処分と認定しました。

退職勧奨の違法性を争うというやり方のほかに、退職勧奨は、実質的には諭旨解雇処分であるという争い方があるんですかね。

また、判決理由を読むと、この会社の就業規則には、諭旨解雇処分についての規定がないようですが、裁判所は、懲戒解雇の規定の準用を認めています。

罪刑法定主義は?

解雇を選択する前には必ず顧問弁護士に相談の上、慎重かつ適切に対応することが肝心です。決して、素人判断で進めないようにしましょう。

解雇52(神戸市職員懲戒免職事件)

おはようございます。

さて、今日は、先日に引き続き、公務員の飲酒運転に関する裁判例です。

神戸市職員懲戒免職事件(大阪高裁平成21年4月24日)

【事案の概要】

Xは、神戸市の職員として勤務してきた。

Xは、平成19年3月、酒気帯び運転をしたことを理由に、同年5月、地方公務員法29条1項1号及び3号の規定に基づき、懲戒免職処分を受けた。

Xは、本件懲戒免職処分の取消を求めて提訴した。

【裁判所の判断】

懲戒免職処分を取り消す。

【判例のポイント】

1 消防長は、Xの非違行為の原因、動機、性質、態様、結果、影響等のほか、Xの非違行為の前後における態度、懲戒処分等の処分歴、選択する懲戒処分が他の公務員及び社会に与える影響等、諸般の事情を考慮して、懲戒処分をすべきかどうか、また、懲戒処分をする場合にいかなる処分をすべきかを、その裁量により決定することができると解される。もっとも、懲戒権者が裁量権の行使としてした懲戒処分は、それが社会通念上著しく妥当を欠いて裁量権を付与した目的を逸脱し、これを濫用したと認められる場合でない限り、その裁量権の範囲内にあるものとして、違法とならないものというべきであるが、決定された懲戒処分が社会通念上著しく妥当を欠いて苛酷であるとか、著しく不平等であって、裁量権を濫用したと認められる場合には、公正原則、平等原則等に抵触するなどして違法となると解される

 Xは、本件酒気帯び運転の事実を当日遅滞なく職場に報告しており、特段非違行為を隠蔽しようとしてはいないし、Xには前科前歴もなく、Xの消防局に採用後過去30年間に懲戒処分等の処分歴もなく真面目に勤務してきたものであり、Xの同僚など681名から人事委員会宛に処分軽減を求める嘆願書も提出されているところであって、これらの事情はXに有利に汲むべきものである。また、Xは、本件事故の翌日には、今後一切酒類を飲まない旨の誓約書を提出し、謝罪のため本件事故の被害者を訪れているのであるから、非違行為後のXの態度は決して非難すべきものではないということができる。さらに、Xは、消防車両を24年間にわたり運転していたが、その間、一切事故を起こしておらず、平成12年7月には、神戸市人事委員会から安全精励賞の表彰を受けているし、職場以外でも30年間以上無事故で運転を継続している

3 本件酒気帯び運転については、故意の点を除くと非違行為の外形的な性質、態様、結果の悪質性及び他に与えた影響の程度などは必ずしも軽微であるとはいえないけれども、他方で、懲戒処分の決定に際して極めて重要な要素を構成するXが酒気帯び運転の故意や認識を有していたことには大きな疑問があるだけでなく、本件酒気帯び運転の原因や動機、酒気帯び運転の前後におけるXの態度、懲戒処分等の処分歴、日常の勤務状況、国家公務員や他の地方公務員における処分との均衡、処分を受ける公務員の受ける不利益の程度などにおいてはXの有利に汲むべき点が多いことに照らすと、本件酒気帯び運転に対し、停職処分ではなく直ちに懲戒免職処分をもって臨むことは、社会通念上著しく妥当を欠いていて苛酷であり、裁量権を付与した目的を逸脱し、これを濫用したものと評価すべきである。したがって、本件処分は違法なものとして取り消されなければならない。

本件も、前回の裁判例同様、懲戒免職処分は裁量権の逸脱・濫用として違法と判断されています。

上記判例のポイント2のように、裁判所は、Xに有利な事情をしっかり考慮してくれています。

逆に言えば、Xのように有利に斟酌できる事情があまりないと厳しいのかもしれませんね。

日頃の行いが、いざというときにものをいうのでしょうか。

解雇を選択する前には必ず顧問弁護士に相談の上、慎重かつ適切に対応することが肝心です。決して、素人判断で進めないようにしましょう。

解雇51(加西市(職員・懲戒免職)事件

おはようございます。

さて、今日は、公務員の酒気帯び運転と懲戒免職に関する裁判例を見てみましょう。

加西市(職員・懲戒免職)事件(大阪高裁平成21年4月24日・労判983号88頁)

【事案の概要】

Xは、市の職員であったが、休日に行った酒気帯び運転を理由に、懲戒免職処分を受けた。

Xは、本件懲戒免職処分は違法なものであり、取り消されるべきであると主張し争った。

【裁判所の判断】

懲戒免職処分を取り消す

【判例のポイント】

1 地方公務員法29条1項は、地方公務員に同項1号ないし3号所定の非違行為があった場合、懲戒権者は、戒告、減給、停職又は免職の懲戒処分を行うことができる旨を規定するが、同法は、すべての職員の懲戒について「公正でなければならない」と規定し(同法27条1項-公正原則)、すべての国民は、この法律の適用について、平等に取り扱われなければならない(同法13条-平等原則)と規定するほかは、どのような非違行為に対しどのような懲戒処分をすべきかについて何ら具体的な基準を定めていないし、同法29条4項に基づいて定められた本件条例や本件規則にも、その点の具体的な定めはない。

2 したがって、加西市長は、非違行為の原因、動機、性質、態様、結果、影響等のほか、加西市職員の非違行為の前後における態度、懲戒処分等の処分歴、選択する懲戒処分が他の公務員及び社会に与える影響等、諸般の事情を考慮して、懲戒処分をすべきかどうか、また、懲戒処分をする場合にいかなる処分をすべきかを、その裁量により決定することができると解される

3 もっとも、その裁量も全くの自由裁量ではないのであって、決定された懲戒処分が社会通念上著しく妥当を欠いて苛酷であるとか、著しく不平等であって、裁量権を濫用したと認められる場合、公正原則、平等原則に抵触するものとして違法となると解される

4 本件の非違行為というのは、Xが職務とは無関係に、休日に行った本件酒気帯び運転であり、約400メートルを時速約40キロメートルで走行したもので、運転時間も走行距離も極く短く、速度も高速ではなく、酒気帯び運転以外の法律違反を犯したわけでもない。しかも、Xの呼気から検知されたアルコールの量は、道路交通法違反として処罰される最下限の水準(呼気1リットル中0.15ミリグラム)にすぎなかったのである。したがって、本件酒気帯び運転の非違行為の性質、態様、結果という点で、悪質さの程度が高いわけではない

5 非違行為の原因や動機についてみるに、Xは飲酒後に運転することが分かっていながら自動車を運転して出かけたとか、あるいは自ら積極的に飲酒を提案したり酒を注文したわけではなく、休日に知人の草刈りの手伝いをしたことをきっかけとして、たまたま当該知人に勧められて飲酒したにすぎないのであって、また、飲酒後すぐに運転するのを躊躇して店内で30分ないし40分程度時間を過ごして運転を開始したものであって、非違行為に躇して店内で30分ないし40分程度時間を過ごして運転を開始したものであって、非違行為に至った原因や動機について、重い非難に値するとか、破廉恥な事情があったとまではいえない

6 Xは、本件酒気帯び運転の事実を翌日直ちに職場に報告しており、非違行為を隠蔽していないし、Xには前科前歴もなく過去に懲戒処分等の処分歴もないのであって、これらの事情はXに有利に汲むべきものである。

本件は、一審では、懲戒免職処分は有効であると判断されました。

高裁は、上記判例のポイントにある事情等を考慮して、処分を取り消しました。

会社の従業員が、本件同様に、酒気帯び運転をした場合、いかなる処分をすべきか、会社としては決断しなければなりません。

なんでもかんでも懲戒解雇でいいのか。 会社として、モラルハザードを防ぐという観点と、訴訟リスク、敗訴リスクという観点の両方から、実質的な判断が求められます。

解雇を選択する前には必ず顧問弁護士に相談の上、慎重かつ適切に対応することが肝心です。決して、素人判断で進めないようにしましょう。

解雇50(日本ヒューレット・パッカード事件)

おはようございます。

さて、今日は、無断欠勤等を理由とする諭旨退職処分に関する裁判例を見てみましょう。

日本ヒューレット・パッカード事件(東京高裁平成23年1月26日・労判1025号5頁)

【事案の概要】

Y社は、電子計算機等およびそれらのソフトウェアの研究開発、製造等を目的とする会社である。

Xは、Y社に平成12年10月、雇用されたシステムエンジニアである。

Xは、平成20年4月以降、Y社に対し、Xに対する職場での嫌がらせ、内部の情報の漏洩等を申告し、その調査を依頼した。

Xは、B部長と電話で相談し、問題が調査されるまで、特例の休暇を認めるよう依頼した。

その後、B部長は、Xに対して、調査の結果、本件被害事実はないとの結論に達した旨回答した。

Xの有給休暇は、すべて消化された状態となったが、Xは、その後、約1か月間、欠勤を継続した。

Y社の人事統括本部のC本部長は、Xに対し、「貴職は、会社が認める正当な理由がなく、2008年6月上旬以降、勤務を放棄し、欠勤しています。理由なき欠勤は、あなたが会社に対して負っている労務提供義務についての著しい違反となり、このままの状態が更に続くと、最悪の事態を招くことにもなります。よって、会社として、直ちに出社し就業するよう命じます」とのメールを送付した。

XはY社に対し、明日から出社する旨をメールで伝え、翌日、出社した。

Y社は、その後、Xに対し、諭旨退職処分とする旨通告した。

Xは、本件諭旨退職処分の効力を争った。

【裁判所の判断】

諭旨退職処分は無効

【判例のポイント】

1 Xが欠勤を継続したのは、Xの被害妄想など何らかの精神的な不調に基づくものであったということができるから、Xは、Y社就業規則の「傷病その他やむを得ない理由」によって欠勤することが可能であったということができる。そして、Xが、B部長から調査をしても被害事実はなかったとの説明を受けながらこれに納得せず、倫理委員会調査チームに更なる調査を依頼して調査の継続を求めていたことからすれば、Xには、Y社に申告した被害事実について、Xがこれを自己の精神的な不調に基づく被害妄想であるという意識を有していないことを認識していたということができる。

2 B部長が、被害事実に固執し、休職しようとしていたXに対し、休職の申請についての質問に対して明確な回答をしていないばかりか、勧めていないとか必要ないなどと対応していたことなどを考慮すれば、Xが就業規則63条により、病気を理由として欠勤を事前に届け出ることは期待することができず、前示の事情の下では、上記就業規則63条の「やむを得ない理由により事前の届出ができない場合」に該当するということができる

3 さらに、Xは、B部長に対して休職届を出す方法を尋ね、調査結果が出るまでは欠勤を継続する意思を示し、6月4日には、Y社の人事部門に対して本問題の解決まで特例の休職を申請するなどしていることなどを考慮すると、「適宜の方法で欠勤の旨を所属長に連絡」したものと認めることができる。したがって、Xが有給休暇を消化した後に、申告した被害事実を理由に欠勤を継続したからといって、直ちに正当な理由のない欠勤に該当するということができず、これを無断欠勤として取り扱うのは相当でない

4 Xの欠勤に対して、精神的な不調が疑われるのであれば、本人あるいは家族、Y社のEHS(環境・衛生・安全部門)を通した職場復帰へ向けての働きかけや精神的な不調を回復するまでの休職を促すことが考えられたし、精神的な不調がなかったとすれば、Xが欠勤を長期間継続した場合には、無断欠勤となり、就業規則による懲戒処分の対象となることなどの不利益をXに告知する等の対応をY社がしておれば、約40日間、Xが欠勤を継続することはなかったものと認められる
そうすると、Y社が本件処分の理由としている懲戒理由(無断欠勤、欠勤を正当化する事由がない)を認めることはできず、本件処分は無効というべきである。

本件は、一審では、Xの請求を棄却しました。

つまり、本件欠勤を懲戒事由とする諭旨退職処分は社会的に相当な範囲内であると判断したのです。

上記判例のポイント4が高裁の考え方です。

正直、「なるほど」と納得ができません・・・。 よくわかりません。

どちらかというと、一審の方が理解できます。

解雇を選択する前には必ず顧問弁護士に相談の上、慎重かつ適切に対応することが肝心です。決して、素人判断で進めないようにしましょう。