本の紹介110 武器としての交渉思考(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます また一週間が始まりました。今週も一週間がんばっていきましょう!

今日で、34歳になりました さらにパワーアップしていきたいと思います。
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←先日、久しぶりに、「昭和ホルモン」に行きました

ここに行くと必ず唐揚げではなく「ガラ揚げ」を注文してしまいます。

てんこ盛りで出てきますが、あまり食べるところはありません(笑)

今日は、午前中、島田の裁判所で交通事故の民事調停が入っています

午後は、静岡で離婚調停です。

今日も一日がんばります!!

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さて、今日は本の紹介です。
武器としての交渉思考 (星海社新書)
武器としての交渉思考 (星海社新書)

以前、紹介をした「武器としての決断思考」の著者の本です。

「武器として」シリーズ第2弾ですね。

交渉において頭に入れておくべき考え方がまとまっており、参考になります。

日頃、私たち弁護士が、交渉時に、意識的、無意識的に行っていることが体系化されており、興味深かったです。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

『初めにロマンありき』 『ソロバンなくしてロマンの実現なし』
これは、大きな仕事を成し遂げたいと思うならば、常に念頭に置いておくべき事柄です。世の中には『良いことを言っているのにあまり世の中に影響を与えていない』『理念は立派だけれど、やっていることは大したことがない』という会社組織やNPOがたくさんあります。そういうダメ会社やダメNPOのほとんどは、このロマンとソロバンが両立していません。・・・世の中を大きく変えたいと思うならば、きちんとソロバンの計算をしながら、大きなロマンをずっと持ち続ける、その両方が必要となるわけです。
」(71~73頁)

若いうちは、「ロマン」ばかりが先行してしまいがちですよね。

だけど、「ソロバン」の計算をしておかなければ、長続きはしません。

「ロマン」を持つことは、実はそれほど難しいことではありません。

「ロマン」で飯を食うことが難しいのです。

ここを考えることこそが、「ロマン」を実現する大きな鍵になるのです。

配転・出向・転籍15(静岡県立病院機構事件)

おはようございます。

さて、今日は、病院の新生児科科長に対する配転命令に関する裁判例を見てみましょう。

静岡県立病院機構事件(静岡地裁平成24年1月13日・労経速2136号11頁)

【事案の概要】

Y社は、一般医療機関では診断・治療の困難な小児患者を静岡県内全域より紹介予約制で受け入れる高度専門病院である。

Xは、平成4年からY社新生児科において勤務し、その後、新生児科科長として、NICUを初めとする新生児科のベッドをコントロールしてきた。

静岡県知事は、平成21年3月、Xに対し、静岡県立総合病院臨床医療部女性・小児センター新生児科主任医長への配転を内示し、Y社は、これを受け、Xに対し、同職への配転命令を発した。

Xは、本件配転命令以後、めまい等の症状で自宅静養し、反応性うつ状態と診断された。

Xは、その後、総合病院において勤務しないまま、Y社を退職する届けを提出した。

【裁判所の判断】

配転命令は有効

【判例のポイント】

1 使用者は業務上の必要に応じ、その裁量により労働者の勤務場所を決定することができるものというべきであるが、転勤、特に転居を伴う転勤は、一般に、労働者の生活関係に少なからぬ影響を与えずにはおかないから、使用者の転勤命令権は無制約に行使することができるものではなく、これを濫用することは許されないことはいうまでもないところ、当該転勤命令につき業務上の必要が存しない場合又は業務上の必要性が存する場合であっても、当該転勤命令が他の不当な動機・目的をもってなされたものであるとき若しくは労働者に対し通常甘受すべき程度を著しく超える不利益を負わせるものであるとき等、特段の事情の存する場合でない限りは、当該配転命令は権利の濫用になるものではないというべきである。

2 ・・・これらの点に照らすと、Xは、こども病院が地域の病院で対応できない患者をその紹介により扱う高度専門病院でありながら、地域の病院と信頼関係を築くことができず、また、患者の受入数において、順天堂病院や聖隷浜松病院と比較して十分でない面があり、Xのベッドコントロールが適切で高度専門病院としての機能を十分に果たしていたか疑問があるとともに、こども病院内においても他科や新生児科の看護師らと十分な意思疎通を図れていないことがうかがえるのであるから、Xを新生児科科長から配転する業務上の必要性があったものと認めるのが相当である。そして、Xの配転先である総合病院における分娩数は年間400件ないし500件を超えるもので、産科医師も4人ないし6人というのであるから、Xが主任医長としてその能力を発揮できる職場であり、本件配転命令が他の不当な動機・目的でされたとは認めがたい。また、本件配転命令によりXは転居が必要となるものではないし、本件配転命令の前後でXの労働条件に特段の差異はないのであるから、本件配転命令が労働者に対し通常甘受すべき程度を著しく超える不利益を負わせるものということはできない。
したがって、本件配転命令が権利の濫用であり、違法であるということはできない。そうすると、その余の点について判断するまでもなく、本件配転命令に係る損害賠償請求は理由がない

3 なお、Xは、Dが本件配転命令について事前に全く説明しておらず、適正な手段を経ていないと主張するが、本件は配転命令について個別にXの同意を得なければならないものでないことは前記のとおりであるし、Dは本件配転命令前に新生児科科長としてのXの問題点について度々注意を与えていたのであるから、Xの上記主張は採用することができない。

地元静岡の裁判例です。

裁判所は、Xが本件配転により被る不利益は、通常甘受すべき程度を著しく超えるものではないと評価しています。

また、これまでの経緯から、不当な動機目的も認められないとしています。

どのような点を考慮して、配転命令の有効性を判断しているか、を研究すると、何が重要なのかがだんだんわかってきます。

実際の対応については顧問弁護士に相談しながら行いましょう。

本の紹介109 入社10年目の羅針盤(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます
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←先週の日曜日、センチュリーホテルで、「社団法人日本クラブメンター協会」のキックオフミーティングが開催されました。

パワー溢れるメンバーが集まっており、これからが楽しみです。

みんなで盛り上げていきたいと思います。

今日は、午前中は、沼津の裁判所で裁判です

午後は、静岡の裁判所で裁判、家事審判、弁護士会で法律相談が入っています。

夜は、不動産管理会社で相続のセミナーを行います

テーマは、「不動産会社の営業マンが知っておくべき不動産をめぐる相続の法務(基礎編)」です。

相続全般ではなく、不動産にフォーカスした相続に関する法律問題について、双方向で勉強していきます。

今日も一日がんばります!!

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さて、今日は本の紹介です。
入社10年目の羅針盤
入社10年目の羅針盤

ライフネット生命保険副社長の岩瀬さんの本です。

入社10年目というと、だいたい30代前半ですよね。

その年代の方を対象として書かれているようです。

非常に良い本だと思います。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

なぜ、ハーバードではベンチャーがよしとされるのでしょうか。
アップルコンピュータの創業者としてカリスマ的な支持を得ていたスティーブ・ジョブズ。彼がこんな言葉を残しています。
“Why join the navy if you can be a pirate?”
これはまさに、『ベンチャーやろうぜ』というメッセージそのものなのだと思います。
一生懸命勉強をして、いい大学を出た人たちが目指す就職先は、大企業や国家公務員などといったところです。しかしジョブズからすれば、それはもったいないというのです。そういった就職先というのは、安定はしていますが組織の中にはレールが敷かれ、そこでやれることはだいたい決まっています。つまりそれは、軍隊にいるのと変わらないということ。大海原を航海するのには、海軍なんかよりも海賊のほうが楽しい。ジョブズはそう言いたかったのではないでしょうか。
」(205~206頁)

ジョブズのこの言葉、おしゃれですね。

僕には、この言葉、

「安定を求めるなんて、ダサいぜ。ベンチャーで、暴れようぜ。世の中変えようぜ!」

みたいな感じに読めます。

今までにない切り口で新しいビジネスを立ち上げることこそが、生きている証という感じです。

常に新しい壁を超えるためにもがきながらチャレンジしていくことこそが、「仕事をする」という意味だと思っています。

それこそが、自己実現なんだと思います。

解雇76(クレディ・スイス証券(休職命令)事件)

おはようございます。

さて、今日は、休職命令・休職延長命令の有効性と解雇の有効性に関する裁判例を見てみましょう。

クレディ・スイス証券(休職命令)事件(東京地裁平成24年1月23日・労判1047号74頁)

【事案の概要】

Y社は、総合的に証券・投資銀行業務を展開している会社である。

Xは、大学卒業後、複数の証券会社勤務を経て、平成16年、Y社に入社した。

Y社は、平成21年当時、通常の営業活動に基づく経営資源の投入コストを前提とした場合、コア・アカウント(重要顧客)のY社に対する評価が5位以内であれば、損益分岐ラインを十分に超える売上手数料を稼ぐことができ、収益を維持することができるものと考えていたため、Y社は、全コア・アカウントのY社に対する評価を5位以内にすることを、株式営業部の営業担当の必達の目標として設定し、全営業担当者に対し周知した。

同年5月、株式本部長Aは、平成21年度第1四半期のXが担当する4つのコア・アカウントのうちの2つのランキングが6位であったことから、Xに対して、役職に求められる成果が発揮できない場合に、改善すべき点を示した警告書を交付し、人事部を交えてそのパフォーマンスの改善を定期的に進捗確認し、必要に応じて指導を行うための業務改善命令を発令することとし、これを伝えるためにXと面談のうえ、人事部のBヴァイスプレジデントを通じて、Xに対して警告文を手渡した。

また、A本部長は、Xに対し、業務改善プロセス下で改善に至らず同じ結果に至のであれば、退職して別の道を進むという選択肢もあるのではないかと告げ、同席していたBヴァイスプレジデントが、Xに対し、一般的な退職手続について説明した。

これに納得しなかったXは、Y社内に入るためのアクセスカードを返却したうえで帰宅した。

Xは、弁護士を通じて、Y社に対し、復職を求めた後、交渉がなされたが、合意に至らず、Y社はXに対し、平成22年6月、解雇する旨を通知した。

解雇理由は、Y社の就業規則所定の「従業員の労働能力が著しく低下し、又は勤務成績が不良で改善の見込みなく就業に適さないと会社が認めたとき」に準ずるやむを得ない事由であった。

【裁判所の判断】

休職命令・休職延長命令は無効

解雇は無効

Y社に対して慰謝料100万円の支払を命じた

【判例のポイント】

1 本件休職命令が、その期間、原則として無給扱いとなり、勤続年数に通算されないという不利益が労働者側にあることに照らすと、Y社の就業規則の規定は、Y社に対し、無制限の自由裁量による休職命令権を付与したものと解することはできず、合理性が認められないような場合には、当該命令は無効である

2 本件業務改善プロセス期間における一連のY社の対応がパワーハラスメントに当たるとのXの見解が一方的で事実無根であると評価することはできず、Xの同見解に基づく留保付きの職場復帰命令に従う旨の意思表示は、職場復帰命令が、就業規則の合理的な規定に基づく命令である限りという留保であって、パワーハラスメントに関する見解の相違問題とは切り離して、職場復帰問題を解決しようとするX側の姿勢をみて取ることができるので、このようなX側の態度をもって、実質的な職場復帰命令の拒否に該当するものと評価することはできないことから、本件休職命令・本件休職延長命令は無効である

3 Xは、本件警告書の交付時点で平成21年代2四半期の評価期間が50日程度残っていた他の顧客については、評価が上昇し、5位必達の目標を達成することができていることに照らすと、4社のうち1社の同四半期におけるY社に対する評価が低いことをもって本件解雇の理由とすることは、改善可能性に関する将来的予測を的確に考慮した解雇理由であるということができず、合理性を欠く

4 賞与請求権は、使用者が労働者に対する賞与額を決定して初めて具体的な権利として発生するものと解するのが相当であり、本件の賞与に関する定めは、極めて一般的抽象的な規定にとどまるものであるといわざるを得ず、個別具体的な算定方法、支給額、支給条件が明確に定められ、これらが労働契約の内容(Y社の債務)になっているものとは認められず、また、前記の賞与の定め方や、これまでのXに対する支給額の変動の激しさに照らすと、X主張のような賞与に対する期待が法的に保護されたものと認めることはできない。

5 Xのメールアドレスを抹消したことや、Xが長期休職するとの通知を顧客にしたこと、Xを解雇したとの告知を他の従業員にしたことについては、特に、Xが、本件業務改善プロセスに基づき2回目の面談から程なくして代理人を選任し、Y社と復職交渉をするに至っていることに照らすと、もう少し穏便な対応策やアナウンスの仕方があったと思われるのであり、その限りにおいて、違法性を有することから、Xは、上記認定の限りにおいて、精神的苦痛を被ったとして、慰謝料として100万円が相当である。 

休職命令の合理性の判断は、とても難しいです。

解雇を選択する前には必ず顧問弁護士に相談の上、慎重かつ適切に対応することが肝心です。決して、素人判断で進めないようにしましょう。

本の紹介108 ラクして成果が上がる理系的仕事術(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

さて、今日は本の紹介です。

ラクして成果が上がる理系的仕事術 (PHP新書)
ラクして成果が上がる理系的仕事術 (PHP新書)

少し前の本ですが、とてもいい本です。

京大大学院の火山学の教授が書いた本です。

火山とは全く関係のない「仕事術」の本ですが、薄っぺらい仕事術とは一線を画す内容となっています。

おすすめです。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

世の中の仕事の8割は、すでに存在する良質な内容を組みなおして、新しいレポートを作成することで通用する。たいていの新知見は、先人の蓄積の上に成り立っている。」(168頁)

最初からオリジナルな仕事をめざすのは危険でさえある。むしろコピーペーストに徹して、クリエイティブな作業を倦むことなく積み重ねることに集中したほうがよいのだ。部分部分で自分なりの新しいまとめを提示できるようになれば、それで十分である。・・・クリエイティブな仕事とは、極端なことをいえば、引用文献の多さに比例するといってもよいかもしれない。」(173~174頁)

これは、常に頭の中に入れておくべきことです。

仕事をする上でも、同じことが言えるのではないでしょうか。

私も、事務所のスタッフに対して、同じようなことをよく言います。

まず、「何を模倣するか」という点です。

模倣の対象が適切かどうかという観点です。

これがおかしいと、どれだけ忠実に模倣しても、結果としては、よくわからないことになってしまいます。

次に、「どのように模倣するか」という点です。

模倣の正確さの問題です。

中途半端に模倣すると、結果も中途半端になってしまいます。

「クリエイティブな仕事とは、極端なことをいえば、引用文献の多さに比例する」という切り口は、おもしろいですね。

確かに組み合わせの数が多ければ多いほど、クリエイティブに見えますよね。

質の問題を量の問題として捉えるという発想の転換ができるかどうかが鍵だと思います。

不当労働行為45(東急バス事件)

おはようございます。

さて、今日は、増務割当差別に対する不当労働行為の成否と救済方法に関する裁判例を見てみましょう。

東急バス事件(東京地裁平成24年1月27日・労判1047号27頁)

【事案の概要】

X組合およびその組合員13名は、Y社が残業扱いとなる乗務(増務)の割当てに当たって、平成17年3月以降の期間につき、他の従業員との間で差別があり、労組法7条所定の不利益取扱いおよび支配介入に当たるとして、労働委員会に対し救済命令の申立てを行った。

これを受けて、都労委は、Y社に対し救済命令を発した。

Y社は、これを不服として、中央労働委員会に再審査を申し立てた。

中労委は、一部内容を変更した上で、救済命令を発した。

Y社は、本件中労委命令取消しを求めた提訴した。

【裁判所の判断】

増務割当差別は不当労働行為にあたる

【判例のポイント】

1 本件中労委命令は、組合員らに対する差別的取扱いの禁止を命じた本件初審命令を維持したが、初審命令後も同様の差別的取扱いが継続していること等にかんがみれば、改めて差別的取扱いの禁止を命じる高度の必要性が認められるから、かかる救済方法を定めること自体に裁量の逸脱・濫用があると認めることはできない。

2 Y社は、本件中労委命令における差別取扱いの禁止命令は、極めて抽象的かつ不明確な命令であり、救済命令としての特定を欠くものであって、このような救済命令を発することは違法であると主張する。
しかし、先になされた不当労働行為が単なる一回性のものでなく、将来再び繰り返されるおそれが多分にあると認められる場合においては、不当労働行為制度の目的に照らし、その予想される将来の不当労働行為が、過去の不当労働行為と同種若しくは類似のものである限り、労働委員会はあらかじめこれを禁止する不作為命令を発することを妨げないと解するのが相当である(最高裁昭和37年10月9日判決、最高裁昭和47年12月26日判決)。本件においては、Y社が同種の不当労働行為を継続しており、今後も同じ増務割当差別が繰り返されるおそれが多分にあると認められるから、かかる不作為命令を発することは何ら妨げられないというべきである。

3 その不作為命令の特定性の程度については、それが罰則で強制されるものである以上、ある程度具体的に示されるべきであるが、これをあまり厳格に要求することは、将来の不当労働行為の予防という観点に照らし合目的的とはいえないことから、この点については、労働委員会に相当の裁量があるものというべきである。本件においては、X組合員らを他の乗務員と増務割当てに関して差別して取り扱ってはならないことは、通常人においても理解可能な内容であるといえるし、Y社において、勤務交番表その他の増務割当時における取扱いの合理性を確保し、各組合の増務時間数の相当程度の均衡が保たれているかを適宜確認して必要な調整を行えば、同主文の履行は可能であることからすれば、本件差別禁止条項における不作為命令の特定の程度は相当であり、この点で、本件中労委命令が、労働委員会に与えられた裁量を逸脱・濫用していると認めることはできない。

4 不当労働行為審査手続は、処分権主義を採用する民事訴訟手続とは異なり、職権再審査制度もおかれていること(労働委員会規則52条)、さらに不当労働行為審査手続の審査の対象は、不当労働行為の存否であって、申立ての趣旨は、その救済方法の指定という意味を有することも考えると、再審査申立人の再審査申立ての趣旨に完全に拘束されるという意味での、厳格な処分権主義が採用されたと解することは相当でない

不当労働行為に関する一般論について参考になる点がたくさんあります。

内容としては、本件増事割当差別が不当労働行為にあたることは明らかです。

組合との団体交渉や組合員に対する処分等については、まずは事前に顧問弁護士から労組法のルールについてレクチャーを受けることが大切です。決して素人判断で進めないようにしましょう。

本の紹介107 「交渉上手」は生き上手(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今日で1週間も終わりですね。
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←先日、「焼肉食堂(卸)静岡食肉センター」に行ってきました。

活気があって、雰囲気のいいお店でした。 ホルモンが充実しているお店です。

今日は、午前中は、裁判が1件入っています。

午後は、浜松で裁判です その後、浜松で夜まで会議です。

明日は、ペガサートで特定社労士の先生方を対象としたセミナーです

お題は、「弁護士の視点+社労士の視点で考える労務トラブル実践的対処法」です。

ケーススタディで、実践的な対処法をみなさんと一緒に探っていきたいと思います。

今日も一日がんばります!!

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さて、今日は本の紹介です。
「交渉上手」は生き上手 (講談社プラスアルファ新書)
「交渉上手」は生き上手 (講談社プラスアルファ新書)

弁護士の久保利先生の本です。

いわゆる交渉術についての本ではありません。

タイトルのとおり、「交渉とは人生そのもの」ということを前提に、テクニックにとどまらない内容となっています。

2年程前に出版された本ですが、もう一度読んでみました。とてもいい本だと思います。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

・・・美空ひばりの名曲『柔』の一節、《勝つと思うな 思えば負けよ》が頭をよぎる。勝とう勝とうとするから、負ける。勝つことばかりに固執するからだ。逆に、本当にほしいと思ったら、ほしい素振りをするなということ。そういう意味で言うと、どうでもいいやと捨ててかかっている人が、いちばん強いということである。『金も名誉も生命さえもいらぬ』という人に勝つ方法を私は知らない。誰も知らないだろう。」(59頁)

勝つことばかりに固執すると、勝てなくなるという感覚はよくわかります。

何かに固執すると、柔軟性が失われてしまいます。

固執するというのは、言い方を変えると、「こだわる」というような感じでしょうかね。

「こだわる」「こだわりがある」というのは、一般的には、良い意味で使います。

しかし、あまりにも何かにこだわると、それは、「こだわり」ではなく、「かたくな」になってしまうように思うのは僕だけでしょうか。

「かたくな」は、漢字で「頑な」と書きます。

「頑固」の「頑」という字を使います。

この言葉、柔軟であることの対極にあるものではないでしょうか。

特定の主義や思想等に固執すると、頑固なまでに考え方を変えることができなくなってしまいます。

そうすると、もう思考の身動きみたいなものがとれなくなってしまう。

生きていくうえで、過度なこだわりは捨てたほうがいいんじゃないかな、と思っています。

解雇75(日本航空(整理解雇)事件)

おはようございます

さて、今日は、会社更生手続中の航空会社の客室乗務員に対する整理解雇に関する裁判例を見てみましょう。

日本航空(整理解雇)事件(東京地裁平成24年3月30日・労経速2143号3頁)

【事案の概要】

Y社は、その子会社、関連会社とともに、航空運送事業及びこれに関連する事業を営む企業グループを形成し、国際旅客事業、国内旅客事業等の航空運送事業を展開する会社である。

Y社の会社更生手続中である、平成22年12月、更生管財人は、Xらに対し解雇予告通知をしたが、その際の整理解雇対象者は客室乗務職108名であったが、その後希望退職の募集等を行い、最終的には、客室常務職員数は84名となった。

Xらは、更生管財人を被告として(会社更生手続終了後に被告が受継した)、本件解雇の無効を主張し争った。

【裁判所の判断】

整理解雇は有効

【判例のポイント】

1 Y社は、会社更生手続下でされた本件解雇については、会社清算・破産手続下でされた整理解雇の場合と同様に、いわゆる整理解雇法理を機械的に適用すべきではないと主張する。
しかしながら、(1)会社更生手続は、窮境にある株式会社について、更生計画を策定するなどして、債権者、株主その他の利害関係人の利害を適切に調整し、もって当該株式会社の事業の維持更生を図ることを目的とする再建型の倒産処理手続であり、更生手続開始の決定時点で破綻した更生会社を観念的に清算する手続であるとはいっても、清算型の倒産処理手続である会社清算・破産手続とは異なり、事業の継続を前提としており、直ちに労働社の就労が拒否されるわけではないこと、(2)清算型の倒産処理手続下において労働者を解雇する場合であっても、当該解雇には解雇制限規定(労働基準法19条)及び解雇予告規定(同法20条)の適用があると解される上、会社更生手続や民事再生手続のような再建型の倒産処理手続においては、労働社の労働基本権に配慮する趣旨で、更生管財人が労働協約を解除することができない旨の特則(会社更生法61条3項、民事再生法49条3項)が置かれていること、(3)(2)と同様の趣旨で、労働契約は、継続的給付を目的とする双務契約であるにもかかわらず、反対給付不履行の場合の履行拒絶禁止規定が適用されない旨の特則(会社更生法62条3項、民事再生法50条3項)が置かれていることに鑑みると、会社更生手続下でされた整理解雇については、労働契約法16条(解雇権濫用法理)の派生法理と位置付けるべき整理解雇法理の適用があると解するのが相当である。もっとも、整理解雇法理適用の要件を検討するに当たっては、解雇の必要性の判断において使用者である更生会社の破綻の事実が、重要な要素として考慮されると解すべきである

2 本件解雇の効力を判断するに当たっても、本件解雇にいわゆる整理解雇法理の適用があるとの前提で、以下、(1)人員削減の必要性の有無、程度、(2)解雇回避措置の有無、程度(解雇回避措置実施の有無、内容等)、(3)人選の合理性の有無(本件人選基準の合理性等)、(4)解雇手続の相当性(労使交渉の経緯、不当労働行為性等も含む。)を具体的に検討し、これらを総合考慮するのが相当である。

3 整理解雇による被解雇者(本件Xらを含む客室乗務職及び運航常務職ら約160名)を残すことが経営上不可能ではなかった旨の当時のY社の代表取締役会長の発言は、苦渋の決断としてやむなく整理解雇を選択せざるを得なかったことに対する主観的心情を吐露したにすぎないものと評価するのが相当であって、客観的状況に照らせば、会長の発言があったことをもって、人員削減の必要性を否定することはできない。

4 Y社は、再三にわたる希望退職措置の方法で任意の退職者を募集し、一連の希望退職措置においては、一旦倒産状態に陥った更生会社であるにもかかわらず、退職金の割増支給を含む非常に手厚い退職条件を提示した上、併せて、その当時、採用可能な各種の解雇回避措置を実施する等、Y社が本件解雇に先立ち行った解雇回避措置は、いずれも合理的なものであり、総合して破格の内容のものであるということができるから、Y社は、本件解雇に当たって十分な解雇回努力を尽くしたものと認めるのが相当である

5 本件解雇に当たって採用された本件人選基準((1)休職者基準、(2)病欠日数・休職日数基準、(3)人事考課基準、(4)年齢基準を併用し、(1)から(4)までを順に適用するもの)のうちの病欠日数・休職日数基準、年齢基準は、いずれも使用者であるY社の恣意の入る余地の少ない客観的なものであったし、人事考課基準についてはそもそも該当者がなく、休職者基準、病欠日数・休職日数基準については、過去の 病欠歴を基にY社に対する将来の貢献度を推定する基準として合理的であるということができるし、年齢基準についても、若年層に厚い人員構成への転換を図るべく、Y社に対する将来の貢献度とともに、解雇対象者の被害度を客観的に考慮した結果として設定されたものであって、合理性があるものと評価される。

解雇を選択する前には必ず顧問弁護士に相談の上、慎重かつ適切に対応することが肝心です。決して、素人判断で進めないようにしましょう。

本の紹介106 自分の中に毒を持て(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

さて、今日は本の紹介です。
自分の中に毒を持て―あなたは“常識人間”を捨てられるか (青春文庫)
自分の中に毒を持て―あなたは“常識人間”を捨てられるか (青春文庫)

1993年に出版された本です。

岡本太郎さんが亡くなられたのが1996年ですから、亡くなる3年前に出されたものです。

タイトルと表紙の写真がまたいいですね。

岡本太郎さんの考え方がこの本全体ににじみ出ています。

とにかく発想が個性的です。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

自由に、明朗に、あたりを気にしないで、のびのびと発言し、行動する。それは確かにむずかしい。苦痛だが、苦痛であればあるほど、たくましく挑み、乗りこえ、自己をうち出さなければならない。若い時こそそれが大切だ。この時代に決意しなければ、一生、生命はひらかないだろう。
挑みつづけても、世の中は変わらない。しかし、世の中は変わらなくても自分自身は変わる。世の中が変わらないからといって、それでガックリしちゃって、ダラッと妥協したら、これはもう絶望的になってしまう。そうなったら、この世の中がもっともっとつまらなくみえてくるだろう。
だから、闘わなければいけない。闘いつづけることが、生きがいなんだ。
」(124頁)

岡本太郎さんらしいアドバイスです。

「闘いつづけることが、生きがいなんだ」。 いい言葉ですね。

同感です。

何と闘うか。 闘う対象は、常識であったり、固定観念だったりするんだと思います。

多くの人が、忙しい毎日を過ごしていて、新しいことにチャレンジしなくても、まあ、なんとかなっているし、そもそもチャレンジする時間的・精神的余裕がないのではないでしょうか。

闘いつづけるためには、意識的に新しいことにチャレンジする時間的・精神的余裕をつくりださなければいけませんね。

スケジューリングや仕事のやり方をもっともっと工夫しなければいけないんでしょうね。

退職勧奨7(日本アイ・ビー・エム(退職勧奨)事件)

おはようございます。

さて、今日は、退職勧奨に関する裁判例を見てみましょう。

日本アイ・ビー・エム事件(東京地裁平成23年12月28日・労経速2133号3頁)

【事案の概要】

Y社は、企業体質強化を目的とし、退職者支援プログラムを用意しつつ、一定層の従業員をターゲットにして、全社的に退職勧奨を実施した。

Y社は、平成20年10月頃から、Xらに対する退職勧奨ないし業績改善のための2回ないし7回にわたる面談を行った。

Xら4名の従業員は、Y社が行った退職勧奨が違法な退職強要に当たるとして、Y社に対して不法行為による損害賠償請求を行った。

【裁判所の判断】

請求棄却
→本件退職勧奨は違法ではない。

【判例のポイント】

1 退職勧奨は、勧奨対象となった労働者の自発的な退職意思の形成を働きかけるための説得活動であるが、これに応じるか否かは対象された労働者の自由な意思に委ねられるべきものである。したがって、労働者の自発的な退職意思を形成する本来の目的実現のために社会通念上相当と認められる限度を超えて、当該労働者に対して不当な心理的圧力を加えたり、又は、その名誉感情を不当に害するような言辞を用いたりすることによって、その自由な退職意思の形成を妨げるに足りる不当な行為ないし言動をすることは許されず、そのようなことがされた退職勧奨行為は不法行為を構成する

2 本件において、業績不振の社員が、退職勧奨に対して消極的な意思表示をした場合、それらの中には、これまで通りのやり方で現在の業務に従事しつつ大企業ゆえの高い待遇と恩恵を受け続けることに執着するあまり、業績に係る自分の置かれた位置づけを十分に認識せずにいたり、業務改善を求められる相当程度の精神的重圧(高額の報酬を受ける社員であれば、なおさら、今後の更なる業績向上、相当程度の業務貢献を求められることは当然避けられないし、業績不良により上司・同僚に甚だ迷惑をかけている場合には、それを極力少なくするよう反省と改善を強く求められるのも当然である。)から解放されることに加えて、充実した退職支援を受けられることの利点を十分に検討し又は熟慮したりしないまま、上記のような拒否回答をする者が存在する可能性は否定できない。また、Y社は、充実した退職者支援策を講じていると認められ、また、当該社員による退職勧奨拒否が真摯な検討に基づいてなされたのかどうか、退職者支援が有効な動機付けとならない理由は何かを知ることは、Y社にとって、重大な関心事となることは否定できないのであり、このことについて質問する等して聴取することを制約すべき合理的根拠はない

3 そうすると、退職勧奨対象社員が消極的な意思を表明した場合でも、Y社に在籍し続けた場合におけるデメリット、退職した場合におけるメリットについて、更に具体的かつ丁寧に説明又は説得活動をし、また、真摯に検討してもらえたのかどうかのやり取りや意向聴取をし、退職勧奨に応ずるか否かにつき再検討を求めたり、翻意を促したりすることは、社会通念上相当と認められる範囲を逸脱した態様でなされたものでない限り、当然に許容されるものと解するのが相当であり、たとえ、その過程において、いわば会社の戦力外と告知された当該社員が衝撃を受けたり、不快感や苛立ち等を感じたりして精神的に平静でいられないことがあったとしても、それをもって、直ちに違法となるものではない。したがって、当該社員が退職勧奨のための面談には応じられないことをはっきりと明確に表明し、かつ、Y社(当該社員の上司)に対してその旨確実に認識させた段階で、初めて、Y社によるそれ以降の退職勧奨のための説明ないし説得活動について、任意の退職意思を形成させるための手段として、社会通念上相当な範囲を逸脱した違法なものと評価されることがあり得る、というにとどまる

4 以上に基づき検討すると、Y社がした退職勧奨には違法があるとは認められない。また、Y社がした業績評価及びそれに基づく面談における説明等についても、業績評価に係る裁量権の濫用又は逸脱の違法があるとは認められず、面談における説明等の方法や態様につき社会通念上相当と認められる範囲を逸脱するような違法があるとも認められない。

退職勧奨が有効と認められています。

この裁判例によれば、退職勧奨が違法となるには、前提として、従業員が退職勧奨のための面談には応じられないことを「明確に」表明することが求められています。

退職勧奨に関して「消極的な意思表示」をしているだけの場合に、翻意を促すことは許容されるとのことです。

退職勧奨の際は、顧問弁護士に相談しながら慎重に進めることが大切です。