Monthly Archives: 6月 2026

本の紹介2248 教養としての投資(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、本の紹介です。

投機ではなく投資を通じて、世界を知ることができます。

日々、株が上がった、下がったということではなく、より長期的に見て、世界の動きを観察することを目的としています。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

情報との付き合い方は、大量の情報をインプットすることよりも、考えることの方がよほど大事です。ところが、情報の量が増えれば増えるほど、人間は考えなくなります。考えることの総量は、流れている情報の総量に反比例するのです。」(194頁)

資格試験を考えるとよくわかりますね。

情報量で勝負をしようとしてもそれだけでは対応できないことは、多くの人が経験していることかと思います。

情報のインプットとともに、いかにその情報を使いこなすかが求められています。

AIの進化に伴い、人間の考える力は退化する一方です。

セクハラ・パワハラ98 減給の懲戒処分について、労基法93条の限度を超える金額は無効であることの確認が認められた事案(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も1週間がんばりましょう。

今日は、減給の懲戒処分について、労基法93条の限度を超える金額は無効であることの確認が認められた事案について見ていきましょう。

一般財団法人NHK財団事件(東京地裁令和7年5月29日・労判ジャーナル165号40頁)

【事案の概要】

本件は、Y社に雇用されているXが、Y社に対し、Y社がXに対して令和6年4月17日付でした減給の懲戒処分は懲戒権を濫用するものであるから無効であると主張して、①本件減給処分が無効であることの確認を求めるとともに、②雇用契約に基づき、本件減給処分に係る減給相当額9290円の支払を求める事案である。

【裁判所の判断】

1 Y社が、令和6年4月17日付で、Xに対してした減給の懲戒処分のうち、減給の額が6143円を超える部分が無効であることを確認する。
 Xのその余の請求をいずれも棄却する。

【判例のポイント】

1 B職員は、令和2年2月から3月にかけて、Xから、職場から一緒に帰る、あるいは週末にハイキングに出かけるといった職務外のプライベートな付き合いに誘われたところ、「個人的なお誘いは遠慮させてください。」と明確にこれを断り、令和5年10月以降も、Xのランチやサイクリングの誘いに応じることなく拒否的に対応しており、Xも、B職員の上記対応から、同人が、Xに対し、私的な領域に踏み込まれたくないとの意向を有していることは、十分に認識していたと認められる。それにもかかわらず、Xは、B職員の上記意向を顧みることなく本件言動に及んだものであり、B職員が被った不安感、不快感は、到底軽視することはできない。
また、①Xは、Y社に提出した顛末書において、B職員が、偽名のLINEアカウントを利用してXにプライベートで接触しようとした、あるいは仮病を用いて勤務時間の短縮や在宅勤務をしたなどと、根拠に乏しい事実を挙げてB職員を非難し、自己の行為を反省する態度を示さなかったこと、②減給処分は、Y社の懲戒処分の中で下から2番目に軽いものであることからすれば、本件減給処分が「社会通念上相当であると認められない場合」(労契法15条)に当たるとはいえない。

2 原告の給与は毎月末日締め、当月20日払いであるところ、本件減給処分がされた令和6年4月17日(労基法12条「算定すべき事由の発生した日」)以前の3か月において原告に支払われた賃金は、令和6年1月分(同月末締め、同月19日支給)として32万5289円、同年2月分(同月末締め、同月20日支給)として36万0429円、同年3月分(同月末締め、同月19日支給)として46万8027円であり、このうち、同年3月分の賃金(46万8027円)には、6か月分の通勤交通費7万1100円が含まれていたと認められる。そうすると、「これを算定すべき事由が発生した日以前三箇月間にその労働者に対し支払われた賃金の総額」(労基法12条1項)に含まれるのは、7万1100円のうち、その3か月分に相当する3万5550円にとどまるというべきであり、上記賃金の総額は111万8195円となる。
また、上記期間の総日数は91日である。
そうすると、平均賃金は1万2287円となり(111万8195円÷91日=1万2287.85円、争いなし)、労基法91条の定める減給の上限額は6143円となる。
これに対し、Y社は、本件減給処分において、労基法12条所定の平均賃金の算出に当たって、①6か月分の通勤交通費である7万1100円をそのまま賃金総額に加えたこと、②Xの賃金は当月末日が締切日であり、「算定すべき事由の発生した日以前三箇月にその労働者に対し支払われた賃金」は令和6年1月分から3月分の賃金であるのに、同年2月分から4月分の賃金としたこと、③原告の賃金は月給制であり、「賃金が、労働した日若しくは時間によって算定され、又は出来高払制その他の請負制によって定められた場合」(労基法12条1項1号)に該当しないにもかかわらず、これに該当するとして、同法12条1項ただし書を適用し、同項1号によって算出した額(1万8579.02円)を平均賃金として採用したことにより、労基法91条の定める上記上限額(6143円)を超える金額(9290円)を減給したと認められる。
したがって、本件減給処分は、労基法91条に違反する。

3 労基法91条が減給額につき上限を設けた趣旨は、減給額が多額になって労働者の生活を脅かす事態を回避する点にあることからすれば、労基法91条の制限を超える減給処分がされたとしても、必ずしも減給処分全体が違法・無効となるものではなく、労基法91条の制限を超える部分が違法・無効となるにとどまると解すべきである。

減給処分が労基法91条に違反するとされた珍しい裁判例です。

平均賃金に関する単純な計算間違いですが。

労務管理に関する抜本的な改善については顧問弁護士に相談の上、適切に対応しましょう。

【労基法91条】就業規則で、労働者に対して減給の制裁を定める場合においては、その減給は、一回の額が平均賃金の一日分の半額を超え、総額が一賃金支払期における賃金の総額の十分の一を超えてはならない。

【労基法12条】この法律で平均賃金とは、これを算定すべき事由の発生した日以前三箇月間にその労働者に対し支払われた賃金の総額を、その期間の総日数で除した金額をいう。ただし、その金額は、次の各号の一によつて計算した金額を下つてはならない。
一 賃金が、労働した日若しくは時間によつて算定され、又は出来高払制その他の請負制によつて定められた場合においては、賃金の総額をその期間中に労働した日数で除した金額の百分の六十
二 賃金の一部が、月、週その他一定の期間によつて定められた場合においては、その部分の総額をその期間の総日数で除した金額と前号の金額の合算額

本の紹介2247 FIRE最強の早期リタイア術#2(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も1週間お疲れ様でした。

今日は、本の紹介です。

今から5年前に紹介した本ですが、再度、読み返してみました。

サブタイトルは、「最速でお金から自由になれる究極メソッド」です。

FIREのうち、「RE」はさておき、「FI」は必要だと思います。

必ずしも早期リタイアが幸せであるとは限りません。人によります。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

より多くのモノを所有するほど、人はより不幸になり、よりストレスを抱えるということです。逆に、より少ないモノを所有し、旅行や新たなスキルの習得など経験によりお金を使うほど、人はより幸福になり、より人生に満足するのです。」(86頁)

ミニマリスト的な発想ですが、このあたりも個々人の価値観が如実に表れるところだと思います。

古い議論で言えば、「持ち家vs賃貸」論争にも通じるところがあります。

いずれにせよ好きにすればいいのですが、周りを見渡すと、あまり深く考えず、「みんながそうしているから」という理由で、モノを所有して、後々、所有リスクが顕在化し、精神的・経済的負担に押しつぶされそうになっている方を見かけます。

特に長期にわたる借入れを伴う場合、あらゆるボラティリティを許容する覚悟を持つ必要があります。

ジュウタクローンコワイ

所有したら最後、手放すに手放せない、手放すのに相当なコストを要するモノは、極力持たない、というのが持論でございます。

継続雇用制度38 解雇事由または退職事由に該当しない限り、定年後再雇用の上限まで契約が更新されるものと期待することについて合理的な理由があるとされた事案(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、解雇事由または退職事由に該当しない限り、定年後再雇用の上限まで契約が更新されるものと期待することについて合理的な理由があるとされた事案について見ていきましょう。

森ビルゴルフリゾート事件(東京地裁令和7年5月30日・労経速2598号41頁)

【事案の概要】

本件は、Y社に雇用されたXが、Y社が定年退職後の再雇用契約の更新を拒否することは違法であると主張し、Y社に対し、主位的に、下記(1)アから工までを、予備的に、下記(2)を求める事案である。
(1)主位的請求
ア 労働契約上の権利を有する地位にあることの確認
イ 賃金として、令和5年4月から本判決確定の日まで、毎月25日限り、53万5000円+遅延損害金の支払
ウ 残業代として、522万6839円+遅延損害金の支払
エ 付加金として、477万2895円+遅延損害金の支払
(2) 予備的請求
不法行為(実質的に継続雇用の機会を与えなかったこと)による損害賠償として、1919万6282円+遅延損害金の支払

【裁判所の判断】

1 Xが、Y社に対し、労働契約上の権利をおする地位にあることを確認する。
2 Y社は、Xに対し、令和5年4月から本判決確定まで、毎月25日限り、53万5000円+遅延損害金を支払え。
3 Y社は、Xに対し、522万6839円+遅延損害金を支払え。
4 Y社は、Xに対し、付加金355万7739円+遅延損害金を支払え。

【判例のポイント】

1 高年法は事業者の国に対する公法上の義務を定めたものと解されるが、このような高年法の定め及び本件指針の内容を踏まえると、使用者において定年後再雇用の継続雇用制度が採用されている場合、解雇事由又は退職事由に該当しない限り、定年退職日より前に再雇用の申出をした労働者には、定年による雇用契約終了後も雇用契約が継続(再雇用契約が成立)するものと期待することに合理的な理由があり、また、定年による雇用契約終了後に再雇用契約を締結した労働者には、定年後再雇用の上限まで契約が更新されるものと期待することについて合理的な理由があって、再雇用契約の締結又は更新を拒否することについて、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、これを拒否することはできないと解するのが相当である。

2 Y社は、本件就業規則14条において、定年後再雇用の継続雇用制度を定めており、Xは、定年退職日より前に再雇用の申出をしたのであるから、Xには、解雇事由又は退職事由に該当しない限り、定年による雇用契約終了後も雇用契約が継続(再雇用契約が成立)するものと期待することに合理的な理由があると認められる。
また、本件契約は、定年による雇用契約終了後に、再度雇用契約を結結したものであるから、定年による雇用契約終了後に再雇用契約を締結したXには、解雇事由又は退職事由に該当しない限り、定年後再雇用の上限まで契約が更新されるものと期待することについて合理的な理由があると認められる。

特に目新しい判断ではありませんが、しっかりと押さえておきましょう。

高年法関連の紛争は、今後ますます増えてくることが予想されます。日頃から顧問弁護士に相談の上、慎重に対応することをお勧めいたします。

本の紹介2246 武器としての投資(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。今週も1週間がんばりましょう。

今日は、本の紹介です。

サブタイトルは「AI時代を生き抜く資産とキャリアの築き方」です。

終始一貫して「オーナーシップ」の重要性について説かれています。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

私たちはしばしば『資産=お金と考えがちですが、本来の資産とはもっと多面的です。スキル、信頼、健康、時間、体力、人間関係、名声や信用-こうした無形の資産の積み重ねを含めて、私たち一人ひとりの『人生のバランスシート』は形づくられていきます。」(224頁)

資産には、有形・無形の両方があります。

有形資産にばかり目が奪われがちですが、資産は決して目で見えるものばかりではありません。

金融資産だけでなく、人生それ自体のBSを意識しながら人生設計をすると、時間やお金の使い方が大きく変わってくると思います。

10年、20年年上の方々を見るにつれ、有形・無形の資産を積み重ねてきた人と、そうでない人では、人生の後半戦の景色が残酷なまでに異なることを感じます。

すべては日々の積み重ねですので、一朝一夕にはいきません。

一発逆転を狙わず、日々、凡事徹底を繰り返すほかありません。

賃金302 運賃着服等を理由とする退職手当不支給処分の適法性(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。今週も1週間お疲れ様でした。

今日は、運賃着服等を理由とする退職手当不支給処分の適法性に関する裁判例を見ていきましょう。

京都市(懲戒免職処分取消等請求)事件(最高裁令和7年4月17日・ジュリ1613号4頁)

【事案の概要】

本件は、Y市が経営する自動車運送事業のバスの運転手として勤務していたXが、運賃の着服等を理由とする懲戒免職処分を受けたことに伴い、Y市公営企業管理者交通局長から、Y市交通局職員退職手当支給規程8条1項1号の規定により一般の退職手当等の全部を支給しないこととするを受けたため、Y市を相手に、上記各処分の取消しを求める事案である。

原審は、上記事実関係等の下において、本件懲戒免職処分は適法であるとしてその取消請求を棄却すべきものとした上で、本件全部支給制限処分の取消請求を認容した。

【裁判所の判断】

原判決中Y市敗訴部分を破棄する。
前項の部分につき、Xの控訴を棄却する。

【判例のポイント】

1 本件規定は、懲戒免職処分を受けた退職者の一般の退職手当等について、退職手当支給制限処分をするか否か、これをするとした場合にどの程度支給しないこととするかの判断を管理者の裁量に委ねているものと解され、その判断は、それが社会観念上著しく妥当を欠いて裁量権の範囲を逸脱し、又はこれを濫用したと認められる場合に、違法となるものというべきである(最高裁令和5年6月27日判決参照)。
本件着服行為は、公務の遂行中に職務上取り扱う公金を着服したというものであって、それ自体、重大な非違行為である。そして、バスの運転手は、乗客から直接運賃を受領し得る立場にある上、通常1人で乗務することから、その職務の性質上運賃の適正な取扱いが強く要請され、その観点から、Y市交通局職員服務規程において、勤務中の私金の所持が禁止されている(20条)。そうすると、本件着服行為は、Y市が経営する自動車運送事業の運営の適正を害するのみならず、同事業に対する信頼を大きく損なうものということができる。

2 また、本件喫煙類似行為についてみると、Xは、バスの運転手として乗務の際に、1週間に5回も電子たばこを使用したというのであるから、勤務の状況が良好でないことを示す事情として評価されてもやむを得ないものである。
そして、本件非違行為に至った経緯に特段酌むべき事情はなく、Xは、それらが発覚した後の上司との面談の際にも、当初は本件着服行為を否認しようとするなど、その態度が誠実なものであったということはできない。
これらの事情に照らせば、本件着服行為の被害金額が1000円でありその被害弁償が行われていることや、Xが約29年にわたり勤続し、その間、一般服務や公金等の取扱いを理由とする懲戒処分を受けたことがないこと等をしんしゃくしても、本件全部支給制限処分に係る本件管理者の判断が、社会観念上著しく妥当を欠いて裁量権の範囲を逸脱し、又はこれを濫用したものということはできない。
以上によれば、本件全部支給制限処分が裁量権の範囲を逸脱した違法なものであるとした原審の判断には、退職手当支給制限処分に係る管理者の裁量権に関する法令の解釈適用を誤った違法があるというべきである。

Xが公務員だから、でしょうか。

この事案でXは1211万4214円の退職手当等全額の支給がされなくなります。

バランスがとれているといえるでしょうかね。

一般企業で同種事案が発生した場合には異なる結論になるかと思います。

日頃から顧問弁護士に相談しながら適切に労務管理を行うことが大切です。

本の紹介2245 最強の集中術(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、本の紹介です。

気が散るモノで溢れかえっている中で1つのことに集中することは簡単なことではありません。

この時代にじっくり1冊の本を読み込むことができる人はそう多くはないように思います。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

トライアスロンの世界選手権、アイアンマン大会で史上初の5回連続優勝を達成したマーク・アレンは、『あなたの原動力は何ですか』という問いにこう答えている。『何の大会であれ、勝つこと自体は添えものにすぎない。自分の力を把握し、今までの自分を超えることこそが、本当の成功なのだ』」(162頁)

成長・向上にフォーカスしている証です。

人生の本質的価値をどこに求めるかによって、その人の人生が決まるといっても過言ではありません。

正解・不正解ではありません。

自分の人生をどのように構築していくのかという純主観的な価値観・人生観です。

このことを、人生のできるだけ早い段階で意識できると、その後の人生設計が大きく変わってくると思います。

派遣労働35 派遣労働契約の雇止めが有効とされた事案(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も1週間がんばりましょう。

今日は、派遣労働契約の雇止めが有効とされた事案について見ていきましょう。

マイケル・ペイジ・インターナショナル・ジャパン事件(東京地裁令和7年5月27日・労経速2598号33頁)

【事案の概要】

本件は、Y社と派遣労働契約を締結し、派遣先の業務に従事していたXが、
(1)XとY社の派遣労働契約が期間満了により終了したこと(雇止め)につき、Xにおいて派遣労働契約が更新されると期待することについて合理的な理由があり、また、上記雇止めは、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当とはいえず、無効であるとして、Y社に対し、①労働契約上の権利を有する地位にあることの確認、②上記雇止め後の未払賃金+遅延損害金の支払を求め、
(2)(1)の雇止めは、Xに対する不法行為に当たり、これによりXは精神的苦痛を被ったとして、Y社に対し、不法行為に基づき、慰謝料+遅延損害金を求め、
(3)Y社の社員であるAが、派遣先がXの業務遂行に問題がある旨言っているなどと虚偽の事実を記載したメールをXに送した行為は、Xに対する不法行為に当たり、これによりXは精神的苦痛を被ったとして、A及びY社に対し、不法行為及び使用者責任に基づき、慰謝料及びこれに対する遅延損害金の連帯支払を求め、
(4)前記(1)の請求に係る予備的請求として、前記(1)の雇止めにより1年間の雇用継続についてのXの期待権が侵害されたとして、Y社に対し、不法行為に基づき、上記雇止め後の残期間の賃金相当損害金+遅延損害金の支払を求める事案である。

【裁判所の判断】

請求棄却

【判例のポイント】

1 労働者派遣法は、派遣労働者の雇用安定のみならず、派遣先の常用労働者の雇用安定も立法目的とし、派遣期間の制限規定を設ける(労働者派遣法40条の2)などして上記目的の調和を図っており、同一の労働者を同一の派達先に長期間継続して派遣することは、常用代替防止の観点から、本来、労働者派遣法の予定するところではないから、派遣元と派遣先との労働者派遣契約の存在を前提とする登録型の派遣労働契約について、派遣ではない通常の労働契約の場合と同様に雇用継続
の期待に対する合理的な理由を認めることは、一般に困難であると解される。

2 本件では、X自身の不適切、不誠実な対応により、A社は、Y社との労働者派遣契約を更新しないと判断し、Y社とA社との労働者派遣契約が終了し、それに伴い、XとY社との派遣労働契約も終了するに至ったこと、Xの上記対応は、傷病により欠勤するときは派遣先に通知しなければならない
旨定めるY社の派遣社員就業規則に反するものと認められること、XとY社との派遣労働契約は
1回しか更新されておらず、XがA社で稼働した期間も合計2か月余りにとどまることも考慮すると、XとY社との派遣労働契約について、Xがその更新を期待することに合理的な理由があると認めることはできない。

上記判例のポイント1の考え方が根底にあるため、派遣社員の雇止め事案は、労働者にとっては相対的にハードルが高くなります。

日頃から労務管理については、顧問弁護士に相談しながら行うことが大切です。

本の紹介2244 竹中式マトリクス勉強法#2(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も1週間お疲れ様でした。

今日は本の紹介です。

今から13年前に紹介した本ですが、再度、読み返してみました。

2008年に出版された本ですが、時代が大きく変わった今読んでも全く遜色ありません。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

目標を立てたら、次は実現するための具体的な勉強計画を練る段階です。このとき重要なのが、すべての勉強に締切りを設定すること。もちろん、ゴールから逆算して計画を練るのです。」(50頁)

勉強も仕事も締切りを設定することに加え、できるだけ早く着手することと、日々の投下時間を増やすことがとても重要です。

当たり前のことかもしれませんが、大切なことはいつだって当たり前のことです。

当たり前のことを当たり前にやり続けることがどれほど大切で、どれほど大変か。

人生は習慣によって作られます。

人生の違いは、習慣の違いによるのだと確信しています。

解雇437 就業時間中、会社の制服を着用した状態で、外部から見える駐車場内において、社用車に接近した状態で放尿した運転手に対する解雇の有効性(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、会社の制服を着用した状態で、外部から見える駐車場内において、社用車に接近した状態で放尿した運転手に対する解雇の有効性に関する裁判例を見ていきましょう。

A東京事件(東京地裁令和6年10月4日・労経速2578号19頁)

【事案の概要】

本件は、Y社と雇用契約を締結したXが、Y社に対して、Y社のXに対する解雇が無効であると主張して、次の各請求をする事案である。
(1) 雇用契約上の権利を有する地位にあることの確認
(2) 雇用契約に基づき、賃金286万3450円(令和4年11月分から令和5年3月分までの賃金)+遅延損害金の支払
(3) 雇用契約に基づき、令和4年12月から本判決確定の日まで、毎年6月30日及び12月31日限り、賞与16万円+遅延損害金の支払

【裁判所の判断】

1 解雇無効
→バックペイ

【判例のポイント】

1 〈1〉Xは、Y社から運転マナーを身に付けるよう指導を受けていたにもかかわらず、令和4年8月2日、就業時間中、やむを得ない事情もないのに、Y社の会社ロゴが記載された被告所有の本件車両に接近した状態で本件車両に尿が掛かる可能性が高いことを認識しながら本件行為を行った(本件行為は、軽犯罪法1条26号に該当する。)。その際、本件行為を目撃した第三者からAに連絡された。
〈2〉その後、Xは、Y社に対し、本件店舗のトイレがコロナ(新型コロナウイルス感染症感染拡大防止のため)で使用できなかったと説明したが、かかる説明は事実に反しており、このことをXも認識していた。
〈3〉Xは、Y社からの事情聴取等に当初は応じていたものの、同年8月26日及び同年9月9日の面談を欠席し、少なくとも同年9月9日の面談の欠席に合理的な理由は認められない。
〈4〉Xは、Y社において、1か月に1回以上洗車する旨の清掃ルールが定められていたにもかかわらず、同年4月から同年8月2日までの間、本件車両の定期的な洗車を行わず、また、本件車両内の清掃を少なくとも十分に行わず業務書類13枚等を散乱させた。

2 本件行為自体は1回の行為であり、同様の行為が複数回行われる中で本件行為が行われたと認めるに足りる的確な証拠はないこと、本件行為後、Xが複数回Y社との面談に応じ、Y社に始末書を提出し、X訴訟代理人弁護士を通じ協議の意向を示していたこと、Xが本件車両内の片付け等についてY社から指導を受けたと認めるに足りる的確な証拠がなく、本件車両内部に業務書類が存在したことをもって直ちに運転手としての就業に適しないとまでは認められないこと、Xが車外を清掃しないことにより本件車両を大きく汚損したと認めるに足りる証拠がないこと、Xの運転手としての業務について、遅刻や欠勤はなく、Xが与えられた業務を行い、他に特段の問題までは認められないことからすれば、Y社が主張するその余の事情を踏まえ検討しても、Xの勤務成績が不良で就業に適さず、又は、これに準ずる重要な事由があるとして、上記各解雇事由に該当するとまでは認めるに足りない。

3 仮にXが上記各解雇事由に該当すると認められたとしても、上記の事情に加え、本件行為が、第三者によりAに連絡される事態となったものの、本件行為当時に本件車両がBの名称が記載されたトレーラーを牽引しておらず、Bとの取引に影響を及ぼしていないこと、本件行為は故意に本件車両を汚損する行為であるが、本件車両の使用が困難になるなどしたという事情までは直ちに認められないこと、Xが本件車両の清掃等を怠ったことによってY社の業務に影響を及ぼしたとまでは認められないこと、Xが過去に懲戒処分等を受けたことがないことからすれば、Y社が主張するその余の事情を踏まえ検討しても、本件解雇が社会通念上相当であるとは認められない

諸般の事情からすれば、Y社がXを解雇すると判断したことは無理もないと思いますが、裁判所の判断は上記のとおりです。

解雇のハードルの高さがよくわかります。

日頃から顧問弁護士に相談をすることを習慣化しましょう。