本の紹介2201 「言葉にできる」は武器になる。#2(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も1週間お疲れさまでした。

今日は、本の紹介です。

今から8年前に紹介した本ですが、再度読み返してみました。

表紙には「『言葉にできない』ことは、『考えていない』のと同じである。」と書かれています。

言語化が上手な人というのは、それだけもう素敵ですよね。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

人間は、その人の思考の産物にすぎない。人は思っている通りになる。 マハトマ・ガンディー」(62頁)

思考は知識の上に成り立ちます。

知らないことは考えようがないからです。

また、思考は日々の訓練によっていくらでも鍛えることができます。

逆に、車のエンジン同様、使わないといざという時に動かなくなってしまいます。

日々、正解がないことについて考え抜く訓練・習慣が大切なのだと思います。

セクハラ・パワハラ97 会社の代表者によるパワハラ発言による慰謝料の金額(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、会社の代表者によるパワハラ発言による慰謝料の金額に関する裁判例を見ていきましょう。

NJH事件(東京地裁令和6年7月25日・労判ジャーナル156号44頁)

【事案の概要】

本件は、Y社の元従業員Xが、Y社の代表取締役であるC及びDからそれぞれ違法な退職勧奨、パワー
ハラスメント、名誉毀損行為を受け、また、Y社から令和4年8月分以降の月額給与を毎月2万円ずつ違法に減額されたと主張して、C及びDに対しては共同不法行為に基づく損害賠償として、Y社に対しては会社法350条又は不法行為に基づく損害賠償として、慰謝料等330万円等の連帯支払を求め、また、XとY社との間の令和4年11月20日をもって退職する旨の合意は有効に成立していないにもかかわらず、退職扱いとされたと主張して、Y社に対し、雇用契約上の権利を有する地位にあることの確認を求めるとともに、XとY社との間の雇用契約に基づく未払賃金請求として、Y社に対し、違法に減額された未払賃金等の支払を求めた事案である。

【裁判所の判断】

合意退職は有効

C及びDのパワハラ→慰謝料10万円

【判例のポイント】

1 本件面談において、Cは、Xに対し、Xの経理部での仕事ぶりに対するCの認識に関する発言の域や、Xの経理部での働きぶりに対してXに反省を求める発言の域を超えて、「うーん。すごい人だね、あなたね。心の中、のぞいてみたいよね。夜叉だよ、夜叉。そんなことをね、言う人はね、普通じゃないって」などと、Xに対する個人的な人格非難と評価されてもやむを得ない発言をするとともに、「もうあなたに給料出す気はないし、早く、1日でも早く辞めてほしい。いなくなってほしい」、「有休マックスなんか、取れると思っちゃ、大間違いだからね。言っとくけど。大間違い」などと、有給休暇の取得を否定する発言をしたことが認められ、本件面談においてCが行った発言のうち、少なくとも上記各発言に関しては、Xに対する選法なパワーハラスメントとして不法行為を構成する。

2 Dは、本件面談に同席し、本件面談を通じて、CがXに対して各発言をすることを制することもな<、かえって、「最後に正義が勝つんだなって、僕、思ってるし、なぜE君(元社長)がこういうふうに精神的に追い詰められたかって、今、自分でもずっと考えてて。うん。その理由は、まあ、本人の問題もあるだろうけど、うん、Aちゃん(Xのこと)もあるんじゃないかなと思います」などと、Cに同調する発言もしていたことからすると、CとともにXに対して共同不法行為責任を負うものと解するのが相当である。

いろいろとあったことは容易に想像できます。

とはいえ、このご時世、仮に心の中で思っていたとしても、それを1度でも口に出したらこのような問題に発展してしまいます。

慰謝料額よりもレピュテーションダメージのほうがはるかに大きいです。

労務管理に関する抜本的な改善については顧問弁護士に相談の上、適切に対応しましょう。

本の紹介2200 自分を信じ抜く100の言葉#2(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も1週間お疲れさまでした。

今日は、本の紹介です。

今から8年前に紹介した本ですが、再度、読み返してみました。

周りに流されず、自分の生きたいように生きることが幸せというものです。

いつしか自分の幸せの定義すら忘れて、気づけば1日が終わっている、なんて人も多いのではないでしょうか。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

多くの人が、自意識で自分自身を縛り付け、あたかも『牢獄』に入っているように不自由に生きています。その方が、楽なように思えるからです。さらに困ったことに、その生き方を目下の下や年下の人に強要する人もいます。前例や慣例にこだわる人は、無意識のうちに自らの『牢獄』に他人を引きずりこもうとしているのかもしれません。」(15頁)

人は、自分の状況に不満を抱いたとしても、なんとかこじつけても、正当化しようとする生き物です。

そして、「みんなそうしているよ」とか「こうやるのが常識だ」とかなんとか言って、自分の状況に他人を引きずりこもうとします。

自分の頭で考えず、誰かの言いなりになって生きるなんて、考えただけ眩暈がします。

1度きりの人生にもかかわらず、あたかも牢獄で生活しているかのような窮屈で不自由な生活なんて、まっぴらです。

解雇425 不法な金銭の領得行為の金額が少額であっても、普通解雇の有効性を肯定した事案(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、不法な金銭の領得行為の金額が少額であっても、普通解雇の有効性を肯定した事案について見ていきましょう。

美容室A事件(東京地裁令和6年10月15日・労経速2580号24頁)

【事案の概要】

本訴は、Y社との間で労働契約を締結してY社の運営する美容室で美容師として稼働していたXが、Xによる売上金の領得行為を理由とするY社による普通解雇の意思表示が無効であると主張して、Y社に対し、労働契約上の権利を有する地位にあることの確認を求めるとともに、民法536条2項に基づき、解雇日である令和3年10月8日から同月31日までの賃金13万9354円及び同年12月から本判決確定の日まで毎月10日限り18万円の賃金の支払を求める事案である。

反訴は、Y社が、XがY社の運営する美容室において継続的に売上金を不法に領得していたと主張して、Xに対し、不法行為に基づく損害賠償として、260万0400円+遅延損害金の支払を求める事案である。

【裁判所の判断】

1 Xの本訴請求をいずれも棄却する。
2 Xは、Y社に対し、2200円+遅延損害金を支払え。

【裁判所の判断】

1 原告が顧客に対し、顧客から受領した額と代金額との差額の全額を釣銭として交付しており、認定事実(12)については、原告が顧客から代金額と同額を受領しており、いずれにおいても、顧客から本件美容室における代金額を上回る金額の交付を受けていない。そうすると、認定事実(4)、(8)、(9)及び(12)の機会において、原告がレジから五百円硬貨を取得する行為は、顧客から前記アのような態様で釣銭の一部等をチップとして受領する機会があることに乗じて、本件美容室の売上金を不法に領得したものと認めるほかない

2 原告は、4回にわたって本件美容室の売上金を不法に領得したものであるところ、その金額は合計2000円と少額であるものの、従業員を雇用して営利事業を営む者において、当該事業による売上金をレジから複数回にわたって不法に領得した者を雇用し続けることは不可能であって、原告の上記行為は、労働者と使用者の間の信頼関係を破壊するものというほかない。そして、原告が売上金を不法に領得したことを認めておらず、被害弁償をしていないことも併せ考慮すると、本件解雇について、客観的に合理的な理由を欠くとも、社会通念上相当であると認められないともいうことはできず、権利の濫用に当たるとはいえないから、本件解雇は有効というべきである。

原告が不法領得を認め、反省及び謝罪をし、被害弁償をしていたら、結論は変わったでしょうか。

犯罪については、被害額の多寡のみで判断せず、回数や犯行後の態度等も考慮要素となることを押さえていきましょう。

日頃から顧問弁護士に相談をすることを習慣化しましょう。

本の紹介2199 起業家#2(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も1週間がんばりましょう。

今日は、本の紹介です。

今から12年前に紹介した本ですが、再度、読み返してみました。

なんでもそうですが、軌道に乗せるまでが大変です。

やり切る人の生半可でない情熱や覚悟がよくわかります。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

金のためにやっている訳ではないのに、金を批判され。名声名誉のためでもないのに、陰口を叩かれて。前に進もうとするととられるあげ足。成功するたびに増えていく妬みや嫉妬。少しの本当を混ぜながら嘘をつかれたり、全くの出鱈目の噂話も、今ではもう慣れました。」(7頁)

いつからか他人の評価など、気にしても仕方がないことに気付きます。

できるだけ批判されないように、できるだけ嫌われないようにと、常に他人の評価に怯えながら自分を殺して生きていくことのあほらしさに気付くのです。

大丈夫。何をやろうと、何を言おうと、万人から好かれることも万人から嫌われることもありませんので。

そんなしょうもないことを気にしているうちに人生は終わります。

生きたいように生きればいいのです。

労働災害118 同僚の暴行による傷害に基づく療養補償給付等不支給処分が認められた事案(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も1週間お疲れさまでした。

今日は、同僚の暴行による傷害に基づく療養補償給付等不支給処分が認められた事案を見ていきましょう。

国・豊橋労基署長事件(名古屋地裁令和6年9月11日・労判ジャーナル154号38頁)

【事案の概要】

本件は、A社の期間従業員であったXが、業務に従事中、同僚のbに顔面を殴打され、これにより右眼角膜裂傷及び虹彩脱出の傷害を負い、療養及び休業を余儀なくされたと主張して、豊橋労基署長に対し、労働者災害補償保険法に基づき、療養補償給付及び休業補償給付の支給を請求したところ、同署長が業務と本件傷害との間に因果関係が認められないとして、これらを支給しない旨の各処分をしたため、労働者が、国に対し、本件各処分に違法があるとして、その取消しを求めた事案である。

【事案の概要】

請求認容

【裁判所の判断】

1 Xは、同僚のAとパレット作業を開始し、他方、bは、同時刻頃、同僚のBとトレイ作業を開始し、Xが、休憩を終え、パレット作業に戻ろうとした際、bは、Xに対し、パレット作業からトレイ作業に交代するよう指示をしたが、Xが、これに応じなかったため、Xの対応に憤慨したbとの間で、口論(本件口論)となり、そこで、Aが、Xとbとの間に入り、これを仲裁したところ、Xとbは、一度離れ、その後間もなく、bは、Xに再び近づき、Xに対し、その顔面を左拳で1回殴る暴行を加え、これにより、労働者は、右眼角膜裂傷及び虹彩脱出の傷害(本件傷害)を負った本件暴行の経緯によれば、bは、Xに対し、パレット作業からトレイ作業に交代するよう本件指示をし、Xがこれを断ったことを契機として本件口論となり、その後、本件暴行を至ったものであり、本件傷害は、Xが業務に従事している場合において、bの故意に基づく本件暴行により本件傷害を負うに至り、そして、本件暴行がbのXに対する私的怨恨に基づくものとも、Xの自招行為によるものともいえず、本件傷害は、Xの業務に内在する危険が現実化したものであって、業務上のものであると認められるから、本件傷害について業務起因性を否定し、労働者の療養補償給付及び休業補償給付の各請求について支給しないとした本件各処分は、判断を誤るものであり、Xの請求は、理由がある。

業務に起因しているといえば起因していますね。

これで会社が安全配慮義務違反を問われたらえらいことですが・・・

日頃の労務管理が勝敗を決します。日頃から顧問弁護士に相談することが大切です。

本の紹介2198 大切なことだけやりなさい#2(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、本の紹介です。

今から9年前に紹介した本ですが、再度、読み返してみました。

何が大切であるか、何を大切にするかが、決定的に重要であるということがよくわかります。

時間は有限ですので。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

人生をよりよくする唯一の方法は、成長することである。」(240頁)

どのくらいの人たちが、「成長」にフォーカスして日々生活しているのでしょう。

肌感覚では、ほんの数パーセントな気がします。

成長には成長痛が伴いますが、それを楽しめるかどうかなんだと思います。

山登りと同じ。

決して「楽」ではないですが、その過程を「楽しい」と思えるかどうか。

もうそこに尽きるのではないでしょうか。

管理監督者65 管理監督者と認められ、未払割増賃金請求が棄却された事案(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も1週間がんばりましょう。

今日は、管理監督者と認められ、未払割増賃金請求が棄却された事案を見ていきましょう。

SMAジャパン事件(東京地裁令和6年3月28日・労判ジャーナル154号54頁)

【事案の概要】

本件は、Y社との間で労働契約を締結していたXが、Y社に対し、労働契約に基づき、時間外労働及び深夜労働に係る未払割増賃金等の支払及び付加金等の支払を求めた事案である。

【裁判所の判断】

請求棄却

【判例のポイント】

1 Xは、Y社代表者とともにJMCメンバーとして会社の経営の中核に関与するとともに、Y社代表者に代わって、法務・人事部門という会社にとって重要な部門を続括し、同部門の社員の人事及び労務管理を行う権限を相当程度有していたものと認められるから、労働基準法の定める労働時間規制の枠を超えて活動することを要請されてもやむを得ない重要な職務と権限を付与されていたといえ、また、Xが職務繁忙等の理由により所定労働時間内は就業を余儀なくされるような状況にあったとしても、Xの勤怠が厳格に管理されていたと評価することはできず、そして、Xは、本件請求期間中、令和3年4月支給分までは理論年収1200万円、同年5月支給分以降は理論年収1420万円の賃金の支給を受けていたところ、これらの額は、Y社において管理監督者ではない者として扱われているジョブレベル6以下の社員の平均理論年収645万円と比較すると、相当に高額であるといえ、さらには、管理監習者として扱われているジョブレベル7以上の社員の中でも3番目に高く、これら社員の理論年収の中央値970万円と比較しても、相当に高額であるから、Xには、従業員の職務及び権限に相応しい待遇がされていたと評価することができ、XはY社において同号所定の管理監督者の地位にあったものと認めるのが相当である。

管理監督者性が肯定されています。

とはいえ予見可能性に乏しい分野のため、リスクを考えると、なかなかお勧めできない制度です。

日頃から顧問弁護士に相談の上、適切に労務管理をすることが肝要です。 

本の紹介2197 世界的な大富豪が人生で大切にしてきたこと60#2(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も1週間お疲れさまでした。

今日は、本の紹介です。

今から10年前に紹介した本ですが、再度、読み返してみました。

帯には「他人が目もくれない場所に、チャンスは転がっている。」と書かれています。

みんなと同じことに不安を感じるくらいがちょうどいいです。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

結局、私はお金で『自由』を買いたかったのです。会社勤めをしていたら、なかなか思うように自分のやりたいことを実現できない。私の目標は人生でやりたいことができる『自由』を手に入れることであり、そのためにお金を稼いだのです。ですから、今でもそれ以外のことにはほとんどお金を使いません。」(151頁)

全く同意見です。

「幸せ」の定義は人それぞれですが、私の場合は、あらゆることに対して「自由でいること」です。

自由でいることとは、すなわち、選択できることを意味します。

お金があれば、経済的には自由かもしれませんが、精神的に不自由であれば幸せとはいえません。

やりたいことができるという価値も大切ですが、それ以上に、嫌なことを嫌だと拒否できることのほうがはるかに価値が高いです。

結論、お金は経済的自由を与えてくれますが、それだけでは本当の自由を手にしたとはいえないわけです。

本当の意味で「自由でいる」ためには、経済的・精神的自由を獲得し、生涯、死守し続けることがキモではないかと思っています。

そのためには、兎にも角にも、勢い余って、経済的・精神的自由を奪われる選択を自らしない、ということに尽きます。

労働時間115 テレビ番組制作業における事業場外労働時間みなし制度の適否等(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

テレビ番組制作業における事業場外労働時間みなし制度の適否等について見ていきましょう。

テレビ東京制作事件(東京地裁令和5年6月29日・労判1324号61頁)

【事案の概要】

本件は、Y社に雇用されている労働者であるXが、Y社に対し、未払残業代等を請求した事案である。

【裁判所の判断】

一部認容

【判例のポイント】

1 番組制作は、企画、取材、撮影及び編集の過程があるところ、企画の段階及び取材の初期の段階では、どのような取材対象者をどの程度取材することになるか、どのような調査を行う必要があるかをあらかじめ決め難い場合があると認められる。また、Xは、制作業務を一人で担当しており、企画、取材及び撮影は、被告の事業場外での労働が中心であり、編集についても事業場外の編集所で行う場合が多く、全体として、おおむね直行・直帰により行われていたものであり、上司などの管理者の目視できる場所で作業が行われることは少なかった。
他方で、企画及び取材における初期の段階でも、管理者が、Xから、その日行った作業内容の結果を報告させることは可能であったといえる。さらに、一つの番組は2~8箇月といった比較的長い時間をかけて制作されるものであり、一旦企画書が採用された後は、企画書によって、取材及び撮影の対象、内容及び方法が一定範囲に定まるものであると認められるから、企画書が採用された後は、上司において、企画書などに基づき、Xから報告された日々の作業内容に基づいて進捗を確認し、指揮命令を行うことができるといえる。
また、始業・終業時刻については、携帯できる端末でどの場所からでも入力できる勤怠管理のシステム(本件システム)で報告することとされており、同システムには、ボタン操作により即時記録される始業・終業時刻はもちろん、始業・終業時刻を手動で入力編集した時刻も逐一記録されるものであったから、上司において、始業・終業時刻を確認したり、入力状況を確認したりすることができた。
本件システムの備考欄によって取材先が報告されることがあるほか、首都圏以外は出張届で事前に届出がされ、首都圏内でも交通費の申請がされ、上司において、取材場所の確認が可能であった。また、Xが撮影した全ての映像には、撮影時刻及び撮影対象が逐一記録されていたから、撮影の作業の裏付け確認を行うことも可能であった。放送局及び取材先との会合費は月ごとに領収証とともに報告がされていたから、これによりXの報告した作業内容の真実性を確認することもできた。また、映像の編集を行う編集所からは、番組ごとの利用日及び時間帯がY社に報告されていたから、これにより、Xの編集作業時間を確認することが可能であった。
さらに、Xは、Y社から社用の携帯電話を所持するよう指示されており、Y社からいつでも呼出し確認ができる状態となっていた。
以上のことからすれば、Xの制作業務は、おおむね事業場外の労働であったといえるが、Xの上司において、上記の方法で、Xの労働時間を把握するため具体的な指揮監督を及ぼすことが可能なものであったといえる。
したがって、制作業務は、その労働態様が、使用者が労働時間を十分把握できるほど使用者の具体的な指揮監督を及ぼし得ない場合であったとは認められず、労基法38条の2「労働時間を算定し難い場合」とはいえない

2 Y社は、Xが、Y社が当初指示したとおり、始業・終業の都度、本件システムのボタンを打刻する方法で報告を行わず、半月又は1箇月分をまとめて入力し、その後修正をすることを繰り返しており、入力内容の正確性を担保する手段がなかったため、労働時間を算定し難いといえる旨主張する。
しかし、証拠によれば、Y社においては、本件システムで報告された社員の1箇月間の所定時間外労働が一定の時間数を超過した場合、管理職らが、当該社員に対し、本件システムの入力内容の正確性の確認を求め、当該社員が労働時間を修正して再報告することがあるなど、労働時間を1箇月程度まとめて報告をすることは、許容されていたことが認められる。また、管理職らの上記指示内容からは、Y社において、始業・終業の都度のボタン操作で打刻した数値のみが正確であると捉えていたわけではないこともうかがえる。そして、Xが、本件システムに始業・終業の都度打刻をしていないことについて、平成30年5月より前に、Y社が、Xに対し、労働時間を把握するため、その都度入力に改めるよう指導した形跡は見当たらない。
そうすると、Xが半月又は1箇月分をまとめて本件システムに入力していたのは、Y社が、Xに対し、始業・終業時刻をその都度入力するよう指導を徹底していなかったことに原因の一つがあるといえる。
以上のことから、Xの上記報告の態様をもって、客観的に、労働時間を把握できるほど具体的な指揮監督を及ぼし得ない労働態様であったと認めることはできない。

上記判例のポイント1を読む限り、もはや今の時代、技術的に、労働時間を把握できるほど具体的な指揮監督を及ぼし得ない労働態様なんてほとんどないと思います。

日頃の労務管理が勝敗を決します。日頃から顧問弁護士に相談することが大切です。