本の紹介1188 お金の減らし方(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は本の紹介です。

お金を増やし方を説く本が溢れかえっている中で、このタイトルは非常にキャッチーです。

帯には「お金ってそんなに大切ですか?」と書かれています。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

自分の気持ちによってものの価値が決まるということに気づくことが、お金を無駄にしないうえで最も重要な点といえる。もう少し別の言い方をすれば、この『気持ち』というのは、『欲求』でもあるだろう。お金を使って手に入れる価値とは、結局は自分の欲求を満たすことだ、といえる。だから、まず自分の欲求をよく知ることが基本となる。」(43頁)

とても大事な視点です。

本当は自分の欲求が満たされないのに、周りに流されてなんとなくお金を使うことは、幸せ度を全く上げないただの「浪費」です。

例えば、高級な車や時計や洋服、大豪邸・・・

それを買うことによって自分の欲求が満たされる人は買えばいいですが、そうでない人は世間体や他人の目を気にして浪費する必要はありません。

見栄を張る必要などないのです。

私服はユニクロ、時計はそもそも着けない、車は動けば何でもいい、家はワンルームの賃貸の僕は、高級ブランド品をわざわざ買う理由がないのです。

幸せ度が1ミリも上がらないことを知っているので。

自分の欲求をよく知ることは本当に大切です。

同一労働同一賃金20 派遣労働者に対する通勤手当不支給と同一労働同一賃金問題(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間がんばりましょう。

今日は、派遣労働者に対する通勤手当不支給の(旧)労契法20条該当性に関する裁判例を見てみましょう。

リクルートスタッフィング事件(大阪地裁令和3年2月25日・労判ジャーナル111号24頁)

【事案の概要】

本件は、人材派遣事業等を業とするY社との間で、派遣等による就労の都度、期間の定めのある労働契約を締結し、派遣先事業所等において業務に従事していた派遣労働者が、Y社と期間の定めのない労働契約を締結している従業員と派遣労働者との間で、通勤手当の支給の有無について労働条件の相違が存在し、同相違は、(旧)労働契約法20条に反する違法なものであり、同相違に基づく通勤手当の不支給は不法行為に当たると主張して、Y社に対し、不法行為に基づく損害賠償請求として、未払通勤手当相当額等の支払を求めた事案である。

【裁判所の判断】

請求棄却

【判例のポイント】

1 派遣労働者が派遣スタッフないしOSスタッフとして従事した各JOB及び受託業務における時給額、派遣労働者が要した通勤交通費及びアルバイト・パートの平均時給額の比較によれば、派遣労働者が得ていた時給額はアルバイト・パートの平均時給額よりも相当程度高額であり、その差額は、各JOBにおいては派遣労働者が通勤に要した交通費を支弁するのに不足はないものであり、受託業務においても100円程度上回っており、派遣労働者が通勤に要した交通費の相当部分を補うのに足りるものであったと認められ、派遣スタッフ等の時給は、無期転換スタッフの時給・通勤手当、調整手当と同程度であるから、派遣労働者が得ていた時給額は、一般的にみて、その中から通勤に要した交通費を自己負担することが不合理とまではいえない金額であったということができ、また、派遣労働者の賃金について、通勤手当を含めて総額制にし、別途通勤手当を支給しないこと自体を禁ずる法律は存しないこと等から、当時、派遣労働者に通勤手当を支給しないことが一般的に違法であるとの取扱いがされていたとはいえず、本件相違は、(旧)労働契約法20条の「不合理と認められるもの」と評価することはできないから、本件相違により派遣労働者に対して通勤手当が支給されなかったことについて、不法行為に当たるということはできない

通勤手当に関する格差については、一般的には、違法と判断されますが、今回は、派遣労働者との対比においては、上記判例のポイント1の理由から適用と判断されました。

派遣会社の皆さんは参考にしてください。

同一労働同一賃金の問題は非常にセンシティブですので、顧問弁護士に相談して対応するようにしてください。

本の紹介1187 負けかたの極意#2(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間お疲れさまでした。

今日は本の紹介です。

8年前に紹介をした本を再度読み直してみました。

野村監督の本です。

帯には「人生に大切なことは、いつも敗北が教えてくれた。」と書かれています。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

はっきりいって、回数を目標にしているうちはダメなのだ。正しい素振りをしなければ、いくら回数を重ねたところで、それは間違った努力でしかない。大切なのは内容だ。正しい努力をしている者と間違った努力をしている者とでは、二年、三年も経てば大きな差が開いているはずだ。酷な言いかたになるかもしれないが、時間は平等に与えられているが、結果は決して平等ではないのだ。」(165頁)

質と量、どちらが大切かという問いがありますが、いうまでもなく両方大切です。

そもそもどちらかを選択するような話ではありません。

両者はトレードオフの関係にはありません。

結果が出ないのは、どちらかまたは両方が足りないからです。

原因と結果の法則とはそういうものです。

管理監督者47 カフェ部門従業員の管理監督者性(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、カフェ部門従業員の管理監督者性に関する裁判例を見てみましょう。

andeat事件(東京地裁令和3年1月13日・労判ジャーナル111号46頁)

【事案の概要】

本件は、Y社の従業員であったXが、時間外労働についての割増賃金の未払があるなどとして、Y社に対し、雇用契約に基づき、割増賃金合計1246万9252円+遅延損害金、並びに、労基法114条に基づく付加金請求として640万6611円+遅延損害金の支払を求める事案である。

【裁判所の判断】

Y社は、Xに対し、1029万6845円及びうち954万3690円に対する令和元年6月1日から支払済みまで年14.6%の割合による金員を支払え。

Y社は、Xに対し、609万1044円及びこれに対する本判決確定の日の翌日から支払済みまで年3%の割合による金員を支払え。

【判例のポイント】

1 Xは、カフェ部門のシフトの作成や本件店舗全体のシフトの調整、アルバイト従業員の人事評価は行っていたものと認められるが、シフト作成や調整は労務管理の一部でしかなく、人事評価についても昇給の最終判断は社長が行っていたというのであるから、これらの事情のみで、Xが、経営者と一体的な立場において、労働時間、休憩及び休日等に関する規制の枠を超えて活動することを要請されてもやむを得ないものといえるような重要な職務と権限を有していたとは認め難い。
これに対し、Y社は、Xはアルバイト従業員の採用につき実質上の最終判断をしていた、アルバイト従業員の解雇についても相当程度の権限が付与されていた、マネージャー(代理)就任後は各部門で作成したシフトを承認する権限を有していたなどと主張するが、前記認定事実の限度を超えて、これらを認めるに足りる的確な証拠はなく、いずれも採用することができない。
また、Y社は、Xは平成30年6月以降、経営再建計画の立案業務に従事していたとも主張するが、これを認めるに足りる的確な証拠はなく,採用することができない。

2 Xは、店長時代のみならず、マネージャー代理及びマネージャーとなった後も、シフトに入ることが多かったことが認められ、後記のとおり恒常的に長時間労働を余儀なくされていたことにも鑑みれば、Xが自己の勤務時間に対する自由裁量を有していたとはいい難い

3 Xには、当初は月額35万円、マネージャー代理の肩書を付与された後は月額40万円、平成30年4月以降は特別手当ないしその他手当を含めて月額45万円の固定給が支給されていたが、これは、同じカフェ部門の平社員であったBが月額35万円の固定給に加えて10万ないし15万円程度の時間外手当を支給されていたこと、シェフ部門の料理長の給与が月額約70万円、ベテランシェフの給与が月額約50万円であったことと比較して、高待遇とはいえない上、後記のとおり認定できる実労働時間を基に時給を計算すると、前記認定のアルバイト従業員の時給と同程度の水準となることから、その地位に相応しい処遇を受けていたとはいえない
これに対し、Y社は,Bはフランス人であり、本件店舗のブランド価値の向上のために必要不可欠な人材であることや、本件店舗の立ち上げに尽力してもらった人物からの紹介であったことから、特別に給与が高額であった旨主張するが、Bがどの程度本件店舗のブランド価値の向上に寄与していたのかも本件証拠上明らかでなく、上記人物からの紹介であったことを認めるに足りる的確な証拠もないから、Y社の上記主張は採用することができない。
また、Y社は、シェフ部門の従業員は、料理人として高度の技術等が要求されることに鑑みて、他部門の従業員と比較して給与が高くなっている旨主張するところ、そのような可能性は一般論としては考え得るものの、本件において同人らが、管理監督者とされるXと比して、有意に高額な給与を得ていたことの具体的な合理性を基礎づけるまでの事情とはいえないから、Y社の上記主張は採用することができない。

4 上記のとおり、店長時代のみならず、マネージャー代理及びマネージャーとなった後についても、Xが、経営者と一体的な立場において、労働時間、休憩及び休日等に関する規制の枠を超えて活動することを要請されてもやむを得ないものといえるような重要な職務と権限を有していたとは認め難い上、勤務態様についても、自己の勤務時間に対する自由裁量を有していたとはいい難く、待遇についても、その地位に相応しい処遇を受けていたとはいえないことから、これらを総合的に考慮すると、Xが前記のような労基法41条2号の規定の趣旨が充足されるような立場にあったと認めることはできず、同項所定の管理監督者に該当するとは認められない。

金額見てください。

管理監督者性が肯定されることはもうあきらめたほうがいいですよ。

雇用でいくのであれば、無駄な仕事を減らし、労働時間を短くし、残業代を支払う。

これが王道です。

労務管理は事前の準備が命です。顧問弁護士に事前に相談することが大切です。

本の紹介1186 ラクしてうまくいく生き方(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は本の紹介です。

ひろゆきさんの本です。

帯には「仕事も人間関係も心配事ももうちょっといい加減で大丈夫」と書かれています。

生きづらいなーと感じている人は読んでみるといいかもしれません。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

・・・誘われたからといって、わざわざ行きたくない会合に参加する必要もないし、会いたくもない人と会う必要もないのではないでしょうか。・・・人生で与えられている時間は有限ですから、生きたくない場所に行って無駄にストレスを抱えないほうが、ラクに生きることができますよ。」(55頁)

全く同感。

弁護士会等の強制加入団体を除き、あらゆる団体に加盟していない(したくない)のはまさにこの理由です。

なんとなくのお付き合いで定例のゴルフや飲み会に参加したくないのです(笑)

ジカンガモッタイナイ

会いたい人とだけ会いたいときに会えればそれでいいです。

不当労働行為272 勤務シフトに従わず欠勤を続けた組合員に対する解雇と不当労働行為(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、期間契約職員である組合員に対し、法人の指定した勤務シフトに従わず、欠勤を続けたことを理由に普通解雇したことが不当労働行為に当たらないとされた事案を見てみましょう。

社会福祉法人新事件(東京都労委令和元年12月17日・労判1240号99頁)

【事案の概要】

本件は、期間契約職員である組合員に対し、法人の指定した勤務シフトに従わず、欠勤を続けたことを理由に普通解雇したことが不当労働行為に当たるかが争われた事案である。

【労働委員会の判断】

不当労働行為に当たらない

【命令のポイント】

1 法人がAを7月20日付けで普通解雇とする過程において、法人には同人の勤務シフトの問題について、組合との話し合いによって解決していくことを忌避したといえる対応があったといわざるを得ないが、そのことを考慮しても、法人が、連続夜勤を禁止し、その方針に基づいて同人に対して金曜日を含む勤務シフトを指定したこと自体は、相当な対応であったというべきである。
解雇は、このような状況の下でのAの対応を、連続夜勤に固執して法人が指定した勤務シフトに従わない姿勢を示すものとみて、そのことを理由としてなされたものといわざるを得ない。
したがって、法人が、Aを7月20日付けで普通解雇としたことは、同人が組合員であることを理由とした不利益取扱いに当たらない。

解雇について客観的に合理的な理由が説明できれば、不当労働行為にはあたりません。

とはいえ、組合員に対する不利益取扱いは、このように紛争になる可能性が高いので、日頃から顧問弁護士に相談する体制を整えておくことが肝要です。

本の紹介1185 一流の人に学ぶ自分の磨き方#2(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。今週も一週間がんばりましょう。

今日は本の紹介です。

今から約10年前に紹介をした本ですが、再度、読み返してみました。

10年前に自分がどのように考えていたのかを見返すのはおもしろいですね。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

一流の人は常に切迫感を持ち、時間を大切にして生きている。なぜなら、自分にとっては今この瞬間しかないことを絶えず意識しているからだ。・・・一流の人は『人生は短いから今がチャンスだ』と絶えず自分に言い聞かせている。
二流の人はそういう考え方に抵抗を感じる。時間が永遠にあるかのような幻想を抱いて生きているからだ。一流の人は自分の持ち時間が限られているという現実を直視し、モチベーションを高める。」(98頁)

人生は本当に短いです。

だからこそ自分の生きたいように生きたいのです。

何かをずっと我慢し続ける人生なんて死んでも嫌なのです。

我慢しているうちに人生が終わってしまいます。

いろんなことに自由でありたいという気持ちは年齢を重ねるごとにますます大きくなってきます。

不当労働行為271 営業会議に出席しない組合員に対する懲戒処分と不当労働行為(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間お疲れさまでした。

今日は、営業会議に出席しない等を理由に組合員をけん責の懲戒処分としたことが不当労働行為に当たらないとされた事案を見てみましょう。

パナソニック事件(大阪府労委令和2年1月7日・労判1240号98頁)

【事案の概要】

本件は、営業会議に出席しない等を理由に組合員をけん責の懲戒処分としたことが不当労働行為に当たるかが争われた事案である。

【労働委員会の判断】

不当労働行為にはあたらない

【命令のポイント】

1 会社が組合員について、組織責任者、経営幹部、人事責任者等による口頭・書面による注意指導や厳重注意を繰り返し行ったにもかかわらず、指示に応じず業務怠慢で誠実に業務を遂行していないという見解に至ったことは不合理であるとはいえず、組織責任者、経営幹部、人事担当者に対して誹謗・中傷する不適切言動があったという見解に至ったことについても、やむを得ないことであったと解されることから、会社が、本件処分理由書に記載した組合員の行為について、職場規律を乱す行為であるという判断を行ったことは不合理であるとはいえない。

組合員という立場に着目せず、処分理由の客観的合理性が認められる場合には、不当労働行為には該当しません。

日頃から顧問弁護士に相談する体制を整え、無用なトラブルを回避することが肝要です。

本の紹介1184 ゴール#2(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は本の紹介です。

ブライアン・トレーシーさんの本です。

15年程前の本ですが、再度読み直してみました。

やはりいい本は何年経っても色あせないですね。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

あなたにとって一番大事な資産は、稼ぐ能力です。市場で、自分の才能や技能を発揮する力です。生きている間には、家も車も貯金も家具もすべて失うことがあるかもしれません。しかし、稼ぐ能力さえ残っていれば、すぐに立ち上がってまた豊かな生活を取り戻す努力を始めることができるのです。稼ぐ能力は、何物にも代えがたいものです。・・・あなたがそこに投資を続け、成長させていけば、その価値は上がります。逆に、それを蔑ろにして、惰性で生活を続けていれば、その価値は下がってしまいます。」(102頁)

目の前の仕事や家事に追われ、自分の価値を高める気力も時間もないという方も多いと思います。

気が付いたら1週間が終わり、1か月が終わり、1年が終わる。その繰り返しです。

「稼ぐ能力」とはすなわち「自分の才能や技能を発揮する力」だとこの本では定義されています。

この力を磨き、向上させるために、日々、準備・投資をしている人がどれほどいるでしょうか。

忙しいのはみな同じです。

朝1時間早く起きれば、1時間が生まれます。

「やる時間がない」ではなく「やる気がない」のです。

労働者性37 コピーライターの労働者性(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、コピーライターの労働者性ならびに契約解除(解雇)の有効性に関する裁判例を見てみましょう。

ワイアクシス事件(東京地裁令和2年3月25日・労判1239号50頁)

【事案の概要】

本件は、Y社において稼働していたXが、XとY社との間の契約は雇用契約であり、Y社がXに対してした平成30年6月30日付け解雇の意思表示は客観的合理的理由がなく無効である旨主張して、Y社に対し、雇用契約上の権利を有する地位の確認を求めるとともに、雇用契約に基づく賃金支払請求として、本件解雇前の未払賃金223万5927円+遅延損害金並びに本件解雇日以降の月例賃金として平成30年7月から本判決確定の日まで毎月末日限り、月額43万円+遅延損害金の支払を求める事案の支払を求める事案である。

【裁判所の判断】

Xが、Y社に対し、雇用契約上の権利を有する地位にあることを確認する。

Y社は、Xに対し、223万5927円+遅延損害金を支払え。

Y社は、Xに対し、平成30年7月31日限り43万円、同年8月31日限り28万円、同年9月から本判決確定の日まで毎月末日限り25万8000円+遅延損害金を支払え。

【判例のポイント】

1 コピーライティング業務自体についてはその業務の性質上、Y社代表者やY社の社員から具体的な指示はあまりされていなかったものの、顧客のディレクターの指示には従って業務を進める必要があり、Y社においても、Xの業務の進捗状況や進行予定については、毎月2回の定例会議で確認し、Xに対しても他の社員とともに前月の売上げの状況を踏まえた訓示がなされ、少なくとも既存の顧客との関係では売上げを増やすための努力を求められていたと推認されることからすると、これらの業務に対する指示の状況は、コピーライティング業務を委託する場合に通常注文者が行う程度の指示等に留まるものと評価することは困難である。

2 Xは、基本的に週5日、1日8時間以上Y社事務所において上記業務に従事していたことからすると、Xに対する固定報酬は、Xが一定時間労務を提供していることへの対価としての性格を有しているというべきである。

3 Xについては、Y社において正社員を採用する際に作成される内定通知書、採用通知書及び雇用契約書は作成されておらず、Xからも履歴書や身元保証書等の提出がされていないこと、Xが社会保険及び厚生年金等に加入していなかったことが認められる。
しかしながら、Y社は平成21年1月頃、D氏の紹介でXに対して案件ごとに報酬額を協議する形でコピーライティング業務を委託するようになった後、固定報酬制の本件契約を締結していることからすると、他の正社員と採用手続が異なることは労働者性を否定する要素とはいえないと解される。また、社会保険及び厚生年金等に加入していないことについて、Xが本件契約締結当時は加入を求めていなかったとしても、このことが労働者性を否定する要素とはいえない

4 Y社は、本件契約を締結後、Xに対し、固定報酬の支払について「給与明細」を発行し、源泉徴収を行い、毎年、源泉徴収票を発行していたこと、平成28年6月20日付で在職証明書を発行したこと、Y社がXに対して固定報酬の支払が遅延することを連絡するに際し、固定報酬を「給料」と呼称していたことが認められるところ、これらはY社がXを他の社員と同様に労働者として認識していたことを推認させる事情といえる。

5 Xの業務については、具体的な仕事の依頼、業務指示等に対する諾否の自由はなく、Xは、Y社からの指示の下、顧客からの指示に従って業務を行っていたほか、月2回の定例会議における業務の進捗状況の確認を受けるなど、Y社の業務上の指揮監督に従う関係が認められ、時間的場所的拘束性も相当程度あり、業務提供の代替性があったとはいえないことからすると、Y社の指揮監督の下で労働していたものと推認される。これに、Xに支払われる固定報酬の実質は、労務提供の対価の性格を有していると評価できること、Xには事業者性が認められず、専属性がなかったとはいえないこと、Y社もXを労働者として認識していたことが窺われること等を総合して考えれば、Xは、Y社との使用従属関係の下に労務を提供していたと認めるのが相当であって、Xは、労基法9条及び労契法2条1項の労働者に当たるというべきである。

判例のポイント4を見る限り、労働者性は肯定されてもやむを得ないと思われます。

また、固定報酬制を採用している点も労働者性を肯定しやすくしています。

労働者性に関する判断は本当に難しいです。業務委託等の契約形態を採用する際は事前に顧問弁護士に相談することを強くおすすめいたします。