有期労働契約70 有期労働契約の無期転換移行に関する労働者の期待保護の要否(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、有期労働契約の無期契約移行の可否に関する最高裁判決を見てみましょう。

福原学園事件(最高裁平成28年12月1日・ジュリ1502号4頁)

【事案の概要】

本件はY社との間で期間の定めのある労働契約を締結し、Y社の運営する短期大学の教員として勤務していたXが、Y社による雇止めは許されないものであると主張して、Y社を相手に、労働契約上の地位の確認及び雇止め後の賃金の支払を求める事案である。

原審(福岡高裁平成26年12月12日)は、上記の事実関係等の下で、本件雇止めの前に行われた2度の雇止めの効力をいずれも否定して本件労働契約の1年ごとの更新を認めた上で、要旨次のとおり判断し、本件労働契約が平成26年4月1日から期間の定めのない労働契約に移行したとして、Xの請求をいずれも認容すべきものとした。

採用当初の3年の契約期間に対するXの認識や契約職員の更新の実態等に照らせば,上記3年は試用期間であり、特段の事情のない限り、無期労働契約に移行するとの期待に客観的な合理性があるものというべきである。Y社は、本件雇止めの効力を争い、その意思表示後も本件訴訟を追行して遅滞なく異議を述べたといえる以上、本件雇止めに対する反対の意思表示をして無期労働契約への移行を希望するとの申込みをしたものと認めるのが相当である。そして、Y社においてこれまでの2度にわたる雇止めがいずれも客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当と認められない結果更新され、その後無期労働契約への移行を拒むに足りる相当な事情が認められない以上、Y社は上記申込みを拒むことはできないというべきである。したがって、本件労働契約は無期労働契約に移行したものと認めるのが相当である。

【裁判所の判断】

原判決中、Xの労働契約上の地位の確認請求及び平成26年4月1日以降の賃金の支払請求を認容した部分を破棄し、同部分につき第1審判決を取り消す。

前項の部分に関するXの請求をいずれも棄却する。

【判例のポイント】

1 本件労働契約は、期間1年の有期労働契約として締結されたものであるところ、その内容となる本件規程には、契約期間の更新限度が3年であり、その満了時に労働契約を期間の定めのないものとすることができるのは、これを希望する契約職員の勤務成績を考慮してY社が必要であると認めた場合である旨が明確に定められていたのであり、Xもこのことを十分に認識した上で本件労働契約を締結したものとみることができる。
上記のような本件労働契約の定めに加え、Xが大学の教員としてY社に雇用された者であり、大学の教員の雇用については一般に流動性のあることが想定されていることや、Y社の運営する三つの大学において、3年の更新限度期間の満了後に労働契約が期間の定めのないものとならなかった契約職員も複数に上っていたことに照らせば、本件労働契約が期間の定めのないものとなるか否かは、Xの勤務成績を考慮して行うY社の判断に委ねられているものというべきであり、本件労働契約が3年の更新限度期間の満了時に当然に無期労働契約となることを内容とするものであったと解することはできない
そして,前記の事実関係に照らせば、Y社が本件労働契約を期間の定めのないものとする必要性を認めていなかったことは明らかである。
また、有期労働契約の期間の定めのない労働契約への転換について定める労働契約法18条の要件をXが満たしていないことも明らかであり、他に、本件事実関係の下において、本件労働契約が期間の定めのないものとなったと解すべき事情を見いだすことはできない。
以上によれば、本件労働契約は、平成26年4月1日から期間の定めのないものとなったとはいえず、同年3月31日をもって終了したというべきである。

労働事件特有な労働者保護の考え方を知らない人がこの最高裁判決を読めば、「そりゃそうでしょ。」「そう考える以外に考えようがないんじゃないの。」と思うのではないでしょうか。

無期労働契約への転換に対する労働者の期待が法的保護する値するようなものかどうかがポイントになってきます。

大切なことは、契約内容を明確にすること、更新時の手続きをしっかり行うことなど、プロセスを軽視しないということです。

日頃から顧問弁護士に相談しながら適切に労務管理を行うことが大切です。

本の紹介646 成功する練習の法則(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は本の紹介です。
成功する練習の法則―最高の成果を引き出す42のルール

サブタイトルは、「最高の成果を引き出す42のルール」です。

全米で話題のカリスマ教師が明かす、ビジネスに活かせる最強メソッド」だそうです。

間違った練習をいくらしても上達しません。

この本では、どうやったら成功する練習ができるのか、正しい練習のしかたとは何かを教えてくれています。

先生やコーチにはとても参考になる本だと思います。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

勝ちたいという意志は誰もが持っているが、勝つための準備をするだけの意志を持っている人はほとんどいない。-ボビー・ナイト」(15頁)

成功したいという気持ちが強いかどうかは問題ではないと思っています。

成功するためにどれだけの準備、どれだけの努力をすることができるかが問題なのです。

大きな目標を掲げても、それに見合う準備・努力をしなければ結果など出るはずがありません。

人が休んでいるときにどれだけ準備・努力できるか。

今も昔もそこで勝負がついているのだと確信しています。

賃金125 時間外労働の限度基準を超える固定残業代の有効性(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間がんばりましょう。

今日は時間外労働の限度基準を超える業務手当(定額残業手当代)が有効とされた裁判例を見てみましょう。

コロワイドMD(旧コロワイド東日本)事件(東京高裁平成28年1月27日・労判1171号76頁)

【事案の概要】

本件は、Xが、Y社に対し、在職中の時間外、休日、深夜労働等についての割増賃金及び付加金を請求した事案である。

【裁判所の判断】

控訴棄却

【判例のポイント】

1 Xは、Y社が業務手当は月当たり時間外労働70時間、深夜労働100時間の対価として支給されているとするが、平成10年12月28日労働省告示第154号所定の月45時間を超える時間外労働をさせることは法令の趣旨に反するし、36協定にも反するから、そのような時間外労働を予定した定額の割増賃金の定めは全部又は一部が無効であると主張する。
しかし、上記労働省告示第154号の基準は時間外労働の絶対的上限とは解されず労使協定に対して強行的な基準を設定する趣旨とは解されないし、Y社は、36協定において、月45時間を超える特別条項を定めており、その特別条項を無効とすべき事情は認められないから、業務手当が月45時間を超える特別条項を定めており、その特別条項が月45時間を超える70時間の時間外労働を目安としていたとしても、それによって業務手当が違法になるとは認められない

2 また、Xは、36協定で特別条項が設けられていたとしても、臨時的な特別な事情が存在し、Y社が組合に特別条項に基づき時間外労働を行わせることを通知し、特別条項により定められた制限の範囲内でなければ特別条項に基づく時間外労働として適法とは認められないから、特別条項の要件を充足しない時間外労働を予定した業務手当の定めは無効であると主張する。
しかし、業務手当が常に36協定の特別条項の要件を充足しない時間外労働を予定するものであるということはできないし、また、仮に36協定の特別条項の要件を充足しない時間外労働が行われたとしても、割増賃金支払業務は当然に発生するから、そのような場合の割増賃金の支払も含めて業務手当として給与規程において定めたとしても、それが当然に無効になると解することはできない

3 (原審・横浜地裁平成26年9月3日)Xは、残業代の支払の有無は、罰則規定が適用されるか否かにもかかわる上、労働者が適切に残業代が支払われたかを検証することができるよう、固定残業代に対応する想定時間が明示されることが必要であるところ、Y社の業務手当の定めにはその想定時間が明示されていないこと、Y社の給与規程15条1項の規定は、時間外勤務手当、深夜勤務手当、休日勤務手当、休日深夜手当と割増率の異なる割増賃金を業務手当という単一項目で支払うことになっているので、適切に支払われているか検証することができないこと、などを指摘し、これらの点からすると、Y社の業務手当に関する規定は、労働基準法37条に違反して無効であると主張している。
しかし、その明示すべき労働条件について、労働基準法15条及び同法施行規則5条は、固定残業代に対応する想定時間の明示を求めていない。また、業務手当として支払われている額が明示されている以上、法に定める割増率をもとに、労働基準法所定の残業代が支払われているかを計算して検証することは十分に可能であり、Y社は現に計算を行ったものを書証として提出している
以上からすると、Y社の業務手当に関する規定は、そもそも残業代を支払う旨を定めているにすぎない労働基準法37条に違反しているとはいえないし、残業代の支払の定め方として無効であるともいえないというべきである。

重要な判例ですので、是非押さえておきましょう。

これまでの固定残業制度に対する裁判所の厳しい評価とは異なるものですね。

なお、同事件は、その後、上告、上告受理申立てがされましたが、上告棄却、上告不受理とされています(最判平成28年7月12日)。

残業代請求訴訟は今後も増加しておくことは明白です。素人判断でいろんな制度を運用しますと、後でえらいことになります。必ず顧問弁護士に相談をしながら対応しましょう。

本の紹介645 世界最強の商人(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間お疲れ様でした。

今日は本の紹介です。
世界最強の商人 (角川文庫)

物語形式になっており、ストーリーを通じて、成功するために必要な要素について教えてくれています。

結局、いつの世も、成功するために必要な要素は変わらないことを確認させてくれます。

おすすめです。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

成功するためには障害はつきものだ。なぜならば、物を売るとき、他の重要な仕事と同じように、勝利は多くの努力と数えきれないほどの敗北の後にしかやってこないからだ。しかし、一つひとつの努力とそれぞれの敗北が、お前の技術、強さ、勇気、忍耐力、能力、自信を磨き上げてくれる。そして障害物の一つひとつがお前をよりよくするための・・・・・・またはあきらめさせるための同志なのだ。挫折こそ前進するチャンスなのだ。そこから逃げ出し、そこを避けようとすると、お前は未来を捨ててしまうことになる」(46頁)

挫折こそ前進するチャンスなのだ。そこから逃げ出し、そこを避けようとすると、お前は未来を捨ててしまうことになる

いい言葉ですね。

仕事でもスポーツでもそうですよね。

挫折・失敗を経験することなく成功・勝利することなどありません。

そう考えると、挫折や失敗は、ある意味、成功・勝利の必要条件とさえ思えていきます。

必ず挫折や失敗を経験しなければゴールにはたどり着けないと信じることがとても大切です。

このように考えれば、挫折や失敗をしても、あきらめる理由にはなりません。

辛い状況から逃げ出さず、また避けようとせず、見城さんの言葉を借りるならば、「正面突破」しかありません。

もうそれしかないと覚悟を決めるのです。

解雇224 休職期間満了による退職扱いが労基法19条違反とされた事案(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、休職期間経過後の退職扱いが労基法19条違反であるとして無効とされた裁判例を見てみましょう。

ケー・アイ・エス事件(東京地裁平成28年6月15日・労経速2296号17頁)

【事案の概要】

本件は、Y社の従業員であったXが、腰痛を発症し、これを悪化させて就労不能な状態となってY社を休職していたところ、所定の休職期間が経過した後にY社がXを退職扱いにしたことから、上記腰痛はY社において重量物を持ち上げる作業が原因で発症したものであり、Y社の措置は労働基準法19条に違反し無効であるとして、Y社に対し、雇用契約上の地位の確認を求めるとともに、Xが腰痛を発症・悪化させたのはY社に腰痛予防のための必要な措置を講じなかった安全配慮義務違反・過失があったことによるものであるとして、債務不履行又は不法行為に基づく損害賠償金として、休職後の給与相当額及び賞与相当額並びに、慰謝料500万円、弁護士費用120万円、遅延損害金の支払いを求めている事案である。

【裁判所の判断】

退職扱いは無効

Y社はXに対し、慰謝料160万円、弁護士費用70万円を支払え

【判例のポイント】

1 ・・・以上によれば、Y社がXを平成24年1月20日限りで退職扱いにしたことは、業務上の負傷等による療養のために休業する期間中の解雇に相当し、労働基準法19条1項に違反する無効な措置であるから、Xは、Y社に対し、依然として、雇用契約上の権利を有するものというべきである。

2 労働省(当時)において、腰痛予防対策の指針が定められて通達が発出され、その周知の措置がとられていることは前記のとおりであり、Xの従事していた作業において腰部にかかる負荷が、上記指針の定める絶対的な重量、体重比の重量を超過していたものと認められる一方、Y社にあっては、上記指針の定める腰痛の発生の要因の排除又は軽減のための方策が何ら講じられていないものと認められる。
そして、そうした方策が講じられていれば、Xの腰痛の発症、悪化について回避できた蓋然性は高かったものといえることからすれば、Y社は労働者の身体の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮を尽くしていない安全配慮義務違反があり、また、Xが従事していた殺菌工程を具体的に管理していた担当者において過失があったものと認められ、Y社にはXの腰痛の発生に伴って生じた損害につき債務不履行又は不法行為に基づく賠償責任を負うべきである。

3 ・・・こうした自転車の長距離、長期間にわたる使用を始めとして、医療機関の受診状況その他、腰痛発症後のXの行動等が腰痛に悪影響を与えた可能性は少なからず存在する。そもそもXに生じた腰痛に関しては画像上の他覚的な所見があるわけではなく、その発生機序については客観的に未解明なところも多々残されており、X固有の器質的要因や社会的、精神的、心理的要因が影響している可能性は小さなものではない。これらの事情からすると、Xの腰痛によって生じた全ての損害についてY社に責任を負わせることは衡平の観点からして躊躇を覚えるところである。以上の考慮に基づき、本件に表れた一切の事情を斟酌すると、Y社の債務不履行、不法行為上の責任については、過失相殺の法理を類推適用して、損害の8割相当額について賠償の責めを負わせるのが相当である。

最近では、労基法19条は、業務に起因してうつ病等に罹患し休職したケースでよく問題とされますが、本件では、腰痛の事案です。

解雇を選択する前には必ず顧問弁護士に相談の上、慎重かつ適切に対応することが肝心です。決して、素人判断で進めないようにしましょう。

本の紹介644 アイデアの接着剤(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は本の紹介です。
アイデアの接着剤 (朝日文庫)

著者は、アートディレクター、クリエイティディレクターの方です。

タイトルからもわかるとおり、アイデアとアイデアのくっつけ方のお話をしています。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

主観で何かをつくったら、必ず客観性で答え合わせをしましょう。
感覚で生み出したものは、理論で再確認。
理論で構築したものは、感覚でとらえ直してみる。
客観性と主観性。
左脳と右脳。
理論と感覚。
両方を行き来することで、より幅広く、深みのあるものがつくれるようになります。」(51頁)

頭でわかってもなかなかすぐにできるものではありません。

自分がとても良いと思っているものも、1日、2日寝かせて、改めて別の角度から見直してみると、さらによくなる視点が見つかることがよくありますよね。

1日、2日寝かせることによって、冷静に見返すことができるからなのでしょうね。

見返すときには、あえて意識的に別の視点で検証してみるということが大切なのでしょうか。

賃金124 就業規則の変更による退職金減額が有効とされた事案(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、就業規則の変更による退職金減額が有効とされた裁判例を見てみましょう。

甲学園事件(大阪地裁平成28年10月25日・労経速2295号15頁)

【事案の概要】

本件は、Y社の教職員であったXらが、新人事制度が施行され就業規則(各種規則等を含む。)が変更されたことで退職金が減額となったが、同変更がXらを拘束しないとして、変更前の規則に基づく退職金と既払退職金との差額及び遅延損害金の支払いを求める事案である。

【裁判所の判断】

請求棄却

【判例のポイント】

1 就業規則の変更によって労働者の既得の権利を奪い、労働者に不利益な労働条件を一方的に課することは原則として許されないが、労働条件の集団的処理、特にその統一的、画一的決定を建前とする就業規則の性質上、当該条項が合理的なものである限り、個々の労働者においてこれに同意しないことを理由として、その適用を拒否することは許されないと解され(最判昭和43年12月25日)、当該変更が合理的なものであるとは、当該変更が、その必要性及び内容の両面からみて、これによって労働者が被ることになる不利益の程度を考慮しても、なお当該労使関係における当該条項の法的規範性を是認することができるだけの合理性を有するものであることをいい、特に、賃金、退職金など労働者にとって重要な権利、労働条件に関し実質的な不利益を及ぼす就業規則の変更については、当該条項が、そのような不利益を労働者に法的に受忍させることを許容することができるだけの高度の必要性に基づいた合理的な内容のものである場合において、その効力を生ずるものというべきである(最判平成12年9月7日)。

2 確かに、賃金や退職金等は労働者の生活に直接関わる重要な事項であることからすれば、経営状態が悪化したからといって直ちに労働条件を不利益に変更することが許されるものではないが、他方で、経営状態の悪化が進み、末期的な状況にならない限り、労働条件の改正に着手することが許されないものではなく、むしろ、末期的な状況になってからでは遅いともいえるのであり(法人が破綻してしまえば、結局、労働者にとっても大きな不利益となるし、破綻に至らなくとも整理解雇が避けられない事態となれば、やはり解雇対象となった労働者にとって大きな不利益となる。)、収入の増加及び労働者の労働条件に直接かかわらない支出の削減を優先すべきであることは当然であるが、法人が末期的な状態に至ることを回避すべく、複数年にわたって赤字経営が続いており、その改善の見込みもなく、潤沢な余剰資産があるわけでもないというような状況下においては、破綻を回避するために労働条件を不利益に改正することもやむを得ないというほかない。

本件のような事情があるケースでは、賃金や退職金の減額も高度の必要性が認められるわけです。

つぶれてしまっては元も子もないですから。

日頃から顧問弁護士に相談しながら適切に労務管理を行うことが大切です。

本の紹介643 自分を変える言葉(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間がんばりましょう。

今日は本の紹介です。
自分を変える言葉

いい言葉集めた系の本です。

こういう本は1つでも「いい言葉」に出会えればそれでよしです。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

「ネイティブアメリカンの言葉に、こういうものがあります。
変えられるものを変える勇気と、
変えられないものを受け入れる広い心と、その違いがわかる知恵をありがとうございます。」(141頁)

シンプルだけど、ぐっときますね。

変えられないものを変えようとして苦しんだり、

変えられるにもかかわらず、変えられないと勝手決めつけてしまったり。

両者の区別をつける習慣を持っている人は、無駄なことに悩んだりしません。

悩んでもしかたがないことに悩んでもしかたがないからです。

これもまた、私は習慣の問題だと思っています。

決して性格の問題ではありません。

セクハラ・パワハラ24 企業が設定した目標が達成困難であるとハラスメントにあたる?(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間お疲れ様でした。

今日は、役職定年制度規程に基づく支店長の地位確認等請求に関する裁判例を見てみましょう。

北おおさか信用金庫事件(大阪地裁平成28年8月9日・労判ジャーナル57号44頁)

【事案の概要】

本件は、Y社の支店長の地位にあったXが、役職定年制度規程に基づき専任職として処遇されることとなったが、Xを専任職として処遇することは人事権の濫用に当たるとして、支店長の地位にあることの確認及び主位的に不法行為に基づく損害賠償として、予備的に(第二次請求として)雇用契約に基づく賃金請求として、専任処遇後の差額賃金・賞与の支払を求めるとともに、本件処遇が不法行為に当たる、本件処遇後にハラスメントを受けたとして、不法行為に基づく損害賠償を求めた事案である。

【裁判所の判断】

請求棄却

【判例のポイント】

1 職位は、当該会社における制度設計によっては、当該職位に基づいて付与される賃金等の待遇を表す地位と捉えることも可能であるところ、Y社では、役席によって役割給の金額が定まるとされていること、支店長の役割給が22万0500円であるのに対し、担当副部長の役割給が14万2500円であることが認められ、かかる制度設計からすれば、職位が支店長であるのかそれとも担当副部長であるのかによって、支給を受ける役割給の金額が異なることとなり、そして、Xが、現在もY社に在籍しており、今後も毎月継続的にY社から役割給を含む賃金の支払を受ける地位にあることからすれば、Xが支店長として役割給を受ける地位にあるか否かを判断することが紛争の抜本的解決にも資するということができるから、Xの請求は、確認の利益があるといえる。

2 Xについては、Y社もその渉外力・交渉力については高い評価をしており、実際、本件処遇後も、良好な営業成績を上げていることに照らしても、Xが渉外力・交渉力を要する業務については能力を有しているといえるものの、支店長として、組織運営という業務に従事するに足りるかという観点からみた場合には、Y社が求める水準には達していないと評価したことが不当であったということはできず、本件処遇が人事権の濫用に当たるということはできない。

3 本件処遇が人事権の濫用に当たると認めることはできないから、本件処遇が不法行為に当たるということもできず、また、Xが勤務経験がない拠点内の支店に配属されたことをもって、不平等な取扱いを受けたということはできず、さらに、企業が目標を設定する際に、容易に達成可能な目標を達成するのではなく、達成が困難な目標を設定した上で、職員に奮起を求めることとすること自体には問題がなく、そして、企業が従業員個人の目標を設定すること自体にも問題はないから、融資獲得目標額がY社が定めたものであり、その額が高額であったことをもって、ハラスメントであるということはできないこと等から、本件処遇が不法行為に当たること、あるいはXが本件処遇後にハラスメントを受けたことを認めるに足りる証拠ない。

上記判例のポイント3は是非参考にしてください。

高い目標を設定する自体は違法でもなんでもないと判断されています。

そりゃそうでしょ。

ハラスメントについては、注意喚起のために定期的に研修会を行うことが有効です。顧問弁護士に社内研修会を実施してもらいましょう。

本の紹介642 インビジブル・インフルエンス(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は本の紹介です。
インビジブル・インフルエンス 決断させる力

帯には「あらゆる行動を方向づける影響力の科学」「知らず知らず影響される決断のメカニズムに迫る」と書かれています。

自分の意思で決断したように見えて、実は、見えない影響力により決断させられている、という現実を知るにはとてもいい本です。

おすすめです。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

人には、親しみの感覚に心地よさを覚える一方で、同時に目新しさを求める矛盾した気持ちもある。」(233頁)

あまりにも斬新だと、親しみが感じられない。あまりに親しみすぎると、退屈になる。だが、その中間であれば、ちょうどよい。」(240頁)

人間はもともとそれほど合理的な動物ではないと考えることが合理的だと思っています。

みんないろんな矛盾した思いを抱えているのです。

新しいものが好き。でも新しすぎるのはいや。

これは仕事でもまさに同じことが言えると思っています。

あまりにも斬新すぎる、あまりにも今までのサービスと違いすぎると、手を出すのが恐いんです。

「ほどよい」新しさがちょうどいいのです。

その「ちょうどいい」ものを提供できるかどうかが腕の見せ所です。

ちょっとずつバージョンアップしていく。少しずつ新しさに慣れてもらう。

こういうやさしさが必要なのだと思います。