不当労働行為119(甲労働者組合事件)

おはようございます。 今週も一週間お疲れ様でした。

今日は、組合に対する情宣活動の差止め等が認められた裁判例を見てみましょう。

甲労働者組合事件(東京地裁平成27年4月23日・労経速2248号12頁)

【事案の概要】

本件は、Xが、Y組合の情宣活動により平穏に生活を営む利益(人格権)を侵害されたなどと主張して、Y組合に対し、人格権侵害に基づく妨害排除請求権により、Y組合の行為の差止めを求めるとともに、Y組合の違法な情宣活動により精神的苦痛を被ったなどと主張して、不法行為に基づく損害賠償として、損害金275万及び遅延損害金の支払を求めた事案である。

【裁判所の判断】

情宣活動の差止めを認める。

Y組合はXに対し、55万円+遅延損害金を支払え。

【判例のポイント】

1 ・・・以上の点に照らせば、本件行為は、いかにそれがA社の不当な措置等に関し、Bから納得し得る説明を求める趣旨に出たものであったとしても、元配偶者であり私邸たる本件居宅に居住するにとどまるXにおいて、本件行為を受忍すべき理由はなく、本件行為は、Xに対する関係で、その私邸で平穏な生活を享受するというXの人格権を侵害するものであったといわざるを得ない

2 使用者の代表者であっても、私生活上の権利は尊重されるべきであるから、仮に本件居宅にBが居住していたとしても、私生活の中心なる場である本件居宅において、Y組合がBに対し団体交渉に応じるよう要求し、本件行為を行うことが正当化されるわけではない。まして、本件では、本件居宅にはBは居住しておらず、元配偶者であるXには本件居宅において本件行為を受忍すべき理由はないから、Y組合が主張する事情は、本件行為の違法性を否定する理由となるものではない。それのみならず、使用者であるA社の破産開始決定後になされた本件行為に係る団体交渉の申入れ等の行為(B宛に解雇や労働債権等に関して団体交渉を申し入れる行為)の正当性は、Bが代表者の地位を失い(会社法330条、民法653条1項)、破産財団に関する権限が破産管財人に専属する(破産法78条1項)こととなったことに伴い、そもそも容易に是認し難いし、その実効性にも疑問がある
さらに、本件仮処分決定が効力を生じた後になされた本件行為については、法の定める手続に則ってなされた裁判を無視し、法秩序を蹂躙するものであって、到底容認することができない

3 Y組合は、平成25年10月18日以降、Y組合が本件居宅への訪問行為をしていないことについても指摘するが、Y組合は、繰り返し本件居宅で本件行為に及んでおり、本件行為のなかには、応対に出たXやD弁護士の指摘や意向にもかかわらず行われ、本件仮処分決定後にもなされたものもあること、Y組合が現時点においても本件行為は正当である旨主張し続けていることに照らせば、同日以降、訪問行為が行われていないからといって、差止めの必要性が失われることにはならない

これだけやっても支払う金額は55万円と遅延損害金ですから、まったく抑止力にはなりません。

そういう意味で、組合活動は、威力があるのです。

組合との団体交渉や組合員に対する処分等については、まずは事前に顧問弁護士から労組法のルールについてレクチャーを受けることが大切です。決して素人判断で進めないようにしましょう。

本の紹介476 人を信じても、仕事は信じるな!(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は本の紹介です。
人を信じても、仕事は信じるな!

株式会社武蔵野の小山社長の本です。

このブログでも何度か紹介したことがあります。

小山社長の本は、いつも、細かい点で経営のヒントを与えてくれます。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

・・・まさにマネすることは最高の創造です。マネの効用は他にもあります。マネを繰り返していると、『何をマネするべきか』という見る目、判断力が育ってきます。それだけ感性が鋭くなってくる。いつでも、どこでも『良いやり方があれば、マネする』と狙っているので、普段から『あの人は、どうして成績がいいのか?』『あの会社がうまくいっている秘訣はどこか?』などを見極めようとします。そんな訓練を日々行っていれば、感性が磨かれるのは当然です。」(95頁)

まさに小山社長の仰るとおりです。

真似が得意な人は、日常生活の中で、もはや無意識のレベルで「いいとこ探し」をしているのです。

業種を問わず、成功している例を見ると、成功の要素を見出そうとします。

それをすぐにアレンジして自社に取り入れる。 その繰り返しを日々の生活の中で自然とやっているのです。

「悪いとこ探し」が大得意な社会の中で、そんなことには全く興味を示さず、ひたすら人や会社などの良い面を見つけるくせがついていれば、いやでも成功しますよね。

労働災害84(積水ハウス事件)

おはようございます。

今日は、受動喫煙等に関する安全配慮義務違反が認められないとされた裁判例を見てみましょう。

積水ハウス事件(大阪地裁平成27年2月23日・労経速2248号3頁)

【事案の概要】

本件は、Y社の従業員であるXが、Y社に対し、①Y社は、Xが勤務先であるY社工場において恒常的に受動喫煙を強いられていたにもかかわらず、受動喫煙対策を講じず、Xを受動喫煙症及び化学物質過敏症に罹患させたと主張して、安全配慮義務違反(債務不履行)に基づき、損害賠償金296万2283円及び遅延損害金の支払を、②Y社は、関節リウマチに罹患していたXを、手足の負担がかかる作業に従事させて関節痛や手首、膝等の機能障害を生じさせたと主張して、安全配慮義務違反(債務不履行)に基づき、損害賠償金299万9038円の一部である290万円及び遅延損害金の支払を、それぞれ請求した事案である。

【裁判所の判断】

請求棄却

【判例のポイント】

1 ①Y社が、平成15年の健康増進法(25条)の施行等を受け、同年12月には、本件工場総務部事務所を禁煙とする、総務課及び業務課のある建物内に喫煙所を設ける、各課事務所に併設された休憩所内にビニールの暖簾やカーテン等で仕切られた喫煙スペースを設置する等の分煙措置を採り、その際、従業員らに対し、喫煙は喫煙所や喫煙コーナー等の指定場所で行うよう指示、指導したこと、②Y社は、平成17年8月頃、X、Y社産業医間の面談を経て、Xからミシン室を禁煙にするようにとの申入れを受け、そのt浴後の同年秋頃、ミシン室を禁煙にして同室内に禁煙の張り紙を掲示し、これにより、ミシン室でタバコを吸う者はいなくなったこと、③平成17年8月以前には、総務課及び業務課に所属していた喫煙者の中には、ミシン室で喫煙していた者がいたが、本件工場のほとんどの喫煙者は所定の喫煙所等で喫煙しており、多くの喫煙者が日常的にミシン室で喫煙していたということはなかったこと、・・・以上の諸事情が認められる。

2 そして、これらの諸事情によれば、Y社は、法改正等を踏まえ、Xを含む従業員が本件工場内で受動喫煙状態になることがないよう、Xの申出を受ければ、その都度、相応の受動喫煙防止のための対策を講じてきたものであり、Xが、Y社での勤務において、受動喫煙状態を強いられていたとまでは評することはできないのであって、Y社が受動喫煙対策に関する安全配慮義務に違反したとまでは認めることはできない

3 ・・・以上のように、Y社は、Xからの申し出を受ける度に、Xとの面談を行うなどして、その希望や健康状態等を聴取し、ときに産業医と相談するなどして、関節リウマチに罹患していたXの身体に配慮し、Xにとって無理がなく、なるべく負担の少ない作業をその都度検討し、Xの了承を得た上で、代替作業の提案等、Xの要望に合致するような作業を提案するなどしてきたものといえる。
以上によれば、Xの関節痛の悪化等につきY社に安全配慮義務違反があったとまでは認めるに至らず、他に、Y社がXの関節痛等に関する安全配慮義務に違反したことを基礎づける事実を認めるに足りる証拠はない。

これまでにも受動喫煙を巡り裁判が起こされてきましたが、ハードルは高いですね。

まして、今回の会社のようにやるべきことをやっている場合には、安全配慮義務を尽くしていると判断されます。

なかなかここまでのことができる会社は多くないと思います。すばらしいですね。

本の紹介475 決まりかけた人生も180度逆転できる!(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は本の紹介です。
決まりかけた人生も180度逆転できる!: 自分が〝報われる〟働き方 (単行本)

タイトルはともかくとして、よくある感じの自己啓発本です。

特に目新しい内容はありません。

いつも書いていますが、知っているかどうかではなく、やるかやらないかの問題ですね。

当然のことですが、この本を読むだけでは、180度逆転することは不可能です。

実行にうつすことが求められます。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

40代になった現在も、私は『自分よりも強い人を味方につけろ』と人からアドバイスされる。成功する人は、皆これをやっているのだ。・・・人と協力して成果を出していくビジネス社会で、一人だけで結果を出そうとしても、うまくいくわけがない。なかなか飛躍のきっかけがつかめないのは、そのあたりを勘違いしているからだ。・・・だから『誰かに助けてもらうこと』をよしとし、『助けてもらえる人』を目指す。そのために『自分が勝つ』ことより、『相手を勝たせること』を重視するのは当然のことだと思う。」(52~53頁)

「助けてもらえる人」を目指す、というのはわかりやすいフレーズですね。

要するに、いざというときに助けてもらえるような、「かわいげのあるやつ」になることが大切です。

みなさんの周りにもいませんか? 目上の力を持っている方にかわいがられている人。

目上の人にかわいがられる人の共通点を是非、観察してみてください。

そういう若者がどんどん上に引っ張り上げられ、徐々に社会で力をつけていくのです。

賃金101 (コンチネンタル・オートモーティブ事件)

おはようございます。 今週も一週間がんばりましょう。

今日は、賃金の支払場所は労働者の労務提供場所であるとして、移送の申立てを認容した裁判例を見てみましょう。

コンチネンタル・オートモーティブ事件(広島高裁平成27年3月17日・労経速2249号9頁)

【事案の概要】

本件は、XがY社を債務者として広島地方裁判所に申し立てた基本事件(地位保全及び賃金仮払い仮処分命令申立事件)について、Y社が、基本事件の「本案の管轄裁判所」(民事保全法12条1項)は、広島地方裁判所ではなく横浜地方裁判所であると主張して、同裁判所への移送の申立てをしたところ、原決定は、これを認め、基本事件を横浜地方裁判所に移送する旨の決定をしたことから、Xが本件抗告をした事案である。

【裁判所の判断】

抗告棄却

【判例のポイント】

1 賃金を労働者の預貯金口座に振り込む方法により支払うことは、賃金の通貨払いの原則に反するものであるが、労働者がこれに同意するときは、その例外として許容されていることから(労働基準法24条1項ただし書)、前記のXとY社との振込みに関する合意は、上記通貨払いの原則の例外として認められるためにされたものと解される。このように、上記の合意は、特段の事情がない限り、賃金の支払方法についての合意にすぎず、その支払場所(義務履行地)に関する合意を含むものではないと解するのが相当である。本件において、上記特段の事情の主張及び立証はない。

2 賃金の支払場所は、もともと、労働者が労務を提供する場所であるとするのが、その合理的意思に沿うものであると認められることからすると、たとえ、賃金を労働者の預貯金等の口座に振り込む方法が一般的になっていても、労働者の住所地を賃金の支払場所とは考えないのが通常であると解されること、したがって、賃金の支払が預貯金口座に振り込む方法であったとしても、賃金の支払場所は、労働者の労務提供場所とするのが、使用者及び労働者の合理的意思に合致すると解される。仮に、賃金の支払場所につき上記の合意が存在したとは認められないとしても、以上説示したところによれば、民法484条又は商法516条1項の規定を適用する前提を欠くというべきであり、労働者の住所を支払場所とするのは相当ではない。

3 本件においては、Xは、かつてはY社広島事務所において勤務していたが、平成26年1月1日以降Y社本社において勤務していたのであるから、賃金の支払場所は、Y社本社であると認められる。少なくとも、本件支店又はXの住所が賃金の支払場所であると認めることはできない。したがって、賃金の義務履行地を管轄する裁判所は、広島地方裁判所ではなく、Y社本社の所在地を管轄する横浜地方裁判所である。

非常に参考になる判断です。

是非、残業代等の賃金請求事件で管轄が問題となった際には参考にしてください。

日頃から顧問弁護士に相談しながら適切に労務管理を行うことが大切です。

本の紹介474 山田昭男の仕事も人生も面白くなる働き方バイブル(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間お疲れ様でした。

今日は本の紹介です。
山田昭男の仕事も人生も面白くなる働き方バイブル

著者は未来工業創業者の山田社長です。

昨年、お亡くなりになられましたが、ユニークな経営で有名な社長ですね。

社長の経営に関する考え方がぎっしりつまっており、とても参考になります。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

売れないのは差別化が足りない証拠。不景気のせいにする人は、何回生まれ変わっても稼げない。
できない営業マンに限って、『不景気なので・・・』と言い訳をしたがる。『売れないのは自分の実力不足』と認められる人は驚くほど少ない。だけど、できる営業マンは、どんなときでも、きちんとした売上げを残すものだ。」(158頁)

「不景気のせいにする人は、何回生まれ変わっても稼げない」(笑)

確かに、どれだけ不景気でも、できる営業マンは、ちゃんと結果を出していますよね。

「不景気」と言った時点で負けですよね。

もう自分にはどうしようもない理由により売上げが伸びない、と結論付けてしまっているわけですから。

そう言った時点で、改善可能性はなくなるわけです。

だって、自分ではなく、不景気のせいなんだから。

「だって、しょうがないじゃないか~」(えなり君風)

いつだって売れない理由は自分にあるのです。

そう思うところからしか先にはすすめないのです。

賃金100(サンテレホン事件)

おはようございます。

今日は、東京本社で勤務していた者の賃金不払等の事件につき、大阪地裁から東京地裁への移送が認められた事件について見てみましょう。

サンテレホン事件(大阪地裁平成27年3月25日・労経速2249号3頁)

【事案の概要】

本件は、XがY社に対し、Y社の事業所で働いていた間の時間外労働に対する未払賃金及び賃金不払等を内容とする債務不履行又は不法行為に基づく損害賠償として基本事件の提起に要した弁護士費用相当額の損害金の支払いを求める事案である。

Y社は、民事訴訟法16条1項又は17条により基本事件を東京地方裁判所に移送すべきである旨主張している。

【裁判所の判断】

東京地方裁判所へ移送する。

【判例のポイント】

1 基本事件においては、本件未払賃金の存否に関し、XにおけるY社の就労実態が主たる争点となることが予想されるところ、Xは、本件雇用契約の期間を通じ、東京本社において就労していたのであるから、Xの就労実態を知る者やXの就労実態に関する検証物で移動が困難なものは、Xが就労していた東京本社ないし東京地方裁判所の管轄区域内に所在すると考えられる一方、一件記録上、大阪地方裁判所の管轄区域内には、Y社を除き、Xの就労実態を知る者や上記のような検証物があることはうかがわれない

2 ・・・加えて、Y社の就業規則には、賃金の支払方法につき、「給与は全額を、原則、通貨にて直接本人に支払うが、本人が希望する場合には、本人が指定する銀行その他金融機関の本人名義預貯金口座へ振り込むことにより、支払うことができる」(給与規程4条1項)とあるほかに特段の定めはなく、相手方の賃金はその指定する銀行口座への振込みにより支払われていたこと、相手方は、大阪地方裁判所の管轄区域内に事務所を有する弁護士を代理人として選任し、基本事件の提起遂行を委任しているが、争点及び証拠の整理は電話会議システムを使用して行うことも可能であることをも併せ考慮すれば、Xの指摘する、Xが一給与所得者にすぎないことやY社の事業規模といった事情を考慮してもなお、基本事件を東京地方裁判所に移送する必要があると認められる。

実務上、管轄裁判所の問題はとても重要ですが、本件のような場合には、やはり東京地裁への移送が認めるのが相当です。

是非、参考にしてください。

日頃から顧問弁護士に相談しながら適切に労務管理を行うことが大切です。

本の紹介473 負けない力(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は本の紹介です。
負けない力

帯には「あなたはいつも勝とうとして間違えてばかりいる」と書かれています。

完全にタイトル買いさせられてしまいますね(笑)

出版社に負けました。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

『他人の知性が理解出来ない』というのは、その当人の中に知性がないということです。『俺はだいたいのことなら分かるぞ、頭がいいんだぞ』と言っている人が、自分以外の人の『まともな意見』が理解出来ないというのはよくあることで、そこには『あいつなんかが俺より頭のいいはずはない』という嫉妬も隠されていたりはするのですが、結局は『他人の知性』が認められないのです。いくら『頭がいい人』ということになっていても、『他人の知性』が認められない人に知性はないのです。」(192頁)

他人の生き方、考え方、やり方が自分のそれと違うことを認められる人は、強い人ですね。

とかく人は、自分のやり方に相手を合わせようとしがちです。

他人が、自分と「違い」がある場合、それを「間違い」と決めつけてしまいがちです。

「自分が正しい」という勘違いが、その原因です。

クレバーな人は、相手を自分に合わせるのではなく、自分が相手に合わせられる人です。

なんでも受け入れられる器の大きさこそが強さなのです。

退職勧奨13(F社事件)

おはようございます。

今日は、顧問弁護士による退職強要の違法行為は認められないとして損害賠償請求を棄却した裁判例を見てみましょう。

F社事件(東京地裁平成27年1月29日・労経速2249号13頁)

【事案の概要】

本件は、Y社と雇用契約を締結し、Y社の営業開発本部長として勤務していたXが、Y社の顧問弁護士から不当に退職を強要され、退職せざるを得なくなったところ、当該退職強要が不法行為に当たり、当該不法行為によりXはY社から賃金を受領する権利を失い、また、精神的な損害を被ったと主張し、Y社に対し、不法行為に基づく損害賠償として①1年分の賃金相当額2400万円及び②慰謝料1000万円及び遅延損害金の支払いを求めた事案である。

【裁判所の判断】

請求棄却

【判例のポイント】

1 Xは、Y社が賃借人となり、Xが社宅として使用すべき本件マンションについて、Xの家族ではない女性を居住させており、かかる事実を指摘されたXは、これを認め、更に、このことがXによるY社の資金の私的流用に当たる旨C弁護士に指摘された上、更に他にもY社の経理処理に不正があるかもしれないので、Y社において調査を続行する旨説明された中で、C弁護士の求めに応じ、Y社があらかじめ用意していた書誌を使用し、Y社を退職する旨の意思表示を行った、というものである。
・・・本件面談後のXとC弁護士とのやり取りに照らすと、XはC弁護士に対して終始協力的な態度を見せており、これが、退職を強要した当の本人に対する態度であると理解することは困難である

2 結局、Xは、本件面談当時にC弁護士からの指摘により、本件マンションの使用方法が法的に問題となる可能性が高いものと認識し、かつ、この件のみならず、自らが本件会社の代表取締役であった頃の経理処理に幾つも問題(Xによる資金流用)のある可能性を指摘され、現在Y社において調査中であるという中で、XがY社において就労を続けるには、通常、困難を来すであろう状況が発生していることに鑑み、利害得失を考慮の上、自らの判断で退職することを決意したものとみるのが自然である

3 ここで、Xは、退職の意思表示をしなければ解雇されていたはずであり、退職勧奨の際には解雇事由が備わっている必要があるが、解雇事由が存在しないとも主張する。しかし、そもそも、本件面談においてY社はXに対し、解雇の可能性があることを全く述べていない。また、Y社においてあらかじめ退職届の用紙を用意していたこと等に照らしても、Y社がこのときXを解雇することまで予定していたとまでは認めるに足りず、Xの上記主張は採用の限りでない。

顧問弁護士が会社の代理人として退職勧奨をする場合、やり方如何によっては、(敗訴リスクはさておき)弁護士自らが訴訟当事者になる可能性(訴訟リスク)がありますので、注意が必要です。

今回のケースでは、特に退職を強要したと見られる事情はなかったため、損害賠償請求は棄却されています。

本の紹介472 私の生活流儀(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間がんばりましょう。

今日は本の紹介です。
私の生活流儀 (実業之日本社文庫)

著者は、1866(慶応2)年、埼玉県生まれの学者の方です。

独自の蓄財投資法と生活哲学を実践して莫大な財産を築き、定年退官後、全財産を匿名で寄付したそうです。

そんな著者が、自身の健康法や勉強法、蓄財法等、生活流儀を紹介してくれています。

とてもおもしろいですよ。 おすすめです。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

毎朝目が覚めれば、まずきょうも生きておったなと感謝するのである。忙しければ忙しいほど、自分がよけいに働けることを感謝するのである。そうしてまた、もしちょっとした病気にでもなれば、天が休息の機会を与えてくれたものと解釈して、しずかに天意に従うのである。これが、私の暮らし方・考え方の根本義なのである。底抜けの楽天とわらうなかれ。世の中のこと、それかといって、底抜けの悲観ばかりでも始まらないではないか。」(157~158頁)

これを「プラス思考」、「ポジティブシンキング」とまとめてしまうのは簡単なことですが、これを人生をかけて常に心がけることこそが幸せに生きる秘訣なのだと思います。

どんな状況、状態でも愚痴を言わず、感謝できる。

今の状況は、きっと何かを学ぶために設定されているのだと思う。

こんな考え方の習慣が、成功へ近づけてくれるのだと信じています。