おはようございます。今週も1週間がんばりましょう。
今日は、出向期間延長のうえ再度された出向命令につき、同意書に基づく個別の出向合意は成立しておらず、同書に基づく出向命令も権利濫用で無効とした事案について見ていきましょう。
図書館流通センター事件(東京地裁令和7年6月26日・労経速2600号48頁)
【事案の概要】
本件は、Y社の従業員であって令和2年7月1日から現在までa株式会社へ在籍出向しているXが、Y社に対し、Xのa社への出向は、XとY社との間の本件に先立つ訴訟で成立した訴訟上の和解の履行として、同日から令和5年6月30日までを出向期間とする出向命令に基づき行われたものであるが、その後の同年7月1日から令和8年7月25日までに出向期間を延長して再度された出向命令は、権利を濫用したものとして無効であると主張し、現在、a社において勤務する労働契約上の義務のないことの確認を求めるところ、これに対してY社が、Xのa社への出向はX、Y社及びa社の間で令和2年7月1日に成立した個別の出向合意に基づき現在まで有効に行われていると反論するとともに、仮に令和5年7月1日以降の出向がXの指摘する再度の出向命令に基づくものであったとしても、同命令は権利を濫用したものとはいえず有効であると反論し、Xの上記確認請求を争う事案である。
【裁判所の判断】
請求認容
【判例のポイント】
1 Y社は、Xの年額900万円の賃金水準はY社の賃金制度下では支社長クラスとなるところ、不適切な経理処理及びセクハラ発言のいずれの言動も全く反省していないXに、Y社の支社長ないしそれに準ずる重要なポジションを任せることはできないなどとも主張するが、Y社が指摘するXの上記各言動は現時点で既に7年以上も前の出来事であり、上記各言動についてのXとY社との見解の相違を契機としてされた配転命令の有効性が争われた前件訴訟は前件和解により終局していることに加え、Xが現在までの間に同種の言動で問題を生じさせたことも認められない以上、Y社の指摘するXの上記各言動を業務上の必要性に当たって重視することは相当ではない。
このほか、Y社は、平成27年4月以降Y社の営業業務を離れ現在の営業担当に必要な知識、手法を身に付けられていないXには、年額900万円の賃金水準に見合うポストがY社に存在しないとも主張するが、そもそもY社は、Xがa社へ出向して以降、Xとの面談やXの人事評価をしておらず、Xの現在の営業に関する知識や技量等を何ら把握していない状況であることからすると、Y社の上記主張に関しては根拠が不明であるといわざるを得ず、本件全証拠を検討しても、これを認めるに足りる的確な証拠は存在しない。
以上によれば、本件辞令2に係る出向命令による出向の延長を肯定し得るほどの業務上の必要性があったとは認められない。
これでは配転の必要性の裏付けとして不十分ですね。
配転命令を行う場合には、事前に顧問弁護士に相談することをおすすめいたします。