漏水事故13 上階の部屋の所有者が浴室ドア下部の防水用コーキング部分の補修を怠ったことによる漏水につき、慰謝料3万円が認められた事案(不動産・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、上階の部屋の所有者が浴室ドア下部の防水用コーキング部分の補修を怠ったことによる漏水につき、慰謝料3万円が認められた事案(東京地判平成31年2月4日)を見ていきましょう。

【事案の概要】

本件は、マンション内の一室に居住する控訴人が、上階の部屋の所有者である被控訴人に対し、被控訴人が同部屋の浴室ドア下部の防水用コーキング部分の補修を怠り、そこに生じていた穴ないし隙間(以下「穴」という。)を放置したため、控訴人の居室内に漏水が発生し、控訴人は精神的苦痛等の損害を被ったなどとして、不法行為に基づき、慰謝料及び弁護士費用等の合計22万3135円+遅延損害金の支払を求める事案である。

原判決は、漏水の原因となったコーキング部分の穴を控訴人が放置していたことと漏水事故との間の因果関係が認められないなどとして、控訴人の請求を棄却したところ、これを不服とする控訴人が控訴をした。

【裁判所の判断】

被控訴人は、控訴人に対し、3万3000円+遅延損害金を支払え。

【判例のポイント】

1 本件水漏れ事故の原因等は、浴室床面に溜まった水が、507号室の浴室ドア下部の上がり框のコーキング部分の穴から浴室床下に侵入し、コンクリートクラックを通って407号室の浴室に到達したというものであるから、そのような穴があいていなければ、本件水漏れ事故は発生しなかったといえる。
したがって、被控訴人の過失と本件水漏れ事故との間の因果関係が認められる。
被控訴人は、本件水漏れ事故が、507号室の賃借人が浴室排水口を詰まらせたという浴室の不適切な利用によって生じたことを理由に、被控訴人に責任がない旨主張し、因果関係を否認している。
しかしながら、浴室は、外部への水の浸出を防ぐ機能が備わっているのが当然であること、コーキング部分の穴がなければ、同部分からの漏水は生じなかったことなどに照らせば、賃借人の清掃不徹底をもって被控訴人の過失と本件水漏れ事故との間の因果関係が否定されるものではない

2 本件で控訴人が被った損害は、慰謝料3万円及び弁護士費用3000円と認めるのが相当である(控訴人の主張する入浴施設利用料は、居宅の浴室が物理的に使用不能となったものではなく、慰謝料算定の基礎として考慮したものであるから、これと別個の損害として認めることはできない。)。

本件訴訟では、慰謝料部分についてのみ請求をしています。

弁護士費用との関係では評価が難しいところです。

マンション管理や区分所有に関する疑問点や問題点については、不動産分野に精通した弁護士に相談することが肝要です。