本の紹介854 死ぬこと以外かすり傷(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は本の紹介です。
死ぬこと以外かすり傷

見城社長が代表を務める幻冬舎の編集者の箕輪さんの本です。

飛ぶ鳥を落とす勢いというのはこういう方に使う言葉なのだと思います。

タイトル通り、「死ぬこと以外かすり傷」と思っていろんなことに挑戦してみることが大切だということがよくわかります。

おすすめです。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

与えられた仕事を段取りどおりにこなす。そうすれば失敗しても大きな傷は負わないだろう。しかし、そんな予定調和からは何も生まれない。無理と言われたら突破する。ダメだと言われたら強行する。僕は半ば意識的に予定調和を破壊する。・・・社会不適合者だと後ろ指をさされても、これでいいのだ。いや、こうでもしないと、周りも自分も弛緩してしまう。」(36頁)

みんながみんなできることではありませんが、こういう人が成功するのです。

あえて「予定調和」を壊すということを意識しているのでしょう。

「無難にこなす」という馴れ合いの世界から飛び出す勇気と行動力があるかどうか。

ただそれだけのことです。

有期労働契約83 19年間更新を繰り返した後の雇止めの有効性(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、約19年間更新を繰り返した教諭に対する雇止めの適法性に関する裁判例を見てみましょう。

公益財団法人東京横浜独逸学園事件(横浜地裁平成29年11月28日・労判1184号21頁)

【事案の概要】

本件は、公益財団法人であるY社が設立、運営する在外ドイツ学校たるA学園に雇用され、契約の更新を経て主にB語の教諭として本件学園に勤務していたXが、Y社により平成27年8月以降の雇用契約の更新がなされず、雇止めを受けたことにつき、Xには労働契約法19条1号又は2号の適用があり、上記雇止めは客観的合理的理由を欠き、社会通念上不相当であるから無効であるとして、Y社における労働契約上の権利を有する地位の確認並びに雇止めがなされた平成27年8月以降の賃金+賞与+遅延損害金の支払を求める事案である。

【裁判所の判断】

雇止めは無効

【判例のポイント】

1 ・・・契約更新に関する契約書について、その作成の有無は不明であるものの、それ以外の契約の締結及び更新については契約書を交わし、更新に当たっては、更新の希望の有無や希望する担当時間数等を記載した書面を提出していたことなどからすれば、更新の手続が形骸化していたとまではいえない
以上から、本件において、Y社がXとの労働契約を締結しなかったことが、期間の定めのない労働契約を終了させることと社会通念上同視できるとまでは認められず、Xに対する本件雇止めが労契法19条1号に該当するとは認められない。
しかしながら、XとY社は、上記のとおり、約19年間という長期にわたり、合計12回という多数回の契約更新を行ったこと、XがY社における基幹的な労務に従事しており、長期における契約更新も想定されていたことからすると、Xにおいて、XとY社との労働契約が更新されるものと期待することについて合理的な理由があると認められ、しかも、その期待は相当高度なものであったと認められる。
・・・以上から、Xに対する本件雇止めについては労契法19条2号が適用され、同雇止めには客観的合理的な理由があり、社会通念上相当と認められることが必要となる。

2 Y社は、Xとの雇用契約においては、所定労働時間が決まっていないから、民法536条2項の適用はないと主張するが、その趣旨が、Xが同条項で失わない反対給付が特定できないというのであれば、上記認定説示の範囲では、その蓋然性が認められるから、Y社の上記主張は採用できない。また、Y社の上記主張が、同条項の適用要件として所定労働時間が決まっていることを要件とするという趣旨であるとすれば、同項にはそのような限定を付す根拠となるような文言は存在しない上、同項が、本来は債務の履行ができず、反対給付を受けられないところ、債権者の責めに帰すべき事由がある場合に例外的にその反対給付を受けることができることとした趣旨からいって、同項の適用が必ずしも所定労働時間が定めっている場合に限定されるものではないことは明らかであるから、Y社の当該主張はやはり採用することができない。

19年間という相当長期にわたる有期雇用であっても、契約更新手続が形骸化していない場合には、2号事案になるという典型例です。

あとは、合理的理由の有無の判断となります。

日頃から顧問弁護士に相談しながら適切に労務管理を行うことが大切です。

本の紹介853 センスのいらない経営(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間がんばりましょう。

今日は本の紹介です。
センスのいらない経営

著者は、株式会社Gunosyの創業者の方です。

現在は、ブロックチェーン領域の技術開発のための新会社の社長をされています。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

現代は、『やってみる』という実験を繰り返すことができる人、『手数の多い人』が勝つ時代だと思います。・・・決断の総量を増やしていくことが大事なのだと思います。いきなり正しいところにたどり着くことはできません。『この辺りが正しいだろう』と思うところへ向けて進み、その方向を都度決めていく。そうしてジグザグと試行錯誤しながらようやく正解にたどり着けるのだと思います。」(138~139頁)

これがここ最近の成功法則の王道です。

いろんな本で書かれていることですが、「1戦1勝」を目指さないということです。

「100戦10勝」を目指すという感覚が大切だと。

そういう意味では「とにかくやってみる」という姿勢を持てるかどうかでほとんど決まってしまうわけです。

やってみなきゃわからないわけですよ。

賃金160 登録型派遣社員に係る就業規則変更の有効性(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間お疲れ様でした。

今日は、登録派遣添乗員に係る就業規則変更が有効とされた裁判例を見てみましょう。

阪急トラベルサポート(就業規則変更ほか)事件(東京地裁平成30年3月22日・労経速2356号3頁)

【事案の概要】

本件は、Y社に雇用されて添乗員として旅行業を営む会社に派遣され、添乗業務に従事していたXらが、Y社に対し、平成25年10月から平成27年9月までの時間外、休日及び深夜労働の割増賃金+遅延損害金及び付加金+遅延損害金の支払を求めた事案である。

【裁判所の判断】

Y社はX1に対し、19万3951円+遅延損害金、付加金19万3951円+遅延損害金を支払え。

Y社はX2に対し、21万3298円万3951円+遅延損害金、付加金19万3951円+遅延損害金を支払え。

【判例のポイント】

1 Y社とXら登録派遣添乗員との関係は、労働契約期間中は使用者から指揮監督を受ける関係にある常用の労働契約とは異なり、Y社は派遣期間中に限ってXらを雇用する意思であり、常用の労働契約が締結されておらず、形式的には個別の労働契約が繰り返し締結されてきたものである。そのため、形式的には就業規則や労働条件の「変更」という概念そのものには当たらない
しかし、相当期間にわたって同一の労働条件で労働契約の締結を繰り返してきたことに加え、個別の労働契約のうち一定事項は就業規則と同一内容で締結されていたという諸事実を総合考慮すれば、登録派遣添乗員に適用される就業規則は、一定期間継続して派遣労働添乗員との間の労働契約の内容を一律に規律する効力を果たしている実情にある。
したがって、本件においても、労働契約法9条及び10条の趣旨に照らし、就業規則の変更が全く無制約で許されるものではなく、登録派遣添乗員の受ける不利益の程度、労働条件の変更の必要性、変更後の就業規則の内容の相当性、労働組合等との交渉の状況その他就業規則の変更に係る事情を総合考慮し、必要性が乏しいにもかかわらず登録派遣添乗員に大きな不利益を与えるなど著しく不合理な場合には、無効となることもあり得る。もとより、同法10条が予定する就業規則の不利益変更そのものではないため、必ずしも上記事情を全て勘案しなければならない場合もあり、また、同程度の変更の合理性までは必要ない場合もあるというべきである。

2 Xらは、Y社との間で、労基法所定の計算方法による額がその部分を上回るときはその差額を賃金の支払時期に支払う旨の精算合意や精算の実態がない旨主張する。
しかし、固定残業代として支払われた金額が労基法37条等に定められた方法により算定した割増賃金の額を下回るときは、使用者がその差額を労働者に支払う義務を負うことが求められていることは前判示のとおりであるものの、それを超えて精算合意等を必要とする理由はなく、精算合意が必要であるとは解されないから、Xらの主張は採用することができない。

この裁判例はとても重要ですので、是非、判決全文をしっかり読んでおきましょう。

また、最近では、ようやく固定残業代の要件論が落ち着いてきましたので運用がしやすくなりました。

残業代請求訴訟は今後も増加しておくことは明白です。素人判断でいろんな制度を運用しますと、後でえらいことになります。必ず顧問弁護士に相談をしながら対応しましょう。

本の紹介852 人生を変える、お金の使い方(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は本の紹介です。
人生を変える、お金の使い方。

お金の使い方で人生が変わる、というのは全くもって真実です。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

職住近接、職住一致と段階を上がるごとに、収入はどんどんアップしていくのだ。その理由は、やはり妥協なき睡眠の確保がすべての源となっていると、私は確信している。起きている時間を最大限に活用したければ、睡眠の質を高めるしかない。睡眠の質を高めるためには、どれだけお金を使っても無駄にならない。」(104~105頁)

職住近接については私もこだわりを持っています。

仕事を始めてからこれまでずっと、例外なく、職住近接を貫いてきました。

なぜか?

毎日毎日の通勤に時間をとられるのがもったいなくてもったいなくて耐えられないからです。

たかが1日往復1時間だとしても、1年、10年と続けば、その時間は膨大です。

仕事に専念したい、成果を出したいと願う人は、まずは職場の近くに住むことをおすすめします。

人生が間違いなく変わるでしょう。

賃金159 固定残業制度が無効と判断される理由とは?(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、固定残業代に関する規定の有効性を否定し、割増賃金請求を認容した裁判例を見てみましょう。

PMKメディカル事件(東京地裁平成30年4月18日・労経速2355号18頁)

【事案の概要】

本件は、Y社の従業員であったXらが、Y社に対し、労働契約に基づき、時間外労働等に対する未払割増賃金+遅延損害金、付加金の支払を求めている事案である。

【裁判所の判断】

請求の一部認容

【判例のポイント】

1 入社説明会でX1に交付した書面に特殊勤務手当及び技術手当が、時間外労働に対する対価として支給されることを窺わせる記載が一切ないこと、Y社の入社時、Xらの労働条件に関する書面は一切作成されていないこと、Y社が、ホームページの採用情報の給与欄に、本件固定残業代の説明をするようになったのは、平成28年7月以降のことであること、Y社らが当初証人Fの陳述・供述と代表者の陳述・供述と整合しない主張をしていたこと、本件固定残業代に関する規定が、XらとY社らとの間の労働契約の内容として合意されていたことを裏付ける的確な証拠は存在しないことなどから、本件固定残業代に関する規定が、XらとY社らとの間の労働契約の内容として合意されていたと認めることはできない

2 民法153条の催告とは、債務者に対し履行を求める債権者の意思の通知であり、当該債権を特定して行うことが必要であると解されるところ、本件通知には、「5.賃金の未払いについて(1)早出、休憩未取得、残業、休日出勤等に対して、未払いである賃金を支払うこと。」との記載があり、未払賃金の履行を請求する意思があることは明らかである。
本件通知は、民法153条の催告に当たり、Xらは本件通知後、6か月以内に本件訴えを提起しているから、これにより、Y社らが主張する消滅時効は中断している。

固定残業制度に関する裁判例です。

上記判例のポイント1の状況では、まず認められません。

残業代請求訴訟は今後も増加しておくことは明白です。素人判断でいろんな制度を運用しますと、後でえらいことになります。必ず顧問弁護士に相談をしながら対応しましょう。

本の紹介851 最高の毎日を手に入れる人生の10か条(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は本の紹介です。
最高の毎日を手に入れる人生の10か条

物語形式になっています。

ものごとをどう捉えるかがとても大切であるということがよくわかります。

同じ出来事を体験しても人によって感じ方、捉え方が違い、それによって人生の幸福度が大きく異なってくるということです。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

目に見える物質、そして人間の体も、宇宙のすべてはエネルギーでできていると考えられているの。つまり、宇宙に行きる私たちが関係するすべてのものは、エネルギーと切っても切り離せない関係なのよ。何も物理学の勉強をする必要はないわ。必要なのは、人生とエネルギーの関係をよく知ること。誰が自分のエネルギーを高めてくれ、誰がエネルギーを奪ってしまうか、考えてみて。・・・何事もすべて、エネルギーと関係してくるの。考え方や口にする言葉、耳にする音楽、周囲にどんな人がいるかも。」(51頁)

「誰が自分のエネルギーを高めてくれ、誰がエネルギーを奪ってしまうか、考えてみて。」

考えてみて。

自分のエネルギーを高めてくれる人とだけ付き合うべきです。これ絶対。

自分のエネルギーを奪ってしまう人との付き合うのは今すぐやめましょう。

時間がもったいない。

ただでさえ時間がないのに、貴重な時間に自分のエネルギーを奪う人と付き合うなんて、どんだけどMなんだと。

不当労働行為205 ビラ配布に対する会社の警告書送付と不当労働行為(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間がんばりましょう。

今日は、組合員の労災にかかる団交申入れに対する会社の対応および労組のビラ配布等の宣伝活動に対する会社の警告書送付がいずれも不当労働行為に当たらないとされた事案を見てみましょう。

三協技研工業ほか1社事件(神奈川県労委平成30年2月26日・労判1183号90頁)

【事案の概要】

本件は、組合員の労災にかかる団交申入れに対する会社の対応および労組のビラ配布等の宣伝活動に対する会社の警告書送付がいずれも不当労働行為に当たるかが争われた事案である。

具体的には、以下のとおりである。

組合は、Y2社の取引先であるA1社及びA2社の社前等においてビラを配布する等の宣伝活動を行った。Y2社は、組合に対し、再び宣伝活動を行った場合、法的手段を採るとともに、名誉棄損罪および業務妨害罪で刑事告訴する旨記載した警告書を送付した。

【労働委員会の判断】

不当労働行為にあたらない

【命令のポイント】

1 確かに、組合には、憲法28条に基づく団体行動権が保障されている。
しかし、A1社及びA2社は本件労災とは全く関係のない第三者であり、これらの者に対して宣伝活動をしても、本件労災に端を発する一連の問題の解決に直結するものとはいえない以上、Y2社が組合に警告書を送付したことには相応の理由があると認められる。
よって、Y2社が組合に警告書を送付したことは、組合の運営に対する支配介入には当たらない。

会社側の対応としては、難しいところですが、結果としては不当労働行為にあたらないということです。

組合との団体交渉や組合員に対する処分等については、まずは事前に顧問弁護士から労組法のルールについてレクチャーを受けることが大切です。決して素人判断で進めないようにしましょう。

本の紹介850 仕事は、かけ算。(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間お疲れ様でした。

今日は本の紹介です。
仕事は、かけ算。 ~20倍速で自分を成長させる

仕事は、足し算ではなくかけ算であると著者は説きます。

この考え方を具体化できるかどうかが勝負です。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

将来に対する不安を軽減するためには、簡単に減らない資産である教育に自己投資して、『稼ぐ力』を身につけるのが一番です。本当に稼ぐ力があるならば、極端な話、ストックはゼロでもいいくらい。『自分はいつでも稼げるのだ』という自信があれば、金銭的な不安は大幅に解消されます。少なくとも、小金を貯めて、それがなくならないかと心配するよりは、ずっと心の平穏を手に入れられるはずです。」(206頁)

まあ、そういうことです。

順番からすると、貯蓄をいきなり始めるのではなく、自己投資にお金を回し、自分の価値を高めるのです。

価値が上がってくると、それに比例して収入が増えていきます(増えていかなければ、転職すればいいだけです。)。

収入が増えていった後に貯蓄をはじめたほうがよほど効率がいい。

もっとも、この本でも書かれていますが、稼ぐ力がついてくると、今度はあまり貯蓄をする必要がなくなってくるのです。

だって、稼げばいいんだから。といっても、余程の浪費家でない限りは自然とお金は貯まっていくものです。

というわけで、まずすべきは、貯蓄ではなく稼ぐ力をつけるための自己投資ですよ。

解雇281 酒気帯び運転に基づく懲戒免職処分(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、酒気帯び運転等に基づく懲戒免職処分取消請求に関する裁判例を見てみましょう。

鳥取県・鳥取県警察本部長ほか事件(広島高裁松江支部平成30年3月26日・労判ジャーナル78号42頁)

【事案の概要】

本件は、鳥取県警察本部の事務吏員であったXが、職務外で酒気帯び運転及び当て逃げをしたこと等を理由として、鳥取県警察本部長から懲戒免職処分を受けたこと、同処分を受けたことを理由として、同本部長から一般退職手当等の全部を支給しない旨の処分を受けたこと、酒気帯び運転及び安全運転義務違反を理由として、鳥取県公安委員会から運転免許取消処分を受けたことについて、いずれの処分にも鳥取県警察本部長の裁量権の範囲を逸脱し又は濫用した違法があると主張して、鳥取苑に対し、上記各処分の取消しを求めた事案である。

原判決は、Xの上記請求をいずれも認容したため、鳥取県がこれを不服として控訴した。

【裁判所の判断】

運転免許取消処分取消請求は認容

懲戒免職処分等取消請求は棄却

【判例のポイント】

1 飲酒運転が死亡事故等の重大な結果を引き起こしかねない、それ自体危険かつ悪質な行為であること、飲酒運転に起因する事故は後を絶たず、飲酒運転撲滅に向けた社会的要請が高まっていること、本件運転についても、その動機や経緯に特に酌むべき点は全くないこと、本件事故を引き起こし、その後も本件バンパー脱落時には別の箇所で縁石に接触しそうになるなどその走行方法は危険であり、走行距離も短くはなかったこと、Xは、警察組織の一員として、飲酒運転防止に向けた指導及び注意喚起を再三、しかも本件運転の直前の会議でも受けていた中で飲酒運転に及んだものであり、本件運転が他の警察組織職員に心理的な悪影響を与え、警察組織に対する信頼を大きく損ない、社会的な影響も大きいとみられ、本件運転について強く非難されるべきであること等から、本件懲戒免職処分は、鳥取県警察本部長が有する裁量権の範囲を逸脱し又は濫用したものとして違法であるということはできない

2 Xは、交通違反や交通事故さえしなければ飲酒運転は発覚しないものと考え、安易に飲酒運転に及び、本件事故を引き起こすなど危険な状態で約8.3キロメートルも本件車両を走行させ、本件事故後に事故現場を走り去っていること等に照らすと、Xには本件懲戒免職処分以前に前歴や処分歴はなく、勤務成績もおおむね良好であったこと、Xがデリニエーターの被害を弁償したこと等を考慮しても、本件退職手当支給制限処分は、懲戒免職処分の場合に全部不支給を原則とし、一部の支給を制限する場合の検討事項を定めた本件支給基準に反するとはいえないし、鳥取県警察本部長が有する裁量権の範囲を逸脱し又は濫用したものとして違法であるということはできないこと等から、本件退職手当支給制限処分の取消しを求める元職員の請求は、理由がない

高裁で結論が変更された事案です。

職務外とはいえ、警察組織職員ということもあり、厳しい判断となったものです。

解雇を選択する前には必ず顧問弁護士に相談の上、慎重かつ適切に対応することが肝心です。決して、素人判断で進めないようにしましょう。