Daily Archives: 2026年6月17日

継続雇用制度38 解雇事由または退職事由に該当しない限り、定年後再雇用の上限まで契約が更新されるものと期待することについて合理的な理由があるとされた事案(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、解雇事由または退職事由に該当しない限り、定年後再雇用の上限まで契約が更新されるものと期待することについて合理的な理由があるとされた事案について見ていきましょう。

森ビルゴルフリゾート事件(東京地裁令和7年5月30日・労経速2598号41頁)

【事案の概要】

本件は、Y社に雇用されたXが、Y社が定年退職後の再雇用契約の更新を拒否することは違法であると主張し、Y社に対し、主位的に、下記(1)アから工までを、予備的に、下記(2)を求める事案である。
(1)主位的請求
ア 労働契約上の権利を有する地位にあることの確認
イ 賃金として、令和5年4月から本判決確定の日まで、毎月25日限り、53万5000円+遅延損害金の支払
ウ 残業代として、522万6839円+遅延損害金の支払
エ 付加金として、477万2895円+遅延損害金の支払
(2) 予備的請求
不法行為(実質的に継続雇用の機会を与えなかったこと)による損害賠償として、1919万6282円+遅延損害金の支払

【裁判所の判断】

1 Xが、Y社に対し、労働契約上の権利をおする地位にあることを確認する。
2 Y社は、Xに対し、令和5年4月から本判決確定まで、毎月25日限り、53万5000円+遅延損害金を支払え。
3 Y社は、Xに対し、522万6839円+遅延損害金を支払え。
4 Y社は、Xに対し、付加金355万7739円+遅延損害金を支払え。

【判例のポイント】

1 高年法は事業者の国に対する公法上の義務を定めたものと解されるが、このような高年法の定め及び本件指針の内容を踏まえると、使用者において定年後再雇用の継続雇用制度が採用されている場合、解雇事由又は退職事由に該当しない限り、定年退職日より前に再雇用の申出をした労働者には、定年による雇用契約終了後も雇用契約が継続(再雇用契約が成立)するものと期待することに合理的な理由があり、また、定年による雇用契約終了後に再雇用契約を締結した労働者には、定年後再雇用の上限まで契約が更新されるものと期待することについて合理的な理由があって、再雇用契約の締結又は更新を拒否することについて、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、これを拒否することはできないと解するのが相当である。

2 Y社は、本件就業規則14条において、定年後再雇用の継続雇用制度を定めており、Xは、定年退職日より前に再雇用の申出をしたのであるから、Xには、解雇事由又は退職事由に該当しない限り、定年による雇用契約終了後も雇用契約が継続(再雇用契約が成立)するものと期待することに合理的な理由があると認められる。
また、本件契約は、定年による雇用契約終了後に、再度雇用契約を結結したものであるから、定年による雇用契約終了後に再雇用契約を締結したXには、解雇事由又は退職事由に該当しない限り、定年後再雇用の上限まで契約が更新されるものと期待することについて合理的な理由があると認められる。

特に目新しい判断ではありませんが、しっかりと押さえておきましょう。

高年法関連の紛争は、今後ますます増えてくることが予想されます。日頃から顧問弁護士に相談の上、慎重に対応することをお勧めいたします。