労働時間69 バス運転手の待機時間は労働時間?(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、バス運転手の待機時間のうち1割は労働時間に当たるとした原判決を取り消し、請求がいずれも棄却された裁判例を見てみましょう。

北九州市事件(福岡高裁令和2年9月17日・労経速2435号3頁)

【事案の概要】

Y市は、交通局(交通局)を設置し、北九州市市営バス(北九州市バス)事業を経営しているところ交通局は、バスが一つの系統の路線の終点に到着した後、次の系統の路線の始点から出発するまでの時間の一部に対して1時間当たり140円の「待機加算」を支給していた。
本件は、交通局に雇用され、北九州市バスの定期路線バス(乗合バス)運転手として稼働していたXらが、上記待機加算が支給される時間(以下「本件待機時間」という。)は労基法32条の労働時間(労基法上の労働時間)であり、同時間に係るXらの賃金及び時間外割増賃金と支払済みの待機加算との差額が未払であると主張して、Y市に対し、未払賃金+遅延損害金の支払を求めるとともに、労基法114条本文に基づき、上記未払賃金と同額の付加金+遅延損害金の支払をそれぞれ求めた事案である。

【裁判所の判断】

本件各控訴をいずれも棄却する。

原判決主文第1項中控訴人兼附帯被控訴人らに関する部分を取り消す。

上記の部分につき,控訴人兼附帯被控訴人らの請求をいずれも棄却する。

【判例のポイント】

1 Xら18名は,被控訴人が労基法上の休憩時間と待機加算の支給される本件待機時間とを明確に区別して取り扱ってきたことなどから、交通局の乗務員は、待機時間が労基法上の労働時間ではなく休憩時間として取り扱われていたことを認識しておらず、大半の乗務員は待機時間に労働から解放されているとの認識を有していなかったと主張する。
しかしながら、待機加算は、もともと交通局が、当時交通局で唯一の労働組合であったd労働組合との間で協定書(平成9年協定書)を作成し、労基法上の労働時間として扱っていた調整時間のうち転回時間を除く時間を労基法上の労働時間ではないことを前提として中休手当相当額を支給することとされたことから支給されるようになったものであり、その金額が1時間当たり140円と低額であることに照らすならば、その支払は本件待機時間が休憩時間であることを前提としてされていたものであるというべきである。

2 そして、Y市は、平成24年2月20日付けの本件通知により、待機時間を労基法上の労働時間ではなく休憩時間であると取り扱うことを乗務員に周知していたものであり、交通局の労働組合も、平成22年、a駅及びe郵便局の各転回場所における待機時間について、乗客が乗車している場合には実働時間とするよう要求し、平成25年4月及び平成26年4月にも、待機時間中の乗車等の勤務の申告を徹底させ、実働時間にすることを求めていたことに照らすならば、本件においてXら18名が支払を求めている未払賃金の期間において、交通局の乗務員は、Y市が待機時間を労基法上の労働時間ではなく休憩時間であると取り扱っており、待機時間には労働から解放されているとの認識を有していたものと認めるのが相当である。

3 Xら18名は、乗務員が、待機時間中、5分以上にわたってバスを離れることはなく、仮に離れていたとしても、それはトイレに行ったためであると主張する。
しかしながら、ドライブレコーダーの記録によれば、複数の乗務員が、休憩施設の有無にかかわらず、転回場所において5分以上バスから離れることがあったことを認めることができ、その全てがトイレに行く目的であったということはできないから、バスから離れることが許容されていたというべきである。ドライブレコーダーの記録の撮影範囲が限られていることなどXら18名の主張する事情は、いずれも同記録の信用性を失わせるものではなく、原審証人Bの証言及び前件訴訟におけるCの証言は、いずれも転回場所から5分以上バスから離れることがあることを否定するものではない。

休憩時間なのか手待時間なのかの議論は、今もなおさまざまな業種における残業代請求事件で論点となります。

日頃から労務管理に力を入れている会社はともかく、多く会社ではなあなあになってしまっているため、手待時間と判断されるリスクが高いといえます。

顧問弁護士に相談し、早急に対応することをおすすめします。

本の紹介1136 行動の品質(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間がんばりましょう。

今日は本の紹介です。

「はじめに」は、「なぜ、僕たちは同じ人間にもかかわらず、成果に対して大きな差がつくのでしょうか?」という一文からスタートします。

著者が10年にわたる起業家支援の中で見出した、成功する必要の共通項が紹介されています。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

・・・まさにお節介化、コスト化と言われるわけです。進歩は、往々にして自己満足的になってしまいます。そのコストはお客様が負担をします。行き過ぎると、最悪の結果になってしまうのです。日本は、本当に進歩が得意です。ただ、あまりにも進歩が行き過ぎてしまい、あらゆるところで、このような異常ともいえることが起きています。」(42頁)

手段の目的化が引き起こす無駄な進歩です。

いまや車に乗っていても、運転席のまわりには1度も使わないボタンだらけです。

使わない機能を削除したらどれだけコストダウンできるのでしょう。

サービスはシンプルでわかりやすいのが一番です。

労働者性33 劇団員は労働者?(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間お疲れ様でした。

今日は、劇団員の労働者性に関する裁判例を見てみましょう。

エアースタジオ事件(東京高裁令和2年9月3日・労判ジャーナル106号38頁)

【事案の概要】

本件は、Y社の下で劇団員として活動していたXが、Y社に対し、(1)法定労働時間に対する最低賃金法による賃金及び時間外労働に対する法定の割増率による割増賃金について未払があるとして、雇用契約に基づく賃金支払請求権に基づき、428万5143円+遅延損害金の支払並びに労基法114条に基づく付加金請求として355万6074円+遅延損害金の支払を、(2)長時間労働を強いられた上、劇団幹部らから暴言、脅迫を受けたなどとして、不法行為に基づく損害賠償請求として、慰謝料300万円+遅延損害金並びに弁護士費用30万円+遅延損害金の支払をそれぞれ求める事案である。

原審は、(1)公演への出演は任意であり、労務の提供とはいえないものの、大道具、小道具及び音響照明業務等並びにY社が経営するカフェにおける業務は、労務の提供に当たるとして、その実労働時間及びそれに伴う割増賃金を算定し、未払賃金51万6502円+遅延損害金の限度でXの未払賃金等の請求を認容したが、(2)長時間労働や劇団幹部らからの暴言、脅迫等を理由とする慰謝料等請求は理由がないとして、これを棄却した。

Xは、原判決中敗訴部分を不服として、本件控訴を提起し、Y社は、原判決中敗訴部分を不服として、本件附帯控訴を提起した。

【裁判所の判断】

Y社は、Xに対し、185万6501円+遅延損害金を支払え。

Xのその余の請求をいずれも棄却する。

【判例のポイント】

1 確かに、Xは、本件劇団の公演への出演を断ることはできるし、断ったことによる不利益が生じるといった事情は窺われない。
しかしながら、劇団員は事前に出演希望を提出することができるものの、まず出演者は外部の役者から決まっていき、残った配役について出演を検討することになり(原審におけるE及びDの証言によると1公演当たりの出演者数20から30人に対して劇団員の出演者数4人程度)、かつ劇団員らは公演への出演を希望して劇団員となっているのであり、これを断ることは通常考え難く、仮に断ることがあったとしても、それはY社の他の業務へ従事するためであって、劇団員らは、本件劇団及びY社から受けた仕事は最優先で遂行することとされ、Y社の指示には事実上従わざるを得なかったのであるから、諾否の自由があったとはいえない。また、劇団員らは、劇団以外の他の劇団の公演に出演することなども可能とはされていたものの、少なくともXについては、裏方業務に追われ(小道具のほか,大道具,衣装,制作等のうち何らかの課に所属することとされていた。)他の劇団の公演に出演することはもちろん、入団当初を除きアルバイトすらできない状況にあり、しかも外部の仕事を受ける場合は必ず副座長に相談することとされていたものである。その上、勤務時間及び場所や公演についてはすべてY社が決定しており、Y社の指示にしたがって業務に従事することとされていたことなどの事情も踏まえると、公演への出演、演出及び稽古についても、Y社の指揮命令に服する業務であったものと認めるのが相当である(Xが本件劇団を退団した後に制定されたY社の就業規則によれば、出演者が出演を取りやめる場合は代役を確保することが求められており、Xが本件劇団在籍中も同様であったものと窺われる。)。

2 Xは、本件劇団における業務について長時間労働を強いられた旨主張するが、一公演当たり稽古期間が10日間、本番期間が6日間であったことからすると、本件劇団における活動時間が長時間にわたっていたのは、X自身が自ら希望して出演者として参加するために必要な稽古等に相当な時間が割かれていたことが理由の一つであるといえるから、公演への出演を含む本件劇団の活動に多くの時間を割いていたとしても、そのことをもってY社に不法行為が成立するものとは認められない
また、Xは、Cが平成25年7月28日にXに対して暴行を加えたことが不法行為に当たると主張し、原審において、Cが遅刻してきたXに対して他の出演者の前において控訴人の胸倉をつかみ、右の平手で左頬を殴打したと供述ないし陳述しているが、Y社はCの暴行の事実を否認しているところ、顔面を殴打した具体的態様(顔面の部位や回数等)が明らかではなく、Xの上記供述及び陳述以外にこれを裏付ける証拠がないこと、本件訴訟提起まで長年にわたりCの暴行やそれによる損害の請求等をしていないことからすれば、暴行の事実を認めるには十分ではない。他に、Cの暴行を認めるに足りる証拠はない。
さらに、Xは、Fをして労基署への相談を取り下げさせたことが不法行為に当たるとも主張するが、FがXに対して労基署への相談を取り下げるよう求めた事実は認められるものの、それを超えて、脅迫によって上記取下げを強要したとまでは認めるには十分ではなく、他にFの脅迫を認めるに足りる証拠はない。

賛否両論あると思いますが、労働者性を肯定されるリスクを考えながら、経営をしていくほかありません。

雇用と業務委託等との区別は、契約書のタイトルによって決まるものではなく、実態により判断されますので注意が必要です。顧問弁護士に相談の上、慎重に対応してください。

本の紹介1135 不老長寿メソッド(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、本の紹介です。

死ぬまで若いは武器になる」と書かれています。

83ものアンチエイジングに関する最新情報が書かれています。

すべてをいっぺんに日常生活に取り入れることはハードルが高いですが、半分くらいならすぐに取り入れられる内容です。

あとはやるかやらないか、ただそれだけ。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

あなたの心と体を若返らせるためには適切な量の苦しみが必須であり、同時に徹底的な癒やしが欠かせません。2つのフェーズの往復により正のスパイラルが生まれ、あなたの老化スピードは遅くなっていきます。」(54頁)

「適切な量の苦しみ」が必須というのが興味深いですね。

すべてが満ち足りており、毎日、来る日も来る日も、特にやらなければいけないことが1つとしてない生活は、楽しいのでしょうか。

最初の数週間はそれでいいのかもしれませんが、早晩、飽きるでしょうね(笑)

誰かの役に立っている、社会に貢献しているという感覚こそが、喜びの根源にあると個人的に思っているので、ただ満ち足りているだけでの生活ではまだ満ち足りないのです。

年齢は単なる数字にすぎません。

いくつになっても、肉体、精神ともに成長していきたいと思います。

労働時間68 勉強会への出席は労働?(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、勉強会への出席につき、労働基準法上の労働時間に該当するとされた裁判例を見てみましょう。

前原鎔断事件(大阪地裁令和2年3月3日・労経速2432号19頁)

【事案の概要】

本件は、Y社との間で期間の定めのない雇用契約を締結して稼働していたXが、①Y社から普通解雇されたが、同解雇は無効であると主張して、地位確認及び未払賃金(月給及び賞与)+遅延損害金の支払を、②Y社の従業員らからパワハラ行為を受けたと主張して、不法行為(使用者責任)に基づく損害賠償+遅延損害金の支払を、③時間外労働を行ったが、割増賃金が支払われていないと主張して、未払割増賃金+遅延損害金の支払を,それぞれ求める事案である。

【裁判所の判断】

地位確認は棄却

損害賠償請求は棄却

割増賃金2万0523円+遅延損害金を認容

【判例のポイント】

1 Xは、「勉強会」への出席も余儀なくされた旨主張し、Y社は、Xが「勉強会」に任意に参加していたことは明らかであり、労働時間には当たらない旨主張する。
確かに、「勉強会」は、本件組合の提案を受けて開催されるようになったものではあるものの、Xに対する指導内容等を振り返ることを内容とするものであるから、Xが参加せずに開催されることはそもそも予定されていない。また、Xは、D取締役が入社した平成20年の時点において、既に、Y社の従業員らから、なかなか仕事の技術が身に付かないと認識されていたものであり、Xが「勉強会」に参加せず、その後も技術が身に付かないままであれば、Xの賃金や賞与の査定如何、ひいては従業員としての地位如何にかかわるのは明らかである。加えて、Y社の就業規則には、「会社は、従業員に対し、業務上必要な知識、技能を高め、資質の向上を図るため、必要な教育訓練を行う。」、従業員は、会社から教育訓練を受講するよう指示された場合は、特段の事由がない限り指示された教育訓練を受講しなければならない。」と規定されていることをも併せ鑑みれば、Xが「勉強会」に参加する時間は、Y社の指揮命令下に置かれている時間、すなわち労働基準法上の労働時間に該当すると解するのが相当である。なお、「勉強会」の日時についてXの予定を考慮して決められたり、Xの都合により日程を変更したりしたこともあることによって、上記判断は左右されない。

2 勉強会の所要時間について、B主任は30分程度と証言し、Xは45分程度と供述する。証拠によれば、平成29年11月1日実施の「勉強会」は15分間であったと認められることを踏まえると、B主任が証言する30分の限度で認めるのが相当である。

勉強会や研修の労働時間性については昔から争点となってきましたが、多くの場合、参加・出席が任意であると評価できるかが鍵となります。

労働時間に関する問題は、事前に顧問弁護士に相談をして対応することを強くおすすめします。

本の紹介1134 ハック大学式 最強の仕事術(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は本の紹介です。

自分の価値を高めるための思考方法、仕事のやり方が書かれています。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

決まった手順、決まった方法で進めることに慣れてしまった作業者マインドの人には、このような『いばらの道の進み方がわからない』からです。プロセスが確立されていないタスクに立ち向かう場合、作業者マインドを捨てて、『自分で』考える必要があります。」(33頁)

そのとおりなのですが、一旦、「作業」に慣れてしまうと、自分で考えることができない体になってしまうのです。

習慣とは恐ろしいものです。

頭ではわかっていても、体が言うことをきかないのです。

例えば、読書や運動も、日頃からやったほうがいいことはわかっていてもできないし続かないのが世の常です。

すべては習慣です。

いかなる習慣を身に付けるか。ただそれだけの違いです。

同一労働同一賃金18 大学の嘱託講師と同一労働同一賃金(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間がんばりましょう。

今日は、大学夜間担当手当の不支給が労契法20条・パート労働法8条に違反しないとの原審判断が維持された裁判例を見てみましょう。

学校法人A事件(大阪高裁令和2年1月31日・労経速2431号35頁)

【事案の概要】

本件は、Y社の経営するA大学の嘱託講師であったXが、Y社に対し、夜間の授業を担当したにもかかわらず、A大学の専任教員が夜間の授業を担当した場合に支給される「大学夜間担当手当」(本件手当)が平成27年度に支給されなかったのは、改正前の労契法20条又は同改正前のパートタイム労働法8条に違反するなどと主張して、以下の各請求をした事案である。

原判決は、Xの請求をいずれも棄却した。そこで、Xが原判決を不服として本件控訴を提起した。

【裁判所の判断】

控訴棄却

【判例のポイント】

1 本件手当は、平成27年度当時、6講時(午後6時25分~7時55分)、7講時(午後8時10分~9時40分)の授業を担当した専任教員に対して、1週1講時につき月額8000円を支給し、1週1講時を越えて担当する場合は1週1講時につき月額2000円を加算し、最終講時を担当した場合は1週1講時につき月額3000円を加算するというものであったが、嘱託教員よりも広範で重い職務を担当するため日中及び夜間の時間を多く拘束される専任教員が、更に6講時以降の夜間の授業を担当する場合には時間的拘束や負担が大きくなると考えられることからすれば、本件手当は専任教員が日中に広範で責任の重い職務を担当しながら、更に6講時以降の授業を担当することの時間的拘束や負担を考慮した趣旨及び性質の手当であると認められる。

2 労契法20条にいう「不合理と認められるもの」とは、有期契約労働者と無期契約労働者の労働条件の相違が不合理であると評価できるものであることをいうと解するのが相当である(ハマキョウレックス事件最高裁判決参照)。そして、上記の判示のほか、パートタイム労働法8条と労働契法20条の規定の内容と文言が類似していることからすれば、パートタイム労働法8条にいう「不合理と認められるもの」も上記と同様に解するのが相当であり、専任教員に対しては本件手当が支給され、嘱託講師には本件手当が支給されないという本件における労働条件又は待遇の相違については、専任教員と嘱託講師の職務の内容(業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度)、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情を考慮して不合理であると評価することができるかを検討することになる。

3 そうであるところ、Y社における専任教員と嘱託講師との間の職務の内容の相違並びに本件手当の趣旨、性質のほか、前提事実のとおり、本件手当は専任教員が6講時及び7講時という夜間の授業を1週1講時担当すれば月額8000円が支給され、担当する授業数、時間に応じてこれに加算されるものであって、本件手当として支給される月額も著しく多額になるものではないこと及び嘱託講師が夜間の授業を担当することによって、当該嘱託講師の担当総授業数が増えた場合には週1回90分の講義につき月額2万8800円が本俸に加算され、嘱託講師の担当授業数の増加に伴う時間的拘束や負担に対しては本俸への加算という形で相当の配慮がされているといえることをも併せ考慮すると、上記労働条件又は待遇の相違が不合理と認められるものであると評価することはできないというべきである。

オーソドックスな認定のしかたであり、参考になります。

同一労働同一賃金問題については、すでに会社としていかなる準備をすべきかが判明しているので、あとは顧問弁護士に相談しながら適切な手順で進めていけばそれほど大きな失敗はないと思います。

本の紹介1133 33歳からの運のつくり方(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。今週も一週間お疲れさまでした。

今日は本の紹介です。

ツイている人になるためにどのようなことを心がければいいのかが書かれています。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

じつは、仕事運を上げるためには、『どんな仕事をするか』より『どんな気持ちで仕事をするか』のほうが何倍もの影響を及ぼします。・・・お茶一杯でも、『あぁ、面倒だ』と思いながら適当に淹れたお茶と、『このお茶を飲んだ人が幸せな気持ちになりますように』と心を込めて丁寧に淹れたお茶では、まったく味が違いますね。どんな仕事をしていても、そこに『気』を乗せることが重要なのです。」(142頁)

同じことをしていても、その意義を理解しているかどうかで成長は大きく異なります。

これはすなわち、当該行為が単なる「作業」になるのか有意義な「貢献」になるのかの分水嶺となります。

異なるのは、当該行為に対する自らの解釈です。

世の中のあらゆることは解釈でできています。

メンタルヘルス6 私傷病による休職期間満了での退職扱い(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、業務外の傷病(統合失調症)による休職期間満了での退職扱いが有効とされた裁判例を見てみましょう。

日本漁船保険組合事件(東京地裁令和2年8月27日・労経速2434号20頁)

【事案の概要】

本件は、業務外の傷病により休職していた労働者であるXが、使用者であるY社に対し、①主位的に、平成30年7月24日当時、Xは就労可能な状態にあったにもかかわらず、Y社が同日にXの復職申出を認めず、復職を不許可とし、これを前提として令和元年9月19日付けで休職期間満了を理由にXを退職扱いとしたことは違法無効であると主張し、②予備的に、Xが同年7月に復職を再度申し出た時点で就労可能な状態にあったにもかかわらず、Y社がXの提出した診断書を不受理とし、同年9月19日付けで休職期間満了を理由に退職扱いとしたことは違法無効であると主張して、XがY社に対して雇用契約上の権利を有する地位にあることの確認を求めるとともに、上記①の復職を不許可とした後の賃金の支払を求める事案である。

【裁判所の判断】

請求棄却

【判例のポイント】

1 ・・・このような就業規則の定めによると,Y社において、休職命令は、休職期間満了までの間、解雇を猶予するものであるということができる。そうすると、「休職事由が消滅したとき」とは、職員が雇用契約で定められた債務の本旨に従った履行の提供ができる状態に復することであり、原則として、従前の職務を通常の程度に行える健康状態になった場合、又は、当初軽易作業に就かせればほどなく従前の職務を通常の程度に行える健康状態になった場合をいうと解するのが相当である。そして、休職事由の消滅については、解雇を猶予されていた職員において主張立証しなければならないと解するのが相当である。

2 本件において「休職事由が消滅したとき」とは、Xが平成25年7月から平成27年末までと同様の勤務を行うことができる状態に復すること、すなわち、Xが、本件事務作業を通常の程度に行える健康状態になった場合、又は、当初軽易作業に就かせればほどなく本件事務作業を通常の程度に行える健康状態になった場合であると解するのが相当である。

3 本件診断書1及び指定医意見書は、いずれも、これらをもって、Xについて休職事由が消滅したことを認定するには足りない。そして、平成30年6月6日の面談時におけるXの様子、本件復職不許可の前後におけるXによるツイッターへの投稿内容、指定医の診察やA会長との面談に遅刻した際の状況等を併せ考慮すると、本件復職不許可の時点において、Xが本件事務作業を通常の程度に行える健康状態、又は、当初軽易作業に就かせればほどなく本件事務作業を通常の程度に行える健康状態に回復していたことを認めることはできず、他にこれを認めるに足りる証拠はない。

4 本件就業規則12条3項には、職員が復職を求める際に提出する主治医の治癒証明(診断書)について、Y社が主治医に対する面談の上での事情聴取を求めた場合には、職員は、医師宛ての医療情報開示同意書を提出するほか、その実現に協力しなければならず、職員が正当な理由なくこれを拒絶した場合には、当該診断書を受理しない旨の定めがあるところ、これは、平成30年6月5日付けの就業規則の改正により新設されたものである。
医師の診断書は、Y社においてこれを閲読しただけでその意味内容や診断理由を十分に理解することができるとは限らないことから、Y社が、診断内容を正確に理解して傷病休職中の職員の復職の可否を判断するために、主治医と面談し、主治医から直接に事情聴取をすることは必要であり、これについて職員に協力を求めることは合理的である。そして、職員が正当な理由なく協力を拒絶した場合には、Y社において診断書の内容を正確に理解することが困難となる以上、当該診断書を不受理とすることはやむを得ないというべきである。他方、職員としては、Y社が主治医と面談し、主治医から直接事情聴取を行うことによって、自己の傷病の回復状況を正確に理解してもらうことができ、また、医師宛ての医療情報開示同意書を提出するなど、Y社と主治医との面談の実現に協力することは容易なことであるから、上記定めの新設によって何ら不利益を被るものではない。以上によれば、上記定めの新設は、合理的なものであり、就業規則の改正前から休職していた原告にも適用される

上記判例のポイント4は押さえておきましょう。

また、上記判例のポイント3で示されているように、いかなる事情から復職の可否を判断するのが相当かを把握しておくことはとても重要です。

いずれにせよ判断が難しいところですので、顧問弁護士に相談することをおすすめします。

本の紹介1132 GACKT超思考術(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は本の紹介です。

タイトルのとおり、GACKTさんの本です。

帯には「思考が行動を支配し、全ての結果を生み出す。」と書かれています。

ガクトさんらしい、自分を律する思考はとても参考になります。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

成功しないヤツほど、休日にひたすら寝ている。仕事がある日でも、『あと10分』と惰眠を貪る。・・・しかし結果を出し続け、成功する人間は、仕事があろうとなかろうと、早起きをしているものだ。なぜなら、朝を制することで、1日を制することができるからだ。毎日は短距離走だ。スタートで出遅れたヤツは、前を走る相手が転ぶのを待つことでしか、1位を狙えない。他人の事故を待つことでしか、勝負ができない人生。クソだ。」(27頁)

真理です。

人生を変えたい人は、出勤前に毎日2時間勉強してみてください。

人生が変わらないはずがありません。

寒いだ、眠いだと寝言を言っている場合ではないのです。

継続することでしか何かを成し遂げることはできないのです。

敵はいつでも弱い弱い自分なのです。