管理会社等との紛争43 管理費に関するマンション販売会社担当者の説明内容が誤っていたことを理由とする債務不履行又は不法行為に基づく300万円超の損害賠償請求の帰趨は?(不動産・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、管理費に関するマンション販売会社担当者の説明内容が誤っていたことを理由とする債務不履行又は不法行為に基づく300万円超の損害賠償請求の帰趨は?(東京地判令和4年3月16日)を見ていきましょう。

【事案の概要】

本件は、原告が、①本件契約の締結に際し、被告担当者が本件マンションの月額管理費について実際の額よりも低額である旨誤った説明をしたため、当該説明された月額管理費において本件契約が成立したというべきであるから債務不履行がある、②仮に説明された月額管理費において本件契約が成立していないとしても、月額管理費につき誤った説明をした点につき不法行為が成立するなどと主張して、被告に対し、債務不履行又は不法行為に基づき、損害賠償金315万8100円(実際の管理費と説明を受けた管理費の差額(月額3190円)に本件マンションの推定耐用年数である82.5年(990か月)を乗じた額)+遅延損害金の支払を求める事案である。

【裁判所の判断】

被告は、原告に対し、25万円+遅延損害金を支払え。

【判例のポイント】

1 原告は、本件契約は、被告担当者の説明内容及び重要事項に関する説明内容のとおり、管理費がインターネット等使用料を含めて月額2万8100円との内容で成立している旨主張する。
しかしながら、本件契約は売買契約であるから、被告が負う主たる債務は、本件居室の区分所有権を原告に取得させた上で登記を移転し、本件居室を引き渡すことに尽きるというべきである。
また、本件契約に係る売買契約書には管理費やインターネット等使用料の記載は見当たらない
そもそも本件マンションの管理費は、入居者(区分所有権者)が管理組合に対して負担すべき費用であり、その額等は管理規約の設定を通じて管理組合(区分所有権者)により定められるものであって、本件マンションの売主(分譲主)である被告において決定権限を有する事項ではない
そうすると、本件契約において管理費の額について被告が何らかの債務を負担することは想定されていないというべきである。
以上によれば、インターネット等使用料を含めた管理費が月額2万8100円との内容で本件契約が成立したということはできず、当該内容の債務を被告が負うとは認められないし、本件記載の内容に従って被告が本件マンションの管理業務及びインターネット等接続サービスを自ら提供し、又は第三者をして提供させる義務を負うとも認められない

2 ①被告担当者は、原告がモデルルームを訪れた際、本件資料に基づいて原告に本件居室の管理費について説明したが、その額に誤りがあったこと、②本件契約の締結に際し、重要事項として本件居室の管理費の額について説明がなされたが、重要事項説明書には管理費の具体的な額について記載はなく、管理規約等を用いて管理費の額が説明されることもなかったこと、③原告は、本件居室の管理費が、本件資料に記載されたとおり、インターネット等使用料を含めて月額2万8100円であるとの誤信したまま本件契約を締結したことが認められる。
以上によれば、本件居室の購入を希望する原告に対し、管理費等の額について誤った説明がなされ、原告がその旨誤信したにも関わらず、これを被告において適切に解消しないまま本件契約が締結されたというべきである。かかる一連の対応は、上記信義則上の義務に反するものと認められ、当該義務違反は原告に対する不法行為を構成するものというべきである。

説明義務違反を理由に慰謝料25万円が認められました。

本件は、本人訴訟のため、弁護士費用はかかりませんが、仮に代理人を立てた場合には赤字になってしまうような結果です。

説明義務違反による慰謝料の金額は、どの事案でもそれほど高額になりませんので注意が必要です。

マンション管理や区分所有に関する疑問点や問題点については、不動産分野に精通した弁護士に相談することが肝要です。