解雇200(キングスオート事件)

おはようございます。

今日は、シニアマネージャーの解雇が有効とされた裁判例を見てみましょう。

キングスオート事件(東京地裁平成27年10月9日・労経速2270号17頁)

【事案の概要】

本件は、Y社の従業員であったXが、試用期間満了日である平成26年3月31日付けで留保解約権の行使により解雇されたところ、Y社に対し、本件解雇の無効及び賃金の未払等を主張して、労働契約に基づき、①労働契約上の権利を有する地位にあることの確認、②未払賃金の支払、③未払割増賃金の支払、及び労働基準法114条に基づき、④付加金の支払を求めるとともに、Y社従業員らのパワーハラスメント等及び違法な本件解雇により精神的苦痛を被ったなどと主張して、⑤不法行為又は労働契約上の債務不履行に基づき、損害賠償(合計220万円)の支払を求めた事案である。

【裁判所の判断】

Y社はXに対し、13万5681円+遅延損害金を支払え

Y社はXに対し、付加金として13万5681円+遅延損害金を支払え

【判例のポイント】

1 Xは、管理部の責任者としての地位に見合う水準の能力を発揮することが求められていたにもかかわらず、インプット作業のような単純作業も適切に遂行することができず、管理職としての姿勢に疑問を抱かせるような態度もあったのであり、Y社において、部下の指導や評価を含む管理部門の統括業務、内部統制整備業務に係るXの業務遂行能力に疑問を抱き、Eの出向が解除される平成26年3月以降、Xに管理部の責任者としての業務を行わせることができないと判断したことには合理的な理由があるというべきである。

2 Xには管理部の責任者として高い水準の能力を発揮することが求められていたところ、十分な時間をかけて指導を受けたにもかかわらず、インプット作業のような単純作業を適切に行うことができないなど、基本的な業務遂行能力が乏しく、管理職としての適格性に疑問を抱かせる態度もあったこと、Xのインプット作業によりGらの業務が停滞して苦情が出され、インターネット閲覧についても女性従業員から苦情が出されるなど、Y社の業務に支障が生じていたこと、前任者としてXに引き継ぎ、指導を行うべきEが平成26年2月末には出向解除によりP社に戻る予定であり、上記のような状態でXが適切に管理部の統括業務を遂行することができず、管理部の業務により大きな支障が生じるおそれがあると判断されてもやむを得ない状態であったことが認められる。
これに加えて、Y社の規模やXの採用条件によれば配置転換等の措置をとるのは困難であったとも認められること、Xは当時試用期間中であり、インプット作業の問題について繰り返し指導を受けるなど、改善の必要性について十分認識し得たのであるから、改めて解雇の必要性を告げて警告することが必要であったとはいえないこと等の事情も考慮すると、本件解雇が試用期間の経過を待たずに決定されたものであること、Xが同年2月22日に抑うつ状態と診断されていること等、Xが主張する事情を考慮しても、本件解雇が客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合に当たるものとは認められない。

能力不足を理由とする解雇は、一般的にはハードルが高いですが、裁判所が求める解雇までのプロセスを経ること、能力不足を裏付けるエビデンスを揃えることという基本姿勢があれば、有効に行うことも十分可能です。

解雇を選択する前には必ず顧問弁護士に相談の上、慎重かつ適切に対応することが肝心です。決して、素人判断で進めないようにしましょう。

本の紹介551 お金の9割は意欲とセンスだ(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は本の紹介です。
お金の9割は意欲とセンスだ ―年収がぐんぐん伸びるビジネスセンスの磨き方―

お金持ちになりたい、成功したい、と思っている若手は、読んでみましょう。

きっと参考になるはずです。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

年収の低い人と、年収が高い人の共通点がある。それは気の合う人としか付き合わないことだ。・・・すでにあなたが平均的なサラリーマンの生涯賃金を稼ぎ終えた成功者であれば、気の合う人同士で平日の昼間からワイン片手に国家や人生を語って盛り上がるのもいいだろう。
だかこれから年収を上げていきたいのであれば、気の合う人より成長できる人と付き合うようにすべきだ。成長できる人というのは、必ずしも気が合うわけではない。否、むしろ気が合わない人のほうが多い。」(124~125頁)

よくいろんな本に書いてある「コンフォートゾーン」を出るということと共通する視点です。

自分のレベルを上げていきたいと思ったら、自分が快適に過ごしている現状に甘んじていてはいけないのです。

成長するときは、いつも「コンフォートゾーン」から出る勇気が必要です。

これまでの自分を変えたいのであれば、これまでとは違う生活、意識、習慣を作られなければいけないのは当然のことです。

多くの人は、人一倍変わりたい、成長したいと願うのですが、人一倍の努力はしない。

変わりたい、成長したいと願うのは自由ですが、それだけでは一生変わりません。

変わるはずがありません。

人が寝ているとき、休んでいるときにどれだけ汗をかけるか、です。

解雇199(Y社事件)

おはようございます。

今日は、法的に根拠のない大幅な給与の減額をし従業員を退職に追い込んだことが不法行為とされた事案を見てみましょう。

Y社事件(東京高裁平成25年8月28日・判タ1420号93頁)

【事案の概要】

Xは、個人でY社の保険代理店を営んでいたが、その後、同代理店を廃業してY社に入社した。その際、Xは、顧客との間の保険契約(いわゆる手持ち契約)をY社に持ち込んだ。
本件は、Xが、この保険契約は一種の無体財産権であり、その持ち込みによって、Y社が売上高を増加させて、Y社における高位の保険代理店の資格を得ることができたにもかかわらず、その後、正当な理由なくXの給与を減額して、XをY社から退社せざるを得ない状況に追い込んで、上記保険契約を奪取し、Z社もこれを補佐したなどと主張して、Y社及びZ社に対し、次のとおりの請求をした事案である。

すなわち、Xは、主位的に、①Y社及びZ会社に対し、共同不法行為に基づき、上記保険契約を失ったことによる財産的損害の損害賠償の内金として4000万円+遅延損害金の連帯支払、②Y社に対し、不法行為に基づき、慰謝料300万円及び労働契約に基づき、平成22年5月分から同年8月分までの未払給与50万円+遅延損害金の支払を求めた。
また、Xは、予備的に、Y社に対し、③Y社がXに対してした平成22年8月20日付け解雇(以下「本件解雇」という。)が無効であることの確認、④労働契約に基づき、平成22年5月分から平成23年2月分までの未払給与230万円+遅延損害金の支払、⑤平成23年3月からXが満65歳に達する月までの給与として、毎月25日限り30万円の支払を求めた。

原審は、Xの主位的請求①及び②をいずれも棄却し、予備的請求については、③及び④を認容し、⑤については、平成23年3月1日から判決確定の日まで毎月25日限り月額30万円の割合による金員+遅延損害金の支払を求める限度で認容し、その余の請求に係る訴えを却下した。

これに対して、Xは、主位的請求の認容又は予備的請求の全部認容を求めて控訴し、Y社は、Y社の敗訴部分に係るXの請求の棄却を求めて控訴した。なお、Xは、当審において、主位的請求①のうち、Y社に対し不当利得に基づく請求を追加した。

【裁判所の判断】

Y社はXに対し、249万3733円+遅延損害金を支払え

【判例のポイント】

1 Y社は、Xが入社した後の平成21年7月付けで業務ランクがそれまでの上級代理店(現在の1級代理店)から特級代理店(現在の新特級代理店)に昇格しているところ、XがY社に移管した本件保険契約の保険料収入が加わらなければ、新特級代理店への昇格のための必要条件の1つが満たされなかったものであるから、XのY社に対する寄与は少なくなかったといえる。
それにもかかわらず、Y社は、それまで月額30万円であったXの給与を、Xの同意なく、一方的に、同年11月分から段階的に引き下げ、平成22年5月分以降は月額17万4000円と大幅な減給という労働条件の不利益変更を実施した
そして、このような法的に根拠のない大幅な労働条件の引下げが行われ、これに不満を抱いた控訴人が、Y社を退社するに至っているが、これはまさにY社が、Xを退社せざるを得ない状況に追い込んだということができるから、Y社は、このことにつき不法行為責任を免れないというべきであり、当該判断を覆すに足りる証拠はない。
なお、Y社は、Xの給与を減額したことの合理性等を縷々主張するが、それらによって上記のような一方的かつ大幅な減給の正当性が認められることにはならないのは、前記でみてきたとおりである。

2 Xは、同人が本件保険契約から得られるべき収入相当額や本件保険契約を第三者に引き継いだ場合の代償金相当額が、上記の不法行為による財産的損害又は不当利得になる旨主張している。
確かに、XがY社に入社し、その後、退社するに至るまでの前記経緯に鑑みれば、実質的に、Y社がXから本件保険契約を奪ってしまったと評価する余地があることは否定できない。
しかしながら、XからY社への本件保険契約の移管手続は適法に行われていることが認められ、また、XがY社を退社した場合の本件保険契約の取扱いについて、関係当事者間で別段の合意がされていたとは認められない以上、上記手続により、本件保険契約は、XからY社に移管され、その後、XがY社を退社したからといって、Y社がXに対して本件保険契約を返還すべき義務又は(その返還に代えて)代償金を支払うべき義務が発生する法的根拠はない
そして、Xの退社について、Y社に不法行為責任が認められる場合であっても、そのことから直ちに、上記各義務が生じるということにもならない。
そうすると、Y社の不法行為によって、Xが主張するような財産的損害が生じたということはできず、また、被Y社が法律上の原因なくして、本件保険契約に係る利益を利得し、これによってXが損失を被ったということもできないから、財産的損害及び不当利得については、いずれも認められない。
他方、Xは、Y社の不法行為によって、不本意な退社を余儀なくされた以上、精神的苦痛を受けたと認められる。そして、本件退職の原因となった本件給料減額は無効なものであること、前述したとおり、財産的損害としてはとらえられないものの、本件は、実質的に、Y社がXの本件保険契約を奪ってしまったと評価する余地のある事案であることなども勘案すると、上記精神的苦痛を慰謝するための金額は200万円とするのが相当であり、当該判断を覆すに足りる証拠は存在しない。

合理的理由を欠く大幅な給与減額により自主退職に至った場合に、不法行為に該当する可能性があることを示しています。

もっとも、いつもそうですが、慰謝料の金額がそれほど多額にならないので、あまり抑止力にはなっていません。

また、本件では、Xの保険契約がY社に移管されており、原告の請求金額から考えると、慰謝料わずか200万円だけ認められても、Xの財産的損害はほとんど填補されていないのでしょうね。

解雇を選択する前には必ず顧問弁護士に相談の上、慎重かつ適切に対応することが肝心です。決して、素人判断で進めないようにしましょう。

本の紹介550 日本電産 永守重信 世界一への方程式(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間がんばりましょう。

今日は本の紹介です。
日本電産 永守重信、世界一への方程式

日本電産永守社長に関する本です。

経営に対する姿勢を学ぶには最適の本です。

甘えなど1ミリも感じられません。

経営者及び経営者を目指す方は必読の本です。 おすすめです。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

会社を創業して間もない頃、出張先のアメリカで、体調を崩して病院に運ばれたときのことである。『ハウ・アー・ユー?(調子はどう?)』と尋ねられた私は、全身にじん麻疹を出しながら『ノット・ファイン(良くない)』と答えた。すると、私がベンチャー経営者だと知った医師は、『ベンチャービジネスの経営者がそんな弱気なことを言っていたら、会社は危ないですよ。ファインと答えなさい』とアドバイスをしてくれた。ベンチャー経営者としてビジネスを成功させるには、態度も言葉も性格も消極的であってはいけない。常にファインでなければというのである。」(99頁)

態度も言葉も性格も消極的で後向きな経営者に誰がついていきたいと思うでしょうか。

最もエネルギッシュでバイタリティーに溢れているのがトップにいなくて、誰が一生懸命仕事をするでしょうか。

猪木さんが「元気があれば何でもできる」と言っていますが、そのとおりですよね。

「あなたと一緒にいると元気になる!」と言われるような人間を目指さなければいけません。

経験も実績もないのなら、せめて誰にも負けない元気とバイタリティーで勝負するのです。

不当労働行為139(廣川書店事件)

おはようございます。 今週も一週間お疲れ様でした。

今日は、組合の申し入れた春闘要求および一時金を議題とする団交に会社が誠実に対応しなかったことが不当労働行為にあたるとされた事例を見てみましょう。

廣川書店事件(東京都労委平成27年10月6日・労判1128号94頁)

【事案の概要】

本件は、組合の申し入れた春闘要求および一時金を議題とする団交に会社が誠実に対応しなかったことが不当労働行為にあたるかが争われた事案である。

【労働委員会の判断】

不当労働行為にあたる

【命令のポイント】

1 ・・・これらの団体交渉は、いずれも、25年12月27日の本件申立ての1年以上前の行為であるから、これらの団体交渉に係る申立ては期間とかにより却下を免れない
なお、組合は、上記団体交渉に係る事実は、労働組合法27条2項に規定する継続する行為に該当すると主張するが、本件団体交渉事態は、その都度完結したものと解されるのであり、継続する行為であるということはできない

2 そもそも、Y社が、賃上げについては11年以降25年まで15年連続でゼロ回答に、一時金については16年夏季から25年冬季まで10年連続で「30万円±20万円」という回答に終始していること自体、会社回答の合理性を疑わせるものであって、会社としては、自らの回答を根拠付ける資料を開示した上で、賃上げできない理由や一時金の金額の根拠を誠実に説明し、組合との交渉に真摯に臨む必要があった
しかし、・・・会社は、団体交渉において、一環して自らの結論を述べるのみであり、組合が、会社回答の根拠を求めても、これまでの実績と同額・・・、考えを変えるつもりはない、何も言うことはないなどと応答するのみで、組合に対し何ら回答の根拠を示さず、交渉によって妥協点を見いだそうとする態度を示すことはなかった
・・・したがって、・・・会社の対応は、不誠実な団体交渉に該当する。

上記命令のポイント1はあまり見かけない判断ですね。

労働組合法27条2項 「労働委員会は、前項の申立てが、行為の日(継続する行為にあつてはその終了した日)から一年を経過した事件に係るものであるときは、これを受けることができない。

これが根拠条文です。

組合との団体交渉や組合員に対する処分等については、まずは事前に顧問弁護士から労組法のルールについてレクチャーを受けることが大切です。決して素人判断で進めないようにしましょう。

本の紹介549 30代で頭角を現す69の習慣(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間がんばりましょう。

事務所は暦通りにGW中はお休みとさせていただきます。

もっとも、私はGW中も普通に仕事をしていますので、顧問先会社様は、何かありましたらいつでも栗田の携帯電話にご連絡ください。

今日は本の紹介です。
30代で頭角を現す69の習慣 (だいわ文庫)

本を開くと最初のページには以下の文章が大きく書かれています。

はじめの5年でついた習慣を、人は一生繰り返す。

最初が肝心だということを端的に表現していますね。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

仕事がデキる人は仕事を趣味にするか趣味を仕事にしているから、趣味と仕事をいちいち分けて考えない。だから毎朝起きるのが楽しいし、常に仕事に集中できる。
ダメ30代に『趣味は何ですか?』と質問すると目を輝かせるが、デキる人は不思議そうな顔をする。これは趣味と仕事を一体化させることに成功したからだ。」(65頁)

そもそもここ最近、「趣味はなんですか?」という会話をした記憶がありません。

逆に趣味を聞かれても、「趣味ですか・・・?えーと・・・・」と焦ります(笑)

趣味は仕事です、というのも違いますよね。そんな甘くないですから、仕事は。

趣味を本格的に始めるのは、老後でいいかな、というのが私の考えです。

私の場合、今から趣味を始めても、中途半端になるのが目に見えていますので。

趣味に時間を割くと、「時間がもったいない」「仕事したい」と感じてしまううちは、趣味に手を出さないほうがいいのでしょうね。

賃金112(類設計室(取締役塾職員・残業代)事件)

おはようございます。 今週も一週間お疲れ様でした。

今日は、全員取締役制塾職員の労働者性と割増賃金請求に関する裁判例を見てみましょう。

類設計室(取締役塾職員・残業代)事件(京都地裁平成27年7月31日・労判1128号52頁)

【事案の概要】

本件は、学習塾の経営等を目的とするY社に雇用されていたXが、時間外労働を強いられていたのにもかかわらず、Y社の取締役であったことを理由に残業代の支払を受けなかったとして、残業代の合計548万3465円+遅延損害金+付加金等の各支払を求めている事案である。

【裁判所の判断】

Y社はXに対し、671万9790円+遅延損害金を支払え

Y社はXに対し、付加金519万9806円を支払え

【判例のポイント】

1 当該業務従事者が労基法上の労働者に該当するといえるか否かの問題は、個別的労働関係を規律する立法の適用対象となる労務供給者に該当するか否かの問題に帰するところ、この点は、当該業務従事者と会社との間に存する客観的な事情をもとに、当該業務従事者が会社の実質的な指揮監督関係ないし従属関係に服していたか否かという観点に基づき判断されるべきものであると解するのが相当である。
そして、本件においては、Y社は、XがY社の取締役であり労働者ではない旨を主張しているものであるから、取締役就任の経緯、その法令上の業務執行権限の有無、取締役としての業務執行の有無、拘束性の有無・内容、提供する業務の内容、業務に対する対価の性質及び額、その他の事情を総合考慮しつつ、前記のとおり、当該業務従事者が会社の実質的な指揮監督関係ないし従属関係に服していたか否かという観点から判断すべきものであると解される。

2 Y社は、弁論終結が予定されていた第5回口頭弁論期日の当日になって、新たな証拠を提出するとともに、これを踏まえた第6準備書面を提出してきた。
・・・Y社は、訴訟係属後の比較的早期の段階より、Xから労働時間該当性を争うのかについて釈明を求められていたのであるから、最終口頭弁論期日までの間に、積極的な事実を摘示して労働時間該当性を争うことも、これに関連する証拠を収集して提出することも容易に出来たはずであるにもかかわらず、あえてその主張立証活動をしてこなかったものである。
・・・Y社は、自ら労働時間該当性に関する主張立証をしないと述べていたのであるから、上記のような主張立証活動は、訴訟上の禁反言にももとるばかりか、裁判所の争点整理も無に帰せしめる上に、上記のような審理の経過を信頼して誠実に訴訟活動を重ねてきたXにとっても不測の事態を招来するものであるといわざるを得ず、訴訟活動上も無用の負担を強いられるものであって、到底許容し難いものである
加えていうならば、上記主張立証活動は、Xが、弁論再開申立てをして、申立の趣旨変更申立書が提出されたことに乗じて、新たな主張を追加するものであり(本来は、Xの計算の修正を前提とした請求額の拡張に対する答弁のみが想定されていたものである。)、Xに有利な内容での和解が勧試された後のものであることをも踏まえると、判決の内容を想定した上での後出しであるとの評価を受けても致し方ないものである。しかも、Y社は、上記主張立証を最終口頭弁論期日当日に提出したものであり、Xによる反論の機会をも奪うものであったとの評価を受けてもやむを得ないものであった
そうすると、Y社が最終の口頭弁論期日において提出した証拠及びこれを踏まえた第6準備書面における主張については、時機に遅れたものであり、そのことにつき、少なくとも重過失が存するものと認めるほかない。

3 ・・・以上の次第で、Xは、紛れもなく労基法上の労働者と認められる。本件においては、Y社は、自主管理という企業理念を踏まえ、労働者性に関しるる主張をしているところ、当裁判所としても、その企業理念そのものやそれを踏まえて今日まで発展を遂げてきたY社の企業としての在り方を露いささかも否定するものではない。しかしながら、そのことと、労働者に対して労基法を踏まえた適正な処遇をすべきことは別の事柄であるといわざるを得ず、労働者であるXの時間外労働に対しては、労基法に基づき、適正に残業代が支払われなければならない

会社の経営理念や方針それ自体を否定するものではありませんが、やはり従業員全員が取締役として労基法の適用を除外することは労働法の世界では難しいですね。

なお、上記判例のポイント2であげたのは、珍しく時機に後れた攻撃防御方法として裁判所から非難されているので紹介しました。

結審間際になって新たな主張立証を突然するとこうなります。 ご注意を。

日頃から顧問弁護士に相談しながら適切に労務管理を行うことが大切です。

本の紹介548 お金を稼ぐ人は、なぜ、筋トレをしているのか?(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は本の紹介です。
お金を稼ぐ人は、なぜ、筋トレをしているのか?

帯には、「金力=筋力」と書かれています(笑)

どうでしょうね・・・。周りを見ても因果関係はよくわかりません。

ただ、日々、筋トレをしている身からすれば、筋トレと仕事は密接に関連していると確信しています。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

・・・男性同士の名刺交換では裏メニューの戦いが繰り広げられている。それは名刺交換の際に相手と対峙して、どちらの腕力が強いかを暗黙のうちに比較して勝敗を決めているということだ。会社名や肩書というのは、所詮人間がこしらえた人工の産物であり建前に過ぎない。しかし腕力比べというのは、生物界に予め備わった自然の摂理であり本能なのだ。どんなに立派な会社の社長でも、へナチョコ野郎だと建前はともかく心の底ではバカにされてしまう。」(13~14頁)

女性にはまったく理解されない話でしょうかね。

私も著者と同じ考えを持っています。

はじめて握手をした際、相手の方がどのくらいの強さで握手をしてくるのかによって、その人がどういう人なのかを推測してしまうのです。

ビジネスの場でお会いした方と握手をした際、細くて薄い掌で力がほとんど入っていない握手をされるよりは、分厚い掌で力強く握手されたほうが、信頼度が増すような気がします。

あまりにも力弱い握手をされると「この人と仕事して大丈夫かな・・・」と不安になります。

天下をとることが目標だと言っている人が、握手は弱々しいでは、う~ん・・・となってしまうわけです。

特に若い人は、知識も経験もないのであれば、せめて溢れるほどの元気とプラスのオーラで人と接するべきです。

握手で負けているようでは、仕事で勝てるわけがないと思いましょう。

不当労働行為138(東京航業研究所事件)

おはようございます。

今日は、労組法上の労働者性、使用者性が争われた事案を見てみましょう。

東京航業研究所事件(東京都労委平成27年10月20日・労判1128号93頁)

【事案の概要】

本件は、(1)XらがY社との関係において、労組法上の労働者に、(2)Y社がXらとの関係において、労組法上の使用者に、ならびに(3)Y社が本件団体交渉申入れに応じなかったことが正当な理由のない団交拒否に、それぞれ当たるかが争われた事案である。

【労働委員会の判断】

不当労働行為にはあたらない

【命令のポイント】

1 X2は、会社の取締役であるとともに、整理室の主宰者として、会社と文化財整理業務の受注契約(業務請負契約)や建物賃貸借の契約を締結していたが、同人が会社との間で労働契約を締結した事実はなく、Xは、会社との委任契約に基づく取締役であり、かつ、外注先の事業者であったと認められる

2 ・・・以上のとおり、労働者性を判断する諸要素を総合的に考慮しても、X2は、労働契約によって労務を供給する者又はそれに準じて団体交渉の保護を及ぼす必要性と適切性が認められる労務供給者には該当せず、会社との関係において、労組法上の労働者に当たるとはいえない

3 X2の労働者性は認められず、また、会社は、X3らの使用者とは認められないのであるから、組合がX2らに関して申し入れた団体交渉について、会社に応諾義務があったということはできず、会社が本件団体交渉申入れに応じなかったことは、正当な理由のない団体交渉拒否には当たらない。

使用者との雇用契約が存在しないことだけでは労組法上の労働者性、使用者性は否定されません。

実際、雇用契約が存在しなくても労組法上の労働者性、使用者性が認められているケースもあります。

本件ではハードルを越えることはできませんでした。

組合との団体交渉や組合員に対する処分等については、まずは事前に顧問弁護士から労組法のルールについてレクチャーを受けることが大切です。決して素人判断で進めないようにしましょう。

本の紹介547 人生って、それに早く気づいた者勝ちなんだ!(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間がんばりましょう。

今日は本の紹介です。
人生って、それに早く気づいた者勝ちなんだ!

「それ」が何かを知りたい方は本を読んでみて下さい。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

根も葉もない噂を流されるのは、成長中の人にとっては例外なく身に降りかかってくる通過儀礼のようなものだと考えたらいい。
換言すればあなたが噂する側でいる限り、出世も成功も覚束ないということだ。」(117頁)

そのとおりだと思います。

成功している人との会食で、人の噂話をすることはまずありません。

そんな話には興味がなく、どうでもいいと思っているのでしょう。

成功している人は、そもそも人の噂話をしてくる人を信用しない傾向にあります。

この人はいろんなところでこうやってあることないことしゃべっているんだろうな、と思うわけです。

「あなたが噂する側でいる限り、出世も成功も覚束ない」というフレーズは頭の片隅に置いておくのがよいと思います。