本の紹介376 世界を変えるエリートは何をどう学んできたのか?(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間お疲れ様でした。

今日は本の紹介です。
世界を変えるエリートは何をどう学んできたのか?

タイトルのとおり、世界のエリートたちが、何をどのようにして学んできたのかについて書かれています。

仮に世界を変えられるようなエリートでなくても、参考にすべき点はたくさんあります。

真似をすべき点はそのまま真似をしたらいいと思います。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

“真のエリート”たちは『比較』という考えを捨てて花開いた。自分を見つめ、自分に訴えるものを知り、『どの位置にいて、どう見られたいか』ではなく、『何を“したいか”』に注目したからだ。・・・心理学者のスーザン。ボビット・ノレンのいう『課題志向』の彼らにとっては、他者との競争に勝つことではなく、自分のベストを尽くすことが人生のすべてだ。」(169~170頁)

「他者との競争に勝つことではなく、自分のベストを尽くすことが人生のすべてだ」

いい言葉ですね。

スポーツでも仕事でもそうですが、勝つときもあれば負けるときもあります。

どれだけ一生懸命に努力しても、結果がともなわないことはあります。

この本によれば、真のエリートたちは、他者との競争における勝敗という結果ではなく、そのプロセスにおいてベストを尽くすことを重視していることがわかります。

今置かれている状況で、人事を尽くす。

過去を振り返るのでも、遠い未来を夢見るのでもなく、今できることにベストを尽くすことが人生のすべてだと考えているのです。

派遣労働20(日本S社ほか事件)

おはようございます。

今日も一日がんばります!!

さて、今日は、派遣先との黙示の労働契約の成立および派遣先などへの損害賠償請求に関する裁判例を見てみましょう。

日本S社ほか事件(東京地裁平成26年4月23日・労経速2219号3頁)

【事案の概要】

本件は、A社及びA社を吸収合併したY社との間で派遣労働契約を締結し、派遣先であるS社において就業していたXが、①S社との間において、期間の定めのない労働契約が成立していると主張して、S社に対し、期間の定めのない労働契約上の地位確認並びに賃金及び遅延損害金の支払いを求めるとともに、②Y社らが、労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律違反を行ったことにより、Xの権利・利益を侵害したと主張して、Y社らに対し、共同不法行為に基づく損害賠償及び遅延損害金の連帯支払を求め、さらに、③S社が、Xの直接雇用を拒否し、Xの派遣就業を終了させたことにより、S社との間の直接雇用の実現に対するXの期待権を侵害したと主張して、S社に対し、不法行為に基づく損害賠償及び遅延損害金の支払いを求めるとともに、④Y社が、XとS社との間の直接雇用の実現を侵害したことにより、上記直接雇用の実現に対するXの期待権を侵害したと主張して、Y社に対し、不法行為に基づく損害賠償及び遅延損害金の支払いを求める事案である。

なお、請求③及び④は、いずれも請求①を主位的請求とする予備的請求である。

【裁判所の判断】

いずれの請求も棄却

【判例のポイント】

1 労働者派遣法の趣旨及びその取締法規としての性質、さらに派遣労働者を保護する必要性等にかんがみれば、仮に労働者派遣法に違反する労働者派遣が行われた場合においても、特段の事情のない限り、そのことだけによっては派遣労働者と派遣元との間の雇用関係が無効となることはないところ(最判平成21年12月18日)、本件労働者派遣契約及び本件派遣労働契約が、労働者派遣法における派遣受入期間の制限等に関する一連の行政的取締的法規に違反するものであったとの事情をもって、本件派遣労働契約が無効になるものと解することはできないし、本件においては、上記特段の事情は窺われないから、本件派遣労働契約は有効に存在していたものと解するのが相当である。

2 労働者派遣法40条の4は、派遣先の派遣労働者に対する労働契約の申込義務を規定したにとどまり、申込みの意思表示を擬制したものでないことは明らかである。すなわち、労働者派遣法40条の4は、その規定の実効性を確保するために、厚生労働大臣による指導又は助言、労働契約締結の申込みの勧告、それに従わないときは勧告を受けた者の公表という、飽くまでも間接的な方法で労働契約の締結の申込みを促すという制度を採用しているにとどまる。仮に、S社が、派遣受入期間の制限を超過していることを知りながら、労働者派遣を受け入れていたとしても、そのことをもって、上記申込みの意思表示が擬制されるものではない

3 Y社らにおいて、労働者派遣法が定める派遣先の常用雇用労働者の雇用安定を目的とした一連の行政的取締規定(派遣受入期間の制限等)に違反するとの事実があったとしても、そのことのみで、派遣労働者であるXに対するY社らの不法行為が成立するものと解することはできないところ、Xが、Y社らの上記法令違反行為によるものとして主張する被侵害利益の内容やその法的根拠は不明瞭である上、上記法令違反行為によって、Xの主張する損害(賃金減額分及び慰謝料)が生じるものと解すべき事情も見当たらない。
以上によれば、その余の点について判断するまでもなく、XのY社らに対する労働者派遣法違反による共同不法行為に基づく損害賠償請求は理由がない。

特に目新しい判断はありません。

これまでの裁判例と同様の判断ですね。

派遣元会社も派遣先会社も、対応に困った場合には速やかに顧問弁護士に相談することをおすすめします。

本の紹介375 99歳ユダヤのスーパー実業家が孫に伝えた無一文から大きなお金と成功を手に入れる習慣(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は本の紹介です。
99歳ユダヤのスーパー実業家が孫に伝えた 無一文から大きなお金と成功を手に入れる習慣

長いタイトルですが、結局は、「習慣」にフォーカスしている本です。

考え方や生き方の「習慣」を変えることができれば、なりたい自分になることができます。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

それにしても、最近、やる前から『自信がない』と言って諦めてしまう若者をよく目にするな。わしから言わせれば、それはまったくのナンセンスなのだが。そもそも、目の前のことに100%集中していたら、自信なんてものは意識せずともやっていけるもの。逆に言うと、自信がないと思った時点で、その仕事にありったけの情熱を注いでいないということだ。それに20代や30代なんか人生のスタート地点にすぎないのだから、やれることを全力でやるしかないんだよ」(35~36頁)

私は、「自信がない」という言葉は、「やる気がない」という言葉と同義語だと思っています。

同様に、「時間がない」という言葉も、「やる気がない」という言葉と同義語だと思っています。

結局、何かを成し遂げようとする気持ちがあるかどうかです。

ただ、「僕、やる気がないんですよ」とはなかなか言えないので、自信がない、時間がないという表現をしているにすぎません。

また、その方が、自分を正当化できますので。

「やる気はあるんだけど、時間がないからできないな~」と。

でも、ほんとのところは、「大きな声では言えないですけど、ぶっちゃけ、やる気がないんすよ」ということですよね(笑)

ですから、部下のみなさん、仕事を振られて、「自信がないです・・・」と言わないようにしましょう。

上司に「あ、こいつ、やる気がないんだな」と思われてしまいますので。

自信なんてなくても、できる限りの情熱をもって精一杯やればいいのです。

ちゃんとそういう姿勢を見てくれている人がいますから。

解雇156(ミクスジャパン事件)

おはようございます。

今日は、経営悪化に伴う会社解散と解雇の有効性に関する裁判例を見てみましょう。

ミクスジャパン事件(東京地裁平成25年12月27日・労判1095号86頁)

【事案の概要】

本件は、Y社を解雇されたX1~X12が、①当該解雇は、手続きの妥当性および相当性を欠いており無効であると主張し、解雇後2か月分の賃金の支払いを、②仮に上記解雇が有効であるとしても、Y社は、解雇の3か月前にはXらに解雇を予告すべき労働契約上の信義則に基づく義務を負っていたがこれを怠ったと主張し、そのためXらが上記解雇後2か月分の賃金相当額の損害を被ったとして、その賠償を求め、かつ、③未払いの時間外割増賃金、④付加金および各遅延損害金の支払いを求めた事案である。

【裁判所の判断】

本件解雇は有効
→2か月分の賃金相当額の損害賠償請求権は発生しない

信義則上の通知義務は認められない

時間外割増賃金、付加金の支払いを命じた

【判例のポイント】

1 Y社の業績が悪化し回復の見込みがないことから、単独株主であるMISA社の意向を踏まえて解散するに至ったことに伴うXらの解雇はやむを得ないものというべきであり、解雇について合理的な理由があったものと認められる。

2 Xらは、本件労働協約1及び2の失効後も、Y社は、本件労働協約2に定めがあった本件通知義務を信義則上負っていたところこれを怠っており、そのような状況下で行われた本件解雇は相当性を欠く旨主張する。
しかし、本件労働協約1及び2は、いずれも、その更新期間の限度が3年と明定されており、当該定めにより、本件解雇の約1年前である平成22年11月15日に失効している。・・・本件のように、新たな労働協約の締結を、本件組合内部における引継ぎの不備によって失念した場合についてまで、当然に、信義則上、Y社が本件通知義務を負うと解することはできない
したがって、Y社が、本件解雇の3か月前にその旨を通知せず、1か月前に説明するにとどまった点をもって、本件解雇が相当性を欠くものであるということはできない。

3 Xらの退職に伴う経済的手当としては、Y社がXらに対し、Y社所定の規定に基づく退職金を満額支給したことにより一定程度は果たされているとみることができ、それ以上の手当をすべきであるとする根拠は見いだし難い。また、本件解雇は、本件解散と同時にXらに説明されたものであるところ、長期間にわたり経営状況が低迷し、改善の兆しの見えないY社の事業について、これをいつ廃止するべきかという問題は、基本的にはY社側の経営判断により決定されるべきものであって、本件通知義務をY社が負っていない本件においては、本件解雇の通知が解雇の1か月前であること(労働基準法20条1項本文の要求する予告期間は遵守されている。)をもって、Xらに時間的余裕を与えなかったということはできないし、Y社が本件組合との団体交渉に応じ、本件組合の要求に対し検討の上回答していることなどからすれば、Y社においてXらの就職活動を援助する措置を取らなければならない根拠も格別見いだすことができない。

労働組合のみなさんは、上記判例のポイント2のような状況に気をつけましょう。

会社をいつたたむかは経営判断ですので、原則として会社の自由ですね。

解雇を選択する前には必ず顧問弁護士に相談の上、慎重かつ適切に対応することが肝心です。決して、素人判断で進めないようにしましょう。

本の紹介374 優雅な肉体が最高の復讐である。(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間がんばりましょう!

今日は本の紹介です。
優雅な肉体が最高の復讐である。

俳優・ミュージシャンの武田真治さんの本です。

「優雅な生活が最高の復讐である。」にかけたタイトルになっています。

表紙では、鍛え抜かれた、これぞ細マッチョという上半身を披露しています。 素晴らしいですね。

体の作り方のハウツー本ではなく、武田さんのこれまでの人生とともにどのようにしてここまでの体を作り上げたのかが書かれている本です。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

どんなお金持ちでも厚い胸板はお金では買えません。どんな生まれの何者でも、胸板を厚くするには鍛えるしかないのです。鍛えるとは苦しみや痛みに耐えること。だから鍛え上げられた胸板はどんな仕事においても、男にとって人となりを証明する名刺となり、その人が地道な努力を惜しまない強い人間であることを雄弁に語るのです。死ぬほど努力しても1週間では厚い胸板は作れません。最低でも数か月かかってようやく手に入るものですから、それだけ長期的なプランを立てて実行できる人間だけが、そのプライスレスな名刺を手に入れられるのです。」(27~28頁)

トレーニングをしている方であれば、武田さんが言いたいことがよく理解できるのではないでしょうか。

体つきを見て、「この人はセルフコントロールができる人で、信頼できるな。」と思うこともありますよね。

武田さんが言うとおり、一朝一夕に体をつくることはできません。

日々の地道なトレーニングがあったこそのものです。

体づくりと仕事は、本当によく似ています。

一朝一夕に成果を出すことはできないのです。

目標を立て、それに向かって地道に努力する。

そういうことができる人を僕は信用しています。

不当労働行為94(詫間港運事件)

おはようございます。 今週も一週間お疲れ様でした。

今日は、団交拒否、不誠実団交に関する命令を見てみましょう。

詫間港運事件(香川県労委平成26年2月10日・労判1088号95頁)

【事案の概要】

本件は、Y社が、会社の従業員で組合に加入している組合員に対し、仕事の配分差別を行ったこと、会社の代表者であるY1代表取締役が、組合との団交を欠席したことなどが不当労働行為であるとして救済を申し立てた事案である。

【労働委員会の判断】

不当労働行為にあたる

【命令のポイント】

1 Y社は、Y1社長の身体の安全が確保できない状態であり、警察の助言を得たことを理由として団体交渉に応じないことの正当性を主張する。・・・仮に、単独で出席すれば身体の危険を及ぼす可能性がある場合にはI顧問や代理人弁護士と共に団体交渉に臨めばよいはずであるから、Y社の主張には合理的な理由がなく、Y社は意図的に団体交渉を拒否したものと判断される

2 Y1社長が、真意に反して意図的に事業閉鎖を示唆する発言をすることにより、組合に不安を生じさせて団体交渉を有利に進めようとしたものと推測されるのであり、不誠実団交であったと判断される

3 Y社は、平成23年3月頃から大口取引先の不祥事の影響で業務量総体が相当程度減少していたことが窺われるものの、業務遂行に必要とされる職務上の資格や能力に関して組合員とその他の従業員との間で仕事の配分について差別をしなければならないような特段の理由が存在しなかった。
それにもかかわらず、実際には組合員とその他の従業員に対し会社が配分した業務量には大きな較差があり、その他の従業員に対しては原則的に休業の割り当てが行われず、また、休業が開始された後に組合を脱退した者に対しては、脱退後は仕事が配分されるなど明らかに組合員差別をする事態が生じており、他方では組合員は会社から休業を余儀なくさせられ賃金が減少するという不利益を受けた。
よって、以上のとおり、当委員会は、組合員に対する仕事の配分差別及びその結果として賃金差別があったものと認定し、労働組合法7条1号の不当労働行為に該当するものと判断する。

上記命令のポイント1及び2は、参考にしてください。

組合との団体交渉や組合員に対する処分等については、まずは事前に顧問弁護士から労組法のルールについてレクチャーを受けることが大切です。決して素人判断で進めないようにしましょう。

本の紹介373 「モノ」を売るな!「体験」を売れ!」(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は本の紹介です。
2時間でわかる!「モノ」を売るな!「体験」を売れ!―エクスペリエンス・マーケティングがあなたの会社を救う!

これまでにも何冊か紹介したことがある藤村さんの本です。

エクスペリエンス・マーケティングを提唱されている方です。

いつも勉強させていただいております。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

・・・売れる商品というのはお客さまが『買いたいと気付いた商品』なのです。・・・ニーズは最初からはなかったわけですよ。商品に出会って初めてニーズが出てくるんですから。これって、根本的に『商品開発』というものの『考え方』を変えなきゃいけないってことじゃないですか。・・・アンケート調査やグループインタビューの結果をそのまま鵜呑みにして開発しても、売れる商品ができないのは、あたりまえのことなんですよ。・・・消費者の85%以上が『欲しいモノはない』と答えているでしょう。本当は違うんですね。実際は欲しいモノがないというのではなく『自分の欲しいモノに気づいていない』ということなのです。」(144~146頁)

さて、これをどのように自分の事業に応用すればよいのでしょうか。

応用をしなければ、本を読む意味などありません。

「自分の欲しいモノに気づいていない」顧客に対して、「それ、いいね!」と思わせる商品でなければいけないのです。

欲しいモノはない、という顧客に買っていただくためには、ただ、性能のいいものを提供していればよいというわけではありません。

もう十分性能のよい商品はあふれていますので。

物質的に成熟した社会において、すべての業界で、「プラスアルファ」が何であるのかを考えるときがきているように思います。

きっとそれは、非効率的であり、不合理な何かだと思っています。

不当労働行為93(日本電気硝子ほか1社事件)

おはようございます。

今日は、団体交渉の当事者適格(使用者性)に関する命令を見てみましょう。

日本電気硝子ほか1社事件(中労委平成26年2月19日・労判1088号94頁)

【事案の概要】

Xらは、Y1社の工場で測定業務および記録業務に従事していた。

Y2社は、Y1社が100%出資する連結子会社であり、Y1社のA事業場において、ガラス製造業務の一部を請け負っている(Y1社及びY2社を合わせて「Y1社ら」という。)。

B社は、Y2社から測定業務等を請け負っている。

Xらは、B社と雇用関係にある。

Xらは、B社退職後、組合に加入し、組合は、Y1社らに対し、交渉事項を「これまでの中間搾取と違法な労働者供給事業に対する補償をすること」などとする団交を申し入れたが、Y1社らは、労組法上の団交義務がないとして、団交に応じなかった。

組合の救済申立てについて、初審滋賀県労委は、団交拒否が不当労働行為にあたるとして団交応諾を命じた。

会社らはこれを不服として本件再審査を申し立てた。

【労働委員会の判断】

Y1社らは労組法上の使用者に当たらない

【命令のポイント】

1 本件団交事項は、Y1社らがX組合員らを直接雇用すべきであったことを前提に、X組合員らがY1社らに直接雇用されていたならば得られたであろう会社らの従業員との賃金の差額相当額等の補償を求めるものと解される。そうすると、本件団交事項は、会社らがX組合員らの雇用主であること又は雇用主と同視し得る地位にあることを前提としたもので、就労の諸条件にとどまらず、X組合員らの雇用そのもの、すなわち、採用、配置、雇用の終了等の一連の雇用の管理に関する決定に関わるものということができる

2 これらX組合員らに係る採用、配置、雇用の終了等といった一連の雇用の管理に関する決定について、Y1社らがB社と同視できる程度に現実的かつ具体的な関与等をしたことを認めるに足りる証拠はない。

3 以上によれば、X組合員らの就労に関する諸条件についても、Y1社とY2社とはいずれも、雇用主と部分的とはいえ同視できる程度に現実的かつ具体的な支配力を有していたものと認めることはできないから、Y1社らは、本件団交事項に関し、労組法7条の「使用者」に当たるものと認めることはできない。

このような団交事項の場合、必ずといっていいほど、労組法上の使用者性が問題となりますね。

組合との団体交渉や組合員に対する処分等については、まずは事前に顧問弁護士から労組法のルールについてレクチャーを受けることが大切です。決して素人判断で進めないようにしましょう。

本の紹介372 世界の伸びている中小・ベンチャー企業は何を考えているのか?(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は本の紹介です。
世界の伸びている中小・ベンチャー企業は何を考えているのか?

この本の表紙には、「米国、イタリア、ドイツ、フランス、英国、日本の元気な中小・ベンチャー企業に聞きました。 成熟市場で勝ち残り稼ぐ智恵とは?」と書かれています。

とにかくいろんな中小・ベンチャー企業の経営者に話を聞いてくれています。

成功している会社の経営者が何を大切だと考えているのかがよくわかります。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

企業の成長に必要なのは、1つ目には顧客のためにどんな問題を解決しようとしているかというクリアなビジョンです。その顧客にとって他の誰からでもなく、あなたしか与えられない価値が何か、これが明確でないといけません。2つ目はチームです。ミッションを信じられ、チーム倫理を考えて仕事をする人の集まりです。3つ目は情熱です。顧客のために凄いソリューションを持っているかも知れないし、素晴らしいチームもある。でもあなたが自分でやっていることを愛していないのなら、ビジネスを成長させることは至難の業です」(47~48頁)

あまり付け加えて何かを言う必要のないほど、大切なことがまとめられています。

何度も読み返し、企業の成長に必要なことを忘れないようにしたいと思います。

皆さんも是非、参考にしてください。

この3つは、どれも大切ですが、その中でも、2つ目の「チーム」は非常に重要な要素になってくると思います。

なんでもそうですが、自分一人でできることには限りがあります。

メンバーがそれぞれの役割を理解し、補完しあえるようなチームは、強いと思います。

解雇155(ガイア事件)

おはようございます。 今週も一週間がんばりましょう!

今日は、経営悪化を理由とする解雇および更新拒絶の有効性に関する裁判例を見てみましょう。

ガイア事件(東京地裁平成25年10月8日・労判1088号82頁)

【事案の概要】

本件は、XがY社に対し、Y社による解雇及び更新拒絶が無効であるとする労働契約上の地位を有することの確認、同地位を前提とした未払賃金、時間外手当、育児休業給付金の申請手続にかかる証明拒絶による債務不履行および不法行為に基づく損害賠償およびそれらの遅延損害金の支払いならびにY社が関係諸機関から納付を求められている社会保険料のうちX負担部分を超える金員の支払義務のないことの確認等を求めた事案である。

【裁判所の判断】

解雇は無効

更新拒絶も無効

育児休業給付金相当額130万6800円の支払を命じた

【判例のポイント】

1 Y社は、本件解雇の理由として、Xが平成23年11月半ばからY社からの連絡に一切応じなくなり、電話も電子メールもY社からのものは着信拒否の設定を行い、Y社から連絡が取れなくなったことを主張する。しかし、本件全証拠によっても同主張を認めるに足りず、かえって、平成23年11月13日にはXがY社に電子メールを送信しており、同月下旬にはXが体調不良となったためXの夫を介してY社と連絡を取っていることが認められる。本件解雇の有効性を基礎づける事実は認められず、本件解雇は客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であるとは認められないから、解雇権を濫用したものとして無効と解するのが相当である。

2 本件雇用契約は合計8回、約2年間にわたり、その途中平成22年10月20日からは契約書に自動更新の条項が明記される中で更新されてきたものであるから、Xにおいて更新を期待することに合理的な理由が認められる。他方、Y社は、本件更新拒絶の際のY社の経営状況は悪化し、10数人いた従業員は数人に減り、それでも毎月赤字で、開発技術を持っていない総務要員を雇用することができなくなった旨主張するが、同主張を認めるに足りる証拠はない。そうすると、本件更新拒絶は無効であって、本件雇用契約は更新前と同様の条件で更新されていると認めるのが相当である。

3 本件解雇等は上記のとおり無効であり、XはY社の従業員の地位を有しているところ、使用者が労働者が雇用保険及び社会保険給付を受けるに当たって手続上必要な協力をすることは、労働契約上の付随的義務であると解され、その拒絶は債務不履行を構成する
・・・Y社が証明を拒否したのは、・・・8か月間であり、その間に支給されるはずであった育児休業給付金は130万6800円(16万3350円×8か月)であるから、Xの損害は130万6800円と認めるのが相当であり、Y社は同額について損害賠償義務を負う

使用者のみなさん、上記判例のポイント3に注意してくださいね。

解雇を選択する前には必ず顧問弁護士に相談の上、慎重かつ適切に対応することが肝心です。決して、素人判断で進めないようにしましょう。