解雇321 商品持ち帰り行為を理由とする懲戒解雇が無効とされた事例(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、商品持ち帰りを理由とする懲戒解雇の有効性に関する裁判例を見てみましょう。

ロピア事件(横浜地裁令和元年10月10日・労判ジャーナル94号52頁)

【事案の概要】

本件は、Y社が経営するスーパーマーケットで勤務していたXが、商品を会計せずに持ち帰ったことを理由になされた懲戒解雇について、これが無効であると主張して、労働契約上の権利を有する地位にあることの確認、懲戒解雇後の平成30年8月分の未払賃金として約31万円、同年9月以降の未払賃金として月額約36万円、未払賞与として約40万円の支払を求めるとともに、Y社が経営する店舗において、Xの氏名を明記して上記懲戒解雇の事実を公表したことが名誉毀損の不法行為に該当すると主張し、慰謝料等330万円の支払いを求め、さらに就労期間中の未払残業代合計約186万円等、付加金約96万円等の支払を求めた事案である。

【裁判所の判断】

懲戒解雇無効

損害賠償請求一部認容

未払賃金等支払請求一部認容

付加金等支払請求認容

【判例のポイント】

1 本件で懲戒事由の対象となった客観的行為は、Xが精肉商品を精算しないまま持ち帰ったことであり、Xが本件持ち帰り行為を行ったこと自体について、当事者間に争いはないが、Y社は本件持ち帰り行為が故意の窃盗行為であることを前提に、就業規則67条1項12号又は13号の懲戒事由に該当すると主張するが、本件持ち帰り行為は、Xが、精肉商品を精算未了のまま店外へ持ち出した一回の行為であり、その外形自体、精算を失念して商品を持ち出してしまったとのXの説明と矛盾するものではなく、本件持ち帰り行為そのものが、Xに窃盗の故意があったことを積極的に裏付けるとはいえず、また、Y社は本件持ち帰り行為が買い物ルールに違反するとして、予備的に就業規則67条1項5号、6号又は18号に該当すると主張するが、対象行為が上記各号に該当するかは疑問があり、少なくとも、故意による窃盗行為よりも比較的軽微な違反行為に対し、不相当に重い処分がなされたものといえるから、本件懲戒解雇及び本件予備的解雇意思表示は、いずれも、客観的合理的理由を欠き、社会通念上相当であると認められず、無効である。

2 Xは、本件掲示がXの社会的評価を低下させる名誉毀損に当たり、不法行為が成立すると主張するが、本件掲示は、本件持ち帰り行為についてXの実名を挙げて「窃盗事案が起きました」「計画性が高く、情状酌量の余地も認められない」「本事案は刑事事件になります」などと記載し、全体として見ると、Xが故意に商品を精算せず持ち帰り、窃盗行為をしたとの事実を摘示するものであること等から、本件掲示は、Xの社会的評価を低下させる事実を摘示するものであり、不法行為に該当する。

客観的に見ると、窃盗という犯罪行為のため、懲戒解雇をしたくなる気持ちは理解できます。

しかし、本件のような判断があり得ることを十分理解しなければなりません。

また、上記判例のポイント2のような掲示行為については名誉毀損と判断され、損害賠償請求をされますので注意が必要です。

解雇を選択する前には必ず顧問弁護士に相談の上、慎重かつ適切に対応することが肝心です。決して、素人判断で進めないようにしましょう。

本の紹介1010 DEEP WORK(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は本の紹介です。

サブタイトルは、「大事なことに集中する」「気が散るものだらけの世界で生産性を最大化する科学的方法」です。

メール、ライン、SNS、ネット・・・気が散るものを挙げたらきりがありません。

そんな時代だからこそ、1つのことに集中するための工夫が必要になってきます。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

『私は常にインターネットに接続し、メールをチェックしていた。抑えられない衝動だった。』ベンは金融機関を辞めるまでそうだったと言った。彼は与えられたプロジェクトのことを明かす。『事業プランをつくるよう求められた』がつくり方を知らなかったので、これまでの五つのプランに目を通した。だが、問題があった。『集中できなかった』。ほぼ一分ごとにネットをチェックしていた。プロジェクトは新人として彼が頭角を現すチャンスだったのに、失敗した。」(12頁)

こういう人、いますよね(笑)

1日に何百回、ラインをチェックしているのかと(笑)

3分おきに携帯をチェックしていたら、集中なんてできるわけがありません。

とはいえ、もはや携帯をチェックするという「くせ」が完全に身体に染みついてしまっているので、強制的に携帯をいじれないようにする以外に改善することはほとんど不可能ではないでしょうか。

習慣というのは良くも悪くも強力なものです。

わかっちゃいるけどやめられない。これこそが習慣です。

集中力の差がそのまま成果に表れているような気がします。

同一労働同一賃金14 大学非常勤講師と専任教員との間の同一労働同一賃金問題(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、大学非常勤講師への賞与、家族手当、住宅手当等の不支給が労働契約法20条に違反しないとされた裁判例を見てみましょう。

学校法人C事件(東京地裁令和元年5月30日・労経速2398号3頁)

【事案の概要】

本件は、C大学等を設置し、運営する学校法人であるY社との間で期間の定めのある労働契約を締結し、当該労働契約に基づいて本件大学の非常勤講師として現に就労しているXが、Y社との間で期間の定めのない労働契約を締結している本件大学の専任教員との間に、本俸の額、賞与、年度末手当、家族手当及び住宅手当の支給に関して、労働契約法第20条の規定に違反する労働条件の相違がある旨を主張して、Y社に対し、不法行為に基づく損害賠償請求として、本件大学の専任教員に適用される就業規則等により支給されるべき賃金と実際に支給された賃金との差額の合計2308万8614円+遅延損害金並びに弁護士費用相当額230万8861円+遅延損害金の支払を求めるとともに、本件大学の法学部長であったY社補助参加人らがXを本件大学の専任教員として採用することを約束したことにより、XとY社がXを本件大学の専任教員として雇用することについての契約締結段階に入ったにもかかわらず、Y社が上記の約束を破棄した等と主張して、Y社に対し、主位的には債務不履行に基づく損害賠償請求として、予備的には不法行為に基づく損害賠償請求として、慰謝料500万円及び弁護士費用相当額50万円+遅延損害金の支払を求めた事案である。

【裁判所の判断】

請求棄却

【判例のポイント】

1 Xと専任教員との間には、本俸額について約3倍の差があったものと解される。しかしながら、そもそも、非常勤講師であるXと専任教員との間には、その職務の内容に数々の大きな違いがあるものである。このことに加え、一般的に経営状態が好調であるとはいえない多くの私立大学において教員の待遇を検討するに際しては、国からの補助金額も大きな考慮要素となると考えられるところ、専任教員と非常勤教員とでは補助金の基準額の算定方法が異なり、その額に相当大きな開きがあることや、Xを含む本件大学の非常勤講師の賃金水準が他の大学と比較しても特に低いものであるということができないところ、本件大学においては、団体交渉における労働組合との間の合意により、非常勤講師の年俸額を随時増額するのみならず、廃止されたコマについても給与額の8割の支給を補償する内容の本件非常勤講師給与規則第3条5項を新設したり、Xのように週5コマ以上の授業を担当する非常勤講師について私学共済への加入手続を行ったりするなど、非常勤講師の待遇についてより高水準となる方向で見直しを続けており、Xの待遇はこれらの見直しの積み重ねの結果であることからすると、Xが本件大学においてこれまで長年にわたり専任教員とほぼ遜色ないコマ数の授業を担当し、その中にXの専門外である科目も複数含まれていたことなどといったXが指摘する諸事情を考慮しても、Xと本件大学の専任教員との本俸額の相違が不合理であると評価することはできないというべきである。

2 Y社は、本件大学の専任教員のみに対して賞与及び年度末手当を支給していたものである。しかしながら、これらは、Y社の財政状態及び教職員の勤務成績に応じて支給されるものであるところ、上記において指摘した各事情に加え、本件大学の専任教員が、授業を担当するのみならず、Y社の財政状況に直結する学生募集や入学試験に関する業務を含む大学運営に関する幅広い業務を行い、これらの業務に伴う責任を負う立場にあること(それ故に、本件大学の専任教員は、Y社との間の労働契約上、職務専念義務を負い、原則として兼職が禁止されている。また、大学において一定数以上の専任教員を確保しなければならないとされていることも、専任教員がその他の教員と異なる重要な職責を負うことの現れであるということができる。)からすると、Y社において、本件大学の専任教員のみに対して賞与及び年度末手当を支給することが不合理であると評価することはできないというべきである。

私立学校という特殊性が考慮されているので、この判断をそのまま民間企業にあてはめることは難しいですが、この分野の考え方の参考にはなります。

この分野は判断が難しいので顧問弁護士に相談しながら対応しましょう。

本の紹介1009 GIG WORK(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間がんばりましょう。

今日は本の紹介です。

タイトルからすると、「働き方」に関する本のように思えますが、実際には、それを超えた「生き方」に関する本です。

今の時代をどう見るべきか、どう生きるべきかという著者の考えが詰まっています。

とても参考になります。

おすすめです。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

結局は『何を言うかより、誰が言うか』だ。今の時代は簡単にコピーが可能だ。コピー&ペーストが簡単だからこそ『何を言うか』というのは重要でなくなってきてしまっている。『誰が言うか』というのは、すなわちコンテクストをつくる重要な構成要素なわけだ。コンテンツの価値を決めるのはコンテクストで、その中の重要な構成要素の一つが『誰』だということ。」(138頁)

まさにそのとおり。

もはや情報、知識は溢れかえっているわけです。

溢れかえっているからこそ、どの情報を選択したらいいのかがわからなくなっているのです。

だからこそ、道しるべになる人が何を言うかこそが価値を持つのです。

セカンドオピニオンを聞かれているようでは話にならないのですよ(笑)

解雇320 能力不足を理由とする解雇と訴訟における立証方法(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間お疲れさまでした。

今日は、能力を著しく欠くことを理由とする解雇の有効性に関する裁判例を見てみましょう。

豊田中央研究所事件(名古屋地裁令和元年9月27日・労判ジャーナル94号64頁)

【事案の概要】

本件は、元研究員Xが、Y社に対し、普通解雇が無効であるとして、地位確認を求め、本件解雇後の賃金及び慰謝料等を請求した事案である。

【裁判所の判断】

請求棄却

【判例のポイント】

1 Xは、Y社より、本件出勤停止処分を重く受け止め、反省し、今後は職務に専念することを求める旨、Y社が指示している業務は「中研におけるCAE・シミュレーション研究の業務報告書調査」であるから指示された業務への従事を求める旨の指導を受け、その後も、複数回、同様の指導を受け、執務室で業務を実施するよう指示を受けたが、本件解雇に至るまで、指示された業務を実施する職場環境にない、職場環境を改善する必要があるので指示された業務を実施する時間はない等との独自の見解により、指示された業務を全く行わなかったものであり、かかるXの態度は、自らの独自の見解に固執し、Y社の指示、指導を受け入れないもので、将来の改善も見込めない状態であったといえ、他の部署に異動した場合に改善が見込まれるとも考えにくく、また、他の部署に異動した場合の改善の余地もないというべきであるから、Y社が、就業規則41条1号(研究所員としての能力を著しく欠くとき)に該当するとして行った本件解雇は、客観的に合理的な理由が認められ、社会通念上相当であり、解雇権濫用には当たらないから、有効である。

このような一連の流れについて、訴訟になった際に、立証できるように準備しておくことが極めて重要です。

口頭だけでの注意・指導では、いざというときに立証ができません。

解雇を選択する前には必ず顧問弁護士に相談の上、慎重かつ適切に対応することが肝心です。決して、素人判断で進めないようにしましょう。

本の紹介1008 ファイブ・ウェイ・ポジショニング戦略(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は本の紹介です。

少し前の本ですが、今読んでもとても参考になります。

タイトル通り、いかにして競争優位のポジションを確立すればよいかが書かれています。

すべての項目でトップを目指す必要はないという発想は非常に参考になります。

おすすめです。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

今の時代、ほとんどの車はちゃんと走る。それも、安定した走りっぷりだ。冷蔵庫は食品をきちんと冷やすし、ステレオの音だって良好だ。洗剤は服の汚れを落としてくれるし、ホテルの部屋は清潔で静かである。成熟した経済の消費者は、商品の品質は当然、一定レベルをクリアしているものだと信じている。今日、究極の差別化とブランド構築、ブランドロイヤルティ確立のチャンスを生み出すのは、商品やサービスの提供を通して示される、人としての価値観なのだ。」(38頁)

私たちの仕事も例外ではないと感じています。

法律的な知識を知ること自体は、もはや弁護士がわざわざ回答するまでもなくインターネットで得ることができます。

結局、私たちが提供しているのは、いくつかの選択肢をあるなかで、当該弁護士の価値観・人生観に基づき選択すべき道を助言するというサービスです。

だからこそ、弁護士によって助言内容が異なるのです。

お金が最も大切であるという人もいれば、時間が最も大切であるという人もいます。

相手を赦せる人もいれば、憎み続ける人もいます。

他人に迎合するのではなく、自分が大切だと思っている価値観を商品やサービスを通じて表現すればいいのだと思います。

有期労働契約91 定年後再雇用従業員に対する雇止め(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、定年後再雇用のタクシー運転手の雇止めが有効とされた裁判例を見てみましょう。

すみれ交通事件(横浜地裁令和元年9月26日・労経速2397号30頁)

【事案の概要】

本件は、一般乗用旅客自動車運送事業を営む特例有限会社であるY社において勤務し、又は勤務していたXら7名のうち、①X7を除くXら6名が、Y社に対し、Y社から年次有給休暇の取得を妨害されたとして、雇用契約上の債務不履行に基づき、すでに喪失した年次有給休暇の日額報酬相当分及び年次有給休暇を使用できずに欠勤した日数の日額報酬相当分の損害賠償+遅延損害金の各支払、②X2が、Y社に対し、X2に対する雇止めが違法無効であると主張して、不法行為に基づき300万円の慰謝料+遅延損害金の支払、③X7が、Y社に対し、X7に対する就労拒否が違法無効であると主張して、不法行為に基づき300万円の慰謝料+遅延損害金の支払を求める事案である。

【裁判所の判断】

請求棄却

【判例のポイント】

1 Y社は、X2が平成27年5月16日に危険運転を行い、これに対する反省が見られないことを理由に本件雇止めを行っているところ、X2は、同日、Z6バイパス上において、観光バスの前に割り込む形で車線変更を行い、観光バスがパッシングしたことに対して運転車両を急減速させるなど、危険運転と評価されてもやむを得ない運転行為に及んでおり、これについて警察から注意を受けた際も、自らの非を認めず謝罪や反省をしなかったことが認められる。この点に関しX2は、パッシングされて観光バスに故障等の異変が生じたかと思い、様子を伺うために減速したに過ぎないなどと述べて危険運転の存在を争うが、故障等のトラブルが生じた際にパッシングをして前方の車両に合図を送るというのはいかにも不自然な経緯を述べるものであり、信用できない。むしろ、X2の車両が観光バスの直前に入り込む形で左側車線から車線変更をしていることや、観光バスがあえてドライブレコーダーを解析してX2の車両を特定し、警察に通報したという経緯を踏まえると、X2の運転行為が相応に危険なものであったことが推認される

2 さらに、Z1の供述によれば、X2は、この運転行為が発覚した際、観光バスがパッシングしたから急ブレーキをかけたことを認める発言をしていたとのことであり、労働契約期間満了通知書にも同様の記載が認められることからすれば、X2においても、自らの運転行為が危険なものであったことを認識しながら、謝罪を拒んだものと認められる

3 以上に加えて、X2がB賃乗務員となった後の交通事故発生率が比較的高く、とりわけ本件雇止め直前の雇用期間中の平成26年9月と11月に立て続けに事故を惹起していること、それにもかかわらず前記危険運転行為に及び、これについて反省や今後事故を回避するための方策を真摯に検討する様子が伺えない点を踏まえると、Y社が、今後X2の運転により重大な事故等が発生することを危惧し、前記運転行為について真摯な謝罪や反省がなければ契約の更新を行うことはできないと判断したことは、やむを得ないというべきである。

解雇や雇止めの合理的理由の有無を考える場合、当該従業員の非違行為等の程度とともに、その後の反省、改善に対する姿勢等も加味することになります。

日頃から顧問弁護士に相談しながら適切に労務管理を行うことが大切です。

本の紹介1007 1440分の使い方(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。今週も一週間がんばりましょう。

今日は本の紹介です。

1440分=1日。

いかに時間を大切使うかということを強く感じる本です。

おすすめです。

10代の頃は、人生が永遠に続くかのような錯覚に陥っていましたが、

気づけばもう41歳です。

何歳まで生きられるかわかりませんが、限りある時間をやりたくないことに使いたくないのです。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

・・・それによれば、知識労働者の時間の41%は、必須でない活動、しかも個人の満足感に乏しい、他者でもできる活動に費やされているという。」(144頁)

これを回避するためにはどうしたらよいか。

この本では、「断念・委託・再設計」の3つの方法が紹介されています。

兎にも角にも、「時間をお金で買う」という発想を持てるかどうかです。

なんでもかんでも自分でやっていては、いくら時間があっても足りません。

限りある時間を、自分の得意分野に集中させることでこそ、仕事にエッジが効いてくるのだと思います。

不当労働行為233 組合員に対する不適切発言と不当労働行為(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間お疲れさまでした。

今日は、ストライキに続く年休取得による業務妨害(年休権の濫用)等を理由に組合員を解雇したことが不当労働行為とされた事案を見てみましょう。

保険審査サービス(解雇)事件(大分県労委令和元年7月16日・労判1211号175頁)

【事案の概要】

本件は、ストライキに続く年休取得による業務妨害(年休権の濫用)等を理由に組合員を解雇したことが不当労働行為にあたるかが争われた事案である。

【労働委員会の判断】

不当労働行為にあたる

【命令のポイント】

1 本件解雇までの労使関係と本件解雇の経緯についてみると、B社長は第1回団体交渉において「いや、紛争だと思っていますよ」、第2回団体交渉で組合員のことを「彼は再建の阻害要因でしかない」・・・等の発言をしており、・・・で判断したとおり、平成29年1月4日時点において、組合及び組合員に対する明らかな嫌悪感が認められる。・・・で認定したとおり、その後、会社の最終提案に対する回答、ストライキの実施、それに引き続く年休取得を契機として解雇していることから、B社長は、組合及び組合員の組合活動を嫌悪し、組合員を排除するために行ったものであると推認せざるを得ない

仮に本音ではそう思っていたとしても、それを発言した時点で内容によっては不当労働行為の認定根拠とされてしまいます。

感情的にならず、冷静に対応することが求められます。

組合との団体交渉や組合員に対する処分等については、まずは事前に顧問弁護士から労組法のルールについてレクチャーを受けることが大切です。決して素人判断で進めないようにしましょう。

本の紹介1006 医者が教える食事術2 実践バイブル(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は本の紹介です。

以前紹介しました「医者が教える食事術 最強の教科書」の続編です。

著者は「健康に必要なのはうそを見抜ける『知性』だ!」と説きます。

多くの場合、誤った生活習慣は「無知」に起因します。

正確な情報を知り、実践し続けることができれば、人生が変わります。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

私たち人間の思考にはバイアスがかかっており、どうしても『自分の信じていることが正しい』という思いに引きずられます。誰だって、『それまで信じていたことが間違いだった』と知るのはつらいものです。・・・しかし、本当に健康にいい食事を摂ろうと考えるなら、そういう思考からは自由になるべきです。」(10~11頁)

これは食事に限ったことではなく、あらゆることに妥当します。

これまで当たり前だと思っていたことが、ある日突然、間違いだったとわかることがあります。

そんなときは、柔軟に思考や生き方を変えていくほうが、生きやすいです。

何かに縛られて生きるのは、息が詰まります。

その時にそうしたかったからそうしました、みたいな生き方のほうが楽しいのです。