本の紹介1074 心の中がグチャグチャで捨てられないあなたへ(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は本の紹介です。

タイトルだけを見ると、メンタル系の本のように思えますが、内容はどちらかというと「ミニマリストへのススメ」的な本です。

いらないガラクタを捨てると何事もうまくいきますよーって本です。

物欲のない私にとっては、特にこれといってあれですけど。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

あなたは何も持たずに生まれ、何も持たずに死んでいきます。しかし、生きている間はモノにしがみついて暮らします。そうすることによって楽しみを感じ、勝ち誇り、注目を浴び、人間として向上すると期待しているのです。しかし、モノにしがみつくのは不安の表れです。いくらそんなことをしても永続的な喜びは得られません。」(37頁)

全くモノに執着のない私のような人間からすると、モノに対して喜びも悲しみもありません。

もっといい車、もっといい時計、もっといい服・・・

車はアクアだし、時計は着けていないし、服はユニクロでいいし。

まあ、そんな感じです。

有期労働契約97 期間途中での解雇には雇止めの意味も含まれれる?(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、有期雇用労働者に対する解雇の意思表示は、雇用期間満了後の契約更新拒絶の意思表示を含むとされた裁判例を見てみましょう。

グローバルレギュラリーパートナーズ事件(東京地裁令和元年10月17日・労経速2414号39頁)

【事案の概要】

本件は、Y社に雇用されていたXがY社に解雇されたところ、同解雇は解雇権の濫用により無効であると主張し、Y社に対し、雇用契約上の権利を有する地位にあることの確認を求めるとともに、雇用契約に基づき、平成30年3月分の未払賃金22万5806円(日割計算による未払額)及び同年4月から本判決確定の日まで毎月末日限り100万円並びにこれらに対する各支払期日の翌日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。

【裁判所の判断】

1 Y社は、Xに対し、平成30年3月末日限り22万5806円、同年4月から同年8月まで毎月末日限り100万円及び同年9月末日限り50万円並びにこれらの金員に対する各支払期日の翌日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

 Xのその余の請求を棄却する。

【判例のポイント】

1 平成29年11月13日のやり取りにおいて、Xは、製品標準書が本件機器の届出時に必要であることを主張していたのに対し、Bは本件機器の輸入、販売時期が先であることを説明していたというのであるから、Xの認識が誤ったものであったとしても、BからXに対し、本件機器の届出時に製品標準書が必要とされていないことについて、Xの認識を正すための的確な説明、指導がされていたものとは認められない。また、Y社は、Xの同日の言動に対して本件警告書により警告を与えたと主張するが、Bは、Xの同日の言動について机を手でひっくり返すような動きをした旨供述するのに対し、Bが同日Cに対して送信したメールにはXが机を蹴った旨の記載があるなど、同メールによる報告は正確さを欠くものといえる。
他方、Xは同日Cに対して送信したメールにおいてBとの関係等について電話で話すことを希望していたにもかかわらず、Y社はXから事情を聴くことなく一方的に警告書を送付しているのであり、本件警告書による警告についても、Xに対する適切な指導がされたものとはいい難い
Y社は、Xの上記やり取りのほか、XがBや自らの前任者を非難する旨の言動を行っていたことを縷々主張するが、これらのXの言動について具体的な経緯や態様を的確に認めるに足りる証拠はなく、また、BやCからXに対して行われた指導等の有無,内容も明らかとはいえない
そうすると、Y社の指摘するXの言動は、指導等により改善の余地があったものというべきであり、本件解雇の有効性を基礎づける客観的合理的理由に当たるということはできない。

2 Xは、本件契約が期間の定めのある契約であるとしても、本件契約には自動更新条項が付されていることから、平成30年9月15日の期間満了をもって自動更新されたと解すべきである旨主張する。
しかしながら、前記前提事実によれば、Y社は、平成30年3月9日、同月23日付けでXを解雇する旨の意思表示(本件解雇)をしたことが認められるところ、同意思表示は、Y社においてXとの雇用関係を継続させる意思がないことを表示したものと考えられるから、同意思表示には、同年9月15日の期間満了後の更新を拒絶する旨の意思表示が含まれると解するのが相当である。

本件は、指導・教育等が不十分であった、もしくはそのエビデンスが不足していた事案です。

また、上記判例のポイント2の考え方は理解しておきましょう。

日頃から顧問弁護士に相談しながら適切に労務管理を行うことが大切です。

本の紹介1073 日本経済 予言の書(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は本の紹介です。

系統としてはよく見かけるものですが、内容は非常にわかりやすいです。

今後、起こるであろう出来事をわかりやすくまとめられており、参考になります。

大切なのは、この本を読んでいかなる準備をするかです。

読んだだけでは人生は1ミリも変わりません。

おすすめです。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

日本で最大級の雇用を確保してきた自動車産業で構造崩壊が起き、同様に小売業で多くの職場が倒産の危機に瀕していく。さらにITとAIは正社員の仕事を奪い、年金制度の崩壊にともなって高齢者になっても働き続けなければ生活が成り立たない。その先にあるのは『まじめに働くことで報われる社会の崩壊』です。同時に気候変動による災害、新型の疫病の蔓延など、ふいにそれまでの安定した生活が終わることを多くの国民が経験をしていく時代でもあります。『安定した未来の崩壊』も同時に起きるのです。」(261頁)

人生も社会も、これまで以上に激しい変化に晒されることになるのはほぼ間違いありません。

このブログでは幾度となく書いていることですが、私たちの親世代、つまり昭和時代の常識は、残念ながら令和時代にはあてはまらないと思った方が無難ですし現実的です。

35年間、安定的に給料がもらえて、ボーナスもしっかり出るなんて保証はもはやどこにもありません。

1年後のことだって予想できないのに・・・35年間の安定なんてもはやファンタジーです。

モノを所有するとそれを失うまいと、所有するまで抱くことのなかった不安を抱えることになります。

私は、簡単に手放すことのできないモノを持つことは、変化の激しい時代において大きなリスクであると思っています。

解雇331 懲戒解雇を有効に行うために必要なこととは?(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間がんばりましょう。

今日は、不正ダウンロード等を理由とする懲戒解雇等の有効性に関する裁判例を見てみましょう。

本多通信工業事件(東京地裁令和元年12月5日・労判ジャーナル100号54頁)

【事案の概要】

本件は、Y社の元従業員Xが、譴責、減給並びに諭旨退職及び懲戒解雇の各懲戒処分の無効確認を求めるとともに、労働契約に基づき、未払賃金等の支払を求めた事案である。

【裁判所の判断】

請求棄却

【判例のポイント】

1 本件懲戒解雇の有効について、本件メールは、Y社の代表取締役等の役員を誹謗中傷し、これらの者や賞罰委員会の構成員を威嚇又は挑発する内容のものというべきであり、また、Xは、Y社からの度重なる指示に従わず同様の行為を繰り返しており、Xが本件メールを送信した行為は、就業規則所定の「他人を中傷または誹謗し名誉・信用を傷つけ損ないもしくは秩序を乱す流言飛語を行ったとき」、「経営に著しく非協力なとき、もしくは業務上の指揮命令に不当に反抗し誠実に勤務しないとき」、「その他、再三注意するも規律、義務に違反したとき」に該当するというのが相当であり、また、Xは、私用であるヤフーメールにアクセスし、ヤフーメールを作成中の状態にした上で、ヤフーメールの添付ファイルとして、X社内パソコンの「PC纏め」という名のフォルダから、Y社の社内情報(Xの給与明細、Y社の経営方針、暗証番号等)をアップロードし、アップロードを完了した。当該アップロードは、就業規則所定の「経営に著しく非協力なとき、もしくは業務上の指揮命令に不当に反抗し誠実に勤務しないとき」、及び「その他、再三注意するも規律、義務に違反したとき」に該当するというのが相当である。

ポイントは、「度重なる指示に従わず同様の行為を繰り返しており」という点です。

解雇を選択する前には必ず顧問弁護士に相談の上、慎重かつ適切に対応することが肝心です。決して、素人判断で進めないようにしましょう。

本の紹介1072 知らないと後悔する定年後の働き方(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間お疲れさまでした。

今日は本の紹介です。

この本を定年後に読んでも完全に手遅れです(笑)

その前にどのような準備をしたらよいかという話です。

とてもわかりやすく書かれており、参考になります。

おすすめです。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

誰しも『自分は大丈夫』とどうしても思いがちですが、現役時代に世間水準の年収を得ていた人でも、病気や事故、あるいは熟年離婚による財産分与、子どもの引きこもりなどの理由により、簡単に下流老人化する姿が本書ではリアルに描かれています。迫りくる年金改革に対応し(支給開始年齢の後ろ倒し化&支給水準の低下)、また、自分が下流老人とならないためにも、これからは国や会社に寄りかかるだけではなく、年齢にかかわらず働きつづけるシナリオを、各自持っておくことが必要不可欠といえるでしょう。」(24頁)

私は、早晩、「老後」という概念は消滅すると思っています。

トランプさんや麻生太郎さんのように元気なうちはずっとばりばり仕事をするというのが理想です。

定年も年金制度や労働力不足との関係でどんどん引き上げられますから、親の世代の「老後」とは状況が大きく異なります。

このような時代においては、元気でいること、自分の価値を高める努力を続けること、生き甲斐に思える仕事をすることが今まで以上に大切なのではないかと思います。

賃金196 固定残業制度が有効と判断される場合とは?(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、固定残業手当の合意の有無と配転命令の可否に関する裁判例を見てみましょう。

ソルト・コンソーシアム事件(東京地裁令和元年12月6日・労判ジャーナル100号52頁)

【事案の概要】

本件は、Y社の元従業員Xが、会社在職中の平成28年1月稼働分から平成29年8月稼働分までの間の時間外・深夜・休日労働の割増賃金に未払いがあるなどと主張して、Y社に対し、労働契約に基づき、割増賃金約680万円等の支払を求め、労働基準法114条に基づき、同額の付加金等の支払を求め、Xに対する違法な配転命令があったなどと主張して、不法行為に基づき、慰謝料100万円等の支払を求めた事案である。

【裁判所の判断】

未払割増賃金等請求は認容

配転命令に関する不法行為に基づく損害賠償請求は棄却

【判例のポイント】

1 Y社は、本件固定残業代の合意が認められるべき旨主張するところ、証人Dは、Xの採用面接時に、Xに時間外手当等の説明をした旨証言するが、Xとの2度にわたる面接のいずれにおいても各手当の具体的な金額を説明していないことを自認し、かかる合意内容を証する雇用契約書や労働条件通知書の作成もしていないところであって、その証言はたやすく措信できるものではなく、また、Y社は、本件雇用契約書を作成したことによって、Xが本件固定残業代の合意を追認したとみるべきであるなどとも主張するが、本件雇用契約締結時において本件固定残業代の合意を認めることができない以上、その変更は労働者であるXの労働条件の不利益変更に該当し、その不利益性に係る変更内容の具体的説明のない本件において、これがXの自由な意思に基づいてされたものとは認め難く、かかる不利益変更を有効とみる余地もないから、いずれにしても会社の主張は採用できない。

2 Xは、X・Y社間に、職種等の限定を含む本件限定合意が成立していた旨を主張し、本件配転はこれに反するものであった旨主張するが、この点を裏付ける的確な証拠はないから、採用することができず、また、Xは、Y社において配転命令権の濫用があった旨の主張もするが、業務上の必要性がおよそなかったことやXに著しい不利益が生じたとみるべきことを根拠付けるに足らず本件配転の時期が、XがY社に残業代の請求をした後であったからといって直ちにこれが不当な動機・目的に出たものであったとも認めるに足りず、損害も認めるに足りないから、不法行為の成立をいうXの主張は採用することができない。

いまだに固定残業制度についての争いが数多く起こっています。

残業代の消滅時効が延びており、いずれ5年になった際に、今と同じように有効要件を欠く固定残業制度を使い続けている会社は、とんでもないことになります。

今のうちに制度を見直すことを強くおすすめします。

残業代請求訴訟は今後も増加しておくことは明白です。素人判断でいろんな制度を運用しますと、後でえらいことになります。必ず顧問弁護士に相談をしながら対応しましょう。

本の紹介1071 フォーカス!(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は本の紹介です。

タイトルのとおり、「フォーカス」することの重要性をこれでもかという程に説いています。

表紙には「『製品ラインの拡大』『経営の多角化』はやがて企業を滅ぼす!」と書かれています。

フォーカスせよ!ということです。

おすすめです。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

この世には、万人にアピールする製品やサービスは存在しない。他人と違っていたいと思う人や、多数派が欲しがらないものを選ぼうとする人が必ずいる。・・・万人にアピールしようとするのは、ビジネスが陥る最大のミスのひとつである。自分の得意分野を確保し、それ以外のすべて排除してしまうのが正解だ。」(372頁)

さまざまな本で書かれていることではありますが、実践できる人、会社はそれほど多くありません。

勇気をもってターゲットを絞ることによって、サービス内容にエッジが生まれるのです。

なにごとも中途半端が一番よくありません。

万人から好かれようとする体質を脱することができるかが鍵です。

万人から好かれるなんてのは、完全に幻想です。

賃金195 賃金引下げが有効と判断されるためには?(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、賃金引下げ無効未払賃金等支払請求に関する裁判例を見てみましょう。

MASATOMO事件(東京地裁令和2年1月24日・労判ジャーナル100号44頁)

【事案の概要】

本件は、Y社の従業員であったXが、Y社から、在職中に無効な賃金額の引下げを受け、その引下げ相当額について未払があるほか、Y社において時間外・深夜労働に従事していたところ、時間外労働等に係る割増賃金に未払があるなどと主張して、労働契約に基づき、本件引下げに係る未払賃金92万円等、平成26年6月から平成28年5月までの間の稼働分に係る未払の割増賃金148万円等の支払を求めるとともに、労働基準法114条に基づき、付加金162万円等の支払いを求め、併せ、不法行為に基づき、不当解雇に基づく損害賠償金として損害金500万円等の支払を求めた事案である。

【裁判所の判断】

Y社は、Xに対し、未払賃金179万6371円+遅延損害金を支払え

Y社は、Xに対し、付加金31万7712円+遅延損害金を支払え

Y社は、Xに対し、慰謝料40万円+遅延損害金を支払え。

【判例のポイント】

1 本件賃金引下げは、従前Xが受領していた基本給額を約15パーセントも減らすものであったものであり、その下げ幅は大きく、しかも、その賃金引下げ措置が解かれる具体的な目処ないし期限も設けられておらず、恒久的措置としてとられたものと評価せざるを得ず、その不利益性は強いといわざるを得ないところであって、Xが基本給減額(既に発生している賃金の放棄を含む。)に同意し、かつ、その同意が原告の自由な意思に基づいてされたものと認めるに足りる合理的な理由が客観的に存在するとも認め難い
この点、Xが直ちに異議を申し述べてこなかった事実があったとしても、服属的関係にある労働者の使用者に対する地位ないし力関係にも鑑みれば、この点から直ちに原告が本件賃金引下げに同意したなどと推認することも相当とはいえない
 
2 Y社には就業規則は設けられておらず、本件労働契約において休職期間満了による退職制度が設けられていたとは認め難い
ところで、本件においてY社は、本件労働契約の終了原因につき、休職期間満了による通知(本件退職通知)が解雇であることは主張せず、その終了原因として休職期間を経過したことによる自動退職のみを主張するものであるところ、Y社には、従業員に対して一定の休職期間を一方的に定め、復職がないままその期間を満了したときに自動退職をさせることのできる労働契約上の権限があるということはできないから、本件退職措置は、権限なくされたものとして無効というほかない。もっとも、Y社は、本件において本件退職措置により本件労働契約が平成28年8月末日をもって終了する旨主張しているところ、Xも、現時点において、その契約終了の効力を争うものではないから、本件労働契約はその時点をもって終了したと認めるのが相当というべきところ、前判示したところに照らせば、これはY社の違法な本件退職措置によるものと認めるべきであり、かつ、本件労働契約上、そのような退職措置をとるべき根拠がないことはY社においても自明で、その認識を持ち得べきものといえるから、そのような行為に及んだ点につき、過失があることも明らかである。
したがって、Y社は、Xに対し、不法行為に基づき、かかる違法な所為によりXについて生じた損害を賠償すべき責任原因があるというべきである。

上記判例のポイント1は、労働条件の不利益変更における裁判所の典型的な判断方法です。

労働事件では頻出の争点ですので、しっかり押さえておきましょう。

日頃から顧問弁護士に相談しながら適切に労務管理を行うことが大切です。

本の紹介1070 コロナショック・サバイバル(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間がんばりましょう。

今日は本の紹介です。

まだまだ長引きそうなコロナショックをいかにサバイブするのか。

暴風雨の中、いかに船を転覆、沈没させないで乗り切るかが書かれています。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

一般社員からの目や人望を気にして、急に社員食堂で食事を始めたり、現場社員との車座行脚を始めたり、電車で通勤したりする経営者はヤバい。会社や事業の生死がかかっている、自分や家族の生活や人生がかかっている時に、社員は経営者が『いい人』かどうか、『人望』があるかどうかに関心なんて持っていない。この窮地をリアルに脱する的確な判断力、行動力、胆力のありそうな人物についていくものだ。」(62頁)

ですって(笑)

まあ確かに「いい人」で「人望」があっても、船を沈没させては船員としては元も子もありません。

波が穏やかなときは、誰でも船長は務まります。

荒波のときこそ、船長の舵取りにかかっているのです。

まさに的確な判断力、行動力、胆力が試されていると言えます。

解雇330 試用期間中の解雇(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間お疲れさまでした。

今日は、試用期間中の解雇に関する裁判例を見てみましょう。

MAIN SOURCE事件(東京地裁令和元年12月20日・労判ジャーナル100号46頁)

【事案の概要】

本件は、Y社との間で雇用契約を締結していたXが、試用期間中に行われたY社による解雇が無効であると主張して、雇用契約上の権利を有する地位にあることの確認を求めるとともに、雇用契約に基づく賃金支払請求として平成30年8月以降本判決確定日まで毎月10日限り月額20万円(ただし,平成30年7月分については既払額を控除した残額である19万0480円)+遅延損害金の支払を求め、併せて、本件解雇が不法行為に該当し、また、Y社には職場環境配慮義務違反があると主張して、不法行為に基づく損害賠償請求として110万円(慰謝料100万円、弁護士費用10万円)の支払を求める事案である。

【裁判所の判断】

請求棄却

【判例のポイント】

1 Xは、作業日報の記載方法や記載内容について説明を受けていたにもかかわらず、作業日報の問題点欄や今後の対策欄に何の記載もしなかったり「なし」とのみ記載したり、予定作業内容欄に簡略な記載しか行わないなど、Y社が求める記載方法や記載内容とは異なる方法で作業日報を作成しており、これについてBマネージャーやCからの指示、指導がされても改善されないといったことがあったことに加え、作業日報の作成時間等を巡ってY社側と意見を対立させた挙句、平成30年6月1日にはY社代表者に対して原田メソッドがXの思想良心の自由を侵害する違法なものであるから紹介をやめるよう求め、意見を聞き入れなければ訴える等と告げているのであって、BマネージャーがXの作業日報に記載しているXに対する肯定的な評価を踏まえても、Xに協調性がないとY社が判断したことはやむを得ないものといえる。
加えて、XがY社への就職内定後、Y社から借りた本件トラックを使用中に、結果として100万円以上の損害をY社に被らせた本件物損事故を起こしたにもかかわらず、事故後速やかな警察への連絡も、Y社への連絡、報告、相談も行っておらず、その後、本件トラックの損傷状況がY社に明らかになった後も、Y社からの要請があって初めて具体的な事故状況の報告を行ったり、本件物損事故の現場の調査を行っているといった不十分な対応しかとっていないことを、その後のXの作業日報に関するやりとりと併せて考えれば、Y社において大切なこととされている「報告・連絡・相談」をXが適切に行うことができないものと評価することもやむを得ないといえる。

2 Y社における業務内容が、複数の工程を限られた従業員(平成30年9月当時の従業員数は9人にすぎない)で分担して行うものであって、また、作業内容が技術的事項にわたるものであってOJTによる習熟を前提としていることからすれば、協調性や、適切な報告・連絡・相談の実施は、Y社の従業員として求められる適性であると解されるのであって、平成30年4月16日の採用内定後に発覚した上記事情によりXが上記適性を欠くと評価できる以上、Y社が留保解約権を行使することには客観的に合理的な理由が存在し、また、上記経緯に照らせば、その行使は社会通念上も相当と認められる。

3 Y社は原田メソッドの考え方をY社の経営理念、経営方針に取り入れているにすぎず、また、作業日報は、Y社従業員の作業実態を踏まえ、各従業員の作業内容及び進捗状況の確認、作業時間、作業結果等に基づく習熟度の把握、業務の効率化等の就業意識の向上等を目的として作成を義務付けられているものであり、求められている記載内容も、Y社従業員において、日々の業務において気づく力を養い、自らの技術の精度を向上させ、より質の高い製品の製作を実現するとともに、各従業員を自立型社員へと育成するためのものであって、営利企業であるY社において上記目的をもって上記記載を求めることは必要なものと言えるから、不要、困難な記載を求めるものでも、思想良心の自由を侵害するものでもない。その他に、Y社が職場環境配慮義務に違反していることを認めるに足りる証拠はない

上記判例のポイント1のような事情についてしっかり証拠化しておくことが大切です。

解雇を選択する前には必ず顧問弁護士に相談の上、慎重かつ適切に対応することが肝心です。決して、素人判断で進めないようにしましょう。