本の紹介1173 ウォーレン・バフェット成功の名語録#2(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は本の紹介です。

タイトルのとおり、バフェットさんの発言をまとめた本です。

この本は今から9年前に紹介をした本ですが、再度、読み返してみました。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

さほど価値のないことや、やる必要のないことばかりに手を出しても時間の浪費だ。上手にやったところで意味はない。本当に大切なこと、意味のあることは何かをしっかりと見きわめた上で決定を下す。決定の質を高めるためには小さなこと、つまらないことは切り捨てる勇気が必要である。」(163頁)

器用貧乏とはよく言ったものです。

あれもこれも安請け合いをしていたら、時間がいくらあっても足りません。

限られた時間の中で一定の成果を挙げるためには、その前提として、手を出さないことを決めておくことがとても重要です。

結局すべてが中途半端になってしまうのです。

競業避止義務26 在職中の競業行為等が違法と判断される場合とは?(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、在職中の競業行為等が自由競争の範囲を逸脱し違法とされた事案を見てみましょう。

Z社事件(名古屋地裁令和3年1月14日・労経速2443号15頁)

【事案の概要】

本件は、Y社が、Y社の幹部従業員であったXが在職中に別会社を設立し、平成31年2月1日には主要な取引先3社をしてY社との契約関係を終了させると同時に部下従業員とともに一斉にY社に退職届を提出した上で、当該別会社で競業行為に及んだことは労働契約上の誠実義務違反という債務不履行又は不法行為に該当すると主張して、Xに対し、損害賠償として、当該取引先3社との取引から得られたはずの逸失利益9億円+遅延損害金の支払を求めた事案であり、本判決は、その請求の原因に理由があるか否かについて判断を示すものである。

【裁判所の判断】

本訴の請求の原因は理由がある。

【判例のポイント】

1 Xは、Y社の従業員であって名古屋支店長であったところ、本件暴行事件を直接の契機としてY社に対して不満を抱くようになり、平成30年12月10日、Y社からの独立を企図して、Y社の従業員でありながらY社とその目的が重複するQ2社を設立してその代表取締役に就任し、競業行為の準備を行う一方、Y社の取引先に対してY社が刑事告発を受けている旨を伝え、特にY社に大きな利益をもたらしてきた提携先3社に対し、自らが設立して代表取締役に就任しているQ2社との間で日本における取引を継続させることを前提として、平成31年2月1日のほぼ同一時刻をもって一斉にY社との契約を解除するよう働きかけてこれを成功させ、名古屋支店の部下全員に当たるP4及びP5に対し、Q2社との間で労働契約を締結することを前提として、同日のほぼ同一時刻に同月15日をもって退職する旨の退職届を一斉に提出するように働きかけてこれも成功させたばかりか、名古屋支店のサーバーや貸与パソコンに記録されていたY社の取引関係に関わる情報を削除して復旧不可能に初期化し、顧客名刺を持ち去るなどして名古屋支店の機能を喪失させたものであり、Y社退職後には、Q2社代表取締役として、ただちにP4及びP5を雇用したばかりか、Y社から奪取した取引先である提携先3社との取引を開始し、Y社在職中にY社従業員として提携先3社に依頼した見積もりの回答を、提出期限である同月28日までに第2補給処に対して提出したものと認められる。

2 Xは、Y社との間で労働契約を締結していたのであるから、当該労働契約に付随する信義則上の義務として、その存続中において使用者であるY社の利益に著しく反する行為を差し控える義務を負っていたものであるところ、上記事実のうちY社退職前の行為は、Xが代表取締役を務めるQ2社による競業行為及びその準備行為にほかならず、Y社の利益に著しく反するものであって、Y社の就業規則3条、4条1項1号、3号、5号、6号及び8号並びに39条に違反することが明らかである。
また、Y社からの退職前後を通じたXの上記行為は、Y社における地位を利用して、取引上の信義に反する大洋でY社の事業活動を積極的に妨害したものというほかなく、これを正当化すべき理由が見当たらない以上、社会通念上自由競争の範囲を逸脱した違法な行為であって、不法行為を構成するものというべきである。

退職のきっかけはさておき、その後の態様は、法律上許容される範囲を大きく逸脱していると評価されてもしかたないものと思われます。

問題は、この先の損害論ですね。裁判所は損害額については謙抑的に判断する傾向にありますので注意が必要です。

原告、被告ともに顧問弁護士に相談の上、日頃から適切に労務管理をすることが求められます。

本の紹介1172 30代の「飛躍力」#2(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は本の紹介です。

以前紹介した本を再度、紹介することとします(「#2」は2回目の登場を意味します。)。

この本は、今から8年前に紹介をした本です。

改めて読み返すと以前とは異なる着眼点があり、おもしろいですね。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

決断すべき時が来ていても、決断から逃げて知らん顔をする人がいる。だが、決断の結果に不安を感じて決断を避けてしまえば、事態は悪化の坂道を転げ落ちるだけだ。決断することにこそ価値があると考えれば、結果の成否を過度に心配しなくなる。」(143頁)

日々、決断の連続ですから、実際のところ、決断から逃げることなどできません。

決断をしないという決断をしているだけですから。

すべては日々の小さな小さな決断の結果なのです。

毎朝、早起きして運動するのも、勉強するのもすべて自らの決断です。

やるも決断。やらぬも決断。

5年後、10年後、その差は残酷なほど明確に表れます。

賃金212 勤務日数・シフトの大幅削減は違法?(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間がんばりましょう。

今日は、勤務日数・シフトの大幅な削減がシフト決定権限の濫用に当たり違法とされた事案を見てみましょう。

有限会社シルバーハート事件(東京地裁令和2年11月25日・労経速2443号3頁)

【事案の概要】

本件本訴は、Xと労働契約を締結し、Xを雇用していたY社が、Xに対し、本件労働契約において、Y社のXに対する別紙1債務目録記載の各債務の不存在確認を求める事案である。

本件反訴は、Xが、Y社に対し、①主位的に、本件労働契約において勤務時間を週3日、1日8時間、週24時間、勤務地、職種を介護事業所及び介護職と合意したにもかかわらず、Y社の責めに帰すべき事由により当該合意に基づき就労することができなかったと主張して、本件労働契約に基づく賃金請求として、a)平成28年5月1日から平成31年3月31日までの未払賃金230万8425円+遅延損害金、b)平成31年4月から本判決確定の日まで、毎月末日限り、月額賃金10万4290円+遅延損害金、②予備的に、平成29年8月以降のシフトの大幅な削減は違法かつ無効であると主張して、本件労働契約に基づく賃金請求として、a)平成29年9月支払分から令和2年3月支払分までの未払賃金207万9751円+遅延損害金、b)令和2年4月支払分から同年7月支払分までの未払賃金27万5668円+遅延損害金、c)同年8月支払分以降の賃金として、同年8月から本判決確定の日まで、毎月末日限り6万8917円+遅延損害金の支払を求めるとともに、③給与振込手数料の控除には理由がない旨主張して、本件労働契約に基づく賃金請求又は不当利得に基づく返還請求として、控除された給与振込手数料4746円+遅延損害金、④通勤手当の未払いがあると主張して、本件労働契約に基づく賃金請求として、未払通勤手当15万1880円+遅延損害金の各支払を求める事案である。

【裁判所の判断】

1 Y社の本件各本訴請求をいずれも却下する。
 Y社は、Xに対し、13万0234円+遅延損害金を支払え。
 Y社は、Xに対し、5149円+遅延損害金を支払え。

【判例のポイント】

1 シフト制で勤務する労働者にとって、シフトの大幅な削減は収入の減少に直結するものであり、労働者の不利益が著しいことからすれば、合理的な理由なくシフトを大幅に削減した場合には、シフトの決定権限の濫用に当たり違法となり得ると解され、不合理に削減されたといえる勤務時間に対応する賃金について、民法536条2項に基づき,賃金を請求し得ると解される
そこで検討すると、Xの平成29年5月のシフトは13日(勤務時間73.5時間)、同年6月のシフトは15日(勤務時間73.5時間)、7月のシフトは15日(勤務時間78時間)であったが、同年8月のシフトは、同年7月20日時点では合計17日であったところ、同月24日時点では5日(勤務時間40時間)に削減された上、同年9月のシフトは同月2日の1日のみ(勤務時間8時間)とされ、同年10月のシフト以降は1日も配属されなくなった。同年8月については変更後も5日(勤務時間40時間)の勤務日数のシフトが組まれており、勤務時間も一定の時間が確保されているが、少なくとも勤務日数を1日(勤務時間8時間)とした同年9月及び一切のシフトから外した同年10月については、同年7月までの勤務日数から大幅に削減したことについて合理的理由がない限り、シフトの決定権限の濫用に当たり得ると解される。

2 この点、Y社は、Xが団体交渉の当初から、児童デイサービス事業所での勤務に応じない意思を明確にしたことから、Xのシフトを組むことができなくなったものであり、Xが就労できなかったことはY社の責めに帰すべき事由によるものではない旨主張する。
しかしながら、第二次団体交渉が始まったのは同年9月29日であるところ、Xが児童デイサービスでの半日勤務に応じない旨表明したのは同年10月30日で、一切の児童デイサービスでの勤務に応じない旨表明したのは平成30年3月19日であり、平成29年9月29日時点でXが一切の児童デイサービスでの勤務に応じないと表明していたことを認めるに足りる証拠はない。
そして、Y社はこの他にシフトを大幅に削減した理由を具体的に主張していないことからすれば、勤務日数を1日とした同年9月及びシフトから外した同年10月について、同年7月までの勤務日数から大幅に削減したことについて合理的な理由があるとは認められず、このようなシフトの決定は、使用者のシフトの決定権限を濫用したものとして違法であるというべきである。
一方、Xは、同年10月30日の第2回団体交渉において、児童デイサービスでの半日勤務には応じない旨表明しているところ、このようなXの表明により、原則として半日勤務である放課後児童デイサービス事業所でのシフトに組み入れることが困難になるといえる。そして、Xの勤務地及び職種を介護事業所及び介護職に限定する合意があるとは認められないところ、Xの介護事業所における勤務状況から、Y社がXについて介護事業所ではなく児童デイサービス事業所での勤務シフトに入れる必要があると判断することが直ちに不合理とまではいえないことからすれば、同年11月以降のシフトから外すことについて、シフトの決定権限の濫用があるとはいえない。
そうすると、Xの同年9月及び10月の賃金については、前記シフトの削減がなければ、シフトが削減され始めた同年8月の直近3か月(同年5月分~7月分)の賃金の平均額を得られたであろうと認めるのが相当であり、その平均額は、以下のとおり、6万8917円である。

この裁判例は非常に重要ですのでしっかり押さえておきましょう。

労働条件の不利益変更の一類型として捉えることができるため、考え方はそれほど難しくありません。

日頃から顧問弁護士に相談の上、適切に労務管理をすることが肝要です。   

本の紹介1171 勝負できる思考と体を作るビジネスの本質(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間お疲れさまでした。

今日は本の紹介です。

帯に「今こそ、『王道』を学べ!」と書かれているとおり、全く奇を衒わないビジネスの本質が書かれています。

言葉の使い方、気配りの本質、心と体の鍛え方、リーダーとしての立ち居振る舞い、組織内での作法、自らを高める方法・・・あらゆることが書かれています。

おすすめです。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

性格・人柄がよくて、勉強も人一倍する。そういう人は誰でも応援したくなるし、引き上げたい気になる。頭がよくて自己過信する人よりも、Sさんのような人がビジネスで成功するんだろうね。・・・人の気持ちは『気配』に出る。気配を察するのが『目配り』」だ。相手の表情、視線、しぐさや所作を注意深く見て、相手の気持ちに応じて動くのが『心配り』である。こうした『配慮』の行き届いた人は、相手の印象に残り、周囲からも高く評価される。当然、チャンスにも恵まれるのである。」(189頁)

応援したくなる人柄というのは、もうそれだけで成功する決定的要素といえます。

ここに書かれていることができている人は、自然と周りが引き上げてくれるのです。

うまくいく人はうまくいく理由があり、その逆もまたしかり。

すべてには理由があります。

いかにえこひいきされるかがとても重要なのです。

セクハラ・パワハラ64 セクハラ発生後に会社のとるべき対応とは?(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、セクハラの行為者とされる原告に対する会社の対応につき、職場環境配慮義務違反が否定された事案を見てみましょう。

甲社事件(東京地裁令和2年3月27日・労経速2443号24頁)

【事案の概要】

本件は、Y社の従業員であり、心因反応(以下「本件傷病」という。)であるとの診断を受けて休職中であったXが、後記のとおり、Y社から、平成30年8月末日限りで休職期間満了によりY社から退職したものとされたところ(以下「本件退職措置」という。)、本件傷病は、Y社がXをセクシュアルハラスメント(以下「セクハラ」ということがある。)の加害者として扱うなど職場環境配慮義務を尽くさなかった結果、発症したもので業務に起因するものであり、Xはその療養中であったものであるから、本件退職措置は、労基法19条に照らし無効であるなどと主張して、Y社との間で、①労働契約上の権利を有する地位にあること確認を求めるとともに、②Y社に対し、職場環境配慮義務違反(債務不履行)に基づき、損害金2569万6026円+遅延損害金の支払を、また、③Y社に対し、労働契約に基づき、平成30年9月から本判決確定の日まで、毎月25日限り月額47万7709円の賃金と月額4万3631円の退職積立金、毎年6月10日及び12月10日限り各95万5418円の賞与+遅延損害金の支払を、それぞれ求めた事案である。

【裁判所の判断】

請求棄却

【判例のポイント】

1 Xは、Y社がXに対する職場環境配慮義務を負っていることを前提に、その義務違反として、本件トラブルに関し、関係従業員から詳細に事実を聴取すべき義務の違反があったと主張する。
しかしながら、Y社は、本件トラブルの申告者であるBから事情を聴取しているばかりでなく、Xからも、そのヒアリングにおいて、本件発言の経緯を含めて言い分を聴取しており、必要範囲の確認は施しているものと認められるから、その所為に不足があるとは認められず、義務違反があるとは認められない。
この点、Xは、Y社がXに対するヒアリングにおいて曖昧な言葉で事実確認を行ったなどとも主張し、この点も問題視するが、証拠によっても、Bから問題とされたトラブルの内容については明確に特定できており、そのように認めることはできない。
Xは、Y社がXの主張を一顧だにせず始末書の提出や謝罪を強制したなどとその態度や措置も問題視しているが、Y社は、本件発言の経緯を含めてXの言い分を聴取しており、Xの主張をおよそ顧みなかったなどとは認め難い。また、Y社は、謝罪や始末書の提出をする意向があるかを原告に尋ね、Xも、本件発言の経緯は経緯としつつも、自己の不用意な発言を詫び、謝罪や始末書の提出にも任意応じる旨の意向を示したものであって、かかる経過に強制の事実は見出し難い。
Xは、Y社が懲戒を仄めかしたなどとして、この点についても主張しているが、謝罪の場でのDの発言は一般論にとどまるものと認められ、これを超えて懲戒としての具体的措置が検討された形跡もなく、かえって、爾後、特に会社から何か要求することもないので業務に集中していただきたいとY社から申し伝えられてもいることは前判示のとおりであって、この点から具体的な義務違反があるということもできない
Xは、XとBとをしばらく同じ部署で就労させ続けたことについても問題視するが、本件トラブルについては、謝罪の場が設けられたことにより、Bから人事部に謝意が述べられたメールが送られるなど一応の収束を見せていたものであり、Xから質問のメールこそ人事部宛に送られることがあったものの、その内容に、Bと同じ部署で稼働したくないとの申出までは書かれておらず、実際にもBの異動まで特段トラブルを生じているとも認められていなかったのであるから、Xの主張するような異動を命じるべき義務がY社に生じていたということもできない。
Xは、Y社が再調査をしなかったことが前記義務違反を構成するとも主張する。しかし、B申告に係る本件トラブルは、謝罪の場の設置によりひとまずの収束を見せ、その後、特段のトラブルなくBは異動し、Dからの再調査を一からすることになるがよいかというメールに対してもXにおいて特段明確な異議や異論が示されることのないまま事実経過が推移してきていたものであり、Y社としては本件トラブルを収束させたとの認識であったものである。もとより、BとXとの間では、謝罪の場においても本件発言の経緯をめぐって見解の齟齬が見られるなど、見解の相違がなお残っていたとはいえるが、当時、その認識の齟齬を埋めることのできる具体的な物証があることが見込まれたわけでもない。
しかも、Y社としては、本件トラブルを重大なものとまでは認識しておらず、Xに対し、Xが応じた前記措置のほかは、懲戒処分を含め、特段の措置をとることは何ら検討していなかったものでもある。そうすると、Y社が、その後Bとの間にトラブルが生じてもいなかった本件トラブルについて、再度調査を行うこととした場合における従業員間での紛議の再発も懸念し、特段の再調査までは行わなかったとしても、その対応は不合理なものということはできず、Xが主張するような義務違反を構成するものとは認め難い。
その他、Xは、本件トラブルについてY社所定の「セクハラ・パワハラに関する相談・苦情への対応の流れ」の手順書に則った取扱いがされていないこと、本件発言がどうして被害感情に結びつくかについてXがY社に質問しているのにY社がこれに適切に回答していないことも指摘する。
しかしながら、前者の点については、その指摘に係る手順書は、Y社内の同申出に関する基本的な手順を定めたものとはいえても、事案の内容や申告者の意向を措いて、いついかなる場合にもそのように取扱うべき趣旨のものとまでは解し難く、この点に関するXの主張は前提を異にするものといわざるを得ない。また、後者の点についても、Xは、自身に対するヒアリングにおいて、被害者の気持ちが重要であるなどとして本件発言の不適切なことを自認し、謝罪の意向も示していたものであるし、そもそもY社においてX指摘の質問に仔細応じなければならない義務があると認めるべき根拠に乏しい
したがって、これらの点によっても、Xが主張するような義務違反があるとは認め難い。

ハラスメント発生後の会社の対応をめぐって訴訟に発展することは少なくありません。

ガイドライン等で手続きの概要を知ることはできますが、被害者と加害者の認識のずれが大きい場合にいかなる事実認定をすべきは非常に難しい問題です。

必ず顧問弁護士に相談をしながら手続きをすすめていくことをおすすめいたします。

本の紹介1170 髙橋洋一式「デジタル仕事術」(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は本の紹介です。

頭のいい人がどのような日常生活を送っているのかがよくわかる本です。

加えて、物事をどのように考えているのかがとてもよくわかる本です。

おすすめです。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

ユーチューブは、間に入る人が必要なくなることを実感させてくれます。わかりやすく言えば、『中抜き』をして食べている人は、もういらなくなるということです。広告代理店や芸能事務所など『中抜き』をしていた人たちは、儲からなくなっていくはずです。マスコミもやっていけなくなります。・・・デジタル時代は、誰もが直接情報を発信できますので、中間にいるマスコミの存在価値はなくなっていきます。」(18~19頁)

同感です。

「中抜き」をする業務は今後は厳しくなると思います。

あらゆるものがダイレクトにつながる時代ですから、わざわざ仲介してもらう必要がないのです。

直接情報を発信・受信できる時代におけるビジネスは、これまでの伝統や常識からは決して思いつかないものばかりです。

不当労働行為268 退職した組合員の残業代と団体交渉(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、退職した組合員の在職中の時間外手当等を議題とする団交に応じなかった会社の対応が不当労働行為に当たらないとされた事案を見てみましょう。

鴻池運輸事件(群馬県労委令和2年2月13日・労判1236号104頁)

【事案の概要】

本件は、退職した組合員の在職中の時間外手当等を議題とする団交に応じなかった会社の対応が不当労働行為にあたるかが争われた事案である。

【労働委員会の判断】

不当労働行為にあたらない

【命令のポイント】

1 本件団交申入れのうち、時間外手当に関する部分については、時機を失しており、もはや団体交渉で解決すべき紛争はないものと会社が認識していたとしてもやむを得ない客観的状況が存在していたといえる。そうすると、当該部分が現に雇用関係にない労働者の労働条件に係るものであることを理由に会社がこれを拒んだとしても、正当な理由がなかったとまでは認められない。

2 本件髪切り行為について、会社が「A2の了解のもとに行われており、ハラスメント行為とは認識していない」と組合に回答していることから、会社は、本件髪切り行為そのものは認識していたといえる。
一方で、A2が、退職後、B3が作成した反省文を受領しているとの事情や、本件髪切り行為を行ったB3がC1地方検察庁において不起訴処分となった事実も会社が認識していることも認められる。
これらのことに鑑みると、会社が、本件髪切り行為について、本件団交申入れ時点においては、A2とB3の私人間の問題として既に解決済みの問題であり、その団交申入れが時機を失していると判断したとしても、無理からぬことと思料される。

3 以上のことや上記で述べたことから総合的に判断すると、本件団交申入れのうち、本件髪切り行為に関する部分については、個人間で解決済みの問題であり、もはや団体交渉で解決すべき紛争はないものと会社が認識していたとしてもやむを得ない客観的状況が存在していたといえる。
そうすると、当該部分についても、それが現に雇用関係にない労働者の労働条件に係るものであることを理由に会社がこれを拒んだことに、正当な理由がなかったとまでは認められない。

すでに解決済みの問題と会社が認識していたことが客観的に状況に照らして不合理とはいえないと判断されています。

一般論としては団交拒否を安易にするべきではありませんが、本件のようなケースでは、事前に顧問弁護士に相談の上、慎重に判断することが求められます。

本の紹介1169 やりきる力(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間がんばりましょう。

今日は本の紹介です。

堀江さんの本です。

帯には「失敗を恐れるな!」と書かれています。

途中で投げ出さずに最後までやりきることの大切さが書かれています。

結果が出る前に投げ出さなければ、たいていうまくいきます。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

意識的に『自分は変わりたい』と思って、行動する必要はない。ただ無心に、やりたいことをやり、好きなように動いて、情報のシャワーを浴び、頭のいい人たちと触れ合おう。いつの間にか、それまで見られなかったような豊かな景色が、視界の中に勝手に飛び込んでくるようになる。」(101頁)

まあ、そんなかんじです。

生きている間、やりたいことをひたすらやればいいという感じです。

依存せず、執着せず、理不尽から距離をおき、好きなように生きています。

不当労働行為267 組合員の配置転換と不当労働行為(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間お疲れさまでした。

今日は、組合員Aに対し本社営業課長の任を解き運転職を命じたこと、および組合員Bに対し経理担当事務を解き一般事務担当を命じたことがいずれも不当労働行為とされた事案を見てみましょう。

アクアライン事件(大阪労委令和2年5月11日・労判1236号103頁)

【事案の概要】

本件は、組合員Aに対し本社営業課長の任を解き運転職を命じたこと、および組合員Bに対し経理担当事務を解き一般事務担当を命じたことが不当労働行為にあたるかが争われた事案である。

【労働委員会の判断】

いずれも不当労働行為にあたる

【命令のポイント】

1 ・・・以上を総合的に判断すると、Aに対する配転命令には、合理的な理由があったとはいえず配転当時、会社と組合との間の労使関係が対立関係にあったことからすると、Aに対する配転命令は、会社の組合嫌悪意思によるものとみざるを得ない。

2 Bと会社との間の雇用契約書には、業務内容として「経理事務」と記載されていたことが認められ、かかる雇用契約書の記載からすると、Bは、経理業務に従事することを前提に雇用されていたといえる。一方、Bが、事前に経理事務として適切さを欠くとの指摘を受けていたとの疎明はなく、会社が、一般事務への配転命令を行うに当たって、Bに対し、事前に内示を行ったり、その理由を説明したとの疎明もない。そうすると、Bは、一方的に、業務の異なる一般事務に変更されたといえ、かかる配転をされたことにより、精神的不利益がなかったとはいえない
以上を相当的に判断すると、Bに対する配転命令には、合理的な理由があったとはいえず、配転当時、会社と組合との間の労使関係が対立関係にあったことからすると、Bに対する配転命令は、会社の組合嫌悪意思によるものとみざるを得ない。

前記のとおり、会社と組合との間の労使関係が対立しているときに、合理的理由なく配転命令を出すと不当労働行為と認定されますので注意しましょう。

日頃から顧問弁護士に相談する体制を整え、無用なトラブルを回避することが肝要です。