不当労働行為262 組合員の人事異動と不当労働行為(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、組合員を廃棄物の収集運搬をするコースドライバーから廃棄物の仕分業務に人事異動したことが不当労働行為とされた事案を見てみましょう。

上田清掃事件(京都府労委令和元年9月18日・労判1232号102頁)

【事案の概要】

組合員を廃棄物の収集運搬をするコースドライバーから廃棄物の仕分業務に人事異動したことが不当労働行為にあたるかが争われた事案である。

【労働委員会の判断】

不当労働行為にあたる

【命令のポイント】

1 A組合員は平成5年の入社以来コースドライバー業務に従事してきたことが認められ、このように長年同一の業務に従事してきた労働者を、それとは異質の業務に異動することは、それ自体不利益性を有すると認められるところ、本件人事異動後のA組合員の業務にはドライバー業務も含まれているが、これは、仕分後の資源物を近隣の回収業者に搬入するだけの業務であって、また、主たる業務は、コースドライバー業務とは異質なことが明らかな仕分作業であったと認められる。よって、本件人事異動には、不利益性が認められる。

2 本件人事異動は、Y社の中核的事業所における中核的業務から本社から離れたほとんど他に従業員がいない現場作業所での単純作業への異動であって、当該職場における従業員の一般的認識に照らして通常不利益なものと受け止められ、それによって当該職場における従業員の労働組合活動への意欲が委縮し、組合活動一般に対して制約効果が及ぶようなものであったと認めるのが相当である。

仮に業務内容が異なる場合でも、当該配置転換に合理的理由が存在すれば不当労働行為とは認定されません。

もっとも、一般論としては、業務内容が大きく異なる場合には、それ相応の理由を準備する必要があります。

理由の合理性の有無については判断が難しいので、顧問弁護士に相談しましょう。