騒音問題3 マンションの階上の住戸からの子供が廊下を走ったり跳んだり跳ねたりする音が階下の住戸に居住する住民が社会生活上受忍すべき限度を超えるとして上記住民の上記子供の父親に対する損害賠償請求が認容された事案(不動産・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、マンションの階上の住戸からの子供が廊下を走ったり跳んだり跳ねたりする音が階下の住戸に居住する住民が社会生活上受忍すべき限度を超えるとして上記住民の上記子供の父親に対する損害賠償請求が認容された事案(東京地判平成19年10月3日)を見ていきましょう。

【事案の概要】

本件は、マンションの階上の住戸からの子供が廊下を走ったり、跳んだり跳ねたりする音が階下の住戸に居住する住民が社会生活上受忍すべき限度を超えるとして、上記住民の上記子供の父親に対する損害賠償請求が認められるかが争われた事例である。

【裁判所の判断】

被告は、原告に対し、36万円+遅延遅延金を支払え。

【判例のポイント】

1 本件音は、被告の長男(当時3~4歳)が廊下を走ったり、跳んだり跳ねたりするときに生じた音である。
本件マンション2階の床の構造によれば、1重量床衝撃音遮断性能(標準重量床衝撃源使用時)は、LH-60程度であり、日本建築学会の建築物の遮音性能基準によれば、集合住宅の3級すなわち遮音性能上やや劣る水準にある上、本件マンションは、3LDKのファミリー向けであり、子供が居住することも予定している。
しかし、平成16年4月ころから平成17年11月17日ころまで、ほぼ毎日本件音が原告住戸に及んでおり、その程度は、かなり大きく聞こえるレベルである50~65dB程度のものが多く、午後7時以降、時には深夜にも原告住戸に及ぶことがしばしばあり、本件音が長時間連続して原告住戸に及ぶこともあったのであるから、被告は、本件音が特に夜間及び深夜には原告住戸に及ばないように被告の長男をしつけるなど住まい方を工夫し、誠意のある対応を行うのが当然であり、原告の被告がそのような工夫や対応をとることに対する期待は切実なものであったと理解することができる。
そうであるにもかかわらず、被告は、床にマットを敷いたものの、その効果は明らかではなく、それ以外にどのような対策を採ったのかも明らかではなく、原告に対しては、これ以上静かにすることはできない、文句があるなら建物に言ってくれと乱暴な口調で突っぱねたり、原告の申入れを取り合おうとしなかったのであり、その対応は極めて不誠実なものであったということができ、そのため、原告は、やむなく訴訟等に備えて騒音計を購入して本件音を測定するほかなくなり、精神的にも悩み、原告の妻には、咽喉頭異常感、食思不振、不眠等の症状も生じたのである。

2 以上の諸点、特に被告の住まい方や対応の不誠実さを考慮すると、本件音は、一般社会生活上原告が受忍すべき限度を超えるものであったというべきであり、原告の苦痛を慰謝すべき慰謝料としては、30万円が相当であるというべきである。

騒音の存在及び原因の立証の準備をし、弁護士費用をかけ、1年以上にわたり訴訟を行った結果、30万円の慰謝料が認容されました。

難しい問題ですね。

マンション管理や区分所有に関する疑問点や問題点については、不動産分野に精通した弁護士に相談することが肝要です。